説明

画像形成装置

【課題】停止時の消費電力を低減することにより、トータルの消費電力が低減された画像形成装置を提供する。
【解決手段】露結防止や除湿用のヒータを電源停止から所定時間経過後にオンさせる制御手段を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に設けられる加熱手段の制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置等の機器においては、夜間等の停止時に、機内温度が低下して機内の水蒸気が露結し、絶縁不良や部品の劣化を起こす等の問題を起こすために、機器の停止時に、所定部を加熱して結露点以上の温度を保持することが行われている(特許文献1)。
【0003】
また、特許文献2では、記録紙の吸湿状態を適切に維持するために、記録紙収納部に除湿ヒータを設けることが開示されている。
【特許文献1】特開平8−37761号公報
【特許文献2】特開2005−128103号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2のように、停止時にも電力を供給する機器が多くなってきており、画像形成装置では、露結防止、記録紙の除湿など複数目的で停止時にも装置内の所定部を作動させるために、停止時の電力消費量が大きくなる傾向にあり、画像形成装置の停止時における電力消費を抑制することが必要になってきている。
【0005】
本発明は、停止時における電力消費を抑制することによりトータルの消費電力が低減された画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的は下記の発明により達成される。
1.
負荷に電力を供給する電源、装置の所定部を加熱する加熱手段、前記加熱手段への電力供給をオン/オフするスイッチ及び前記電源のオフから所定時間は、前記加熱手段への電力供給を停止し、前記所定時間経過後に前記加熱手段に電力を供給するように前記スイッチを制御する制御手段を有することを特徴とする画像形成装置。
2.
温度センサを有し、前記制御手段は、前記温度センサの出力に基づいて、前記所定時間を制御することを特徴とする前記1に記載の画像形成装置。
3.
前記制御手段は、電気二重層キャパシタを有することを特徴とする前記1又は前記2に記載の画像形成装置。
4.
前記制御手段は、CPUを有することを特徴とする前記1又は前記2に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、電源停止から所定時間は加熱手段を停止させ、前記所定時間経過後に前記加熱手段を作動させるので、電源停止時における消費電力が低減され、トータルの電力消費が低減された画像形成装置が実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明を本発明の実施の形態に基づいて説明するが、本発明は、該実施の形態に限られない。
【0009】
図1は本発明の実施の形態に係る画像形成装置の全体図である。
【0010】
画像形成装置は、原稿自動搬送装置A、画像読取部B及び画像形成部Cからなる。
【0011】
自動原稿搬送装置Aは原稿dを1枚ずつ読取位置に搬送し、読取後の原稿dを排紙トレーに排出する。画像読取部Bは自動原稿搬送装置により搬送された原稿d又は原稿台G上に載置された原稿を読み取って、画像信号を出力する。画像読取部の読取ヘッド10では原稿を照明するランプにより原稿を照明し読み取る。
【0012】
画像形成部Cにおいて、1は感光体であり、感光体としては有機光導電体を樹脂に分散した感光層を有する有機感光体が環境性及びコストの観点から好ましいが、これに限られることなく、任意の公知の感光体を用いることができる。
【0013】
なお、感光体1としては図示のドラム状の感光体に限られず、ベルト状の感光体であってもよい。2は感光体1を帯電し、感光体1上に一様な電位を形成する帯電装置である。帯電装置2としては、制御グリッドと放電電極を有するスコロトロン帯電器や電圧を印加したローラを用いた接触帯電方式の帯電器が好ましい。
【0014】
3は感光体1を露光する露光装置である。露光装置としては、レーザダイオードを光源とし、ポリゴンミラー、レンズ及びミラーで構成される走査光学系を有する走査露光装置や発光ダイオードアレイ及び結像性光学素子を有する走査光学装置が好ましいがこれに限られることなく、任意の公知の露光装置を用いることができる。露光装置3は画像データに従って、感光体1をドット露光する。
【0015】
