説明

画像形成装置

【課題】小型で安価な画像形成装置を提供する。
【解決手段】本画像形成装置1は、画像形成部2を支持するフレーム4Bを有する。フレーム4Bは区画面5を有し、区画面5は、内方D1と外方D2とを外方D2に臨んで区画する。区画面5よりも内方D1に、放電手段としての帯電チャージャ7、および画像形成のために動作をする駆動機構11,12,13を備える。区画面5よりも外方D2に、放電手段に対して高電圧を印加するための高圧回路基板14、および駆動機構11,12,13を動作させるための駆動源ユニット10を備える。高圧回路基板14は、区画面5に外方D2から直接取り付けられ、駆動源ユニット10は、高圧回路基板14とオーバーラップし且つ高圧回路基板14よりも外方D2に位置するように区画面5に外方D2から取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、例えば、光に応じた潜像を形成するために円柱形状をなして回転する感光体ドラムと、高電圧を印加されることにより感光体ドラムを帯電させる帯電チャージャと、感光体ドラムに形成された静電潜像を現像ローラを用いて供給されるトナーにより顕像化する現像装置等を含んでいる。感光体ドラム、現像ローラ等は、電動モータを含む駆動源ユニットにより駆動される。また、帯電チャージャに高電圧を印加するための高圧回路基板が備えられている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【0003】
高圧回路基板は、通例、画像形成装置内の板状のフレームに対して、柱状の取付部材を介して固定されている。また、高圧回路基板は、フレームの共通の側面に沿って駆動源ユニットと並んで取り付けられる場合(例えば、特許文献1参照。)や、画像形成装置の後部にある駆動源ユニットから離れた位置、例えば、画像形成装置の前部や上部に配置される場合がある。
【特許文献1】特開2001−347723号公報
【特許文献2】特開2003−195697号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記取付部材は、フレームと高圧回路基板とは別体に形成されているので、部品点数が多くなり、製造コストが高くなっていた。
また、高圧回路基板を駆動源ユニットから離して配置する場合には、駆動源ユニットを収容する収容スペースと、高圧回路基板を収容する収容スペースとを、別々に確保する必要がある。その結果、装置全体が大型化する。また、高圧回路基板および駆動源ユニットを、フレームの共通の側面に並べて配置する場合でも、上述の収容スペースの事情は同様であるので、装置全体が大型化していた。
【0005】
そこで、この発明の目的は、小型で安価な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像形成装置は、内方と外方とを区画する区画面を有するフレームを備え、上記区画面よりも内方に、放電手段、および画像形成のために動作をする駆動機構を備え、上記区画面よりも外方に、上記放電手段に対して高電圧を印加するための高圧回路基板、および上記駆動機構を動作させるための駆動源ユニットを備えている画像形成装置において、上記高圧回路基板は、上記区画面の外方側に直接取り付けられ、上記駆動源ユニットは、少なくとも一部分が高圧回路基板とオーバーラップし且つ高圧回路基板よりも外方に位置するように、上記区画面の外方側に取り付けられていることを特徴とする。本発明によれば、高圧回路基板の外方に駆動源ユニットをオーバーラップさせることにより、両者を互いに接近配置でき、両者のための収容スペースを、それぞれが単独で配置される場合に比べて小型化できる。さらに、高圧回路基板とフレームとを接近させて且つ直接に取り付けているので、両者を取り付けるための構造を簡素化し且つ部品点数を削減できる。
【0007】
また、本発明において、上記駆動源ユニットは、ユニット本体と、このユニット本体から上記区画面側へ突出する取付用の脚とを有し、この脚によって、ユニット本体が区画面から外方へ所定距離離れた状態で取り付けられている場合がある。この場合、駆動源ユニットのユニット本体を、フレームから離して脚により取り付けることができ、ユニット本体とフレームとの間に、高圧回路基板をオーバーラップ状態で配置することができる。
【0008】
また、本発明において、上記高圧回路基板は、区画面よりも内方へ向けて突出する弾性接続体を有し、この弾性接続体は、上記区画面に形成された孔を介して、区画面よりも内方に備えられた上記放電手段に電気的に接続されている場合がある。この場合、弾性接続体は、弾力的に変形することにより、これ自身の寸法誤差や、組立誤差等を吸収しつつ、電気的な接続を、電線に代えて確実に達成できる。
