説明

画像形成装置及び画像形成ユニット

【課題】 ジャム処理や各部品の交換等のメンテナンス作業を容易化する。
【解決手段】 画像形成ユニット20が本体ケーシング2に対して引き出し可能でかつ着脱可能とされている。画像形成ユニット20のフレーム21における前壁49の下端部前端には、フレーム21の底面21Aよりも下方へ張り出した張出部52が全幅にわたって形成されている。この張出部52の下部には、上下一対のガイド14A,14Bが一体に設けられており、これらのガイド14A,14B間に上側に略弧状に湾曲した給紙パス14が形成されている。これにより、画像形成ユニット20を着脱するに際して給紙パス14をいちいち退避させる必要がなくなり、本体ケーシング2内のジャム処理や部品交換等のメンテナンス作業を容易且つ迅速に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び画像形成ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真技術を用いた画像形成装置の一方式として、いわゆるタンデム方式のものが知られている。これは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色ごとに感光体と、その周囲の現像カートリッジ、帯電器等の画像形成プロセス部品とを備え、各現像カートリッジより供給される各色のトナーにより各感光体上に形成された各色トナー像を搬送される用紙に転写することにより画像形成を行うものである。このような画像形成装置として、例えば本体ケーシング上面に開閉可能なカバーを設けて、これを開放させることで装置内部の現像カートリッジ等の部品の交換やあるいはジャム処理等の作業ができるように構成したものがある。また、その他にも、現像カートリッジ等を積載した引き出しを設け、この引き出しを本体ケーシングから所定位置まで引き出すことで現像カートリッジ等の交換作業を行えるように構成したものもある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、ジャム処理や各部品の交換等の作業を行う際に、前述のカバーを設けたものだと、装置内部の感光体、現像カートリッジ等の各部品が邪魔になって作業がしづらく、また前述の引き出しを設けたものでも、本体ケーシングから引き出した状態の引き出しが邪魔になって装置奥側の作業がやりづらいという問題がある。
【0004】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、ジャム処理や各部品の交換等のメンテナンス作業を容易化することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明に係る画像形成装置は、本体ケーシング内に、現像器及び感光体が複数組並列して設けられ、前記各現像器から供給される現像剤によって前記各感光体上に可視像が形成され、その可視像が記録媒体に転写されるように構成されたタンデム方式の画像形成装置であって、前記本体ケーシング内には、前記複数組の現像器及び感光体を支持するフレームと、前記現像器又は前記感光体の一つを少なくとも含んで構成されかつ前記フレームに着脱可能に保持される複数のカートリッジとを備えた画像形成ユニットが前記本体ケーシングに対して引き出し可能に設けられたものにおいて、前記画像形成ユニットは、前記本体ケーシングに対して着脱可能とされており、前記本体ケーシングには、前記記録媒体が積載される供給トレイが引き出し可能に設けられ、前記画像形成ユニットの引き出し方向が前記供給トレイの引き出し方向と同じであり、前記本体ケーシング内には、前記各感光体上のトナー像を前記記録媒体に転写させるための転写ベルトが設けられ、前記画像形成ユニットの装着時には前記各感光体が前記転写ベルトに対向する位置に配され、前記画像形成ユニットの引き出し時には前記各感光体が前記転写ベルトから分離するように構成されており、さらに、前記画像形成ユニットには、前記供給トレイから供給された記録媒体を、前記感光体と前記転写ベルトとの間に向かって搬送する給紙パスを形成するためのガイドが一体に設けられているところに特徴を有する。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記カートリッジは、前記現像器の一つを備え、前記感光体とは別体に構成されているところに特徴を有する。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のものにおいて、前記カートリッジは、一組の前記現像器及び前記感光体を備えて構成され、当該現像器及び感光体が互いに一体的に保持されているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0008】
<請求項1の発明>
画像形成ユニットが本体ケーシングに対して着脱可能であるため、画像形成ユニットを本体ケーシングから取り外すことで、本体ケーシング内のジャム処理や部品交換等のメンテナンス作業を容易に行うことができる。しかも、画像形成ユニットには、供給トレイから供給された記録媒体を、感光体と転写ベルトとの間に向かって搬送する給紙パスを形成するためのガイドが一体に設けられているので、画像形成ユニットを本体ケーシングに着脱するに際して、給紙パスを形成したガイドをいちいち退避させる必要がなく、また、給紙パスと感光体との位置精度をも容易に確保することができる。
<請求項2の発明>
現像器を備えたカートリッジが感光体とは別体に構成されているため、現像器が交換時期に達した場合に現像器のみを交換することができる。
<請求項3>
カートリッジが一組の現像器及び感光体を備えて構成されているため、現像器と感光体との両方を一度に交換することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
<第1実施形態>
次に本発明の第1実施形態を図1から図4を参照して説明する。図1は、本実施形態の画像形成装置としてのレーザプリンタ1の概略構成を示す側断面図である。このレーザプリンタ1は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色に対応する4つの感光体ドラム30を備えた、いわゆるダイレクトタンデム型のカラーレーザプリンタである。レーザプリンタ1は、本体ケーシング2内に、記録媒体としての用紙3を給紙するための給紙部4や、給紙された用紙3に画像を形成するための画像形成ユニット20及び画像形成ユニットに対して用紙3を搬送する用紙搬送部35などを備えている。なお、以下の説明において、図1における右側を前方とする。
【0010】
本体ケーシング2の前面には、開閉可能なフロントカバー6が設けられている。このフロントカバー6は、ほぼ垂直な姿勢で本体ケーシング2の前面を覆う閉鎖位置(図1参照)から、下端部を中心として上端側を前側へ倒すことで、ぼぼ水平姿勢をなす開放位置(図2参照)まで回動可能となっている。フロントカバー6を開放位置とすることで、本体ケーシング2内に収容される後述の画像形成ユニット20が前方に引き出し可能となる。また、フロントカバー6を閉鎖位置としたときには、その上端が本体ケーシング2の上端とほぼ一致する。