4は現像装置であり、二成分現像剤又は一成分現像剤を収容し、感光体1上の静電潜像を現像し、感光体1上にトナー像を形成する。5は、コロナ帯電器からなる転写装置である。転写装置5は記録紙Pに対して、感光体1上のトナーと逆極性の帯電を行い、トナー像を記録紙Pに転移させる。6は、コロナ帯電器からなる分離装置であり、記録紙Pに対して交流コロナ帯電を行って、記録紙Pを除電し、感光体1から分離する。
【0016】
7は定着装置であり、熱と圧力とにより記録紙P上のトナー像を定着する。
【0017】
8はクリーニング装置である。転写後の感光体1上には、未転写トナーや転写残トナーが付着しており、次の像形成を行うためには、感光体1をクリーニングする必要がある。クリーニング装置8は、ウレタンゴム等の弾性ブレードからなるクリーニングブレードを有する。
【0018】
9は記録紙Pを収納する記録紙収納部であり、トレイ又はカセットからなり、画像形成装置から引き出して記録紙Pを補給することができる。
【0019】
図2は本発明の実施の形態に係る画像形成装置における電源部の一例の回路図である。
【0020】
図において、20は外部電源であり、外部電源からは交流電流が供給される。
【0021】
21はDC電源であり、画像形成装置内に所定電圧の直流電流を供給する。
【0022】
22は後に説明するように、ヒータ24のオフ時間を制御する制御手段としての電気二重層キャパシタ、23はダイオードである。24は加熱手段としてのヒータであり、画像形成装置内の所定部を加熱して、露結防止等画像形成装置内の所定部における湿度を所定値に維持するものであって、例えば、図1における定着装置7、記録紙収納部9、読取ヘッド10等に設けられる。25はノーマリークローズ型のリレーであり、電圧が印加されているときに、回路を遮断し、電圧の非印加時に回路を導通させる。26は画像形成装置のメインスイッチであり、オペレータにより操作されてDC電源21をオン/オフさせる。
【0023】
図2に示す電源部の作動は次のとおりである。
【0024】
メインスイッチ26をオンすることにより、DC電源21から各部に電力が供給されるが、待機時には、負荷の一部が作動するのみで、画像形成を行う負荷は停止している。画像形成時には、DC電源21から各負荷に電力が供給されて、各負荷が作動し画像形成が行われる。
【0025】
画像形成装置のメインスイッチ26がオフされた場合、DC電源21が停止して各部への電力供給が停止する。以下の説明において、この状態、即ち、DC電源21がオフした状態を電源停止と言う。
【0026】
電源停止時には図3(a)に示すように、電気二重層キャパシタ21の端子間電圧は曲線L1で示すように所定のリレー駆動電圧V以上であり、DC電源21がオフしても、電気二重層キャパシタ24によりリレー25に電圧が印加され、リレー25は回路を遮断し、ヒータ24への通電は行われない。
【0027】
電気二重層キャパシタ22の端子間電圧がリレー25のリレー駆動電圧V以下になった時点で、リレー25が回路を導通させて、外部電源20からヒータ24に電力が供給されヒータ24が作動し、画像形成装置の所定部を加熱する。
【0028】
画像形成装置において露結が発生する部位や給紙部では、画像形成装置の電源停止から所定時間は画像形成装置内の温度が高いことから露結が起きない。そして、時間が経過して、画像形成装置内の温度が低下したときに露結が起きるが、本実施の形態では、露結が発生する可能性が高い所定時間Tが経過した時点でヒータ24をオンさせることにより、図3(b)に示すように、所定時間Tの経過後に画像形成装置内の温度が上昇し露結が防止される。
【0029】
なお、図3(b)は画像形成装置内各部の温度を示し、曲線L2は従来技術による露結防止の場合の装置内所定部の温度を、曲線L3は本実施の形態による露結防止の場合の装置内所定部の温度を、直線L4が画像形成装置の作動時における装置内温度を、曲線L5は露結防止制御を行わない場合の装置内温度をそれぞれ示している。直線L4に関しては、図3(b)の座標軸は適用されないが、曲線L2、L3、L5に関しては、横軸(時間軸)の左端t1が電源停止時点、t2がヒータ24の作動開始時点、t3は朝一番等のメインスイッチオン時点である。
【0030】
また、朝一番等のように、画像形成装置のメインスイッチ26をオンするときには、記録紙収納部9内はヒータ24により所定温度まで昇温され、記録紙の除湿が行われているので、吸湿した記録紙による画質の低下が防止される。
【0031】
電源停止からヒータ24をオンするまでの前記所定時間Tは、数時間に設定される。
【0032】
