説明

画像形成装置

【課題】 紙種別倍率設定モードで設定された倍率に応じてカットするロール紙の長さを調整することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 装着ロール紙の紙種と画像を形成するための用紙サイズと紙種毎の画像形成倍率を設定する操作表示手段205と、給送するロール紙の紙種に応じた倍率で画像倍率を調整する倍率調整手段207と、倍率調整に応じて給紙部より送り出されたロール紙のカットする長さを調整する長さ調整手段207とを備える画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール紙に画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、巻物状に巻かれた長尺帯状の用紙(ロール紙)上に、読み取った原稿の画像や外部機器から送信される画像を形成(印刷)できる画像形成装置が知られている。通常、この種のロール紙対応の画像形成装置には、ロール紙を切断するためのカッタ機構が備えられていて、画像形成後の用紙は、所定の切断位置で切断されて排出されるようになっている。
この種の画像形成装置は、定着部の熱によって用紙中に含まれている水分が蒸発し、定着前より若干ではあるが画像が縮む現象が発生する。また、定着時に発生する用紙のしわを抑制するため、用紙の搬送速度やトナーを用紙に定着させる圧力を変化させることにより画像が伸縮する現象が発生する。
このような画像の収縮現象を抑制するため、ロール紙の紙種に応じて倍率を補正することができる機能を備えているものがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、倍率を補正すると画像形成時に画像が短くなり、カットされた用紙の後端部に余白が形成されたり、逆に画像が長くなり、カットされた用紙の後端部で画像が途切れたりする場合がある。
そこで本発明は、紙種別倍率設定モードで設定された倍率に応じてカットするロール紙の長さを調整することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、ロール紙から引き出した用紙を給紙する給紙手段と、該給紙手段から給紙された用紙に画像形成を行う画像形成手段と、ロール紙の紙種と用紙サイズと紙種毎の画像形成倍率を設定する操作表示手段と、ロール紙の紙種に応じた倍率で画像倍率を調整する倍率調整手段と、倍率調整に応じてロール紙から引き出した用紙のカット長さを調整する長さ調整手段と、を備えることを特徴とする。
請求項2記載の発明では、長さ調整手段は、用紙サイズを紙種別倍率設定で設定された倍率で補正する請求項1記載の画像形成装置を主要な特徴とする。
【0005】
請求項3記載の発明では、長さ調整手段は、補正値を備え紙種別倍率設定に補正値を加味してロール紙のカットする長さを調整する請求項1または2記載の画像形成装置を主要な特徴とする。
請求項4記載の発明では、補正値は用紙サイズ毎に備えている請求項3記載の画像形成装置を主要な特徴とする。
請求項5記載の発明では、補正値は紙種毎に備えている請求項3または4記載の画像形成装置を主要な特徴とする。
請求項6記載の発明では、補正値は任意に設定され、かつ記憶手段に記憶される請求項3乃至5のいずれか一項に記載の画像形成装置を主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の画像形成装置は、装着ロール紙の紙種と画像を形成するための用紙サイズと紙種毎の画像形成倍率を設定する操作表示手段と、給送するロール紙の紙種に応じた倍率で画像倍率を調整する倍率調整手段と、倍率調整に応じて給紙部より送り出されたロール紙のカット長を調整する長さ調整手段とを備えるので、紙種別倍率設定モードで設定された倍率に応じてカットするロール紙の長さを調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成図である。本画像形成装置は、メカ構造として、ロール紙を装着し給送する給紙手段101と、給紙部101に備えられ、ロール紙から引き出された用紙をカットするカット手段102と、用紙に画像を形成する電子写真式の画像形成手段103(感光体ドラム、帯電部、露光部、現像部、転写部)と、定着手段104と、定着手段104により定着された用紙を排出する排出手段105と、装着ロール紙の紙種を設定する紙種設定手段(操作表示部)106と、を備えている。
【0008】