【0011】
給紙部4は、本体ケーシング2内の底部に、着脱可能に装着される供給トレイとしての給紙トレイ7と、給紙トレイ7の前端部の上方に設けられる給紙ローラ8および分離パッド9と、給紙ローラ8の後側に設けられるピックアップローラ10と、給紙ローラ8の前側上方に配置される一対の紙粉取りローラ11と、紙粉取りローラ11の上方に設けられる一対のレジストローラ12A,12Bとを備えている。
【0012】
給紙トレイ7は、薄皿状をなし、その内側に画像を形成するための用紙3を積載可能となっている。給紙トレイ7の前端部に設けられた前面壁13は、本体ケーシング2の前面において、フロントカバー6の下側に配されており、この前面壁13を前側に引くことで給紙トレイ7を本体ケーシング2の前方へ水平に引き出し可能となっている。給紙トレイ
7の底面には、用紙3を積層状に載置可能な用紙押圧板7Aが設けられており、この用紙押圧板7Aは、後端部において回動可能に支持されるとともに、図示しないばねによって前端部が上方向に付勢されている。これにより給紙トレイ7内に積層された用紙3は前端側が上方に付勢された状態となる。
【0013】
給紙トレイ7の最上位にある用紙3は、用紙押圧板7Aの付勢力によってピックアップローラ10に向かって押圧され、ピックアップローラ10の回転によって、給紙ローラ8と分離パッド9との間に向けて搬送開始される。そして、その用紙3は、給紙ローラ8の回転によって、給紙ローラ8と分離パッド9との間に挟まれたときに1枚ごとに捌かれて給紙される。給紙された1枚の用紙は、紙粉取りローラ11によって紙粉が取り除かれた後、レジストローラ12A,12Bに搬送される。
【0014】
レジストローラ12A,12Bは、駆動ローラ12A及び従動ローラ12Bから構成され、用紙3をレジスト後に、給紙パス14を介して後述する用紙搬送部35の転写ベルト(用紙搬送ベルト)38上へ搬送する。給紙パス14は、弧状に湾曲した用紙3の搬送路であって、後述する画像形成ユニット20のフレーム21に形成されている。
【0015】
本体ケーシング2内の最上部には、露光手段としてのスキャナ部18が設けられている。このスキャナ部18は、所定の画像データに基づいた各色毎のレーザ光Lを対応する感光体ドラム30(後述する)の表面上に高速走査にて照射する。各色に対応した4本のレーザ光Lは、スキャナ部18の底面から斜め後下方に向けて射出される。各レーザ光Lの光路は、前後に一定間隔を開けて配され、互いに平行をなす。
【0016】
本体ケーシング2内には、スキャナ部18の下側にユニット収容部19が設けられ、ここに前方へ引き出し可能で、かつ着脱可能な画像形成ユニット20が収容されている。画像形成ユニット20は、フレーム21を備えており、このフレーム21には、像担持体としての感光体ドラム30、帯電手段としてのスコロトロン型帯電器31、現像器としての4つの現像カートリッジ22、およびクリーニングブラシ33が保持されている。
【0017】
4つの各現像カートリッジ22は、フレーム21に対して着脱可能に装着されており、それぞれブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色に対応している。現像カートリッジ22は、下側が開放される箱形の収容ケース23を備えており、収容ケース23内の上部には各色のトナーが充填されるトナー収容室24が形成されている。トナー収容室24内にはアジテータ(図示せず)が設けられ、このアジテータが図示しないモータからの動力の入力により回転駆動されることで内部のトナーが撹拌される。トナー収容室24の下側には、供給ローラ25、現像ローラ26および層厚規制ブレード27が設けられている。
【0018】
供給ローラ25は、現像カートリッジ22の収容ケース23に回転可能に支持されており、金属製のローラ軸を、導電性の発泡材料からなるローラで被覆することにより構成されている。また、この供給ローラ25は、図示しないモータからの動力の入力により回転駆動される。
【0019】
現像ローラ26は、供給ローラ25の斜め後下方において、供給ローラ25と互いに圧縮されるように接触した状態で、現像カートリッジ22の収容ケース23に回転可能に支持されている。また、現像ローラ26は、現像カートリッジ22がフレーム21に装着された状態で、感光体ドラム30に対向して接触する。この現像ローラ26は、金属製のローラ軸を、カーボン微粒子などを含む導電性のウレタンゴムまたはシリコーンゴムからなるローラ本体で被覆することにより構成されている。またローラ本体の表面には、フッ素が含有されているウレタンゴムまたはシリコーンゴムのコート層が被覆されている。現像
ローラ26には、現像時に現像バイアスが印加される。また、現像ローラ26は、図示しないモータからの動力の入力により回転駆動される。
【0020】
層厚規制ブレード27は、金属の板ばね材からなるブレード本体の先端部に、絶縁性のシリコーンゴムからなる断面半円形状の押圧部を備えている。この層厚規制ブレード27は、現像ローラ26の上方において収容ケース23に支持されて、押圧部がブレード本体の弾性力によって現像ローラ26上に圧接されている。
【0021】
トナー収容室24から放出されたトナーは、供給ローラ25の回転により現像ローラ26に供給され、このとき、供給ローラ25と現像ローラ26との間で正に摩擦帯電される。現像ローラ26上に供給されたトナーは、現像ローラ26の回転に伴って、層厚規制ブレード27の押圧部と現像ローラ26との間に進入し、一定厚さの薄層として現像ローラ26上に担持される。
【0022】
感光体ドラム30は、円筒形状をなし、最表層がポリカーボネートなどからなる正帯電性の感光層により形成されるドラム本体30Aと、このドラム本体30Aの軸心において、ドラム本体30Aの長手方向に沿って延びる軸としての金属製のドラム軸30Bとを備えている。感光体ドラム30は、ドラム軸30Bがフレーム21に支持されることでドラム軸30Bを中心に回転自在に設けられている。また、感光体ドラム30は、図示しないモータからの動力の入力により回転駆動される。
【0023】
スコロトロン型帯電器31は、感光体ドラム30の後側斜め上方において、感光体ドラム30と接触しないように所定間隔を隔てて、感光体ドラム30と対向配置されている。このスコロトロン型帯電器31は、タングステン等の帯電用ワイヤからコロナ放電を発生させることにより、感光体ドラム30の表面を一様に正極性に帯電させる。
【0024】
クリーニングブラシ33は、感光体ドラム30の後側に感光体ドラム30と対向して接触するように配置されている。
【0025】
なお、画像形成ユニット20におけるフレーム21等の構成については後により詳細に説明する。
【0026】
