説明

画像形成装置

【課題】
全ての感光体と中間転写ベルトのニップでの、キャリア量に関する転写条件の違いをなくせる画像形成装置を提供する。
【解決手段】
画像形成装置は、キャリアオイルにトナーを分散させた現像剤を用いる液体現像方式のもので、画像形成時に中間転写媒体が移動する方向の上流側から順に第1感光体、第2感光体、第3感光体、第4感光体となるようにそれぞれの感光体が配置されている。第1感光体の直上流の中間転写ベルト上にキャリアオイル塗布ローラ71を設け、中間転写媒体が第1感光体を通過する直前でキャリアオイルを供給する。これにより、ニップ部B、D、F、Hでの、キャリア量に関する転写条件の違いをなくすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンオイルもしくは鉱物油からなるキャリア液にトナーを分散させた現像剤により感光体上に形成された静電潜像を現像する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シリコンオイルもしくは鉱物油からなるキャリア液にトナーを分散させた高粘度の液体現像剤を用いた液体現像方式の電子写真装置が知られている。このような装置においては、感光体ドラム上にスィープローラを当接させて、当該スィープローラにより感光体ドラム上の余剰キャリア及び非画像部の現像剤を除去することが知られている。
【0003】
特許文献1(特開2004−4812号公報)の図12には、現像ローラから中間転写体に至る間にスイープローラを付加した感光体ドラムを用いた液体現像装置を各色ごとに中間転写ベルト上に、タンデム型に配置した画像形成装置が記載されている。このように配置することによって中間転写ベルト上に異なる色の画像を順次1次転写し、中間転写ベルト上にフルカラー画像を形成できるようにしている。そして、当該画像形成装置は、このカラー画像を2次転写ローラによって転写紙上に2次転写し、これを定着装置に定着し、転写紙上にカラー画像を形成するものである。
【特許文献1】特開2004−4812号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の画像形成装置においては、第1色目を中間転写ベルトに転写する際には、中間転写ベルト上には何も存在しない状態で、第1色目のトナーとキャリアが転写される。ところが、第1色目が中間転写ベルトに転写された後、第2色目の転写を行う際には、第1色目のトナーとキャリアが既に中間転写ベルト上に存在する状態での転写となる。さらに、第3色目を中間転写ベルトに転写する際には、それまでに転写されたトナーに加えて、第1色目で転写されたキャリア及び第2色目で転写されたキャリアが中間転写ベルト上に存在する状態での転写となる。このとき、上記従来の画像形成装置においては、第1色目の転写時におけるキャリア量、第2色目の転写時におけるキャリア量、第3色目の転写時におけるキャリア量、第4色目の転写時におけるキャリア量、がそれぞれ異なることになる。各色におけるこのような転写時のキャリア量の違いにより、同一電界での転写性が各色で異なり、つまりは一次転写条件を各色毎に変える必要があるという問題がある。
【0005】
なお、このような転写条件の違いを見越しておいて、各色に用いる現像剤のトナーとキャリアの配合比率をそれぞれ違うものとしておくことも考えられるが、わざわざこのように設定することは煩雑である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するためのもので、請求項1に係る発明は、キャリアにトナーを分散した現像剤により感光体上に形成された静電潜像を現像する現像手段と、該感光体上に現像された像を中間転写媒体に転写する一次転写手段と、を備え、該感光体は、それぞれ異なる色の現像剤を扱う、第1感光体、第2感光体、第3感光体、第4感光体の4つ感光体からなり、該第1感光体、該第2感光体、該第3感光体、該第4感光体の4つ感光体にはそれぞれにスクイーズローラが設けられており、画像形成時に該中間転写媒体が移動する方向の上流側から順に該第1感光体、該第2感光体、該第3感光体、該第4感光体となるように配置された画像形成装置において、
