説明

画像形成装置

【課題】画素電極を有する像保持体に対し、画像信号に沿ったトナー付着を安定して行わせることにより、濃度むら、かぶり等のないより高濃度の高画質画像を安定して得る。
【解決手段】縦横に配列された画素電極1bを有する像保持体1と、画素電極1bに潜像を像保持体1に書き込む像書込手段2と、潜像をトナーにて可視像化する現像手段3と、潜像電位の減衰変化傾向が予め規定された規定範囲内であるか否かを判別する潜像電位変化判別手段4と、潜像電位変化判別手段4が規定範囲内と判別した場合には、予め決められた潜像書込位置Psに潜像電圧を印加する一方、潜像電位変化判別手段4が規定範囲外と判別した場合には、規定範囲内である場合の潜像電位の減衰変化量と略等しい潜像電位の減衰変化量となるように潜像書込位置Psを変更し、かつ、変更された潜像書込位置Psに画像信号に基づいた潜像電圧を印加する潜像書込制御手段5とを備ええる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複写機やプリンタ等の画像形成装置で用いられる画像形成方式として電子写真方式が用いられている。これは、コロナ放電器や帯電ロール等の帯電器によって帯電された感光体に対して、レーザやLEDアレイを用いて光イメージを照射することで静電潜像を形成し、この形成された静電潜像に対し帯電したトナーを用いて現像することで可視像化するようにしたものである。そして、このように電子写真方式を利用した画像形成装置は、オンデマンド性に優れ、普通紙への画像形成が可能なことから、オフィスを中心に広く普及している。
【0003】
一方、電子写真方式での環境影響への配慮などから、マトリクス状に電極を配列し、帯電器を使用しない方式の画像形成装置が提案されている(特許文献1〜5参照)。特許文献1では、薄膜トランジスタ(TFT)をマトリクス状に形成すると共に蓄積容量を夫々のTFTに設け、蓄積容量での電荷蓄積効果により安定した現像を行うようにした方式の画像形成装置が提案されている。また、特許文献2では、スイッチング素子をマトリクス状に構成し、レーザ照射することで、画素毎に発生する表面電位を変化させるようにした方式の画像形成装置が提案されている。更に、特許文献3では、マトリクス状に配列したスイッチング素子毎に二層分割された蓄積容量を持たせ、画像部/非画像部の電位を調整した構成が提案されている。そして、特許文献4では、マトリクス状に配列したスイッチング素子を使って画素毎の潜像を形成する方式の画像形成装置が提案されている。また、特許文献5には、現像位置より上流側の副走査方向所定位置にて走査ラインの端部に設けたフォトダイオードに光を照射して導通させることで、走査ラインを選択し、選択された走査ラインに画像模様に応じた電気信号を送ることで潜像電圧を形成し、これを繰り返すことで潜像を形成するようにした構成の画像形成装置が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特許第3233463号公報(実施例、図4)
【特許文献2】特開2002−326382号公報(実施の形態1、図1)
【特許文献3】特開2003−32440号公報(発明の実施の形態、図1)
【特許文献4】特開2004−219635号公報(実施の形態1、図1)
【特許文献5】特許第3826013号公報(実施の形態1、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の技術的課題は、画素単位で縦横に配列された画素電極を有する像保持体を用いて画像形成を行うに当たり、画像信号に沿ったトナー付着を安定して行わせることにより、濃度むら、かぶり等のない、より高濃度の高画質画像を安定して得られるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、移動可能な支持体及びこの支持体に支持され且つ支持体の移動方向に沿った方向を副走査方向、これに直交する方向を主走査方向として縦横に配列された画素電極を有する像保持体と、この像保持体の潜像書込位置にて画素電極夫々に対し画像信号に基づいた潜像電圧を印加し、この潜像電圧による潜像電位パターンからなる潜像を像保持体に書き込む像書込手段と、前記像保持体の潜像書込位置より像保持体の移動方向下流側に位置する現像位置に対応して設けられ、像書込手段にて書き込まれた潜像をトナーにて可視像化する現像手段と、像保持体の潜像書込位置にて画素電極に対し画像信号に基づいた潜像電圧を印加したときに、潜像書込位置から現像位置に至るまでの画素電極での潜像電圧による潜像電位の減衰変化傾向が予め規定された規定範囲内であるか否かを判別する潜像電位変化判別手段と、像書込手段にて潜像を書き込み制御するに当たり、前記潜像電位変化判別手段が潜像電位の減衰変化傾向を規定範囲内と判別した場合には、予め決められた潜像書込位置に画像信号に基づいた潜像電圧を印加する一方、前記潜像電位変化判別手段が潜像電位の減衰変化傾向を規定範囲外と判別した場合には、潜像電位の減衰変化傾向が規定範囲内である場合の潜像書込位置から現像位置に至るまでの潜像電位の減衰変化量と略等しい潜像電位の減衰変化量となるように潜像書込位置を変更し、かつ、変更された潜像書込位置に画像信号に基づいた潜像電圧を印加する潜像書込制御手段とを備える画像形成装置である。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る画像形成装置において、前記潜像書込制御手段は、前記潜像電位変化判別手段にて潜像電位の減衰変化傾向が規定範囲外にあると判別された場合には、変更された潜像書込位置にて更に潜像電圧を変更するようにした画像形成装置である。
請求項3に係る発明は、請求項1に係る画像形成装置において、前記潜像書込制御手段は、画素電極に印加される最大潜像電圧が予め規定された値以上のときに限り前記潜像電位変化判別手段にて潜像電位の減衰傾向が規定範囲内であるか否かの判別を行う画像形成装置である。
【0008】
請求項4に係る発明は、請求項1又は2に係る画像形成装置のうち像保持体が回転体である態様において、前記潜像書込制御手段は、像保持体の回転方向と逆方向で且つ当該回転速度と等しい速度で画素電極を走査するようにした画像形成装置である。
請求項5に係る発明は、請求項1又は2に係る画像形成装置において、前記潜像書込制御手段は、前記像書込手段により潜像書込位置にて潜像電圧が印加された画素電極が、当該画素電極の潜像電位に対し潜像電圧印加直後の急減衰が収まるまでの予め規定された減衰時間を経過した後に現像位置に達するように潜像書込位置を設定する画像形成装置である。
【0009】
請求項6に係る発明は、請求項1又は2に係る画像形成装置において、前記像書込手段は、画素電極夫々に対し設けられ且つ画素電極を駆動する薄膜トランジスタを備える画像形成装置である。
請求項7に係る発明は、請求項6に係る画像形成装置において、前記像保持体は、潜像書込位置から現像位置に至るまでの領域にある薄膜トランジスタへの光の照射を遮蔽する遮光手段を備える画像形成装置である。
【0010】
請求項8に係る発明は、請求項1又は2に係る画像形成装置において、前記現像手段は、前記像保持体に対向配置され且つ帯電された導電性トナーを保持搬送するトナー保持体と、このトナー保持体と前記像保持体との間の現像位置に現像電界を形成する現像電界形成手段と、前記トナー保持体の前記像保持体とは異なる側に対向配置される電荷注入部材を有し、この電荷注入部材と前記トナー保持体との間に電荷注入電界を作用させることで未帯電の導電性トナーに電荷注入を行う電荷注入手段とを備える画像形成装置である。
