説明

画像形成装置

【課題】ベルト状回転体への用紙の巻きつき、またベルト状回転体から中途半端な用紙分離等の、用紙の種々の分離不良を簡単な構成で検知する画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置1は、トナー像が形成される感光体11の動作と同期して回転する中間転写ベルト17と、この中間転写ベルト17の表面に一時的に密着する用紙Pがその表面から分離可能である2次転写部Sとを有する。この2次転写部Sから送り出された用紙Pまでの距離Lを検知する距離検知部66と、この距離検知部66の距離情報に基づいて、用紙Pの2次転写部Sからの分離の良否を判定する制御部74とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に関し、特に、中間転写体及び用紙搬送体等のベルト状回転体を有する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置においては、感光体等の像形成体と同期して回転するベルト形態またはドラム形態の用紙搬送体に用紙を静電的に吸着させて搬送し、像形成体から用紙へのトナー像の転写を行った後、その転写後の用紙を用紙搬送体から分離して定着装置へ送るタイプの画像形成装置があった、また、像形成体と同期して回転するベルト形態またはドラム形態の中間転写体に像形成体上のトナー像を1次転写して、中間転写体に転写されたトナー像が、その中間転写体に一時的に密着させるように給送する用紙に2次転写部で転写されると、その用紙を中間転写体から分離して定着装置へ送るタイプの画像形成装置があった。これらの画像形成装置では、転写後の用紙が用紙搬送体や中間転写体(これらを総称してベルト状回転体とする)から分離されず、ベルト状回転体に巻きつく、または、その搬送異常により紙詰まり現象(ジャム)が発生することがあるため、このジャムの発生を検知する目的で、ベルト状回転体の分離部で分離されずベルト状回転体に付着している用紙の有無を検知する用紙検知手段を設置したものがある。
【0003】
例えば、特許文献1では、ジャムセンサが、定着装置の用紙搬入側に配設され、中間転写体から定着装置の用紙搬入側に搬送される用紙の通過を検知して、また、分離ミス検知センサが、中間転写体の表面に近接して配設され、2次転写後に中間転写体の表面から剥離(分離)されず付着したままの状態にある用紙の有無を検知している。分離ミス検知センサは、中間転写体表面に発光素子からの光を照射して、中間転写体表面からの反射光を受光素子で受光する反射型センサであり、分離ミス検知センサの出力値の変化により、付着した用紙の存在を検知している。ジャムセンサが所定の経過時間内に用紙の通過を検知しないときには、「ジャムが発生した」と判別し、また、分離ミス検知センサが中間転写体上に付着する用紙の存在を検知した場合には、「分離ミスが発生した」と判別し、装置全体を直ちに停止状態にする制御を行うように設定されている。
【0004】
しかしながら、上述した従来技術では、分離ミス検知センサにより、中間転写体上に付着したままの状態にある用紙の有無を検知することはできるが、中間転写体から分離しているが、定着装置の用紙搬入側に向かわない中途半端に分離した用紙を検知することはできない。このような用紙は、中間転写体に残存するトナーを除去するクリーニング部材等の、用紙の分離部より用紙搬送の下流側に配置された部材やユニットに衝突し、またこれらの部材やユニットに擦られたりして、用紙の画像が乱れるおそれがある。また、中途半端に分離した用紙が定着装置に突っ込むと、用紙がシワになり、またそのシワによってジャムが発生するおそれがあるという不都合があった。また、シワの寄った用紙が定着装置に突入しても、定着装置の用紙搬入側に配置したジャムセンサでは、ジャム発生を検知することができないという不都合があった。
【特許文献1】特開平11−59962号公報(段落[0027]、[0028]、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、ベルト状回転体への用紙の巻きつき、またベルト状回転体から中途半端な用紙分離等の、用紙の種々の分離不良を簡単な構成で検知する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は、画像が形成される像形成体の動作と同期して回転するベルト状回転体と、前記ベルト状回転体の表面に一時的に密着する用紙がその表面から分離可能である分離部とを有する画像形成装置において、前記分離部から送り出された用紙までの距離を検知する距離検知部と、前記距離検知部の距離情報に基づいて、用紙の前記分離部からの分離の良否を判定する制御部とを備えることを特徴としている。
