説明

画像形成装置及びプログラム

【課題】ワイヤレス入力部を利用する画像形成装置において、当該ワイヤレス入力部と、画像形成装置の操作部との優先順位を必要に応じて変更可能とすることにより、利用者にとって利便性の高い画像形成装置等を提供すること。
【解決手段】操作部と、表示部と、無線により接続可能なワイヤレス入力部と、前記ワイヤレス入力部を収納する収納部とを有する画像形成装置において、前記ワイヤレス入力部が収納部に収納されておらず、前記ワイヤレス入力部の入力を優先しているときに、前記操作部から入力を検知した場合には、前記ワイヤレス入力部から前記操作部へ入力の優先を変更する制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線によりワイヤレス入力部が接続された画像形成装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像データに基づいて、記録用紙に画像を形成する画像形成装置が知られている。近年、画像形成装置は、画像読取部から読み取った画像を記録用紙に記録するだけでなく、例えば画像データとして記憶部に記憶したり、画像形成装置にLAN(Local Area Network)を介して接続された他の端末や、インターネット等の外部ネットワークを介して他の端末に画像データを送信したりと、いわゆる複合機と呼ばれる種々の機能が利用可能な画像形成装置が知られている。
【0003】
ここで、複合機として利用される画像形成装置において、画像形成装置を操作するための操作部として、スタートキーや、クリアキー、枚数キー等の各種機能が割り当てられた操作キーの他に、各種文字等が直接入力可能なキーボード等の入力装置を使用することが考えられる。キーボードを利用することにより、例えば画像データの送信先のアドレスを入力する場合や、画像形成装置の設定を行う場合等に利便性が向上することとなる。
【0004】
ここで、キーボード等の入力装置と、操作するための装置を接続するためには、ケーブル(有線)を介して接続されるものと、無線を介して接続されるもの(ワイヤレス)がある(例えば、特許文献1参照)。ワイヤレスで接続されるキーボード等の入力装置(ワイヤレス入力部)は、コンピュータにおいては従前から利用されており、キーボードを自由に設置し、レイアウトや利用する場所にこだわらず利用出来るといった利点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−105661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1において、ワイヤレス入力部と、画像形成装置(本体装置)との間では無線通信により、キーボードの状態が検出されている。そして、ワイヤレス入力部が持ち出されている状態の場合、通常は画像形成装置の操作部(本体の操作部)よりワイヤレス入力部からの入力操作が優先される。
【0007】
これは、ワイヤレス入力部が利用されている場合に、操作部(本体操作部)においても操作できることとすると、異なる利用者に操作されることとなり、適切な処理を行うことが出来ないためである。
【0008】
したがって、ワイヤレス入力部が持ち出されている状態では、本体操作部において、操作が出来なかった。このとき、ワイヤレス入力部が持ち出されているからといって、必ずしも利用されているという状況ではないにもかかわらず、一律に本体操作部においては操作ができないといった利便性が低下する問題点が生じていた。
【0009】
上述した課題に鑑み、本発明が目的とするところは、ワイヤレス入力部を利用する画像形成装置において、当該ワイヤレス入力部と、画像形成装置の操作部との優先順位を必要に応じて変更可能とすることにより、利用者にとって利便性の高い画像形成装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題に鑑み、本発明の目的とする画像形成装置は、操作部と、表示部と、無線により接続可能なワイヤレス入力部と、前記ワイヤレス入力部を収納する収納部とを有する画像形成装置において、前記ワイヤレス入力部が収納部に収納されているか否かを検出する検出部と、前記検出部により、前記ワイヤレス入力部が前記収納部に収納されていないと検出された場合には、前記操作部より、前記ワイヤレス入力部の入力を優先する制御を行う入力優先制御部と、を備え、前記入力優先制御部は、前記ワイヤレス入力部の入力を優先しているときに、前記操作部から入力を検知した場合には、前記ワイヤレス入力部から前記操作部へ入力の優先を変更する制御を行うことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の画像形成装置において、前記入力優先制御部は、前記ワイヤレス入力部の入力を優先しているときに、前記操作部から入力操作を検知した場合には、前記ワイヤレス入力部に対し操作許可要求信号を送信し、前記ワイヤレス入力部から操作許可応答信号を受信すると前記ワイヤレス入力部から前記操作部へ入力の優先を変更する制御を行うことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の画像形成装置において、前記ワイヤレス入力部は、前記操作許可応答信号に基づいて操作部の入力を許可するか判定する許可判定部を有し、前記許可判定部により操作部の入力を許可すると判定された場合には、操作許可応答信号を送信することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の画像形成装置において、前記入力優先制御部は、前記ワイヤレス入力部から前記操作部の入力の優先を変更してから所定時間を経過した場合には、前記操作部から前記ワイヤレス入力部へ入力の優先を変更することを特徴とする。
