説明

画像形成装置

【課題】印刷文書に印刷されているラスタデータと同一のラスタデータを印刷する画像形成装置を提供することを課題とする。
【解決手段】プリンタ1は、印刷データ31を原本データ32として保存する。原本データ32の保存先情報33と、印刷データ31のラスタライズ条件を有する属性情報34とを示す2次元コード35が作成される。プリンタ1は、ラスタライズされた印刷データ31と2次元コード35とが合成された合成ラスタデータ37を印刷し、印刷文書40を出力する。ネットワーク複合機2は、印刷文書40に対応するスキャン画像データ41から取得した保存先情報43と属性情報44とを、ラスタデータ送信要求45としてプリンタ1に送信する。プリンタ1は、ラスタデータ送信要求45に基づいて、合成ラスタデータ37と同一の合成ラスタデータ47を作成する。ネットワーク複合機2は、合成ラスタデータ47を印刷したコピー文書50を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷文書に印刷するデータを保存する画像形成装置と、印刷文書をコピーする際に、保存された印刷データを印刷する画像形成装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、パーソナルコンピュータ(PC)に記憶されている文書データなどを印刷するプリンタ機能、印刷文書からコピー文書を作成するコピー機能などを有するデジタル複合機が、オフィスなどで広く用いられている。デジタル複合機は、コピー時において、印刷文書の各ページを読み取り、各ページに対応する複数の画像データを作成する。各画像データが、印刷文書の各ページを読み取った順番で印刷用紙に印刷されることによって、コピー文書が作成される。
【0003】
上述の手順で作成されたコピー文書の画質は、通常、コピー原本となる印刷文書の画質よりも劣っている。しかし、印刷文書をコピーする際に、コピー文書の画質の劣化を防ぎたいという要求が従来からある。そこで、コピー文書の画質を、コピー原本の画質と同等に維持するためのデジタル複合機が、たとえば、特許文献1に開示されている。
【0004】
特許文献1に係るデジタル複合機は、PCから印刷要求として受信したPDL(Page Description Language)データを1ページごとに分割したページデータを作成する。特許文献1に係るデジタル複合機は、各ページデータを保存し、各ページデータをラスタライズ処理した画像データを作成する。ページデータごとの識別情報が付加された画像データが印刷されることによって、印刷文書が作成される。一方、コピー時において、特許文献1に係るデジタル複合機は、印刷文書の各ページに対応する複数のスキャン画像データを作成し、各スキャン画像データから複数の識別情報を取得する。各スキャン画像データに代えて、各識別情報に対応するページデータが印刷される。
【0005】
【特許文献1】特開平10−285378号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、特許文献1に係るデジタル複合機は、コピー文書を作成する際に、印刷文書に対応するPDLデータを印刷する。これにより、特許文献1に係るデジタル複合機は、印刷文書と同等の画質のコピー文書を作成することができる。
【0007】
しかしながら、特許文献1に係るデジタル複合機は、他のデジタル複合機が作成した印刷文書を正確にコピーできないことがある。これは、他のデジタル複合機と、特許文献1に係るデジタル複合機とにおいて、それぞれインストールされているフォントデータなどが異なる場合に発生する。PDLデータからラスタデータを作成する際の条件が、他のデジタル複合機と特許文献1に係るデジタル複合機とで異なるために、印刷文書とコピー文書とは、外観が異なる状態となるのである。
【0008】
