説明

画像形成装置及びモータ駆動制御方法

【課題】モータへの励磁以外の方法でキャリッジおよび用紙の位置固定をし、モータへの駆動電力を止めることで印刷時の消費電力を低減する画像形成装置及びモータ駆動制御方法を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、主走査部を駆動する第1のモータと、副走査部を駆動する第2のモータと、前記第1のモータ及び前記第2のモータを駆動制御する駆動制御回路とを有する画像形成装置であって、前記駆動制御回路は、ショートブレーキによる前記第1のモータ及び前記第2のモータのホールド制御手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主走査モータ、および副走査モータを搭載されたインクジェット方式の画像形成装置及びモータ駆動制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式の画像形成装置には、用紙を搬送する為の副走査モータ、およびプリントヘッドが搭載されたキャリッジを用紙搬送方向とは直角に走査させる主走査モータの、少なくとも二つのモータが搭載されている。
【0003】
インクジェット方式の画像形成装置の印刷時の消費電力の大部分はこの主走査モータ、副走査モータで消費されている。なお、これらのモータとしては、一般的に、DC(直流)モータやステッピングモータが利用されている。
【0004】
上記のキャリッジにはインクを供給する為のインクチューブが接続されており、キャリッジを所定位置に固定したいときに、このインクチューブのくせによりキャリッジが所定位置から動いてしまうという現象が見られる。
【0005】
また用紙搬送部には用紙を搬送する為の搬送ベルトが搭載されており、用紙を所定位置に固定したい場合にも搬送ベルトのくせにより用紙が動いてしまうという現象も見られる。
【0006】
そのためキャリッジ、用紙を所定位置に固定して止めておくため、モータを励磁した状態で止める動作(以下、ホールド制御という)を行っている。しかし、このホールド制御はモータへの励磁を行っているため、この間にも大きな電力を消費している。そこで、消費電力の低減のために印刷待機状態にはホールド制御を行わずモータの励磁をしない制御方法が既に知られている。
【0007】
たとえば、特許文献1には、モータ停止中の消費電力を、より小さくすることが目的で、印刷動作をしない印刷待機モードではモータを固定し続ける必要がない為、モータをホールドせず、モータへの励磁をしない制御方法が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、今までの印刷待機状態におけるモータ励磁をしない制御方法では、消費電力は低減できるが、印刷時の消費電力の低減にはつながらないという問題がある。
【0009】
すなわち、特許文献1に記載の発明においては、印刷時には、依然としてホールド制御する必要があるため、モータの消費電力を低減するという問題は解消できていない。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的としては、モータへの励磁以外の方法でキャリッジおよび用紙の位置固定をし、モータへの駆動電力を止めることで印刷時の消費電力を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の画像形成装置は、主走査部を駆動する第1のモータと、副走査部を駆動する第2のモータと、前記第1のモータ及び前記第2のモータを駆動制御する駆動制御回路とを有する画像形成装置であって、前記駆動制御回路は、ショートブレーキによる前記第1のモータ及び前記第2のモータのホールド制御手段を備えることを特徴とする。
【0012】
また、上記課題を解決するため、本発明のモータ駆動制御方法は、画像形成装置に搭載された、主走査部を駆動する第1のモータと、副走査部を駆動する第2のモータとを駆動制御するモータ駆動制御方法であって、ショートブレーキによる前記第1のモータ及び前記第2のモータのホールド制御工程を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、モータへの励磁なしにキャリッジ、用紙搬送部のホールドをすることで、印刷時のモータへの消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態の、画像形成装置の電気的接続概要について説明する図である。
【図2】キャリッジと用紙搬送の走査方向について説明する概略図である。
【図3】モータ駆動部の回路について説明する回路図である。
【図4】モータ駆動制御方法について説明する波形図である。
