説明

画像形成装置及び定着装置

【課題】ヒータによる加熱ローラ等の加熱を効率よく行うことができると共に、加熱ローラ等の第1幅領域(最大通紙領域)における所定領域を効率的に昇温させることができる定着装置を備える画像形成装置を提供すること。
【解決手段】第1回転体9aと、発光面910bから光を放射して第1回転体9aを内側から加熱するヒータ910と、第2回転体9bと、第1回転体9aに形成され、搬送方向D1に直交する搬送幅方向において最大幅の被転写材Tが通過する第1幅領域901aと、第1回転体9aの内部であって第1幅領域901aの第1回転軸I方向における両端部である第1幅領域端部901eに対応する位置の近傍に配置され、ヒータ910からの光を反射させる光反射面925を有すると共に、光反射面925の発光面910bに対する角度αや形状を含む形態を可変に構成される光反射部材920と、を有する定着装置9と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び定着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、用紙に画像を形成(印刷)するための装置として、コピー機、プリンタ、ファクシミリ又はこれらの複合機などの画像形成装置が知られている。画像形成装置においては、感光体ドラムの表面を帯電させる帯電工程、帯電した感光体ドラムにレーザ光を照射して感光体ドラムの表面に静電潜像を形成する露光工程、感光体ドラムの表面に形成された静電潜像にトナーを付着させて現像を行う現像工程、感光体ドラムの表面に付着したトナーから形成されるトナー画像を用紙へ転写する転写工程、及び用紙に転写されたトナー画像を用紙に定着させる定着工程の各工程が順次行われることによって、用紙に画像が形成される。
【0003】
上記の各工程のうち、定着工程では、用紙に転写されたトナー画像を構成するトナーを用紙に定着させるために、トナーに熱を与えてトナーを溶融させる必要がある。定着工程を行う定着装置として、従来から、加熱ローラと、加熱ローラとによりトナー画像が転写された用紙が搬送される定着ニップを形成する加圧ローラと、加熱ローラの内側から加熱ローラを加熱するヒータとを備える定着装置が使用されている。
【0004】
近年、省エネルギー化の対応により、加熱ローラの内部に配置されるヒータが放射するエネルギーを効率よく利用することが望まれている。
エネルギーを効率よく利用するために、加熱ローラの厚さを薄くすることにより加熱ローラの熱容量を小さくする定着装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。熱容量が小さい加熱ローラを備えた定着装置によれば、定着装置のウォームアップに要する時間の短縮化を図ることができるので、省エネルギー化に対応することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−177624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年の印刷速度の高速化に伴い、定着装置のウォームアップに要する時間の更なる短縮化が望まれている。一般的に、画像形成装置は、用紙の搬送方向に直交する搬送幅方向において最大幅の用紙が通過する第1幅領域(最大通紙領域)の端部近傍の温度が一定以上になったときに、印刷が開始されるように設計されている。特許文献1に記載の定着装置においては、加熱ローラの軸方向における両端部に特段の工夫がなされておらず、内部に配置されたヒータからの熱が加熱ローラの軸方向における両端部から放熱しやすい。そのため、加熱ローラの加熱を効率よく行うことができない。従って、加熱ローラにおける第1幅領域(最大通紙領域)の端部近傍の温度を効率的に昇温させて、加熱ローラの温度分布を効率よく均一化させることが望まれる。
【0007】
また、定着装置に複数枚数の用紙が連続して通紙された場合や、用紙のサイズ(幅方向)が小さい場合には、加熱ローラの第1幅領域(最大通紙領域)における中央領域の温度が端部近傍の温度に比べて低下する。つまり、加熱ローラにおける中央領域と端部近傍との温度が不均一となる。この場合においても、同様に、中央領域における温度低下を抑制して、加熱ローラの温度分布を均一に保つことが望まれる。
【0008】
本発明は、ヒータによる加熱ローラ等の加熱を効率よく行うことができると共に、加熱ローラ等の第1幅領域(最大通紙領域)における所定領域を効率的に昇温させることができる定着装置を備える画像形成装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、前記画像形成装置に含まれる定着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、シート状の被転写材に画像を形成する画像形成部と、前記被転写材に転写されたトナー画像を構成するトナーを溶融して前記トナー画像を前記被転写材に定着させる定着装置であって、第1回転軸を中心に回転可能な中空状の第1回転体と、前記第1回転体の内部に配置され、発光部を有すると共に、前記発光部における発光面から光を放射して前記第1回転体を内側から加熱するヒータと、前記第1回転体に対向して配置され、前記第1回転体とにより前記被転写材が搬送される定着ニップを形成すると共に前記第1回転軸に平行な第2回転軸を中心に回転可能な第2回転体と、前記第1回転体に形成され、搬送方向に直交する搬送幅方向において最大幅の被転写材が通過する第1幅領域と、前記第1回転体の内部であって前記第1幅領域の前記第1回転軸方向における両端部である第1幅領域端部に対応する位置の近傍に配置され、前記ヒータからの光を反射させる光反射面を有すると共に、前記光反射面の前記発光面に対する角度や形状を含む形態を可変に構成される光反射部材と、を有する定着装置と、を備える画像形成装置に関する。
【0010】
また、本発明は、シート状の被転写材に画像を形成する画像形成部と、前記被転写材に転写されたトナー画像を構成するトナーを溶融して前記トナー画像を前記被転写材に定着させる定着装置であって、第1回転軸を中心に回転可能な中空状の第1回転体と、前記第1回転体の内部に配置され、発光部を有すると共に、前記発光部における発光面から光を放射して前記第1回転体を内側から加熱するヒータと、前記第1回転体に対向して配置され、前記第1回転体とにより前記被転写材が搬送される定着ニップを形成すると共に前記第1回転軸に平行な第2回転軸を中心に回転可能な第2回転体と、前記第1回転体に形成され、搬送方向に直交する搬送幅方向において最大幅の被転写材が通過する第1幅領域と、前記第1回転体の内部であって前記第1幅領域の前記第1回転軸方向における両端部である第1幅領域端部に対応する位置の近傍に配置され、前記ヒータからの光を反射させる光反射面を有すると共に、前記光反射面の前記発光面に対する角度や形状を含む形態を可変に構成される光反射部材と、前記光反射部材における形態を変形させる変形部と、を有する定着装置と、前記定着装置が立ち上げ状態にある立ち上げモードにおいては、前記光反射部材を所定の初期形態とするよう前記変形部に指示し、トナー画像が転写された前記被転写材が前記第1幅領域を通過する画像形成モードにおいては、前記光反射部材を前記初期形態とするよう前記変形部に指示するか、又は、前記初期形態とは異なる変形形態とするよう前記変形部に指示する変形制御部と、を備える画像形成装置に関する。
【0011】
また、前記初期形態における前記光反射部材は、該光反射部材の外縁が前記第1回転体の内周面における前記第1幅領域端部に対応する位置の近傍に対向して配置され、少なくとも前記ヒータからの光の一部を前記第1回転体の内周面における前記第1幅領域端部に対応する位置の近傍に向かうよう反射することが好ましい。
【0012】
また、画像が形成される前記被転写材の枚数に関する枚数情報と、前記被転写材の種類に関する種類情報とを含む画像形成指示情報を受け付け可能な受け付け部と、前記受け付け部により受け付けられた前記画像形成指示情報に含まれる前記枚数情報に基づいて、所定枚数以上の前記被転写材が連続して前記第1幅領域を通過して搬送されるかを判定する連続判定部と、所定枚数以上の前記被転写材が連続して前記第1幅領域を通過して搬送される場合に対応する前記初期形態又は前記変形形態に関する形態情報を記憶する連続搬送形態情報記憶部と、を更に備え、前記画像形成モードにおいて、前記変形制御部は、前記連続搬送形態情報記憶部に記憶された前記形態情報に基づいて、前記連続判定部により判定された判定結果に対応した形態となるよう前記変形部に指示することが好ましい。
【0013】
また、前記変形制御部は、前記連続判定部により所定枚数以上の前記被転写材が連続して前記第1幅領域を通過して搬送されると判定された場合、前記光反射部材を所定枚数以上の前記被転写材が連続して前記第1幅領域を通過して搬送される場合に対応した変形形態とするよう前記変形部に指示し、前記変形部は、前記変形制御部からの指示に基づいて、前記発光面からの光を前記第1回転体の内周面であって前記第1回転軸方向における中央部側に向けて反射するよう前記光反射部材を変形させることが好ましい。
【0014】
また、前記変形部は、前記光反射面の前記発光面に対する角度が、前記初期形態における前記光反射面の前記発光面に対する角度よりも小さくなるよう前記光反射部材を変形させることが好ましい。
【0015】
また、画像が形成される前記被転写材の枚数に関する枚数情報と、前記被転写材の種類に関する種類情報とを含む画像形成指示情報を受け付け可能な受け付け部と、前記受け付け部により受け付けられた前記画像形成指示情報に含まれる前記種類情報に基づいて、前記被転写材の種類を検知する種類検知部と、前記被転写材の種類と、前記被転写材の種類に対応した前記初期形態又は前記変形形態とが関連付けられた形態情報を記憶する種類形態情報記憶部と、を更に備え、前記画像形成モードにおいて、前記変形制御部は、前記種類形態情報記憶部に記憶された前記形態情報に基づいて、前記種類検知部により検知された前記被転写材の種類に対応した形態となるよう前記変形部に指示することが好ましい。
【0016】
また、前記変形制御部は、前記種類検知部により検知された種類の前記被転写材における前記搬送方向と交差する前記搬送幅方向であって前記第1回転軸に平行な幅方向の長さが、前記第1幅領域における前記第1回転軸方向の長さよりも短い場合、前記光反射部材を前記被転写材の種類に対応した前記変形形態とするよう前記変形部に指示し、前記変形部は、前記変形制御部からの指示に基づいて、前記光反射部材の外縁が前記第1回転体の内周面であって前記種類検知部により検知された種類の前記被転写材の前記幅方向外縁が通る位置に対応した位置に向かうよう前記光反射部材を変形させることが好ましい。
【0017】
また、前記変形部は、前記光反射面の前記発光面に対する角度が、前記初期形態における前記光反射面の前記発光面に対する角度が小さくなると共に、前記第1回転軸方向における長さが、前記初期形態における長さよりも長くなるよう前記光反射部材を変形させることが好ましい。
【0018】
また、前記第1回転体は、円筒状の回転ローラであることが好ましい。
【0019】
また、前記第1回転体は、環状であると共に可撓性を有する回転ベルトであることが好ましい。
【0020】
また、本発明は、シート状の被転写材に画像を形成する画像形成部と、前記被転写材に転写されたトナー画像を構成するトナーを溶融して前記トナー画像を前記被転写材に定着させる定着装置であって、第1回転軸を中心に回転可能な中空状の第1回転体と、前記第1回転体の内部に配置され、発光部を有すると共に、前記発光部における発光面から光を放射して前記第1回転体を内側から加熱するヒータと、前記第1回転体に対向して配置され、前記第1回転体とにより前記被転写材が搬送される定着ニップを形成すると共に前記第1回転軸に平行な第2回転軸を中心に回転可能な第2回転体と、前記第1回転体に形成され、搬送方向に直交する搬送幅方向において最大幅の被転写材が通過する第1幅領域と、前記第1回転体の内部であって前記第1幅領域の前記第1回転軸方向における両端部である第1幅領域端部に対応する位置の近傍に配置され、前記ヒータからの光を反射させる光反射面を有すると共に、前記光反射面の前記発光面に対する角度や形状を含む形態を可変に構成される光反射部材と、前記光反射部材における形態を変形させる変形部と、前記第1回転体の外周面における前記第1幅領域端部に対応する位置又は近傍の温度を検出する温度検出部材と、を有する定着装置と、前記定着装置が立ち上げ時から所定時間内においては、前記光反射部材を所定の初期形態とするよう前記変形部に指示し、前記温度検出部材により検出される温度が所定温度以上である場合には、前記光反射部材を前記初期形態とするよう前記変形部に指示するか、又は、前記初期形態と異なる変形形態とするよう前記変形部に指示する変形制御部と、を備える画像形成装置に関する。
【0021】