図2は本発明の実施形態に係る画像形成装置の機能ブロック図である。原稿のサイズを検出し、原稿を搬送して原稿画像を読み取るスキャナ部201と、画像データに対して、スキャナ画像補正処理、シフト処理、変倍処理、マスク処理、階調処理等を行う画像処理部202と、画像データを蓄える記憶部203と、ロール紙の搬送、カット処理、画像データをロール紙に出力する処理、定着処理等を行うプリンタ部204と、紙種、紙種別倍率設定、給紙段選択、用紙サイズ等、各種モードの設定を行うための操作表示部205(図1の紙種設定手段106が対応)と、外部機器からの画像読み取りを行い、また、印刷などの要求を受信し、機械の構成や状態などの情報を送信する通信制御部206と、前記各部を制御するシステムコントローラ207とから構成される。
【0009】
以上の構成において、その動作を図2に基づいて説明する。先ず、装着ロール紙の紙種、紙種別倍率設定、ロール紙から引き出した用紙の給紙を行うための給紙段、ロール紙から引き出された用紙をカットするための用紙サイズ等の設定や、原稿セットに伴う自動読み取りスタートの設定を操作表示部205で行う。原稿がセットされると、スキャナ部201に設けたセンサにより原稿のセットが検出され、原稿の搬送と原稿画像の読み取り(スキャン)を実行する。スキャナ部201で読み取られた画像データは、スキャナ部201から画像処理部202へ送られ、記憶部203に蓄えられる。
【0010】
操作表示部205で決定したモード設定に応じて、選択された給紙段のロール紙のプリンタ部204への搬送が行われる。記憶部203から出力された画像データは、画像処理部202へ送られ、画像処理部202からプリンタ部204へ送られる。プリンタ部204に送られた画像データは画像形成手段によりロール紙に出力される。給紙部(図1の給紙手段101)より送り出されたロール紙は、操作表示部205における紙種別倍率設定で調整された長さに達するとカットされる。
外部機器から印刷要求があると、通信制御部206で各種モードの設定情報を受信して、選択された給紙段のロール紙の搬送が行われる。通信制御部206で受信した画像データをプリンタ部204へ送りロール紙に画像出力する。給紙部より送り出されたロール紙は、倍率設定で調整された長さに達するとカットされる。
【実施例1】
【0011】
図3は図2に示す画像形成装置の実施例1の動作を示すフローチャートである。以下の処理はシステムコントローラ207によってなされる。
印刷要求があると(S101)、印刷に必要な情報がプリンタ部204に通知され、プリンタ部204から印刷情報を取得し(S102)、カット長の算出を行う(S103)。紙種別倍率設定による画像倍率の調整があるか否かを判断し(S104)、倍率調整ならば、前記算出したカット長を紙種別倍率設定で設定された倍率で調整する(S110)。
倍率調整でない場合、あるいはカット長の調整後、画像データを出力するための設定を行い(S105)、ロール紙の給紙を開始する(S106)。そして、給紙長の計測を行い(S107)、給紙長がカット長に達したか否かを判断し(S108)、カット長に達するとロール紙のカット動作を行う(S109)。カット長に達していなければ、継続して給紙長の計測を行う(S107)。
実施例1の画像形成装置においては、紙種別倍率設定で設定された倍率に応じてカットするロール紙の長さを調整するので、カットされた用紙の後端部に余白が形成されたり、後端部の画像が途切れたりするのを抑制することができ、画像サイズの長さに合った用紙サイズを提供することができる。
【実施例2】
【0012】
実施例2では用紙サイズを紙種別倍率設定で補正しロール紙のカットする長さを調整する場合を説明する。
図4は図2に示す画像形成装置の実施例2の動作を示すフローチャートである。以下の処理はシステムコントローラ207によってなされる。なお、図4は、図3で示した実施例1の動作フローチャートと同一のステップを共通の符号で示すため、ここでは異なる部分のみを説明する。
図4では、印刷に必要な情報がプリンタ部204に通知され、プリンタ部204から印刷情報を取得し(S102)、紙種別倍率設定による画像倍率の調整があるか否かを判断し(S201)、倍率調整ならば、用紙サイズを紙種別倍率設定で設定された倍率で補正する(S203)。倍率調整時は補正後の用紙サイズを使用し、倍率調整でなければ補正前の用紙サイズを使用して、カット長の算出を行う(S202)。カット長算出後、画像出力設定、給紙、カット動作を行う。
実施例2の画像形成装置においては、紙種別倍率設定で設定された倍率に応じて用紙サイズを補正し、補正した用紙サイズでロール紙から引き出された用紙をカットする長さを算出しているので、より画像サイズの長さに合った用紙サイズにすることができる。
