説明

画像形成装置及び光走査装置

【課題】ビーム光の射出口からハウジング内にトナーや塵埃等が入り込み難くするとともに、ハウジング内の温度上昇を十分に抑制することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置1は、主走査方向Mに貫通して延びる通風路41cが形成され、副走査方向Sに摺動するシャッター部材41と、装置本体1a内を開放または閉鎖するカバー部材45と、カバー部材45の回動動作にともなってシャッター部材41を開閉可能に移動させる作動機構と、を備える。シャッター部材41は、カバー部材45が装置本体1a内を開放する方向に移動したとき、作動機構によって射出口31aを閉じる方向に移動し、カバー部材45が装置本体1a内を閉鎖する方向に移動したとき、作動機構によって射出口31aを開く方向に移動し、シャッター部材41の開方向への移動にともなって、通風路41cは装置本体1aに設けたダクト47の通風開口47aに対向する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置及び画像形成装置に用いられる光走査装置に関し、特に、像担持体の表面を露光走査して像担持体上に潜像を形成する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置は、光走査装置によって像担持体の表面を露光走査し、像担持体上に潜像を形成している。この光走査装置は塵や埃などの粉塵に対して非常に敏感であり、光走査装置のユニット内部のレンズやミラー等の光学部材に粉塵が付着してしまうと、その粉塵によってビーム光が遮られて光量が減少し、スジや濃度むら等の画像不良を引き起こしてしまう。そのような粉塵がユニットの内部に侵入しないように、光走査装置はユニットの密閉度を高めている。しかし、像担持体上に潜像を形成するために、像担持体にビーム光を射出する開口がユニットには必要であり、その開口からユニット内部に粉塵が侵入するおそれがある。
【0003】
そこで従来から、光ビームを射出する開口からユニット内部に粉塵が侵入することを防止する技術が知られている。例えば、特許文献1の画像形成装置では、像担持体に潜像を形成するためのビーム光を射出する射出口の近傍にシャッター部材を配設している。シャッター部材は作動機構によって射出口を開閉可能に移動させられ、像担持体に潜像を形成する等の画像形成時には射出口を開けている。作動機構は装置本体内を開閉するカバー部材に連動し、装置本体内に配置された像担持体等の取り換えやメンテナンスを行う際にカバー部材を開放するように操作すると、作動機構によってシャッター部材が射出口を閉じることになる。これによって、カバー部材の開放時には射出口から光走査装置内にトナーや塵埃等を入り込み難くしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−88412号公報(段落[0026]〜[0030]、第4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、像担持体上でビーム光を露光走査するために、ビーム光を偏向する際、ポリゴンミラー等の回転多面鏡は高速回転し、回転多面鏡を回転駆動するモーターの軸受部が発熱する。また、モーターを駆動制御するための駆動回路等の回路基板上の電子制御部品も発熱する。これらモーター軸受部や電子制御部品で発生した熱が光走査装置内にこもってしまい、ハウジング内が高温になる。光走査装置内が高温となると、レンズやミラー等の光学部材が熱変形してしまうおそれがあり、光学部材の熱変形によって、潜像担持体の表面に良好に潜像を形成することができなくなるおそれがある。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、ビーム光の射出口から光走査装置のハウジング内にトナーや塵埃等が入り込み難くするとともに、ハウジング内の温度上昇を十分に抑制することができる画像形成装置及び画像形成装置に用いられる光走査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために第1の発明は、光源部からのビーム光を回転多面鏡により像担持体上に露光走査し前記像担持体上に形成した潜像を可視化して画像を得る画像形成装置であって、前記光源部及び回転多面鏡を備えるとともに前記像担持体に向けてビーム光を射出する射出口を有するハウジングと、前記回転多面鏡によって走査される主走査方向に貫通して延びる通風路が形成され、前記射出口を開閉するために前記ハウジングの外面を主走査方向に対して直交する副走査方向に摺動するシャッター部材と、装置本体内を開放または閉鎖可能に設けられるカバー部材と、該カバー部材の開放または閉鎖動作にともなって前記射出口を開く位置と閉じる位置とに前記シャッター部材を移動させる作動機構と、を備え、前記シャッター部材は、前記カバー部材を開放したとき、前記作動機構によって閉じる置に移動し、前記カバー部材を閉鎖したとき、前記作動機構によって開く位置に移動し、前記シャッター部材が開く位置にあるとき、前記通風路は装置本体に設けたダクトの通風開口に対向することを特徴としている。
