説明

画像形成装置

【課題】規制部材の近傍に滞留した現像剤が、機械ストレスや摩擦熱により、凝集し昇温することを防止して、よって、現像剤の流動性の悪化を抑制し、良好な現像性能が得られるとともに、装置が大型化することがなく、簡単な構成によって、現像剤の流動性の悪化を抑えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成時に、現像ローラ11のスリーブ11aが第1の方向に回転させられると、感光体ドラム41の表面上へトナーが供給され、画像形成の開始前に、サーミスタ19が所定値以上の規制ブレード12の温度を検知すると、制御部33は、現像ローラモータ38を第1の方向に対して逆方向に回転させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像剤を用いて感光体等の像担持体の現像を行う現像装置を備える複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に関し、特に現像ローラの現像剤の層厚を規制する規制ブレードを有する現像装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、現像装置は、現像剤を撹拌混合する撹拌部材と、現像剤を担持する現像ローラ等の現像剤担持体と、現像剤の層厚を規制する規制部材を備えて、像担持体の静電潜像の現像を行うことを目的としている。かかる現像剤の層厚を規制するために、現像剤担持体がその表面上の現像剤を介して規制部材に回転摺動すると、規制部材と現像剤で摩擦が起こる。この摩擦で発生する熱により現像剤が昇温すると、現像剤が溶融したりして、現像剤の流動性が悪くなる。また、規制部材により層厚規制されない余分な現像剤が規制部材の近傍に滞留し、滞留した現像剤が、摩擦熱により昇温して、また機械ストレスを受けると、徐々に凝集し、やはり現像剤の流動性が悪くなる。現像剤の流動性が悪化すると、現像剤の性能が劣化して、地汚れやスジ等の現像ムラ等が生じ、現像性能が低下するという不具合がある。
【0003】
そこで、特許文献1には、現像剤を担持し搬送する現像剤担持体と、この現像剤の層厚を規制する規制部材と、現像剤担持体による現像剤の搬送方向における規制部材の上流側の位置で現像剤担持体に対向するように吸熱部材とを設けて、この吸熱部材が、現像剤の昇温を抑制するように、現像剤の熱を吸収し、吸収した熱を現像装置外に放熱する技術が開示されている。
【0004】
しかしながら、上述した従来技術では、現像剤が規制部材と現像剤との摩擦により過剰に昇温することが抑制されているが、規制部材の近傍に滞留した現像剤が機械ストレスを受けて、凝集することに対しては、不十分であった。このために、現像剤の流動性が改善していないので、現像性能が低下するという不具合があった。また、上述した従来技術では、吸熱部材としてヒートシンクを備え、このヒートシンクがアルミニウム、銅、鉄、ステンレス等の高価な金属部品で構成されることになり、装置が大型化して、製造コスト上高くなりという不具合があった。
【特許文献1】特開2006−139045号公報(段落[0061]、[0062]、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、規制部材の近傍に滞留した現像剤が、機械ストレスや摩擦熱により、凝集し昇温することを防止して、よって、現像剤の流動性の悪化を抑制し、良好な現像性能が得られるとともに、装置が大型化することがなく、簡単な構成によって、現像剤の流動性の悪化を抑えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は、回転可能である撹拌部材と、該撹拌部材から供給された現像剤を担持する現像剤担持体と、該現像剤担持体に対向配置され現像剤の層厚を規制する規制部材と、前記現像剤担持体に対向配置され画像データに対応して像が形成される感光体ドラムと、前記現像剤担持体を正逆回転させる駆動部材と、該記駆動部材の回転を制御する制御手段とを備え、前記現像剤担持体は、前記駆動部材により正回転させられると、前記感光体ドラム上へ現像剤を供給する画像形成装置において、前記規制部材に取り付けられ前記規制部材の温度を検知する温度検知部材を有し、前記温度検知部材が所定値以上の温度を検知すると、前記制御手段は、前記現像剤担持体を所定の範囲で逆回転させることを特徴としている。
【0007】