【0009】
また、本発明において、上記高圧回路基板は、少なくとも内方側が絶縁材で覆われている場合がある。この場合、高圧回路基板とフレームとの間の絶縁を確実に確保できるので、フレームと高圧回路基板との間の距離を、絶縁材で覆わない場合に比べて短くでき、その結果、画像形成装置を小型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態では、画像形成装置がタンデムタイプのフルカラープリンタである場合に則して説明するが、本発明はこれに限らず、例えば、プリンタに代えて複写機、ファクシミリ装置であってもよいし、単色画像を形成する画像形成装置であってもよい。
図1は、本発明の一実施形態の画像形成装置の主要部を後方から見た斜視図である。
【0011】
画像形成装置1は、イエロー画像、マゼンタ画像、シアン画像、黒画像の各色ごとに設けられた複数、例えば4つの画像形成部2と、これら各画像形成部2を支持するための構造材3とを有している。4つの画像形成部2は、左右方向Xに沿って並んでいる。本実施の形態では、4つの画像形成部2が左右方向Xに沿って並んでいる場合に則して説明する。なお、画像形成部2の並ぶ方向は、自在に設定することができる。
【0012】
構造材3は、画像形成部2の前側および後側に隣接して配置された板状の一対のフレーム4A,4Bを有している。一対のフレーム4A,4Bは、互いの間に所定間隔を開けて、接続材(図示せず)により互いに接続されている。以下、フレーム4Bおよびその周辺部分を中心に説明する。
図2は、図1に示す画像形成装置1の主要部としてのフレーム4Bおよびその周辺部分の断面図である。図1および図2を参照する。
【0013】
フレーム4Bは、導電体としての金属により板状に形成され、各画像形成部2が並ぶ方向である左右方向Xおよび上下方向Zに沿って延びている。フレーム4Bは、画像形成部2の配置された側とは反対側に区画面5を有する。区画面5は、画像形成部2がある側である内方D1と、内方D1とは反対側の外方D2とを区画する。具体的には、フレーム4Bの区画面5は、外方D2に臨んで形成された後面からなり、内方D1は前側に相当し、外方D2は後側に相当する。
【0014】
各画像形成部2は、同様に構成されている。画像形成部2は、光に応じた潜像を形成するための円柱形状をなす感光体ドラム6と、感光体ドラム6を帯電させる放電手段としての帯電チャージャ7と、感光体ドラム6に形成された静電潜像を容器から現像ローラを用いて供給されるトナーにより顕像化するための現像装置8と、トナー像が転写された後の感光体ドラム6の表面をクリーニングするためのクリーナ9とを含んでいる。これら各部6,7,8,9は、区画面5よりも内方D1に配置されている。
【0015】
各画像形成部2では、感光体ドラム6を回転させつつ、感光体ドラム6の外周面を帯電チャージャ7により均一に帯電し、次いでレーザビーム発生装置(図示せず)からのレーザ光によって露光する。これにより、感光体ドラム6の外周面に所望の画像を結像させて静電潜像を形成し、この静電潜像を現像装置8によりトナー像に顕像化する。各画像形成部2では、感光体ドラム6上に形成された対応する各色のトナー像を、転写部(図示せず)により転写材である用紙に順に重ね合わせて転写する。4色のトナー像は、定着部により加熱されて用紙に定着される。
【0016】
また、画像形成装置1は、画像形成のための駆動源ユニット10と、駆動源ユニット10により駆動されて動作することにより感光体ドラム6を駆動して回転させる駆動機構11と、駆動源ユニット10により駆動されて動作することにより現像装置8の現像ローラを駆動する駆動機構12と、駆動源ユニット10により駆動されて動作することによりクリーナ9のクリーニングローラを駆動する駆動機構13と、放電手段としての帯電チャージャ7の高電圧線に対して高電圧を印加するための高圧回路基板14とを備えている。
【0017】
駆動機構11は、画像形成部2ごとに設けられ、動力伝達部材としての伝達軸11aを含む。この伝達軸11aの端部には、継手が設けられている。また、図示しないがこれと同様に、駆動機構12,13は、画像形成部2ごとに設けられ、動力伝達部材としての伝達軸を含み、これの端部に継手が設けられている。