【0014】
本発明のプログラムは、操作部と、表示部と、無線により接続可能なワイヤレス入力部と、前記ワイヤレス入力部を収納する収納部とを有するコンピュータにおいて実行されるプログラムであって、前記ワイヤレス入力部が収納部に収納されているか否かを検出する検出ステップと、前記検出ステップにより、前記ワイヤレス入力部が前記収納部に収納されていないと検出された場合には、前記操作部より、前記ワイヤレス入力部の入力を優先する制御を行う入力優先制御ステップと、を備え、前記入力優先制御ステップは、前記ワイヤレス入力部の入力を優先しているときに、前記操作部から入力を検知した場合には、前記ワイヤレス入力部から前記操作部へ入力の優先を変更する処理を実現することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の画像形成装置によれば、操作部と、表示部と、無線により接続可能なワイヤレス入力部と、前記ワイヤレス入力部を収納する収納部とを有する画像形成装置において、前記ワイヤレス入力部が収納部に収納されているか否かを検出し、前記ワイヤレス入力部が前記収納部に収納されていないと検出された場合には、前記ワイヤレス入力部の入力を優先しているときに、前記操作部から入力を検知した場合には、前記ワイヤレス入力部から前記操作部へ入力の優先を変更することができる。
【0016】
したがって、ワイヤレス入力部の入力が優先されている状態であっても、利用者から操作部において必要な操作を行うことにより、操作部からの入力を受け付けることが可能となる画像形成装置等を提供することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態における画像形成装置の装置構成を説明するための断面図である。
【図2】本実施形態における画像形成装置の機能構成を説明するためのブロック図である。
【図3】本実施形態における画像形成装置の動作処理を説明するための動作フローである。
【図4】本実施形態における画像形成装置の動作処理を説明するための動作フローである。
【図5】本実施形態における実施例(装置外観)を説明するための図である。
【図6】本実施形態における実施例(装置外観)を説明するための図である。
【図7】本実施形態における実施例(ワイヤレス入力部)を説明するための図である。
【図8】本実施形態における実施例(本体部の表示部)を説明するための図である。
【図9】本実施形態における実施例(本体部の表示部)を説明するための図である。
【図10】本実施形態における実施例(本体部の表示部)を説明するための図である。
【図11】本実施形態における実施例(本体部の表示部)を説明するための図である。
【図12】本実施形態における実施例(ワイヤレス入力部)を説明するための図である。
【図13】本実施形態における実施例(ワイヤレス入力部)を説明するための図である。
【図14】本実施形態における変形例(ワイヤレス入力部)を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0019】
[1.装置構成]
図1は、本発明を適用した画像形成装置100の構成を示すための図(断面図)である。画像形成装置100は、外部から伝達された画像データに応じて、所定のシート(記録用紙)に対して多色及び単色の画像を形成するもので、装置本体110(画像形成部)と、自動原稿処理装置120とを備えて構成されている。また、装置本体110は、露光ユニット1、現像器2、感光体ドラム3、クリーナユニット4、帯電器5、中間転写ベルトユニット6、定着ユニット7、給紙カセット81及び排紙トレイ91等を有して構成されている。
【0020】
装置本体110の上部には、画像読取装置(画像入力部)に該当するものであり、原稿が載置される透明ガラスからなる原稿載置台92が設けられ、原稿載置台92の上側には自動原稿処理装置120が取り付けられている。自動原稿処理装置120は、原稿載置台92の上に自動で原稿を搬送する。また原稿処理装置120は矢印M方向に回動自在に構成され、原稿載置台92の上を開放することにより原稿を手置きで置くことができるようになっている。
【0021】
画像形成装置100において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。従って、現像器2、感光体ドラム3、帯電器5、クリーナユニット4は、各色に応じた4種類の潜像を形成するようにそれぞれ4個ずつ設けられ、それぞれブラック、シアン、マゼンタ、イエローに設定され、これらによって4つの画像ステーションが構成されている。