この構成によれば、温度検知部材が所定値以上の温度を検知すると、駆動部材が現像剤担持体を逆回転させるので、規制部材の近傍で凝集した現像剤がほぐされて、現像剤温度が低下する。また、この構成によれば、温度検知部材が規制に取り付けられるので、簡単な装置構成になる。
【0008】
また、本発明は、上記の構成の画像形成装置において、前記現像剤担持体は、30度から180度の範囲で逆回転させられることを特徴としている。この構成によれば、駆動部材が現像剤担持体を逆回転すると、規制部材の近傍で凝集した現像剤がほぐされて、現像剤温度が低下し、また現像剤が現像剤担持体から外部に漏れ出ない。
【0009】
また、本発明は、上記の構成の画像形成装置において、前記撹拌部材を回転させる撹拌駆動部材を備え、画像形成の開始前、または画像形成の完了後に、前記現像剤担持体が逆回転させられるとともに、前記撹拌駆動部材が前記撹拌部材を前記現像剤担持体に現像剤を供給する方向に回転させることを特徴としている。この構成によれば、現像剤担持体が逆回転すると、規制部材の近傍で凝集した現像剤がほぐされて、撹拌部材に戻され、撹拌部材が回転させられると、撹拌部材に戻された現像剤が現像剤収容部に貯留している現像剤とともに撹拌される。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、温度検知部材が所定値以上の温度を検知すると、駆動部材が現像剤担持体を逆回転させるので、規制部材の近傍で凝集した現像剤がほぐされて、現像剤温度が低下することになり、現像剤の流動性の悪化を抑制し、良好な現像性能が得られる。また、温度検知部材が規制部材に取り付けられるので、装置が大型化することがなく、簡単な構成によって、現像剤の流動性の悪化を抑えた画像形成装置を得ることができる。
【0011】
また、請求項2に記載の発明によれば、駆動部材が現像剤担持体を30度以上逆回転させると、規制部材の近傍で凝集した現像剤がほぐされて、現像剤温度が低下するので、現像剤の流動性の悪化を抑制し、良好な現像性能が得られる。また、駆動部材が現像剤担持体を180度を超えて逆回転することがないので、現像剤が現像剤担持体から外部に漏れ出るおそれがない。
【0012】
また、請求項3に記載の発明によれば、現像剤担持体が逆回転すると、規制部材の近傍で凝集した現像剤がほぐされて、撹拌部材に戻され、撹拌部材が回転させられると、撹拌部材に戻された現像剤が現像剤収容部に貯留している現像剤とともに撹拌されるので、現像剤の流動性の悪化を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は、この実施形態に限定されない。本発明の実施形態は発明の最も好ましい形態を示すものであり、また発明の用途やここで示す用語等はこれに限定されるものではない。
【0014】
図1は、本発明の実施形態である画像形成装置を示す断面図である。この画像形成装置100は、感光体ドラム41、帯電部42、画像書込部(レーザスキャンユニット)43、現像装置21、トナー補給部44、転写部45、クリーニング部46、シート収容給紙部51、搬送部52、定着部53、および排紙部54から構成されている。
【0015】
感光体ドラム41は、例えばアルミニウム製ドラムにアモルファスシリコン(a−Si)等の感光層が積層されたものであり、帯電部42により、その表面が帯電させられるようになっている。そして、感光体ドラム41は、画像書込部43からのレーザビームを受けると、その表面に静電潜像を形成する。
【0016】
帯電部42は、コロナ放電等の放電することで感光体ドラム41の表面を帯電させるものである。例えば帯電部42は、細いワイヤー等を有しており、これを電極として、高電圧を印加されることで放電するようになっている。画像書込部43は、画像データに基づいて、レーザビーム等の光ビームを感光体ドラム41に照射させ、その感光体ドラム41に静電潜像を形成させるものである。なお、画像データは不図示のパーソナルコンピューター(PC)から送信されたものである。
【0017】
現像装置21は、感光体ドラム41の静電潜像にトナーを付着させて、トナー像を形成させるものである。なお、現像装置21に収容されているトナーとしては、例えばトナー成分とキャリヤとから構成される2成分現像剤や、トナー成分のみから構成される1成分現像剤が挙げられる。また、現像装置21の詳細については後述する。
【0018】
トナー補給部44は、現像装置21内部のトナーが不足するようになれば、その現像装置21にトナーを供給するとともに、トナーを貯留しておくものである。転写部45は、感光体ドラム41表面に形成されたトナー像を搬送部52から搬送されてくるシート(用紙やOHP等)に転写させるものである。