印刷文書の外観とコピー文書の外観とが一致するかどうかは、実際にコピー文書を出力しなければわからないことが多い。印刷文書の外観と、特許文献1に係るデジタル複合機が作成したコピー文書との外観とが異なる場合、ユーザは、他のデジタル複合機を用いて、再度印刷文書を作成しなければならない。このように、特許文献1に係るデジタル複合機は、ユーザの利便性を損なうおそれがあるという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は前記問題点に鑑み、印刷文書に印刷されているラスタデータと同一のラスタデータを印刷することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、ネットワークに接続された画像形成装置であって、印刷する印刷データを記憶部に記憶し、前記記憶部に記憶された前記印刷データを識別するための識別情報を作成するデータ管理部と、自装置を特定するための作成元情報を作成する作成元情報作成部と、前記印刷データをラスタライズし、ラスタライズされた前記印刷データと、前記識別情報と、前記作成元情報とを含む作成元情報付きラスタデータを作成するラスタデータ作成部と、前記作成元情報付きラスタデータを記録用紙に印刷する印刷部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、さらに、前記作成元情報付きラスタデータを作成するための設定情報を作成する設定情報作成部、を備え、前記作成元情報付きラスタデータには、前記設定情報が含まれることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、ネットワークに接続された画像形成装置であって、印刷する印刷データを記憶部に記憶し、前記記憶部に記憶された前記印刷データを識別するための識別情報を作成するデータ管理部と、自装置を特定するための作成元情報を作成し、前記識別情報と対応付けて前記記憶部に記憶する作成元情報作成部と、前記印刷データをラスタライズし、ラスタライズされた前記印刷データと、前記識別情報とを含む識別情報付きラスタデータを作成するラスタデータ処理部と、前記識別情報付きラスタデータを記録用紙に印刷する印刷部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項3に記載の画像形成装置において、さらに、前記識別情報と対応付けられた、前記識別情報付きラスタデータを作成するための設定情報を作成し、前記設定情報を前記記憶部に記憶する設定情報作成部、を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項2または請求項4に記載の画像形成装置において、さらに、前記ネットワークを介して接続する通信装置から前記識別情報を受信し、受信した識別情報に基づいて、前記記憶部に記憶された前記印刷データを原本データとして取得する原本データ取得部と、前記識別情報に対応する前記設定情報を取得する設定情報取得部と、取得した前記設定情報に基づいて前記原本データをラスタライズし、ラスタライズされた前記原本データを含む複製ラスタデータを作成する複製データ作成部と、前記複製ラスタデータを前記通信装置に送信する送信部と、を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項6記載の発明は、印刷装置にネットワークを介して接続する画像形成装置であって、印刷データと、前記印刷データを識別するための識別情報とが印刷された記録用紙を読み取り、スキャン画像データを作成するスキャナ部と、前記スキャン画像データから前記識別情報を取得し、前記識別情報に対応付けられた、前記印刷装置を特定するための作成元情報を取得する属性情報取得部と、取得した前記作成元情報に基づいて前記印刷装置を特定し、取得した前記識別情報を前記印刷装置に送信して、ラスタライズされた前記印刷データを含むラスタデータの作成を前記印刷装置に要求するラスタライズ指示部と、前記印刷装置が作成した前記ラスタデータを受信し、受信した前記ラスタデータを印刷する印刷部と、を備えることを特徴とする。
【0016】
請求項7記載の発明は、請求項6に記載の画像形成装置において、前記属性情報取得部は、前記識別情報に対応付けられた、前記印刷データをラスタライズ処理するための設定情報を取得する設定情報取得部、を含み、前記ラスタライズ指示部は、前記印刷装置に前記ラスタデータの作成を要求する際に、前記識別情報と前記設定情報とを前記印刷装置に送信する送信部、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の画像形成装置は、ラスタライズした印刷データと、自装置を特定する作成元情報と、記憶部に記憶された印刷データの識別情報とを含む作成元情報付きラスタデータを記録用紙に印刷する。これにより、他の印刷装置は、記録用紙を読み取って取得した識別情報と作成元情報とを用いて、作成元情報付きラスタデータと同じラスタデータの作成を本発明の画像形成装置に要求することができる。
【0018】