【0022】
帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段であり、図1に示すようなチャージャ型の他、接触型のローラ型やブラシ型の帯電器が用いられることもある。
【0023】
露光ユニット1は、レーザ出射部及び反射ミラー等を備えたレーザスキャニングユニット(LSU)として構成される。露光ユニット1は、レーザビームを走査するポリゴンミラーと、ポリゴンミラーによって反射されたレーザ光を感光体ドラム3に導くためのレンズやミラー等の光学要素が配置されている。
【0024】
露光ユニット1を構成する光走査装置の構成は、後述して具体的に説明する。また露光ユニット1としては、この他発光素子をアレイ状に並べた例えばELやLED書込みヘッドを用いる手法も採用できる。
【0025】
露光ユニット1は、帯電された感光体ドラム3を入力された画像データに応じて露光することにより、その表面に、画像データに応じた静電潜像を形成する機能を有する。現像器2はそれぞれの感光体ドラム3上に形成された静電潜像を4色(YMCK)のトナーにより顕像化するものである。またクリーナユニット4は、現像・画像転写後における感光体ドラム3上の表面に残留したトナーを、除去・回収する。
【0026】
感光体ドラム3の上方に配置されている中間転写ベルトユニット6は、中間転写ベルト61、中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、中間転写ローラ64、及び中間転写ベルトクリーニングユニット65を備えている。上記中間転写ローラ64は、YMCK用の各色に対応して4本設けられている。
【0027】
中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63及び中間転写ローラ64は、中間転写ベルト61を張架して回転駆動させる。また各中間転写ローラ64は、感光体ドラム3のトナー像を、中間転写ベルト61上に転写するための転写バイアスを与える。
【0028】
中間転写ベルト61は、各感光体ドラム3に接触するように設けられている、そして、感光体ドラム3に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト61に順次的に重ねて転写することによって、中間転写ベルト61上にカラーのトナー像(多色トナー像)を形成する機能を有している。中間転写ベルト61は、例えば厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されている。
【0029】
感光体ドラム3から中間転写ベルト61へのトナー像の転写は、中間転写ベルト61の裏側に接触している中間転写ローラ64によって行われる。中間転写ローラ64には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。
【0030】
中間転写ローラ64は、直径8〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとし、その表面が導電性の弾性材(例えばEPDM,発泡ウレタン等)により覆われているローラである。この導電性の弾性材により、中間転写ベルト61に対して均一に高電圧を印加することができる。本実施形態では転写電極としてローラ形状を使用しているが、それ以外にブラシなども用いることが可能である。
【0031】
上述の様に各感光体ドラム3上で各色相に応じて顕像化された静電像は中間転写ベルト61で積層される。このように、積層された画像情報は中間転写ベルト61の回転によって、後述の用紙と中間転写ベルト61の接触位置に配置される転写ローラ10によって用紙上に転写される。
【0032】
このとき、中間転写ベルト61と転写ローラ10は所定ニップで圧接されると共に、転写ローラ10にはトナーを用紙に転写させるための電圧が印加される(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)。さらに、転写ローラ10は上記ニップを定常的に得るために、転写ローラ10もしくは前記中間転写ベルト駆動ローラ62の何れか一方を硬質材料(金属等)とし、他方を弾性ローラ等の軟質材料(弾性ゴムローラ、または発泡性樹脂ローラ等々)が用いられる。
【0033】
また、上記のように、感光体ドラム3に接触することにより中間転写ベルト61に付着したトナー、もしくは転写ローラ10によって用紙上に転写が行われず中間転写ベルト61上に残存したトナーは、次工程でトナーの混色を発生させる原因となるために、中間転写ベルトクリーニングユニット65によって除去・回収されるように設定されている。
【0034】
中間転写ベルトクリーニングユニット65には、中間転写ベルト61に接触する例えばクリーニング部材としてクリーニングブレードが備えられており、クリーニングブレードが接触する中間転写ベルト61は、裏側から中間転写ベルト従動ローラ63で支持されている。
【0035】