【0019】
クリーニング部46は、トナー像がシートに転写された後に、感光体ドラム41の表面に残ったトナーを除去するもので、例えば、感光体ドラム41の長手方向に線接触するブレード材等で形成される。シート収容給紙部51は、シートを収容するとともに、搬送部52にシートを送出するものである。
【0020】
搬送部52は、シート収容部51から排紙部54までのシートの通路である。その搬送路52の途中にある定着部53は、ローラ対がシートを加熱・加圧することにより、シートに転写されたトナーを溶融定着させるものであり、両ローラ間にシートを挟持して排紙部54に搬送する。排紙部54は、定着されたシートを収容するものである。
【0021】
次に、画像形成動作について説明する。予め入力された画像データに基づいて、以下のように画像形成動作が実行される。
【0022】
まず、帯電ローラ42により感光体ドラム41が帯電される。この感光体ドラム41に対して、画像データに従い、画像書込部43が感光体ドラム41の表面の走査露光を行い、感光体ドラム41の表面には静電潜像が形成される。次に、現像装置21が感光体ドラム41にトナーを供給して、感光体ドラム41の静電潜像が現像される。搬送部52がシート収容部51のシートを転写部45に搬送し、転写部45がそのシートに感光体ドラム41のトナー像を転写する。転写後に、クリーニング部46が感光体ドラム41の表面に残留したトナーを清掃する。一方、転写されたシートが搬送部52により定着部53に案内され、定着部53がシートを加熱・加圧すると、シートにトナー像が定着される。そして、定着されたシートが搬送部52から順次排出され、排紙部54がシートを受け止める。
【0023】
図2は、2成分現像剤を用いる現像装置21を示す図であり、図2(a)は現像装置21を示す側面断面図、図2(b)は現像装置21を示す上方からの概略平面図である。なお、図2(b)は、便宜上、カバー6を除外し、第1撹拌スクリュー7(後述)を重点的に表現している。
【0024】
図2(a)、図2(b)に示すように、現像装置21は、ケーシング5、カバー6、撹拌部材としての第1撹拌スクリュー7及び第2撹拌スクリュー8、現像剤担持体としての現像ローラ11、規制ブレード12、及び温度検知部材としてのサーミスタ19を含む構成である。
【0025】
ケーシング5は、カバー6とともに、現像装置21の外殻を構成するものである。ケーシング5とカバー6の内部に、トナーが収容され、他の部材が備え付けられる。ケーシング5と一体形成された仕切り板9により、第1貯留室15と第2貯留室16が区分けされ、第1及び第2貯留室15、16がトナーを収容する。この第1貯留室15には第1撹拌スクリュー7が配設され、第2貯留室16には第2撹拌スクリュー8が配設されている。カバー6がケーシング5に取り付けられ、第1及び第2貯留室15、16に収容されたトナー等が外部に漏れないように封止されている。
【0026】
第1撹拌スクリュー7は、支軸7aを中心とし、その周囲に螺旋羽7bを設けた構成になっており、支軸7aがケーシング5に回転可能に軸支されている。第2撹拌スクリュー8は、8aを中心とし、その周囲に螺旋羽8bを設けた構成になっており、支軸8aが支軸7aに平行な状態でケーシング5に回転可能に軸支されている。また、第2撹拌スクリュー8は、支軸8aに連結したトナー撹拌モータ37により回転駆動され、第1撹拌スクリュー7は、トナー撹拌モータ37とギア列(不図示)を介して連結されている。トナー撹拌モータ37が駆動すると、第2撹拌スクリュー8が図2(a)上の矢印方向に回転し、ギア列(不図示)を介して、第1撹拌スクリュー7が同時に図2(a)上の矢印方向に回転する。
【0027】
図2(b)に示すように、ケーシング5の長手方向(支軸7aの方向)の両端部において、仕切り板9は存在せず、第1撹拌スクリュー7、第2撹拌スクリュー8間でのトナーの受け渡しが可能となっている。第1撹拌スクリュー7は、図2(b)、図2(a)上の矢印方向に回転して、第1貯留室15に貯留されているトナー等を撹拌させながら支軸7a方向へと搬送して、第2貯留室16に導く。第2撹拌スクリュー8は、図2(a)上の矢印方向に回転して、第2貯留室16に搬送されてきたトナーを撹拌させながら支軸8a方向へと搬送して、現像ローラ11に供給する。
【0028】