また、本発明は、シート状の被転写材に転写されたトナー画像を構成するトナーを溶融して前記トナー画像を前記被転写材に定着させる定着装置であって、第1回転軸を中心に回転可能な中空状の第1回転体と、前記第1回転体の内部に配置され、発光部を有すると共に、前記発光部における発光面から光を放射して前記第1回転体を内側から加熱するヒータと、前記第1回転体に対向して配置され、前記第1回転体とにより前記被転写材が搬送される定着ニップを形成すると共に前記第1回転軸に平行な第2回転軸を中心に回転可能な第2回転体と、前記第1回転体に形成され、搬送方向に直交する搬送幅方向において最大幅の被転写材が通過する第1幅領域と、前記第1回転体の内部であって前記第1幅領域の前記第1回転軸方向における両端部である第1幅領域端部に対応する位置の近傍に配置され、前記ヒータからの光を反射させる光反射面を有すると共に、前記光反射面の前記発光面に対する角度や形状を含む形態を可変に構成される光反射部材と、を備える定着装置に関する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ヒータによる加熱ローラ等の加熱を効率よく行うことができると共に、加熱ローラ等の第1幅領域(最大通紙領域)における所定領域を効率的に昇温させることができる定着装置を備える画像形成装置を提供することができる。
また、本発明によれば、前記画像形成装置に含まれる定着装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1実施形態のプリンタ1における各構成要素の配置を説明するため図である。
【図2】第1実施形態の定着装置9を示す斜視図である。
【図3A】第1実施形態の定着装置9を第1回転軸I方向から視た縦断面図であって、光反射部材920が初期形態である場合の図である。
【図3B】図3Aに示す定着装置9を用紙Tの搬送方向D1から視た縦断面図である。
【図3C】図3Bに示す定着装置9の部分拡大縦断図である。
【図4A】第1実施形態の定着装置9を第1回転軸I方向から視た縦断面図であって、光反射面925の発光面910bに対する角度αが初期形態よりも小さくなるように光反射部材920が変形された場合の図である。
【図4B】図4Aに示す定着装置9を用紙Tの搬送方向D1から視た縦断面図である。
【図4C】図4Bに示す定着装置9の部分拡大縦断図である。
【図5A】第1実施形態の定着装置9を第1回転軸I方向から視た縦断面図であって、光反射面925の発光面910bに対する角度αが初期形態よりも小さくなると共に、第1回転軸I方向における長さが初期形態よりも長くなるように光反射部材920が変形された場合の図である。
【図5B】図5Aに示す定着装置9を用紙Tの搬送方向D1から視た縦断面図である。
【図5C】図5Bに示す定着装置9の部分拡大縦断図である。
【図6】第1実施形態のプリンタ1における機能ブロック図である。
【図7】連続搬送形態情報記憶部136に含まれる連続搬送形態テーブル137を示す図である。
【図8】種類形態情報記憶部138に含まれる種類形態テーブル139を示す図である。
【図9】第1実施例のプリンタ1における動作を説明するフローチャートである。
【図10】第1実施例のプリンタ1における温度判定部125による判定方法を説明するための図である。
【図11】第2実施例のプリンタ1における動作を説明するフローチャートである。
【図12】他の実施例のプリンタ1における動作を説明するフローチャートである。
【図13】第2実施形態の定着装置9を第1回転軸I方向から視た縦断面図であって、光反射部材が初期形態である場合の図である。
【図14】図14に示す定着装置9を用紙Tの搬送方向D1から視た縦断面図である。
【図15】第2実施形態の定着装置9を用紙Tの搬送方向D1から視た縦断面図であって、光反射面925の発光面910bに対する角度αが初期形態よりも小さくなるように光反射部材920が変形された場合の図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<第1実施形態>
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1により、本発明の画像形成装置の第1実施形態としてのプリンタ1における全体構造を説明する。図1は、第1実施形態のプリンタ1における各構成要素の配置を説明するため図である。
【0025】
図1に示すように、画像形成装置としてのプリンタ1は、装置本体Mと、所定の画像情報に基づいてシート状の被転写材としての用紙Tに所定のトナー画像を形成する画像形成部GKと、用紙Tを画像形成部GKに給紙すると共にトナー画像が形成された用紙Tを排紙する給排紙部KHとを有する。
装置本体Mにおける外形は、筐体としてのケース体BDにより構成される。
【0026】
図1に示すように、画像形成部GKは、像担持体(感光体)としての感光体ドラム2と、帯電部10と、露光ユニットとしてのレーザスキャナユニット4と、現像器16と、トナーカートリッジ5と、トナー供給部6と、ドラムクリーニング部11と、除電器12と、転写ローラ8と、定着装置9とを備える。
【0027】
図1に示すように、給排紙部KHは、給紙カセット52と、手差し給紙部64と、用紙Tの搬送路Lと、レジストローラ対80と、排紙部50とを備える。
【0028】
以下、画像形成部GK及び給排紙部KHの各構成について詳細に説明する。
まず、画像形成部GKについて説明する。
画像形成部GKにおいては、感光体ドラム2の表面に沿って、上流側から下流側に順に、帯電部10による帯電、レーザスキャナユニット4による露光、現像器16による現像、転写ローラ8による転写、除電器12による除電、ドラムクリーニング部11によるクリーニング、及び定着装置9による定着が行われる。
【0029】
感光体ドラム2は、円筒形状の部材からなり、感光体又は像担持体として機能する。感光体ドラム2は、搬送路Lにおける用紙Tの搬送方向に対して直交する方向に延びる機軸を中心に、矢印の方向に回転可能に配置される。感光体ドラム2の表面には、静電潜像が形成され得る。
【0030】
帯電部10は、感光体ドラム2の表面に対向して配置される。帯電部10は、感光体ドラム2の表面を一様に負(マイナス極性)又は正(プラス極性)に帯電させる。
【0031】
レーザスキャナユニット4は、露光ユニットとして機能するものであり、感光体ドラム2の表面から離間して配置される。レーザスキャナユニット4は、不図示のレーザ光源、ポリゴンミラー、ポリゴンミラー駆動用モータ等を有して構成される。
【0032】
レーザスキャナユニット4は、PC(パーソナルコンピュータ)等の外部機器から入力された画像情報に基づいて、感光体ドラム2の表面を走査露光する。レーザスキャナユニット4により走査露光されることで、感光体ドラム2の表面の露光された部分の電荷が除去される。これにより、感光体ドラム2の表面に静電潜像が形成される。
【0033】
現像器16は、感光体ドラム2に対応して設けられ、感光体ドラム2の表面に対向して配置される。現像器16は、感光体ドラム2に形成された静電潜像に単色(通常はブラック)のトナーを付着させて、単色のトナー画像を感光体ドラム2の表面に形成する。現像器16は、感光体ドラム2の表面に対向配置された現像ローラ17、トナー攪拌用の攪拌ローラ18等を有して構成される。
【0034】
トナーカートリッジ5は、現像器16に対応して設けられており、現像器16に対して供給されるトナーを収容する。
【0035】
トナー供給部6は、トナーカートリッジ5及び現像器16に対応して設けられており、トナーカートリッジ5に収容されたトナーを現像器16に対して供給する。トナー供給部6と現像器16とは、不図示のトナー供給路により結ばれている。
【0036】
転写ローラ8は、感光体ドラム2の表面に現像されたトナー画像を用紙Tに転写させる。転写ローラ8には、不図示の転写バイアス印加部により、感光体ドラム2に形成されたトナー画像を用紙Tに転写させるための転写バイアスが印加される。
【0037】
転写ローラ8は、感光体ドラム2に対して当接したり離間したりする。具体的には、転写ローラ8は、感光体ドラム2に当接される当接位置と、感光体ドラム2から離間する離間位置とに移動可能に構成される。詳細には、転写ローラ8は、感光体ドラム2に現像されたトナー画像を用紙Tに転写させる場合には当接位置に配置され、他の場合には離間位置に配置される。
【0038】
感光体ドラム2と転写ローラ8との間で、搬送路Lを搬送される用紙Tが挟み込まれる。挟み込まれた用紙Tは、感光体ドラム2の表面に押し当てられる。感光体ドラム2と転写ローラ8との間で、転写ニップNが形成される。転写ニップNにおいて、感光体ドラム2に現像されたトナー画像が用紙Tに転写される。
【0039】
除電器12は、感光体ドラム2の表面に対向して配置される。除電器12は、感光体ドラム2の表面に光を照射することにより、転写が行われた後の感光体ドラム2の表面を除電する(電荷を除去する)。
【0040】
ドラムクリーニング部11は、感光体ドラム2の表面に対向して配置される。ドラムクリーニング部11は、感光体ドラム2の表面に残存したトナーや付着物を除去すると共に、除去されたトナー等を所定の回収機構へ搬送して、回収させる。
【0041】
定着装置9は、用紙Tに転写されたトナー画像を構成するトナーを溶融及び加圧して、用紙Tに定着させる。定着装置9は、ヒータにより加熱される加熱回転体(加熱ローラ)9aと、加熱回転体9aに圧接される加圧回転体(加圧ローラ)9bと、を備える。加熱回転体9aと加圧回転体9bとは、トナー画像が転写された用紙Tを挟み込んで加圧すると共に、搬送する。加熱回転体9aと加圧回転体9bとの間に挟み込まれた状態で用紙Tが搬送されることで、用紙Tに転写されたトナーは、溶融及び加圧され、用紙Tに定着される。定着装置9の詳細については、後述する。
【0042】
次に、給排紙部KHについて説明する。
図1に示すように、装置本体Mの下部には、用紙Tを収容する1個の給紙カセット52が配置される。給紙カセット52は、装置本体Mの前側(図1における右側)から水平方向に引き出し可能に構成される。給紙カセット52には、用紙Tが載置される載置板60が配置される。給紙カセット52には、用紙Tが載置板60の上に積層された状態で収容される。載置板60に載置された用紙Tは、給紙カセット52における用紙送り出し側の端部(図1において右側の端部)に配置されるカセット給紙部51により搬送路Lに送り出される。カセット給紙部51は、載置板60上の用紙Tを取り出すための前送りコロ61と、用紙Tを1枚ずつ搬送路Lに送り出すための給紙ローラ対63からなる重送防止機構を備える。
【0043】
装置本体Mの前面(図1において右側)には、手差し給紙部64が設けられる。手差し給紙部64は、給紙カセット52にセットされる用紙Tとは異なる大きさや種類の用紙Tを装置本体Mに供給することを主目的として設けられる。手差し給紙部64は、閉状態において装置本体Mの前面の一部を構成する手差しトレイ65と、給紙コロ66とを備える。手差しトレイ65は、その下端が給紙コロ66の近傍に回動自在(開閉自在)に取り付けられる。開状態の手差しトレイ65には、用紙Tが載置される。給紙コロ66は、開状態の手差しトレイ65に載置された用紙Tを手差し搬送路Laに給紙する。
【0044】
装置本体Mにおける上方側には、排紙部50が設けられる。排紙部50は、第3ローラ対53により用紙Tを装置本体Mの外部に排紙する。排紙部50の詳細については後述する。
【0045】
用紙Tを搬送する搬送路Lは、カセット給紙部51から転写ニップNまでの第1搬送路L1と、転写ニップNから定着装置9までの第2搬送路L2と、定着装置9から排紙部50までの第3搬送路L3と、手差し給紙部64から供給される用紙を第1搬送路L1に合流させる手差し搬送路Laと、第3搬送路L3を上流側から下流側へ搬送する用紙を表裏反転させて第1搬送路L1に戻す戻り搬送路Lbとを備える。
【0046】
また、第1搬送路L1の途中には、第1合流部P1及び第2合流部P2が設けられている。第3搬送路L3の途中には、第1分岐部Q1が設けられている。
第1合流部P1は、手差し搬送路Laが第1搬送路L1に合流する合流部である。第2合流部P2は、戻り搬送路Lbが第1搬送路L1に合流する合流部である。
第1分岐部Q1は、戻り搬送路Lbが第3搬送路L3から分岐する分岐部で、第1ローラ対54a及び第2ローラ対54bを有する。第1ローラ対54aの一方のローラと第2ローラ対54bの一方のローラとは兼用される。
【0047】
第1搬送路L1の途中(詳細には、第2合流部P2と転写ローラ8との間)には、用紙Tを検出するためのセンサと、用紙Tのスキュー(斜め給紙)補正や画像形成部GKにおけるトナー画像の形成とタイミングを合わせるためのレジストローラ対80が配置される。センサは、用紙Tの搬送方向におけるレジストローラ対80の直前(搬送方向における上流側)に配置される。レジストローラ対80は、センサからの検出信号情報に基づいて上述の補正やタイミング調整をして用紙Tを搬送する。
【0048】
戻し搬送路Lbは、用紙Tに両面印刷を行う際に、既に印刷されている面とは反対面(非印刷面)を感光体ドラム2に対向させるために設けられる搬送路である。
戻し搬送路Lbによれば、第1分岐部Q1から第1ローラ対54aにより排紙部50側に搬送された用紙Tを表裏反転させて第2ローラ対54bにより第1搬送路L1に戻して、転写ローラ8の上流側に配置されたレジストローラ対80の上流側に搬送させることができる。戻し搬送路Lbにより表裏反転された用紙Tには、感光体ドラム2により非印刷面に対して所定のトナー画像が転写される。
【0049】
