説明

画像形成装置

【課題】記録媒体の搬送が良好になされる画像形成装置、及び被搬送体の搬送が良好になされる搬送装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置10は、シートを搬送する搬送ベルト40を有し、この搬送ベルト40に最初にシートが接触する位置近傍に、シートの斜行補正を行う斜行補正装置60が設けられている。斜行補正装置60は、軸64に回動自在に支持されたゲート部材62有する。ゲート部材62は、搬送ロール36により搬送力が付与されたシートの先端部の移動を阻止することでシートの斜行補正を行う第1の位置と、シートの先端部の移動を許容する第2の位置との間で移動可能に構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置及び主にこれらに用いる搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置あって、シート等の記録媒体を搬送する搬送ベルトを有し、この搬送ベルトよりも記録媒体搬送方向上流に設けられた一対のレジストロール等からなる斜行補正手段で記録媒体の斜行を補正し、斜行補正がなされた記録媒体を搬送ベルトへと供給する技術が知られている。さらに、搬送装置であって、斜行補正手段で被搬送体の斜行補正をし、斜行補正がなされた被搬送体を搬送ベルトに供給する技術が知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特許3074054号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、記録媒体又は被搬送体(以下、記録媒体等とする)が搬送ベルトに供給された後も、その記録媒体等の後端部は斜行補正手段を通過していない状態にあるため、斜行補正手段からの影響を受けて搬送ベルトによる記録媒体等の搬送が良好になされないことがあるとの問題点があった。例えば、斜行補正手段がレジストロール対からなる場合、そのレジストロール対による搬送速度が搬送ベルトによる搬送速度よりも遅ければ、記録媒体等は後方に引っ張られる状態となり、記録媒体等の搬送速度はベルトによる搬送速度よりも遅くなってしまう。また、レジストロール対による搬送速度が搬送ベルトよりも速ければ、記録媒体等が押し出される状態となり、記録媒体等が搬送ベルトから浮き上がってしまう。
【0005】
本発明は、これら問題点を解決しようしてなされたものであり、記録媒体の搬送が良好になされる画像形成装置、及び被搬送体の搬送が良好になされる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の特徴とするところは、記録媒体を搬送する搬送ベルトと、この搬送ベルトの前記記録媒体が最初に接触する位置近傍に設けられ、前記記録媒体の斜行補正を行う斜行補正手段とを有する画像形成装置にある。
【0007】
好適には、前記斜行補正手段は、搬送力が加えられた状態にある前記記録媒体の先端部に当接して該先端部の移動を阻止する第1の位置と、移動が阻止された状態にある前記記録媒体の先端部から離間して該先端部の移動を許容する第2の位置との間で移動するゲート部材を有する。
【0008】
また、好適には、前記ゲート部材を前記第1の位置から前記第2の位置へ移動させる駆動手段を有する。
【0009】
また、好適には、前記駆動手段は、前記ゲート部材を前記第1の位置から前記第2の位置へ移動する方向に付勢する弾性体と、この弾性体による付勢に抗して前記ゲート部材を前記第2の位置から前記第1の位置へと移動させる駆動部本体とを有する。
【0010】
また、好適には、前記ゲート部材に前記記録媒体の先端部が到達するタイミングを検知する検知手段と、この検知手段により検知されたタイミングに基づいて、前記記録媒体の先端部が前記ゲート部材に到達した時点から所定時間経過後に、前記ゲート部材が前記第1の位置から前記第2の位置に移動するように前記駆動手段を制御する制御手段とを有する。
【0011】
また、本発明の第2の特徴とするところは、記録媒体を搬送する搬送ベルトと、この搬送ベルトを支持する支持ロールと、前記搬送ベルトを介して前記支持ロールに圧接して設けられ、前記記録媒体の搬送に用いられる搬送ロールと、この搬送ロール近傍に設けられ、前記記録媒体の斜行補正を行う斜行補正手段とを有する画像形成装置にある。
【0012】
また、好適には、前記斜行補正手段は、搬送力が加えられた状態にある前記記録媒体の先端部に当接して該先端部の移動を阻止する第1の位置から該先端部の移動を許容する第2の位置へ移動する方向の押圧を、前記記録媒体の先端部から受けるゲート部材と、前記記録媒体の先端部による押圧に抗して、前記ゲート部材を停止状態とする停止手段と、前記停止手段による前記ゲート部材の停止状態を解除する解除手段とを有する。