図2(a)に示すように、現像ローラ11は、感光体ドラム41(図1参照)の回転に応じて回転することで、その感光体ドラム41の感光層にトナーを供給するものであり、スリーブ11aと磁界発生部材14を含む構成である。
【0029】
スリーブ11aは、感光体ドラム41に対向し、磁界発生部材14との間に所定の隙間を設けて、ローラ軸11bに固設されている。ローラ軸11bは支軸8aに平行な状態で回転可能にケーシング5に軸止され、現像ローラモータ38に連結されている。現像ローラモータ38が駆動すると、ローラ軸11bを介して、スリーブ11aが図2(a)上のA方向(正回転方向)に回転する。スリーブ11aは、例えばアルミニウム製のものを本実施形態で用いることができる。
【0030】
磁界発生部材14は、スリーブ11aに対して回転不能に固定され、複数の磁極を有する永久磁石からなる。この磁界発生部材14の磁力の強さに従い、スリーブ11a上にトナーの現像ブラシ(穂)が形成され、規制ブレード12ではこの現像ブラシのトナー通過量(厚さ)を規制する。感光体ドラム41に対向する位置では、スリーブ11aが感光体ドラム41と接触すると、現像ブラシのトナーが感光体ドラム41上の静電潜像に従い付着する。
【0031】
規制ブレード12は、現像ローラ11と所定の間隔を隔てて対向配置され、感光体ドラム41に供給するトナー量を規制する規制部17を形成する。規制ブレード12の材質としては、磁性体或いは非磁性体のステンレス等が用いられる。なお、非磁性体の規制ブレード12に永久磁石を装着して磁性を付与しても良い。
【0032】
サーミスタ19は、規制ブレード12の温度を検知するものであり、規制ブレード12における正回転方向下流側の表面に貼り付けられる。
【0033】
Tセンサ13は、ケーシング5内に貯留されるトナー量を検知するものであり、例えば圧電センサや磁気センサ等が用いられる。このTセンサ13は、第2撹拌スクリュー8に対面する第2貯留室16の底面に設けられ、第1貯留室15及び第2貯留室16に充分にトナーが貯留されているとき、そのトナーによって一定の圧をかけられることで、トナーが充分に貯留されているものと検知する。一方、Tセンサ13は、充分なトナー量が第1貯留室15、第2貯留室16に貯留されていないとき、トナーによって一定以上の圧をかけられることがないので、トナー量が充分に足りていないと検知するようになっている。
【0034】
図3は、現像装置21の現像ローラ11周辺を拡大して示す断面図である。図3を用いて現像ローラ11表面上のトナー量の規制方法を詳細に説明する。
【0035】
図3に示すように、磁界発生部材14は、5つの磁極14a〜14eを有し、N極14a、14cと、S極14b、14d、14eからなる。N極14aが規制ブレード12に対向するため、規制ブレード12として非磁性体或いはS極の磁性体を用いることにより、規制部17に引き合う方向(矢印B方向)の磁界が発生する。
【0036】
この磁界により規制ブレード12と現像ローラ11のスリーブ11aとの間にトナーがブラシ状に起立し、規制部17により所定の厚みのトナー薄層に規制される。そして、スリーブ11aが図3上の矢印A方向(正回転方向)にさらに回転して、トナー薄層が感光体ドラム41に対向する位置に移動すると、トナー薄層にはS極14bにより磁界が付与されるため、トナー薄層は、スリーブ11aから離反し、感光体ドラム41の表面に接触してトナー像を形成する。
【0037】
さらにスリーブ11aが矢印A方向(正回転方向)に回転すると、次に、トナー像の形成に使われなかったトナーにはN極14cにより引き合う磁界が付与されて、そのトナーがスリーブ11aに付着した状態で現像装置21内に回収される。さらにスリーブ11aが矢印A方向(正回転方向)に回転すると、S極14d、14eにより反発する磁界が付与されるため、トナーは現像装置21内でスリーブ11aから離反し、第2貯留室16に戻される。
【0038】
現像の動作について説明する。第2撹拌スクリュー8により撹拌・搬送されたトナーが、現像ローラ11に供給される。そして、現像ローラ11の表面上でトナー層厚を規制するために、規制ブレード12と磁界発生部材14により、スリーブ11aの表面上に供給されたトナーから所定の厚みのトナー薄層が形成され、スリーブ11aが図3上の矢印A方向(正回転方向)に回転すると、スリーブ11aの表面上のトナーが感光体ドラム41に供給される。さらに、スリーブ11aが図3上の矢印A方向(正回転方向)に回転すると、感光体ドラム41に供給されなかったトナーがスリーブ11aに付着した状態で現像装置21内に回収される。さらにスリーブ11aが回転すると、トナーがスリーブ11aから離反し、第2貯留室16に戻される。