第3搬送路L3における端部には、排紙部50が形成される。排紙部50は、装置本体Mにおける上方側に配置される。排紙部50は、装置本体Mの前面側(図1において右側、手差し給紙部64側)に向けて開口している。排紙部50は、第3搬送路L3を搬送される用紙Tを第3ローラ対53により装置本体Mの外部に排紙する。
【0050】
排紙部50における開口側には、排紙集積部M1が形成される。排紙集積部M1は、装置本体Mにおける上面(外面)に形成される。排紙集積部M1は、装置本体Mにおける上面が下方に窪んで形成された部分である。排紙集積部M1の底面は、装置本体Mにおける上面の一部を構成する。排紙集積部M1には、所定のトナー画像が形成され排紙部50から排紙された用紙Tが積層して集積される。
なお、各搬送路の所定位置には用紙検出用のセンサが配置される。
【0051】
以下、図面を参照して、第1実施形態のプリンタ1における特徴部分に係る構成について説明する。図2は、第1実施形態の定着装置9を示す斜視図である。図3Aは、第1実施形態の定着装置9を第1回転軸I方向から視た縦断面図であって、光反射部材920が初期形態である場合の図である。図3Bは、図3Aに示す定着装置9を用紙Tの搬送方向D1から視た縦断面図である。図3Cは、図3Bに示す定着装置9の部分拡大縦断図である。図4Aは、第1実施形態の定着装置9を第1回転軸I方向から視た縦断面図であって、光反射面925の発光面910bに対する角度αが初期形態よりも小さくなるように光反射部材920が変形された場合の図である。図4Bは、図4Aに示す定着装置9を用紙Tの搬送方向D1から視た縦断面図である。図4Cは、図4Bに示す定着装置9の部分拡大縦断図である。図5Aは、第1実施形態の定着装置9を第1回転軸I方向から視た縦断面図であって、光反射面925の発光面910bに対する角度αが初期形態よりも小さくなると共に、第1回転軸I方向における長さが初期形態よりも長くなるように光反射部材920が変形された場合の図である。図5Bは、図5Aに示す定着装置9を用紙Tの搬送方向D1から視た縦断面図である。図5Cは、図5Bに示す定着装置9の部分拡大縦断図である。
【0052】
図2から図5Cに示すように、第1実施形態の定着装置9は、第1回転体としての加熱ローラ9aと、第2回転体としての加圧ローラ9bと、ヒータ910と、光反射部材920と、非接触式の温度検出センサとしての第1サーミスタ970及び第2サーミスタ980と、を備える。
【0053】
図2から図3Bに示すように、加熱ローラ9aは、中空状の円筒状の回転ローラである。加熱ローラ9aは、用紙Tの搬送方向D1と直交する搬送幅方向(第2方向)D2に延びる第1回転軸Iを中心に回転可能に構成される。例えば、加熱ローラ9aは、肉厚が1mm程度のAl(アルミニウム)等の円筒状の金属ローラの外周面に、肉厚が30μm程度のPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂製の耐熱性コート又はフィルムからなる離型層を設けることで構成される。加熱ローラ9aは、不図示の軸受部材を介して、プリンタ1における装置本体Mのケース体BDやその他の部材により回転可能に支持される。
【0054】
図2から図3Bに示すように、加圧ローラ9bは、その外周面が、加熱ローラ9aの外周面に当接するように対向して配置される。加圧ローラ9bは、第1回転軸I方向(第2方向)D2において加熱ローラ9aよりも短く形成されている。加圧ローラ9bの第2回転軸J方向の中点と加熱ローラ9aの第1回転軸I方向の中点とは略一致している。
加圧ローラ9bは、加熱ローラ9aの第1回転軸Iと平行な第2回転軸Jを中心に回転可能に構成される。例えば、加圧ローラ9bは、直径が14mm程度のアルミニウムや鉄等の芯金の外周面に、肉厚が5.5mm程度でアスカーC硬度が15から60のシリコーンゴム等の弾性層を設け、更に、この弾性層の表面に厚み50μm程度のPFAやPTFE等のフッ素樹脂からなる離型層を設けることで構成される。
【0055】
また、図3Bに示すように、加圧ローラ9bは、第2回転軸J方向(第2方向D2)の両端部から、第2回転軸Jに平行なローラ軸931が突出して構成される。このローラ軸931は、プリンタ1における装置本体Mのケース体BDやその他の部材により回転可能に支持される。
加圧ローラ9bのローラ軸931には、加圧ローラ9bを回転駆動させる第2回転体駆動部としての電動モータ等の加圧ローラ駆動部(図示せず)が接続される。加圧ローラ駆動部により、加圧ローラ9bが所定速度で回転駆動されることで、加圧ローラ9bの外周面に当接する加熱ローラ9aが従動して回転される。これにより、加圧ローラ9bと加熱ローラ9aとの間で、トナー画像が転写された用紙Tを挟持する定着ニップN9が形成される。
【0056】
図3A及び図3Bに示すように、ヒータ910は、円筒状である。ヒータ910は、発光部910aと、発光部910aの外周面に形成される発光面910bとを有する。ヒータ910は、発光面910bから光を放射することにより加熱ローラ9aを内側から加熱して、加熱ローラ9aと加圧ローラ9bとの当接部である定着ニップN9を加熱する。ヒータ910は、例えば、ハロゲンヒータやセラミックヒータ等の発光型ヒータである。
【0057】
ヒータ910は、加熱ローラ9aの内部に加熱ローラ9aの第1回転軸Iに沿って配置される。ヒータ910は、加熱ローラ9aの第1回転軸I方向の両端部から突出する長手方向の両端部において、不図示の支持部材を介してプリンタ1における装置本体Mのケース体BDやその他の部材に固定される。そして、ヒータ910は、加熱ローラ9aと加圧ローラ9bとの間に挟持されて搬送される用紙Tに加熱ローラ9aを介して加熱する。これにより、トナー画像が転写された用紙Tを定着ニップN9に搬送し、通過させることで、用紙T上のトナーTNが溶融して用紙Tに定着される。
【0058】
定着ニップN9に搬送される用紙Tは、定着装置9における通紙領域内を通過して搬送された場合に、トナー画像が定着される。「通紙領域」とは、用紙Tの搬送方向D1に直交する搬送幅方向(第2方向)D2において定着ニップN9に搬送される用紙Tが加熱回転ベルト9aと加圧ローラ9bとに挟まれて通過する領域のことである。通紙領域は、加熱ローラ9a及び加圧ローラ9bにおける搬送幅方向D2の中央を基準として、当該プリンタ1において使用可能な用紙の最大サイズに対応して形成(設定)される。
本実施形態の定着装置9においては、搬送幅方向D2において最大幅(第1回転軸I方向における最大長さ)の用紙Tを定着ニップN9に搬送させる通紙領域として、最大通紙領域を設定する。例えば、A3サイズの用紙Tにおける短辺が加熱ローラ9aの第1回転軸I方向(搬送幅方向D2)に平行な状態(A3T(A3縦))で、A3サイズの用紙Tが定着ニップN9に搬送されるように、最大通紙領域を形成(設定)する。最大通紙領域は、プリンタごとにそれぞれ設定される。
【0059】
図2及び図3Bに示すように、加熱ローラ9aの外周面には、第1幅領域901aが形成される。具体的には、加熱ローラ9aの外周表面には、最大幅の用紙T、例えば、A3T(A3縦)の用紙Tが定着ニップN9に搬送される場合において、用紙Tが通過する最大通紙領域となる第1幅領域901aが形成(設定)される。加圧ローラ9bの外周表面には、加熱ローラ9aの第1幅領域901aに対応した最大通紙領域となる第2幅領域901bが形成(設定)される。
【0060】
最大幅の用紙Tが通過する場合、用紙Tの第1回転軸I方向における両端部に対応する位置は、第1幅領域端部901e、901eとなる。つまり、用紙Tは、第1幅領域端部901e、901eの内側の領域としての第1幅領域901aを通過して搬送される。
第1幅領域端部901e、901eは、加熱ローラ9aにおける第1回転軸I方向(搬送幅方向D2)の両端部902、902の近傍であって、両端部902、902から第1回転軸I方向の内側に所定距離だけ離れた位置に形成(設定)される。
ここで、第1幅領域901aにおける第1回転軸Iに平行な幅方向の長さは、「最大通紙幅」である。第1幅領域901aを通過して搬送される各用紙Tにおける搬送方向D1と交差する搬送幅方向D2であって第1回転軸Iに平行な幅方向の長さは、各用紙Tにおける「通紙幅」である。
【0061】
図3A及び図3Bに示すように、光反射部材920は、加熱ローラ9aの内部に配置される。光反射部材920は、加熱ローラ9aの内部において、第1幅領域901aの第1幅領域端部901e、901eに対応する位置の近傍に配置される。「対応する位置」とは、第1幅領域端部901eに対して、加熱ローラ9a(第1回転体)の径方向内側の位置である。「対応する位置の近傍」の近傍とは、「対応する位置」に対して、加熱ローラ9aにおける第1回転軸I方向(搬送幅方向D2)に10mm以内の範囲をいう。
【0062】
本実施形態においては、光反射部材920は、所定の初期形態と、初期形態とは異なる変形形態とに変形可能(可変)に構成される。変形形態としては、光反射部材920のヒータ910に対する角度αを変更した場合の変形形態や、光反射部材920の長さを変更した場合の変形形態等がある。所定の初期形態及び変形形態については、後に詳述する。
【0063】
図3Aから図3Cに示すように、光反射部材920は、4枚の主反射板923、923、923、923と、4枚の主反射板923、923、923、923の外面側に重ね合わせられた4枚の副反射板924、924、924、924と、を有して構成される。4枚の主反射板923、923、923、923及び4枚の主反射板923、923、923、923は、加熱ローラ9aの第1回転軸I方向(第2方向D2)から視た場合、環状の部材が円周方向に分割されるような花びら状に形成される(図3A参照)。
【0064】
光反射部材920の外縁921は、加熱ローラ9aの内周面に対向して配置される。光反射部材920の内周縁922は、ヒータ910の外周面に沿うように対向してヒータ910の近傍に配置される。外縁921は、内周縁922よりも第1回転軸I方向における内側に位置する。
【0065】
図3Cに示すように、主反射板923及び副反射板924それぞれは、加熱ローラ9aの第1回転軸I方向(第2方向D2)における内側に凹状(曲面状)に形成される光反射面925としての主反射面926及び副反射面927(曲面部)を有する。主反射面926及び副反射面927は、ヒータ910における発光面910bに対して所定の角度αを有して配置される。
【0066】
光反射部材920は、例えば、SUSやアルミニウム等の軽金属により形成される。また、主反射面926及び副反射面927は、例えば、凹状の曲面に、熱反射膜(例えば金膜)をコーティングして形成される。これにより、光反射部材920は、ヒータ910からの光を反射する。
【0067】
図3A及び図3Bに示すように、光反射部材920における4枚の主反射板923、923、923、923は、ヒータ910の長手方向(第2方向D2)における両端部に配置されたリング状部材929に取り付けられる。
リング状部材929は、径方向の断面が円形状の環状に形成される。リング状部材929は、内周縁がヒータ910の外周面に沿うように対向して配置される。リング状部材929には、4枚の主反射板923、923、923、923における内周縁922、922、922、922が接続部(図示せず)を介して回動可能に接続される。主反射板923がリング状部材929に対して内周縁922、922、922、922を中心に回動することにより、ヒータ910における発光面910bに対する主反射板923における主反射面926の角度αは、変更可能に構成される。
【0068】
図3B及び図3Cに示すように、光反射部材920の4枚の副反射板924、924、924、924それぞれは、対応する4枚の主反射板923、923、923、923それぞれに第1回転軸I方向外側に重なるように配置される。4枚の副反射板924、924、924、924それぞれにおける第1回転軸I方向の内側表面それぞれは、4枚の主反射板923、923、923、923それぞれにおける第1回転軸I方向の外側表面に対向して当接又は近接して配置される。4枚の副反射板924、924、924、924それぞれは、4枚の主反射板923、923、923、923それぞれの外側表面に沿ってスライド可能に構成される。光反射部材920は、副反射板924、924、924、924をスライドすることにより、光反射部材920における第1回転軸I方向の長さを変更することができる。
これにより、光反射部材920における第1回転軸I方向の内側を向く光反射面925の面積は増大又は減少される。
【0069】
図3A及び図3Bに示すように、光反射部材920の4枚の副反射板924、924、924、924には、4本の操作棒928、928、928、928が取り付けられる。操作棒928は、加熱ローラ9aにおける第1回転軸I方向の両端部に形成される開口部903を介して、一端が副反射板924の外縁921に取り付けられる。これにより、光反射部材920は、操作棒928の押し操作又は引き操作によって、各主反射板923の主反射面926及び副反射板924の副反射面927における光を反射させる角度α及び形状(面積)を変形可能(可変)に構成される。
【0070】