【0013】
また、好適には、前記ゲート部材に前記記録媒体の先端部が到達するタイミングを検知する検知手段と、この検知手段により検知されたタイミングに基づいて、前記記録媒の先端部が前記ゲート部材に当接した時点から所定時間経過後に、前記ゲート部材の停止状態が解除されるように前記解除手段を制御する制御手段とを有する。
【0014】
また、好適には、前記斜行補正手段は、搬送力が加えられた状態にある前記記録媒体の先端部に当接して該先端部の移動を阻止する第1の位置から該先端部の移動を許容する第2の位置へ移動する方向の押圧を、前記記録媒体の先端部から受けるゲート部材と、前記ゲート部材を前記第2の位置から前記第1の位置の方向へ付勢する弾性体とを有し、前記弾性体は、前記記録媒体の先端部に前記ゲート部材が所定時間以上押圧されると、前記ゲート部材が付勢に抗して前記第1の位置から前記第2の位置へと移動するように付勢力が定められている。
【0015】
また、好適には、前記斜行補正手段よりも前記記録媒体の搬送方向下流に設けられた画像形成部と、この画像形成部に前記記録媒体の先端部が到達するタイミングを検知する検知手段と、この検出手段により検出されたタイミングに基づいて、前記画像形成部に画像形成を開始させる制御手段とを有する。
【0016】
また、本発明の第3の特徴とするところは、記録媒体を搬送する搬送ベルトと、この搬送ベルトに当接してニップを形成し、搬送力が付与された状態にある前記記録媒体の先端部を前記ニップで所定時間停止させた後、前記記録媒体を搬送する方向の回転を開始する搬送ロールとを有する画像形成装置にある。
【0017】
また、本発明の第4の特徴とするところは、被搬送体を搬送する搬送ベルトと、この搬送ベルトの前記被搬送体が最初に接触する位置の近傍に設けられ、前記被搬送体の斜行補正を行う斜行補正手段とを有する搬送装置にある。
【0018】
また、本発明の第5の特徴とするところは、被搬送体を搬送する搬送ベルトと、この搬送ベルトを支持する支持ロールと、前記搬送ベルトを介して前記支持ロールに圧接して設けられ、前記被記録体の搬送に用いられる搬送ロールと、この搬送ロール近傍に設けられ、前記被記録体の斜行補正を行う斜行補正手段とを有する搬送装置にある。
【0019】
また、本発明の第6の特徴とするところは、被搬送体を搬送する搬送ベルトと、この搬送ベルトに当接してニップを形成し、搬送力が付与された状態にある前記被搬送体の先端部を前記ニップで所定時間停止させた後、前記被搬送体を搬送する方向の回転を開始する搬送ロールとを有する搬送装置にある。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、記録媒体の搬送が良好になされる画像形成装置、及び被搬送体の搬送が良好になされる搬送装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1には、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置10が示されている。図1において、画像形成装置10は、画像形成装置本体12内に、イエロー画像形成部14a、マゼンタ画像形成部14b、シアン画像形成部14c、及びブラック画像形成部14dの4個の画像形成部が搭載されている。
【0022】
画像形成部14a、14b、14c、14dはそれぞれ、像担持体として用いられる感光体16を有し、感光体16の周辺に、感光体16を帯電させる帯電装置18と、帯電装置18により帯電された感光体16の表面にレーザー光を照射して潜像を形成する潜像形成装置20と、潜像形成装置20により形成された潜像を現像剤により現像する現像装置22と、現像装置22により感光体16の表面に形成された現像剤像をシートへと転写する転写装置24と、転写装置24による転写がなされた後の感光体16の表面に残留する現像剤を除去するクリーニング装置26とが配置されている。
【0023】
現像装置22には、それぞれの画像形成部14a、14b、14c、14dに応じてイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのいずれか所定の現像剤が収納されている。
【0024】
画像形成装置本体12の上流側(図1における左側)には、記録媒体として、また被搬送体として用いられる例えば普通紙等のシートを収納するシート供給カセット28を備えたシート供給部30が配置されている。画像形成装置本体12の下流側(図1における右側)には、シート排出トレー32を備えた排出部34が配置されている。シート供給部30には、シート供給カセット28に収納されたシートを1枚ずつ搬送する搬送ロール36が配置されている。
