説明

画像形成装置

【課題】長手方向中心を搬送中心として記録用紙が搬送される定着器の温度の均一化を、効率良くかつ大型化を伴うことなく可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】定着器7の中央部から装置外部に連通する中央通気経路T1と、定着器7の長手方向両端部から装置外部にそれぞれ連通するとともに中央通気経路T1にも連通する端部通気経路T2と、端部通気経路T2から中央通気経路T1へ空気流れを形成する中央部ファン115、端部ファン119と、これらファン115、118を制御する制御部140とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、詳しくは、長手方向中心を搬送中心として搬送される記録用紙上の未定着トナー画像を熱定着させる定着器を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、及びこれらの機能を少なくとも2つ兼ね備えた複合機等に用いられる。このような画像形成装置は、一様に帯電させた感光体ドラムの表面に画像情報に応じて選択的な露光をして潜像を形成し、形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成し、このトナー画像を記録用紙に転写することにより画像形成を行う。そして、この記録用紙は、定着器にて未定着のトナー画像が定着された後に、排紙トレイに排紙される。一般的に、定着器は、ハロゲンヒータ等の発熱源を内蔵した加熱ローラ(定着ローラともいう。)を記録用紙に圧接することにより、未定着トナーを溶融して記録用紙上に固定している。
【0003】
加熱ローラの加熱された表面が記録用紙と圧接することにより、一部の熱が記録用紙を介して放熱される。しかし、加熱ローラは、搬送可能な記録用紙の最大幅以上の長さを長手方向に有している。そのため、長手方向中心を搬送中心として記録用紙が定着器を搬送される画像形成装置においては、幅狭の記録用紙が搬送された場合、記録用紙が圧接されない領域、すなわち両端部の非通紙領域の熱は記録用紙を介して放熱されない。そのため、加熱ローラの両端部は中央部に比べて高温になり、加熱ローラの表面温度に温度むらが生じる。特に、幅狭の記録用紙が連続して搬送された後に幅広の記録用紙が搬送された場合、定着器の両端部の温度が上昇し過ぎるために、良好な定着性が得られず、画質が劣化するという問題がある。加熱炉ローラに内蔵される発熱源としてのハロゲンヒータの配光を長手方向において変化させることも行なわれているが、配光が可変でないため、搬送される記録用紙のサイズ及び枚数等によっては、温度の均一化が不十分であった。
【0004】
そこで、例えば特許文献1には、加熱ローラの端部及び中央部近傍にそれぞれ温度センサを設けた画像形成装置が開示されている。これら温度センサにより検出された温度に基いて加熱ローラに異常高温部分が生じたと判断した場合には、加熱ローラ内の発熱源への電力供給を停止して、加熱ローラがそれ以上高温になることを防止し、加熱ローラが自然冷却されるまで待機していた。
【0005】
また、特許文献2には、加熱ローラの端部及び中央部近傍にそれぞれ温度センサを設けるとともに、これら温度センサにより温度が検出される加熱ローラの表面に冷却風を吹き付ける冷却ファンを配設した画像形成装置が開示されている。そして、温度センサが検出した温度によって、当該温度センサに対応する冷却ファンによる冷却風を調整している。
【特許文献1】特開平9−274408号公報(明細書の段落0004)
【特許文献2】特開平9−274408号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された画像形成装置においては、一旦発熱源への電力供給を停止すると、加熱ローラの温度は低下するが、再起動して発熱源が再発熱するのに時間がかかるととともに過剰な発熱が行なわれるために不経済である不効率であるという問題があった。また、特許文献2に開示された画像形成装置においては、加熱ローラの端部及び中央部近傍のそれぞれの表面に冷却風を吹き付けるように冷却ファンを配設する必要がある。そのため、このような冷却ファンを加熱ローラの表面の近傍に設けることはレイアウトの制約等から装置が大型化するので、小型化の要請に反するという問題があった。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、長手方向中心を搬送中心として記録用紙が搬送される定着器の温度の均一化を、効率良くかつ大型化を伴うことなく可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る画像形成装置は、長手方向中心を搬送中心として搬送される記録用紙上の未定着トナー画像を熱定着させる定着器と、前記定着器の中央部から装置外部に連通する中央通気経路と、前記定着器の長手方向両端部から装置外部にそれぞれ連通するとともに前記中央通気経路にも連通する端部通気経路と、前記端部通気経路から前記中央通気経路へ空気流れを形成する空気流形成手段と、前記空気流形成手段を制御する制御部と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