具体的には、操作棒928の押し操作又は引き操作により光反射部材920の傾き角度αを変化させることで、光反射面925のヒータ910における発光面910bに対する角度αを変化させる。また、操作棒928の押し操作又は引き操作により副反射板924を主反射板923の外側表面に沿ってスライドさせることで、光反射部材920における第1回転軸I方向の長さ(光反射面925の面積)を変更する。
【0071】
なお、リング状部材929は、プリンタ1における装置本体Mのケース体BDやその他の部材に固定される。操作棒928は、プリンタ1における装置本体Mのケース体BDやその他の部材に固定された受け部材(不図示)に支持される。操作棒928は、ヒータ910の長手方向(第2方向D2)や主反射板923に沿う方向等に移動可能に支持される。操作棒928は、変形部102、例えば、シリンダ等のアクチュエータ(図示せず)を介して駆動される。
【0072】
図3Aから図3Cに示すように、所定の初期形態における光反射部材920は、外縁921が加熱ローラ9aの内周面における第1幅領域端部901eに対応する位置の近傍に対向して配置される。光反射部材920は、内周縁922がヒータ910の外周面に沿うように対向してヒータ910の近傍に配置される。具体的には、光反射部材920は、主反射板923と副反射板924とが重ね合わされた状態で、加熱ローラ9aの内周面近傍からヒータ910の外周面近傍に亘って形成される。光反射部材920は、光反射面925のヒータ910に対する角度αが直角よりも少し小さな角度Kで配置される。
初期形態においては、図3Cに示すように、少なくともヒータ910からの光の一部は、加熱ローラ9aの内周面における第1幅領域端部901eに対応する位置の近傍に向かうように反射される。また、ヒータ910から放射される光は、光反射部材920により第1幅領域端部901eよりも外側へ向かうことが抑制される。
また、ヒータ910からの放射熱は、光反射部材920により遮蔽されるので、第1幅領域端部901eに対応する位置の近傍よりも外側への放熱が抑制される。
【0073】
図4Aから図4Cに示すように、初期形態とは異なる変形形態として、例えば、光反射部材920のヒータ910に対する角度αを変更した変形形態がある。
図4Cに示すように、光反射部材920は、初期形態(図3C参照)から光反射部材920のヒータ910に対する角度αを変更した変形形態になるように変形可能である。具体的には、光反射部材920は、光反射面925の発光面910bに対する角度αを初期形態における角度α(例えば、K度)(図3C参照)よりも小さい角度α(例えば、a度)になるように変形可能である。
光反射部材920のヒータ910に対する角度αを変更する変形形態は、光反射面925における角度αが、第1回転軸I方向における中央部側に向かって反射させる角度αにされた形態である。具体的には、光反射部材920における主反射板923を、内周縁922を中心に外縁921が加熱ローラ9aの内周面から離間するよう回動させて、角度αを小さくさせた形態である。
これは、連続して用紙Tが印刷(所定枚数以上の用紙Tが連続して第1幅領域901aを通過して搬送)される場合に、加熱ローラ9aの第1回転軸I方向における中央部近傍においての熱消費が大きいことから、光を第1回転軸I方向における中央部側に向かわせるものである。
なお、この光反射面925の発光面910bに対する角度αは、光反射部材920が加熱ローラ9a及びヒータ910に接触しない範囲で適宜変更可能である。
【0074】
また、図5Aから図5Cに示すように、初期形態とは異なる変形形態として、例えば、光反射部材920の長さを変更した変形形態がある。
図5Cに示すように、光反射部材920は、初期形態(図3C参照)から光反射部材920の長さを変更した変形形態になるように変形可能である。具体的には、光反射部材920は、光反射部材920の外縁921を加熱ローラ9aの内周面であって各種用紙Tの幅方向外縁が通る位置に対応した位置に向かわせるように変形可能である。
光反射部材920の長さを変更する変形形態は、光反射部材920の第1回転軸I方向における長さを用紙Tの種類に対応した長さに変更された形態である。具体的には、光反射部材920を、外縁921が加熱ローラ9aの内周面における各種用紙Tの幅方向外縁が通る位置に対応した位置に近づくように延ばした形態である。
これは、用紙Tの通紙幅(用紙Tにおける搬送方向D1と交差する方向であって第1回転軸Iに平行な幅方向の長さ)が用紙Tの種類によって異なることから、加熱ローラ9aの内周面であって第1幅領域901aにおける用紙Tが通過する領域(通紙領域)に対応する位置の近傍に効率よく光を照射させるものである。
【0075】
ここで、用紙Tには、複数の種類(サイズ及び搬送方向)がある。例えば、用紙Tには、大きい順に、A3サイズの用紙、A4サイズの用紙、A5サイズの用紙等がある。また、各種用紙Tそれぞれは、縦方向(長辺に平行な方向)の長さ及び横方向(短辺に平行な方向)の長さが異なる。そのため、用紙Tの種類及通紙方向により通紙幅が異なる。
例えば、各種用紙Tにおける短辺が加熱ローラ9aの第1回転軸I方向(第2方向D2)に平行な状態で定着ニップN9に通紙された場合、用紙Tは、縦方向(長辺が搬送方向D1に平行な方向)で通紙される。また、各種用紙Tにおける長辺が加熱ローラ9aの第1回転軸I方向(第2方向D2)に平行な状態で定着ニップN9に通紙された場合、用紙Tは、横方向(短辺が搬送方向D1に平行な方向)で通紙される。
本実施形態においては、例えば、A3サイズの用紙Tが縦方向に通紙される場合における用紙Tを、「A3T(A3縦)の用紙T」という。A4サイズの用紙Tが縦方向に通紙される場合における用紙Tを、「A4T(A4縦)の用紙T」という。A5サイズの用紙Tが縦方向に通紙される場合における用紙Tを、「A5T(A5縦)の用紙T」という。本実施形態においては、A3Tの用紙Tが定着装置9に通紙された場合における通紙幅は、最大通紙幅である。用紙Tの通紙幅は、A3Tの用紙T、A4Tの用紙T及びA5Tの用紙Tの中においては、大きい順に、A3Tの用紙Tが通紙された場合における通紙幅、A4Tの用紙Tが通紙された場合の通紙幅、A5Tの用紙Tが通紙された場合の通紙幅である。
【0076】
具体的には、図5Bに示すように、例えば、A5T(A5縦)の用紙Tが第1幅領域901aを通過して搬送される場合、用紙Tは、最大通紙幅X1より短い通紙幅X2における第1幅領域901aを通過して搬送される。つまり、A5T(A5縦)の用紙Tは、最大通紙幅X1より短い通紙幅X2における第1幅領域901aを通過して搬送される。
光反射部材920は、図5Bに示すように、初期形態(図3B参照)から用紙Tの種類に対応した変形形態に変形可能である。用紙Tの通紙幅X2が最大通紙幅X1よりも短い場合に、光反射部材920は、第1回転軸I方向における長さが、初期形態における光反射部材920の長さよりも長くなるように変形可能である。つまり、光反射部材920は、外縁921が加熱ローラ9aの内周面における各種用紙Tの幅方向外縁が通る位置に対応した位置に近づくように変形される。
【0077】
光反射部材920の長さを変更した変形形態においては、図5B及び図5Cに示すように、光反射部材920は、ヒータ910から放射される光が第1幅領域901aにおける用紙Tが通過しない領域(非通紙領域)に対応する範囲へ向かわないよう遮蔽すると共に、ヒータ910から放射される光が第1幅領域901aにおける用紙Tが通過する領域(通紙領域)に対応する位置へ向かうように反射させる。
なお、光反射部材920の長さは、加熱ローラ9aの内面に接触しない範囲で適宜変更可能である。光反射部材920は、4枚の副反射板924、924、924、924を段階的にスライドすることで、光反射部材920のヒータ910に対する角度αを保ちながら第1回転軸I方向に徐々に延ばすことができる。
【0078】
ここで、小サイズの用紙T(例えば、A5T(A5縦)の用紙T)に対応して光反射部材920を変形させる場合、副反射板924の外縁921を用紙Tにおける第1幅領域(通紙領域)901aの端部901e近傍に対向させるため、角度αを所定角度になるように変形すると共に、光反射部材920の長さを変更する。具体的には、光反射部材920を初期形態に比べて角度αが小さくなるように変形させると共に、副反射板924をスライドして光反射部材920の長さが長くなるように変形させる。
また、本実施形態においては、1枚の副反射板924を主反射板923に重ねているが、複数の副反射板を重ねる構成であってもよい。
【0079】
図3A及び図3Bに示すように、非接触式の温度検出センサとしての第1サーミスタ970は、加熱ローラ9aの表面における第1回転軸I方向(第2方向D2)の中央部に近接して対向配置される。第1サーミスタ970は、加熱ローラ9aの表面における第1回転軸I方向の中央部の温度を検出する。第2サーミスタ980は、加熱ローラ9aの表面における第1回転軸I方向の両端部近くの第1幅領域端部901eに対応する位置に近接して対向配置される。第2サーミスタ980は、加熱ローラ9aの表面における第1回転軸I方向の両端部近くの第1幅領域端部901eに対応する位置又は近傍の温度を検出する。
【0080】
第1サーミスタ970及び第2サーミスタ980には、サーモスタット990が電気的に接続されている。サーモスタット990は、第1サーミスタ970により検出される加熱ローラ9aの第1回転軸I方向における中央部の温度、及び第2サーミスタ980により検出される第1幅領域端部901eに対応する位置又は近傍の温度に基づいて電気抵抗値を変化させて、加熱ローラ9aが定着に必要な所定温度に保持されるように、ヒータ910の発熱量を自動的に調節する。
【0081】
変形部102は、光反射部材920の形態を変形可能(可変)である。変形部102は、定着装置9が立ち上げ状態にある立ち上げモードにおいては、光反射部材920を所定の初期形態とすることが可能である。
また、変形部102は、トナー画像が転写された用紙Tが第1幅領域901aを通過する(定着される)画像形成モードにおいては、光反射部材920を初期形態とすること、又は、初期形態とは異なる変形形態とすることが可能である。
【0082】
次に、第1実施形態のプリンタ1の特徴部分における機能ブロックについて説明する。図6は、第1実施形態のプリンタ1における機能ブロック図である。図7は、連続搬送形態情報記憶部136に含まれる連続搬送形態テーブル137を示す図である。図8は、種類形態情報記憶部138に含まれる種類形態テーブル139を示す図である。
図6に示すように、プリンタ1は、受け付け部105と、制御部120と、メモリ130とを、備える。
受け付け部105は、画像が形成される用紙Tの枚数に関する枚数情報と、用紙Tの種類に関する種類情報とを含む画像形成指示情報を受け付け可能である。受け付け部105は、受け付けた画像形成指示情報を後述する制御部120に出力する。
画像形成指示情報における用紙Tに関する枚数情報には、プリンタ1の操作部(図示せず)により受け付けられた用紙Tに関する枚数情報や、PC(パーソナルコンピュータ)等の外部機器から受け付けられた用紙Tに関する枚数情報が含まれる。
また、画像形成指示情報における用紙Tの種類に関する種類情報には、用紙Tの種類に関するサイズの規格(縦方向の長さ及び横方向の長さ)や、用紙Tの搬送方向(縦方向又は横方向)に関する情報が含まれる。
【0083】
制御部120は、連続判定部121と、種類検知部122と、モード設定部123と、変形制御部124と、温度判定部125とを備える。
連続判定部121は、受け付け部105により入力された画像形成指示情報に含まれる枚数情報に基づいて、所定枚数以上の用紙Tが連続して第1幅領域901aを通過して搬送されるかを判定する。連続判定部121は、連続判定部121により判定された判定結果を変形制御部124に出力する。例えば、連続判定部121は、5枚以上の用紙Tが連続して搬送される場合に、連続で用紙Tが搬送されると判定する。連続判定部121は、4枚以下の用紙Tが連続して搬送される場合には、非連続で用紙Tが搬送されると判定する。
【0084】
種類検知部122は、受け付け部105により入力された画像形成指示情報に含まれる種類情報に基づいて、用紙Tの種類(サイズ及び搬送方向)を検知する。種類検知部122は、検知結果を変形制御部124に出力する。
【0085】
モード設定部123は、定着装置9に電力が供給されることにより、定着装置9を立ち上げモードにする。立ち上げモードは、定着装置9が立ち上げ状態にある場合のモードである。モード設定部123は、トナー画像が転写された用紙Tが第1幅領域901aを通過して搬送される場合、立ち上げモードから画像形成モード、又は後述する省電力モードから立ち上げモードに移行させる。モード設定部123は、立ち上げモードにおける画像形成モードに移行可能な状態において、所定時間経過した場合、立ち上げモードから省電力モードに移行させる。省電力モードは、定着装置9におけるヒータ910の発熱動作が停止される場合の省電力状態のモードである。
【0086】
変形制御部124は、立ち上げモードにおいては、光反射部材920を所定の初期形態とするよう変形部102に指示する。また、変形制御部124は、画像形成モードにおいては、光反射部材920を初期形態とするように変形部102に指示するか、又は、初期形態とは異なる変形形態とするように変形部102に指示することができる。
【0087】