【0011】
請求項9に係る発明は、請求項8に係る画像形成装置において、前記トナー保持体は、前記像保持体に対向して回転可能に設けられ、前記現像位置まで導電性トナーを保持搬送すると共に現像位置に現像電界形成手段による現像電界を作用させることで像保持体上の潜像を導電性トナーにて現像する現像トナー保持体と、この現像トナー保持体に対向して現像トナー保持体よりも速い回転速度で回転可能に設けられ、現像トナー保持体の現像位置から離れた部位に至るまで前記電荷注入手段にて電荷注入された導電性トナーを保持搬送する中間トナー保持体とを有し、現像トナー保持体と中間トナー保持体との間に設けられた移動電界形成手段により、中間トナー保持体から現像トナー保持体に向かって導電性トナーを移動させる移動電界を作用させるようにした画像形成装置である。
【0012】
請求項10に係る発明は、請求項8又は9に係る画像形成装置において、前記電荷注入手段は、電荷注入電界を作用させながら導電性トナーを挟んで摺擦することで当該導電性トナーに電荷注入を行うようにした画像形成装置である。
請求項11に係る発明は、請求項8又は9に係る画像形成装置において、前記導電性トナーは、現像位置では当該導電性トナーの電荷保持性を保つように高抵抗に変化し、かつ、電荷注入電界が作用する領域では当該導電性トナーの電荷注入を容易にするように低抵抗に変化する画像形成装置である。
【0013】
請求項12に係る発明は、移動可能な支持体及びこの支持体に支持され且つ支持体の移動方向に沿った方向を副走査方向、これに直交する方向を主走査方向として縦横に配列された画素電極を有する像保持体と、この像保持体の潜像書込位置にて画素電極夫々に対し画像信号に基づいた潜像電圧を印加し、この潜像電圧による潜像電位パターンからなる潜像を像保持体に書き込む像書込手段と、前記像保持体の潜像書込位置より像保持体の移動方向下流側に位置する現像位置に対応して設けられ、像書込手段にて書き込まれた潜像をトナーにて可視像化する現像手段と、像保持体の潜像書込位置にて画素電極に対し画像信号に基づいた潜像電圧を印加したときに、潜像書込位置から現像位置に至るまでの画素電極での潜像電圧による潜像電位の減衰変化傾向が予め規定された規定範囲内であるか否かを判別する潜像電位変化判別手段と、像書込手段にて潜像を書き込み制御するに当たり、前記潜像電位変化判別手段が潜像電位の減衰変化傾向を規定範囲内と判別した場合には、予め決められた潜像書込位置に画像信号に基づいた潜像電圧を印加する一方、前記潜像電位変化判別手段が潜像電位の減衰変化傾向を規定範囲外と判別した場合には、潜像電位の減衰変化傾向が規定範囲内である場合の潜像書込位置から現像位置に至るまでの潜像電位の減衰変化量と略等しい潜像電位の減衰変化量となるように潜像書込位置を変更し、かつ、変更された潜像書込位置に画像信号に基づいた潜像電圧を印加する潜像書込制御手段と、前記現像手段により像保持体上に形成されたトナー像を転写媒体に転写する転写手段とを備える画像形成装置である。
【0014】
請求項13に係る発明は、請求項12に係る画像形成装置において、前記転写手段は、前記像保持体に対向配置されると共に所定の転写電圧が印加され且つ像保持体との間に所定の転写電界を作用させる転写部材を有する画像形成装置である。
請求項14に係る発明は、請求項12に係る画像形成装置において、前記像書込手段は、前記潜像パターンを書き込むことに加え、画素電極毎に既に形成された各色トナー像に基づいた転写電圧を印加し、像保持体に前記転写電圧による画素電極毎の転写電位変化としての転写像パターンを書き込むものであり、前記転写手段は、転写像パターンを書き込む前記像書込手段と、像保持体に対向配置され且つ画素電極夫々との間で像書込手段による転写像パターンに応じた転写電界を作用させる対向電極部材とを有する画像形成装置である。
請求項15に係る発明は、請求項14に係る画像形成装置において、更に、前記像書込手段によって転写像パターンを書き込むに当たり、前記現像手段により画素電極毎に既に形成された各色トナー像を考慮した転写電圧を決定した上で像書込手段を制御する転写像書込制御手段を有する画像形成装置である。
【0015】
請求項16に係る発明は、移動可能な支持体及びこの支持体に支持され且つ支持体の移動方向に沿った方向を副走査方向、これに直交する方向を主走査方向として縦横に配列された画素電極を有する像保持体と、この像保持体の潜像書込位置にて画素電極夫々に対し画像信号に基づいた潜像電圧を印加し、この潜像電圧による潜像電位パターンからなる潜像を像保持体に書き込む像書込手段と、前記像保持体の潜像書込位置より像保持体の移動方向下流側に位置する現像位置に対応して設けられ、像書込手段にて書き込まれた潜像をトナーにて可視像化する現像手段と、像保持体の潜像書込位置にて画素電極に対し画像信号に基づいた潜像電圧を印加したときに、潜像書込位置から現像位置に至るまでの画素電極での潜像電圧による潜像電位の減衰変化傾向が予め規定された規定範囲内であるか否かを判別する潜像電位変化判別手段と、像書込手段にて潜像を書き込み制御するに当たり、前記潜像電位変化判別手段が潜像電位の減衰変化傾向を規定範囲内と判別した場合には、予め決められた潜像書込位置に画像信号に基づいた潜像電圧を印加する一方、前記潜像電位変化判別手段が潜像電位の減衰変化傾向を規定範囲外と判別した場合には、潜像電位の減衰変化傾向が規定範囲内である場合の潜像書込位置から現像位置に至るまでの潜像電位の減衰変化量と略等しい潜像電位の減衰変化量となるように潜像電圧を変更し、かつ、変更された潜像電圧を潜像書込位置にて印加する潜像書込制御手段とを備える画像形成装置である。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明によれば、画素単位で縦横に配列された画素電極を有する像保持体を用いて画像形成を行うに当たり、像保持体に対し画像信号に沿ったトナー付着を安定して行わせることができるようになり、濃度むら、かぶり等のないより高濃度の高画質画像を安定して得ることができる。
請求項2に係る発明によれば、本構成を有しないものに比べ、より一層安定した画像が得られるようになる。
請求項3に係る発明によれば、本構成を有しないものに比べ、画素電極に特に高電圧を印加する際に有効となり、高濃度の高画質画像が得られるようになると共に、高電圧を使用しない場合には制御が簡単になる。
【0017】
請求項4に係る発明によれば、本構成を有しないものに比べ、連続した画像形成が容易に実現できる。
請求項5に係る発明によれば、本構成を有しないものに比べ、潜像書込位置で画素電極に印加される潜像電圧の印加直後の不安定要因を払拭することができ、一層安定した状態の潜像電位で現像を行うことができるようになり、安定した画質を得易くなる。
請求項6に係る発明によれば、アクティブマトリクス方式を採用することで、画素電極の駆動が高速且つ安定してなされるようになる。
請求項7に係る発明によれば、本構成を有しないものに比べ、薄膜トランジスタへの光の照射を防ぐことで薄膜トランジスタの特性変化を小さく抑えることができ、安定した潜像電位を保つことが可能になる結果、画素電極への付着トナー量を一層安定化させることができるようになる。
【0018】
請求項8に係る発明によれば、本構成を有しないものに比べ、現像時に電荷注入型の導電性トナーを使用することができ、低電界で安定した現像が可能になり、十分高い画像濃度を確保することができるようになる。