【0039】
次回以降の現像において上述の動作を繰り返す。このように、スリーブ11aがその表面上のトナーを介して規制ブレード12に接触しながら回転を繰り返すと、規制ブレード12により層厚規制されない余分なトナーが規制ブレード12における正回転方向上流側の面近傍に滞留する。また、規制ブレード12とトナー間の摩擦により、規制ブレード12とトナーが昇温するので、滞留したトナーは、徐々に凝集することになる。
【0040】
そこで、本実施形態では、上述のようにトナーが凝集することを防止するために、規制ブレード12の温度を検出し、その温度がトナーの流動性を悪化させるような温度まで上昇すると、現像ローラ11を逆回転させる構成にしている。図4、図5を用いて詳細に説明する。
【0041】
図4は、本発明の実施形態である画像形成装置の構成を示すブロック図である。画像形成装置100は、画像形成部32、制御部33、記憶部34、操作パネル35、シート収容部51、定着部53、装置各部を駆動するモータ36〜39、及びサーミスタ19から構成されている。
【0042】
画像形成部32は、感光体ドラム41、帯電部42、画像書込部43、現像装置21、転写部45を含み、画像書込部43が感光体ドラム41に光ビームを照射させ、感光体ドラム41の表面上に静電潜像を形成し、現像装置21により現像した後に、転写部45により用紙上にトナー像を転写する。
【0043】
記憶部34は、画像メモリ60、RAM61、及びROM62を備えており、RAM61及びROM62は、制御部33の処理プログラムや処理内容等が記憶されている。
【0044】
操作パネル35は、複数の操作キーからなる操作部と、設定条件や装置の状態等を表示する表示部(いずれも図示せず)とから構成されており、ユーザが印刷条件等の設定を行う他、画像形成装置100がファクシミリ機能を有する場合は記憶部34にファクシミリ送信先を登録し、さらに登録された送信先の読み出しや書き換えを行う等の種々の設定にも使用される。
【0045】
メインモータ36は、制御部33からの制御信号に応じて感光体ドラム41、転写部45、定着部53を駆動する。トナー撹拌モータ37は、制御部33からの制御信号に応じて現像装置21内の第1及び第2撹拌スクリュー7、8(図2参照)を駆動する。現像ローラモータ38は、制御部33からの制御信号に応じて現像ローラ11のスリーブ11a(図2参照)を矢印A方向(正回転方向)とその逆方向に回転駆動する。給紙モータ39は、制御部33からの制御信号に応じてシート収容部51内の給紙ローラを駆動する。
【0046】
サーミスタ19は、規制ブレード12の温度を検知する。検知された温度信号がデジタル信号に変換されて制御部33に送出される。なお、規制ブレード12の検知温度は、規制ブレード12の近傍に滞留するトナーの温度と略同じであるが、一層正確にトナー温度を検知するには、規制ブレード12及びトナーの熱伝導率、規制ブレード12の形状、及び規制ブレード12表面上のサーミスタ19の位置等に基づく温度補正データをROM62に記憶させ、制御部33がサーミスタ19の温度信号をその温度補正データにより補正換算するようにしてもよい。
【0047】
制御部33は、設定されたプログラムに従って、画像形成部32、シート収容部51、定着部53、及びそれらを駆動するモータ36〜39を全般的に制御する。
【0048】
さらに、制御部33は、画像形成のプログラムに基づいて現像ローラモータ38を正回転方向に駆動制御し、また、サーミスタ19の温度信号に基づいて現像ローラモータ38を逆回転制御する機能も有している。
【0049】
次に、本発明の現像装置を搭載した画像形成装置の動作について説明する。図5は、画像形成装置における、現像ローラモータ38の逆回転の手順を示すフローチャートである。図2、図4を参照しながら、図5のステップに従い現像ローラモータ38の逆回転操作について説明する。
【0050】
ステップS1で、ユーザにより操作パネル35の電源釦が操作され電源がオンにされる。
【0051】
次に、ステップS2で、サーミスタ19により検知された温度信号Tが入力される。ステップS3で、温度信号Tが所定温度Txを超えているか否かを判定する。所定温度Txは、規制ブレード12の近傍に滞留したトナーが凝集し、画像濃度が急激に低下するトナー温度である。例えば、図2に示す規制部17(規制ブレード12と現像ローラ11との間隔)が0.3mm〜1.5mm、トナー平均粒径が7μmでは、所定温度Txは40℃に設定している。