さらに、本発明に係る画像形成装置は、前記空気流形成手段は、前記中央通気経路に設けられ装置外部へ空気を強制排気する排気ファンであるなることを特徴としている。
【0010】
さらに、本発明に係る画像形成装置は、前記空気流形成手段は、前記端部通気経路にそれぞれ設けられ装置外部から空気を強制吸気する吸気ファンであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る画像形成装置によれば、端部通気経路から中央通気経路へ空気流れを形成する空気流形成手段と、空気流形成手段を制御する制御部とを備えている。そのため、定着器の長手方向両端部から中央部へ向かう空気流れを形成し制御することが可能となる。幅狭の記録用紙が連続して搬送される場合等、定着器の両端部の温度が上昇し過ぎるおそれがある場合に、定着器の長手方向両端部から中央部へ向かう空気流れを形成することができる。よって、温度が上昇した両端部の温度を低下させるとともに中央部の温度を上昇させることにより、両端部の異常高温を事前に防止し、定着器の温度の均一化を図ることができ、画質の劣化を防止することが可能となる。また、中央部の温度が上昇することにより、幅狭の記録用紙が連続して搬送される場合においても、定着器の温度を上昇させるための発熱を抑えることができ、省エネルギー化が可能となり、効率的である。また、中央通気経路及び端部通気経路は外部と連通しているので、これら経路内の熱気が内部に滞留することなく、外部に熱気を排気、または外部から新鮮な空気を吸気することができる。そのため、定着器の長手方向両端部から中央部へ向かう空気流れをより容易に形成することが可能となる。
【0012】
さらに、本発明に係る画像形成装置によれば、空気流形成手段は中央通気経路に設けられ装置外部へ空気を強制排気する排気ファンである。そのため、定着器の長手方向両端部から中央部へ向かう空気流れを容易かつ強制的に形成することが可能となる。また、排気ファンは加熱ローラの表面の近傍に配置する必要がないので、前記特許文献2に開示された画像形成装置のように、装置が大型化することを避けることが可能となる。
【0013】
さらに、本発明に係る画像形成装置によれば、空気流形成手段は端部通気経路にそれぞれ設けられ装置外部から空気を強制吸気する吸気ファンである。そのため、定着器の長手方向両端部から中央部へ向かう空気流れを容易かつ強制的に形成することが可能となる。また、吸気ファンにより吸気された空気が端部通気経路に流れ込むので、定着器の長手方向両端部の温度をより効果的に低下させることが可能となる。また、吸気ファンは加熱ローラの表面の近傍に配置する必要がないので、前記特許文献2に開示された画像形成装置のように、装置が大型化することを避けることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態に係る画像形成装置について図面に基づき説明する。本発明の実施の形態に係る画像形成装置を装備するコピー・ファクシミリ複合機100は、その外観を示す概略斜視図を図1に示すように、記録用紙に画像を形成する画像形成装置等を内蔵した本体110と、原稿の画像を読み取るフラットベッドスキャナとして機能する読取載置台120と、画像読み取りや画像形成の開始等を入力するための操作パネル130とを具備する。
【0015】
本体110は、その概略断面図を図2に示すように、装置底部に画像を記録するための記録用紙を順次供給する給紙カセット101が配設されており、該給紙カセット101の上方に画像形成部102が配設され、さらにその上方に排紙トレイ103が配設されている。給紙カセット101から排紙トレイ103へ記録用紙を搬送するための搬送路104は、給紙カセット101の一端側から上方へ向かって延設されて画像形成部102に至り、更に上方へ延設された後、水平方向へ湾曲して排紙トレイ103へ通じるように形成されている。
【0016】