請求項9に係る発明によれば、本構成を有しないものに比べ、像保持体へ供給する導電性トナーの量を増加させることができ、より高い画像濃度を確保することができるようになる。
請求項10に係る発明によれば、本構成を有しないものに比べ、導電性トナーに対する均一で安定した電荷注入がなされるようになる。
請求項11に係る発明によれば、現像位置では電荷保持性が良好に保たれる一方、電荷注入電界作用域では電荷注入が効率的になされるようになる。
【0019】
請求項12に係る発明によれば、画素単位で縦横に配列された画素電極を有する像保持体を用いて画像形成を行うに当たり、像保持体に対し画像信号に沿ったトナー付着を安定して行わせることができるようになり、濃度むら、かぶり等のないより高濃度の高画質画像を転写媒体上に安定して得ることができる。
請求項13に係る発明によれば、転写部材により転写媒体への具体的な転写がなされるようになる。
請求項14に係る発明によれば、本構成を有しないものに比べ、転写時の転写電界の広がりを抑えることができ、画質が向上するようになる。
請求項15に係る発明によれば、本構成を有しないものに比べ、画素電極に形成されたトナー像に合わせて転写電界を形成できるようになり、高画質での転写が可能になる。
請求項16に係る発明によれば、画素単位で縦横に配列された画素電極を有する像保持体を用いて画像形成を行うに当たり、像保持体に対し画像信号に沿ったトナー付着を安定して行わせることができるようになり、濃度むら、かぶり等のないより高濃度の高画質画像を安定して得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
先ず、本発明が適用される実施の形態モデルの概要を説明する。
◎実施の形態モデルの概要
図1(a)(b)は本発明を具現化する実施の形態モデルに係る第一の態様の画像形成装置の概要を示すものである。同図において、画像形成装置の代表的モデルの一つは、移動可能な支持体1a及びこの支持体1aに支持され且つ支持体1aの移動方向に沿った方向を副走査方向、これに直交する方向を主走査方向として縦横に配列された画素電極1bを有する像保持体1と、この像保持体1の潜像書込位置Psにて画素電極1b夫々に対し画像信号に基づいた潜像電圧を印加し、この潜像電圧による潜像電位パターンからなる潜像を像保持体1に書き込む像書込手段2と、像保持体1の潜像書込位置Psより像保持体1の移動方向下流側に位置する現像位置Pdに対応して設けられ、像書込手段2にて書き込まれた潜像をトナーにて可視像化する現像手段3と、像保持体1の潜像書込位置Psにて画素電極1bに対し画像信号に基づいた潜像電圧を印加したときに、潜像書込位置Psから現像位置Pdに至るまでの画素電極1bでの潜像電圧による潜像電位の減衰変化傾向が予め規定された規定範囲内であるか否かを判別する潜像電位変化判別手段4と、像書込手段2にて潜像を書き込み制御するに当たり、潜像電位変化判別手段4が潜像電位の減衰変化傾向を規定範囲内と判別した場合には、予め決められた潜像書込位置Psに画像信号に基づいた潜像電圧を印加する一方、潜像電位変化判別手段4が潜像電位の減衰変化傾向を規定範囲外と判別した場合には、潜像電位の減衰変化傾向が規定範囲内である場合の潜像書込位置Psから現像位置Pdに至るまでの潜像電位の減衰変化量と略等しい潜像電位の減衰変化量となるように潜像書込位置Psを変更し、かつ、変更された潜像書込位置Psに画像信号に基づいた潜像電圧を印加する潜像書込制御手段5とを備えている。
【0021】
ここで、支持体1aは、画素電極1b等を支持できる移動可能なものであればその形状は特に限定されないが、装置を小型化する観点からすれば、回転可能な態様が好適である。また、画素電極1bは画素単位で縦横に配列されていればよく、画素電極1bの数量は特に限定されないが、通常の画像が形成できる解像度を実現できる程度になっていることが好ましい。更に、像書込手段2は、像保持体1の画素電極1b夫々に対し、画像信号に基づいた潜像電圧(信号電圧)を印加できるものであればよい。
【0022】
また、潜像電位変化判別手段4は、潜像書込位置Psから現像位置Pdに至るまでの潜像電位の減衰傾向を直接的あるいは間接的に判別できるものであればよいが、容易に判別するには間接的に行う方がよく、具体的には、製造ロット、環境、累積使用時間等の要因から判別するようにすればよい。一例としては、製造ロットや累積使用時間に関連する情報として、画素電極1b上のトナー濃度を検出する検出器を設置したり、画素電極1bの表面電位を測定する検出器を設置したりして、具体的に像保持体1上の変化から現像位置Pdまでの潜像電位の減衰変化傾向を予測するようにしてもよいし、周囲環境を測定する検出器を設置して、減衰変化傾向を予測するようにしてもよい。
【0023】
そして、第二の態様の画像形成装置としては、第一の態様の画像形成装置において、潜像書込制御手段5は、潜像電位変化判別手段4にて潜像電位の減衰変化傾向が規定範囲外にあると判別された場合には、変更された潜像書込位置Psにて更に潜像電圧を変更するようにしたものである。
【0024】
ここで、本実施の形態モデルでの画像形成方式の理解を深める上で、比較モデルとして電子写真方式において通常用いられる方式について説明する。
図23に示すように、この比較モデルでは、帯電装置201を用いて帯電された感光体200を露光装置202からのレーザ照射等によって露光して静電潜像を形成した後、この静電潜像に対し現像装置203を用いてトナーで現像することで可視像化するようにしたものであり、可視像化された感光体200上のトナー像は、転写装置204によって転写媒体(例えば中間転写体や記録材)205に転写される。更に、感光体200の周囲には、転写を終えた感光体200上の残留トナーを清掃するために、清掃部材206aを備えた清掃装置206が設けられている。このような方式では、感光体200が回転したり、感光体200を帯電装置201によって帯電することから、感光体200上の潜像電位や画素位置がばらつき易く、このようなばらつきがあると、濃度むら、色むら、すじ等の視認される画質劣化が生じ易くなる。また、このようなばらつきによって、現像時のトナーの飛び散りやかぶりも生じ易くなる。
【0025】
そして、このような方式での経時的な変化に目を転じると、帯電装置201がトナーによって汚染され、所望の帯電がなされなかったり、帯電装置201の放電(帯電装置201自体の放電や、感光体200との間隙による放電)による放電生成物の発生が感光体200表面を変質させたり、更には感光体200上の清掃性能を低下させるようにもなる。このような事態に対し感光体200上の清掃性能低下を抑えるため、清掃部材206aを感光体200に強く接触させるようにすると、却って感光体200や清掃部材206aの劣化を早める虞もある。
【0026】
このような比較モデルに対し、本実施の形態モデルでは、図1(a)(b)に示すように、像保持体1に縦横に配列された画素電極1bを備え、画素電極1b夫々に対し画像信号に基づいた潜像電圧を印加することで像保持体1に潜像を書き込むようにしたので、帯電装置を必要としない分、帯電装置によって生じる各種の問題を考慮する必要がない。
【0027】
そして、このような方式にて現像時の濃度コントラストを高める必要がない場合に制御を簡略化する観点からすれば、潜像書込制御手段5は、画素電極1bに印加される最大潜像電圧が予め規定された値以上のときに限り潜像電位変化判別手段4にて潜像電位の減衰傾向が規定範囲内であるか否かの判別を行うようにすることが好ましい。