【0007】
この構成によれば、制御部は、分離部から送り出される用紙までの距離情報に基づいて、分離部におけるベルト状回転体への用紙の巻きつきだけでなく、ベルト状回転体から中途半端に分離した状態の用紙も検知して、分離不良を判定する。
【0008】
また、請求項2に記載の発明では、前記距離検知部は、用紙に対して光を投射する投光器と、用紙からの反射光を受光する受光器とを有し、前記受光器における反射光の受光位置に基づいて用紙までの距離を検知することを特徴としている。
【0009】
また、請求項3に記載の発明では、前記距離検知部は、前記分離部の近傍に配置されることを特徴としている。この構成によれば、用紙が分離部から送り出されると、直ぐに用紙の搬送状態を検知する。
【0010】
また、請求項4に記載の発明では、前記像形成体上に形成したトナー像を、前記像形成体と回転する中間転写ベルトとの間の1次転写部にて前記中間転写ベルト上に1次転写し、その後、前記中間転写ベルト上のトナー像を、2次転写部にて用紙上に2次転写する画像形成装置において、前記中間転写ベルトが前記ベルト状回転体であり、前記2次転写部が前記分離部であることを特徴としている。この構成によれば、2次転写部から送り出される用紙までの距離情報に基づいて、制御部は、分離部における中間転写ベルトへの用紙の巻きつきだけでなく、中間転写ベルトから中途半端に分離した状態の用紙も検知して、分離不良を判定する。
【0011】
また、請求項5に記載の発明では、前記制御部は、前記距離情報が所定の距離を越えていると、前記中間転写ベルトの回転を停止させることを特徴としている。この構成によれば、制御部は、分離部で中間転写ベルトに巻きついた用紙だけでなく、分離部から次工程への用紙搬送路の近傍に配設した部材やユニットに衝突、または擦れるおそれのある用紙を検知して、その検知結果に基づいて、中間転写ベルトの回転を停止させる。
【0012】
また、請求項6に記載の発明では、2次転写後の前記中間転写ベルト表面に残留するトナーを除去するベルトクリーニング部が、前記2次転写部の近傍に配置され、前記距離検知部は、前記2次転写部と前記ベルトクリーニング部との間に配置されることを特徴としている。この構成によれば、用紙がベルトクリーニング部に衝突、または擦れる前に、用紙の位置が検知される。
【0013】
また、請求項7に記載の発明では、前記距離検知部は、前記2次転写部と前記ベルトクリーニング部とのなす平面に対して垂直になるように配設されることを特徴としている。この構成によれば、ベルトクリーニング部に衝突、または擦れる可能性がある用紙に対して、距離検知部が垂直方向を向けて距離を検知する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、制御部は、分離部から送り出される用紙までの距離情報に基づいて、分離部におけるベルト状回転体への用紙の巻きつきだけでなく、ベルト状回転体から中途半端に分離した状態の用紙も検知して、用紙の分離部での種々の分離不良を簡単に判定することができる。
【0015】
また、請求項2に記載の発明によれば、用紙までの距離を精度良く検知することができる。
【0016】
また、請求項3に記載の発明によれば、用紙が分離部から送り出されると、直ぐに用紙の搬送異常を検知することができるので、除去作業の困難な位置まで用紙が送り込まれるおそれがなく、ジャム処理を簡単に行うことができる。
【0017】
また、請求項4に記載の発明によれば、2次転写部から送り出される用紙までの距離情報に基づいて、制御部は、分離部における中間転写ベルトへの用紙の巻きつきだけでなく、中間転写ベルトから中途半端に分離した状態の用紙も検知して、用紙の2次転写部での種々の分離不良を簡単に判定することができる。
【0018】
また、請求項5に記載の発明によれば、距離情報が所定の距離を越えていると、制御部は、分離部で中間転写ベルトに巻きついた用紙だけでなく、分離部から次工程への用紙搬送路の近傍に配設された部材やユニットに衝突、または擦れるおそれのある用紙を検知して、その検知結果に基づいて、中間転写ベルトの回転を停止させるので、種々のジャムに対応することができ、また、用紙搬送路の近傍に配設された部材やユニットに用紙が衝突や擦れる等を避けるためのスペースを減らすことができて、装置を小型にすることができる。