【図5】モータのホールド制御方法について説明する波形図である。
【図6】本発明の一実施形態のショートブレーキによるホールド制御について説明する回路図である。
【図7】本発明の一実施形態のショートブレーキによるホールド制御について具体的に説明する波形図である。
【図8】本発明の一実施形態のショートブレーキによるPWM駆動の制御信号の機能について説明する(a)ブロック図、及び(b)回路図である。
【図9】本発明の一実施形態のモータ駆動時には正逆転のPWM駆動を行う制御について説明する図である。
【図10】本発明の一実施形態の主走査部の位置検出方法について説明する図である。
【図11】本発明の一実施形態の副走査部のロータリーエンコーダの構成についての概要図である。
【図12】本発明の一実施形態のエンコーダ信号に変化があった場合におけるモータのホールド制御について説明する図である。
【図13】本発明の一実施形態のモータのホールド制御時にはエンコーダセンサの電源をOFFにする制御について説明する図である。
【図14】従来の主走査駆動制御について説明する図である。
【図15】従来の副走査駆動制御について説明する図である。
【図16】従来の正転及び逆転のPWM駆動の制御信号の機能について説明する(a)ブロック図、及び(b)波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態を説明する。本発明は、インクジェットヘッド印刷装置の印刷時の主走査モータ(第1のモータ)及び副走査モータ(第2のモータ)のホールド制御に際して、以下の特徴を有する。
【0016】
すなわち、主走査、副走査モータのホールド制御時に正逆転の電圧を交互に励磁するのではなく、モータのショートブレーキ(短絡制動)を利用してホールドすることでホールド制御時のモータ消費電力を低減させることが特徴になっている。
上記記載の本発明の特徴について、以下、詳細に解説する。
【0017】
まず初めに、本発明の一実施形態の、主走査モータ及び副走査モータの制御に係る画像形成装置の電気的接続概要について、図1を用いて説明する。
【0018】
図1に、主走査モータ及び副走査モータの制御を司る制御基板1の主要な構成を示す。破線内部が、制御基板1の機能であり、破線外部が制御基板に接続される各ユニットを示す。
【0019】
制御基板1には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行なうための操作パネル2が接続されている。
【0020】
制御基板1は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホスト側からの印刷データ等をケーブル或いはネットを介してホストI/F11で受信する。
【0021】
そして、CPU12は、ホストI/F11に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC16にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行なってヘッド駆動制御部に画像データを転送する。
【0022】
なお、ASICとは、Application Specific Integrated Circuitの頭文字をとった略称であり、特定用途向けICのことである。
【0023】
また、画像出力するためのドットパターンデータの生成は、例えばROM13にフォントデータを格納して行っても良いし、ホスト側のプリンタドライバで画像データをビットマップデータに展開して画像形成装置に転送するようにしても良い。
【0024】
ヘッド制御部20は、記録ヘッドの1行分に相当する画像データ(ドットパターンデータ)を受け取ると、この1行分のドットパターンデータを、クロック信号に同期して、キャリッジ4にシリアルデータで送出し、また所定のタイミングでラッチ信号をキャリッジ4に送出する。
【0025】
ここで、ラッチ信号とは、データ信号など他の信号の開始や終了、あるいは信号のアクティヴ/インアクティヴの目印とするための信号のことである。
【0026】
ヘッド駆動部19は、ROM13に格納された駆動波形(ヘッド駆動信号)のパターンデータの読み取り、駆動波形のデータをD/A変換するD/A変換器たるDAC18を含む波形生成回路及びアンプ等で構成される駆動波形発生回路を備える。
【0027】
キャリッジ4は、ヘッド制御部19からのクロック信号及び画像データであるシリアルデータを入力するシフトレジスタと、該シフトレジスタのレジスト値をヘッド制御部からのラッチ信号でラッチするラッチ回路と、該ラッチ回路の出力値をレベル変化するレベル変換回路(レベルシフタ)と、このレベルシフタでON/OFFが制御されるアナログスイッチアレイ(スイッチ手段)等を備える。