また、本発明の画像形成装置は、ラスタライズした印刷データと、識別情報とを含む識別情報付きラスタデータを記録用紙に印刷し、作成元情報を記憶部に記憶する。これにより、他の印刷装置は、記録用紙を読み取って取得した識別情報と、記憶部から取得した作成元情報とを用いて、識別情報付きラスタデータと同じラスタデータの作成を本発明の画像形成装置に要求することができる。
【0019】
したがって、ユーザは、他の印刷装置を用いて、本発明の画像形成装置が作成する印刷文書と同一の文書を容易に作成することができる。
【0020】
また、本発明の画像形成装置は、記録用紙を読み取って取得した識別情報と、識別情報に対応付けられた作成元情報とを用いて、印刷データのラスタライズを印刷元の印刷装置に要求する。つまり、本発明の画像形成装置は、記録用紙に印刷されているラスタデータと同一のラスタデータを取得することができる。したがって、ユーザは、本発明の画像形成装置を用いて、他の印刷装置が印刷した印刷文書と同一の文書を容易に作成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
{第1の実施の形態}
以下、図面を参照しつつ本発明の第1の実施の形態について説明する。本実施の形態では、本発明に係る画像形成装置の一例として、プリンタおよびネットワーク複合機について説明する。図1は、プリンタ1の構成およびネットワーク複合機2の構成を含むネットワークシステムの構成図である。
【0022】
図1に示すネットワークシステムは、プリンタ1と、ネットワーク複合機2と、パーソナルコンピュータ(PC)3と、ファイルサーバ4とが、ローカルエリアネットワーク(LAN)5に接続された構成となっている。
【0023】
プリンタ1は、PC3からの印刷の指示に基づいて印刷文書40を出力するネットワークプリンタである。ネットワーク複合機2は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能、およびファクシミリ(FAX)機能などを備える多機能装置である。PC3は、ユーザが使用する端末装置である。ファイルサーバ4は、プリンタ1の指示に基づいて、原本データ32を記憶する。LAN5には、インターネットあるいは他のLANに接続するためのルータ(図示省略)などが設置されている。
【0024】
次に、プリンタ1の構成について説明する。プリンタ1は、制御部11と、プリンタ部12と、通信部13とを備える。
【0025】
制御部11は、データ管理部111と、属性情報作成部112と、コード作成部113と、画像処理部114と、マイクロプロセッサ(図示省略)とを備える。マイクロプロセッサは、プリンタ1の全体制御を行う。
【0026】
プリンタ部12は、PC3から送信された印刷指示に基づいて、印刷文書40を作成する。通信部13は、LAN5に接続されたネットワーク複合機2あるいはPC3との間で、TCP/IPなどのプロトコルを利用してデータの送受信を行う。
【0027】
次に、制御部11が有する各機能部について説明する。データ管理部111は、印刷指示とともに受信した印刷データ31を、原本データ32としてファイルサーバ4に保存し、原本データ32の保存先を示す保存先情報33を作成する。また、データ管理部111は、ラスタデータ送信要求45に基づいて、ファイルサーバ4から原本データ32を取得する。
【0028】
なお、印刷データ31は、PC3にインストールされたプリンタドライバによって、PC3に記憶されたテキストデータなどがPDLデータに変換されたデータである。保存先情報33は、原本データ32を一意に特定できる情報であり、URL(Uniform Resorce Locator)などの形式に基づいて記述される。
【0029】
属性情報作成部112は、印刷データ31をラスタライズする際の諸条件を記録した属性情報34を作成する。コード作成部113は、保存先情報33と属性情報34とを記録した2次元コード35を作成する。画像処理部114は、印刷データ31をラスタライズしたラスタデータ36と、2次元コード35とを合成する。
【0030】
なお、2次元コード35としては、たとえば、QRコード(登録商標)を用いることができる。なお、コード作成部113は、2次元コード35に代えて、1次元コード(バーコード)を作成してもよい。
【0031】
次に、ネットワーク複合機2の構成について説明する。ネットワーク複合機2は、制御部21と、操作部22と、タッチパネル式ディスプレイ23と、スキャナ部24と、プリンタ部25と、FAX部26と、通信部27とを備える。