【実施例3】
【0013】
実施例3では、紙種別倍率設定に補正値を加味してロール紙のカットする長さを調整する場合を説明する。
図5は図2に示す画像形成装置の実施例3の動作を示すフローチャートである。以下の処理はシステムコントローラ207によってなされる。なお、図5は、図3で示した実施例1の動作フローチャートと同一のステップを共通の符号で示すため、ここでは異なる部分のみを説明する。
図5では、印刷に必要な情報がプリンタ部204に通知され、プリンタ部204から印刷情報を取得し(S102)、次に紙種別倍率設定による画像倍率の調整があるか否かを判断し(S301)、倍率調整するならば、印刷情報の用紙サイズで算出したカット長を、紙種別倍率設定で設定された倍率に補正値を加味して調整する。
もしくは、紙種別倍率設定で設定された倍率に補正値を加味して、用紙サイズを補正しカット長の算出を行う(S303)。倍率調整でなければ、印刷情報の用紙サイズを使用して、カット長の算出を行う(S302)。カット長算出後、画像出力設定、給紙、カット動作を行う。
実施例3の画像形成装置においては、紙種別倍率設定で設定された倍率に補正値を加味して、カットするロール紙の長さを調整するので、画像サイズの長さに対してより適した用紙サイズを提供することができる。
【実施例4】
【0014】
実施例4は、用紙サイズに応じた補正値を定め、紙種別倍率設定にその補正値を加味してロール紙のカットする長さを調整する場合を説明する。
図6は図2に示す画像形成装置の実施例4の動作を示すフローチャートである。以下の処理はシステムコントローラ207によってなされる。なお、図6は、図5で示した実施例3の動作フローチャートと同一のステップを共通の符号で示すため、ここでは異なる部分のみを説明する。
図6では、紙種別倍率設定による画像倍率の調整があるか否かを判断し(S301)、倍率調整ならば用紙サイズに応じた補正値を取得する(S401)。例えば、用紙サイズの長さが420mmA系列のA2横サイズ)未満ならば補正値1を使用し、420mm以上ならば補正値2を使用する。
または、用紙サイズの長さが420mm未満ならば補正値1を使用し、420mm以上1189mm(A系列のA0縦サイズ)以下ならば補正値2を使用し、1189mmを超える長さならば補正値3を使用するなど、用紙サイズの範囲を複数に分け用紙サイズに応じて補正値を設ける。紙種別倍率設定に取得した補正値を加味して、カット長調整処理を行う(S303)。
カット長調整処理(S303)に際しては、印刷情報の用紙サイズで算出したカット長を紙種別倍率設定で設定された倍率に補正値を加味して調整する、もしくは、紙種別倍率設定で設定された倍率に補正値を加味して、用紙サイズを補正しカット長の算出を行う。
【実施例5】
【0015】
実施例5は、紙種別、または、紙種、用紙サイズ別に補正値を定め、紙種別倍率設定にその補正値を加味してロール紙のカットする長さを調整する場合を説明する。
図7は図2に示す画像形成装置の実施例5の動作を示すフローチャートである(その1)。図8は図2に示す画像形成装置の実施例5の動作を示すフローチャートである(その2)。以下の処理はシステムコントローラ207によってなされる。なお、図7、図8は、図5で示した実施例3の動作フローチャートと同一のステップを共通の符号で示すため、ここでは異なる部分のみを説明する。
実施例3と同様に、動作フローチャートに記載されているカット長調整処理(S303)では、印刷情報の用紙サイズで算出したカット長を紙種別倍率設定で設定された倍率に補正値を加味して調整する。もしくは、紙種別倍率設定で設定された倍率に補正値を加味して、用紙サイズを補正しカット長の算出を行う。
実施例4の画像形成装置においては、用紙サイズに応じた補正値を定め、紙種別倍率設定にその補正値を加味して、ロール紙のカット長を調整するので、用紙サイズの長さによって画像サイズとの差を補正することができ、適切な用紙サイズにすることができる。
【0016】
図7では、紙種別倍率設定による画像倍率の調整があるか否かを判断し(S301)、倍率調整ならば紙種に応じた補正値を取得する(S501)。例えば、紙種が普通紙ならば補正値1を使用し、普通紙以外ならば補正値2を使用する。または、紙種が普通紙ならば補正値1を使用し、トレーシングペーパーならば補正値2を使用し、フィルム紙ならば補正値3を使用するなど紙種に応じて補正値を設ける。紙種別倍率設定に取得した補正値を加味してカット長調整処理を行う(S303)。
【0017】