温度判定部125には、第2サーミスタ980により測定(検出)される温度情報が入力される。また、温度判定部125は、第2サーミスタ980により測定される温度が所定温度TA以上であるかを判定する。
【0088】
メモリ130は、初期形態情報記憶部131と、変形形態情報記憶部135とを備える。
初期形態情報記憶部131は、所定の初期形態に関する形態情報を記憶する。具体的には、初期形態情報記憶部131は、光反射部材920を外縁921が加熱ローラ9aの内周面における第1幅領域端部901eに対応する位置の近傍に対向して配置させる形態とする所定の初期形態を記憶する。
変形形態情報記憶部135は、変形形態に関する形態情報を記憶する。変形形態情報記憶部135は、連続搬送形態情報記憶部136と、種類形態情報記憶部138とを備える。
連続搬送形態情報記憶部136は、所定枚数以上の用紙Tが連続して第1幅領域901aを通過して搬送される場合に対応する初期形態又は変形形態に関する形態情報を記憶する。連続搬送形態情報記憶部136は、連続搬送形態テーブル137を含んで構成される。
【0089】
連続搬送形態テーブル137について、図7を参照しながら説明する。
図7に示すように、連続搬送形態テーブル137は、用紙Tの非連続/連続及び用紙Tの種類に対応した光反射面925の発光面910bに対する角度αを記憶する。例えば、連続搬送形態テーブル137には、非連続で用紙Tが搬送される場合には、光反射面925の発光面910bに対する角度αは、初期形態の角度K度であるという情報が記憶される。また、連続搬送形態テーブル137には、連続で用紙Tが搬送される場合には、光反射面925の発光面910bに対する角度αは、A3縦(A3T)の用紙Tの場合はa度、A4T(A4縦)の用紙Tの場合はb度、A5縦(A5T)の場合はc度であるという情報が記憶される。
連続搬送形態テーブル137に記憶された情報は、連続判定部121により用紙Tが非連続/連続で搬送されると判定された場合に、連続搬送形態情報記憶部136から読み出される。変形制御部124は、読み出された連続搬送形態テーブル137に記憶された情報に基づいて、変形部102に指示する。
【0090】
種類形態情報記憶部138は、用紙Tの種類(サイズ及び搬送方向)と、用紙Tの種類に対応した初期形態又は変形形態とが関連付けられた形態情報を記憶する。種類形態情報記憶部138は、種類形態テーブル139を含んで構成される。
種類形態テーブル139について、図8を参照しながら説明する。
図8に示すように、種類形態テーブル139は、用紙Tの種類に対応した光反射面925の発光面910bに対する角度α及び光反射部材920の長さを記憶する。例えば、種類形態テーブル139には、A3T(A3縦)の用紙Tが搬送される場合には、光反射面925の発光面910bに対する角度αはA度であると共に、光反射部材920の長さが0段階の長さであるという情報が記憶される。また、種類形態テーブル139には、A4T(A4縦)の用紙が搬送される場合には、光反射面925の発光面910bに対する角度αはB度であると共に、光反射部材920の長さが1段階の長さであるという情報が記憶される。種類形態テーブル139には、A5縦(A5T)の用紙が搬送される場合には、光反射面925の発光面910bに対する角度αはC度であると共に、光反射部材920の長さが2段階の長さであるという情報が記憶される。
【0091】
種類形態テーブル139に記憶された情報は、種類検知部122により用紙Tの種類が検知された場合に、種類形態情報記憶部138から読み出される。変形制御部124は、読み出された種類形態テーブル139に記憶された情報に基づいて、変形部102に指示する。具体的には、変形制御部124は、用紙Tの種類を検知した場合には、光反射部材920を初期形態又は変形形態とするように変形部102に指示する。
【0092】
次に、図3Aから図5Cを参照して、定着装置9を含むプリンタ1の動作について説明する。
第1実施形態において、プリンタ1は、電源がONされると、電源部(図示せず)から帯電部10、レーザスキャナユニット4、現像器16、転写ローラ8、プリンタ制御部(図示せず)、定着装置9、及びヒータ910それぞれに電力が供給される。そして、プリンタ制御部からの制御信号により帯電部10、レーザスキャナユニット4、現像器16、転写ローラ8、定着装置9及びヒータ910がそれぞれ制御される。
【0093】
具体的には、本実施形態のプリンタ1において、レジストローラ対80から送り出された用紙Tは、第1搬送路L1を通って感光体ドラム2と転写ローラ8との間の転写ニップNへ搬送される。このように用紙Tが感光体ドラム2へ向かって搬送されるとき、まず、帯電部10が、感光体ドラム2の表面全体を帯電させると共に、レーザスキャナユニット4が、レーザ光源(図示せず)から感光体ドラム2へ向けてレーザ光を照射し、感光体ドラム2の表面のうちレーザ光が照射された部分に静電潜像を形成する。
【0094】
続けて、現像器16は、帯電したトナーを現像ローラ17により感光体ドラム2へ供給する。これにより、感光体ドラム2の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させて、トナー画像を現像する。
また、続けて、転写ローラ8は、感光体ドラム2と転写ローラ8との間を通過する用紙Tに、感光体ドラム2の表面に形成されたトナー画像を転写する。
【0095】
そして、トナー画像が転写された用紙Tは、第2搬送路L2を通って定着装置9へ向けて搬送される。具体的には、トナー画像が形成された用紙Tは、定着装置9における加熱ローラ9aと加圧ローラ9bとの間(転写ニップ)へ搬送される。
【0096】
また、プリンタ制御部から出力された所定の制御信号をヒータ910が受信した場合、発熱動作を開始する。具体的には、プリンタ制御部はプリンタ1における電源ON信号又は画像形成指示情報等を受信した場合、ヒータ910に対し、発熱動作(例えば、発光)を開始させる指示をする。
同時に、プリンタ制御部から出力された所定の制御信号をヒータ910が受信した場合、電源部から加圧ローラ駆動部(図示せず)への電力の供給が開始される。これにより、加圧ローラ9bが回転駆動されると共に、加圧ローラ9bの回転駆動に伴って加熱ローラ9aが従動回転される。
【0097】
<第1実施例>
ここで、図3Aから図10により、変形形態の第1実施例における定着装置9の動作について詳述する。図9は、第1実施例のプリンタ1における動作を説明するフローチャートである。図10は、第1実施例のプリンタ1における温度判定部125による判定方法を説明するための図である。
まず、ステップST101において、プリンタ1における電源がONされると、電源部は、定着装置9に電力を供給する。
ここで、定着装置9は、電源部により電力が供給されることにより、電源が立ち上げ状態にある第1立ち上げモードとなる。モード設定部123は、電源部により電力が供給されることにより、定着装置9を第1立ち上げモードとしている。
また、電源部により電力が供給されることで、定着装置9を構成するヒータ910は、発熱動作を開始する。
【0098】
ステップST102において、変形制御部124は、初期形態情報記憶部131から所定の初期形態に関する形態情報を取得する。初期形態情報記憶部131に記憶された所定の初期形態は、光反射部材920を外縁921が加熱ローラ9aの内周面における第1幅領域端部901eに対応する位置の近傍に対向して配置させる形態である。
【0099】
ステップST103において、変形制御部124は、光反射部材920が初期形態である場合には、現状の形態(初期形態)を維持するよう変形部102に指示する。また、変形制御部124は、光反射部材920が初期形態ではない場合には、初期形態情報記憶部131に記憶された初期形態に関する形態情報に基づいて、光反射部材920を初期形態とするように変形部102に指示する。
【0100】
ステップST104において、変形部102は、変形制御部124の指示に基づいて、光反射部材920における形態を維持し、又は、他の形態から初期形態とするように変形させる。これにより、光反射部材920は、図3Aから図3Cに示すように、外縁921が加熱ローラ9aの内周面における第1幅領域端部901eに対応する位置の近傍に対向して配置される。
初期形態においては、図3Cに示すように、ヒータ910からの光の一部は、加熱ローラ9aの内周面における第1幅領域端部901eに対応する位置の近傍に向かうよう反射される。そのため、加熱ローラ9aの内周面における第1幅領域端部901eに対応する位置の近傍は、効率よく加熱され昇温する。
【0101】
ステップST105において、図10に示すように、温度判定部125には、第2サーミスタ980により測定された加熱ローラ9aにおける第1幅領域端部901eに対応する位置又は近傍の温度が入力される。温度判定部125は、第2サーミスタ980により測定された温度が所定温度を超えた場合には、モード設定部123に判定信号を出力する。そして、ステップST106に進む。温度判定部125は、第2サーミスタ980により測定された第1幅領域端部901eに対応する位置又は近傍の温度が所定温度を超えない場合には、ステップST105に戻る。
【0102】
ステップST106において、電源ON直後の第1立ち上げモードにおいては、第2サーミスタ980により測定された温度が所定温度を超えた場合、モード設定部123は、定着装置9を第1立ち上げモードから画像形成モードに移行可能な状態とする。
【0103】
ステップST107において、第1立ち上げモードにおける画像形成モードに移行可能な状態において、受け付け部105が画像形成指示情報を所定時間内に受信しない場合(ST107:No)には、ステップST108に進む。第1立ち上げモードにおける画像形成モードに移行可能な状態において、所定時間内に受け付け部105が画像形成指示情報を受信した場合(ST107:Yes)には、後述するステップST111に進む。
【0104】
ステップST108において、定着装置9は、第1立ち上げモードにおける画像形成モードに移行可能な状態において、所定時間経過した場合、省電力のために立ち上げモードから省電力モード(待ち状態)に移行する。モード設定部123は、受け付け部105が画像形成指示情報を受信するまで、定着装置9を省電力モード(待ち状態)とする。定着装置9を省電力モードとした場合には、ヒータ910は、発熱動作が停止される省電力状態となる。
【0105】
ステップST109において、受け付け部105が画像形成指示情報を受信した場合、モード設定部123は、定着装置9を省電力モード(待ち状態)から第2立ち上げモード(立ち上げ状態)に移行させる。第2立ち上げモードにおいては、ヒータ910の発熱動作が停止されることにより低下した加熱ローラ9aの温度を上昇させる。
具体的には、受け付け部105は、PC(パーソナルコンピュータ)等の外部機器から出力された画像形成指示情報を外部入力部(図示せず)を介して受け付ける。受け付け部105は、受け付けた画像形成指示情報を制御部120に出力する。そして、制御部120に含まれるモード設定部123は、定着装置9を省電力モード(待ち状態)から第2立ち上げモード(立ち上げ状態)に移行させる。
ここで、画像形成指示情報には、画像が形成される用紙Tの枚数に関する枚数情報と、用紙Tの種類(サイズ及び搬送方向)に関する種類情報とが含まれる。
【0106】
ステップST110において、図10に示すように、温度判定部125には、第2サーミスタ980により測定された加熱ローラ9aにおける第1幅領域端部901eに対応する位置又は近傍の温度が入力される。温度判定部125は、第2サーミスタ980により測定された温度が所定温度を超えた場合(ST110:Yes)には、モード設定部123に判定信号を出力する。そして、ステップST111に進む。温度判定部125は、第2サーミスタ980により測定された第1幅領域端部901eに対応する位置又は近傍の温度が所定温度を超えない場合(ST110:No)には、ステップST110に戻る。
【0107】
ステップST111において、モード設定部123は、温度判定部125に出力された判定信号に基づいて定着装置9を立ち上げモードから画像形成モード(画像形成状態)に移行させる。
画像形成モードは、プリンタ1は、用紙Tに印刷可能な状態である。詳細には、画像形成モードは、トナー画像が転写された用紙Tが第1幅領域901aを通過する(定着される)モードである。
【0108】
ステップST112において、連続判定部121は、受け付け部105により受け付けられた画像形成指示情報に含まれる用紙Tの枚数に関する枚数情報に基づき、例えば、5枚以上の用紙Tが連続して第1幅領域901aを通過して搬送される(印刷される)かを判定する。連続判定部121は、連続判定部121により判定された判定結果を変形制御部124に出力する。
【0109】