【0008】
また、第2の発明では、上記の画像形成装置において、前記作動機構は、前記ハウジングと前記シャッター部材との間に配設され前記シャッター部材を閉じる方向に付勢するバネ部材と、前記カバー部材に形成され前記カバー部材の閉鎖動作によって前記シャッター部材を開く方向に押す係合部と、を有することを特徴としている。
【0009】
また、第3の発明では、上記の画像形成装置において、前記シャッター部材は、前記射出口に対面可能であって前記ハウジングの外面に沿って摺動する摺動面を有し、前記通風路は前記摺動面の反対側を開放した断面コ字状の長溝にて形成されることを特徴としている。
【0010】
また、上記目的を達成するために第4の発明は、光源部からのビーム光を回転多面鏡により像担持体上に露光走査する光走査装置であって、前記光源部及び回転多面鏡を備えるとともに前記像担持体に向けてビーム光を射出する射出口を有するハウジングと、前記回転多面鏡によって走査される主走査方向に貫通して延びる通風路が形成され、前記射出口を開閉するために前記ハウジングの外面を主走査方向に対して直交する副走査方向に摺動するシャッター部材と、画像形成装置の装置本体内を開放または閉鎖可能に設けられるカバー部材の開放または閉鎖動作にともなって前記射出口を開く位置と閉じる位置とに前記シャッター部材を移動させる作動機構と、を備え、前記シャッター部材は、前記カバー部材を開放したとき、前記作動機構によって閉じる置に移動し、前記カバー部材を閉鎖したとき、前記作動機構によって開く位置に移動し、前記シャッター部材が開く位置にあるとき、前記通風路は装置本体に設けたダクトの通風開口に対向することを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
第1及び第4の発明によれば、カバー部材を開放したとき、シャッター部材が作動機構によって射出口を閉じる方向に移動し、射出口は閉じられる。これによって、例えばトナーコンテナの交換や用紙のジャム処理時にカバー部材を開放しても、トナーや塵埃等が射出口からハウジング内に入り込むことがない。一方、カバー部材を閉鎖したとき、シャッター部材が作動機構によって射出口を開く方向に移動し、射出口は開く。これによって、射出口から像担持体に向けてビーム光が射出可能となる。そして、シャッター部材が開く位置にあるとき、通風路が装置本体に設けたダクトの通風開口に対向し、例えば送風ファンの冷風がダクトの通風開口からシャッター部材の通風路に送られる。像担持体上に潜像を形成するために、回転多面鏡が高速回転して回転多面鏡を回転駆動するモーターの軸受部が発熱し、また、駆動回路等の回路基板上の電子制御部品が発熱するが、シャッター部材の通風路に送られる冷風よって、シャッター部材を介してハウジングが冷却され、ハウジング内の温度上昇が十分に抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態である画像形成装置の概略構成を示す断面図
【図2】実施形態である画像形成装置に用いられる光走査装置を示す斜視図
【図3】実施形態である光走査装置の底面部を示す斜視図
【図4】実施形態である光走査装置に用いられるシャッター部材を示す斜視図
【図5】実施形態であるシャッター部材とカバー部材の配置構成を示す斜視図
【図6】実施形態であるカバー部材がシャッター部材を開く側に押している状態を示す斜視図
【図7】実施形態であるシャッター部材によって射出口を閉じた状態の底面部を示す平面図
【図8】実施形態であるシャッター部材によって射出口を開いた状態の底面部を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は、この実施形態に限定されない。また発明の用途やここで示す用語等はこれに限定されるものではない。
【0014】
図1は、本発明の実施形態である画像形成装置の全体構成を示す概略構成図であり、右側を画像形成装置の前方側として図示している。画像形成装置1の装置本体1aの下部には、積載された用紙を収容する給紙カセット2が配置されている。この給紙カセット2の上方には、装置本体1aの前方から後方へ略水平に延び、更に上方へ延びて装置本体1aの上面に形成された排紙部3に至る用紙搬送路4が形成されている。この用紙搬送路4に沿って上流側から順に、ピックアップローラ5、フィードローラ6、中間搬送ローラ7、レジストローラ対8、画像形成部9、定着部10及び排出ローラ対11が配置されている。
【0015】