給紙カセット101は、各種サイズの記録用紙を収容可能な箱状のものであり、装置底部に引出し可能に設けられて、必要に応じて記録用紙を装填できるようになっている。給紙カセット101に収容された記録用紙は、ガイド101aによってその最上紙の一端側が給紙位置に常時位置するようになっている。給紙位置には、ピックアップローラ、リバースローラ及び分離パッドからなる給紙機構101bが設けられており、記録用紙が1枚ずつ搬送路104に繰り込まれる。
【0017】
画像形成部102は、感光体ドラム1の周囲に配設された帯電デバイス2、LEDヘッド3、現像デバイス4、転写ローラ5、及びクリーニングデバイス6と、感光体ドラム1の下流側の搬送路104に配設された定着器7とから構成されている。これらのうち、感光体ドラム1、帯電デバイス2、及びクリーニングデバイスデバイス6は、プロセスユニットPUとしてカートリッジに収容されて一体となっている。
【0018】
感光体ドラム1は、不図示のモータにより所定速度で回転するものであり、その表面が帯電デバイス2により一定電圧に帯電される。帯電デバイス2は、所謂スコロトロン帯電器と呼ばれる非接触のコロナ帯電方式のものであり、半空間を形成するケーシング電極の略中心に放電ワイヤが配設されるとともに、感光体ドラム1側にグリッド電極が配設されており、放電ワイヤに所定の電圧が印加されることによりコロナ放電が生じ、該コロナ放電によるイオン量をグリッド電極で制御する。なお、帯電デバイス2には、非接触のコロナ帯電方式に代えて接触型のローラ帯電方式等、他の帯電デバイスを採用してもよい。
【0019】
LEDヘッド3は、LEDアレイを記録画素数だけ並設し、該LEDアレイが発した光をセルフォックレンズアレイで感光体ドラム1の表面に結像する所謂自己発光型のプリンタヘッドであり、感光体ドラム1に対して画像情報に基づいて感光体ドラム1の表面を選択的に露光して、該表面に静電潜像を形成する。帯電デバイス2により帯電された感光体ドラム1の表面は、LEDヘッド3により露光されることにより表面電位が減衰し、露光されていない部分との電位差により静電潜像が形成される。また、画像情報は、例えばフラットベッドスキャナとして機能する前記読取載置台120で読み取った原稿の画像が電気信号としてLEDヘッド3に送信されるようになっている。なお、露光デバイスとしては、LEDヘッド3の他に半導体レーザを用いた走査光学系のものを採用してもよい。
【0020】
現像デバイス4は、供給ローラ、現像ローラ及びトナー容器を備えており、不図示の電気回路から供給ローラ及び現像ローラに各々に印加されるバイアス電圧の差によりトナー容器のトナーが供給ローラを経て現像ローラへ供給され、現像ローラの表面にトナー層が形成される。トナー層が形成された現像ローラが感光体ドラム1に近接した位置で回転され、感光体ドラム1の静電潜像との電位差により現像ローラ上のトナーが感光体ドラム1へ移動し、該静電潜像に基づいてトナー画像が感光体ドラム1の表面に形成される。なお、このような現像デバイス4は一例であり、磁性トナー又は非磁性トナーの選択や、接触現像法又は非接触現像法の選択等は任意である。
【0021】
転写ローラ5は、EPDM発泡体又はウレタンスポンジからなるローラであり、搬送路104の対向位置において感光体ドラム1に圧接されてなり、不図示の印加回路からバイアス電圧が印加されるようになっている。給紙カセット101から搬送路104を経て供給された記録用紙を感光体ドラム1及び転写ローラ5がニップしてバイアス電圧が印加されることにより、感光体ドラム1の表面に形成されたトナー画像が記録用紙へ転写される。
【0022】
クリーニングデバイス6は、クリーニングブレードを備えており、感光体ドラム1の表面に残留したトナーや紙粉を除去して回収する。クリーニングブレードが転写後の感光体ドラム1の表面に圧接され不図示の電気回路から定電圧が印加されることにより、感光体ドラム1の表面に残留したトナーや紙粉を除去するとともに静電潜像を消去する。クリーニングブレードが掻き取った廃トナーや紙粉は、不図示のモータにより回転駆動される廃トナー搬送手段によって装置前面側に搬送され、不図示の廃トナー回収容器に蓄積されるようになっている。
【0023】
定着器7は、図2または図3に示すように、搬送路104の対向位置にそれぞれ配置された加熱ローラ71及び加圧ローラ72を備えており、搬送路104を搬送される記録用紙上の未定着トナー画像を当該記録用上に熱定着する。加熱ローラ71は、アルミニウム等の中空ローラであり、その内空に不図示の給電回路からの給電により発熱するハロゲンヒータ等の発熱源73が配設されている。加熱ローラ71は、不図示のモータにより所定の周速度で回転駆動される。加圧ローラ72は、回転自由に軸受保持されるとともに所定の押圧力で加熱ローラ71に圧接されており、加熱ローラ71の回転に従動して回転する。未定着トナー画像が転写された記録用紙が、加熱ローラ71と加圧ローラ72との圧接部を挟持搬送されると、加熱ローラ71の熱でトナー溶融するとともに圧接部で押圧されて記録用紙上にトナー画像が熱定着される。加熱ローラ71及び加圧ローラ72を加熱ローラ71の表面をクリーニングするクリーニングローラ等とともに、定着器7の外装ハウジングである合成樹脂製の定着ハウジング74に内設され収容されている。また、図4に参照されるように、定着ハウジング74内は、加熱ローラ71の中央部近傍の表面温度を計測する温度センサ75も収容されている。