駆動機構11,12,13と、駆動源ユニット10と、高圧回路基板14とは、フレーム4Bに隣接して配置されている。駆動機構11,12,13は、フレーム4Bの区画面5よりも内方D1に配置されている。駆動源ユニット10と高圧回路基板14とは、フレーム4Bの区画面5よりも外方D2に配置されている。
【0018】
特に、本実施形態では、高圧回路基板14は、フレーム4Bの区画面5に外方D2から直接取り付けられている。
また、駆動源ユニット10の少なくとも一部分が、高圧回路基板14の少なくとも一部分と、前後方向D1,D2に沿って見たときに重なり合うように、オーバーラップし、且つ高圧回路基板14の少なくとも上記一部分よりも外方D2に位置するように、駆動源ユニット10は、後側のフレーム4Bの区画面5に外方D2から取り付けられている。
【0019】
なお、駆動源ユニット10および高圧回路基板14の全体同士がオーバーラップして配置されてもよいし、駆動源ユニット10および高圧回路基板14の一方の全体と、他方の一部とがオーバーラップして配置されてもよいし、駆動源ユニット10および高圧回路基板14の一部分同士がオーバーラップして配置されてもよい。
本実施形態では、駆動源ユニット10の一部分としての下半部と高圧回路基板14の一部分としての上半部とが、前後方向に沿って見たときに重なり合うように、オーバーラップし且つ高圧回路基板14の一部分よりも外方D2に位置するように、駆動源ユニット10はフレーム4Bの区画面5に外方D2から取り付けられている場合に則して説明し、この場合について図示している。
【0020】
本実施形態では、駆動源ユニット10は、複数の画像形成部2ごとに対応して設けられた4つの個別ユニット15と、4つの画像形成部2に共用される2つの共用ユニット16,17とを有している。4つの個別ユニット15および2つの共用ユニット16,17は、フレーム4Bにそれぞれ個別に着脱可能とされる。
共用ユニット16は、4つの現像装置8を駆動するための電動モータ16aを有している。また、共用ユニット17は、4つのクリーナ9を駆動するための電動モータ17aを有している。
【0021】
図3は、前方から見た個別ユニット15の斜視図である。図1と図3とを参照する。
各個別ユニット15は、対応する画像形成部2の感光体ドラム6を駆動するための電動モータ15aと、対応する画像形成部2の感光体ドラム6、現像装置8およびクリーナ9をそれぞれ駆動するための動力伝達部材としての伝達軸15b,15d,15fとをそれぞれ有している。各伝達軸15b,15d,15fの端部には継手が設けられている。
【0022】
各個別ユニット15の電動モータ15aの出力軸は、当該個別ユニット15の伝達軸15bに動力伝達可能に連結されている。電動モータ16aの出力軸は、4つの個別ユニット15にそれぞれ設けられたギヤ列15cを介して、各個別ユニット15の伝達軸15dに動力伝達可能にそれぞれ連結されている。電動モータ17aの出力軸は、4つの個別ユニット15にそれぞれ設けられたギヤ列15eを介して、各個別ユニット15の伝達軸15fに動力伝達可能にそれぞれ連結されている。
【0023】
図1、図2、図3を参照して、各個別ユニット15は、対応する画像形成部2と、フレーム4Bを挟んで互いに反対側に対向して配置されている。フレーム4Bには、各個別ユニット15の伝達軸15b,15d,15fに対応する位置に複数の連通孔20(伝達軸15bに対応する連通孔20のみを図示。)が形成されている。連通孔20に、対応する個別ユニット15の伝達軸15b,15d,15fがそれぞれ挿通している。各個別ユニット15の伝達軸15b,15d,15fは、その端部にある継手を介して、対応する画像形成部2の駆動機構11,12,13に動力伝達可能に連結されている。
【0024】
図2と図3を参照して、個別ユニット15は、ユニット本体18と、このユニット本体18から所定長さで突出する取付用の複数、例えば2つの脚19とを有している。この脚19が、ユニット本体18から前後方向に沿って延びて区画面5側へ突出するようにして、個別ユニット15はフレーム4Bに取り付けられる。この脚19によって、ユニット本体18が区画面5から外方D2へ所定距離離れた状態で取り付けられている。
【0025】
ユニット本体18は、電動モータ15aと、伝達軸15b,15d,15fと、動力伝達部材としてのギヤ列15c,15eと、これら15a〜15fを支持する箱状のハウジング15gとを有している。脚19とハウジング15gとは、絶縁体としての合成樹脂材料により一体に形成されている。
ハウジング15gは、区画面5と対向する対向面15hを有する。対向面15hは、高圧回路基板14の上半部とオーバーラップして配置されて区画面5との間隔が広い第1の部分としての下半部15iと、オーバーラップしないで区画面5との間隔が狭い第2の部分としての上半部15jとを有する。