【0032】
制御部21は、コード処理部211と、ラスタライズ指示部212と、マイクロプロセッサ(図示省略)とを備える。マイクロプロセッサは、ネットワーク複合機2の全体制御を行う。
【0033】
操作部22は、ネットワーク複合機2に対する各種の指示を入力するためのハードウェアキーなどで構成される。タッチパネル式ディスプレイ23は、ネットワーク複合機2に関する情報、および各種の操作メニューを表示する。ユーザは、操作部22およびタッチパネル式ディスプレイ23を利用して、ネットワーク複合機2の各種操作をすることが可能である。
【0034】
スキャナ部24は、オートドキュメントフィーダ(図示省略)にセットされた印刷文書40を読み取り、各ページに対応するスキャン画像データ41、41・・・を出力する。プリンタ部25は、FAX部26が受信した画像データなどを印刷する。
【0035】
FAX部26は、公衆回線網(図示省略)を介してファクシミリ通信を行う。通信部27は、LAN5あるいはインターネットなどに接続された各コンピュータとの間で、TCP/IPなどのプロトコルを利用してデータの送受信を行う。
【0036】
次に、制御部21が有する各機能部について説明する。コード処理部211は、スキャン画像データ41から2次元コード35を抽出し、2次元コード35に記録された各種の情報を取得する。
【0037】
ラスタライズ指示部212は、印刷文書40の作成元のプリンタを特定する。ラスタライズ指示部212は、印刷文書40に対応するデータの送信を要求するラスタデータ送信要求45を作成して、印刷文書40の作成元に送信する。
【0038】
以下、図1に示すプリンタ1およびネットワーク複合機2の動作について説明する。なお、以下の説明において、印刷データ31が単一のページで構成されていると仮定する。
【0039】
最初に、印刷データ31の印刷処理におけるプリンタ1の動作について説明する。図2は、印刷処理におけるプリンタ1の動作の流れを示すフローチャートである。なお、ネットワーク複合機2は、印刷データ31の印刷処理に関与しない。
【0040】
まず、ユーザは、PC3を操作して、PC3に記憶されているテキストデータの印刷をPC3に指示する。PC3のプリンタドライバは、テキストデータをPDLデータに変換して、印刷データ31を作成する。印刷データ31は、印刷の指示とともにLAN5を介してPC3からプリンタ1に送信される。
【0041】
プリンタ1の制御部11は、通信部13を介して印刷の指示および印刷データ31を受信することにより(ステップS11においてYes)、印刷データ31の印刷処理を開始する。具体的には、データ管理部111は、印刷データ31を原本データ32としてファイルサーバ4に保存し、原本データ32の保存先を示す保存先情報33を作成する(ステップS12)。保存先情報33は、コード作成部113に渡される。
【0042】
次に、属性情報作成部112は、印刷データ31をラスタライズする際の諸条件を記録した属性情報34を作成する(ステップS13)。属性情報34は、コード作成部113に渡される。
【0043】
属性情報34には、種別情報、作成元情報、使用フォント情報などが含まれる。種別情報は、原本データ32のフォーマットを示す情報である。原本データ32がPDLデータである場合、使用している言語名(PostScriptなど)が種別情報として記録される。原本データ32がラスタデータである場合、ラスタデータである旨の表示(tiffなどの画像フォーマット名など)が種別情報として記録される。作成元情報は、印刷文書40の作成元を示す情報であり、プリンタ1のIPアドレス、名前、機種名などが記録される。使用フォント情報は、印刷データ31をラスタライズする際に、実際に使用したフォントの種類などが記録された情報である。
【0044】
次に、コード作成部113は、保存先情報33と属性情報34とを記録した2次元コード35を作成する(ステップS14)。画像処理部114は、属性情報34に基づいて印刷データ31をラスタライズして(ステップS15)、ラスタデータ36を作成する。2次元コード35と、ラスタデータ36とが合成される(ステップS16)ことによって、合成ラスタデータ37が作成される。
【0045】
図3は、合成ラスタデータ37の一例を示す図である。図3に示すように、合成ラスタデータ37において、2次元コード35とラスタデータ36とが、互いに重ならない位置に配置されている。なお、印刷用紙のサイズによっては、ラスタデータ36の余白に2次元コード35を配置できない場合がある。この場合、画像処理部114は、ラスタデータ36を縮小し、2次元コード35と、縮小したラスタデータ36とを合成すればよい。