給紙カセット2には、給紙カセット2に対して回動自在に支持された用紙積載板12が設けられている。用紙積載板12上に積載された用紙がピックアップローラ5によって用紙搬送路4に向けて送出され、ピックアップローラ5によって複数枚の用紙が同時に送出された場合には、フィードローラ6とリタードローラ13とによって用紙が捌かれ、最上位の1枚のみが搬送されるように構成されている。用紙搬送路4に送出された用紙は、中間搬送ローラ7によって装置本体1aの後方へと搬送方向を変えられてレジストローラ対8へと搬送され、レジストローラ対8によってタイミングを調整されて画像形成部9へと供給される。
【0016】
画像形成部9は、電子写真プロセスによって用紙に所定のトナー像を形成するものであり、図1において時計回りに回転可能に軸支された像担持体である感光体14と、この感光体14の周囲に配置される帯電装置15、現像装置16、クリーニング装置17、用紙搬送路4を挟んで感光体14に対向するように配置される転写ローラ18及び感光体14の上方に配置される光走査装置19から構成されており、現像装置16の上方には、現像装置16へトナーを補給するトナーコンテナ20が配置されている。
【0017】
帯電装置15には、図示しない電源が接続された導電性ゴムローラ15aが備えられており、この導電性ゴムローラ15aが感光体14に当接するよう配置されている。そして、感光体14が回転すると、導電性ゴムローラ15aが感光体14の表面に接触して従動回転し、この時、導電性ゴムローラ15aに所定の電圧を印加することにより、感光体14の表面が一様に帯電させられることになる。
【0018】
次いで、光走査装置19から射出されるビーム光により感光体14上に入力された画像データに基づく静電潜像が形成され、現像装置16により静電潜像にトナーが付着して感光体14の表面にトナー像が形成される。そして、レジストローラ対8から感光体14と転写ローラ18とのニップ部(転写位置)に用紙が所定のタイミングで供給され、転写ローラ18により用紙上に感光体14の表面のトナー像が転写される。
【0019】
トナー像が転写された用紙は、感光体14から分離されて定着部10に向けて搬送される。この定着部10は、画像形成部9の用紙搬送方向の下流側に配置されており、画像形成部9においてトナー像が転写された用紙は、定着部10に備えられた加熱ローラ21、及びこの加熱ローラ21に圧接される加圧ローラ22によって加熱、加圧され、用紙に転写されたトナー像が定着される。
【0020】
画像形成された用紙は、排出ローラ対11によって排紙部3に排出される。一方、転写後に感光体14の表面に残留しているトナーはクリーニング装置17により除去され、感光体14は帯電装置15によって再び帯電され、以下同様にして画像形成が行われる。
【0021】
図2は、画像形成装置1に用いられる光走査装置19を示す斜視図である。尚、図2では、光走査装置19内部の構成を示すためにハウジングの上蓋を取り除いている。
【0022】
光走査装置19は、光源部33と、回転多面鏡であるポリゴンミラー34と、走査光学系35と、折り返しミラー36と、さらに検知センサー38とを備える。
【0023】
光源部33は、レーザー光を出力するレーザーダイオード等の光源と、レーザー光のビーム径を整形するシリンドリカルレンズやコリメートレンズ等を有し、図示しないパソコン等から入力される画像データに基づいて変調されたビーム光を射出する。
【0024】
ポリゴンミラー34は、ポリゴンモーター39によって所定の速度で回転しており、光源部33から射出されたビーム光を主走査方向Mに走査するように偏向させる。ポリゴンモーター39は回路基板40によって駆動制御される。
【0025】
走査光学系35は、複数のレンズから構成され、ポリゴンミラー34で反射したビーム光が主走査方向Mに一定の速度で走査されるように変換するとともに、被走査面にビーム光を結像させる。折り返しミラー36は、走査光学系35から射出したビーム光を走査光学系35の下側に向けて反射させ感光体14(図1参照)に導く。
【0026】
検知センサー38は、主走査方向Mの露光範囲を制御するための信号を出力するものであり、露光範囲外に配置された検知ミラー37を介して走査光学系35を通過したビーム光を受光する。
【0027】
上記の構成において、光源部33は画像データに基づいて変調されたビーム光をポリゴンミラー34に向けて射出する。ポリゴンミラー34は光源部33から射出したビーム光を反射させ、その回転によって反射光を偏向走査する。走査光学系35はポリゴンミラー34で反射したビーム光を等速走査に変換し、折り返しミラー36を介して被走査面である感光体14(図1参照)上に結像させる。これによって、光走査装置19が感光体14上の主走査方向Mの所定の範囲を露光走査し、感光体14上に静電潜像が形成される。
【0028】