【0025】
画像形成部14a、14b、14c、14dの下方には、シートを搬送する搬送ベルト40が配置されている。搬送ベルト40は、上流側支持ロール42及び下流側支持ロール44に支持されて矢印方向に循環移動して、シートを各画像形成部14a、14b、14c、14dに順次搬送する。
【0026】
下流側支持ロール44とシート排出トレー32との間には、シートに現像剤像を定着させる定着装置52が配置されている。
【0027】
上流側支持ロール42には、搬送ベルト40を介して搬送ロール46が圧接されていて、搬送ベルト40と搬送ロール46とでニップNが形成されている。搬送ロール46は、シート供給部30から供給されたシートを搬送ベルト40に押し付けて搬送ベルト40に吸着された状態とするとともに、搬送ベルト40に連れ回りしてシートを搬送する。シート供給部30と搬送ロール46との間には、シート供給部30から供給されたシートをニップNまでガイドする上側ガイド板48及び下側ガイド板50が設けられている。また、搬送ベルト40にシートが最初に接触する位置であるニップN近傍であって、搬送ロール46近傍には、シートの斜行を補正する斜行補正手段として用いられる斜行補正装置60が配置されている。
【0028】
図2及び3には、斜行補正装置60が示されている。
斜行補正装置60は、ゲート部材62を有する。ゲート部材62は、軸64と、軸64に固着され、シート供給部30から供給されたシートに当接する当接部66と、軸64から上方に突出した突出部68とからなる。軸64は、例えば図示を省略する本体フレーム等に回動自在に支持されていて、軸64を中心に回動することで、ゲート部材62は図3(a)に示される第1の位置と図3(b)に示される第2の位置との間で移動可能となっている。
【0029】
当接部66は、第1の位置において搬送ロール36により搬送力が加えられた状態にあるシートの先端部に当接し、この先端部の移動を阻止する。先端部の移動が阻止されつつ、搬送ロール36により上流側へと送り出されることで、シートは図3(a)に示されるように、上側ガイド板48と下側ガイド板50との間でループを形成し、シート自身のコシにより先端部が当接部66へと圧接される。そして、シートの先端部が当接部66へと圧接されることで、たとえシートがシート供給部30から傾いた状態でニップNに供給されたとしても、その傾きが補正される。
【0030】
また、当接部66は、第2の位置において、シートの先端部から離間した状態となり、シートの先端部の移動を許容する。このようにゲート部材62が第1の位置と第2の位置との間で移動することで、シートの斜行補正がなされる。
【0031】
また、当接部66には、図2に示すように、シートの搬送方向と垂直な方向に複数の切欠き66aが形成されていて、ゲート部材62が第1の位置に位置する場合であっても、この切欠き66aを介して搬送ロール46が、搬送ベルト40に当接されるようになっている。搬送ロール46は、図2に示すようにシート搬送方向と垂直な方向に複数個が設けられていて、それぞれ、切欠き66aを介して搬送ベルト40に当接可能な大きさとなっている。
【0032】
突出部68には、図3における右側から付勢部材として用いられる例えばバネ等からなる弾性体70の一端部が当接している。弾性体70は、突出部68に当接した側の端部と逆側の端部が、例えば本体フレーム等に取り付けられた固定部に固定されている。このため、突出部68は弾性体70の弾性により図3中左側へと付勢される。そして、突出部68が付勢されることで、ゲート部材62は、軸64を中心に回転し、第1の位置から第2の位置へ移動する方向へと付勢される。
【0033】
突出部68の弾性体70と逆側には、駆動部本体として用いられるソレノイド72が設けられている。ソレノイド72は可動片74を備え、この可動片74は当接部66の弾性体70からの付勢を受ける側の面と逆側の面に当接している。ソレノイド72が駆動されていない状態においては、可動片74は図3(a)に示される位置にある。この状態からソレノイド72がONとされると、可動片74がソレノイド内に引き込むように移動し、弾性体70に付勢されることでゲート部材62が図3(b)に示される第2の位置へ移動する。また、この状態からソレノイド72がOFFとされると、ゲート部材62は図3(a)に示される第1の位置へと戻る。以上のように、弾性体70とソレノイド72とが、ゲート部材62を第1の位置から第2の位置へ移動させる駆動手段として用いられる。
【0034】