該第1感光体の直上流の転写媒体上にキャリアオイルを供給するキャリアオイル塗布ローラを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第1感光体の直上流の転写媒体上にキャリアオイルを供給するキャリアオイル塗布ローラが設けられているので、全ての感光体と中間転写ベルトのニップでの、キャリア量に関する転写条件がほぼ等しくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は、一般的な画像形成装置を構成する主要構成要素を示した図である。現像ユニット50Y、50M、50C、50Kは、画像形成装置の下部に配置されており、中間転写ベルト70、二次転写ユニット80は、画像形成装置の上部に配置されている。
【0009】
現像ユニット50Y、50M、50C、50Kは、それぞれ、イエロー(Y)現像剤、マゼンタ(M)現像剤、シアン(C)現像剤、ブラック(K)現像剤で潜像を現像する機能を有している。イエロー(Y)現像剤、マゼンタ(M)現像剤、シアン(C)現像剤、ブラック(K)の各現像剤は、液体キャリアに各色のトナーを分散させたものが用いられる。各現像ユニットの現像剤貯蔵部3Y、3M、3C、3Kには、トナータンク2Y、2M、2C、2Kからは各色トナーが供給され、またキャリアタンク1からは配管10を通して液体キャリアが供給され、各現像ユニットの現像剤貯蔵部3Y、3M、3C、3Kにて適正濃度に調合される。現像ユニット50Y、50M、50C、50Kの構成は同様であるので、以下、現像ユニット50Yについて説明する。
【0010】
現像ユニット50Yは、図1に示すように、像担持体の一例としての感光体20Yの回転方向に沿って、帯電ユニット30Y、露光ユニット、現像装置の一例としての現像ユニット50Y、一次転写ユニット60Yを有している。
【0011】
感光体20Yは、円筒状の基材とその外周面に形成された感光層を有し、中心軸を中心に回転可能であり、本実施の形態においては、図1中の矢印で示すように時計回りに回転する。
【0012】
帯電ユニット30Yは、感光体20Yを帯電するための装置である。不図示の露光ユニットからは、光路40Yでレーザを照射することによって帯電された感光体20Y上に潜像を形成する。露光ユニットは、半導体レーザ、ポリゴンミラー、F−θレンズ等を有しており、入力された画像信号に基づいて、変調されたレーザを帯電された感光体20Y上に照射する。
【0013】
現像ユニット50Yは、感光体20Y上に形成された潜像を、イエロー(Y)現像剤を用いて現像するための装置である。現像ユニット50Yの詳細については後述する。
【0014】
一次転写ユニット60Yは、感光体20Yと中間転写ローラ61Yとで形成されたニップに中間転写ベルト70を通過させて、感光体20Yに形成されたイエロー現像剤像を中間転写ベルト70に転写するための装置である。一次転写ユニット60Y、60M、60C、60Kにより、4色の現像剤が順次重ねて転写された場合には、中間転写ベルト70にフルカラー現像剤像が形成される。
【0015】
中間転写ベルト70は、複数の支持ローラに張架されたエンドレスのベルトであり、感光体20Y、20M、20C、20Kと当接しながら回転駆動される。
【0016】
二次転写ユニット80は、中間転写ベルト70上に形成された単色現像剤像やフルカラー現像剤像を紙、フィルム、布等の媒体に転写するための装置である。
【0017】
不図示の定着ユニットは、媒体上に転写された単色現像剤像やフルカラー現像剤像を紙等の媒体に融着させて永久像とするための装置である。
【0018】
中間転写ベルトクリーニングユニット90は、二次転写ユニット80で現像剤像が転写された後に、中間転写ベルト70上に残存する現像剤をクリーニングブレード91により掻き落として除去するための装置である。
【0019】
図2は、図1に示された画像形成装置の現像ユニットの主要構成要素を示した断面図である。図2において、1はキャリアタンクであり、2Yはイエロー(Y)トナー用のトナータンクである。キャリアタンク1は、各色に共通に設けられており、配管10を通じて各現像材貯蔵部に液体キャリアを供給する。
【0020】
現像材貯蔵部3Yは、一次現像剤貯蔵部5Y及び二次現像剤貯蔵部6Yに分かれている。トナータンク2Y及びキャリアタンク1は一次現像剤貯蔵部5Yに、トナー及び液体キャリアを供給するようになっている。25Yはトナー量調整用バルブであり、トナータンク2Yから一次現像剤貯蔵部5Yに供給されるトナー量の調整を行う。また、24Yはキャリア量調整用バルブであり、キャリアタンク1からキャリア貯蔵部4Yを介して一次現像剤貯蔵部5Yに供給される液体キャリアの量の調整を行う。
【0021】