ヒータ24として40Wのものを用い、夜間10時間電源停止され、ヒータ24を停止させる前記所定時間を5時間とした場合、本実施の形態を使用せず、10時間フルにヒータ24をオンさせた場合、400WHの電力消費となるが、本実施の形態にいては、200WHの消費電力となり、画像形成装置の性能を落とすことなく、電源停止時に消費電力が半分に圧縮される。
【0033】
図4は本発明の実施の形態における電源部の他の例の回路図である。
【0034】
本例においては、図2に示す構成の他に、サーミスタからなる温度センサ27及びトランジスタからなるドライバ28がリレー25をオン/オフ駆動する回路に設けられる。
【0035】
この構成により、装置内の温度に応じて、電源停止からヒータ24をオンさせるまでの時間が制御される。
【0036】
即ち、装置内の温度が低い場合、温度センサ27の抵抗値が高くなり、ドライバ28の駆動電位が低下して、通常よりの早い時期に、ヒータ24が作動して所定部の温度を上昇させる。
【0037】
図5は本発明の実施の形態の更に他の例の回路図である。
【0038】
本例では、ヒータ24をオン/オフを切り替えるスイッチ29及びスイッチ29を制御するCPU構成の制御手段30を有する。制御手段30には、電源停止時にも電力が供給されている。
【0039】
図5(a)はヒータ24の一定した所定時間でオン/オフ制御する例であり、図5(b)は、温度センサ27により画像形成装置内の温度を検知し、画像形成装置内の温度に応じた所定時間で、ヒータ24をオン/オフ制御する例である。
図5(b)の例の作動は図4に示すものと同一であり、画像形成装置内の温度が低い程、電源停止から、ヒータ24の作動までの時間は短くなる。
【0040】
図6は図5における制御手段30の制御のフローチャートである。
【0041】
STEP1の電源停止により、タイマが時間をカウントし(STEP2)、所定のオフ時間経過時に(STEP3のyes)、ヒータ24を作動させる(STEP4)。
【0042】
電源停止でないときは(STEP1のno)、ヒータ24がオンかオフかを監視し、オンのときは(STEP5のyes)、ヒータ24をオフして終了する(STEP6)。ヒータ24がオンでないときは(STEP4のno)、そのまま終了する。
【0043】
電源停止後所定時間経過しないとき(STEP3のno)、電源停止でないときと同様にヒータ24のオフを確認して終了する(STEP5、6)。
【0044】
STEP5、6は、短時間内にメインスイッチ26のオン/オフが繰り返された場合であっても、ヒータ24がオフの状態からヒータ制御が開始されるようにするための処理である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の全体図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像形成装置における電源部の一例の回路図である。
【図3】電源停止時における電気二重層キャパシタの端子間電圧及び画像形成装置内各部の温度変化を示すグラフである。
【図4】本発明の実施の形態における電源部の他の例の回路図である。
【図5】本発明の実施の形態の更に他の例の回路図である。
【図6】図5における制御手段30の制御のフローチャートである。
【符号の説明】
【0046】
20 外部電源
21 DC電源
22 延期二重層キャパシタ
24 ヒータ
25 リレー
26 メインスイッチ
27 温度センサ
29 スイッチ
30 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷に電力を供給する電源、装置の所定部を加熱する加熱手段、前記加熱手段への電力供給をオン/オフするスイッチ及び前記電源のオフから所定時間は、前記加熱手段への電力供給を停止し、前記所定時間経過後に前記加熱手段に電力を供給するように前記スイッチを制御する制御手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
温度センサを有し、前記制御手段は、前記温度センサの出力に基づいて、前記所定時間を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、電気二重層キャパシタを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、CPUを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−3448(P2008−3448A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−174910(P2006−174910)
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】