ゲート部材62のシート搬送方向上流には、検知手段として用いられるシートセンサ80が設けられている。シートセンサ80は、ゲート部材62にシート先端部が到達するタイミングを検知し、また、ゲート部材62をシート後端部が通過するタイミングを検知する。シートセンサ80は、軸82に回動自在に装着された可動部84と、可動部84の移動を検知する受光部86とを有する。可動部84は、搬送されるシートがない場合は、図示を省略する弾性体等からなる付勢手段に付勢されて、先端部84aが、図3(a)に示されるように上側ガイド板48と下側ガイド板50とで形成されるシート搬送路中に位置する状態にある。この状態から、ゲート部材62に向けてシートの搬送がなされると、可動部84がシートにより押圧され、軸82を中心として回転して、図3(b)に示されるように先端部84aがシート搬送路の下方に押し下げられた状態となる。この状態からシート後端部が通過すると、可動部84は付勢手段による付勢により再び図3(a)に示されるシート搬送路を横切る位置へと移動する。
【0035】
可動部84の後端部84b近傍には、図示を省略する発光部からの光を検知する光センサからなる受光部86が設けられている。受光部86は、可動部84の先端部84aがシート搬送路を横切る状態にある場合は、後端部84bにより発光部からの光が遮られるため光検知をしない。一方、搬送中のシートにより可動部84の先端部84aがシート搬送路の下方に押し下げられた状態にある場合、発光部からの光を検知する。このように、シートセンサ80は、搬送路を通過するシートの有無により軸82を中心に回転する可動部84の位置を受光部86を用いて検知することで、シート先端部がゲート部材62に到達するタイミングを検知し、また、シート後端部が通過するタイミングを検知する。
【0036】
図4には、画像形成装置10が有する制御部200が示されている。
制御部200は、シートセンサ80からの出力が入力される制御回路202を有する。この制御回路202には、通信インターフェイス204を介して画像データが入力される。そして、この制御回路202からの出力により、画像形成部14と、シート供給部30と、ソレノイド72とが制御される。
【0037】
図5には、制御部200の制御フローが示されている。
通信インターフェイス204を介して制御回路202に画像データが入力され制御フローがスタートすると、ステップS10において、制御回路202はシート供給部30にシート供給を開始させる。
【0038】
次のステップS12で、シートセンサ80からのシート先端検知信号が制御回路202へと入力される。すなわち、可動部84が搬送されているシートの先端部に押圧され、軸82を中心として回転し、この可動部84の回転が受光部86により検知されることより形成されるシート先端検知信号が制御回路202へと入力される。
【0039】
次のステップS14で、シート先端部が検知されてから所定時間が経過したことを確認した後、ステップS16で、制御回路202はソレノイド72をONとする。ステップS14における所定時間が経過中に、シートは搬送ロール36からの搬送力を受けつつ、その先端部はゲート部材62により移動が阻止された状態にある。このため、シートの先端部がゲート部材62に押圧されてシートの斜行補正がなされる。
【0040】
ステップS16で、ソレノイド72がONとされると、ゲート部材62が、シート先端部から離間してシート先端部の移動を許容する第2の位置(図3(b)に示される位置)へと移動し、斜行補正がなされたシートが搬送ベルト40へと供給される。搬送ベルト40に供給されたシートは、搬送ロール46により押圧されて搬送ベルト40に吸着、固定され、その後、画像形成部14へ搬送されてフルカラーの画像が形成された後、シート排出トレー32に排出される。画像形成部14が画像形成を開始するタイミングは制御回路202より制御される。制御回路202は、シート先端部がゲート部材62に到達し、シートセンサ80からのシート先端検知信号が入力された時点から所定時間後に画像形成部14に画像形成を開始させ、搬送ベルト40により搬送されるシートの所望の位置に画像形成がなされるように画像形成部を制御する。
【0041】
次のステップS18で、シートセンサ80により検知されたシート後端検知信号が制御回路202に入力される。すなわち、搬送中のシートにより押圧され、図3(b)に示されるように搬送路から下方に押し出される位置に移動していた可動部84が、シート後端部が可動部84近傍を通過することで、図3(a)に示される搬送路を横切る位置へと移動し、この移動を受光部86が検知することで形成されるシート後端検知信号が制御回路202へと入力される。
【0042】
次のステップS20でシート後端部が検知されてから所定時間が経過したことを確認した後、ステップS22で、制御回路202はソレノイド72をOFFとする。ソレノイド72がOFFとされると、ゲート部材62は可動片74に押圧されて、図3(a)に示されるシートの先端部の移動を阻止する位置へと移動する。