【0028】
また、像保持体1が回転体である態様において、連続した画像形成を容易に実現する観点から、潜像書込制御手段5は、像保持体1の回転方向と逆方向で且つ当該回転速度と等しい速度で画素電極1bを副走査することが好ましい。これによれば、潜像書込位置Psと現像位置Pdとの関係を常に一定にすることができるようになる。
【0029】
更に、画素電極1bの潜像電位は、画素電極1bに潜像電圧を印加した直後に大きく減衰することから、この大きな変化を軽減し、現像位置Pdでの潜像電位をより安定させる観点から、潜像書込制御手段5は、像書込手段2により潜像書込位置Psにて潜像電圧が印加された画素電極1bが、当該画素電極1bの潜像電位に対し潜像電圧印加直後の急減衰が収まるまでの予め規定された減衰時間を経過した後に現像位置Pdに達するように潜像書込位置Psを設定することが好ましい。
【0030】
また、本実施の形態モデルでは、画素電極1bに対する電圧印加を安定して行う観点から、像書込手段2は、画素電極1b夫々に対し画素電極1bを駆動する薄膜トランジスタを備えることが好ましく、このように薄膜トランジスタをスイッチング素子として用いることで、通常の薄膜技術を用いて容易に多数のスイッチング素子を形成できるようになると共に、安定したスイッチング性能も確保することができるようになる。
更に、このように薄膜トランジスタを用いる場合、その特性変化を小さく抑える観点からすれば、像保持体1は、潜像書込位置Psから現像位置Pdに至るまでの領域にある薄膜トランジスタへの光の照射を遮蔽する遮光手段を備えることが好ましい。このとき、遮光手段としては、像保持体1全面に亘って設けるようにしてもよいし、該当する部位に像保持体1へ光の照射を防ぐ遮光部材を備えるようにしてもよい。具体的には、像保持体1を遮光ケース内に収容する態様や、像保持体1の表面側に例えば黒色物質を添加したポリイミド樹脂層等の遮光膜を被覆する態様が挙げられる。
【0031】
更にまた、現像性能を向上させる観点から、現像手段3は、像保持体1に対向配置され且つ帯電された導電性トナーを保持搬送するトナー保持体と、このトナー保持体と像保持体1との間の現像位置Pdに現像電界を形成する現像電界形成手段と、トナー保持体の像保持体1とは異なる側に対向配置される電荷注入部材を有し、この電荷注入部材とトナー保持体との間に電荷注入電界を作用させることで未帯電の導電性トナーに電荷注入を行う電荷注入手段とを備えることが好ましい。
【0032】
そして、このような現像手段3でのトナー濃度を向上させる観点からすれば、トナー保持体は、像保持体1に対向して回転可能に設けられ、現像位置Pdまで導電性トナーを保持搬送すると共に現像位置Pdに現像電界形成手段による現像電界を作用させることで像保持体1上の潜像を導電性トナーにて現像する現像トナー保持体と、この現像トナー保持体に対向して現像トナー保持体よりも速い回転速度で回転可能に設けられ、現像トナー保持体の現像位置Pdから離れた部位に至るまで電荷注入手段にて電荷注入された導電性トナーを保持搬送する中間トナー保持体とを有し、現像トナー保持体と中間トナー保持体との間に設けられた移動電界形成手段により、中間トナー保持体から現像トナー保持体に向かって導電性トナーを移動させる移動電界を作用させるようにすることが好ましい。
【0033】
また、トナーとして導電性トナーを使用する際、均一で安定した電荷注入を行う観点から、電荷注入手段は、電荷注入電界を作用させながら導電性トナーを挟んで摺擦することで当該導電性トナーに電荷注入を行うようにすることが好ましい。そして、導電性トナーは、現像位置Pdでは当該導電性トナーの電荷保持性を保つように高抵抗に変化し、かつ、電荷注入電界が作用する領域では当該導電性トナーの電荷注入を容易にするように低抵抗に変化することが好ましく、導電性トナーがこのように振る舞うことで、導電性トナーへの電荷注入時及び現像時の安定化を図ることができるようになる。
【0034】
そして、本実施の形態モデルによる像保持体1上のトナー像を記録材等に転写する具体的な画像形成装置に適用するモデルとしては、次のものが挙げられる。すなわち、図1(a)(b)に示すように、移動可能な支持体1a及びこの支持体1aに支持され且つ支持体1aの移動方向に沿った方向を副走査方向、これに直交する方向を主走査方向として縦横に配列された画素電極1bを有する像保持体1と、この像保持体1の潜像書込位置Psにて画素電極1b夫々に対し画像信号に基づいた潜像電圧を印加し、この潜像電圧による潜像電位パターンからなる潜像を像保持体1に書き込む像書込手段2と、像保持体1の潜像書込位置Psより像保持体1の移動方向下流側に位置する現像位置Pdに対応して設けられ、像書込手段2にて書き込まれた潜像をトナーにて可視像化する現像手段3と、像保持体1の潜像書込位置Psにて画素電極1bに対し画像信号に基づいた潜像電圧を印加したときに、潜像書込位置Psから現像位置Pdに至るまでの画素電極1bでの潜像電圧による潜像電位の減衰変化傾向が予め規定された規定範囲内であるか否かを判別する潜像電位変化判別手段4と、像書込手段2にて潜像を書き込み制御するに当たり、潜像電位変化判別手段4が潜像電位の減衰変化傾向を規定範囲内と判別した場合には、予め決められた潜像書込位置Psに画像信号に基づいた潜像電圧を印加する一方、潜像電位変化判別手段4が潜像電位の減衰変化傾向を規定範囲外と判別した場合には、潜像電位の減衰変化傾向が規定範囲内である場合の潜像書込位置Psから現像位置Pdに至るまでの潜像電位の減衰変化量と略等しい潜像電位の減衰変化量となるように潜像書込位置Psを変更し、かつ、変更された潜像書込位置Psに画像信号に基づいた潜像電圧を印加する潜像書込制御手段5と、現像手段3により像保持体1上に形成されたトナー像を転写媒体7に転写する転写手段6とを備えている。
【0035】
ここで、転写手段6によって像保持体1上のトナー像が転写される転写媒体7としては中間転写体の態様であってもよいし、記録材の態様であっても差し支えない。また、転写手段6の転写方式は、コロトロン等の転写媒体7に非接触なタイプであってもよいし、転写ロール等の転写媒体7に接触するタイプであってもよく、具体的な態様としては、転写手段6は、像保持体1に対向配置されると共に所定の転写電圧が印加され且つ像保持体1との間に所定の転写電界を作用させる転写部材を有するものが挙げられる。これにより、転写時の転写電界を有効に作用させることができるようになる。
【0036】
更に、転写時に画素電極1bを用いる観点からすれば、像書込手段2は、潜像パターンを書き込むことに加え、画素電極1b毎に既に形成された各色トナー像に基づいた転写電圧を印加し、像保持体1に転写電圧による画素電極1b毎の転写電位変化としての転写像パターンを書き込むものであり、転写手段6は、転写像パターンを書き込む像書込手段2と、像保持体1に対向配置され且つ画素電極1b夫々との間で像書込手段2による転写像パターンに応じた転写電界を作用させる対向電極部材とを有することが好ましい。そして、画素電極1b上のトナー像を有効に転写する観点から、更に、像書込手段2によって転写像パターンを書き込むに当たり、現像手段3により画素電極1b毎に既に形成された各色トナー像を考慮した転写電圧を決定した上で像書込手段2を制御する転写像書込制御手段8を有することが好ましい。
【0037】