【0026】
上半部15jには、伝達軸15b,15d,15fと、一方の脚19とが突出して配置されている。下半部15iには、他方の脚19が配置されている。
脚19には、挿通孔19aが形成されている。この挿通孔19aに対向して、フレーム4Bには、ねじ孔からなる挿通孔21が形成されている。ボルト(図示せず)が、脚19の挿通孔19aおよびフレーム4Bの挿通孔21を挿通してねじ止めされることにより、脚19がフレーム4Bに固定されている。また、他方の脚19は、位置決め用係合部としての突起19bを有している。この突起19bがフレーム4Bの位置決め用係合部としての嵌合孔22と係合することにより、ハウジング15gがフレーム4Bの所定位置に位置決めされる。
【0027】
図4は、高圧回路基板等の分解斜視図である。図2と図4とを参照する。
高圧回路基板14は、プリント配線板23と、実装部品24と、弾性接続体25と、カバー27とを含んでいる。プリント配線板23と実装部品24とは回路基板本体としての回路基板組立体を構成している。回路基板組立体は、4つの画像形成部2に共用されている。回路基板組立体の内方面26(プリント配線板23の内方にある内面に相当する。)には、この内方面26を覆う絶縁材としての板状のカバー27が取り付けられている。カバー27には、弾性接続体25を保持する保持部28が設けられている。回路基板組立体とカバー27とは、フレーム4Bに一体的に着脱可能な基板ユニットを構成している。
【0028】
実装部品24は、プリント配線板23に実装されて、高圧回路を構成するためのトランス等の回路素子を含んでいる。
プリント配線板23は、一方向に長い略長方形の絶縁板と、絶縁板に形成された所定の導体パターンとを有している。導体パターンと上述の回路素子とが、電気的に接続されて、帯電チャージャ7等の放電手段に高電圧を印加するための高圧回路を構成する。
【0029】
プリント配線板23における外方D2にある外面には実装部品24が実装されている。一方、プリント配線板23の内面には実装部品24は実装されていないが、小型または薄型の実装部品(図示せず)のみが実装されるようにしてもよい。
具体的には、プリント配線板23の外面においては、駆動源ユニット10とオーバーラップする第1の領域としての上側部分に、実装高さ(プリント配線板23の外面からその法線方向に沿って測った実装部品24の最後部までの距離に相当する。)が相対的に低い実装部品24のみが実装されている。また、上述の第1の領域以外の部分であって駆動源ユニット10とオーバーラップしない第2の領域としての下側部分に、実装高さが最も高い実装部品24が実装されている。また、上述の第1の領域には、駆動源ユニット10の上述の他方の脚19が挿通する複数の挿通孔29が形成されている。
【0030】
プリント配線板23は、フレーム4Bに直接取り付けるための複数の取付部30を有している。取付部30は、プリント配線板23の長手方向に対向する両端部にある2箇所に設けられている。取付部30には、挿通孔が形成されていて、この挿通孔を取り囲んで取付部30の両面に導体パターンの一部が形成されている。
フレーム4Bには、プリント配線板23の取付部30に対向して複数の被取付部31を有している。被取付部31に、プリント配線板23の対応する取付部30が取り付けられている。被取付部31は、フレーム4Bに一体に形成されている。具体的には、被取付部31は、フレーム4Bの平坦部32から切り起こし形成された片持ち状の舌片からなる。この舌片は、フレーム4Bの平坦部32から外方D2へ所定距離離れた座面を有し、この座面に挿通孔が形成されている。この挿通孔には、雌ねじが形成されている。
【0031】
ボルト40が、取付部30の挿通孔と被取付部31の挿通孔とに挿通され、被取付部31の挿通孔にねじ込まれる。これにより、ボルト40の頭部と被取付部31の座面との間に、プリント配線板23の取付部30が挟持されて、固定される。これに伴い、被取付部31の座面と取付部30の内方D1にある面とが互いに面当たり状態で接触することにより、またはボルト40を介することにより、プリント配線板23の取付部30を取り囲む導体パターンの一部と、フレーム4Bとが、電気的に接続され、例えば接地される。
【0032】