用紙搬送部35は、ユニット収容部19に装着される画像形成ユニット20の下方に配置されている。この用紙搬送部35は、後側と前側とに間隔をおいて互いに平行に設けられた一対のベルト支持ローラ36,37と、両ローラ36,37間に掛け渡された転写ベルト38とを備え、後側のベルト支持ローラ36がモータの動力により回転駆動されることで転写ベルト38が循環移動する構成になっている。転写ベルト38の内側には、前述した画像形成ユニット20の各感光体ドラム30と対向配置される4つの転写ローラ39が前後方向に一定間隔で並んで設けられ、各感光体ドラム30と対応する転写ローラ39との間に転写ベルト38が挟んだ状態となっている。また、転写ベルト38の下側には、転写ベルト38上に付着した残留トナーを清掃するためのクリーニングローラ40が設けられている。前述のレジストローラ12から送り出された用紙3は、給紙パス14を通過して、転写ベルト38の上面前端付近に当接し、ここで転写ベルト38の上面に静電吸着して転写ベルト38の循環移動に伴って後方へ搬送される。
【0027】
感光体ドラム30の表面は、その回転に伴って、まず、スコロトロン型帯電器31により一様に正帯電された後、スキャナ部18からのレーザ光Lの高速走査により露光され、用紙3に形成すべき画像に対応した静電潜像が形成される。
【0028】
次いで、現像ローラ26の回転により、現像ローラ26上に担持されかつ正帯電されて
いるトナーが、感光体ドラム30に対向して接触するときに、感光体ドラム30の表面上に形成されている静電潜像、すなわち、一様に正帯電されている感光体ドラム30の表面のうち、レーザビームによって露光され電位が下がっている露光部分に供給される。これにより、感光体ドラム30の静電潜像は、可視像化され、感光体ドラム30の表面には、反転現像によるトナー像が担持される。
【0029】
その後、感光体ドラム30の表面上に担持されたトナー像は、転写ベルト38によって搬送される用紙3が、感光体ドラム30と転写ローラ39との間の転写位置を通る間に、転写ローラ39に印加される転写バイアスによって、用紙3に転写される。トナー像が転写された用紙3は、次いで定着器42に搬送される。
【0030】
定着器42は、本体ケーシング2内における用紙搬送部35の後方に配置されている。この定着器42は、互いに対向配置された加熱ローラ43及び加圧ローラ44等から構成され、用紙3上に転写されたトナー像を紙面に熱定着させる。そして、熱定着された用紙3は、定着器42の斜め後上方に配置された搬送ローラ45により本体ケーシング2の上部に設けられた排紙ローラ46へ搬送される。本体ケーシング2の上面には、前端側がほぼ水平で、後端側が後下がりに傾斜した排紙トレイ47が設けられ、排紙ローラ46から排出された画像形成後の用紙3がこの排紙トレイ47上に積層される。
【0031】
次に画像形成ユニット20の構成についてより詳細に説明する。フレーム21は、前後に細長い箱状をなしており、その前端に設けられた前壁49の後方には、4つの仕切壁50が前後方向に等間隔で並んで設けられている。各仕切壁50とその前側に位置する仕切壁50または前壁49のとの間には、上方に開放したカートリッジ装着部51が設けられ、それぞれに前述の現像カートリッジ22が着脱可能に装着されるようになっている。仕切壁50の前面50Aは、上端側に行くにつれて次第に前側に向かうように若干下向きに傾斜しており、仕切壁50の後面50Bは、上端側にゆくにつれて次第に前側に向かうように前面50Aよりも大きな角度で上向きに傾斜している。また、前壁49の後面49Aも仕切壁50の後面50Bと同じ角度で上向きに傾斜している。
【0032】
各現像カートリッジ22を各カートリッジ装着部51に装着した状態において、現像カートリッジ22の収容ケース23は、その後面が仕切壁50の前面50Aと所定間隔を空けて平行をなし、その前面が仕切壁50若しくは前壁49の後面50B,49Aと所定間隔を開けて平行をなす。カートリッジ装着部51の内側壁には、現像カートリッジ22の着脱を案内するガイド(図示せず)が設けられており、現像カートリッジ22は、このガイドの案内により仕切壁50の後面50B若しくは前壁49の後面49Aに沿った方向に着脱される。換言すれば、現像カートリッジ22の離脱方向は画像形成ユニット20の引き出し方向(前方)に向かって傾斜している。また、カートリッジ装着部51の内壁には、現像カートリッジ22を正規位置に保持するための係止手段(図示せず)が設けられており、現像カートリッジ22が外部からカートリッジ装着部51内の正規位置まで挿入されるとこの係止手段が現像カートリッジ22に弾性的に係止し、現像カートリッジ22が正規位置から引き出されるとその係止が解除される。
【0033】
各カートリッジ装着部51の底部には、それぞれ後側の仕切壁50寄り位置に前述の感光体ドラム30が保持されている。各感光体ドラム30の下端部は、フレーム21の底面21Aよりわずかに下方へ突出しており、前述のように転写ベルト38を挟んで転写ローラ39に対向配置される。また、各仕切壁50の内側下部には、各感光体ドラム30の周囲に前述したスコロトロン型帯電器31及びクリーニングブラシ33が配置されている。
【0034】
フレーム21における前壁49の下端部前端には、フレーム21の底面21Aよりも下方へ張り出した張出部52が全幅にわたって形成されている。この張出部52の後面には
前述した一対のレジストローラ12A,12Bのうちの従動ローラ12Bが保持されている。さらに張出部52の下部には、上下一対のガイド14A,14Bが一体に設けられており、これらのガイド14A,14B間に上側に略弧状に湾曲した給紙パス14が形成されている。レジストローラ12A,12Bから送り出された用紙3は、ガイド14A,14Bにより案内されつつ給紙パス14を通過して転写ベルト38上へ供給される。また、フレーム21の左右両側壁21Bの下端部後端には、一対の後側脚部53がフレーム21の底面21Aよりも下方へ突出して設けられている。画像形成ユニット20を机等の平坦な載置面T上(図3参照)に載置したときには、後側脚部53及び張出部52(ともに本発明の干渉回避手段及び脚部に相当)がその平面に当接することで、フレーム21の底面21Aが平面から離間した位置に維持され、これにより感光体ドラム30が平面に干渉しない高さ位置に保持される。
【0035】
画像形成ユニット20と本体ケーシング2との間には、レール状の案内手段(図示せず)が設けられており、画像形成ユニット20はこの案内手段に従って前後方向にスライド可能になっている。フレーム21の左右両側壁21Bには、それぞれ上縁部後端から抜止突部55が上方へ突出して設けられている。一方、本体ケーシング2におけるユニット収容部19の内側壁には、抜止突部55と係止可能な抜け規制部56が前端寄り位置に下向きに突出して設けられている(抜止突部55と抜け規制部56とは本発明の抜け規制手段に相当する。)。画像形成ユニット20が図1に示す正規装着位置から図2に示す引き出し停止位置まで引き出されると、抜止突部55が抜け規制部56の後面に突き当たって画像形成ユニット20の抜けが規制される。この引き出し停止位置においては、フレーム21の前端側が自重によって後端側より僅かに下がった姿勢となり、後端側の抜止突部55と抜け規制部56とが係合状態に維持される。また、この引き出し停止位置においては、フレーム21に装着された各現像カートリッジ22の離脱方向(上方)が開放され、着脱可能な状態となる。さらにこの引き出し停止位置においては、開放位置としたフロントカバー6の前端よりも、フレーム21の前端部(張出部52)が前側に張り出した状態となる。