【0046】
プリンタ部12は、画像処理部114が作成した合成ラスタデータ37を印刷して(ステップS17)、印刷文書40を出力する。これにより、印刷文書40には、印刷文書40の作成条件を示す属性情報34と、印刷文書40に対応する原本データ32の保存先を示す保存先情報33とが、2次元コード35の形で印刷される。
【0047】
なお、ステップS12において、データ管理部111は、ラスタデータ36を原本データ32としてファイルサーバ4に保存してもよい。この場合、ステップS12の処理のうち、原本データ32の保存がステップS15の処理の後に行われる。また、ステップS13において、属性情報34には、種別情報と、作成元情報とが記録される。
【0048】
次に、ネットワーク複合機2が印刷文書40と同一の文書を作成する際の、プリンタ1およびネットワーク複合機2の動作について説明する。なお、印刷文書40と同一の文書を、便宜的にコピー文書50と呼ぶ。コピー文書50の作成には、ネットワーク複合機2だけではなく、プリンタ1も関与する。
【0049】
最初に、コピー文書50の作成処理におけるネットワーク複合機2の動作について説明する。図4は、コピー文書50の作成処理におけるネットワーク複合機2の動作の流れを示すフローチャートである。
【0050】
まず、ユーザが、スキャナ部24のオートドキュメントフィーダ(図示省略)に、印刷文書40をセットする。ユーザは、操作部22またはタッチパネル式ディスプレイ23を操作して、コピー文書50の作成に関する設定を行う。
【0051】
ユーザは、上述の設定後、操作部22またはタッチパネル式ディスプレイ23を操作してスキャン開始の指示を入力する。スキャナ部24は、スキャン開始の指示に基づいて(ステップS21においてYes)、印刷文書40を読み取り、スキャン画像データ41を作成する(ステップS22)。
【0052】
コード処理部211は、スキャン画像データ41から2次元コード35を抽出する(ステップS23)。コード処理部211は、2次元コード35を解析し、2次元コード35に記録された保存先情報43および属性情報44を取得する(ステップS24)。なお、保存先情報33と保存先情報43とは同一のデータであり、属性情報34と属性情報44とは、同一のデータである。コード処理部211が取得した保存先情報43および属性情報44は、ラスタライズ指示部212に渡される。
【0053】
ラスタライズ指示部212は、属性情報44に含まれる作成元情報に基づいて、印刷文書40を作成したプリンタとして、プリンタ1を特定する(ステップS25)。ラスタライズ指示部212は、ラスタデータ送信要求45を作成し、プリンタ1にラスタデータ送信要求45を送信する(ステップS26)。ラスタデータ送信要求45には、保存先情報43と、属性情報44とが含まれている。
【0054】
ラスタライズ指示部212は、プリンタ1からラスタデータ送信応答46を受信した場合(ステップS27においてYes)、ラスタデータ送信応答46に含まれる合成ラスタデータ47の印刷をプリンタ部25に指示する。プリンタ部25は、合成ラスタデータ47を印刷して(ステップS28)、コピー文書50として出力する。
【0055】
次に、ラスタデータ送信要求45を受信したプリンタ1の動作について説明する。図5は、ラスタデータ送信要求45に対する応答処理におけるプリンタ1の動作の流れを示すフローチャートである。
【0056】
プリンタ1の制御部11は、通信部13を介してラスタデータ送信要求45を受信することにより、図5に示す処理を開始する。データ管理部111は、ラスタデータ送信要求45から保存先情報43および属性情報44を取り出す。データ管理部111は、保存先情報43に基づいてファイルサーバ4から原本データ32を取得する(ステップS31)。コード作成部113は、保存先情報43および属性情報44から2次元コード35を作成する(ステップS32)。
【0057】
画像処理部114は、属性情報44の種別情報を参照して、原本データ32がPDLデータであるか、ラスタデータ36であるかを判定する(ステップS33)。原本データ32がラスタデータ36である場合(ステップS33においてNo)、画像処理部114は、ステップS35に進む。一方、原本データ32がPDLデータである場合(ステップS33においてYes)、画像処理部114は、属性情報44に基づいて、原本データ32をラスタライズし(ステップS34)、ラスタデータ36を作成する。