【0019】
また、請求項6に記載の発明によれば、用紙がベルトクリーニング部に衝突、または擦れる前に、用紙の位置が検知されるので、ジャム処理を簡単に行うことができる。
【0020】
また、請求項7に記載の発明によれば、ベルトクリーニング部に衝突、または擦れる可能性がある用紙に対して、距離検知部が垂直方向を向けて距離を検知するので、一層正確に距離を検知することになり、用紙がベルトクリーニング部に衝突、または擦れる否やの判定の精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は、この実施形態に限定されない。本発明の実施形態は発明の最も好ましい形態を示すものであり、また発明の用途やここで示す用語等はこれに限定されるものではない。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の内部構成を概略的に示す断面正面図である。画像形成装置1はタンデム型のカラープリンタであり、回転自在である像形成体としての感光体11a〜11dは、感光層を形成する感光材料として、有機感光体(OPC感光体)が用いられ、ブラック(B)、イエロー(Y)、シアン(C)及びマゼンタ(M)の各色に対応させて配される。感光層はアモルファスシリコンでもよい。各感光体11a〜11dの周囲に、現像装置2a〜2d、露光ユニット(図略)、帯電器14a〜14dが配設される。
【0023】
現像装置2a〜2dは、感光体11a〜11dの左方に対向して配置され、感光体11a〜11dにトナーを供給する。帯電器14a〜14dは、現像装置2a〜2dの感光体回転方向上流側であって感光体11a〜11dの表面に対向して配置され、感光体11a〜11d表面を一様に帯電させ、また、除電器(図略)は、感光体11a〜11d表面に現像後に残った電荷を除電する。
【0024】
パーソナルコンピュータ等から画像入力部(図略)に入力された文字や絵柄などの画像データに基づいて、露光ユニットにより、各感光体11a〜11dの表面にレーザ光が照射され、照射されたレーザ光により、各感光体11a〜11d表面には静電潜像が形成される。この静電潜像が各現像装置2a〜2dによりトナー像に現像される。
【0025】
中間転写ベルト17は、テンションローラ6、駆動ローラ25及び従動ローラ27に張架されている。この中間転写ベルト17に接触するように各感光体11a〜11dが中間転写ベルト17の上方で搬送方向(図1の矢印方向)に沿って上流側から隣り合うように対向して配列されている。各1次転写ローラ26a〜26dは、中間転写ベルト17を挟んで各感光体11a〜11dと対向して中間転写ベルト17に接触するよう配置され、図1における上下方向に移動可能であって、必要に応じて中間転写ベルト17を介して各感光体11a〜11dに圧接して1次転写ニップ部を形成し、また離間する。この1次転写ニップ部において、各感光体11a〜11dで形成されたトナー像が中間転写ベルト17表面に転写される。そして、中間転写ベルト17の回転とともに所定のタイミングで各感光体11a〜11dのトナー像が中間転写ベルト17に順次転写されることにより、中間転写ベルト17表面にはシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のトナー像が重ね合わされたフルカラートナー像が形成される。
【0026】
2次転写ローラ34は、中間転写ベルト17を挟んで駆動ローラ25と対向し、中間転写ベルト17に圧接して2次転写部Sを形成して、この2次転写部Sにおいて、中間転写ベルト17表面のトナー像を用紙Pに転写する。
【0027】
画像形成装置1内の下方には、用紙Pを収納する給紙カセット32が配設される。給紙カセット32は、装置の外部(図1において手前側)に引き出すことにより用紙の補充を可能にしたもので、収納されている用紙Pがピックアップローラ及び捌きローラ33aにより1枚ずつ2次転写部Sに向けて繰り出される。
【0028】
レジストローラ33cは、中間転写ベルト17における画像形成動作と給紙動作とのタイミングを取って、用紙Pを2次転写部Sに搬送する。2次転写部Sに搬送された用紙Pは、トナーの帯電極性と逆極性バイアス電位が印加された2次転写ローラ34によって、中間転写ベルト17上のフルカラーのトナー像を2次転写されて、定着装置18に搬送される。