【0028】
また、キャリッジ4は、アナログスイッチアレイのON/OFFを制御することで駆動波形に含まれる所要の駆動波形を選択的にキャリッジ内に搭載される記録ヘッドのアクチュエータ手段に印加してヘッドを駆動する。
【0029】
さらに、CPU12はA/D変換するA/D変換器たるADC17を介してAセンサ3aの検知信号を読み取る。
【0030】
主走査モータ駆動部21、副走査モータ駆動部22はCPU12からの命令信号により主走査モータ5及び副走査モータ6に対し駆動信号を送り、主走査モータ5及び副走査モータ6を励磁することで主走査モータ5及び副走査モータ6を駆動、制御する。
【0031】
Aセンサ3aは、温度検出サーミスタ等のアナログ信号を検出するアナログ信号用センサであり、Dセンサ3bは、後述する位置検出のためのエンコーダ信号等のデジタル信号を検出するデジタル信号用センサを表す。
【0032】
次に、本発明の一実施形態に係る画像形成装置に搭載されるキャリッジ4及び用紙の走査方向について、図2を用いて説明する。
【0033】
記録用紙100は副走査モータ6によって駆動される搬送ローラ101と搬送ローラ101に従動して動作するテンションローラ102にて駆動される搬送ベルト103、すなわち用紙搬送部によって搬送され、この搬送方向を副走査方向とする。
【0034】
また、インクジェット方式の画像形成装置に用いられる吐出ヘッドはキャリッジ4に取り付けられている。
【0035】
このキャリッジ4は主走査モータ5を駆動することで駆動プーリ104、従動プーリ105、並びにタイミングベルト106によって上述の副走査方向に対し、直角にガイドロッド107上を走査する。この走査方向を主走査方向とする。
【0036】
なお、キャリッジ4にはインクカートリッジ108から吐出ヘッドへインクを供給するためのインクチューブ109が接続されている。
【0037】
次に、主走査モータ駆動部21及び副走査モータ駆動部22の回路について、図3を用いて説明する。
【0038】
主走査モータ駆動部21及び副走査モータ駆動部22の回路構成は図3のようにHブリッジ回路となっている。(a)は、正転動作の場合の回路図を表し、(b)は逆転動作をの場合の回路図を表す。
【0039】
正転動作、逆転動作をONするFET(Field Effect Transistor:電界効果型トランジスタA、B、C、D)を切り変える事で主走査モータ5及び副走査モータ6への駆動電流の経路を変えている。
【0040】
すなわち、破線矢印201が、正転動作の場合における駆動電流の経路を表し(A、DをON)、破線矢印202が、逆転動作の場合における、駆動電流の経路を表している(B、CをON)。この電流経路の切り替えによって主走査モータ5及び副走査モータ6の回転方向を切り替えている。
【0041】
図4は、主走査モータ5及び副走査モータ6の駆動制御方法について説明する図である。
【0042】
主走査モータ5及び副走査モータ6の駆動制御はPWM制御(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)にて行われる。
【0043】
図4のように、パルス中のハイ・レベル(PWM ON)とロー・レベル(PWM OFF)の信号を出力する時間の割合を変化させることにより、モータを駆動制御する。
なお、1周期中(T)のハイ・レベル(t)の期間の割合(t/T)をDuty(デューティ)比(%)という。
【0044】
すなわち、一定周期で、PWM信号を送り加速させたいときはPWM Duty比を上げ(a)、減速させたいときはPWM Duty比を下げている(b)。
【0045】
正転させる際は、PWMをONとするときは図3における正転方向に電流を流すためのFET(A、D)をONにし、PWMをOFFとするときは逆転方向に電流を流すためのFET(B、C)をONにする。
【0046】
つまり正転時は、PWM ON時は正転方向に力をかけ、PWM OFF時は逆転方向に力をかけている。そのためPWMのON期間、つまりデューティ比が50%を超えると正転方向に回転し、50%未満となると逆転方向に回転する(c)。
【0047】
図5は、主走査モータ5及び副走査モータ6のホールド制御について説明する図である。
【0048】
上記各モータの駆動制御をしているPWM信号のDuty比を50%とすることで、正転方向および逆転方向に同じ力をかけ固定位置にホールドする。
【0049】
ここで、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の説明を行うにあたり、まずは、従来の主走査モータの駆動制御が、どのように行われているかについて図14を用いて説明する。