ステップST113において、変形制御部124は、連続判定部121により判定された判定結果に基づいて、連続搬送形態情報記憶部136における連続搬送形態テーブル137に記憶された形態情報を取得する。変形制御部124は、例えば、A3T(A3縦)の用紙Tが連続して5枚以上印刷されるという枚数情報が連続判定部121により判定された場合には、連続判定部121により判定された判定結果に基づいて、図7に示すように、光反射部材920を光反射面925のヒータ910の発光面910bに対する角度αをa度とする変形形態に変形させる形態情報を取得する。また、A3T(A3縦)の用紙Tが連続して5枚未満印刷されるという枚数情報が連続判定部109により判定された場合には、連続判定部109により判定された判定結果に基づいて、光反射部材920を光反射面925のヒータ910の発光面910bに対する角度αを初期形態の角度K度とする形態情報を取得する。
連続搬送形態テーブル137には、用紙Tの連続印刷又は非連続印刷における用紙Tの種類に対応した光反射面925の発光面910bに対する角度αに関する形態情報が記憶されている。これにより、光反射部材920は、用紙Tの種類(サイズ)に対応しつつ、連続印刷による加熱ローラ9aにおける第1回転軸I方向の中央部の温度低下を抑制するため、加熱ローラ9aにおける第1回転軸I方向の中央部側にヒータ910からの光を反射させる形態に変形可能である。
【0110】
ステップST114において、変形制御部124は、連続搬送形態情報記憶部136に記憶された形態情報に基づいて、光反射部材920を所定の変形形態又は初期形態とするように変形部102に指示する。
【0111】
ステップST115において、変形部102は、変形制御部124の指示に基づいて、光反射部材920を変形形態又は初期形態とするように変形させる。
変形部102は、例えば、連続判定部121によるA3T(A3縦)の用紙Tが連続して5枚以上印刷されるという判定結果に基づいて、図4Aから図4Cに示すように、光反射部材920を光反射面925の発光面910bに対する角度αが、初期形態における光反射面925の発光面910bに対する角度α(K度)よりも小さいa度になるように変形させる。これにより、図4Cに示すように、光反射部材920は、ヒータ910における発光面910bからの光を加熱ローラ9aの内周面であって第1回転軸I方向における中央部側に向けて反射させる。
その結果、5枚以上のA3T(A3縦)の用紙Tが連続して搬送される場合の熱エネルギーの消費に対応して、加熱ローラ9aにおける第1回転軸I方向の中央部側へヒータ910からの光を光反射部材920で反射させる。これにより、用紙Tが搬送される加熱ローラ9aにおける第1回転軸I方向の中央部の温度低下を抑制することができる。
【0112】
定着装置9による前述のような定着動作時において、加熱ローラ9aは、加熱ローラ9aの内部に配置されたヒータ910から放射される光により、加熱ローラ9aの内側から加熱され、その加熱された熱が定着ニップN9に伝達される。
そして、定着装置9は、加熱ローラ9aと加圧ローラ9bとの間を通過する用紙Tに形成されたトナー画像に対して、ヒータ910により加熱された加熱ローラ9aを介して熱を付与すると共に加圧ローラ9bによって圧力を加える。これにより、トナー画像を構成するトナーTNが溶解され、トナー画像は用紙Tに定着される。
【0113】
<第2実施例>
続けて、図3Aから図8、図10及び図11により、変形形態の第2実施例における定着装置9の動作について詳述する。図11は、第2実施例のプリンタ1における動作を説明するフローチャートである。変形形態の第2実施例については、主として、第1実施例と異なる点を中心に説明し、第1実施例と同様の構成については同じ符号を付し、詳しい説明を省略する。第2実施例において、特に説明しない点は、第1実施例についての説明が適宜適用される。また、第2実施例においても、第1実施例と同様の効果が奏される。
【0114】
図10に示すように、第2実施例におけるステップST201からステップST211における動作は、第1実施例におけるステップST101からステップST111の動作と同様であるため、説明を省略する。
【0115】
ステップST212において、種類検知部122は、受け付け部105により受け付けられた画像形成指示情報に含まれる用紙Tの種類(サイズ及び搬送方向)に関する種類情報に基づき、用紙Tの種類を検知する。種類検知部122は、検知した用紙Tの種類に関する種類情報を変形制御部124に出力する。
【0116】
ステップST213において、変形制御部124は、種類検知部122に検知された用紙Tの種類に関する種類情報に基づいて、種類形態情報記憶部138における種類形態テーブル139に記憶された形態情報を取得する。変形制御部124は、例えば、A5T(A5縦)の用紙Tが印刷されるという種類情報が種類検知部122により検知された場合には、種類検知部122により検知された用紙Tの種類に関する種類情報に基づいて、図5Cに示すように、光反射部材920を光反射面925のヒータ910の発光面910bに対する角度αをC度、光反射部材920の長さを2段階の長さとする変形形態に関する形態情報を取得する。
種類形態テーブル139には、用紙Tの連続印刷又は非連続印刷における用紙Tの種類に対応した光反射面925の発光面910bに対する角度α及び光反射部材920の長さに関する形態情報が記憶されている。これにより、光反射部材920は、ヒータ910からの光を用紙Tの非通紙領域に対応する範囲へ向かわないよう遮蔽すると共に、ヒータ910からの光を用紙Tの通紙領域に対応する位置へ向かうように反射させる形態に変形可能である。
【0117】
ステップST214において、変形制御部124は、種類形態情報記憶部138に記憶された形態情報に基づいて、光反射部材920を所定の変形形態又は初期形態とするように変形部102に指示する。
【0118】
ステップST215において、変形部102は、変形制御部124の指示に基づいて、光反射部材920を変形形態又は初期形態とするように変形させる。
変形部102は、例えば、小サイズのA5T(A5縦)の用紙Tが印刷される場合には、種類検知部122によるA5T(A5縦)の用紙Tが印刷されるという検知情報に基づいて、図5Cに示すように、光反射部材920を光反射面925の発光面910bに対する角度αが、初期形態(図3C参照)における光反射面925の発光面910bに対する角度αよりも小さくなると共に、第1回転軸I方向における長さが、初期形態における長さよりも長くなるように変形させる。
その結果、光反射部材920は、ヒータ910からの光をA5T(A5縦)の用紙Tの非通紙領域に対応する範囲へ向かわないように遮蔽すると共に、ヒータ910からの光を用紙Tの通紙領域に対応する位置へ向かうように反射させる。これにより、用紙Tの種類(サイズ)に対応した定着に必要な範囲で加熱ローラ9aを効率よく加熱することができる。
【0119】
<他の実施例>
続けて、図10及び図12において、他の実施例における定着装置9の動作について詳述する。図12は、他の実施例のプリンタ1における動作を説明するフローチャートである。
他の実施例については、主として、第1実施例及び第2実施例と異なる点を中心に説明し、他の実施例と同様の構成については同じ符号を付し、詳しい説明を省略する。他の実施例において、特に説明しない点は、他の実施例についての説明が適宜適用される。また、他の実施例においても、第1実施例及び第2実施例と同様の効果が奏される。
他の実施例は、定着装置9を画像形成モードに移行させない状態においても、光反射部材920を初期形態又は初期形態とは異なる変形形態とすることが可能である点において、第1実施例及び第2実施例とは異なる。
【0120】
まず、ステップST301において、プリンタ1における電源がONされると、電源部は、定着装置9に電力を供給する。定着装置9は、電源部により電力が供給されることで立ち上がる。また、電源部により電力が供給されることで、定着装置9を構成するヒータ910は、発熱動作を開始する。
ここで、定着装置9が立ち上げ時から所定時間内においては、変形制御部124は、光反射部材920を所定の初期形態とするように変形部102に指示する。
【0121】
ここで、他の実施例におけるステップST302からステップST304の動作(図12参照)においては、第1実施例におけるステップST102からステップST104までの動作(図9参照)と同様であるため、詳細な説明を省略する。
ステップST302において、変形制御部124は、初期形態情報記憶部131から所定の初期形態に関する形態情報を取得する。
ステップST303において、変形制御部124は、光反射部材920を初期形態とするように変形部102に指示する。
ステップST304において、変形部102は、初期形態とするように変形させる。
【0122】
ステップST305において、第1実施例におけるステップST105と同様に、温度判定部125には、第2サーミスタ980により測定された加熱ローラ9aにおける第1幅領域端部901eに対応する位置又は近傍の温度が入力される。
図10に示すように、温度判定部125は、第2サーミスタ980により測定された温度が所定温度TAを超えた場合(ST305:Yes)には、モード設定部123に判定信号を出力する。そして、ステップST306に進む。温度判定部125は、第2サーミスタ980により測定された第1幅領域端部901eに対応する位置又は近傍の温度が所定温度TAを超えない場合(ST305:No)には、ステップST305に戻る。
【0123】
ステップST306において、図10に示すように、第2サーミスタ980により測定された温度が所定温度を超えた場合、変形制御部124は、光反射部材920を所定の初期形態又は初期形態とは異なる変形形態とするように変形部102に指示することが可能な状態となる。具体的には、加熱ローラ9aにおける第1幅領域端部901eに対応する位置の近傍の温度が所定の温度を超えれば、変形制御部124は、変形部102に指示可能な状態となる。
【0124】
ステップST307において、変形制御部124は、例えば、制御部120に入力された画像形成指示情報等に基づき、光反射部材920を所定の初期形態又は初期形態とは異なる変形形態とするように変形部102に指示する。加熱ローラ9aにおける第1幅領域端部901eに対応する位置の近傍の温度が所定温度TAを超えれば、光反射部材920を初期形態又は初期形態とは異なる変形形態に変形(維持)することができる。
そのため、実施例1及び実施例2のように画像形成モードに移行しない場合においても、光反射部材920を初期形態又は初期形態とは異なる変形形態とすることができる。
【0125】
ステップST308において、変形制御部124は、光反射部材920を初期形態又は初期形態とは異なる変形形態に変形させる。変形形態の態様については、実施例1及び実施例2と同様であるため説明を省略する。
【0126】
第1実施形態のプリンタ1によれば、次のような効果が奏される。
第1実施形態のプリンタ1においては、最大幅の用紙Tが定着ニップN9に搬送された場合における加熱ローラ9aの外周表面の最大通紙領域となる第1幅領域901aの第1幅領域端部901eに対応する位置の近傍に、光反射部材920が配置される。光反射部材920は、ヒータ910からの光を反射させる光反射面925を有すると共に、光反射面925の発光面910bに対する角度αや形状(面積)を含む形態を可変に構成される。そのため、ヒータ910による加熱ローラ9aの加熱を効率よく行うことができると共に、加熱ローラ9aの第1幅領域(最大通紙領域)901aにおける所定領域を効率的に昇温させることができる。
【0127】
また、第1実施形態においては、変形制御部124は、立ち上げモードにおいては、初期形態とするように変形部102に指示し、画像形成モードにおいては、初期形態とするように変形部102に指示するか、初期形態とは異なる変形形態とするように変形部102に指示する。そのため、立ち上げモード及び画像形成モードにおいて、加熱ローラ9aを効率よく加熱して昇温することが可能である。これにより、加熱ローラ9aを定着に必要な所定温度に加熱して昇温させるために要する熱エネルギーを節減することができる。
【0128】
また、第1実施形態においては、立ち上げモードにおいて、光反射部材920は、ヒータ910からの光の一部が、加熱ローラ9aの内周面における第1幅領域端部901eに対応する位置の近傍に向かうように反射される初期形態とすることができる。そのため、加熱ローラ9aの内周面における第1幅領域端部901eに対応する位置の近傍を効率よく加熱して昇温することが可能である。これにより、第1幅領域901a全体の温度上昇の速度を速くすることが可能である。その結果、定着開始(スタート)時におけるウォームアップ時間を短縮することができる。
【0129】
また、第1実施形態においては、光反射部材920は、所定枚数以上の用紙Tが連続して第1幅領域901aを通過して搬送されると判定された場合に、初期形態又は変形形態となる。そのため、光反射部材920は、用紙Tの種類(サイズ)に対応しつつ、加熱ローラ9aにおける第1回転軸I方向の中央部側にヒータ910からの光を反射させる形態に変形可能である。これにより、所定枚数以上の用紙Tが連続して搬送される場合の熱エネルギーの消費に対応して加熱ローラ9aを効率よく加熱して昇温することが可能である。
【0130】
また、第1実施形態においては、光反射部材920は、所定枚数以上の用紙Tが連続して第1幅領域901aを通過して搬送されると判定された場合に、ヒータ910の発光面910bからの光を加熱ローラ9aの内周面であって第1回転軸I方向における中央部側に向けて反射させる。そのため、ヒータ910からの光は、加熱ローラ9aの第1回転軸I方向における中央部側に集光される。これにより、連続印刷による加熱ローラ9aにおける第1回転軸I方向の中央部の温度低下を抑制することができる。