【0036】
画像形成ユニット20のフレーム21には、コの字状のハンドル部材58がそのフレーム21を左右に跨ぐように取り付けられている。ハンドル部材58は、左右方向に延びた把持部58Aと、その左右両端から互いに平行に延出した一対のアーム部58Bとから構成されている。各アーム部58Bは、その延出端から若干把持部58A側寄りの位置で、フレーム21の左右両側壁21Bに突設された軸部59に取り付けられ、ハンドル部材58が軸部59を中心に回動可能となっている。軸部59は、フレーム21における前後方向の中央よりも後端寄り位置で、かつフレーム21の上端付近に設けられている。ハンドル部材58は、アーム部58Bが略水平で把持部58Aがフレーム21の前壁49より前側に張り出す引き出し用位置(図2参照)と、アーム部58Bが斜め上向きに傾斜し把持部58Aがフレーム21の上方で引き出し用位置よりも前後方向の中央寄り(フレーム21の重心寄り)となる持ち上げ用位置(図3参照)とに変位可能とされている。また、フレーム21の両側壁21Bには、各軸部59の下側にストッパ60が突設されており、持ち上げ用位置においてアーム部58Bにおける軸部59よりも先端側部分にストッパ60が当接することで、ハンドル部材58の引き出し位置と反対方向(図3の反時計回り方向)への回動が規制される。これにより、ハンドル部材58を持ち上げ用位置とした状態で把持部58Aを掴んで、画像形成ユニット20全体を持ち上げることができる。この持ち上げ状態では、後述するように、フレーム21とハンドル部材58との間には、各現像カートリッジ22の装着状態に関わらず、ストッパ60をハンドル部材58へ押し付ける方向のトルクがかかるように設定されている。
【0037】
上記のようなレーザプリンタ1において、図1に示す状態から画像形成ユニット20を引き出す場合には、まずフロントカバー6を開放した後に、引き出し用位置にあるハンド
ル部材58の把持部58Aに手指を掛けて、画像形成ユニット20を前側に引き出す。
【0038】
画像形成ユニット20が引き出し停止位置に至ると、図2に示すように、抜止突部55が抜け規制部56に当接して、画像形成ユニット20が停止し、本体ケーシング2から抜け出ることが規制される。このように画像形成ユニット20を引き出し停止位置まで引き出すことで、各現像カートリッジ22の交換を行うことができる。ここで、現像カートリッジ22はフレーム21に対し斜め前上方に引き抜くことで離脱され、また、反対に斜め下側に押し込むことで装着されるため、単に垂直方向に着脱を行うものに比べて、交換作業の作業性が良い。なお、フレーム21には、給紙パス14が形成されているため、用紙3が給紙パス14を通過中に紙詰まりを起こした場合には、フレーム21を引き出すとともに用紙3が前側に引き出されて、ジャム処理が容易になる。さらに、引き出し停止位置においては、給紙パス14の略前半部がフロントカバー6の前端よりも前側に張り出すため、給紙パス14に引っ掛かった状態で引き出された用紙3の除去を容易に行うことができる。
【0039】
また、画像形成ユニット20を本体ケーシング2から取り外す場合には、まずハンドル部材58の把持部58Aを引き出し用位置から持ち上げ用位置に回動させる。ハンドル部材58が持ち上げ用位置に至ると、ストッパ60がアーム部58Bに当接してハンドル部材58のさらなる回動が規制される。そして、その状態からさらに把持部58Aを上昇させると、図3に示すように、フレーム21が後端部下端付近を中心として前端側を若干持ち上げるように傾斜し、それに伴い抜止突部55が抜け規制部56から斜め後方下側に離間して、両者55,56の係止が解除状態となる。
【0040】
そこで、把持部58Aを前側に引くと、フレーム21の後端が本体ケーシング2のユニット収容部19より抜け出し、画像形成ユニット20を単体で持ち上げることができる。このように、把持部58Aが引き出し用位置と持ち上げ用位置とに変位可能であるため、引き出し操作から持ち上げ操作までの一連の作業を、手をあちこちに持ち替えることなく円滑に行うことができる。
【0041】
ここで、把持部58Aを持って画像形成ユニット20を持ち上げたときに、フレーム21とハンドル部材58との間には、各現像カートリッジ22の装着状態に関わらず常にストッパ60をハンドル部材58へ押し付ける方向へのトルクがかかる。即ち、図4(A)に示すように、フレーム21にトナーが十分に充填された現像カートリッジ22を4つ装着した状態で画像形成ユニット20を持ち上げた場合には、フレーム21側の重心(画像形成ユニット20におけるハンドル部材58以外の部材の重心である。同図矢線を参照、以下同様)がフレーム21の前後方向における中央付近にある。ハンドル部材58の軸部59はこの重心よりも後側に配置されているため、フレーム21とハンドル部材58間には、ストッパ60をハンドル部材58に押し付ける方向(フレーム21を図4の時計回りに回転させる方向)のトルクが作用する。これにより、フレーム21は概ね水平姿勢に維持される。また、図4(B)に示すように、後端の現像カートリッジ22をフレーム21から取り外し、前側の3つの現像カートリッジ22のみをフレーム21に装着した状態で画像形成ユニット20を持ち上げた場合には、重心の位置が同図(A)のときよりも前端寄りに移動する。このため、フレーム21とハンドル部材58間には、同様にストッパ60をハンドル部材58に押し付ける方向のトルクが作用して、フレーム21は略水平姿勢に維持される。さらに、図4(C)に示すように、後端の現像カートリッジ22のみを残して前側の3つの現像カートリッジ22を取り外した状態で持ち上げた場合には、フレーム21側の重心の位置が同図(A)のときよりも後端寄りに移動するが、軸部59の位置よりは前端側にあるため、やはりトルクの方向は変わらず、フレーム21は略水平姿勢に維持される。このように、各現像カートリッジ22をいかなる装着状態とした場合でもトルクの向きが変わらないためフレーム21が安定した姿勢で持ち上げられ、フレーム21
がひっくり返って現像カートリッジ22を落下させるような事態が防止される。なお、各現像カートリッジ22のトナー残量に差が生じて重量にばらつきが出たような場合にも、上述のトルクの向きは常に変わらないため、上記と同様の効果が発揮される。
【0042】