そして、本実施の形態モデルに係る第三の態様の画像形成装置としては、次のものが挙げられる。移動可能な支持体1a及びこの支持体1aに支持され且つ支持体1aの移動方向に沿った方向を副走査方向、これに直交する方向を主走査方向として縦横に配列された画素電極1bを有する像保持体1と、この像保持体1の潜像書込位置Psにて画素電極1b夫々に対し画像信号に基づいた潜像電圧を印加し、この潜像電圧による潜像電位パターンからなる潜像を像保持体1に書き込む像書込手段2と、像保持体1の潜像書込位置Psより像保持体1の移動方向下流側に位置する現像位置Pdに対応して設けられ、像書込手段2にて書き込まれた潜像をトナーにて可視像化する現像手段3と、像保持体1の潜像書込位置Psにて画素電極1bに対し画像信号に基づいた潜像電圧を印加したときに、潜像書込位置Psから現像位置Pdに至るまでの画素電極1bでの潜像電圧による潜像電位の減衰変化傾向が予め規定された規定範囲内であるか否かを判別する潜像電位変化判別手段4と、像書込手段2にて潜像を書き込み制御するに当たり、潜像電位変化判別手段4が潜像電位の減衰変化傾向を規定範囲内と判別した場合には、予め決められた潜像書込位置Psに画像信号に基づいた潜像電圧を印加する一方、潜像電位変化判別手段4が潜像電位の減衰変化傾向を規定範囲外と判別した場合には、潜像電位の減衰変化傾向が規定範囲内である場合の潜像書込位置Psから現像位置Pdに至るまでの潜像電位の減衰変化量と略等しい潜像電位の減衰変化量となるように潜像電圧を変更し、かつ、変更された潜像電圧を潜像書込位置Psにて印加する潜像書込制御手段5とを備えている。
【0038】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
◎実施の形態1
図2は、上述の実施の形態モデルが適用された画像形成装置の実施の形態1を示す。同図において、本実施の形態の画像形成装置は、所謂タンデム型のカラー画像形成装置であり、装置筐体15内に例えば電子写真方式にて各色成分(例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K))の各色トナー像が形成される像保持体20(20a〜20d)を略垂直方向に並列配置すると共に、これらの像保持体20に対向して循環回転する転写媒体としての中間転写ベルト60を略垂直方向に架け渡し、この中間転写ベルト60上で像保持体20上の各色トナー像を多重化するようにしたものである。
【0039】
像保持体20の周囲には、像保持体20上に形成された静電潜像をトナーにて現像して可視像化する現像器40や、像保持体20上の残留トナーを清掃する清掃部材26が設けられ、また、像保持体20と中間転写ベルト60を挟んで対向する位置には、現像された像保持体20上のトナー像を中間転写ベルト60に転写する転写器27が設けられ、この転写器27と像保持体20との間には、所定の一次転写バイアスが印加されるようになっている。そして、本実施の形態では、像保持体20の近傍に像保持体20の温度条件を検出する温度センサ28(28a〜28d)が夫々設けられている。尚、符号41は現像器40内に設けられて像保持体20に直接トナーを供給する現像ロールとなっており、像保持体20との間に所定の現像電界が作用するようになっている。
【0040】
一方、中間転写ベルト60は、複数の張架ロール61〜63(本例では三個)に張架され、例えば張架ロール61を駆動ロールとして循環回転するようになっており、また、中間転写ベルト60の表面側には、張架ロール63と中間転写ベルト60を挟んで対向する位置に二次転写器64を設け、中間転写ベルト60上で多重化された多重トナー像を後述する記録材供給部70から供給された記録材に一括転写するようになっている。尚、このとき、二次転写器64は張架ロール63をバックアップロールとして、両者の間に所定の二次転写バイアスが印加されるようになっている。
【0041】
そして、装置筐体15内の下方部位には、記録材を供給する記録材供給部70が設けられ、例えば供給容器71内に収容された記録材が、供給ロール72及び捌き機構73にて1枚毎下流側の記録材搬送路74に向かって供給されるようになっている。
また、本実施の形態における記録材搬送系は次のようになっている。すなわち、記録材供給部70から記録材搬送路74に供給された記録材は、記録材搬送路74に設けられたレジストロール75にて一旦位置決めされた後、所定のタイミングで下流側の二次転写器64側に搬送される。その後、二次転写器64と張架ロール63との対向部位である二次転写部位にて中間転写ベルト60上の多重トナー像が記録材に一括転写され、この多重トナー像が一括転写された記録材は定着器76にて定着された後、排出ロール77から装置筐体15の頂部の一部に構成される記録材排出部16に排出されるようになる。尚、記録材搬送路74には、記録材を搬送するための搬送部材(例えば搬送ロール等)が適宜設けられていることは云うまでもない。
【0042】
次に、本実施の形態の像保持体20について詳述する。
図3に示すように、本実施の形態における像保持体20は、回転可能な支持体である剛体ドラム21上に、フィルム上に多数の画素が所謂マトリクス状に形成されたマトリクスパネル30を巻き付けて固定支持したものとなっている。マトリクスパネル30は、例えば耐熱性PET(ポリエステル樹脂)フィルムに対し、所謂IC製造プロセス等で用いられる薄膜技術を利用して作製したもので、画素が縦横にマトリクス状に配列されたものとなっている。そして、このようにマトリクス状に配列された画素は、例えば剛体ドラム21の回転方向に沿った方向を走査ライン(副走査方向)とし、回転軸方向に沿った方向をデータライン(主走査方向)としている。そのため、マトリクスパネル30のデータライン及び走査ラインには、各画素に接続されるデータ用ドライバ31及び走査用ドライバ32が適宜数設けられ、これらのドライバ31,32への入力線は更にまとめられて本数を少なくした段階でマトリクスパネル30から、剛体ドラム21の内面側にまで配線されるようになっている。
そして、本実施の形態では、マトリクスパネル30の表面側には、例えばカーボンブラックが適度に分散されて黒色化処理されたポリイミド層からなる遮光膜36が形成され、外部からの光がマトリクスパネル30の内部に影響しないようになっている。尚、遮光膜36が所定の絶縁性を有していることは云うまでもない。
【0043】
剛体ドラム21は、その外周面の一部に回転軸方向に沿った溝21aが設けられる一方、剛体ドラム21の軸中心部には、マトリクスパネル30と外部配線との電気的接続を行うための所謂スリップリング24が設けられ、剛体ドラム21は固定されたスリップリング24の周りを回転するようになっている。
そして、剛体ドラム21の内周面側には、図4(a)及び(b)に示すように、適宜数の端子22が剛体ドラム21の略回転軸方向に沿って設けられ、これらの端子22は夫々マトリクスパネル30のデータ用ドライバ31及び走査用ドライバ32へと接続されている。更に、これらの端子22には、回転軸中心方向に向かい且つ夫々の端部が互いに離間する方向に延びるスライダ23が接続されて設けられ、このスライダ23の凹部にスリップリング24の集電環24aが装着されるようになっている。尚、スリップリング24の集電環24a部位は、両側の絶縁環24bより径が小さくなっており、剛体ドラム21の回転によってもスライダ23がその対向する集電環24aに常時接触した状態を保つようになっている。尚、剛体ドラム21の溝21aは、例えばシールテープにて塞がれ、像保持体20が回転する際の気流の抵抗が低減されると共に、現像時のトナーの影響も防ぐようになっている。