【0050】
キャリッジ4は主走査方向に往復運動を連続して行う。主走査モータ5の駆動モードは3つのモードで制御されている。3つのモードはそれぞれ加速期間、定速期間、ホールド期間となる。この間の制御は上記説明したPWM制御により行われる。
【0051】
図14に示す加速期間ではPWM Duty比を大きくし、定速期間ではPWM Duty比を加速期間に比べ小さくし、ホールド期間ではPWM Duty比50%としている。
【0052】
続いて、従来の副走査モータの駆動制御について、図15を用いて説明する。
【0053】
用紙搬送は副走査方向に駆動する。副走査モータ6の駆動モードは、主走査モータ5同様に3つのモードで制御されている。3つのモードはそれぞれ加速期間、定速期間、ホールド期間となる。この間の制御は上記説明したPWM制御により行われる。
【0054】
図15に示す加速期間ではPWM Duty比を大きくし、定速期間ではPWM Duty比を加速期間に比べ小さくし、ホールド期間ではPWM Duty比を50%としている。
【0055】
副走査モータ6は用紙1ページに対し、給紙、紙送り、並びに排紙の各動作を行うべく、制御される。各動作の間は全てホールド制御されており、用紙が動かないように用紙搬送部の位置が固定されている。用紙1ページが給紙から排紙されるまでの間は副走査モータ6は常に励磁されている。
【0056】
上記から、主走査モータ、副走査モータ共に、ホールド期間中においても、各モータの駆動制御が行われているため、その制御分の電力を消費していることが分かる。
【0057】
さらに、主走査部たるキャリッジ4及び副走査部たる用紙搬送部の位置検出方法について、図10及び図11を用いて説明する。
【0058】
キャリッジ4及び用紙搬送部における位置検出部として、エンコーダを利用する。エンコーダには、直線的な変位量を検出するリニアエンコーダと、検出対象を入力軸の回転角または回転量として検出するロータリーエンコーダがある。
【0059】
図10に示すとおり、キャリッジ4において利用するリニアエンコーダは、発光素子と受光素子とからなるエンコーダセンサと、発光素子からの光を通過させる複数のスリット110aを備えるエンコーダスケール110とで構成される。
【0060】
このエンコーダセンサは、受光素子としてのフォトセンサ111a、フォトセンサ111b、及び発光素子としての発光ダイオード111cとで構成され、エンコーダスケール110は、上述のスリット110aと、図10の斜線部で表した遮光部110bで構成される。
【0061】
図10に示すとおり、フォトセンサ111a、フォトセンサ111bはキャリッジ4に備えられ、エンコーダスケール110は、キャリッジ4の走査方向と平行に位置し、エンコーダスケール110を挟むように上記フォトセンサと発光ダイオード111cとが対向して位置する。
【0062】
スリット110aによる光の通過と遮光部110bによる光の遮光により生成されたA相の矩形波信号とB相の矩形波信号との相対的な位相を読み取ることでキャリッジ4の位置検出を行う。また、図10に示すとおり、A相とB相の矩形波信号は通常90°の位相差を持つ。
【0063】
なお、上記の矩形波信号は、フォトセンサ111a及びフォトセンサ111bで電気信号の強弱に変換し、波形整形されて出力される。
【0064】
図10(b)に示すとおり、A相がB相に遅れているとき(遅れ位相の場合)は、図10(a)に示すように、キャリッジ4がForward方向に移動していることがわかる。
【0065】
逆に、図10(c)に示すとおり、A相がB相より進んでいるとき(進み位相の場合)は、図10(a)に示すように、キャリッジ4がBackward方向に移動していることがわかる。
【0066】
すなわち、上記、A相及びB相の矩形波信号の相対的な位相の変化により、キャリッジ4の位置検出を行っている。
【0067】
一方、用紙搬送部における位置検出には、ロータリーエンコーダを利用する。ロータリーエンコーダは、リニアエンコーダと動作原理としては同じであるが、リニアエンコーダにおけるエンコーダスケールと異なり、図2に示す回転軸となるシャフト112の一端に設けたスリット円板113を利用する。
【0068】
すなわち、図11に示すとおり、スリット円板113の外周に光を通過させるスリット113aを設け、スリット113aを通過した発光素子111cからの光を受光素子111a及び111bが受光し、これと遮光部による光の遮光とにより生成されたA相の矩形波信号とB相の矩形波信号との相対的な位相を読み取ることで用紙搬送部たる搬送ローラ101の回転位置検出を行う。
【0069】
上記までにした説明を踏まえ、本発明の一実施形態の画像形成装置に係るショートブレーキ(短絡制動)によるモータのホールド制御について、図6を用いて説明する。