【0043】
次のステップS24において、制御回路202は、通信インターフェイス204からのデータに基づいて画像形成がなされたシートが最終のシートであるか否かの判別を行う。シートが最終のシートであるとの判別がなされると、制御回路202は一連の動作を終了させる。また、最終のシートでないとの判断がなされると、ステップS10に戻り、次のシートへの画像形成のための一連の画像形成動作が繰り返される。
【0044】
図6には、斜行補正装置60の第2の実施形態が示されている。
先述した第1の実施形態と比較すると、第1の実施形態においては、斜行補正部材として軸64に回動自在に支持されるゲート部材62が用いられていたのに対して、この実施形態におけるゲート部材90は、搬送ロール46と同軸上に搬送ロール46とは独立して回動可能に設けられている。ゲート部材90は、ゲート部材本体91と、例えば2つの摺動部92とを有し、摺動部92はゲート部材本体91の半径方向に摺動自在に装着されている。この摺動部92は、例えばバネ等からなる弾性体94によりゲート部材本体91の中心方向から外周方向へと付勢されている。
【0045】
このゲート部材90は、図4(a)に示されるシート先端部の移動を阻止する第1の位置から図4(b)に示されるシートの先端部の移動を許容する第2の位置へと移動する方向の押圧を、シートの先端部から受けるように構成されている。第1の位置から第2の位置へ回転体が移動する際に、摺動部92は、シート及び搬送ベルト40を介して上流側支持ロール42に当接し、上流側支持ロール42に押圧されて、弾性体94による付勢に抗してゲート部材90の中心方向へと移動する。
【0046】
摺動部92と摺動部92との間には、例えば2つの係合部96が形成されている。係合部96には、シート先端からの押圧に抗してゲート部材90を停止状態とする停止手段として用いられる可動片74が係合している。この可動片74は、ゲート部材90の停止状態を解除する解除手段として用いられるソレノイド72に連結されている。可動片74は、ソレノイド72がOFFである場合は、図6(a)に示される位置にあり、その先端部が係合部96に係合する。この状態において、可動片74はシート先端部による押圧に抗してゲート部材90を停止状態として、ゲート部材90が第1の位置から第2の位置へと回転することをできなくする。図6(a)に示される状態からソレノイド72がONとされると、可動片74は図6(b)に示されるように係合部96から離間した位置へと移動し、可動片74による停止状態が解除され、ゲート部材90はシートの先端部に押圧されて図6(b)に示される位置へと回転して移動する。
【0047】
第1の実施形態においては、制御フローにおけるステップS16で、制御回路202は、ソレノイド72をONとし、ゲート部材62を軸64を中心に回転させた。これに対してこの実施形態においては、ステップS16で、制御回路202はソレノイド72をONとし、可動片74を係合部96から離間した位置へと移動させ、これによりゲート部材90の停止状態を解除して、シートが搬送ベルト40へと供給されるようにする。
【0048】
また、第1の実施形態においては、制御フローにおけるステップS22で、制御回路202は、ソレノイド72をOFFとし、ゲート部材62を軸64を中心として回転させシート先端部の移動を阻止する位置へと移動させた。これに対して、この実施形態においては、ステップS22で、制御回路202は、ソレノイド72をOFFとし、可動片74を係合部96に係合する位置へと移動させ、再びゲート部材90を回転できない状態とする。なお、第1の実施形態と同一部分については、図6に同一番号を付して説明を省略する。
【0049】
図7には、斜行補正装置60の第3の実施形態が示されている。
先述した第1の実施形態と比較すると、第1の実施形態においては、弾性体70により、シート先端部の移動を阻止する第1の位置からシート先端部の移動を許容する第2の位置へと移動する方向にゲート部材62は付勢されていた。これに対して、この実施形態においては、ゲート部材62は、弾性体70により第2の位置から第1の位置へ移動する方向に付勢される。弾性体70がゲート部材62を付勢する力は、図7(a)に示される第1の位置にあるゲート部材62がシート先端部に所定時間押圧されると、ゲート部材62が弾性体70の付勢に抗して第2の位置へと移動するように定められる。このため、搬送ロール36から搬送力を与えられた状態にあるシートの先端部は、ゲート部材62に当接して所定時間にわたり移動が阻止され、この先端部の移動が阻止される間に斜行補正がなされる。そして、所定時間が経過するとゲート部材62が第2の位置へと移動し、シート先端部の移動が許容されてシートは搬送ベルト40へと供給される。