【0024】
さらに、定着器7の定着ハウジング74には、図3または図4に示すように、加熱ローラ71内の発熱源73での発熱によって定着器7内に発生した熱気を解消するために開口74a、74bが形成されている。開口74aは、定着ハウジング74の長手方向の中央部の排紙トレイ103側側面に形成されている。開口74bは、定着ハウジング74の長手方向の両端部の前側及び奥側面にそれぞれ形成されている。開口74aと開口74bとは、定着ハウジング74内にて連通している。
【0025】
記録用紙は、図2に示すように、画像形成部102へ給紙カセット101から搬送路104に沿って記録用紙が搬送され、画像形成部102により画像が形成された後に、排紙トレイ103へ排出される。搬送路104は、給紙カセット101から画像形成部102へ略上方に向かって延設されており、その途中に、記録用紙をニップして搬送する一対の搬送ローラ80が適宜設けられている。搬送路104の終端部には、記録用紙をニップして排紙トレイ103に向けて排出する一対の排紙ローラ81が設けられている。このような搬送路104により、給紙カセット101から排紙トレイ103へ逆Cパスが形成されている。
【0026】
本体110(図1参照。)のフレームは、図3に示すように、そのフレームの外装部分を構成する外装シャーシの前後両側の側壁間を前後方向(搬送される記録用紙の幅方向)に渡って連結するステイ111を備えている。このステイ111の垂直片111aに、ピン等によって定着器7が保持される。ステイ111の垂直片111aの長手方向中央部には、加熱ローラ71の排熱による定着器7内の熱気を放出するために通気穴111bが形成されている。また、ステイ111は、垂直片111aの下端から左方(定着器7が保持される側とは反対方向)に水平に延びる水平片111cを備えている。ステイ111の水平片111cには、帯電デバイス2におけるコロナ放電によって発生されるオゾンを排出するために、オゾン排出スリット111dが形成されている。
【0027】
中央空気経路T1は、ステイ111、中央ダクト112及び上部外装ハウジング113にて囲まれる空間によって形成されている。中央ダクト112は、ステイ111の内側(定着器7やプロセスユニットPU(図2参照。)が位置する側とは反対側であり、垂直片111a及び水平片111cとの内面によって規定される側)により規定される空間と中央部開口114とを連通する合成樹脂製の成形部材であり、ステイ111の内側から中央部開口114へ向けて弧を描く形状など空気を誘導するに適した形状に形成されている。中央ダクト112のステイ111側の端部下面は、ステイ111の水平片111cの左側(垂直片111aが位置する側とは反対側)端部から上方に延びる載置片111eの上端面に載置されることにより、ステイ111との間に隙間が生じないように設けられている。上部外装ハウジング113は、本体110の外装ハウジングの一部をなす合成樹脂製の成形部材であり、ステイ111及び中央ダクト112の上方を覆うともに、その上面に前記排紙トレイ103が形成されている。中央部開口114は、本体110の外装ハウジングの左側側面に形成された開口であり、中央ダクト112の左側端部の開口と連接している。また、中央ファン115は、中央空気経路T1内に中央部開口114へ向かう空気の流れを強制的に形成させるものであり、中央ダクト112の中央部開口114側の端部付近に配設されている。中央ファン115は、図4を参照するように、制御部140により制御がなされる不図示のモータによって駆動する。オゾンフィルタ116は、通過する空気とともに送り込まれてきたオゾンを吸収するものであり、中央部開口114と中央ファン115との間に位置するように中央ダクト112に配設されている。帯電デバイス2にて発生したオゾンは、オゾン排出スリット111dを介して中央空気経路T1に放出され、中央空気経路T1内の空気とともに中央ファン115によって中央部開口114へと誘導され、中央部開口114の手前に配置されたオゾンフィルタ116によって除去されるようになっている。
【0028】