【0044】
そのため、マトリクスパネル30と外部配線との信号の伝達は、スリップリング24の集電環24aに対応してスリップリング24内に配線されたリード線25から、集電環24a及びスライダ23を介して行われるようになり、剛体ドラム21が回転しても、マトリクスパネル30と外部配線との信号の伝達が適切に行えるようになっている。尚、剛体ドラム21の回転方法は、特に限定されず、例えば剛体ドラム21の外周面端部側を回転ロールに圧接させて回転させるようにしてもよいし、スリップリング24の挿入側とは異なる側で剛体ドラム21自体を回転させる回転軸を備えるようにしても差し支えない。
【0045】
次に、マトリクスパネル30の画素について説明する。
本実施の形態のマトリクスパネル30は、図5(a)に示すように、縦横に画素が配列されており、各画素は、図5(b)に示すように、画素電極34と、画素電極34に印加される電圧を個々に切り替えるスイッチング素子等で構成された所謂アクティブマトリクス方式が採用されている。本実施の形態の像書込手段の一要素であるスイッチング素子としては例えばアモルファスシリコン等から形成されるTFT(Thin Film Transistor)33を用い、その他、画素電極34の電位を維持する蓄積容量35及び各種配線(ソース線、ゲート線等)が夫々形成されている。各画素及び画素間の結線は、データライン毎にTFT33のソースが結線されるソース線、走査ライン毎にTFT33のゲートが結線されるゲート線としてまとめられている。また、TFT33のドレインには画素電極34と蓄積容量35が並列に接続され、蓄積容量35の一方は走査ライン毎にまとめられ(図示せず)、図5(c)のような等価回路を呈するように構成されている。
【0046】
そして、本実施の形態では、遮光膜36(図3参照)により、マトリクスパネル30の表面側からTFT33に入る光が阻止されるようになっている。尚、遮光膜36は、ここではマトリクスパネル30全面に設けるようにしたが、これに限られず、TFT33の性能低下を防ぐように設けられればよく、例えばTFT33上に蒸着等による反射膜を形成するようにしても差し支えない。
【0047】
仮に、遮光膜36がない場合には、特に、TFT33としてアモルファスシリコン等の光電特性を有するものを適用した場合、光の照射による光電効果により、TFT33のオフ抵抗が低下しTFT33の放電時定数が小さくなる。そのため、現像時の像保持体20上の電位コントラストが小さくなり、画像むら等の画質劣化が生じるようになる。このような点を避けるように遮光膜36を形成する必要があるが、遮光膜36を用いずに、像保持体20を含む作像部を遮光ケース内に入れたり、外部の光が像保持体20に到達しないようにレイアウトするようにしてもよい。更には、画素電極34での潜像電位への光の影響を排除するために、画素電極34に潜像電圧が印加され、現像されるまでの像保持体20の領域を覆うようにしても差し支えない。
【0048】
マトリクスパネル30は、このように各画素を多数並べた構成のため、そのドライブ方式は次のように行われる。マトリクスパネル30は、図6に示すように、データライン及び走査ライン毎に所定数の画素がまとめられ、TFT33のソース側がデータライン毎に夫々データ用ドライバ31へ接続される一方、TFT33のゲート側が走査ライン毎に夫々走査用ドライバ32に接続されており、データ用ドライバ31及び走査用ドライバ32は、画像形成装置内に設けられた像書込制御装置100によって駆動制御されるようになっている。そのため、これらのデータ用ドライバ31及び走査用ドライバ32を駆動制御することで、所定の画素に所定の電圧が印加できるようになる。データ用ドライバ31としては、例えばサンプルホールド付きのシフトレジスタ、ラッチ、バッファ等で構成され、走査用ドライバ32としては、例えばカウンタ、ラッチ、バッファ等で構成される。尚、図7では、画素電極34は省略しているが、TFT33と蓄積容量35との間に接続された画素電極34が設けられていることは云うまでもない。
【0049】
本実施の形態の像書込制御装置100は、図7に示すように、画素電極34に印加する潜像電圧を制御する潜像電圧制御部101と、温度センサ28(図2参照)からの検出情報に基づいて、潜像書込位置にて画素電極34に対し画像信号に基づいた潜像電圧を印加したときに、潜像書込位置から現像位置に至るまでの画素電極34での潜像電圧による潜像電位の減衰変化傾向が予め規定された規定範囲内であるか否かを判別する潜像電位変化判別部106と、この潜像電位変化判別部106での判別結果に基づいて像保持体20の潜像書込位置を設定する走査タイミング設定部107とで構成されている。更に、本実施の形態では、像保持体20の回転速度と画素電極34の走査速度とは、互いに逆方向且つ等速度に設定されているため、像書込制御装置100では、画像信号や制御信号や温度センサ28からの検出情報に基づいて、所定の潜像電圧を所定のタイミングでデータ用ドライバ31及び走査用ドライバ32に送出することで、像保持体20上の現像位置から所定距離だけ上流側にある潜像書込位置に対し所定の潜像電圧を印加するようになっている。
【0050】
そして、潜像電圧制御部101は、画像信号からの画像データを記憶するメモリ部102、メモリ部102からの画像データを階調変換する階調変換部103、階調変換されたデータから画素電極34毎の潜像電圧を設定する潜像電圧設定部104、潜像電圧設定部104に具体的な各種潜像電圧を供給する潜像電圧用電源部105等で構成されている。
【0051】
そのため、本実施の形態の潜像電位変化判別部106は、像保持体20の潜像書込位置にて画素電極34に対し画像信号に基づいた潜像電圧を印加したときに、潜像書込位置から現像位置に至るまでの画素電極34での潜像電圧による潜像電位の減衰変化傾向が予め規定された規定範囲内であるか否かを判別するものである。また、走査タイミング設定部107は、潜像電位変化判別部106にて潜像電位の減衰変化傾向が規定範囲内であると判別された場合には、予め決められた潜像書込位置にて潜像書き込みを行い、一方、規定範囲外と判別された場合には、潜像電位の減衰変化傾向が規定範囲内である場合の潜像書込位置から現像位置に至るまでの潜像電位の減衰変化量と略等しい潜像電位の減衰変化量となるように潜像書込位置を変更するようになっている。
【0052】
更に、本実施の形態では、画素電極34に印加される潜像電圧を画像信号から階調変換部103を介して行うようになっているため、潜像電圧を単なる二値化した値ではなく、それ以上の多値化に設定することが可能になり、画像濃度に合わせた潜像電圧を画素電極34に印加することができるようになる。このことを、図8を用いて説明する。今、画像信号(画像データ)の各色濃度に対し、例えば三段階の閾値(図中、A,B,Cで示す)を設け、C以下であれば電圧を0とし、Cを超えB以下であればV/3、Bを超えA以下であれば2V/3、Aを超えればVとするようにすれば、四階調の潜像が形成されるようになる。
【0053】