現像材貯蔵部3Yは、感光体20Yに形成された潜像を現像するための、トナー及び液体キャリアからなる現像剤を収容する。現像材貯蔵部3Yに収容されている現像剤は、従来一般的に使用されている、Isopar(商標:エクソン)をキャリアとした低濃度(1〜2wt%程度)かつ低粘度の、常温で揮発性を有する揮発性液体現像剤ではなく、高濃度かつ高粘度の、常温で不揮発性を有する不揮発性液体現像剤である。すなわち、本実施の形態に係る液体現像剤は、シリコーンオイル等の不揮発性かつ絶縁性キャリア液中に、平均粒径0.1〜5μm程度の樹脂、顔料等からなるトナー粒子を高濃度(5〜40wt%程度)に分散させた高粘度(100〜10000mPa・s程度)現像剤である。
【0022】
一次現像剤貯蔵部5Yでは、攪拌ローラ7Yが現像剤を攪拌する構造となっている。また、この攪拌ローラ7Yは、一次現像剤貯蔵部5Yに収容されている現像剤を二次現像剤貯蔵部6Yへと搬送する。
【0023】
アニロックスローラ8Yは、二次現像剤貯蔵部6Yから現像剤を現像ローラ9Yへ供給する。このアニロックスローラ8Yは、図3に示すように、鉄等金属性のローラの表面に溝を均一かつ螺旋状に設け、ニッケルメッキを施したものである。本実施の形態におけるアニロックスローラ8Yは、当該溝として台形の断面を有する溝を備えている。図4にアニロックスローラ8Yの溝寸法の一例を示すと、溝ピッチ約170μm、山幅約45μm、谷幅約30μm、溝深さ約50μmである。
【0024】
さらに、アニロックスローラ8Yは、当該アニロックスローラ8Y上の現像剤を現像ローラ9Yに適切に転写するために、その表面が、当該現像ローラ9Yの弾性体の層に圧接している。
【0025】
アニロックスローラ8Yは、その中心軸を中心として回転可能であり、当該中心軸は、現像ローラ9Yの回転中心軸よりも下方にある。また、アニロックスローラ8Yは、現像ローラ9Yの回転方向(図2において反時計方向)と逆の方向(図2において時計方向)に回転する。
【0026】
規制ブレード21Yは、アニロックスローラ8Yの表面に当接して、アニロックスローラ8Y上の現像剤の量を規制する。すなわち、当該規制ブレード21Yは、アニロックスローラ8Y上の余剰現像剤を掻き取って、現像ローラ9Yに供給するアニロックスローラ8Y上の現像剤を計量する役割を果たす。この規制ブレード21Yは、弾性体としてのウレタンゴムからなり、鉄等金属製の図示しない規制ブレード支持構造により支持されている。
【0027】
現像ローラ9Yは、感光体20Yに担持された潜像を現像剤により現像するために、現像剤を担持して感光体20Yと対向する現像位置に搬送する。
【0028】
この現像ローラ9Yは、鉄等金属製の内芯の外周部に、導電性を有する弾性部の一例としての弾性体の層を備えたものである。現像ローラ9Yは、前記弾性体が圧接部となって、弾性変形された状態でアニロックスローラ8Y及び感光体20Yのそれぞれに圧接している。
【0029】
また、現像ローラ9Yは、その中心軸を中心として回転可能であり、当該中心軸は、感光体20Yの回転中心軸よりも下方にある。また、現像ローラ9Yは、感光体20Yの回転方向(図2において時計方向)と逆の方向(図2において反時計方向)に回転する。なお、感光体20Y上に形成された潜像を現像する際には、現像ローラ9Yと感光体20Yとの間に電界が形成される。
【0030】
現像ローラクリーニングユニットは、現像ローラ9Yの表面に当接されたゴム製の現像ローラクリーニングブレード14Yを有し、前記現像位置で現像が行われた後に、現像ローラ9Y上に残存する現像剤を現像ローラクリーニングブレード14Yにより掻き落として除去するための装置である。掻き落とされた現像剤は、現像ローラクリーニングユニットが備える残存現像剤回収部15Yに回収され、さらに一次現像剤貯蔵部5Yに戻される。
【0031】
このようにして現現像ローラ9Y上に形成された現像剤の薄膜は、現像ローラ9Yの回転によって、感光体20Yに対向する現像位置(すなわち、感光体20Yとの圧接位置)に至り、該現像位置にて所定の大きさの電界下で感光体20Y上に形成された潜像の現像に供される。
【0032】
スクイーズローラ16Yは感光体20Y上の液体キャリアを回収する機構であり、回収された液体キャリアは、スクイーズローラクリーニングブレード17Yによって掻き取られ、キャリア液回収部18Yに蓄えられる。キャリア液回収部18Yに蓄えられた液体キャリアは、配管10を通じてキャリア貯蔵部4Yに貯蔵される。
【0033】