給紙カセット81は、画像形成に使用するシート(記録用紙)を蓄積しておくためのトレイであり、装置本体110の露光ユニット1の下側に設けられている。また手差し給紙カセット82にも画像形成に使用するシートを置くことができる。また、装置本体110の上方に設けられている排紙トレイ91は、印刷済みのシートをフェイスダウンで集積するためのトレイである。
【0036】
また装置本体110には、給紙カセット81及び手差し給紙カセット82のシートを転写ローラ10や定着ユニット7を経由させて排紙トレイ91に送るための、略垂直形状の用紙搬送路Sが設けられている。給紙カセット81ないし手差し給紙カセット82から排紙トレイ91までの用紙搬送路Sの近傍には、ピックアップローラ11a,11b、複数の搬送ローラ12a〜12d,レジストローラ13、転写ローラ10、定着ユニット7等が配されている。
【0037】
搬送ローラ12a〜12dは、シートの搬送を促進・補助するための小型のローラであり、用紙搬送路Sに沿って複数設けられている。また、ピックアップローラ11aは、給紙カセット81の端部近傍に備えられ、給紙カセット81からシートを1枚ずつピックアップして用紙搬送路Sに供給する。同様にまたピックアップローラ11bは、手差し給紙カセット82の端部近傍に備えられ、手差し給紙カセット82からシートを1枚ずつピックアップして用紙搬送路Sに供給する。
【0038】
[2.機能構成]
続いて、画像形成装置100の機能構成について図2を用いて説明する。画像形成装置100は、制御部1000に、画像入力部1100と、画像形成部1200と、画像メモリ1300と、記憶部1400と、通信部1500と、表示部1600と、操作部1700と、ワイヤレス入力部1800と、検出部1900とがバスを介して接続されている。
【0039】
制御部1000は、画像形成装置100を制御する機能部であり、例えばCPU等の処理装置により構成されている。制御部1000は、記憶部1400に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより、各機能を実現することとなる。
【0040】
画像入力部1100は、記録用紙に記録されている原稿を読み取り、画像データを生成する機能部である。画像入力部1100において生成された画像データは、画像メモリ1300に一時記憶される。画像入力部1100は、例えばスキャナ装置等により構成されており、図1に示した画像読取装置に相当する。
【0041】
画像形成部1200は、画像メモリ1300に記憶された画像データ等に基づいて、記録用紙に画像を形成するための機能部である。例えば、図1に示した装置本体110に相当する。
【0042】
画像メモリ1300は、画像データを一時記憶するための領域である。画像入力部1100において入力された画像データや、通信部1500により受信された画像データが記憶される。
【0043】
記憶部1400は、画像形成装置100の設定状態を記憶したり、画像メモリ1300において一時記憶された画像データを保存したりするための機能部である。ここで、記憶部1400は、例えば、半導体メモリ、ハードディスクドライブ、光学式ディスクドライブ等のいずれかの記憶装置により構成されている。また、画像形成装置100を動作させる為の各種データやプログラム等も記憶している。制御部1000は、記憶部1400に記憶されている制御プログラムを読み出して実行することにより、各種制御処理を実行する。
【0044】
通信部1500は、画像形成装置100をLAN(例えば、Ethernet(登録商標))等のネットワークや、電話回線(例えば、ISDN回線)等に接続するための機能部である。通信部1500からネットワークを介して他の端末装置から画像データを受信したり、送信したりする。
【0045】
表示部1600は、利用者に対して各種情報を表示する機能部であり、操作部1700は、利用者からの操作入力を受け付ける機能部である。
【0046】
ここで、表示部1600は、例えば液晶ディスプレイや、有機ELパネル等により構成されており、操作部1700は、例えば操作ボタン等により構成されている。また、表示部1600と、操作部1700とがタッチパネルとして一体に構成されていても良い。
【0047】
ワイヤレス入力部1800は、画像形成装置とワイヤレス通信により接続されている操作部であり、利用者により画像形成装置100に対して各操作や指示が入力されることとなる。
【0048】
ここで、ワイヤレス入力部1800は、タッチパネル1820と、所在報知部1840とを備えている。タッチパネル1820は、各種情報を表示する表示部と、タッチパッドによる操作部とが一体に構成されている機能部である。画像形成装置100からのメッセージを表示したり、利用者からの操作が入力されたりする。所在報知部1840は、画像形成装置100からの報知信号に基づいて、ワイヤレス入力部1800から、利用者に所在を報知するための音・光・振動等を出力する機能部である。
【0049】
また、ワイヤレス通信の方法(プロトコル)としては、例えば赤外線通信(IrDA)やBluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等の近距離間通信が用いられる。