次に、このように、四段階に分類された画像データを画素電極34に印加するための方式について図9を用いて説明する。今、階調変換された信号が、図9(a)のような信号であり、データラインに沿って「…a,b,c,d…」、次のデータラインに「…b,a,d,c…」の画像が得られたものとすると、潜像電圧設定部104(図7参照)では、例えば図9(b)に示すように、a,b,c,dに合わせて二値化されたデータを先ず生成する。つまり、「…00011011……01001110…」のようなデータ信号が生成される。そして、この生成信号から、「00」〜「11」までに対応する電圧を潜像電圧用電源部105から夫々選択することで、四段階の潜像電圧用波形が設定される。このように設定された潜像電圧用波形をデータ用ドライバ31に伝達し、走査用ドライバ32に走査タイミング設定部107(図7参照)からの制御信号を伝達することで、図9(c)に示すように、画素電極34毎に濃度の異なる各色の画像が形成されることとなる。
【0054】
このように、画素電極34に印加される潜像電圧(信号電圧)を階調変換したものとすることで、現像により画素電極34上に付着するトナー量を変化させることができ、より画質のよい画像が形成できるようになる。
ここで、階調数については特に限定されず、実用上問題ない範囲であればよく、また、階調を行わずに単に二値化された潜像電圧とするようにしてもよいことは云うまでもない。更に、ここでは、画像信号に基づく潜像電圧を印加する方法としてアクティブマトリクス方式で用いられる階調方式、すなわち、電圧振幅を所定の階調数とした電圧階調方式を示したが、例えばフレームレートで階調表示を行うフレームレート階調方式を用いるようにしてもよいことは云うまでもない。
【0055】
次に、本実施の形態における画素電極34夫々の駆動方式について図5(c)を用いて説明する。TFT33の走査ライン側に接続されたゲートにON電圧を印加すると、TFT33のソース−ドレイン間が導通状態となり、データライン側に印加されるソース電圧と等価になるまで蓄積容量35が充電される。この充電された電荷によって静電潜像を形成する潜像電位がもたらされる。また、その状態でゲートにOFF電圧が印加され、ソース−ドレイン間が遮断されても蓄積容量35の容量成分によって充電された電荷はそのまま保持されるため、以降にソース電圧が変化してもゲートにON電圧が印加されない限り潜像電位はそのまま保持されるようになる。
【0056】
そのため、各画素のTFT33のソース側へ像濃度に相当する信号電圧を印加すると共に、ゲート側へON電圧を印加することにより、データライン1ライン分の静電潜像が形成されるようになる。つまり、本実施の形態では、ON電圧を印加するゲート位置が潜像書込位置となる。また、本実施の形態では、画素電極34の走査速度が像保持体20の回転方向と逆方向であり、かつ、等速度であることから、像保持体20上の相対位置を変化させることなく、画素電極34を順次走査するようになり、この走査に合わせてデータラインに新たな信号電圧を印加することにより、像保持体20上には二次元の潜像が形成されるようになる。
【0057】
次に、本件の特徴点である潜像書込位置について説明する。
図10(a)は回転速度がv1の像保持体20に対し、所定の潜像書込位置Psにて画像信号に基づく所定の潜像電圧が画素電極34に印加された後、現像位置Pdで現像がなされる場合の模式図を示すものである。尚、vは画素電極34の走査速度を示している。
ここで、潜像書込位置Psにて画素電極34にV0の潜像電位が形成される潜像電圧が印加されたとすると、この潜像電位は図10(b)に示すような曲線に沿って時間的に減衰変化する減衰変化傾向を示すようになる。この減衰変化傾向は、潜像書込位置Psで潜像電圧が印加された直後に非常に大きな減衰を示す電位不安定領域と、この電位不安定領域の後に続く緩やかな減衰状態を示す緩減衰領域とに分けられる。この初期の電位不安定領域は、蓄積容量35やTFT33自体の各種浮遊容量があることに起因しているものと想定され、その後の緩減衰領域は蓄積容量35からの放電によって時定数τで減衰していくようになる。尚、図中電位不安定領域での減衰曲線は分かり易くするために電位軸及び時間軸とも拡大して示している。
【0058】
一般に、TFT33の特性にもよるが、画素電極34上の潜像電位は図11(a)に示すように、約200msの時定数τで減衰することが知られている。このような状況で、例えば液晶画面でのフリッカ防止の走査と同様の走査を行うように仮に60サイクルで1画面を走査すると想定すると、図11(b)に示すように、その走査周期は約17msとなる。そのため、潜像書込位置Psから現像位置Pdまでに至る時間が不定の場合には潜像電位はV0〜約0.9V0の間で変化し、最大で約10%の電位むらが発生するようになる。その結果、同一潜像電圧であっても画像濃度が不均一になる。
しかしながら、オフセット印刷と同様の画像濃度の均一性を得るには、このような電位むらを約2%以下に抑える必要がある。この対策のために時定数τを大きくしたり、走査周期を短くすることが考えられるが、TFT33を高密度に配列したもので時定数τを大きくしたり、走査周期を短くしたりすることは難しい。
【0059】
更に、画素電極34上の潜像電位は、例えば温度条件によってもその減衰変化傾向が異なるようになる。温度が高温の場合には、TFT33内の易動度の上昇等のため減衰変化量が大きくなる。そのため、所定の潜像書込位置Psで画素電極34に同じ潜像電圧を印加しても、現像位置Pdでの潜像電位は温度によって異なるようになり、高温時には低温時に比べ潜像電位が小さくなる。その結果、高温時には現像された濃度が低温時に比べ薄い方向へ移行するようになり、温度条件によって出力される濃度が異なるようになる。
【0060】
一方、このような潜像電位の変化は、印加する電圧の大小によってもその割合が変化する。一般的なTFT33を用いた場合には、画素電極34に印加する信号電圧(潜像電圧)を高電圧にすると電位の保持性が低下し、信号電圧を上げても電極電位(潜像電位)が上がらなくなる。また、潜像書込位置Psから現像位置Pdまでの経過時間が長くなると、信号電圧の高い高電圧領域の方が信号電圧の低い低電圧領域に比べ、減衰変化量が大きくなる。通常、このような高電圧領域では電気特性が不安定なために使用を避けるようになるが、電位コントラストが大きく、かぶりのない、しかも現像濃度の高い画像を得るには画素電極34の潜像電位が安定した高い潜像電位になるような高電圧領域のものを用いることが望まれる。
【0061】
この点に関し、本実施の形態では図12に示す制御フローに従って潜像書込位置Psの調整を行うようになっている。つまり、画素電極34の潜像電位の減衰変化傾向を把握するために、先ず、温度センサ28によって像保持体20の温度を測定する(ステップS1)。次に、測定された温度が所定の温度を超えるか否かを判別し(ステップS2)、所定の温度を超えると判別された場合には、減衰変化傾向が規定外であると判断し(ステップS3)、潜像書込位置Psを規定の位置から変更する(ステップS4)。このとき、変更する位置は、事前に実験等によって求めた適正位置データを記憶しておき、このデータに基づいて潜像書込位置Psを変更するようにしている。
一方、ステップS2にて温度が所定の温度を超えないと判別された場合には、減衰変化傾向が規定内であると判断し(ステップS5)、潜像書込位置Psは規定位置とするようにしている(ステップS6)。
【0062】