【0029】
定着装置18は、2次転写部Sの用紙搬送方向下流側に配置され、ヒータにより加熱された定着ローラ53と、定着ローラ53に圧接して配設された加圧ローラ54とを備えて、トナー像が転写された用紙Pを加熱及び加圧することにより定着処理を行う。用紙Pは、定着装置18で定着された後、排出ローラにより装置外に排出される。
【0030】
図2は、本発明の実施形態に係る距離検知部の配置及び用紙までの距離検知状態を示す断面正面図である。
【0031】
図2に示すように、中間転写ベルト17の周囲には、駆動ローラ25に圧接して従動回転する2次転写ローラ34が配設されるとともに、ベルトクリーニング部31と、搬送ガイド65及び距離検知部66が配設されている。駆動ローラ25は直径が略30mm以下の比較的直径の小さいローラが用いられる。また中間転写ベルト17の軌道は、駆動ローラ25と2次転写ローラ34のニップの接線方向に対して45度以上の角度で設定される。このような構成により、2次転写部Sから送り出された用紙Pは、用紙の剛性などにより中間転写ベルト17から分離する。
【0032】
ベルトクリーニング部31は、転写後に中間転写ベルト17に残存するトナーを清掃するものであり、中間転写ベルト17回転方向において、2次転写部Sの下流側の直近に配される。このベルトクリーニング部31は、その筐体に支持されるクリーニングブラシ31aと排出スクリュー31bとを備える。中間転写ベルト17表面のクリーニングが開始されると、クリーニングブラシ31aは、トナーの帯電電荷とは逆極性のクリーニングバイアスが印加されるとともに、中間転写ベルト17表面に接触する。これにより、中間転写ベルト17表面の残留トナーは、中間転写ベルト17からクリーニングブラシ31aに向かって移動して、排出スクリュー31bで回収される。
【0033】
搬送ガイド65は、転写された用紙Pを2次転写部Sから定着装置18に向けて搬送案内するものであり、2次転写部Sと定着装置18との間で、2次転写部Sの左下方に配設され、用紙搬送に沿うように定着装置18側に下降した斜面を形成した斜面部65aを有する。2次転写部Sから送り出された用紙Pは、斜面部65aで受け止められて、定着装置18の定着前ガイド21から定着ローラ53と加圧ローラ54とのニップ部に向けて案内される。搬送ガイド65の上方には、ベルトクリーニング部31が配設されている。
【0034】
2次転写部Sから送り出される用紙Pの正規の搬送範囲が、図2に示す破線の範囲である。この破線の範囲は、搬送ガイド65の斜面部65aの上端部と2次転写部Sとの交わる下境界線、及びベルトクリーニング部31の筐体下方端部31cと2次転写部Sとの交わる上境界線、これらの2本の境界線で囲まれる領域である。ここで上境界線が図2において水平になるように、ベルトクリーニング部31が配置されている。この領域から外れると、用紙Pは、定着装置18の定着前ガイド21に正常に送り込まれない。特に、上境界線を越えると、用紙Pが2次転写部Sで分離されずに中間転写ベルト17に付着している、または用紙Pが2次転写部Sから分離しているが、ベルトクリーニング部31に衝突している、またはベルトクリーニング部31に擦れることになる。このような用紙Pの分離不良は、用紙がシワになり、またジャムが発生するおそれがある。
【0035】
距離検知部66は、用紙Pが上記の正規搬送範囲にあるや否や判定するために、2次転写部Sから送り出された用紙の位置を検知するものである。そのために、距離検知部66は、用紙Pの正規搬送範囲の下方にて、上境界線を含む平面に対して垂直であって、2次転写部Sとベルトクリーニング部31との間で搬送ガイド65に並べて配設される。距離検知部66が、2次転写部Sから送り出される用紙Pまでの距離を検知して、その検知された距離が下境界線と交わる距離L1と上境界線と交わる距離L2との間にあれば、用紙Pは正規に2次転写部Sから送り出されたことになる。
【0036】
図3に基づいて、距離検知部66を詳細に説明する。図3は、本発明の実施形態に係る距離検知部の概念的な構成を示す側面図である。
【0037】
距離検知部66は、投光器として光源67と投光レンズ68とを備え、受光器としてのPSD(Position Sensitive Detector)素子69と受光レンズ70とを備え、また光源67を駆動するドライバー回路72、及びPSD素子69の反射光信号から距離を算出する演算回路73とを備える。ドライバー回路72と演算回路73は後述する制御部74によって制御される。