【0052】
ここで、温度信号Tが所定温度Txを超えているのなら(ステップS3のYes)、ステップS4で、現像ローラモータ38を駆動させ、現像ローラ11のスリーブ11aを逆回転させる。その回転角度は、30度から180度の範囲である。スリーブ11aが30度以上回転することにより、トナーが受けている機械ストレスが緩和されるので、規制ブレード12の近傍で凝集したトナー温度が低下する。ほぐされたトナーは、第2貯留室16に戻される。一方、スリーブ11aが180度を超えて回転すると、第2貯留室16等のハウジング5内のトナーが、ハウジング5とスリーブ11aとの間からハウジング5外に漏れ出る不具合がある。
【0053】
ステップS5で、トナー撹拌モータ37を駆動させ、第1及び第2撹拌スクリュー7、8を図2上の矢印方向に回転させる。第2撹拌スクリュー8の回転により、第2貯留室16に戻されたトナーが一層ほぐされて、第2貯留室16に貯留しているトナーとともに撹拌される。
【0054】
ステップS3で、温度信号Tが所定温度Txを超えていないのなら(ステップS3のNo)、また、ステップS5でトナー撹拌モータ37の駆動が完了すると、ステップS6で、現像ローラモータ38を駆動させ、スリーブ11aを図2上の矢印A方向(正回転方向)回転させるとともに、トナー撹拌モータ37を駆動させ、第1及び第2撹拌スクリュー7、8を図2上の矢印方向に回転させ、エージングを行う。
【0055】
次に、ステップS7で、画像形成の操作が指示されるまで待機して、その操作指示があると画像形成を開始され、処理を終了する。
【0056】
上記実施形態によれば、回転可能に配設される第2撹拌スクリュー8と、第2撹拌スクリュー8から供給されたトナーを担持する現像ローラ11と、現像ローラ11に対向配置されトナーの層厚を規制する規制ブレード12と、現像ローラ11に対向配置され画像データに対応して像が形成される感光体ドラム41と、現像ローラ11のスリーブ11aを第1の方向に回転させる現像ローラモータ38と、規制ブレード12に貼り付けられ規制ブレード12の温度を検知するサーミスタ19と、現像ローラモータ38の回転を制御する制御部33とを備える。画像形成時に、スリーブ11aが第1の方向に回転させられると、感光体ドラム41の表面上へトナーが供給され、画像形成の開始前に、サーミスタ19が所定値以上の温度を検知すると、制御部33は、スリーブ11aを第1の方向に対して逆回転させる。
【0057】
この構成によれば、サーミスタ19が所定値以上の温度を検知すると、スリーブ11aを逆回転させるので、規制ブレード12の近傍で凝集したトナーがほぐされて、そのトナー温度が低下することになり、トナーの流動性が悪化することを抑制し、良好な現像性能が得られる。
【0058】
また、この構成によれば、サーミスタ19が規制ブレード12に貼り付けられるので、装置が大型化することがなく、簡単な構成によって、現像剤の流動性の悪化を抑えた画像形成装置を得ることができる。
【0059】
また、スリーブ11aは、30度から180度の範囲で逆回転させられることによって、規制ブレード12の近傍で凝集したトナーがほぐされて、トナー温度が低下することになり、現像剤の流動性の悪化を抑制し、良好な現像性能が得られるとともに、ハウジング5内のトナーが、ハウジング5とスリーブ11aとの間からハウジング5外に漏れ出るおそれがない。
【0060】
また、スリーブ11aが第1の方向に対して逆方向に回転させられるとともに、第2撹拌スクリュー8が回転させられることによって、規制ブレード12の近傍で凝集したトナーがほぐされて、第2貯留室16に戻され、第2撹拌スクリュー8の回転により、第2貯留室16に戻されたトナーが一層ほぐされて、また第2貯留室16に貯留しているトナーとともに撹拌されるので、トナーの流動性の悪化を抑制することができる。
【0061】
尚、上記実施形態では、トナー成分とキャリヤとから成る2成分現像剤を用いる画像形成装置に適用したが、本発明は2成分現像剤を用いる画像形成装置に限定されるものではなく、例えば1成分現像剤を用いる画像形成装置であっても、同様に適用可能である。
【0062】
また、上記実施形態では、モノクロ画像を形成する画像形成装置に適用したが、本発明はこれに限らず、カラー画像を形成する画像形成装置であっても、同様に適用可能である。
【0063】