感光体クリーニングユニットは、感光体20Yの表面に当接されたゴム製の感光体クリーニングブレード12Yと感光体クリーニング液回収部13Yとからなる。一次転写ユニット60Yで、感光体20Yに形成されたイエロー現像剤像による像が、中間転写ベルト70に転写された後に、感光体20Y上に残存してしまった現像剤は、感光体クリーニングユニットの感光体クリーニングブレード12Yにより掻き落とされる。
【0034】
図5は、本発明を説明するための、画像形成装置の主要構成部を抜粋して表現した図である。図5には、主として、中間転写ベルト,中間転写ローラ、感光体とそれぞれの感光体に当接するスクイーズローラが示されている。イエロー現像ユニット50Yにおいて、感光体20Yとスクイーズローラ16Yとで形成されたニップ部をA、また感光体20Yと中間転写ローラ61Yとの間で形成されたニップ部をBと称することとする。また、感光体20M、20C、20Kが、それぞれのスクイーズローラ及び中間転写ローラとの間で形成するニップ部を、図5に示すようにC〜Hと称することとする。
【0035】
また、図5に示すように、イエロー現像ユニット50Yにおいて、感光体20Yと現像ローラ9Yとで形成されたニップ部と、ニップ部Aとの間の感光体20Y表面を(1)と称し、ニップ部Aとニップ部Bとの間の感光体20Y表面を(2)と称することとする。また、感光体20M、感光体20C、感光体20Kのこれらに対応する表面を、(4)、(5)(感光体20M表面)、(7)、(8)(感光体20C表面)、(10)、(11)(感光体20K表面)と称することとする。また画像形成される中間転写ベルト70上の、ニップ部Bとニップ部D間の領域を(3)、ニップ部Dとニップ部F間の領域を(6)、ニップ部Fとニップ部H間の領域を(9)と称することとする。
【0036】
以下、一般的な画像形成装置の構成において、どの程度のキャリアが中間転写ベルト70に転写され、累積していくかをみていく。
【0037】
現像ローラから感光体に転写される現像剤のキャリアオイルとトナー粒子の比率を80:20とする。すなわち、(1)、(4)、(7)、(10)上での現像剤のキャリアオイルとトナー粒子の比率は80:20である。中間転写ベルト上でのキャリアの累積をみていくために、キャリア量のみについて追っていく。簡便のため、(1)、(4)、(7)、(10)でのキャリア量は80であるとする。なお、キャリア量の単位ついては簡便のために略することとする。
【0038】
ニップ部Aを通過するとき、感光体上の現像剤に含まれるキャリアの約半分は、スクイーズローラ側に移動する。(1)で80あったキャリアオイルは、ニップ部Aを通過した後の(2)では40となる。よって、中間転写ベルトへの画像の転写が行われるニップ部Bにおける転写条件は、キャリア量40の下での転写ということになる。ニップ部Bを通過した後の中間転写ベルト上の(3)では、感光体からのキャリアの約半分が移動してくるもので、キャリア量は20となる。
【0039】
次の感光体上の(4)では、前述の通りキャリア量は80であり、ニップ部Cの通過後の(5)では、前述したようにキャリアオイルの約半分がスクイーズローラと泣き別れするので、キャリア量は40となる。そして、ニップ部Dでは、(3)のキャリア量20と、(5)のキャリア量40が合わさるので、第2番目の感光体から中間転写ベルトへの画像の転写が行われるニップ部Dにおける転写条件は、キャリア量60の下での転写ということになる。ニップ部Dを通過した後の中間転写ベルト上の(6)では、感光体からのキャリアの約半分が移動してくるもので、キャリア量は30となる。
【0040】
第3番目の感光体上の(7)では、前述の通りキャリア量は80であり、ニップ部Eの通過後の(8)では、キャリアオイルの約半分がスクイーズローラと泣き別れするので、キャリア量が40となることは今までみてきたとおりである。そして、ニップ部Fでは、(6)のキャリア量30と、(8)のキャリア量40が合わさるので、第3番目の感光体から中間転写ベルトへの画像の転写が行われるニップ部Fにおける転写条件は、キャリア量70の下での転写ということになる。ニップ部Fを通過した後の中間転写ベルト上の(9)では、感光体からのキャリアの約半分が移動してくるもので、キャリア量は35となる。
【0041】
第4番目の感光体上の(10)では、前述の通りキャリア量は80であり、ニップ部Gの通過後の(11)では、キャリアオイルの約半分がスクイーズローラと泣き別れするので、キャリア量が40となる。そして、ニップ部Hでは、(9)のキャリア量35と、(11)のキャリア量40が合わさるので、第4番目の感光体から中間転写ベルトへの画像の転写が行われるニップ部Hにおける転写条件は、キャリア量75の下での転写となる。