このようにして、画像形成ユニット20を本体ケーシング2から離れた場所に持ち運ぶことができる。画像形成ユニット20を机等の平坦な載置面T上に置くと、図3に鎖線で示すように、後側脚部53と張出部52とがその平面Tに当接して、各感光体ドラム30は載置面Tから離間した位置に保持される。これにより、感光体ドラム30と載置面Tとの干渉が回避されるため、他部材との干渉により感光体ドラム30を傷めることを気にすることなく、部品の交換等の作業を行うことができる。こうして、画像形成ユニット20を本体ケーシング2から取り外すと、本体ケーシング2の前面が開放されるため、本体ケーシング2内のジャム処理や部品の交換等のメンテナンス作業を行うことができる。特に本実施形態では感光体ドラム30を含んだ画像形成ユニット20と、用紙3を搬送する転写ベルト38とが分離されるため、ジャム処理や転写ベルト38の交換作業を容易に行うことができる。なお、画像形成ユニット20の感光体ドラム30を交換する場合には、フレーム21ごと交換すれば良い。あるいは、後述する第3実施形態に示すように感光体ドラム30やスコロトロン型帯電器31等の部品をフレーム21に対して着脱可能とすることで、部品毎に交換できるようにしてもよい。
【0043】
以上のように本実施形態によれば、画像形成ユニット20が本体ケーシング2に対して着脱可能であるため、画像形成ユニット20を本体ケーシング2から取り外すことで、本体ケーシング2内のジャム処理や部品交換等のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0044】
また、画像形成ユニット20の引き出し位置からの抜けを規制する抜け規制手段(55,56)が設けられているため、画像形成ユニット20を引き出したときに画像形成ユニット20が引き出し停止位置に停止して、本体ケーシング2から抜け出ることが規制される。そのため、画像形成ユニット20を本体ケーシング2から取り外す必要のないときに不用意に抜き出してしまい、再び装着し直すといった余分な手間がかかることを防止できる。
【0045】
また、画像形成ユニット20には持ち上げ時における手掴み用の把持部58Aが設けられているため、画像形成ユニット20単体での持ち運びが容易である。
【0046】
また、把持部58Aが抜け規制手段(55,56)の解除操作部を兼ねているため、抜け規制手段(55,56)の解除操作と画像形成ユニット20の持ち運びとを円滑に行うことができる。
【0047】
また、把持部58Aが引き出し用位置と持ち上げ用位置とに変位可能であるため、画像形成ユニット20を本体ケーシング2から引き出す際には引き出し用位置の把持部58Aを持って引き出し、その状態から画像形成ユニット20を本体ケーシング2から取り外して運ぶ際には、把持部58Aを持ち上げ用位置に変位させて画像形成ユニット20を持ち上げることができる。従って、把持部58Aを持った手をあちこちに持ち替えなくて良いので作業性が良い。
【0048】
また、把持部58Aを持ち上げ用位置にして画像形成ユニット20を持ち上げたときに、フレーム21とハンドル部材58との間には、各現像カートリッジ22の装着状態に関わらず常にストッパ60をハンドル部材58へ押し付ける方向へのトルクがかかる。これにより、一部の現像カートリッジ22が空になったり、あるいは一部の現像カートリッジ22をフレーム21から取り外した状態で画像形成ユニット20を持ち上げた場合でも、
常にトルクの向きが変わらないため、フレーム21がひっくり返ってしまうことがなく、安定した状態で持ち上げることができる。
【0049】
また、画像形成ユニット20の引き出し方向が給紙トレイ7の引き出し方向と同じであるため、扱いやすい。
【0050】
また、画像形成ユニット20の引き出し時には各感光体ドラム30が転写ベルト38から分離するため、ジャム処理や転写ベルト38の交換等の作業が容易である。
【0051】
また、画像形成ユニット20には、その底部に並んで設けられた各感光体ドラム30に対する載置面Tの干渉を防ぐ干渉回避手段(52,53)が設けられているため、本体ケーシング2から取り外した画像形成ユニット20を机上等に置いて作業を行うことができる。
【0052】
また、干渉回避手段は、フレーム21の底面から各感光体ドラム30の下端よりも下側へ突出した後側脚部53及び張出部52からなるため、画像形成ユニット20を机上等に載置したときに各感光体ドラム30が机面等に干渉しない高さ位置に支持される。
【0053】
また、現像器としての現像カートリッジ22が感光体ドラム30とは別体に構成されているため、現像器が交換時期に達した場合に現像器のみを交換することができる。
【0054】
図5は上記第1実施形態の変形例を示している。この変形例では、上記実施形態の抜止突部55に代えて、ハンドル部材62のアーム部58Bの先端に延出部62Aを設け、その先端に引き出し用位置において上方となる向きに突出する抜止突部63(抜け規制部56とともに本発明の抜け規制手段に相当)を設けている。
【0055】
本変形例の画像形成ユニット20Aを本体ケーシング2内の正規装着位置にある状態から取り外す際には、まず引き出し用位置にあるハンドル部材62の把持部58Aを掴んで、画像形成ユニット20Aを前側に引き出す。画像形成ユニット20Aが引き出し停止位置まで引き出されると、抜止突部63が本体ケーシング2側の抜け規制部56に当接して、引き出しが停止する(図5の鎖線参照)。そこで、把持部58Aを上げると、抜止突部63が下降して抜け規制部56に対する係止が解除される(図5の実線参照)。そして、ハンドル部材62を持ち上げ用位置としてから、画像形成ユニット20Aを前側に移動させれば、画像形成ユニット20Aを本体ケーシング2と分離した状態で持ち上げることができる。本変形例によっても上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0056】
<第2実施形態>
次に本発明の第2実施形態を図6を参照して説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態と同一機能を有する部位については、同一符号を付すことで重複した説明は省略する。
【0057】
本実施形態の画像形成ユニット64は、フレーム65の左右両側面65Aに略前後方向に延びた一対のアーム部材66が取り付けられている。アーム部材66は、前端がフレーム65の側面65Aの前端上部に回動可能に取り付けられており、アーム部材66が概ね水平となるロック位置(図6(A)参照)から、後端側が若干下がるように傾斜した解除位置(図6(B)参照)までの間を変位可能とされている。また、アーム部材66の後端には、フレーム65の後端位置において上側に突出した抜止突部67(抜け規制部56とともに本発明の抜け規制手段に相当)が設けられており、アーム部材66がロック位置にあるときに本体ケーシング2に設けられた抜け規制部56の後面に係止可能とされ、解除位置にあるときにその係止が解除される位置まで下降するようになっている。また、フレ
ーム65の両側面65Aにおける後端付近には、アーム部材66がロック位置を維持するように付勢可能なバネ部材68が取り付けられている。また、各アーム部材66の前後方向におけるほぼ中央には、可動把持部66Aがフレーム65の外側方に張り出して設けられている。さらに、フレーム65の両側面65Aには、各可動把持部66Aの下側に断面コの字状の固定把持部69が突出して設けられている。可動把持部66A及び固定把持部69は、フレーム65における引き出し方向に沿った中央軸を挟んで両側に対称的に配置されている。
【0058】