【0058】
画像処理部114は、ラスタデータ36と、2次元コード35とから合成ラスタデータ47を作成する(ステップS35)。合成ラスタデータ47は、図3に示す合成ラスタデータ37と同一のデータとなる。データ管理部111は、合成ラスタデータ47をラスタデータ送信応答46として、ネットワーク複合機2に送信する(ステップS36)。つまり、プリンタ1は、ラスタデータ送信要求45の応答処理として、図2に示すステップS14〜S17と同様の処理を行う。
【0059】
以上説明したように、本実施の形態に係るネットワーク複合機2は、コピー文書50を作成する際に、印刷文書40に印刷されている合成ラスタデータ37と同一の合成ラスタデータ47をプリンタ1に作成させる。これにより、ユーザは、印刷文書40を作成したプリンタ1と異なるネットワーク複合機2を用いて、印刷文書40と同一の文書であるコピー文書50を容易に作成することができる。
【0060】
また、プリンタ1は、印刷文書40に印刷される2次元コード35に、印刷文書40に対応する原本データ32の保存先情報33と、ラスタデータ36を作成する際の諸条件を記録した属性情報34を記録する。これにより、プリンタ1は、印刷文書40に印刷されている合成ラスタデータ37と同一の合成ラスタデータ47を容易に作成することができる。
【0061】
{第2の実施の形態}
以下、図面を参照しつつ本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態では、本発明に係る画像形成装置の一例として、プリンタおよびネットワーク複合機について説明する。
【0062】
図6は、プリンタ6の構成およびネットワーク複合機7の構成を含むネットワークシステムの構成図である。図6において、図1に示す構成要素と同一の構成要素には、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0063】
本実施の形態と第1の実施の形態との主な相違点は、図6に示すように、属性情報34が原本データ32と対応付けられた状態でファイルサーバ4に保存される点である。この結果、印刷データ31の印刷処理において、2次元コード35には、保存先情報33のみが記録される。また、コピー文書50の作成処理において、ネットワーク複合機7は、属性情報34をファイルサーバ4から取得する。
【0064】
以下、第1の実施の形態に係るプリンタ1およびネットワーク複合機2と異なる点を中心に、本実施の形態に係るプリンタ6およびネットワーク複合機7について説明する。
【0065】
まず、プリンタ6の構成およびネットワーク複合機7の構成について説明する。プリンタ6の制御部11は、データ管理部111およびコード作成部113に代えて、データ管理部611およびコード作成部613を備える。ネットワーク複合機7の制御部21は、コード処理部211およびラスタライズ指示部212に代えて、コード処理部711およびラスタライズ指示部712を備える。
【0066】
次に、印刷データ31の印刷処理におけるプリンタ6の動作について、図2に示す処理と異なる点を中心に説明する。まず、プリンタ6は、ステップS11〜S13に示す処理を行う。ステップS13に示す処理の後で、属性情報作成部112は、属性情報34をデータ管理部611に渡す。データ管理部611は、属性情報34と原本データ32とを対応付けて、ファイルサーバ4に保存する。
【0067】
コード作成部613は、ステップS14に示す処理に代えて、保存先情報33を記録した2次元コード35を作成する。その後、プリンタ6は、ステップS15〜S17に示す処理を実行し、印刷文書40を出力する。このように、本実施の形態で作成される印刷文書40には、保存先情報33のみが記録された2次元コード35が印刷される。
【0068】
次に、コピー文書50の作成処理におけるネットワーク複合機7の動作について説明する。なお、コピー文書50の作成処理において、プリンタ6の動作は、図5に示す処理を行うため、その説明を省略する。
【0069】
まず、ネットワーク複合機7は、ステップS21〜ステップS23に示す処理を行う。その後、コード処理部711およびラスタライズ指示部712は、ステップS24〜26に示す処理に代えて、以下の処理を行う。
【0070】