【0050】
検出部1900は、ワイヤレス入力部1800の位置を検出する機能部である。例えば、検出部1900により、ワイヤレス入力部1800が、画像形成装置から所定の位置にあるか否かを検出することが出来る。本実施形態においては、ワイヤレス入力部1800が、画像形成装置100に設けられた収納部に収納されているか否かを検出する。
【0051】
検出方法としては種々の方法があるが、例えばワイヤレス入力部1800を収納する場所に機械式のスイッチを設け、スイッチの状態に基づいてワイヤレス入力部1800が収納されているか否かを検出しても良いし、ワイヤレス入力部と画像形成装置100との状態をセンサ(Felica(登録商標)を利用した非接触型のものや、赤外線センサによる収納状態を検出するもの等)を利用して検出しても良い。また、ワイヤレス入力部1800とのワイヤレスの受信強度に基づいて、ワイヤレス入力部1800の位置(収納状態)を検出してもよい。
【0052】
[3.処理の流れ]
次に、画像形成装置100における処理の流れについて、図3及び図4を用いて説明する。図3及び図4は、記憶部1400に記憶されているプログラムを、制御部1000が実行した場合における処理の流れについて説明した図であり、図3は、画像形成装置100本体に関わる処理であり、図4は、ワイヤレス入力部1800に関わる処理を説明したものである。また、ワイヤレス入力部1800に関する処理は、制御プログラムをワイヤレス入力部1800が記憶し、ワイヤレス入力部1800において実行されることとしても良い。
【0053】
[3.1 本体部の処理]
まず、図3を用いて画像形成装置100本体の処理を中心に説明する。まず、本体の操作部1700からの入力を受け付けている状態(操作部入力状態)となっている(ステップS100)。このとき、利用者は、操作部1700により各種操作を入力することができる。すなわち、操作部1700と、ワイヤレス入力部1800とでは、操作部1700の優先順位が高くなっている。
【0054】
続いて、ワイヤレス入力部1800が本体に設けられた収納部より取り出されたか否かを判定する(ステップS102)。例えば、画像形成装置100に設けられた収納部に設けられた検出部1900の検出状態により、ワイヤレス入力部1800が取り出されたか否かを判定する。ここで、ワイヤレス入力部1800が取り出されていない場合、本体の操作部1700から操作入力をそのまま受け付ける(ステップS102;No→ステップS100)。
【0055】
他方、ワイヤレス入力部1800が取り出された場合(ステップS102;Yes)、表示部1600に、ワイヤレス入力部から優先的に入力される旨のメッセージを表示する(ステップS104)。これにより、第三者に対してワイヤレス入力部1800が利用中であることを示すことができる。そして、原則として、利用者からの操作入力は、ワイヤレス入力部1800から受け付けることとなる。すなわち、操作部1700と、ワイヤレス入力部1800とでは、ワイヤレス入力部1800の優先順位が高くなっている。
【0056】
ここで、本体の操作部1700から入力受付が無い場合は(ステップS106;No)、ワイヤレス入力部1800が本体に戻されたか否かを判定する(ステップS108)。本体に戻された場合は再び本体の操作部1700の優先順位が高くなり、入力を受け付け(ステップS108;Yes→ステップS100)、戻されていない場合はステップS104から処理を繰り返し実行する(ステップS108;No→ステップS104)。
【0057】
他方、本体の操作部1700から入力受付があった場合(ステップS106;Yes)、本体の操作部1700から操作入力の要求を受け付ける許可を受けるための本体操作許可要求をワイヤレス入力部1800に送信するか否かの確認を行う(ステップS110)。ワイヤレス入力部1800に、本体操作要求を送信しない場合には、操作部1700から入力された操作入力をクリアし、ステップS104から処理を繰り返し実行する(ステップS110;No→ステップS104)。
【0058】
他方、ワイヤレス入力部1800に本体操作許可要求を送信するとの指示がなされた場合には(ステップS110;Yes)、ワイヤレス入力部1800に対して本体操作許可要求を送信する(ステップS112)。
【0059】
そして、ワイヤレス入力部1800から本体の操作部1700の操作入力を許可することを示す本体操作許可応答が受信されない場合には、所定時間が経過したか否か(すなわちタイムアウトとなったか否か)を判定する。所定時間経過していない場合には、そのまま本体操作許可応答を受信待機する(ステップS116;No→ステップS114)。また、所定時間が経過した場合には、ステップS104から処理を繰り返し実行する(ステップS114;No→ステップS116;Yes→ステップS104)。
【0060】
本体操作許可応答を受信した場合(ステップS114;Yes)、本体操作の許可がなされた旨の表示を表示部1600に行い(ステップS118)、操作部1700からの操作入力が可能となる(ステップS120)。すなわち、本体の操作部1700がワイヤレス入力部1800より優先順位が高くなる。