【0131】
また、第1実施形態においては、光反射部材920は、光反射面925の発光面910bに対する角度αが、所定枚数以上の用紙Tが連続して第1幅領域901aを通過して搬送されると判定された場合に、初期形態における光反射面925の発光面910bに対する角度αよりも小さくなるよう変形される。そのため、簡易な構成により、ヒータ910からの光を加熱ローラ9aの第1回転軸I方向における中央部側に集光させることができる。これにより、連続印刷による加熱ローラ9aにおける第1回転軸I方向の中央部の温度低下を抑制することができる。
【0132】
また、第1実施形態においては、光反射部材920は、用紙Tの種類に対応した初期形態又は変形形態とすることができる。そのため、用紙Tの種類に対応して加熱ローラ9aを効率よく加熱して昇温することが可能である。
【0133】
また、第1実施形態においては、光反射部材920は、用紙Tの幅方向の長さ(通紙幅)が第1幅領域901aの長さ(最大通紙幅)より短い場合に、用紙Tの種類に対応した変形形態に変形される。そのため、小さいサイズの用紙Tが搬送される場合において、加熱ローラ9aにおける用紙Tの定着に必要な範囲で加熱ローラ9aを効率よく加熱することができる。
【0134】
また、第1実施形態においては、光反射部材920は、用紙Tの幅方向の長さが第1幅領域901aの長さよりも短い場合、光反射面925の発光面910bに対する角度αが、初期形態における光反射面925の発光面910bに対する角度αよりも小さくなると共に、第1回転軸I方向における長さが、初期形態における長さよりも長くなるように変形される。そのため、光反射部材920は、ヒータ910からの光を小サイズの用紙T(例えば、A5T(A5縦)の用紙T)の非通紙領域に対応する範囲へ向かわないように遮蔽すると共に、ヒータ910からの光を小サイズの用紙Tの通紙領域に対応する位置へ向かうように反射させる。これにより、用紙Tの種類(サイズ)に対応した定着に必要な範囲で加熱ローラ9aを効率よく加熱することができる。
【0135】
また、第1実施形態においては、第2サーミスタ980と、温度判定部125とを備える。そのため、光反射部材920は、定着装置9が立ち上げ時から所定時間内においては、初期形態となり、加熱ローラ9aにおける第1幅領域端部901eに対応する位置の近傍の温度が所定温度TAを超えれば、光反射部材920を初期形態又は初期形態とは異なる変形形態に変形(維持)することができる状態になる。これにより、加熱ローラ9aを効率よく加熱して昇温することが可能である。
また、第2サーミスタ980と、温度判定部125とを備える簡易な構成で、加熱ローラ9aを効率よく加熱して昇温することが可能である。
【0136】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態の定着装置9Aについて説明する。図13は、第2実施形態の定着装置9を第1回転軸I方向から視た縦断面図であって、光反射部材が初期形態である場合の図である。図14は、図13に示す定着装置9を用紙Tの搬送方向D1から視た縦断面図である。図15は、第2実施形態の定着装置9を用紙Tの搬送方向D1から視た縦断面図であって、光反射面925の発光面910bに対する角度αが初期形態よりも小さくなるように光反射部材920が変形された場合の図である。
第2実施形態については、主として、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、詳しい説明を省略する。第2実施形態において、特に説明しない点は、第1実施形態についての説明が適宜適用される。また、第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が奏される。
【0137】
図13から図15に示すように、第2実施形態の定着装置9Aは、第1回転体としての加熱回転ベルト9aと、第2回転体としての加圧ローラ9bと、受圧部材940と、支持部材960と、2つのヒータ910,910と、光反射部材920と、温度測定センサとしての第1サーミスタ970及び第2サーミスタ980と、を備える。
【0138】
図13及び図14に示すように、加熱回転ベルト9aは、環状であると共に可撓性及び耐熱性を有する回転ベルトである。加熱回転ベルト9aは、用紙Tの搬送方向D1と直交する第2方向D2に延びる第1回転軸Iを中心に、回転可能に構成される。例えば、加熱回転ベルト9aは、肉厚が30から50μm程度のSUS(ステンレス鋼)、Ni鋼等の金属ベルトの外周面に、厚さが200から500μm程度のシリコーンゴムの弾性層を設け、更に、この弾性層の外周面に、肉厚が30μm程度のPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂製の耐熱性フィルムからなる離型層を設けることで構成される。
【0139】
2つのヒータ910,910は、加熱回転ベルト9aの内部における支持部材960よりも搬送方向D1の下流側(図13において左側)及び上流側(図13において右側)それぞれに設置される。これら2つのヒータ910は、加熱回転ベルト9aと加圧ローラ9bとの間に挟持されて搬送される用紙Tに、加熱回転ベルト9aを介して熱を付与する。これにより、トナー画像が転写された用紙Tを定着ニップN9に搬送し、通過させることで、用紙T上のトナーTNが溶融して用紙Tに定着される。
【0140】
図13に示すように、受圧部材940は、加熱回転ベルト9aの内部において、加熱回転ベルト9aの第1回転軸I方向(第2方向D2)に長く延びて形成される。受圧部材940は、その長手方向の両端それぞれにおいて、不図示の筐体の長手方向両端に固定される。
受圧部材940は、加熱回転ベルト9aを介して加圧ローラ9bとの間に定着ニップN9を形成する部材である。受圧部材940には、加圧ローラ9bから加熱回転ベルト9aが受ける圧力を受け止めるために、一定以上の強度が必要である。また、受圧部材940は、加熱回転ベルト9aの内周面と接しているため、熱容量、耐熱性、耐摩耗性などにも優れていることが必要である。これらの必要条件を備えるため、受圧部材940は、例えば、SUS(ステンレス鋼)から構成される。なお、前記の条件を備えるのであれば、受圧部材940は、樹脂から構成することも可能である。
【0141】
受圧部材940の具体的な構成について説明する。受圧部材940は、加熱回転ベルト9aの内周面に摺動可能に接触する摺接平板部941と、摺接平板部941に対して垂直に延びる2つの側面板部942,942と、これら2つの側面板部942,942と摺接平板部941とを繋ぐ2つの傾斜板部943,943と、を有する。受圧部材940は、加熱回転ベルト9aの第1回転軸I方向(第2方向)D2の断面において、加熱回転ベルト9aの径方向中心に向けて開放したC字形状を有する。受圧部材940は、例えば、厚みが0.2mm程度のSUS(ステンレス鋼)から構成される。受圧部材940が摺接平板部941の両側に2つの傾斜板部943,943を有することで、受圧部材940に対する加熱回転ベルト9aの摺動が滑らかになる。
【0142】
図13に示すように、支持部材960は、受圧部材940が加圧ローラ9bから受ける圧力を受け止めて支持するために、すなわち、受圧部材940を補強するために、加熱回転ベルト9aの内部に配置される。支持部材960は、加熱回転ベルト9aの第1回転軸I方向(第2方向)D2の断面において、略T字形状を有する。具体的には、支持部材960は、断熱部材962を挟んで、受圧部材940の摺接平板部941に突き当てられる下端板部960Aと、加熱回転ベルト9aの径方向中心に向かって延びる立上げ板部960Bとを有する。立上げ板部960Bは、その自由端が加熱回転ベルト9aの内周面に近接する高さを有する。
【0143】
支持部材960は、その下端板部の長手方向両端部を不図示の筐体の長手方向両端に固定される。
前述のような支持部材960の存在により、定着ニップN9における圧力(定着圧)が安定し、定着ニップN9を通過する用紙Tに強い圧力を加えることが可能となり、定着不良を防止できる。
【0144】
支持部材960は、厚みが3mm程度のSUS(ステンレス鋼)から構成される。断熱部材962は、厚みが2mm程度の耐熱性シリコンスポンジ、シリコン繊維加工布、ガラスウールなどから構成されており、受圧部材940からの伝熱を抑制する。また、支持部材960の下端板部960Aの表面及び立上げ板部960Bの両面の全域は、反射部材963により覆われている。反射部材963は、厚みが0.5mm程度のアルミニウムや金膜などで構成され、ヒータ910の輻射熱が光熱変換しないように輻射熱を反射する。
【0145】
光反射部材920について説明する。
図13及び図14に示すように、光反射部材920は、加熱回転ベルト9aの内部で、加熱回転ベルト9aの第1回転軸I方向における両端部の近傍の第1幅領域端部901eに対応する位置の近傍で且つ2つのヒータ910,910の上部に配置される。光反射部材920は、支持部材960の立上げ板部960Bに取り付けられて支持されており、立上げ板部960Bの両側に突出されている。
【0146】
本実施形態においては、光反射部材920は、所定の初期形態と、初期形態とは異なる変形形態とに変形可能(可変)に構成される。変形形態としては、光反射部材920のヒータ910に対する角度αを変更した場合の変形形態や、光反射部材920の長さを変更した場合の変形形態等がある。
【0147】
図13に示すように、光反射部材920は、加熱回転ベルト9aの第1回転軸I方向(第2方向D2)から視た場合、長方形の板状に形成される。
また、図14に示すように、光反射部材920は、上方から視た場合、第1回転軸I方向の外側に凸の円弧状に湾曲して形成される。光反射部材920は、長手方向両端の外縁921の角部が加熱回転ベルト9aの内周面における第1幅領域端部901eに対応する位置の近傍に対向するように配置される。
【0148】
光反射部材920は、主反射板923と、副反射板924とを有して構成される。副反射板924は、主反射板923の外面側に重ね合させられて配置される。
【0149】
主反射板923及び副反射板924それぞれは、加熱ローラ9aの第1回転軸I方向(第2方向D2)における内側に凹状(曲面状)に形成される光反射面925としての主反射面926及び副反射面927(曲面部)を有する。主反射面926及び副反射面927は、ヒータ910における発光面910bに対して所定の角度αを有して配置される。
【0150】
主反射板923は、主反射板923における内周縁922を中心として回動可能に、立上げ板部960Bの先端側に取り付けられる。主反射板923が立上げ板部960Bに対して回動することにより、ヒータ910における発光面910bに対する主反射板923における主反射面926の角度αは、変更可能に構成される。
【0151】
光反射部材920の副反射板924は、対応する主反射板923に第1回転軸I方向外側に重なるように配置される。副反射板924の第1回転軸I方向の内側表面は、主反射板923の第1回転軸I方向の外側表面に対向して当接又は近接して配置される。副反射板924は、主反射板923の外側表面に沿ってスライド可能に構成される。光反射部材920は、副反射板924をスライドさせることにより、光反射部材920における第1回転軸I方向の長さを変更することができる。
これにより、光反射部材920における第1回転軸I方向の内側に面する光反射面925の面積は増大又は減少される。
【0152】
また、光反射部材920の副反射板924は、操作棒(図示せず)に取り付けられる。操作棒は、加熱ローラ9aにおける第1回転軸I方向の両端部に形成される開口部903を介して、一端が副反射板924の外縁921に取り付けられる。これにより、光反射部材920は、操作棒928の押し操作又は引き操作によって、各主反射板923の主反射面926及び副反射板924の副反射面927における光を反射させる角度α及び形状(面積)を変形可能(可変)である。
【0153】
これにより、図14に示すように、立ち上げ時においては、光反射部材920は、初期形態とされて、2つのヒータ910,910から放射される光を加熱回転ベルト9aの内周面における第1幅領域端部901eに対応する位置の近傍に向かうように反射する。
また、所定枚数以上の用紙Tが連続して第1幅領域901aを通過して搬送される場合には、図16に示すように、光反射部材920は、光反射面925の発光面910bに対する角度αが変更されるように変形されて、2つのヒータ910,910から放射される光を加熱回転ベルト9aの内周面における第1回転軸I方向の中央部側に向かうように反射する。
【0154】
そのため、加熱回転ベルト9aの内周面における第1幅領域端部901eに対応する位置の近傍を効率よく加熱して昇温することが可能である。また、光反射部材920は、光反射面925の発光面910bに対する角度αや形状を含む形態を可変可能である。これにより、用紙Tの種類に対応して加熱回転ベルト9aを効率よく加熱することができる。
【0155】
以上の通り、第2実施形態の定着装置9Aにおいては、第1回転体として、環状であると共に可撓性を有する回転ベルトからなる加熱回転ベルト9aを使用している。