【0070】
PWM ON時は正転方向に力をかけ、PWM OFF時は逆転方向に力をかけ、それぞれのDuty比を50%としていた制御を、PWM ON時は正転方向に力をかけ(A、DをON)、PWM OFF時は図6に示すショートブレーキとする(C、DをON)。
【0071】
ホールド制御時はPWM OFFとすることで、モータのショートブレーキ状態となり、電源から電流を供給することなくモータをホールド制御する。
【0072】
さらに、図7を用いて、上記のショートブレーキによるホールド制御について、具体的に説明する。
【0073】
すなわち、図7に示すとおり、加速、定速期間はPWM ON時は正転駆動、PWM OFF時はショートブレーキとすることでPWM駆動のON、OFFを行い、ホールド制御時はPWMをOFF(Duty比0%)とする。
【0074】
このDuty設定により、モータのショートブレーキ状態となり、電源から電流を供給することなくモータをホールド制御する。
【0075】
すなわち、モータへの励磁なしにキャリッジ4、用紙搬送部をホールド制御することができるので、印刷時のモータへの消費電力を低減することができる。
【0076】
次に、本発明の一実施形態の画像形成装置に係るモータのショートブレーキによるPWM駆動制御の制御信号の機能について、図8、図9、並びに図16を用いて説明する。
【0077】
まず、従来の正転、逆転のPWM駆動の制御信号の機能について、図16を用いて説明する。
【0078】
すなわち、図16に示すとおり、従来はPWM信号がモータ駆動の速度制御と方向制御を兼ねていることが分かる。
【0079】
そして、図8に示すとおり、従来の正転および逆転によるPWM駆動から、モータ駆動およびショートブレーキによるPWM駆動に変更した場合、ショートブレーキを利用することによりPWM信号では方向制御ができなくなる。
【0080】
そのため、図8のとおり、方向制御用の信号が従来の方式に比べて、1本追加となってしまう。
【0081】
そこで、図9に示すとおり、信号の追加を避けるため、モータの駆動期間は従来通り正転および逆転によるPWM駆動をし、ショートブレーキの制御はモータのイネーブル信号によるON/OFFで行う。その為、方向制御用の信号の追加が不要となり、信号数を削減することができる。
【0082】
図12は、本発明の一実施形態の画像形成装置において、エンコーダ信号に変化が合った場合のモータのホールド制御について説明する図である。
【0083】
ホールド制御時にモータのショートブレーキ機能を利用しても、モータ駆動部は活電している為、モータ駆動部において電力を消費する。
【0084】
そこで、ホールド制御時には上記説明した位置検出のエンコーダにより、エンコーダ信号を監視する。そして、エンコーダ信号に変化があった場合にのみ、モータ駆動部を活電しホールド制御を行う。エンコーダ信号に変化がない場合には、信号の変化を受けたモータ駆動部回路により、モータ駆動部の電源をOFFとする制御を行う。
【0085】
エンコーダ信号に変化が合った場合とは、図10で説明したとおり、A相及びB相の矩形波信号の相対的な位相に変化があった場合をいう。
【0086】
具体的には、キャリッジ4がホールド制御されている場合、モータは停止するため、モータの駆動電源をOFFとする。ここで、インクチューブ109のくせ等により停止中のキャリッジ4、すなわちモータに外的負荷がかかった場合をいう。
【0087】
つまり、キャリッジ4に外的負荷がかかる場合は、監視中のエンコーダ信号に変化が見られるため、ホールド制御が必要となり、そのためモータの駆動電源を再びONとする必要がある。
【0088】
すなわち、モータが停止すると(ステップS301)、モータ駆動部電源をOFFとする(ステップS302)。そして、エンコーダセンサ111は、エンコーダ信号を監視し(ステップS303)、エンコーダ信号に変化があったときは(ステップS303、Yes)、モータ駆動部電源をONし(ステップS304)、モータのホールド制御を行う(ステップS305)。
【0089】
一方、エンコーダ信号に変化がないときは(ステップS303、No)、モータ駆動部の電源はOFFのままであり、エンコーダ信号の監視を継続する。
【0090】
したがって、モータ駆動部で消費する電力を削減することができる。
【0091】
図13は、本発明の一実施形態の画像形成装置において、モータのホールド制御時にはエンコーダセンサ111の電源をOFFにする制御について説明する図である。
【0092】
ホールド制御時はモータをホールドしている為、キャリッジ4、用紙搬送部が動くことはない。そのため、その間位置検出のためのエンコーダセンサ111を活電する必要も無い。