【0042】
以上まとめると、第1番目の感光体のニップ部Bにおける転写条件は、キャリア量40の下での転写であり、第2番目の感光体のニップ部Dにおける転写条件は、キャリア量60の下での転写であり、第3番目の感光体のニップ部Fにおける転写条件は、キャリア量70の下での転写であり、第4番目の感光体のニップ部Hにおける転写条件は、キャリア量75の下での転写である。このように、従来の画像形成装置では、感光体によって、転写条件が異なってしまっていた。
【0043】
図6には、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の主要構成部を抜粋した図を示す。従来の画像形成装置と相違する点は、第1色目の感光体の直上流の中間転写ベルト上にキャリアオイル塗布ローラ71が設けられている点である。キャリアオイル塗布ローラ規制ブレード72はキャリアオイル塗布ローラ71上のキャリアオイルを掻き取るなどして、キャリアオイル塗布ローラ71が中間転写ベルト上に供給するキャリアオイルの量を調整する。
【0044】
以下、このように構成することの利点についてみていく。なお、参照符号については図5と同様のものを用いている。また、図6の画像形成装置におけるキャリア量、泣き別れ比率などの前提条件は図5で説明したものと同様とする。
【0045】
キャリアオイル塗布ローラ71は、第1色目の感光体の直上流の中間転写ベルト上にキャリアオイルを供給する。例えば、ここで、キャリアオイル塗布ローラ71が中間転写ベルト上に40の量のキャリアを供給するものとする。すなわち、(0)でのキャリア量は40である。
【0046】
第1番目の感光体のニップ部Aを通過するとき、感光体上の現像剤に含まれるキャリアの約半分は、スクイーズローラ側に移動する。(1)で80あったキャリアオイルは、ニップ部Aを通過した後の(2)では40となる。中間転写ベルトへの画像の転写が行われるニップ部Bにおける転写条件は、(0)のキャリア量40と、(2)のキャリア量40が合わさるので、キャリア量80の下での転写ということになる。ニップ部Bを通過した後の中間転写ベルト上の(3)では、感光体からのキャリアの約半分が移動してくるもので、キャリア量は40となる。
【0047】
次の感光体上の(4)では、前述の通りキャリア量は80であり、ニップ部Cの通過後の(5)では、前述したようにキャリアオイルの約半分がスクイーズローラと泣き別れするので、キャリア量は40となる。そして、ニップ部Dでは、(3)のキャリア量40と、(5)のキャリア量40が合わさるので、第2番目の感光体から中間転写ベルトへの画像の転写が行われるニップ部Dにおける転写条件は、キャリア量80の下での転写ということになる。ニップ部Dを通過した後の中間転写ベルト上の(6)では、感光体からのキャリアの約半分が移動してくるもので、キャリア量は40となる。
【0048】
第3番目の感光体上の(7)では、前述の通りキャリア量は80であり、ニップ部Eの通過後の(8)では、キャリアオイルの約半分がスクイーズローラと泣き別れするので、キャリア量が40となることは今までみてきたとおりである。そして、ニップ部Fでは、(6)のキャリア量40と、(8)のキャリア量40が合わさるので、第3番目の感光体から中間転写ベルトへの画像の転写が行われるニップ部Fにおける転写条件は、キャリア量80の下での転写ということになる。ニップ部Fを通過した後の中間転写ベルト上の(9)では、感光体からのキャリアの約半分が移動してくるもので、キャリア量は40となる。
【0049】
第4番目の感光体上の(10)では、前述の通りキャリア量は80であり、ニップ部Gの通過後の(11)では、キャリアオイルの約半分がスクイーズローラと泣き別れするので、キャリア量が40となる。そして、ニップ部Hでは、(9)のキャリア量40と、(11)のキャリア量40が合わさるので、第4番目の感光体から中間転写ベルトへの画像の転写が行われるニップ部Hにおける転写条件は、キャリア量80の下での転写となる。
【0050】
以上まとめると、第1番目の感光体のニップ部Bにおける転写条件、第2番目の感光体のニップ部Dにおける転写条件、第3番目の感光体のニップ部Fにおける転写条件、第4番目の感光体のニップ部Fにおける転写条件は全て等しく、キャリア量80の下での転写である。
【0051】