【0061】
ここで、本体の操作部1700による操作が終了したか(ステップS122;Yes)、所定時間が経過した場合には(ステップS124;Yes)、本体操作終了通知をワイヤレス入力部1800に送信し(ステップS126)、ステップS104から再び処理を実行する。
【0062】
ここで、本実施形態における所定時間とは、本体の操作部1700の操作入力が終了してからの時間を計時することとする。一例として1分から10分の時間を利用者が操作部1700により設定することができる。ここでは、利用者が操作部の入力を完了し、次の利用者が操作することを考慮し、最大の時間として10分を設定することとする。
【0063】
なお、所定時間については、例えば操作部1700の操作入力が可能となった時間から計時することとしても良いし、所定時間については予め設定することとしても良い。
【0064】
[3.2 ワイヤレス入力部の処理]
続いて、図4を用いてワイヤレス入力部1800の処理を中心に説明する。まず、ワイヤレス入力部1800が収納状態にある場合は、タッチパネル1820の画面が非表示(すなわち、タッチパネルの表示パネルが非表示となっていたり、バックライトが消灯されていたりする状態)となっている(ステップS200)。
【0065】
ここで、ワイヤレス入力部1800が取り出されると(ステップS202;Yes)、タッチパネル1820にワイヤレス入力画面が表示され(ステップS204)、ワイヤレス入力部1800は入力状態となる(ステップS206)。これにより、利用者はワイヤレス入力部1800を用いて操作入力を行うことが出来るようになる。
【0066】
ここで、本体操作許可要求が受信されず、ワイヤレス入力部1800が戻されない場合は、ワイヤレス入力部1800は、入力状態として待機されることとなる(ステップS208;No→ステップS210;No→ステップS206)。
【0067】
また、ワイヤレス入力部1800が戻された場合には、タッチパネルが消灯され、操作部1700からの操作入力を受け付けることとなる(ステップS210;Yes→ステップS200)。
【0068】
ここで、ステップS208において、ワイヤレス入力部1800が本体操作許可要求を受信した場合には(ステップS208;Yes)、本体の操作部1700からの操作を許可して良いか否かの確認を行う(ステップS212)。具体的には、タッチパネル1820に、利用者に確認の画面表示を行うことにより行う。
【0069】
ここで、利用者より本体の操作部1700の操作が許可されなかった場合には、ステップS204から処理を繰り返し実行する(ステップS214;No→ステップS204)。
【0070】
また、本体の操作部1700による操作が許可された場合には(ステップS214;Yes)、本体操作許可応答を送信する(ステップS216)。また、タッチパネル1820には、本体操作が許可されている旨の表示を行うこととする(ステップS218)。このとき、利用者は操作部1700から各種操作を入力することとなり、ワイヤレス入力部1800からの各種操作は制限されることとなる。
【0071】
そして、本体操作終了通知を受信すると(ステップS220;Yes)、ステップS204から再び処理を実行することにより、ワイヤレス入力部1800からの操作入力を再開する。すなわち、本体の操作部1700より、ワイヤレス入力部1800の優先順位が高くなる。
【0072】
また、利用者がワイヤレス入力部1800の操作入力を終了する場合には、ワイヤレス入力部1800を画像形成装置100の本体部に戻す(収納する)ことにより、操作が終了することとなる(図3のステップS108;Yes→ステップS100)。
【0073】
[4.実施例]
続いて、実施例について図を用いて説明する。図5は、画像形成装置100の外観図(斜視図)であり、操作パネル(表示部1600及び操作部1700)と、その下部に設けられた収納部にワイヤレス入力部1800を収納した状態を示した図である。また、収納部には、検出部1900が設けてあり、ワイヤレス入力部1800が収納されているか否を検出することができる。
【0074】
ワイヤレス入力部1800が、操作パネルの下部の収納部に収納されると、画像形成装置100に設けられた検出部1900により、収納状態が検出される。この状態においては、利用者は、操作部1700により操作入力をすることができる。
【0075】
なお、図5では、ワイヤレス入力部1800は収納部に収納されているので、ワイヤレス入力部1800からの入力は出来ない状態となっている。
【0076】
図6は、ワイヤレス入力部1800を、画像形成装置100の収納部から外し、入力可能な状態を示した図である。
【0077】
ワイヤレス入力部1800を使用することで、画像形成装置100の前を占有して使用すること無く、さらに必要な資料を近くのデスク等に置いてその前でキー入力することが出来非常に使い勝手が良くなる。また、ワイヤレス入力部1800を利用することにより、操作部1700に比べて、より利便性の高い入力を行うことが出来る。
【0078】