【0050】
また、第1の実施形態においては、シート先端部がゲート部材62に到達するタイミングを見地するシートセンサ80を用いて、シート先端部が画像形成部14a、14b、14c、14dに到達するタイミングを検知していた。これに対して、この実施形態においては、ゲート部材62の位置を検知する位置センサ100を用いてシート先端部が画像形成部14a、14b、14c、14dに到達するタイミングを検知している。位置センサ100は、図示を省略する発光部からの光を検知する光センサからなる受光部102を有する。受光部102は、図7(a)に示されるようにゲート部材62が第1の位置にある場合には、発光部からの光を検知する。一方、ゲート部材62が図7(b)に示される第2の位置に位置する場合、ゲート部材62の突出部68により光が遮られるため光検知しない。このように、位置センサ100は、軸64を中心に回転するゲート部材62の位置を受光部102で検知することで、ゲート部材62の第1の位置と第2の位置との間の移動を検知する。なお、第1の実施形態と同一部分については、図7に同一番号を付して説明を省略する。
【0051】
図8には、第3の実施形態に係る斜行補正装置60を有する画像形成装置で用いられる制御部300が示されている。
制御部300は、位置センサ100からの出力が入力される制御回路302を有する。この制御回路302には、通信インターフェイス204を介して画像データが入力される。そして、この制御回路302からの出力により、画像形成部14と、シート供給部30とが制御される。
【0052】
図9には、制御部300の制御フローが示されている。
通信インターフェイス204を介して制御回路302に画像データが入力され制御フローがスタートすると、ステップS110において、制御回路302はシート供給部30にシート供給を開始させる。
【0053】
次のステップS112で、ゲート部材移動検知信号が制御回路302へと入力される。すなわち、ゲート部材62の先端部がシート先端部により押圧されると、ゲート部材62の突出部68が受光部86への光照射を遮断する位置へと移動して、この移動を受光部102が検知することで形成されるゲート部材移動信号が制御回路302へと入力される。
そして、ステップS112に続くステップS114、S116で、搬送ベルト40に供給されたシートの適正な位置に画像形成がなされるように、画像形成部14に画像形成を開始させるタイミングの制御がなされる。
【0054】
ステップS114で、ゲート部材62が第2の位置へと移動してから所定時間が経過したことを確認した後、ステップS116で制御回路302は画像形成部14a、14b、14c、14dを始動させる。画像形成部14a、14b、14c、14dを始動させるタイミングは、ゲート部材62が第2の位置へと移動することで搬送ベルト40へと供給されたシートの適正な位置に画像形成がなされるように定められる。
【0055】
次のステップS118で、ゲート部材移動信号が制御回路302へ入力される。すなわち、シート後端部がゲート部材62を通過すると、シートにより押圧されて図7(b)に示す第2の位置へ移動していたゲート部材62が、弾性体70に付勢されて図7(a)に示される第1位置へと移動し、この移動を受光部102が検知することで形成されるシート後端検知信号が制御回路302へと入力される。
【0056】
ステップS118でシート後端部がゲート部材62近傍を通過したことを確認した後、次のステップS120で、制御回路302は、通信インターフェイス204からのデータに基づいて画像形成がなされたシートが最終のシートであるか否かの判別を行う。シートが最終のシートであるとの判別がなされると、制御回路302は一連の動作を終了させる。また、最終のシートでないとの判断がなされると、ステップS110に戻り、次のシートへの画像形成のための一連の画像形成動作が繰り返される。
【0057】
図10には、斜行補正装置60の第4の実施形態が示されている。
前述した第1の実施形態と比較すると、第1の実施形態においては、シートの斜行補正を行うために斜行補正部材であるゲート部材62が用いられた。これに対して、この実施形態では、搬送ベルト40を介し上流側支持ロール42に当接し、当接部材として用いられる搬送ロール36が、シート斜行補正に用いられる。搬送ロール36は、例えば、上流側支持ロール42から駆動伝達を受ける等の方法で、搬送ベルト40と同じタイミングで回転・停止するように構成されている。
【0058】