画像形成ユニット64を本体ケーシング2内から引き出し停止位置まで引き出すと、図6(A)に示すように、アーム部材66の抜止突部67が本体ケーシング2の抜け規制部56に突き当たり、画像形成ユニット64の抜けが規制される。画像形成ユニット64を本体ケーシング2から取り外す場合には、両手で左右の可動把持部66A及び固定把持部69をそれぞれ上下から挟み持ち、図6(B)に示すように、各可動把持部66Aを固定把持部69側へ接近させる。これによりアーム部材66がロック位置から解除位置に回動して、抜止突部67と抜け規制部56との係止が解除されるため、そのまま画像形成ユニット64を両手で保持しつつ前側へ引き出すと、本体ケーシング2から分離することができる。
【0059】
本実施形態によれば、持ち上げ時の手掴み用の把持部としての可動把持部66A及び固定把持部69がフレーム65の引き出し方向に沿った中央軸を挟んで両側に設けられているため、画像形成ユニット64を両手でしっかりと持つことができる。
【0060】
また、可動把持部66Aが抜け規制手段(56,67)の解除操作部を兼ねているため、抜け規制手段の解除操作と画像形成ユニット64の持ち運びとを円滑に行うことができる。
<第3実施形態>
次に本発明の第3実施形態を図7及び図8を参照して説明する。なお、第1実施形態と同一機能を有する部位については、同一符号を付すことで重複した説明は省略する。
【0061】
図7は、本実施形態の画像形成装置としてのレーザプリンタ1Aの概略構成を示す側断面図である。このレーザプリンタ1Aの備える画像形成ユニット70は、フレーム71における前壁49の前面に引き出し時における手掴み用の取手部72が凹設されている。また、画像形成ユニット70と本体ケーシング2との間には、画像形成ユニット70の引き出し動作を案内する案内手段が設けられている。図8は、その案内手段の一例を簡略に示した正断面図である。フレーム71の両側壁71Aには、それぞれ上下両端部から外側へ水平に張り出した一対のガイドレール72A,72Bが前後方向に沿って設けられている。一方、本体ケーシング2におけるユニット収容部19の左右両内側壁には、ガイドレール72A,72Bを嵌め込み可能なガイド溝73が前後方向に沿って設けられている。フレーム71は、左右のガイドレール72A,72Bをガイド溝73に嵌め込むことで、ユニット収容部19内を前後方向に沿ってスライド移動するように案内される。なお、本実施形態では、抜止突部55は上側のガイドレール72Aの上面後端に設けられ、抜け規制部56は、ガイド溝73の前端位置に設けられている。
【0062】
画像形成ユニット70を本体ケーシング2より引き出す際には、取手部72を掴んで画像形成ユニット70を前側に引き出す。画像形成ユニット70を引き出し停止位置まで引き出すと、図7に示すように、抜止突部55が本体ケーシング2の抜け規制部56に突き当たり、引き出しの抜けが規制される。このとき、フレーム71の前端部は開放状態のフロントカバー6の前端よりも前側に張り出した状態となる。その状態から、画像形成ユニット70を本体ケーシング2から取り外す場合には、取手部72を上にあげてフレーム71を前端上がりの姿勢に傾ける。これにより、抜止突部55が抜け規制部56に対して斜
め下後方に離間して係止が解除されるため、フレーム71を傾斜姿勢に保ちつつ前側に移動させることで、フレーム71を取り外すことができる。
【0063】
本実施形態によれば、画像形成ユニット70の引き出し時には、引き出し方向の端部に設けられた取手部72が開放状態のフロントカバー6の端部よりも外側に張り出すため掴みやすい。従って、画像形成ユニット70の本体ケーシング2からの取り外しや、ユニット収容部19内への押し込みといった作業を行い易い。
【0064】
図9は、上記第3実施形態の変形例を示している。
【0065】
前述の第1実施形態では、現像器としての現像カートリッジ22がフレーム21に対して着脱可能なものを示したが、この変形例の画像形成ユニット70Aにおいては、フレーム75に対して着脱可能な4つのカートリッジ76が、それぞれ現像器としての現像カートリッジ77と感光体ドラム30とを一組ずつ備えて構成されている。カートリッジ76は、感光体ドラム30を下端部に保持したカートリッジフレーム78を備えている。さらに、このカートリッジフレーム78に対して現像カートリッジ77が着脱可能に支持されており、感光体ドラム30と現像カートリッジ77の現像ローラ26とが互いに圧接した状態で保持されている。また、現像カートリッジ77における収容ケース79の後面とカートリッジフレーム78との間には、カートリッジ76の上端から感光体ドラム30の上面に連なるスリット80が形成されており、このスリット80内を本体ケーシング2側のスキャナ部18から出射されるレーザ光Lが通過できるようになっている。
【0066】
フレーム75には、前壁82の後方に4つの仕切壁83が前後方向に等間隔で並んで設けられている。各仕切壁83とその前側に位置する仕切壁83または前壁82のとの間には、上方に開放したカートリッジ装着部84が設けられ、それぞれに前述のカートリッジ76が着脱可能に装着される。各仕切壁83のうち前側の3つの仕切壁83は、高さがフレーム75の高さよりも小さく、各カートリッジ装着部84は上部で互いに連通している。また、各仕切壁83の下部には、感光体ドラム30の周囲にスコロトロン型帯電器31とクリーニングブラシ33とが配設されている。また、フレーム75の左右両側壁75Aには、感光体ドラム30のドラム軸30Bが挿通される案内溝85が設けられている。この案内溝85は、側壁75Aの下部から斜め前上方に向けて延びており、側壁75Aの上端に開口している。カートリッジ76の着脱時には、ドラム軸30Bを案内溝85に沿って移動させることで、カートリッジ76の着脱が案内される。即ち、カートリッジ76の離脱方向は、斜め前側(フレーム75の引き出し方向)に向けて傾斜している。また、カートリッジ76の着脱方向は、スリット80の延長方向及びスキャナ部18からのレーザ光Lの光路とほぼ平行にされている。
【0067】
この変形例によれば、カートリッジ76が一組の現像カートリッジ77及び感光体ドラム30を備えて構成されているため、現像器としての現像カートリッジ77と感光体ドラム30との両方を一度に交換することができる。
【0068】
図10は、上記第3実施形態の別の変形例を示している。この変形例の画像形成ユニット70Bにおいては、フレーム87に対して着脱可能な4つのカートリッジ88が、それぞれ、現像器としての現像カートリッジ89と、感光体ドラム30と、スコロトロン型帯電器31と、クリーニングブラシ33とを一組ずつ備えて構成されている。カートリッジ88は、感光体ドラム30を下端部に保持したカートリッジフレーム90を備えている。カートリッジフレーム90の下部には、さらに感光体ドラム30の周囲にスコロトロン型帯電器31と、クリーニングブラシ33が保持されている。また、このカートリッジフレーム90に対して現像カートリッジ89が着脱可能に支持されており、感光体ドラム30と現像カートリッジ89の現像ローラ26とが互いに圧接した状態で保持されている。ま