コード処理部711は、スキャン画像データ41から2次元コード35を抽出し、2次元コード35から保存先情報43を取得する。ラスタライズ指示部712は、保存先情報43に基づいて、ファイルサーバ4から属性情報34を属性情報44として取得する。
【0071】
ラスタライズ指示部712は、取得した属性情報44に基づいて、印刷文書40を作成したプリンタが、プリンタ6であると特定する。ラスタライズ指示部712は、保存先情報43と属性情報44とを含むラスタデータ送信要求45を、プリンタ6に送信する。その後、ネットワーク複合機7は、ステップS27、28に示す処理を行い、コピー文書50を作成する。
【0072】
以上説明したように、本実施の形態に係るネットワーク複合機7は、ネットワーク複合機2と同様に、印刷文書40に印刷されている合成ラスタデータ37と同一の合成ラスタデータ47を、プリンタ6に作成させる。これにより、ユーザは、印刷文書40を作成したプリンタ6と異なるネットワーク複合機7を用いて、印刷文書40と同一の文書であるコピー文書50を容易に作成することができる。
【0073】
また、プリンタ6は、属性情報34を原本データ32とともにファイルサーバ4に保存する。これにより、属性情報34に記録されるデータの量が、2次元コード35に記録可能なデータ量に制限されることがないため、プリンタ1と比較して多くの情報を属性情報34に記録することができる。
【0074】
なお、本実施の形態におけるコピー文書50の作成処理において、ラスタライズ指示部712がファイルサーバ4から属性情報34を属性情報44として取得する例を説明したが、これに限られない。たとえば、ラスタライズ指示部712は、ファイルサーバ4に保存された属性情報34のうち、作成元情報のみを取得してもよい。この場合、保存先情報43と、作成元情報とを有するラスタデータ送信要求45が作成される。プリンタ6のデータ管理部611は、ラスタデータ送信要求45を受信後、保存先情報43に基づいて、原本データ32と属性情報34の種別情報および使用フォント情報とを取得する。
【0075】
なお、上記実施の形態において、プリンタ1、6が印刷文書40を作成する例について説明したが、これに限られない。たとえば、ネットワーク複合機2、7が印刷文書40を作成してもよい。この場合、ネットワーク複合機2の制御部21は、データ管理部111と、属性情報作成部112と、コード作成部113と、画像処理部114とを備える。また、ネットワーク複合機7の制御部21は、データ管理部611と、属性情報作成部112と、コード作成部613と、画像処理部114とを備える。
【0076】
また、上記実施の形態において、コピー文書50に2次元コード35が印刷される例について説明したが、これに限られない。たとえば、コピー文書50に2次元コード35を印刷しなくてもよい。この場合、プリンタ1、6は、ステップS35に示す処理を省略し、ラスタデータ36をラスタデータ送信応答46としてネットワーク複合機2、7に送信すればよい。
【0077】
また、上記実施の形態において、印刷データ31が単一のページで構成されている例について説明したが、これに限られない。印刷データ31は、複数のページで構成されていてもよい。この場合、プリンタ1、6は、印刷文書40の先頭ページのみに2次元コード35を印刷してもよい。あるいは、プリンタ1、6は、印刷文書40の全てのページに2次元コード35を印刷してもよい。これにより、ネットワーク複合機2、7は、印刷文書40の全てのページを読み込むことなく、コピー文書50を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るプリンタの構成とネットワーク複合機の構成とを含むネットワークシステムの構成図である。
【図2】印刷処理時におけるプリンタの動作を示すフローチャートである。
【図3】合成ラスタデータの一例を示す図である。
【図4】コピー処理におけるネットワーク複合機の動作を示すフローチャートである。
【図5】ラスタデータ送信要求を受信した際のプリンタの動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係るプリンタの構成とネットワーク複合機の構成とを含むネットワークシステムの構成図である。
【符号の説明】
【0079】
1、6 プリンタ
2、7 ネットワーク複合機
3 PC(パーソナルコンピュータ)
4 ファイルサーバ
11、21 制御部
12、25 プリンタ部
22 操作部
23 タッチパネル式ディスプレイ
24 スキャナ部
111、611 データ管理部
112 属性情報作成部