第1の実施形態においては、搬送ロール36により搬送力が付与されたシートの先端部の移動をゲート部材62で阻止することでシート斜行補正がなされた。これに対して、この実施形態では、ともに停止した状態にある搬送ベルト40及び搬送ロール36で形成されるニップNで搬送力が付与されたシートの先端の移動を阻止することでシートの斜行補正がなされる。
【0059】
第1の実施形態においては、制御フローにおけるステップS14でシート先端部が検知されたことを検知した後、所定時間経過後にステップS16でゲート部材62を第2の位置へと移動させて搬送ベルト40によるシート搬送を開始させた。これに対して、この実施形態においては、ステップS16で停止状態にある搬送ベルト40及び搬送ロール36の駆動を開始させることでシートの搬送を開始させる。
【0060】
また、第1の実施形態においては、制御フローのステップS20でシート後端部が通過してから所定時間が経過したことを確認した後、ステップS22でゲート部材62をシート先端部の移動を阻止する第1の位置へと移動させた。これに対して、この実施形態では、ステップS22で搬送ベルト40と搬送ロール36との回転を停止させる。なお、第1の実施形態と同一の部分については、図10に同一番号を付して説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0061】
以上述べたように、本発明は、搬送ベルトにより記録媒体を搬送する複写機、ファクシミリ装置、プリンタ等の画像形成装置、及び主としてこれらに用いられる搬送装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置に用いられる斜行補正手段を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置に用いられる斜行補正手段を示し、図3(a)はシートの斜行補正中の状態を示す説明図であり、図3(b)はシートの斜行補正が終了した状態を示す説明図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置に用いられる制御部を示すブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置に用いられる斜行補正手段を示し、図6(a)はシートの斜行補正中の状態を示す説明図であり、図6(b)はシートの斜行補正が終了した状態を示す説明図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る画像形成装置に用いられる斜行補正手段を示し、図7(a)はシートの斜行補正中の状態を示す説明図であり、図7(b)はシートの斜行補正が終了した状態を示す説明図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る画像形成装置に用いられる制御部を示すブロック図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第4の実施形態に係る画像形成装置に用いられる斜行補正手段を示す説明図である。
【符号の説明】
【0063】
10 画像形成装置
14 画像形成部
36 搬送ロール
40 搬送ベルト
42 上流側支持ロール
44 下流側支持ロール
46 搬送ロール
60 斜行補正装置
62 ゲート部材
70 弾性体
72 ソレノイド
74 可動片
80 シートセンサ
90 ゲート部材
100 位置センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送する搬送ベルトと、
この搬送ベルトの前記記録媒体が最初に接触する位置近傍に設けられ、前記記録媒体の斜行補正を行う斜行補正手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記斜行補正手段は、搬送力が加えられた状態にある前記記録媒体の先端部に当接して該先端部の移動を阻止する第1の位置と、移動が阻止された状態にある前記記録媒体の先端部から離間して該先端部の移動を許容する第2の位置との間で移動するゲート部材を有することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ゲート部材を前記第1の位置から前記第2の位置へ移動させる駆動手段を有することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記駆動手段は、前記ゲート部材を前記第1の位置から前記第2の位置へ移動する方向に付勢する弾性体と、この弾性体による付勢に抗して前記ゲート部材を前記第2の位置から前記第1の位置へと移動させる駆動部本体とを有することを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ゲート部材に前記記録媒体の先端部が到達するタイミングを検知する検知手段と、