図8では、紙種別倍率設定による画像倍率の調整があるか否かを判断し(S301)、倍率調整ならば、紙種、用紙サイズに応じた補正値を取得する(S601)。例えば、図9の表で示したように、紙種が普通紙で用紙サイズが420mm未満ならば補正値11を使用し、紙種がトレーシングペーパーで用紙サイズが420mm以上1189mm以下ならば補正値22を使用するなど、紙種と用紙サイズに応じて補正値を設ける。紙種別倍率設定に取得した補正値を加味して、カット長調整処理を行う(S303)。
実施例5の画像形成装置においては、紙種、もしくは紙種と用紙サイズに応じた補正値を定め、紙種別倍率設定にその補正値を加味して、カットするロール紙の長さを調整するので、異なった紙種や用紙サイズに対して適切な用紙サイズにすることができる。
【実施例6】
【0018】
実施例6は、補正値を任意に設定して記憶することができ、その補正値を加味してロール紙から引き出された用紙をカットする長さを調整する場合を説明する。実施例6は、実施例3、4、5などの動作フローチャートと共通のステップのため、ここでは動作部分のみを説明する。
操作表示部205で、カットする長さを調整する際に使用する補正値の設定(図示せず)を行う。印刷要求があると、システムコントローラ207より印刷に必要な情報がプリンタ部204に通知される。このとき、長さを調整する際に使用する補正値が通知される。もしくは、補正値を設定した際にこの補正値がプリンタ部204に通知される。前記補正値を使用して、算出したカット長を調整する。もしくは、用紙サイズを補正してカット長の算出を行う。
実施例6の画像形成装置においては、補正値を任意に設定して記憶し、その補正値を加味してカットするロール紙の長さを調整するので、画像サイズの長さに対して確実な用紙サイズにすることができ、必要とされる用紙サイズを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置の機能ブロック図である。
【図3】図2に示す画像形成装置の実施例1の動作を示すフローチャートである。
【図4】図2に示す画像形成装置の実施例2の動作を示すフローチャートである。
【図5】図2に示す画像形成装置の実施例3の動作を示すフローチャートである。
【図6】図2に示す画像形成装置の実施例4の動作を示すフローチャートである。
【図7】図2に示す画像形成装置の実施例5の動作を示すフローチャート(その1)である。
【図8】図2に示す画像形成装置の実施例5の動作を示すフローチャート(その2)である。
【図9】用紙サイズと紙種に応じた補正値を表で示す図である。
【符号の説明】
【0020】
205 操作表示部(操作表示手段)
207 システムコントローラ(倍率調整手段、長さ調整手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール紙から引き出した用紙を給紙する給紙手段と、該給紙手段から給紙された用紙に画像形成を行う画像形成手段と、ロール紙の紙種と用紙サイズと紙種毎の画像形成倍率を設定する操作表示手段と、ロール紙の紙種に応じた倍率で画像倍率を調整する倍率調整手段と、倍率調整に応じてロール紙から引き出した用紙のカット長さを調整する長さ調整手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記長さ調整手段は、用紙サイズを紙種別倍率設定で設定された倍率で補正することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記長さ調整手段は、紙種別倍率設定に補正値を加味してロール紙のカットする長さを調整することを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記補正値を用紙サイズ毎に備えていることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記補正値を紙種毎に備えていることを特徴とする請求項3または4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記補正値は任意に設定され、かつ記憶手段に記憶されることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−232797(P2007−232797A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−51317(P2006−51317)
【出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】