このように、本発明は、第1感光体の直上流の中間転写ベルト上にキャリアオイル塗布ローラ71を設け、中間転写媒体が第1感光体を通過する直前でキャリアオイルを供給するように構成されているので、全ての感光体と中間転写ベルトとのニップでの転写条件を等しくすることができる。なお、第1番目の感光体には、例え非画像部に現像剤が転写されてしまっても目立たないイエローを用いることが好ましい。
【0052】
図7に、本発明の他の実施の形態に係る画像形成装置の主要構成部を示す。この実施の形態では、第1色目の感光体の直上流の中間転写ベルト上にキャリアオイルを供給する機構として、第1キャリアオイル塗布ローラ73及び第2キャリアオイル塗布ローラ74からなるものが用いられる。その他については、先の実施の形態と同様である。先の実施の形態では、キャリアオイル塗布ローラ規制ブレード72により、キャリアオイルの塗布量が調整されていたが、本実施の形態では、このような2ローラ方式によりキャリアオイルの供給が調整可能となっている。

【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】画像形成装置を構成する主要構成要素を示す図である。
【図2】現像ユニットの主要構成要素を示した断面図である。
【図3】アニロックスローラ8Yの表面を表した斜視概念図である。
【図4】アニロックスローラ8Y表面に設けられた溝の形状を示す断面図である。
【図5】画像形成装置の主要構成部を抜粋して示した図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の主要構成部を示す図である。
【図7】本発明の他の実施の形態に係る画像形成装置の主要構成部を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
1・・・キャリアタンク、4Y・・・キャリア貯蔵部、5Y・・・一次現像剤貯蔵部、6Y・・・二次現像剤貯蔵部、7Y・・・攪拌ローラ、8Y・・・アニロックスローラ、9Y・・・現像ローラ、10・・・配管、12Y・・・感光体クリーニングブレード、13Y・・・感光体クリーニング液回収部、14Y・・・現像ローラクリーニングブレード、15Y・・・残存現像剤回収部、16Y・・・スクイーズローラ、17Y・・・スクイーズローラクリーニングブレード、18Y・・・キャリア液回収部、21Y・・・規制ブレード、24Y・・・キャリア量調整用バルブ、25Y・・・トナー量調整用バルブ
2Y、2M、2C、2K・・・トナータンク
3Y、3M、3C、3K・・・現像剤貯蔵部
20Y、20M、20C、20K・・・感光体
30Y、30M、30C、30K・・・帯電ユニット
40Y、40M、40C、40K・・・露光ユニット光路
50Y、50M、50C、50K・・・現像ユニット
60Y、60M、60C、60K・・・一次転写ユニット
61Y、61M、61C、61K・・・中間転写ローラ
70・・・中間転写ベルト
71・・・キャリアオイル塗布ローラ
72・・・キャリアオイル塗布ローラ規制ブレード
73・・・第1キャリアオイル塗布ローラ
74・・・第2キャリアオイル塗布ローラ
80・・・二次転写ユニット
90・・・中間転写ベルトクリーニングユニット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアにトナーを分散した現像剤により感光体上に形成された静電潜像を現像する現像手段と、
該感光体上に現像された像を中間転写媒体に転写する一次転写手段と、を備え、
該感光体は、それぞれ異なる色の現像剤を扱う、第1感光体、第2感光体、第3感光体、第4感光体の4つ感光体からなり、
該第1感光体、該第2感光体、該第3感光体、該第4感光体の4つ感光体にはそれぞれにスクイーズローラが設けられており、
画像形成時に該中間転写媒体が移動する方向の上流側から順に該第1感光体、該第2感光体、該第3感光体、該第4感光体となるように配置された画像形成装置において、
該第1感光体の直上流の転写媒体上にキャリアオイルを供給するキャリアオイル塗布ローラを設けたことを特徴とする画像形成装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−41368(P2007−41368A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−226502(P2005−226502)
【出願日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】