カバー27は、プリント配線板23と別体で絶縁性を有する合成樹脂部材により形成されている。カバー27は、逃げ部27aにおいて、取付部30および被取付部31から逃がされている。一方でカバー27は、高圧回路基板14の回路基板組立体の内方面26に取り付けられて、逃げ部27a以外の部分が内方面26のほぼ全域と、プリント配線板23の下端面とを覆い、特に、高圧回路基板14において高電圧が印加される部分を覆っている。
【0033】
カバー27には、脚19を通すために、プリント配線板23の挿通孔29と対向して複数の挿通孔27bが形成されている。また、カバー27は、外側の縁部および挿通孔27bの縁部に沿って連続して延びて平坦部27dから外方D2に突出する突起27cを有している。突起27cは、下側の縁部に沿う部分を除いて、プリント配線板23の内面における外側の縁部および挿通孔29の縁部と当接する。突起27cは、下側の縁部に沿う部分の突出量が大きくされ、この部分がプリント配線板23の下端面を覆っている。平坦部27dは、高圧回路基板14の回路基板組立体の内方面26との間に所定距離の隙間を開けている。
【0034】
カバー27は、高圧回路基板14のプリント配線板23を、互いの相対移動を規制した状態で保持できるようにされている。すなわち、カバー27の上端縁には、外方D2に突出する複数、例えば4つの鉤部27eが、上下方向に弾性変形可能に形成されている。鉤部27eは、突起27cの上側の縁部に沿う部分との間に、プリント配線板23の縁部としての上端縁を引っ掛け状態で挟持して保持する。カバー27の突起27cの下側の縁部に沿った部分には、複数、例えば3つの嵌合孔27fが形成されている。嵌合孔27fには、プリント配線板23の縁部としての下端縁から下方に突出する突起23aが嵌められている。カバー27の平坦部27dから外方d2に突出する円柱形状の突起からなる複数の位置決め部27gが、プリント配線板23の嵌合孔23bに嵌合している。
【0035】
図5は、基板ユニットを前方から見た斜視図である。図2と図5とを参照する。
カバー27は、フレーム4Bの区画面5に、相対移動を規制された状態で保持されるようにされている。カバー27により高圧回路基板14がフレーム4Bに保持された状態で、高圧回路基板14をフレーム4Bに直接に固定する作業を容易にできる。
すなわち、カバー27は、フレーム4Bに当接することにより平坦部27dとフレーム4Bの区画面5との間隔を所定距離に規制する規制部としての第1の突起部27hおよび第2の突起部27iを有している。第1の突起部27hは、カバー27の下端縁に沿って延びて形成され平坦部27dから所定距離で内方D1に突出するフランジからなる。第2の突起部27iは、カバー27の上端部に平坦部27dから所定距離で内方D1に突出する複数のリブからなり、このリブは、ボス27jの根本に形成されている。
【0036】
また、カバー27の上端縁から内方D1に突出し先端が上向きに屈曲した複数、例えば4つのフック27kと、カバー27の第1の突起部27hからさらに内方D1に突出し先端が下向きに屈曲した複数、例えば2つのフック27mとが設けられている。係合部としての各フック27k,27mに対向して、フレーム4Bには係合部としての係合孔33が形成されている。フック27k,27mの先端が、係合孔33を貫通した状態で、係合孔33の周縁部に内方D1から当接し、外方D2へのカバー27の離脱が防止される。
【0037】
カバー27の下端縁のフランジ27pから内方D1に突出した円柱形状をなす位置決め部としての突起27nが形成されている。突起27nは、フレーム4Bに形成された位置決め部としての嵌合孔34に嵌め込まれていて、上下左右方向についてカバー27およびフレーム4Bの相対移動が規制されている。
カバー27には、複数の保持部28が配置されている。保持部28は、画像形成部2ごとに複数個ずつそれぞれ設けられている。保持部28は、カバー27において、駆動源ユニット10とオーバーラップする上半部に、具体的には上端部に配置されていて、対応する画像形成部2に近接して配置されている。
【0038】
図6は、保持部の模式的な断面図である。
保持部28に対向して、高圧回路基板14の回路基板組立体の内方面26には端子部35が設けられ、これとともに、フレーム4Bには挿通孔36が形成され、フレーム4Bよりも内方D1には放電手段としての帯電チャージャ7の導電性部材製の端子部7aが配置されている。これら各部28,35,36,7aと、保持部28に保持された弾性接続体25とは、前後方向に延びる同一軸線上に配置されている。
【0039】