図7は、ワイヤレス入力部1800について示した図である。ワイヤレス入力部1800は、タッチパネル1820に、タッチパネルを利用したキーボードを表示画面W200として表示している。また、所在報知部1840として、ランプが設けてあり、報知信号を受信すると、ランプが点灯/点滅したり、スピーカ(不図示)より警告音/音声が出力されたりする。
【0079】
しかし、ワイヤレス入力部1800を利用者が使ったまま、元に戻さず放置した場合、次の利用者が探さなくてはならないといった問題点を生ずる。そこで、持ち出された状態で所定時間、ワイヤレス入力部1800より操作入力がない場合、タッチパネル1820に操作を継続するか確認を求める表示を行い、さらに相当時間たっても応答がない時は戻し忘れであると判定し、所在報知部1840により周囲の第三者にもわかるように報知を行い、ワイヤレス入力部1800が放置状態に陥ることを未然に防ぐことができる。
【0080】
図8は、ワイヤレス入力部1800が画像形成装置100から外された状態における画像形成装置100の本体部における表示部1600の表示画面W100の一例を示した図である。メッセージM100として「キーボード持ち出し中のためキーボード入力が優先されます」と表示されており、利用者に現在ワイヤレス入力部1800の入力が有効であること、すなわち操作部1700の入力操作ができないことを示している(図3のステップS104)。
【0081】
図9は、図3のステップS106において、操作部1700から操作入力があった場合の表示部1600の表示画面W110の一例を示す図である。表示画面W110には、メッセージM110として「本体の操作は受付ません。本体優先操作の許可を要求しますか?」と表示されている。ここで、利用者により「Yes」が選択されると、本体操作許可要求がワイヤレス入力部1800に送信されることとなる(ステップS110;Yes→ステップS112)。
【0082】
また、図10に表示画面W120の一例を示す。本体操作許可要求を送信していることを利用者に報知するために、メッセージM120として「本体操作許可の確認中です」と表示されている。
【0083】
図11は、本体操作が許可された場合における表示部1600の表示画面W130の一例を示す図である。ステップS120において、表示画面W130に示すようにメッセージM130「本体キー入力を受け付けます。いずれかのキーを押して下さい」と表示されている。これにより、利用者は操作部1700から操作入力をすることが可能となる。
【0084】
続いて、図12は、図4のステップS212において、ワイヤレス入力部1800のタッチパネル1820に表示される表示画面W210の一例を示す図である。本体操作許可要求を受信すると、利用者に対いて本体の操作を行いって良いか否かの判断を促すためのメッセージを表示する。すなわち、表示画面W210には、メッセージM210「本体から操作許可の確認があります 操作の許可をしますか?」を表示する。
【0085】
ここで、利用者により「許可する」が選択されると、本体操作許可応答が送信され(図4のステップS216)、本体操作許可表示がなされる(ステップS218)。この、本体操作許可表示がなされている表示画面W220の一例を示したのが図13である。図13に示すように、メッセージM220「本体において操作中です」が表示され、ワイヤレス入力部1800においては操作ができない状態となる。
【0086】
このように、本実施形態によれば、ワイヤレス入力部1800が取り出されている状態、すなわちワイヤレス入力部1800が使用中であっても、操作部1700が操作された場合に、操作部1700と、ワイヤレス入力部1800との間で操作の優先順位を変更したり、メッセージを表示したりすることにより、より利便性の高い画像形成装置100を提供することが出来る。
【0087】
[5.変形例]
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も特許請求の範囲に含まれる。
【0088】
また、上述した実施形態において、ワイヤレス入力部1800が、収納部に収納されることとして説明したが、所定位置にあることを検出部1900が検出してもよい。
【0089】
例えば、画像形成装置100の上面に載っていたり、画像形成装置100の脇に置かれていたり等、きわめて近い位置にあれば良いとすることもできる。すなわち、ワイヤレス入力部1800が紛失したり、第三者が見失ったりするといったことを防止できる位置にあればよく、この場合収納部を画像形成装置100に設ける必要がなくなる。
【0090】
また、上述した実施形態において、本体部の操作部1700が操作中に、ワイヤレス入力部1800は待機状態となっている(すなわち、操作部1700の優先順位が高い)が、例えばワイヤレス入力部1800から操作の優先順位を変更可能としても良い。
【0091】
例えば、図14の表示画面W230に表示されているメッセージM230のように、「操作を戻す」か否かのメッセージをあわせて表示しておく。ここで、利用者から「操作を戻す」操作がワイヤレス入力部1800からなされた場合には、本体部は図3のステップS104に、ワイヤレス入力部1800は図4のステップS204に処理を移すことにより、操作部の優先順位を変更することとしても良い。