光源部33、ポリゴンミラー34、走査光学系35、折り返しミラー36等は、ハウジング31内に配設される。
【0029】
ハウジング31は、熱伝導性が良好である樹脂にて成形され、平板状の底壁部31dと、底壁部31dの周縁から立ち上がる側壁部31eと、側壁部31eの上縁に取り付けられる平板状の上蓋(図略)とを有する。底壁部31dと側壁部31e及び上蓋によって形成される空間内には、光源部33、ポリゴンミラー34、走査光学系35、折り返しミラー36等が収容される。
【0030】
走査光学系35と検知ミラー37及び検知センサー38は底壁部31dの所定位置に固定されている。ポリゴンミラー34は、ポリゴンモーター39の回転軸に一体に取り付けられ、ポリゴンモーター39は回路基板40を介在させて底壁部31dに固定される。回路基板40は、ポリゴンモーター39の回転駆動を制御するドライバーIC等を搭載し、底壁部31dに固定される。ポリゴンモーター39が長時間高速で回転すると、ポリゴンモーター39の回転軸と軸受が発熱し、また回路基板40のドライバーIC等から発熱し、ハウジング31内が昇温する。尚、回路基板40は、底壁部31dの他の部分に配設してもよく、また上蓋等のハウジング31の上部に配設してもよい。
【0031】
折り返しミラー36は、走査光学系35から射出したビーム光を感光体14(図1参照)に向けて反射させるために、底壁部31dに対して所定の角度だけ傾斜して底壁部31dに固定される。折り返しミラー36からのビーム光をハウジング31内から感光体14へ射出するために、底壁部31dには射出口31aが形成される。射出口31aは、折り返しミラー36の近傍にて形成され、横長である折り返しミラー36と略同じ長さで主走査方向Mに延びる開口からなる。
【0032】
射出口31aは図3〜図6に示すシャッター部材41によって開閉する。図3はシャッター部材41を有する光走査装置19の底面部を示す斜視図であり、図4はシャッター部材41を示す斜視図であり、図5はシャッター部材41とカバー部材45の配置構成を示す斜視図である。図6は、カバー部材45がシャッター部材41を開く側に押している状態を示す、図5におけるカバー部材45とシャッター部材41との当接部の部分拡大図である。尚、図5は、カバー部材45によって装置本体1a内を閉鎖した状態の要部を示すものである。
【0033】
図3に示すように、シャッター部材41は、射出口31aを開閉するために、主走査方向Mに直交する副走査方向Sに移動可能に配設される。シャッター部材41が図3の状態に配置されるとき、射出口31aは開き、射出口31aから感光体14に向けてビーム光が射出可能となる。一方、シャッター部材41が副走査方向S(図3の左方向)に移動したとき、射出口31aはシャッター部材41によって閉じられ、トナーや塵埃等が射出口31aからハウジング31内に入り込むことがない。
【0034】
シャッター部材41は、射出口31aを閉じるために射出口31aよりも主走査方向Mに長く、また幅を広くした横長に構成され、バネ部材43を支持するバネ受け部41aと、後述するカバー部材45(図5参照)に係合する一対の凸部41bと、主走査方向Mに冷風を通す通風路41cと、ハウジング31の外面31bに沿って摺動する摺動面41d(図4参照)とを有する。また、シャッター部材41は、熱伝導性が良好である樹脂にて上記の形状を有して成形される。
【0035】
バネ受け部41aはシャッター部材41の長手方向の略中央部に形成され、ハウジング31に形成したバネ保持部31cとともにバネ部材43を支持する。コイルスプリングからなるバネ部材43はシャッター部材41を閉方向(図3における副走査方向Sの左方向)に付勢する。シャッター部材41がバネ部材43によって付勢されることで、シャッター部材41の摺動面41d(図4参照)がハウジング31の外面31bに沿って摺動し、シャッター部材41が射出口31aを閉じることになる。
【0036】
図5に示すように、光走査装置19は装置本体1aの排紙部3の下方に隣接して配設され、また、排紙部3の前方側にはカバー部材45が配設される。カバー部材45は、装置本体1aの上面に回動可能に設けられる。カバー部材45を排紙部3近傍の中心として図5の反時計回りに回動させると、装置本体1a内は開放され、一方、カバー部材45を時計回りに回動させると、装置本体1a内は閉鎖される。装置本体1a内を開放したとき、トナーコンテナ20や感光体14(図1参照)の交換、或いは画像形成部9(図1参照)における用紙のジャム処理等が可能となる。このとき、カバー部材45の開放動作にともなって、シャッター部材41が後述する作動機構によって射出口31aを閉じられることで、トナーコンテナ20の交換やジャム処理等よって浮遊するトナーや塵埃等が射出口31aからハウジング31内に入り込むことがない。一方、装置本体1a内を閉鎖したとき、カバー部材45の動作にともなって、シャッター部材41が作動機構によって射出口31aを開かれ、射出口31aから感光体14に向けてビーム光が射出可能となる。