た、現像カートリッジ89における収容ケース91の後面とカートリッジフレーム90との間には、カートリッジ88の上端から感光体ドラム30の上面に連なるスリット92が形成されており、このスリット92内を本体ケーシング2側のスキャナ部18から出射されるレーザ光Lが通過できるようになっている。
【0069】
フレーム87には、カートリッジ88が着脱可能に装着されるカートリッジ装着部93が前後に4つ並んで互いに連通して設けられている。また、フレーム87の左右両側壁87Aには、感光体ドラム30のドラム軸30Bが挿通される案内溝94が設けられている。この案内溝94は、側壁87Aの下部から斜め前上方に向けて延びており、側壁87Aの上端に開口している。カートリッジ88の着脱時には、ドラム軸30Bを案内溝94に沿って移動させることで、カートリッジ88の着脱が案内される。即ち、カートリッジ88の離脱方向は、斜め前側(フレーム87の引き出し方向)に向けて傾斜している。また、各カートリッジ88の着脱方向は、スリット92の延長方向及びスキャナ部18からのレーザ光Lの光路とほぼ平行にされている。
【0070】
この変形例によれば、一組の現像カートリッジ89、感光体ドラム30、スコロトロン型帯電器31及びクリーニングブラシ33を一度に交換することができる。
【0071】
図11及び図12は、上記第3実施形態のさらに別の変形例を示している。本変形例の画像形成ユニット70Cは、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色に対応した4つLED露光装置95を備えて構成されている。各LED露光装置95は、フレーム96における4つの各仕切壁97の上部に取り付けられており、それぞれフレーム96の後端に設けられたフレーム側コネクタ98Aに電気的に接続されている。フレーム側コネクタ98Aは、フレーム96が正規装着位置にあるときに本体ケーシング2A側に固定された本体側コネクタ98Bに接続され、これにより各LED露光装置95が本体ケーシング2内の制御回路(図示せず)に電気的に接続される。また、フレーム96を正規装着位置より引き出したときには、フレーム側コネクタ98Aと本体側コネクタ98Bとが切断される(図12参照)。各LED露光装置95は、感光体ドラム30の軸方向に沿って一列状に並べられた複数の発光ダイオード(図示せず)を備えており、それぞれに対応する色の画像データに基づき複数の発光ダイオードをオンオフ制御して感光体ドラム30の表面上に光を照射して、感光体ドラム30上に静電潜像を形成する。
【0072】
本変形例では、画像形成ユニット70CにLED露光装置95が搭載されるため、本体ケーシング2A側の露光手段を省略でき、構成が簡単になる。
<第4実施形態>
次に本発明の第4実施形態について図13及び図14を参照して説明する。なお、以下の説明においては、図13及び図14における右側を前方とする。また、画像を形成する手順については、上記第1実施形態のものと同様であるので詳細な説明は省略する。
【0073】
図13は、本実施形態の画像形成装置としてのレーザプリンタ100の概略構成を示す側断面図である。このレーザプリンタ100は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色に対応する4つの感光体ドラム101を備えた、いわゆるダイレクトタンデム型のカラーレーザプリンタである。
【0074】
レーザプリンタ100は、縦長の本体ケーシング102を備えており、この、本体ケーシング102の内部には画像形成ユニット103が装着されるユニット収容部104が設けられている。また、本体ケーシング102の下部には、記録媒体としての用紙105が積載される給紙トレイ106が設けられ、ここから用紙105が転写ベルト107へ供給される。転写ベルト107は、ユニット収容部104の後側にほぼ垂直方向に延びるように配置されており、その表面に静電吸着した用紙105を上方の定着器108へと搬送す
る。また、転写ベルト107の内側には画像形成ユニット103の各感光体ドラム101と対向配置される転写ローラ(図示せず)が設けられている。定着器108を通過した用紙105は排紙ローラ109に搬送される。本体ケーシング102の上部には、開閉可能な上面カバー110が設けられており、この上面カバー110の内側には定着器108及び排紙ローラ109が一体的に保持されている。また、上面カバー110の上面から本体ケーシング102の上面にかけて排紙ローラ109から排出された用紙105を積載する排紙トレイ111が形成されている。なお、本体ケーシング102内には、ユニット収容部104の前側に露光手段としてのスキャナ部112が設けられており、その後面から各色に対応した4本のレーザ光Lが斜め後下方に向けて射出される。各レーザ光Lの光路は、上下に一定間隔を開けて配され、互いに平行をなす。
【0075】
画像形成ユニット103は、本体ケーシング102に対して上方へ引き出し可能で、かつ着脱可能とされており、画像形成ユニット103と本体ケーシング102との間には、引き出し動作を案内する案内手段(図示せず)と、画像形成ユニット103を引き出し停止位置に保持するロック手段(図示せず)とが設けられている。画像形成ユニット103は、縦長略箱形のフレーム113を備えており、そのフレーム113の上面には、引き出し時及び単体での持ち上げ時に手掴み可能な把持部114が設けられている。フレーム113の後部には、4つの感光体ドラム101が上下に一定間隔で並んで設けられ、さらに各感光体ドラム101の周囲にそれぞれスコロトロン型帯電器115及びクリーニングブラシ116が設けられている。
【0076】
感光体ドラム101の前側には、前方へ開放したカートリッジ装着部117が形成されており、ここには各色に対応した4つの現像カートリッジ118が垂直方向に並んでかつ互いに離間した状態で装着される。現像カートリッジ118は、収容ケース119の後端部に現像ローラ120を備えており、この現像ローラ120の備えたローラ軸120Aの両端部が収容ケース119の左右両側に突出している。また、収容ケース119の左右両外側面には、ローラ軸120Aに対し斜め前上方位置に案内ピン121が突設されている。一方、フレーム113の左右両側壁113Aには、各現像カートリッジ118のローラ軸120A及び案内ピン121が係合される案内溝122が形成されている。この案内溝122は、側壁113Aの前部から斜め前上方に向けて延びており、側壁113Aの前端に開口している。ローラ軸120A及び案内ピン121を案内溝122に係合させることにより、現像カートリッジ118の姿勢が定まり、またローラ軸120A及び案内ピン121を案内溝122に沿って移動させることで、現像カートリッジ118の着脱が案内される。即ち、本実施形態では、現像カートリッジ118の離脱方向は、斜め上側(フレーム113の引き出し方向)に向けて傾斜している。また、各現像カートリッジ118の着脱方向は、スキャナ部112からのレーザ光Lの光路とほぼ平行にされている。さらに、各現像カートリッジ118における収容ケース119の上下両面は、レーザ光Lの光路と概ね平行になるように形成されている。