【0093】
そこで、モータホールド制御時には、エンコーダセンサ111の電源をOFFとする制御を行う。
【0094】
モータが停止し(ステップS401)、モータのホールド制御がされると(ステップS402)、エンコーダセンサ111の電源をOFFとする(ステップS403)。
【0095】
再びモータの駆動開始準備となると(ステップS404)、エンコーダセンサ111の電源をONとし(ステップS405)、モータ駆動が再開される(ステップS406)。
【0096】
したがって、ホールト゛制御時には、エンコーダセンサ111の電源をOFFとするので、エンコーダセンサ分の消費電力を削減でき、画像形成装置全体としての電力の無駄を省くことができる。
【0097】
なお、上述する各実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更実施が可能である。
【符号の説明】
【0098】
1 制御基板
4 キャリッジ
5 主走査モータ
6 副走査モータ
19 ヘッド駆動部
20 ヘッド制御部
21 主走査モータ駆動部
22 副走査モータ駆動部
101 搬送ローラ
102 テンションローラ
103 搬送ベルト
104 駆動プーリ
105 従動プーリ
106 タイミングベルト
107 ガイドロッド
108 インクカートリッジ
109 インクチューブ
110 エンコーダスケール
111a、111b エンコーダセンサ(受光素子)
111c エンコーダセンサ(発光素子)
112 搬送ローラ回転軸シャフト
113 スリット円板
201、202 駆動電流の経路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0099】
【特許文献1】特開2003−001812号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主走査部を駆動する第1のモータと、
副走査部を駆動する第2のモータと、
前記第1のモータ及び前記第2のモータを駆動制御する駆動制御回路とを有する画像形成装置であって、
前記駆動制御回路は、ショートブレーキによる前記第1のモータ及び前記第2のモータのホールド制御手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ホールド制御手段は、ショートブレーキの制御をモータのイネーブル信号により行うショートブレーキ制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1のモータ及び前記第2のモータの位置を検出する位置検出部とを有し、
前記位置検出部の検出結果に変化があった時、前記駆動制御回路は、前記第1のモータ及び前記第2のモータの駆動電源を制御する駆動電源制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1のモータ及び前記第2のモータがホールド制御されている時は、前記位置検出部の電源をOFFする検出電源制御手段を備えることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
画像形成装置に搭載された、主走査部を駆動する第1のモータと、副走査部を駆動する第2のモータとを駆動制御するモータ駆動制御方法であって、
ショートブレーキによる前記第1のモータ及び前記第2のモータのホールド制御工程を備えることを特徴とするモータ駆動制御方法。
【請求項6】
前記ホールド制御工程は、ショートブレーキの制御をイネーブル信号により行うショートブレーキ制御工程をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載のモータ駆動制御方法。
【請求項7】
前記第1のモータ及び前記第2のモータの位置を検出する位置検出工程とを有し、
前記位置検出工程における検出結果に変化があった時、前記第1のモータ及び前記第2のモータの駆動電源を制御する駆動電源制御工程を備えることを特徴とする請求項5に記載のモータ駆動制御方法。
【請求項8】
前記第1のモータ及び前記第2のモータがホールド制御されている時は、前記位置検出工程における供給電源をOFFする検出電源制御工程を備えることを特徴とする請求項7に記載のモータ駆動制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−250502(P2012−250502A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126388(P2011−126388)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】