定着器7内の熱気は、定着ハウジング74のステイ111への取付面に形成された開口74a及びステイ111の垂直片111aに形成された通気穴111bを介して中央空気経路T1へ流れ込み、中央ファン115によって誘導されて、中央部開口114から装置の外部へ放出される。
【0029】
一方、端部空気経路T2は、図4に示すように、定着器7の前側及び奥側(すなわち長手方向両端側)にそれぞれ位置しており、端部ダクト117にて囲まれる空間によって形成されている。端部ダクト117は、定着器7の両端側面に形成された開口74bと端部開口118とを連通する合成樹脂製の成形部材であり、端部開口118から定着器7の前記開口へ向けて弧を描く形状など空気を誘導するに適した形状に形成されている。端部開口118は、図1を参照するように、本体110の外装ハウジングの前側側面及び奥側側面に形成された開口であり、端部ダクト117の外側端部の開口と連接している。また、端部ファン119は、端部開口118から端部空気経路T2内に空気を強制的に吸気するものであり、端部ダクト117の端部開口118側の端部付近にそれぞれ配設されている。端部ファン119は、制御部140により制御がなされる不図示のモータによって駆動する。
【0030】
制御部140は、加熱ローラ71の表面が長手方向に均一に所定の温度に維持されるように制御を行なう。制御部140は、温度センサ75が検知した加熱ローラ71の表面温度並びに操作パネル130(図1参照。)から入力された画像形成を行う記録用紙のサイズと枚数等に基いて制御を行なう。制御部140は、発熱源73のオンオフを含む発熱量の調整、並びに不図示のモータの駆動制御による中央ファン115及び端部ファン119の風量の調整を行なうことにより、制御を行なう。
【0031】
A4サイズの横方向が画像形成可能な記録用紙の最大幅である場合について、制御部140の具体的な制御について説明する。例えば、画像形成される記録用紙がA3サイズであり横方向に搬送されるとき、加熱ローラ71の表面温度は長手方向にて均一であると考えられる。よって、温度センサ75が検知する表面温度が所定の範囲内に入るように、制御部140は発熱源73と中央ファン115のみを適宜駆動させ、端部ファン119を停止する制御を行なう。一方、画像形成される記録用紙がA3サイズ横未満の幅狭の記録用紙、例えば、A4サイズの記録用紙が縦方向に搬送されるとき、加熱ローラ71の表面温度は長手方向にてその中央部が低く両端部が高くなると考えられる。よって、温度センサ75が検知する表面温度が所定の範囲内に入るように、制御部140は発熱源73と中央ファン115を適宜駆動させるとともに、端部ファン119も駆動するように制御を行なう。ただし、A4サイズの記録用紙が縦方向に多数枚連続せずに例えば1枚のみ搬送されるときには、制御部140は端部ファン119を駆動しないように制御を行なってもよい。
【0032】
以上説明したように、このコピー・ファクシミリ複合機100によれば、中央通気経路T1、端部通気経路T2、中央ファン115、端部ファン119及び制御部140を備えている。そのため、定着器7の長手方向両端部から中央部へ向かう空気流れを形成し制御することが可能となる。幅狭の記録用紙が連続して搬送される場合等、定着器7の両端部の温度が上昇し過ぎるおそれがある場合に、定着器7の長手方向両端部から中央部へ向かう空気流れを強制的に形成することができる。よって、温度が上昇した両端部の温度を低下させるとともに中央部の温度を上昇させることにより、両端部の異常高温を事前に防止し、定着器7の温度の均一化を図ることができ、画質の劣化を防止することが可能となる。また、中央部の温度が上昇することにより、幅狭の記録用紙が連続して搬送される場合においても、定着器7の温度を上昇させるための発熱を抑えることができ、省エネルギー化が可能となり、効率的である。また、中央通気経路T1及び端部通気経路T2は中央部開口114及び端部開口118を介して機台外部と連通しているので、これら経路T1、T2内の熱気が内部に滞留することなく、外部に熱気を排気、または外部から新鮮な空気を吸気することができる。そのため、定着器7の長手方向両端部から中央部へ向かう空気流れをより容易に形成することが可能となる。
【0033】
さらに、機台外部へ空気を強制排気する中央ファン115が中央通気経路T1の中央部開口114近傍に設けられている。そのため、定着器7の長手方向両端部から中央部へ向かう空気流れを容易かつ強制的に形成することが可能となる。また、中央ファン115は機台左端部付近に配置されているので、前記特許文献2に開示された画像形成装置のように、機台が大型化することを避けることが可能となる。
【0034】