【0092】
また、上述した実施形態において、本体部からワイヤレス入力部1800に対して本体操作終了通知が送信されることにより、ワイヤレス入力部1800の操作優先順位が上がることとして説明しているが、必ずしもそのような信号が送信される必要は無い。
【0093】
すなわち、ステップS218の状態において、所定時間が経過した場合には、自動的にステップS204に処理を移行することにより、ワイヤレス入力部1800により操作入力が可能となることとしても良い。
【0094】
また、ワイヤレス入力部1800から操作部1700に操作入力が優先される時間は、ワイヤレス入力部1800によりその都度入力されても良い。すなわち、利用者が本体操作許可を行うときに、ワイヤレス入力部1800において操作部1700による操作を許可する時間を入力する。そして、本体操作許可応答に操作を許可した時間を含めて送信する。ステップS124では、当該本体操作許可応答に含まれる時間を用いて計時することになる。
【符号の説明】
【0095】
100 画像形成装置
1 露光ユニット
2 現像器
3 感光体ドラム
4 クリーナユニット
5 帯電器
6 中間転写ベルトユニット
7 定着ユニット
10 転写ローラ
11a,11b ピックアップローラ
13 レジストローラ
61 中間転写ベルト
62 中間転写ベルト駆動ローラ
63 中間転写ベルト従動ローラ
64 中間転写ローラ
65 中間転写ベルトクリーニングユニット
81 給紙カセット
82 給紙カセット
91 排紙トレイ
92 原稿載置台
110 装置本体
120 原稿処理装置
1000 制御部
1100 画像入力部
1200 画像形成部
1300 画像メモリ
1400 記憶部
1500 通信部
1600 表示部
1700 操作部
1800 ワイヤレス入力部
1820 タッチパネル
1840 所在報知部
1900 検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部と、表示部と、無線により接続可能なワイヤレス入力部と、前記ワイヤレス入力部を収納する収納部とを有する画像形成装置において、
前記ワイヤレス入力部が収納部に収納されているか否かを検出する検出部と、
前記検出部により、前記ワイヤレス入力部が前記収納部に収納されていないと検出された場合には、前記操作部より、前記ワイヤレス入力部の入力を優先する制御を行う入力優先制御部と、
を備え、
前記入力優先制御部は、前記ワイヤレス入力部の入力を優先しているときに、前記操作部から入力を検知した場合には、前記ワイヤレス入力部から前記操作部へ入力の優先を変更する制御を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記入力優先制御部は、前記ワイヤレス入力部の入力を優先しているときに、前記操作部から入力操作を検知した場合には、前記ワイヤレス入力部に対し操作許可要求信号を送信し、前記ワイヤレス入力部から操作許可応答信号を受信すると前記ワイヤレス入力部から前記操作部へ入力の優先を変更する制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ワイヤレス入力部は、前記操作許可応答信号に基づいて操作部の入力を許可するか判定する許可判定部を有し、
前記許可判定部により操作部の入力を許可すると判定された場合には、操作許可応答信号を送信することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記入力優先制御部は、前記ワイヤレス入力部から前記操作部の入力の優先を変更してから所定時間を経過した場合には、前記操作部から前記ワイヤレス入力部へ入力の優先を変更することを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
操作部と、表示部と、無線により接続可能なワイヤレス入力部と、前記ワイヤレス入力部を収納する収納部とを有するコンピュータにおいて実行されるプログラムにおいて、
前記ワイヤレス入力部が収納部に収納されているか否かを検出する検出ステップと、
前記検出ステップにより、前記ワイヤレス入力部が前記収納部に収納されていないと検出された場合には、前記操作部より、前記ワイヤレス入力部の入力を優先する制御を行う入力優先制御ステップと、
を備え、
前記入力優先制御ステップは、前記ワイヤレス入力部の入力を優先しているときに、前記操作部から入力を検知した場合には、前記ワイヤレス入力部から前記操作部へ入力の優先を変更する処理を実現することを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−135295(P2011−135295A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−292613(P2009−292613)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】