放電手段としては、帯電チャージャ7の他、現像装置8があり、転写部であってもよく、これらのうちの少なくとも一つが本実施の形態のように高圧回路基板14と接続されていればよい。なお、上述の保持部28、弾性接続体25、端子部35等は、対象となる放電手段が異なる以外は同様に構成されている。以下では、一つの画像形成部2の帯電チャージャ7に則して説明する。
【0040】
弾性接続体25は、導電性部材により形成された圧縮コイルばねからなる。このばねの両端部に端子部25a,25bが形成される。本実施形態では、弾性接続体25は、一端側にあり外径が大きい大径部37と、他端側にあり外径が小さい小径部38とを有している。大径部37と小径部38とは、同心に配置され、一体に単一の線材により連続して形成されている。
【0041】
保持部28は、カバー27に一体に形成されている。保持部28は、カバー27の平坦部27dから内方D1に突出するボス27jの内側に形成され、有底円筒形状をなしている。ボス27jの内周面に沿って弾性接続体25が保持されている。保持部28の底28aには、挿通孔28bが形成されている。
保持部28の底28aは、小径部38側にある大径部37の端部と当接可能とされている。また、挿通孔28bは小径部38を挿通させている。弾性接続体25の大径部37が、保持部28の底28aとプリント配線板23との間に挟まれることにより、弾性接続体25が保持部28から離脱することが防止されている。
【0042】
端子部35は、プリント配線板23の導体パターンの一部により形成されているが、プリント配線板23に導電性部材を取り付けて構成してもよい。
フレーム4Bの挿通孔36には、保持部28を形成する絶縁材としてのボス27jが挿通され、これにより、弾性接続体25とフレーム4Bとの間の絶縁性が確保される。また、弾性接続体25は保持部28に保持された状態で圧縮弾性変形され、これとともに、一端側にある端子部25aと高圧回路基板14の端子部35とが互いに接触し電気的に接続され、また、他端側にある端子部25bが、区画面5よりも内方D1へ向けて突出して、放電手段の端子部7aに接触して電気的に接続されている。その結果、高圧回路基板14と、放電手段との電気的な接続が達成される。
【0043】
このように本発明の実施形態によれば、高圧回路基板14の外方D2に駆動源ユニット10をオーバーラップさせるようにしている。これにより、高圧回路基板14および駆動源ユニット10の両者を互いに接近配置でき、両者10,14のための収容スペースを、それぞれが単独で配置される場合に比べて小型化できる。また、フレーム4Bと高圧回路基板14との面同士を対向させて、スペース効率よく上述の両者10,14を配置できる。さらに、上述の両者10,14を、その接続対象にともに接近して配置でき、電気的および機械的に接続するための構造をともに簡素化できる。例えば、高圧回路基板14と放電手段との電気的な接続に電線を用いずに済ますことも可能となり、組立性を高めることが可能となる。
【0044】
高圧回路基板14とフレーム4Bとを接近させて且つ直接に取り付けているので、両者14,4Bを互いに取り付けるための構造を簡素化でき、且つ部品点数を削減できる。
また、脚19を有する駆動源ユニット10であれば、駆動源ユニット10のユニット本体18を、フレーム4Bから離して脚19により取り付けることができる。ユニット本体18とフレーム4Bとの間に、高圧回路基板14をオーバーラップ状態で配置できる。
【0045】
また、弾性接続体25は、弾力的に変形することにより、これ自身の寸法誤差や、組立誤差等を吸収しつつ、電気的な接続を確実に達成できる。従って、高圧回路基板14と放電手段とを接続するための電線を廃止することができ、組立コストを削減できる。
また、絶縁材としてのカバー27により、高圧回路基板14とフレーム4Bとの間の絶縁を確実に確保できるので、フレーム4Bと高圧回路基板14との間の距離を、絶縁材で覆わない場合に比べて短い距離でき、画像形成装置1を小型化することができる。
【0046】
また、本実施形態について、以下のような変形例を考えることができる。以下の説明では、上述の実施形態と異なる点を中心に説明し、同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
例えば、脚19は、少なくとも一つがあればよく、ハウジング15gと別体で形成されてハウジング15gに固定されていてもよい。また、脚19を廃止して、フレーム4Bから外方D2に突出する支持部により、ユニット本体18を支持することも考えられる。また、駆動源ユニット10としては、4つの個別ユニット15および2つの共用ユニット16,17の機能を一体的に構成してもよい。
【0047】
