説明

画像形成装置

【課題】 画像の濃度変換部分に現れるバンディングと呼ばれる段差を解消するためにノイズを付加するが、付加レベルを強くすると画像のざらつきが目立ってしまう。
【解決手段】 画像データの画素毎に画像のPDLデータを参照して属性を判定し、属性に応じて異なるノイズを画像データに付加し、画像形成を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、特にカラー出力を行う画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式のカラープリンタで、グラデーションの画像を印刷した場合にその濃度変化部分でバンディングと呼ばれる段差が目立ってしまうため、画像データ全面にノイズを付加し、バンディングを目立たなくし、グラデーション出力を滑らかに見せる技術が使われていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−134475
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のカラー画像形成装置では、ノイズの付加レベルを強くすればバンディング解消効果は大きくなるものの、画像のざらつきが逆に目立ってきてしまうデメリットがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を克服するため、本発明による画像形成装置は、
・PDLラスタライザのような原画像データ生成手段、
・画素毎に元のPDLのオブジェクトを判定するような画像領域判定手段、
・画像領域に応じてノイズレベルを変化させるノイズ付加手段、
・電子写真カラープリンタのような画像形成手段
を備え、画像領域に応じてノイズ付加レベルを変化させることにより、グラデーションの滑らかさと、がさつきの少ない画像を両立させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
以上の処理により、画像データの特徴に応じて付加するノイズを自動的に変化させることができ、ノイズを付加しバンディングを目立たなくしつつノイズを付加する必要のない領域ではノイズ付加を抑えることにより、グラデーションを滑らかにしながら画像のざらつきを抑えることが可能となり、出力画質の向上を望める。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
上記のような画像形成装置。
【0007】
(第一の実施例)
以下に本発明第1の実施例を説明する。
【0008】
[システム構成]
図2に第1の実施例のシステム構成を示す。203は100BaseTのイーサネット(登録商標)で構成されるネットワークであり、そこにパーソナルコンピュータ(PC)201、カラー複写機202が接続されている。ネットワーク203には他の機器も接続されているが割愛している。カラー複写機202はネットワーク対応のポストスクリプトプリンタとして機能し、PC201からカラー画像を印刷できる。
【0009】
[内部ブロック]
図1は第1の実施例のカラー複写機202の内部ブロック図である。
【0010】
図1において、101はスキャナであり、原稿を光学的に読み取り、電気信号にかえ、さらに一画素が各8ビットの輝度情報を持つRGB(Red, Green, Blue)デジタルデータを生成する。主走査方向、副走査方向とも、400dpiの解像度のラスターデータである。
【0011】
102は画像処理で、入力マスキングやRGBからCMYK(Cyan Magenta, Yellow,blacK)へのログ変換、出力マスキング等の処理を含む。
【0012】
103はノイズ付加装置であり、8ビットの濃度データに対し、ランダムノイズデータを付加する。
【0013】
104はプリンタであり、受信した面順次のCMYKデータをもとに、電子写真方式によりカラー画像を形成する。
【0014】
105はフレームバッファであり、139MBのサイズを持つシンクロナスDRAMである。スキャナから取り込んだラスター画像データを記憶したり、CPU106により書き込まれたりする。
【0015】
106はCPUバスである。
【0016】
107はこのカラー複写機を制御するCPUで、Intel社のPentium(登録商標) III, 600MHzを用いる。
【0017】
108はCPUバス106に接続されたI/Oポートで、スキャナ101やプリンタ104を制御したり、センサの信号を入力する。
【0018】
109はROMでこのシステムのブート時に動くソフトが入っている。CPUバス106に接続している。
【0019】
110はワークRAMで、117MBのシンクロナスDRAMである。実際には、フレームバッファ105とあわせて256MBのシンクロナスDRAMのメモリモジュールで構成される。CPUバス106に接続している。
【0020】
111はSCSIのコントローラである。CPUバス106に接続している。
【0021】
112はSCSIコントローラ111に接続された3.5 inch 9.1GBのハードディスクドライブである。
【0022】
113はネットワークI/Fのコントローラであり、CPUバス106に接続されている。外部の10BaseTまたは100BaseTあるいは10Base5のEthernet(登録商標)ネットワークと接続されデータのやりとりを行う。
【0023】
114はこのカラー複写機の操作部で、LCDパネルとタッチパネル、ボタンから構成される。
【0024】
[フレームバッファ]
図3にフレームバッファ105のメモリマップを示す。フレームバッファ105の中は、C,M,Y,Kのプレーン301,302,303,304および領域コードα(後述)のプレーン305からなる。C,M,Y,Kについては、306のように1画素=8ビットのデータが並んでいる。αは307のように、1画素=2ビットのデータで、1バイト中に4画素分のデータが詰め込まれている。
【0025】
[領域コードα]
図4に領域コードαの意味を示す。画素ごとに、その画素が元のポストスクリプト記述上、何もオブジェクトがない(つまり白地)ならα=0、ラスターイメージとして記述されていたらα=1、フォントオブジェクト(つまり文字)として記述されていたらα=2、ベクターオブジェクトとして記述されていたらα=3としてフレームバッファ105に記録される。これはポストスクリプトジョブをラスタライズする際に同時に行われる。そして、αの値により、ノイズレベル(後述)が図のようにあらかじめ定められている。
【0026】
[ノイズ付加装置]