また、上記実施形態では、規制ブレード12と現像ローラ11が所定の間隔を隔てて配置され、その間の規制部17により、トナー量を規制したトナー薄層を形成する現像装置に適用したが、本発明はこれに限らず、規制ブレードと現像ローラが摺擦して、帯電したトナー薄層を形成する現像装置であっても、同様に適用可能である。
【0064】
また、上記実施形態では、画像形成が開始される前に、規制ブレード12の検知した温度に基づいて、現像ローラ11を逆回転させる構成を示したが、本発明はこれに限らず、画像形成の完了後に、規制ブレード12の検知した温度に基づいて、現像ローラ11を逆回転させるようにしてもよい。この場合も上記同様、画像形成完了後の規制ブレード12の近傍で凝集したトナーがほぐされて、トナー温度が低下することになる。
【0065】
また、上記実施形態では、スリーブ11aが逆回転させられると、その後、第2撹拌スクリュー8が画像形成時と同じ方向に回転させられる構成を示したが、本発明はこれに限らず、第2撹拌スクリュー8は、スリーブ11aの回転と連動して、ほほ同時に回転させられるようにしても良いし、画像形成時と逆方向に回転させられるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、現像剤を用いて感光体等の像担持体の現像を行う現像装置を備える複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】は、本発明の実施形態である画像形成装置を示す断面図である。
【図2】は、本発明の実施形態である現像装置を示す側面断面図(図2(a))、及び現像装置を示す上方からの概略平面図(図2(b))である。
【図3】は、本発明の実施形態である現像装置の現像ローラ周辺を拡大して示す断面図である。
【図4】は、本発明の実施形態である画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図5】は、本発明の実施形態である現像装置を備えた画像形成装置における、現像ローラの逆回転の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0068】
5 ケーシング
6 カバー
7 第1撹拌スクリュー(撹拌部材)
8 第2撹拌スクリュー(撹拌部材)
11 現像ローラ(現像剤担持体)
11a スリーブ
12 規制ブレード(規制部材)
13 Tセンサ
14 磁界発生部材
14a〜14e 磁極
15 第1貯留室
16 第2貯留室
17 規制部
19 サーミスタ(温度検知部材)
21 現像装置
33 制御部(制御手段)
37 トナー撹拌モータ
38 現像ローラモータ(駆動部材)
100 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能である撹拌部材と、該撹拌部材から供給された現像剤を担持する現像剤担持体と、該現像剤担持体に対向配置され現像剤の層厚を規制する規制部材と、前記現像剤担持体に対向配置され画像データに対応して像が形成される感光体ドラムと、前記現像剤担持体を正逆回転させる駆動部材と、該記駆動部材の回転を制御する制御手段とを備え、
前記現像剤担持体は、前記駆動部材により正回転させられると、前記感光体ドラム上へ現像剤を供給する画像形成装置において、
前記規制部材に取り付けられ前記規制部材の温度を検知する温度検知部材を有し、前記温度検知部材が所定値以上の温度を検知すると、前記制御手段は、前記現像剤担持体を所定の範囲で逆回転させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記現像剤担持体は、30度から180度の範囲で逆回転させられることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記撹拌部材を回転させる撹拌駆動部材を備え、画像形成の開始前、または画像形成の完了後に、前記現像剤担持体が逆回転させられるとともに、前記撹拌駆動部材が前記撹拌部材を前記現像剤担持体に現像剤を供給する方向に回転させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−304676(P2008−304676A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−151341(P2007−151341)
【出願日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】