【0077】
画像形成ユニット103を図13に示す正規装着位置から引き出す場合には、まず上面カバー110を開放し、ユニット収容部104内の把持部114を掴んで画像形成ユニット103を上方へ引き出す(図14参照)。画像形成ユニット103を引き出し停止位置まで引き出すと前述のロック手段によりフレーム113が保持され、各現像カートリッジ118の交換作業を行うことができる。ここで、現像カートリッジ118は斜め前側上方(画像形成ユニット103の引き出し方向)へ引き抜くことで離脱され、また、反対に斜め後側下方に押し込むことで装着されるため、水平方向に着脱を行うものに比べ、交換作業の作業性が良い。
【0078】
続いて、画像形成ユニット103を本体ケーシング102から取り外す場合には、前述のロック手段を解除し、把持部114を掴んで画像形成ユニット103を持ち上げる。こ
のように、画像形成ユニット103には持ち上げ時における手掴み用の把持部114が設けられているため、画像形成ユニット103単体での持ち運びが容易である。また、画像形成ユニット103の引き出し時及び持ち上げ時において、各現像カートリッジ118の離脱方向が斜め上方を向いているため、例えばフレーム113に何らか衝撃が加わったような場合でも現像カートリッジ118が誤ってフレーム113から脱落してしまうことがない。また、画像形成ユニット103が本体ケーシング102に対して着脱可能であるため、画像形成ユニット103を本体ケーシング102から取り外すことで、本体ケーシング102内のジャム処理や部品交換等のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0079】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記各実施形態では、記録媒体に対し直接転写を行うダイレクトタンデム方式のものを例示したが、本発明は、記録媒体に対して中間転写体(中間転写ベルトあるいは中間転写ドラムなど)を介して転写を行う中間転写方式のカラーレーザプリンタにも適用することができる。(2)画像が記録される記録媒体としては、用紙の他にOHP用のプラスチックシートや布製の媒体等を用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の第1実施形態における画像形成装置としてのレーザプリンタの概略構成を示す側断面図
【図2】画像形成ユニットを本体ケーシングから引き出した状態を示す側断面図
【図3】画像形成ユニットを本体ケーシングから取り外す過程を示す側断面図
【図4】(A)〜(C)カートリッジの装着状態と作用する力との関係を示す説明図
【図5】第1実施形態の変形例におけるレーザプリンタを本体ケーシングから取り外す過程を示す側断面図
【図6】第2実施形態における画像形成ユニットの概略構成を示す側面図
【図7】第3実施形態におけるレーザプリンタの画像形成ユニットを引き出した状態を示す側断面図
【図8】案内手段の一例を説明するための正断面図
【図9】第3実施形態の変形例における画像形成ユニットを示す側断面図
【図10】第3実施形態の別の変形例における画像形成ユニットを示す側断面図
【図11】第3実施形態のさらに別の変形例におけるレーザプリンタを示す側断面図
【図12】画像形成ユニットを本体ケーシングから引き出した状態を示す側断面図
【図13】第4実施形態における画像形成ユニットの概略構成を示す側面図
【図14】画像形成ユニットを本体ケーシングから引き出した状態を示す側断面図
【符号の説明】
【0081】
1,1A,100…レーザプリンタ(画像形成装置)
2,2A,102…本体ケーシング
3,105…用紙(記録媒体)
6…フロントカバー(カバー)
7…給紙トレイ(供給トレイ)
20,64,70,70A,70B,70C,103…画像形成ユニット
21,65,71,75,87,96,113…フレーム
22,118…現像カートリッジ(カートリッジ、現像器)
30,101…感光体ドラム(感光体)
38,107…転写ベルト(用紙搬送ベルト)
52…張出部(干渉回避手段、脚部)
53…後側脚部(干渉回避手段、脚部)
55,63,67…抜止突部(抜け規制手段)
56…抜け規制部(抜け規制手段)
58,62…ハンドル部材
58A,114…把持部
60…ストッパ
66A…可動把持部(把持部)
69…固定把持部(把持部)
72…取手部
76,88…カートリッジ
77,89…現像カートリッジ(現像器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケーシング内に、現像器及び感光体が複数組並列して設けられ、前記各現像器から供給される現像剤によって前記各感光体上に可視像が形成され、その可視像が記録媒体に転写されるように構成されたタンデム方式の画像形成装置であって、
前記本体ケーシング内には、前記複数組の現像器及び感光体を支持するフレームと、前記現像器又は前記感光体の一つを少なくとも含んで構成されかつ前記フレームに着脱可能に保持される複数のカートリッジとを備えた画像形成ユニットが前記本体ケーシングに対して引き出し可能に設けられたものにおいて、
前記画像形成ユニットは、前記本体ケーシングに対して着脱可能とされており、
前記本体ケーシングには、前記記録媒体が積載される供給トレイが引き出し可能に設けられ、前記画像形成ユニットの引き出し方向が前記供給トレイの引き出し方向と同じであり、
前記本体ケーシング内には、前記各感光体上のトナー像を前記記録媒体に転写させるための転写ベルトが設けられ、前記画像形成ユニットの装着時には前記各感光体が前記転写ベルトに対向する位置に配され、前記画像形成ユニットの引き出し時には前記各感光体が前記転写ベルトから分離するように構成されており、
さらに、
前記画像形成ユニットには、前記供給トレイから供給された記録媒体を、前記感光体と前記転写ベルトとの間に向かって搬送する給紙パスを形成するためのガイドが一体に設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記カートリッジは、前記現像器の一つを備え、前記感光体とは別体に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記カートリッジは、一組の前記現像器及び前記感光体を備えて構成され、当該現像器及び感光体が互いに一体的に保持されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−152305(P2008−152305A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−69528(P2008−69528)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【分割の表示】特願2004−285191(P2004−285191)の分割
【原出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】