ノイズ付加装置103の詳細を図5に示す。入力画像データはMCYKの面順次で流れる8ビットのデータ線となる。そして画素ごとに2ビットの領域信号αが前段から送られてくる。乱数生成装置503は画素同期クロック信号VCLKに同期して、αの値により3ビット幅の乱数を生成する。図4に示すノイズレベルに応じて乱数の値の幅が定まる。例えば、α=0の場合、ノイズレベル=0なので、乱数の出力は常に0、α=2の場合ノイズレベル=+/−2なので、−2〜+2の間の乱数が出力される。8ビット幅の画像データはバッファ501により乱数生成と同じだけの遅延をさせ、ADDER502にて乱数と加算される。このADDER502では、加算の結果、0より小さくなったり255より大きくなる場合はそれぞれ0、255に丸める機能を持っている。
【0027】
[コピー動作]
図1を用いてコピー動作を説明する。コピーを実行する場合、スキャナ101が原稿を読み取り、RGBのラスター画像データを生成する。それを画像処理102がCMYKのいずれかに変換し、ノイズ付加装置103を経てプリンタ104にて現像し紙に出力する。MCYKの順でこの動作を繰り返し、カラー画像を形成する。
【0028】
コピー動作の場合、ノイズ付加装置に入力されるαは常に0になるように制御される。つまり、コピー画像に対してはノイズは付加されない。
【0029】
[プリント動作]
図1を用いてプリント動作を説明する。ユーザがPC201からプリンタドライバを使ってカラー複写機202への印刷を実行すると、カラー複写機202ではNetwork I/F113を介してポストスクリプトで記述されたジョブを受信し、ワークRAM110に保存する。そしてCPU107によりポストスクリプトの記述を解釈しラスター画像を生成しフレームバッファ105に保存する。この時、先に説明したとおり領域コードαを生成しフレームバッファ105に記録する。そのラスター画像をノイズ付加装置103を経てプリンタ104にて現像し紙に出力する。MCYKの順でこの動作を繰り返し、カラー画像を形成する。
【0030】
(第2の実施例)
第1の実施例では、ポストスクリプト上のオブジェクト毎にαを定めていたが、画像内容が均質な面かどうかによってαを変えたり、画像の濃度によってαを変えても良い。こうすることにより、ノイズ付加によりざらつきが目立ちやすい均質な面はノイズレベルを低くしたり、バンディングそのものが目立たない高濃度域ではノイズレベルを低くしたりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】第1の実施例のカラー複写機の内部構成を説明するブロック図である。
【図2】第1の実施例のシステム構成図である。
【図3】第1の実施例のフレームバッファのメモリマップである。
【図4】第1の実施例の領域コードαの表である。
【図5】第1の実施例のノイズ付加装置の構成図である。
【符号の説明】
【0032】
101 スキャナ
102 画像処理部
103 ノイズ付加部
104 プリンタ
105 フレームバッファ
106 CPUバス
107 CPU
108 I/Oポート
109 ROM
110 RAM
111 SCSI I/F
112 ハードディスクドライブ
113 ネットワークI/F
114 操作部
201 パーソナルコンピュータ
202 カラー複写機
203 LAN
301 シアンプレーンのフレームバッファ
302 マゼンプレーンのフレームバッファ
303 イエロープレーンのフレームバッファ
304 ブラックプレーンのフレームバッファ
305 αプレーンのフレームバッファ
306 CMYKフレームバッファの1バイト
307 αフレームバッファの1バイト
501 バッファゲート
502 加算器
503 乱数生成回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の手段を含み、グラデーションを滑らかに出力することを特徴とする画像形成装置。
・原画像データ生成手段:原画像のデータを生成する。
・画像領域判定手段:画像領域の種類を画素毎に判定する。
・ノイズ付加手段:画像領域判定手段により判定された画像領域の種類に応じてレベルを変えたノイズを原画像データに付加する。
・画像形成手段:上記の処理により最終的に得られたラスター画像データを画像形成する。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
・原画像データ生成手段が、PDL(ページ記述言語)からラスター画像を形成するPDL処理手段を持つ
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2の画像形成装置において、
・画像領域判定手段が、PDLのオブジェクトの種類により画像領域の種類を判定する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3の画像形成装置において、
・ノイズ付加手段が、ラスター画像オブジェクトには弱いレベルで、ベクター画像オブジェクトには強いレベルでノイズを付加する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1の画像形成装置において、
・原画像データ生成手段が、PDL(ページ記述言語)からラスター画像を形成するPDL処理手段を持つ
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1の画像形成装置において、
・原画像データ生成手段が、原稿読取手段を持つ
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1の画像形成装置において、
・画像領域判定手段が、濃度が均質な画像領域とそうでない画像領域を判定し、
・ノイズ付加手段が、濃度が均質な画像領域に対しては弱いレベルのノイズを付加する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1の画像形成装置において、
・画像領域判定手段が、濃度に応じて画像領域を判定し、
・ノイズ付加手段が、濃度に応じて付加するノイズのレベルを変化させる
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1の画像形成装置において、
・画像形成手段が、複数の要素色からなるカラー画像を形成する
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−135395(P2006−135395A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−319182(P2004−319182)
【出願日】平成16年11月2日(2004.11.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】