【0038】
投光器と受光器は、2次転写ローラ34(図2参照)の軸方向(装置の長手方向)に並設される。投光器では、赤外発光ダイオードからなる光源67が制御部74によってドライバー回路72を介して駆動され、発光した光は、投光レンズ68によって集光され、用紙Pに向かって投射される。そして、受光器では、用紙Pからの反射光が、受光レンズ70で集光され、PSD素子69に入射する。
【0039】
PDS素子69は、用紙Pからの反射光を、その光の強さに比例した電流に変換し、さらに入射位置dに依存した割合で、2つの電流信号I1、I2 に分流する。この出力電流I1 、I2が増幅されて演算回路73に入力され、演算回路73では、出力電流I1 、I2の電流比に基づいて、PDS素子69上での反射光の入射位置dを算出する。さらに演算回路73は、この入射位置dと、投光器と受光器の光学定数に基づいて、用紙Pまでの距離を算出する。
【0040】
つまり、図3に示すように、受光レンズ70から用紙Pまでの距離をL、受光レンズ70の焦点距離をf、受光レンズ70と投光レンズ68との光軸間距離をBとすると、用紙Pまでの距離Lと入射位置dの関係は、
L=B/fd ・・・式(1)
となる。演算回路73は、この式(1)から入射位置dに従って用紙Pの距離Lを算出して、この距離Lの情報を制御部74に出力する。
【0041】
次に、制御部による画像形成装置の要部の制御について図4に基づいて説明する。図4は、制御部を備える画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【0042】
画像形成装置1は、帯電部13と、現像装置2と、感光体11及び中間転写ベルト等の転写部72を含む画像形成部71を備え、また、定着装置18と、感光体11及び転写部72を駆動する駆動手段57と、現像モータ81及び給紙モータ82とを備え、さらに制御部74と、記憶部75及び操作パネル79とを備えて構成されている。
【0043】
記憶部75は、RAM76、ROM77、及び画像メモリ78を備えており、RAM76及びROM77は制御部74の処理プログラムや処理内容等を記憶して、画像メモリ78はパーソナルコンピュータ等から画像入力部に入力された文字や絵柄などの画像データを記憶している。また、ROM77は、2次転写部Sから送り出される用紙Pの正規の搬送範囲を示す距離検知部66の距離L1及びL2を記憶している。
【0044】
操作パネル79は、複数の操作キーからなる操作部と、設定条件や装置の状態等を表示する表示部(いずれも図略)とから構成されており、ユーザが装置の電源のオン・オフや、用紙のサイズ・種類、印刷枚数等の印刷条件等の設定を行う他、画像形成装置1がファクシミリ機能を有する場合には、記憶部75にファクシミリ送信先を登録し、さらに登録された送信先の読み出しや書き換えを行う等の種々の設定にも使用される。
【0045】
現像モータ81は、制御部74からの制御信号に応じて現像装置2内のトナー撹拌スクリューと現像ローラを駆動させる。給紙モータ82は、制御部74からの制御信号に応じて給紙カセット32内の給紙ローラを駆動させる。
【0046】
駆動手段57は、モータ、減速ギア及びクラッチ等を備え、制御部74からの制御信号に応じて、感光体11と、転写部72の駆動ローラ25(図1参照)と、定着装置18のローラ及びレジストローラ33cとを回転駆動させる。レジストローラ33cは、クラッチを介してモータに連結されて、感光体11や転写部72の駆動ローラ25と独立して駆動可能になっていて、制御部74からの制御信号に応じて、2次転写部Sに所定のタイミングで用紙を供給する。
【0047】
制御部74は、マイクロコンピュータ等で構成され、RAM76及びROM77に設定されたプログラムに従って、画像形成部71、給紙カセット32、定着装置18、モータ81、82、及び駆動手段57を全般的に制御する。
【0048】
次に、制御部74による用紙Pの距離判定と、その判定に応じた駆動手段57の駆動制御について、図2、図3とともに図4に基づいて説明する。
【0049】
画像形成動作の開始信号が操作パネル79から制御部74に入力されると、制御部74は、距離検知部66のドライバー回路72を駆動させて、距離検知の可能な状態にし、また駆動手段57を駆動させ、駆動手段57によって、感光体11と、転写部72の駆動ローラ25及び定着装置18が回転駆動する。