【0037】
カバー部材45の内面側には、係合部である一対の突起部45aが形成されている。各突起部45aは、カバー部材45からL形状に下側に延びて設けられ、シャッター部材41の長手方向の端部側に対向して配置される。この突起部45aと、前述のバネ部材43(図3参照)が作動機構を構成する。
【0038】
図6に示すように、カバー部材45の突起部45aは、シャッター部材41に形成した凸部41bに当接可能に構成される。凸部41bは、シャッター部材41のバネ受け部41a(図4参照)を形成した面に対して反対側の面にて長手方向の端部に突出して形成され、バネ部材43の付勢力によって、突起部45aに当接する方向に押圧されている。
【0039】
カバー部材45が装置本体1a内を閉鎖した状態にあるとき、カバー部材45の突起部45aがシャッター部材41の凸部41bに当接し、シャッター部材41は射出口31aを開いている。この状態において、装置本体1a内を開放するためにカバー部材45を図6の右側(図5の反時計回り方向)に回動させたとき、突起部45aがシャッター部材41の凸部41bから離間し、シャッター部材41はバネ部材43(図3参照)の付勢力によって図6の右側に移動させられ射出口31aを閉じる。一方、装置本体1a内を閉鎖するためにカバー部材45を図6の左側(図5の時計回り方向)へ戻したとき、突起部45aがシャッター部材41の凸部41bに当接し、カバー部材45の回動動作にともなって、シャッター部材41はバネ部材43(図3参照)の付勢力に抗して図6の状態へ押されて射出口31aを開く。
【0040】
尚、上記実施形態では、作動機構は、シャッター部材41を閉方向に付勢するバネ部材43と、シャッター部材41を開く方向に押す突起部45aとを含む構成を示したが、本発明はこれに限らず、作動機構は、シャッター部材41を開方向に付勢するバネ部材43と、シャッター部材41を閉じる方向に押す突起部45aとを含むように構成してもよい。また、突起部45a(係合部)は、L字形状の構成に限らず、カバー部材45の回動動作またはスライド動作等の操作方向や構成、或いはカバー部材45とシャッター部材41との配置関係等に応じて、適宜所定の形状に構成される。
【0041】
図7、図8は、シャッター部材41とダクト47との配置構成を示す平面図である。図7は、シャッター部材41を閉じた状態の光走査装置19の底面部を示し、図8は、シャッター部材41を開いた状態の光走査装置19の底面部を示す。尚、図7、図8ではカバー部材45を省略している。
【0042】
図7に示すように、光走査装置19のM方向(主走査方向)の両端には、一対のダクト47が配設される。ダクト47は、冷気を光走査装置19に導き、光走査装置19を通過した空気を排気する導管である。各ダクト47は、光走査装置19の一端に対向する通風開口47aを有する。一方の通風開口47aは光走査装置19の一方端に対向し、他方の通風開口47aは光走査装置19の他方端に対向し、各通風開口47aは光走査装置19を介して互いにM方向に対向して配置される。一方のダクト47の通風開口47aの反対側端には、図示しない送風ファンが配設され、送風ファンの冷気をダクト47内に通し通風開口47aから光走査装置19に送ることが可能となる。
【0043】
シャッター部材41には、M方向に延びる通風路41cが形成される。通風路41cは、摺動面41d(図4参照)の反対側を開放した断面コ字状の長溝にてM方向に貫通して形成される。通風路41cを長溝で構成することで、シャッター部材41を簡単に成形することができる。尚、長溝状の通風路41cに替えて、シャッター部材41内をM方向に貫通する孔状の通風路41cを設けてもよい。
【0044】
カバー部材45(図5参照)を開いているとき、作動機構(バネ部材43)によってシャッター部材41が射出口31aを閉じた位置に保持され、光走査装置19内にトナーや塵埃等が入り込むことなく、トナーコンテナ20(図1参照)の交換、或いは用紙のジャム処理等が可能である。トナーコンテナの交換やジャム処理を完了し、カバー部材45を閉鎖すると、作動機構(突起部45a)によってシャッター部材41が射出口31aを開く位置に移動する(図8参照)。
【0045】
図8に示すように、シャッター部材41が射出口31aを開ける位置にあるとき、通通路41cの両端部は各ダクト47の通風開口47aに対向するように配置される。従って、送風ファンの冷気が一方のダクト47内に通って通風開口47aから通風路41cに送られる。通風路41c内を通った空気は他方の通風開口47aからダクト47内に送られ、他方のダクト47から装置本体1aの外部に排気される。
【0046】