カバー27は、回路基板組立体の内方面26のみを覆ってもよい。高圧回路基板14の少なくとも内方側としての対向面41が、絶縁材により形成され、絶縁材により覆われていればよい。また、絶縁材としては、プリント配線板23と一体的に形成されてプリント配線板23の内面のほぼ全域を被覆する絶縁性を有する合成樹脂部材であってもよい。逆にカバー27が廃止される場合も考えられ、この場合には、高圧回路基板14とフレーム4Bとの間隔をカバー27がある場合よりも大きくすることが好ましい。
【0048】
弾性接続体25を、高圧回路基板14に固定したり、放電手段側に保持することも考えられる。弾性接続体25は、単一の外径の圧縮コイルばねや板ばねであってもよい。
フレーム4Bへ高圧回路基板14を直接に取り付ける態様としては、高圧回路基板14とフレーム4Bとが機械的にのみ連結されるようにしてもよい。ボルト40による固定を廃止して、高圧回路基板14をカバー27のみによりフレーム4Bに取り付けることも考えられる。また、取付部30は、プリント配線板に実装される実装部品の少なくとも一部であってもよい。また、フレーム4Bの被取付部31は、フレーム4Bに一体的に固定された被取付部31であってもよい。
【0049】
フレーム4Bを金属以外の部材、例えば合成樹脂部材により形成することも考えられる。また、駆動源ユニット10、高圧回路基板14等を、前側のフレーム4Aに同様に取り付けることも考えられる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施形態を示す画像形成装置の主要部の後方からの斜視図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の主要部としてのフレーム等の断面図であり、図4のII−II断面を示す。
【図3】図2の個別ユニットの前方からの斜視図である。
【図4】図2の高圧回路基板等の分解斜視図である。
【図5】図4の高圧回路基板を前方から見た斜視図である。
【図6】図2に示す保持部の模式的な断面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 画像形成装置
4B フレーム
5 区画面
7 帯電チャージャ(放電手段)
8 現像装置(放電手段)
10 駆動源ユニット
11,12,13 駆動機構
14 高圧回路基板
18 ユニット本体
19 脚
25 弾性接続体
27 カバー(絶縁材)
36 挿通孔(孔)
41 対向面(高圧回路基板の内方側)
D1 内方(区画面側)
D2 外方

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内方と外方とを区画する区画面を有するフレームを備え、上記区画面よりも内方に、放電手段、および画像形成のために動作をする駆動機構を備え、上記区画面よりも外方に、上記放電手段に対して高電圧を印加するための高圧回路基板、および上記駆動機構を動作させるための駆動源ユニットを備えている画像形成装置において、
上記高圧回路基板は、上記区画面の外方側に直接取り付けられ、
上記駆動源ユニットは、少なくとも一部分が高圧回路基板とオーバーラップし且つ高圧回路基板よりも外方に位置するように、上記区画面の外方側に取り付けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
上記駆動源ユニットは、ユニット本体と、このユニット本体から上記区画面側へ突出する取付用の脚とを有し、この脚によって、ユニット本体が区画面から外方へ所定距離離れた状態で取り付けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像形成装置において、
上記高圧回路基板は、区画面よりも内方へ向けて突出する弾性接続体を有し、この弾性接続体は、上記区画面に形成された孔を介して、区画面よりも内方に備えられた上記放電手段に電気的に接続されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置において、
上記高圧回路基板は、少なくとも内方側が絶縁材で覆われていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−145773(P2006−145773A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−334926(P2004−334926)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】