【0050】
感光体11に形成された静電潜像が現像装置2によりトナー像に現像され、感光体11のトナー像が中間転写ベルト17に順次転写される。この中間転写ベルト17における転写とタイミングを取って、制御部74が駆動手段57のクラッチを作動させると、レジストローラ33cがモータに連結されて回転し、用紙Pを2次転写部Sに搬送させる。そして、2次転写部Sにおいて、中間転写ベルト17表面のトナー像を転写された用紙Pは、2次転写部Sから定着装置18に向けて送り出される。
【0051】
距離検知部66は、レジストローラ33cの回転駆動から所定時間経過後に、距離検知部66の上方を通過する用紙Pまでの距離Lを検知して、その距離信号を制御部74に出力する。制御部74は、距離検知部66から入力される距離信号と、ROM77に記憶した正規搬送範囲を示す距離L1及びL2とを比較する。その比較の結果から、距離信号が距離L1以上であって、L2以下であるなら、制御部74は、用紙Pが2次転写部Sから正規に送り出されたと判定し、駆動手段57を継続して駆動させ、用紙Pは、定着装置18に搬送されて、定着装置18によって定着処理が行われる。一方、その比較の結果から、距離信号が距離L1以上でないなら、制御部74は、用紙Pが2次転写部Sから正規に送り出されていないものと判定し、駆動手段57を停止して、操作パネル79の表示部にジャム表示を行い、ジャム処理を促す。また、その比較の結果から、距離信号が距離L2以下でないなら、制御部74は、用紙Pが中間転写ベルト17上に付着した状態にあるか、ベルトクリーニング部31に衝突、または擦れた状態にあり、2次転写部Sから正規に送り出されていないものと判定し、駆動手段57を停止して、操作パネル79の表示部にジャム表示を行い、ジャム処理を促す。
【0052】
上記実施形態によると、画像形成装置1は、トナー像が形成される感光体11の動作と同期して回転する中間転写ベルト17と、この中間転写ベルト17の表面に一時的に密着する用紙Pがその表面から分離可能である2次転写部(分離部)Sとを有する。この2次転写部Sから送り出された用紙Pまでの距離Lを検知する距離検知部66と、この距離検知部66の距離情報に基づいて、用紙Pの2次転写部Sからの分離の良否を判定する制御部74とを備えることによって、2次転写部Sから送り出された用紙Pの中間転写ベルト17への巻きつきだけでなく、中間転写ベルト17から中途半端な分離も検知して、用紙Pの2次転写部Sでの種々の分離不良を簡単に判定することができる。
【0053】
また、上記実施形態によると、制御部74は、距離検知部66から入力される距離情報が所定の距離L2を越えていると、中間転写ベルト17の回転を停止させることによって、2次転写部Sで中間転写ベルト17に巻きついた用紙Pだけでなく、ベルトクリーニング部31等の2次転写部Sと定着装置18との用紙搬送路の近傍に設けられた部材やユニットに衝突、または擦れた用紙Pを検知するので、種々のジャムに対応することができる。また、用紙搬送路の近傍に配設された部材やユニットに用紙が衝突や擦れる等を避けるためのスペースを減らすことができて、装置を小型にすることができる。
【0054】
また、上記実施形態によると、距離検知部66は、用紙Pに対して光を投射する投光器と、用紙Pからの反射光を受光する受光器とを有し、受光器における反射光の受光位置に基づいて用紙Pまでの距離を検知することによって、用紙Pまでの距離を精度良く検知することができる。
【0055】
また、上記実施形態によると、距離検知部66は、2次転写部Sの近傍に配置されることによって、用紙Pが2次転写部Sから送り出されると、直ぐに用紙Pの搬送異常を検知することができるので、除去作業の困難な位置まで用紙が送り込まれるおそれがなく、ジャム処理を簡単に行うことができる。
【0056】
また、上記実施形態によると、距離検知部66は、2次転写部Sとベルトクリーニング部31の筐体下方端部31cとのなす平面に対して垂直になるように配設されることことによって、筐体下方端部31cに衝突、または擦れる可能性がある用紙Pに対して、距離検知部66が垂直方向を向けて距離を検知するので、一層正確に距離を検知することになり、用紙Pが筐体下方端部31cに衝突、または擦れる否やの判定の精度を向上させることができる。
【0057】