ここで、画像形成を行うために回路基板40のドライバーIC等が作動し、またポリゴンモーター39が回転駆動しているとき、ダクト47から通風路41cに送られた冷気が、シャッター部材41を介してハウジング31の外面31bを冷却する。一方、ポリゴンモーター39の軸受部や回路基板40の保持部等の高温部分から発せられる熱は底壁部31dを介して外面31bに伝導し、通風路41cを通過する冷気によって冷却される。これによってハウジング31内の温度上昇が十分に抑制される。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置及び画像形成装置に用いられる光走査装置に利用することができ、特に、像担持体の表面を露光走査して像担持体上に潜像を形成する画像形成装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 画像形成装置
1a 装置本体
14 感光体(像担持体)
19 光走査装置
31 ハウジング
31a 射出口
31b 外面
31c バネ保持部
31d 底壁部
31e 側壁部
33 光源部
34 ポリゴンミラー(回転多面鏡)
35 走査光学系
36 折返しミラー
37 検知ミラー
38 検知センサー
39 ポリゴンモーター
40 回路基板
41 シャッター部材
41a バネ受け部
41b 凸部
41c 通風路
41d 摺動面
43 バネ部材(作動機構)
45 カバー部材
45a 突起部(係合部、作動機構)
47 ダクト
47a 通風開口
M 主走査方向
S 副走査方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源部からのビーム光を回転多面鏡により像担持体上に露光走査し前記像担持体上に形成した潜像を可視化して画像を得る画像形成装置であって、
前記光源部及び回転多面鏡を備えるとともに前記像担持体に向けてビーム光を射出する射出口を有するハウジングと、
前記回転多面鏡によって走査される主走査方向に貫通して延びる通風路が形成され、前記射出口を開閉するために前記ハウジングの外面を主走査方向に対して直交する副走査方向に摺動するシャッター部材と、
装置本体内を開放または閉鎖可能に設けられるカバー部材と、
該カバー部材の開放または閉鎖動作にともなって前記射出口を開く位置と閉じる位置とに前記シャッター部材を移動させる作動機構と、を備え、
前記シャッター部材は、前記カバー部材を開放したとき、前記作動機構によって閉じる置に移動し、前記カバー部材を閉鎖したとき、前記作動機構によって開く位置に移動し、前記シャッター部材が開く位置にあるとき、前記通風路は装置本体に設けたダクトの通風開口に対向することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記作動機構は、前記ハウジングと前記シャッター部材との間に配設され前記シャッター部材を閉じる方向に付勢するバネ部材と、前記カバー部材に形成され前記カバー部材の閉鎖動作によって前記シャッター部材を開く方向に押す係合部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記シャッター部材は、前記射出口に対面可能であって前記ハウジングの外面に沿って摺動する摺動面を有し、前記通風路は前記摺動面の反対側を開放した断面コ字状の長溝にて形成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
光源部からのビーム光を回転多面鏡により像担持体上に露光走査する光走査装置であって、
前記光源部及び回転多面鏡を備えるとともに前記像担持体に向けてビーム光を射出する射出口を有するハウジングと、
前記回転多面鏡によって走査される主走査方向に貫通して延びる通風路が形成され、前記射出口を開閉するために前記ハウジングの外面を主走査方向に対して直交する副走査方向に摺動するシャッター部材と、
画像形成装置の装置本体内を開放または閉鎖可能に設けられるカバー部材の開放または閉鎖動作にともなって前記射出口を開く位置と閉じる位置とに前記シャッター部材を移動させる作動機構と、を備え、
前記シャッター部材は、前記カバー部材を開放したとき、前記作動機構によって閉じる置に移動し、前記カバー部材を閉鎖したとき、前記作動機構によって開く位置に移動し、前記シャッター部材が開く位置にあるとき、前記通風路は装置本体に設けたダクトの通風開口に対向することを特徴とする光走査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−72924(P2013−72924A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210288(P2011−210288)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】