113、613 コード作成部
114 画像処理部
211、711 コード処理部
212、712 ラスタライズ指示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続された画像形成装置であって、
印刷する印刷データを記憶部に記憶し、前記記憶部に記憶された前記印刷データを識別するための識別情報を作成するデータ管理部と、
自装置を特定するための作成元情報を作成する作成元情報作成部と、
前記印刷データをラスタライズし、ラスタライズされた前記印刷データと、前記識別情報と、前記作成元情報とを含む作成元情報付きラスタデータを作成するラスタデータ作成部と、
前記作成元情報付きラスタデータを記録用紙に印刷する印刷部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、さらに、
前記作成元情報付きラスタデータを作成するための設定情報を作成する設定情報作成部、
を備え、
前記作成元情報付きラスタデータには、前記設定情報が含まれることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
ネットワークに接続された画像形成装置であって、
印刷する印刷データを記憶部に記憶し、前記記憶部に記憶された前記印刷データを識別するための識別情報を作成するデータ管理部と、
自装置を特定するための作成元情報を作成し、前記識別情報と対応付けて前記記憶部に記憶する作成元情報作成部と、
前記印刷データをラスタライズし、ラスタライズされた前記印刷データと、前記識別情報とを含む識別情報付きラスタデータを作成するラスタデータ処理部と、
前記識別情報付きラスタデータを記録用紙に印刷する印刷部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置において、さらに、
前記識別情報と対応付けられた、前記識別情報付きラスタデータを作成するための設定情報を作成し、前記設定情報を前記記憶部に記憶する設定情報作成部、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項2または請求項4に記載の画像形成装置において、さらに、
前記ネットワークを介して接続する通信装置から前記識別情報を受信し、受信した識別情報に基づいて、前記記憶部に記憶された前記印刷データを原本データとして取得する原本データ取得部と、
前記識別情報に対応する前記設定情報を取得する設定情報取得部と、
取得した前記設定情報に基づいて前記原本データをラスタライズし、ラスタライズされた前記原本データを含む複製ラスタデータを作成する複製データ作成部と、
前記複製ラスタデータを前記通信装置に送信する送信部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
印刷装置にネットワークを介して接続する画像形成装置であって、
印刷データと、前記印刷データを識別するための識別情報とが印刷された記録用紙を読み取り、スキャン画像データを作成するスキャナ部と、
前記スキャン画像データから前記識別情報を取得し、前記識別情報に対応付けられた、前記印刷装置を特定するための作成元情報を取得する属性情報取得部と、
取得した前記作成元情報に基づいて前記印刷装置を特定し、取得した前記識別情報を前記印刷装置に送信して、ラスタライズされた前記印刷データを含むラスタデータの作成を前記印刷装置に要求するラスタライズ指示部と、
前記印刷装置が作成した前記ラスタデータを受信し、受信した前記ラスタデータを印刷する印刷部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像形成装置において、
前記属性情報取得部は、
前記識別情報に対応付けられた、前記印刷データをラスタライズ処理するための設定情報を取得する設定情報取得部、
を含み、
前記ラスタライズ指示部は、
前記印刷装置に前記ラスタデータの作成を要求する際に、前記識別情報と前記設定情報とを前記印刷装置に送信する送信部、
を含むことを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−179029(P2009−179029A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−22294(P2008−22294)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】