この検知手段により検知されたタイミングに基づいて、前記記録媒体の先端部が前記ゲート部材に到達した時点から所定時間経過後に、前記ゲート部材が前記第1の位置から前記第2の位置に移動するように前記駆動手段を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする請求項3又は4記載の画像形成装置。
【請求項6】
記録媒体を搬送する搬送ベルトと、
この搬送ベルトを支持する支持ロールと、
前記搬送ベルトを介して前記支持ロールに圧接して設けられ、前記記録媒体の搬送に用いられる搬送ロールと、
この搬送ロール近傍に設けられ、前記記録媒体の斜行補正を行う斜行補正手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記斜行補正手段は、
搬送力が加えられた状態にある前記記録媒体の先端部に当接して該先端部の移動を阻止する第1の位置から該先端部の移動を許容する第2の位置へ移動する方向の押圧を、前記記録媒体の先端部から受けるゲート部材と、
前記記録媒体の先端部による押圧に抗して、前記ゲート部材を停止状態とする停止手段と、
前記停止手段による前記ゲート部材の停止状態を解除する解除手段と、
を有することを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記ゲート部材に前記記録媒体の先端部が到達するタイミングを検知する検知手段と、
この検知手段により検知されたタイミングに基づいて、前記記録媒体の先端部が前記ゲート部材に当接した時点から所定時間経過後に、前記ゲート部材の停止状態が解除されるように前記解除手段を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記斜行補正手段は、
搬送力が加えられた状態にある前記記録媒体の先端部に当接して該先端部の移動を阻止する第1の位置から該先端部の移動を許容する第2の位置へ移動する方向の押圧を、前記記録媒体の先端部から受けるゲート部材と、
前記ゲート部材を前記第2の位置から前記第1の位置の方向へ付勢する弾性体と、
を有し、
前記弾性体は、前記記録媒体の先端部に前記ゲート部材が所定時間以上押圧されると、前記ゲート部材が付勢に抗して前記第1の位置から前記第2の位置へと移動するように付勢力が定められていることを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記斜行補正手段よりも前記記録媒体の搬送方向下流に設けられた画像形成部と、
この画像形成部に前記記録媒体の先端部が到達するタイミングを検知する検知手段と、
この検出手段により検出されたタイミングに基づいて、前記画像形成部に画像形成を開始させる制御手段と、
を有することを特徴とする請求項1乃至9いずれか記載の画像形成装置。
【請求項11】
記録媒体を搬送する搬送ベルトと、
この搬送ベルトに当接してニップを形成し、搬送力が付与された状態にある前記記録媒体の先端部を前記ニップで所定時間停止させた後、前記記録媒体を搬送する方向の回転を開始する搬送ロールと、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
被搬送体を搬送する搬送ベルトと、
この搬送ベルトの前記被搬送体が最初に接触する位置の近傍に設けられ、前記被搬送体の斜行補正を行う斜行補正手段と、
を有することを特徴とする搬送装置。
【請求項13】
被搬送体を搬送する搬送ベルトと、
この搬送ベルトを支持する支持ロールと、
前記搬送ベルトを介して前記支持ロールに圧接して設けられ、前記被記録体の搬送に用いられる搬送ロールと、
この搬送ロール近傍に設けられ、前記被記録体の斜行補正を行う斜行補正手段と、
を有することを特徴とする搬送装置。
【請求項14】
被搬送体を搬送する搬送ベルトと、
この搬送ベルトに当接してニップを形成し、搬送力が付与された状態にある前記被搬送体の先端部を前記ニップで所定時間停止させた後、前記被搬送体を搬送する方向の回転を開始する搬送ロールと、
を有することを特徴とする搬送装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2007−238199(P2007−238199A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−59254(P2006−59254)
【出願日】平成18年3月6日(2006.3.6)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】