さらに、機台外部から空気を強制吸気する2つの端部ファン119が端部通気経路T2の端部開口118近傍にそれぞれ設けられている。そのため、定着器7の長手方向両端部から中央部へ向かう空気流れを容易かつ強制的に形成することが可能となる。また、端部ファン119により吸気された空気が端部通気経路T2に流れ込むので、定着器7の長手方向両端部の温度をより効果的に低下させることが可能となる。また、端部ファン119は定着器7の前面側及び奥面側にそれぞれ配置されているので、前記特許文献2に開示された画像形成装置のように、機台が大型化することを避けることが可能となる。
【0035】
なお、本実施の形態で示したコピー・ファクシミリ複合機100の構成は、本発明に係る画像形成装置の一態様にすぎず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、中央ファン115と2つの端部ファン119とをともに設ける場合について説明した。しかし、中央ファン115、または2つの端部ファン119の何れかのみを設けるものであってもよい。中央空気経路T1及び端部空気経路T2により端部開口118から定着器7内を介して中央部開口114まで連通しているので、中央ファン115、端部ファン119の何れかのみによっても、定着器7の両端部から中央部への空気流れを形成することが可能である。
【0036】
また、端部開口118と定着器7の側面の開口74bとを連通する端部空気経路T2を端部ダクト117により形成する場合について説明した。しかし、端部ダクト117等の端部空気経路T2を形成する専用部材を設けることなく、既存の部材により形成された隙間等によって端部空気経路T2を形成してもよい。
【0037】
また、加熱ローラ71の表面温度を計測する温度センサとして、中央部近傍の表面温度を計測する温度センサ75のみを設ける場合について説明した。しかし、加熱ローラ71の長手方向端部近傍の表面温度を計測する温度センサを設け、この温度センサ、またはこの温度センサと温度センサ75が検知した表面温度に基いて、制御部140が制御を行なってもよい。
【0038】
さらに、本実施の形態では、画像形成装置をコピー・ファクシミリ複合機100として実施した態様を説明したが、画像読取装置はこれに限定されず、プリンタ、ファクシミリ、複写機及びこれらの任意の複合機等に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施の形態に係るコピー・ファクシミリ複合機100の外観を示す概略斜視図である。
【図2】コピー・ファクシミリ複合機100の本体110を示す概略縦断面図である。
【図3】定着器7付近を拡大して示す概略縦断面図である。
【図4】定着器7及び空気経路T1、T2等を示す概略斜視図並びにブロック図である。
【符号の説明】
【0040】
7 定着器
71 加熱ローラ
75 温度センサ
100 コピー・ファクシミリ複合機(画像形成装置)
110 本体
112 中央ダクト
113 上部外装ハウジング
114 中央部開口
115 中央ファン(空気流形成手段、排気ファン)
117 端部ダクト
118 端部開口
119 端部ファン(空気流形成手段、吸気ファン)
140 制御部
T1 中央通気経路
T2 端部通気経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向中心を搬送中心として搬送される記録用紙上の未定着トナー画像を熱定着させる定着器と、
前記定着器の中央部から装置外部に連通する中央通気経路と、
前記定着器の長手方向両端部から装置外部にそれぞれ連通するとともに前記中央通気経路にも連通する端部通気経路と、
前記端部通気経路から前記中央通気経路へ空気流れを形成する空気流形成手段と、
前記空気流形成手段を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記空気流形成手段は、前記中央通気経路に設けられ装置外部へ空気を強制排気する排気ファンであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記空気流形成手段は、前記端部通気経路にそれぞれ設けられ装置外部から空気を強制吸気する吸気ファンであることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−210892(P2009−210892A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−54922(P2008−54922)
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.セルフォック
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】