尚、上記実施形態では、感光体11との間の1次転写部にて中間転写ベルト17上に1次転写し、その中間転写ベルト17上のトナー像を、2次転写部Sにて用紙P上に2次転写して、2次転写部Sから用紙Pを送り出す構成に適用した例を示したが、本発明はこれに限らず、感光体11と同期して回転するベルト形態またはドラム形態の用紙搬送体に用紙Pを静電的に吸着させて搬送し、感光体11から用紙Pへのトナー像の転写を行った後、その転写後の用紙を用紙搬送体から送り出す構成に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に利用することができ、特に、中間転写体及び用紙搬送体等のベルト状回転体を有する画像形成装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す断面正面図である。
【図2】は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の距離検知部の配置及び用紙までの距離検知状態を示す要部の断面正面図である。
【図3】は、本発明の実施形態に係る距離検知部の概念的な構成を示す側面図である。
【図4】は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0060】
1 画像形成装置
2a〜2d 現像装置
11a〜11d 感光体
17 中間転写ベルト(ベルト状回転体)
18 定着装置
21 定着前ガイド
25 駆動ローラ
31 ベルトクリーニング部
34 2次転写ローラ
57 駆動手段
65 搬送ガイド
66 距離検知部
67 光源(投光器)
68 投光レンズ(投光器)
69 PSD素子(受光器)
70 受光レンズ(受光器)
71 画像形成部
72 ドライバー回路
73 演算回路
74 制御部
P 用紙
S 2次転写部(分離部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像が形成される像形成体の動作と同期して回転するベルト状回転体と、前記ベルト状回転体の表面に一時的に密着する用紙がその表面から分離可能である分離部とを有する画像形成装置において、
前記分離部から送り出された用紙までの距離を検知する距離検知部と、前記距離検知部の距離情報に基づいて、用紙の前記分離部からの分離の良否を判定する制御部とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記距離検知部は、用紙に対して光を投射する投光器と、用紙からの反射光を受光する受光器とを有し、前記受光器における反射光の受光位置に基づいて用紙までの距離を検知することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記距離検知部は、前記分離部の近傍に配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記像形成体上に形成したトナー像を、前記像形成体と回転する中間転写ベルトとの間の1次転写部にて前記中間転写ベルト上に1次転写し、その後、前記中間転写ベルト上のトナー像を、2次転写部にて用紙上に2次転写する画像形成装置において、前記中間転写ベルトが前記ベルト状回転体であり、前記2次転写部が前記分離部であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記距離情報が所定の距離を越えていると、前記中間転写ベルトの回転を停止させることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
2次転写後の前記中間転写ベルト表面に残留するトナーを除去するベルトクリーニング部が、前記2次転写部の近傍に配置され、前記距離検知部は、前記2次転写部と前記ベルトクリーニング部材との間に配置されることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記距離検知部は、前記2次転写部と前記ベルトクリーニング部とのなす平面に対して垂直になるように配設されることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−186697(P2009−186697A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−25854(P2008−25854)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】