そのため、加熱ローラを用いる場合に比べて、加熱回転ベルト9aの熱容量を小さくすることが可能である。これにより、光反射部材920の存在に伴って第1幅領域端部901e付近の昇温効率をより高めて、定着装置9Aのウォームアップに要する時間を一層短縮化することができる。また、定着時において、加熱回転ベルト9aの加熱を効率よく行うことができる。
【0156】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した第1実施形態及び第2実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
例えば、前記実施形態においては、加圧ローラ9b(第2回転体)を回転駆動させ、加熱ローラ又は加熱回転ベルト9a(第1回転体)を従動回転させているが、これに制限されず、第1回転体を回転駆動させ、第2回転体を従動回転させてもよい。
【0157】
第1実施形態では、光反射部材920は、加熱回転ベルト9aの第1回転軸I方向(第2方向D2)から視た場合に、花びら状に形成されているが、これに限定されない。例えば、光反射部材920は、加熱回転ベルト9aの第1回転軸I方向(第2方向D2)から視た場合に、長方形の板状に形成されていてもよい。
【0158】
また、第2実施形態では、光反射部材920は、加熱回転ベルト9aの第1回転軸I方向(第2方向D2)から視た場合に、長方形の板状に形成されているが、これに限定されない。例えば、光反射部材920は、加熱回転ベルト9aの第1回転軸I方向(第2方向D2)から視た場合に、2つのヒータ910を取り囲み、支持部材960及び受圧部材940の位置を避けるような形状に形成されていてもよい。
本発明の定着装置は、ユニット化され、画像形成装置の装置本体から着脱自在に構成されていてもよく、あるいは、画像形成装置の装置本体と一体的に構成されていてもよい。
【0159】
また、本発明の画像形成装置の種類は、特に限定がなく、コピー機、プリンタ、ファクシミリ、又はこれらの複合機などであってもよい。
シート状の被転写材は、用紙に制限されず、例えば、フィルムシートであってもよい。
【符号の説明】
【0160】
1……プリンタ(画像形成装置)、2……感光体ドラム(像担持体)、16……現像器、9,9A……定着装置、9a……加熱ローラ又は加熱回転ベルト(第1回転体)、9b……加圧ローラ(第2回転体)、N9……定着ニップ、102……変形部、124……変形制御部、901a……第1幅領域、901e……第1幅領域端部、910……ヒータ、910a……発光部、910b……発光面、920……光反射部材、925……光反射面、I……第1回転軸、T……用紙(被転写材)、TN……トナー、N9……定着ニップ、α……角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の被転写材に画像を形成する画像形成部と、
前記被転写材に転写されたトナー画像を構成するトナーを溶融して前記トナー画像を前記被転写材に定着させる定着装置であって、
第1回転軸を中心に回転可能な中空状の第1回転体と、
前記第1回転体の内部に配置され、発光部を有すると共に、前記発光部における発光面から光を放射して前記第1回転体を内側から加熱するヒータと、
前記第1回転体に対向して配置され、前記第1回転体とにより前記被転写材が搬送される定着ニップを形成すると共に前記第1回転軸に平行な第2回転軸を中心に回転可能な第2回転体と、
前記第1回転体に形成され、搬送方向に直交する搬送幅方向において最大幅の被転写材が通過する第1幅領域と、
前記第1回転体の内部であって前記第1幅領域の前記第1回転軸方向における両端部である第1幅領域端部に対応する位置の近傍に配置され、前記ヒータからの光を反射させる光反射面を有すると共に、前記光反射面の前記発光面に対する角度や形状を含む形態を可変に構成される光反射部材と、
を有する定着装置と、を備える
画像形成装置。
【請求項2】
シート状の被転写材に画像を形成する画像形成部と、
前記被転写材に転写されたトナー画像を構成するトナーを溶融して前記トナー画像を前記被転写材に定着させる定着装置であって、
第1回転軸を中心に回転可能な中空状の第1回転体と、
前記第1回転体の内部に配置され、発光部を有すると共に、前記発光部における発光面から光を放射して前記第1回転体を内側から加熱するヒータと、
前記第1回転体に対向して配置され、前記第1回転体とにより前記被転写材が搬送される定着ニップを形成すると共に前記第1回転軸に平行な第2回転軸を中心に回転可能な第2回転体と、
前記第1回転体に形成され、搬送方向に直交する搬送幅方向において最大幅の被転写材が通過する第1幅領域と、
前記第1回転体の内部であって前記第1幅領域の前記第1回転軸方向における両端部である第1幅領域端部に対応する位置の近傍に配置され、前記ヒータからの光を反射させる光反射面を有すると共に、前記光反射面の前記発光面に対する角度や形状を含む形態を可変に構成される光反射部材と、
前記光反射部材における形態を変形させる変形部と、
を有する定着装置と、
前記定着装置が立ち上げ状態にある立ち上げモードにおいては、
前記光反射部材を所定の初期形態とするよう前記変形部に指示し、
トナー画像が転写された前記被転写材が前記第1幅領域を通過する画像形成モードにおいては、
前記光反射部材を前記初期形態とするよう前記変形部に指示するか、又は、前記初期形態とは異なる変形形態とするよう前記変形部に指示する変形制御部と、を備える
画像形成装置。
【請求項3】
前記初期形態における前記光反射部材は、該光反射部材の外縁が前記第1回転体の内周面における前記第1幅領域端部に対応する位置の近傍に対向して配置され、少なくとも前記ヒータからの光の一部を前記第1回転体の内周面における前記第1幅領域端部に対応する位置の近傍に向かうよう反射する
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
画像が形成される前記被転写材の枚数に関する枚数情報と、前記被転写材の種類に関する種類情報とを含む画像形成指示情報を受け付け可能な受け付け部と、
前記受け付け部により受け付けられた前記画像形成指示情報に含まれる前記枚数情報に基づいて、所定枚数以上の前記被転写材が連続して前記第1幅領域を通過して搬送されるかを判定する連続判定部と、
所定枚数以上の前記被転写材が連続して前記第1幅領域を通過して搬送される場合に対応する前記初期形態又は前記変形形態に関する形態情報を記憶する連続搬送形態情報記憶部と、を更に備え、
前記画像形成モードにおいて、
前記変形制御部は、前記連続搬送形態情報記憶部に記憶された前記形態情報に基づいて、前記連続判定部により判定された判定結果に対応した形態となるよう前記変形部に指示する
請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記変形制御部は、前記連続判定部により所定枚数以上の前記被転写材が連続して前記第1幅領域を通過して搬送されると判定された場合、前記光反射部材を所定枚数以上の前記被転写材が連続して前記第1幅領域を通過して搬送される場合に対応した変形形態とするよう前記変形部に指示し、
前記変形部は、前記変形制御部からの指示に基づいて、
前記発光面からの光を前記第1回転体の内周面であって前記第1回転軸方向における中央部側に向けて反射するよう前記光反射部材を変形させる
請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記変形部は、
前記光反射面の前記発光面に対する角度が、前記初期形態における前記光反射面の前記発光面に対する角度よりも小さくなるよう前記光反射部材を変形させる
請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
画像が形成される前記被転写材の枚数に関する枚数情報と、前記被転写材の種類に関する種類情報とを含む画像形成指示情報を受け付け可能な受け付け部と、
前記受け付け部により受け付けられた前記画像形成指示情報に含まれる前記種類情報に基づいて、前記被転写材の種類を検知する種類検知部と、
前記被転写材の種類と、前記被転写材の種類に対応した前記初期形態又は前記変形形態とが関連付けられた形態情報を記憶する種類形態情報記憶部と、を更に備え、
前記画像形成モードにおいて、
前記変形制御部は、前記種類形態情報記憶部に記憶された前記形態情報に基づいて、前記種類検知部により検知された前記被転写材の種類に対応した形態となるよう前記変形部に指示する
請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記変形制御部は、前記種類検知部により検知された種類の前記被転写材における前記搬送方向と交差する前記搬送幅方向であって前記第1回転軸に平行な幅方向の長さが、前記第1幅領域における前記第1回転軸方向の長さよりも短い場合、前記光反射部材を前記被転写材の種類に対応した前記変形形態とするよう前記変形部に指示し、
前記変形部は、前記変形制御部からの指示に基づいて、
前記光反射部材の外縁が前記第1回転体の内周面であって前記種類検知部により検知された種類の前記被転写材の前記幅方向外縁が通る位置に対応した位置に向かうよう前記光反射部材を変形させる
請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記変形部は、
前記光反射面の前記発光面に対する角度が、前記初期形態における前記光反射面の前記発光面に対する角度が小さくなると共に、
前記第1回転軸方向における長さが、前記初期形態における長さよりも長くなるよう前記光反射部材を変形させる
請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第1回転体は、円筒状の回転ローラである
請求項1から9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記第1回転体は、環状であると共に可撓性を有する回転ベルトである
請求項1から9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
シート状の被転写材に画像を形成する画像形成部と、
前記被転写材に転写されたトナー画像を構成するトナーを溶融して前記トナー画像を前記被転写材に定着させる定着装置であって、
第1回転軸を中心に回転可能な中空状の第1回転体と、
前記第1回転体の内部に配置され、発光部を有すると共に、前記発光部における発光面から光を放射して前記第1回転体を内側から加熱するヒータと、
前記第1回転体に対向して配置され、前記第1回転体とにより前記被転写材が搬送される定着ニップを形成すると共に前記第1回転軸に平行な第2回転軸を中心に回転可能な第2回転体と、
前記第1回転体に形成され、搬送方向に直交する搬送幅方向において最大幅の被転写材が通過する第1幅領域と、
前記第1回転体の内部であって前記第1幅領域の前記第1回転軸方向における両端部である第1幅領域端部に対応する位置の近傍に配置され、前記ヒータからの光を反射させる光反射面を有すると共に、前記光反射面の前記発光面に対する角度や形状を含む形態を可変に構成される光反射部材と、
前記光反射部材における形態を変形させる変形部と、
前記第1回転体の外周面における前記第1幅領域端部に対応する位置又は近傍の温度を検出する温度検出部材と、
を有する定着装置と、
前記定着装置が立ち上げ時から所定時間内においては、
前記光反射部材を所定の初期形態とするよう前記変形部に指示し、
前記温度検出部材により検出される温度が所定温度以上である場合には、
前記光反射部材を前記初期形態とするよう前記変形部に指示するか、又は、前記初期形態と異なる変形形態とするよう前記変形部に指示する変形制御部と、を備える
画像形成装置。
【請求項13】
シート状の被転写材に転写されたトナー画像を構成するトナーを溶融して前記トナー画像を前記被転写材に定着させる定着装置であって、
第1回転軸を中心に回転可能な中空状の第1回転体と、
前記第1回転体の内部に配置され、発光部を有すると共に、前記発光部における発光面から光を放射して前記第1回転体を内側から加熱するヒータと、
前記第1回転体に対向して配置され、前記第1回転体とにより前記被転写材が搬送される定着ニップを形成すると共に前記第1回転軸に平行な第2回転軸を中心に回転可能な第2回転体と、
前記第1回転体に形成され、搬送方向に直交する搬送幅方向において最大幅の被転写材が通過する第1幅領域と、
前記第1回転体の内部であって前記第1幅領域の前記第1回転軸方向における両端部である第1幅領域端部に対応する位置の近傍に配置され、前記ヒータからの光を反射させる光反射面を有すると共に、前記光反射面の前記発光面に対する角度や形状を含む形態を可変に構成される光反射部材と、を備える
定着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−47996(P2011−47996A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−194202(P2009−194202)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】