このように潜像書込位置Psを調整することで、潜像書込位置Psから現像位置Pdに達するまでに一つの画素電極34が移動する時間を調整することができ、更に、この同じ潜像書込位置Psで潜像電圧の印加を行うことができるため、減衰変化傾向が規定範囲内である場合の潜像書込位置Psから現像位置Pdに至るまでの潜像電位の減衰変化量と略等しい減衰変化量とすることができ、画素電極34に印加する潜像電圧を大きくした状態でも現像位置Pdでの安定した潜像電位を保つことが可能になる。尚、潜像書込位置Psの変更は、像保持体20に基準位置を設け、この基準位置と現像位置Pdとの関係を検出することで潜像書込位置Psにある画素電極34を把握し、この画素電極34に対する走査ライン及びデータラインに夫々の信号を送出するようにすればよい。
【0063】
更に、現像位置Pdで現像される画素電極34上のトナー濃度を均一に保つには、潜像書込位置Psにて印加された潜像電圧による潜像電位が現像位置Pdに至ったときに均一な潜像電位になっている必要がある。つまり、図10(b)のような電位不安定領域や温度条件を考慮した上で、現像位置Pdでの潜像電位を均一にするための好適な潜像書込位置Psにて潜像電圧を印加する必要がある。
本実施の形態では、このような点を踏まえて潜像書込位置Psを温度に合わせた好適位置に変更し、この変更された潜像書込位置Psが一定となるように、走査速度v2を像保持体20の回転速度v1と同じ速度にしたので、現像位置Pdでの均一な潜像電位を確保することができ、現像による濃度の均一性が達成されるようになる。つまり、潜像電圧を画素電極34に印加する潜像書込位置Psを温度によっては異なる位置に変更されても、現像位置Pdでの潜像電位を均一に保つことができるようになり、所定の画像濃度を得ることができるようになる。例えば、温度条件が高温と判別されれば、予め決められた潜像書込位置Psより下流側に新たな潜像書込位置Psを設け、この潜像書込位置Psにて画像信号に基づいた潜像電圧を画素電極34に印加するようになる。
【0064】
このような潜像書込位置Psの変更を可能にすることで、画素電極34に印加する潜像電圧を大きいものにすることも容易になされるようになり、高電圧領域の使用も容易にできるようになる。そのため、画像濃度を高めることができ、濃度むら、画像かぶりの発生を防ぎ、更に、電位コントラストを高める(現像コントラストが高まる)こともできるようになる。
【0065】
本実施の形態では、減衰変化傾向の要因として温度条件を用いる態様を示したが、像保持体20上のトナー像の濃度を検出する濃度センサを設け、この濃度センサによって検出される濃度が予め規定された濃度になるように潜像書込位置Psを変更するようにしてもよい。また、像保持体20上の潜像電位を検出する電位センサを設け、この電位センサによって検出された電位が予め規定された電位になるように潜像書込位置Psを変更するようにしてもよい。そして、このような濃度センサや電位センサを用いる場合には、像保持体20での画像形成を行う前に、一旦像保持体20上の画素電極34を複数用いて例えばベタ画像領域を作成し、このベタ画像領域での電位を検出したり、現像後の濃度を検出するようにして、潜像書込位置Psを決定するようにすればよい。このように、実際の像保持体20上の特性から潜像書込位置Psを変更するようにすれば、像保持体20自体が経時変化等にて特性変化を生じるようになっても、画質の安定性を維持することができるようになる。あるいは、像保持体20を交換した場合にも画質の安定性を維持することができるようになる。
【0066】
そして、本実施の形態では、潜像電圧の大小に係わらず、潜像書込位置Psを変更する方式を示したが、印加する潜像電圧として、その最大値が予め規定された値以上の場合に限り、潜像書込位置Psを変更するようにしてもよい。つまり、潜像電圧が大きい場合には、電位コントラストが不安定になり易いが、潜像電圧が小さい場合には電位コントラストが安定し易い。したがって、潜像電圧として大きい電圧を印加するような場合に潜像書込位置Psを選択的に変更することで、潜像電圧の大小に依らず問題のない電位コントラストを得ることができるようになる。
【0067】
図13は、このように使用する潜像電圧の大小によって潜像書込位置Psを変更するか否かの判断を加えたフローを示すもので、先ず、使用する最大潜像電圧が所定値を超えるか否かの判別がなされ(ステップS11)、所定値を超えると判別された場合には、温度センサ28によって測定された温度が所定の温度を超えるか否かを判別し(ステップS12)、所定の温度を超えると判別された場合には、減衰変化傾向が規定外であると判断し(ステップS13)、潜像書込位置Psを規定の位置から変更する(ステップS14)。
また、温度が所定の温度を超えないと判別された場合には、減衰変化傾向が規定内であると判断し(ステップS15)、潜像書込位置Psは規定位置のままとするようにしている(ステップS16)。
一方、ステップS11で最大潜像電圧が所定値を超えないと判別された場合には、減衰変化傾向が規定内であると判断し(ステップS15)、潜像書込位置Psは規定位置とする(ステップS16)。
このように使用する潜像電圧によって制御を変えることができ、制御自体の簡略化がなされるようにもなる。
【0068】
本実施の形態では潜像書込位置Psを変更する態様を示したが、潜像書込位置Psの変更と共に、印加する潜像電圧自体を調整するようにしてもよい。例えば同じ潜像書込位置Psにて同じ潜像電圧を印加しても、温度条件が高いときには低い温度のときより現像位置Pdでの潜像電位が小さくなることから、これを補正するように潜像書込位置Psの変更に合わせて潜像電圧自体を調整することで、調整幅が広くなり、潜像書込位置Psから現像位置Pdに至るまでの潜像電位の減衰変化量を小さくすることができるようになる。
また、本実施の形態では、温度センサ28を夫々の像保持体20に個々に備える態様を示したが、例えば温度センサ28を一つとして、環境温度を測定し、この結果で全ての像保持体20の潜像書込位置Psを調整するようにしても差し支えない。
更に、潜像書込位置Psを固定した状態で、画素電極34に印加する潜像電圧を変化させるようにしても差し支えない。例えば、高温時にはその温度分を補正するために、潜像電圧をその分高くするようにすれば、現像位置Pdでの潜像電位を低い温度のときと均一にすることができるようになる。
【0069】
本実施の形態では、像保持体20の数量を四個としたフルカラーの対応を示したが、像保持体20の数量はこれに限られず、例えば特色トナーや、透明トナーを適用するものを追加するようにしても差し支えない。更には、本実施の形態ではカラー対応の画像形成装置を説明したが、モノクロ対応の画像形成装置であってもよいことは云うまでもない。特に、本実施の形態では像保持体20を回転させる方式としたが、像保持体20を平板状に設け、像保持体20、あるいは現像器40と転写器27のいずれか一方を移動させるようにしてもよく、像保持体20が回転体の場合に比較して画像形成を繰り返す速度は低減される可能性があるものの、回転体と同様の画像を形成することができるようになる。
【0070】
◎実施の形態2
図14は、実施の形態2に係る画像形成装置に用いられる現像器40を示したもので、特にトナーとして導電性トナーを用いるように工夫したものとなっている。
本実施の形態における現像器40は、導電性トナー(以降適宜トナーと略す)が収容される現像ハウジング40aを有し、この現像ハウジング40aには像保持体20に対向して現像用開口40bを開設すると共に、この現像用開口40bに面して像保持体20と離間配置し且つ対向部位で同方向(With)に回転する現像ロール(現像トナー保持体に相当する)41を配設し、像保持体20と現像ロール41とが対向する現像位置Pdにて像保持体20と現像ロール41との間に印加されたバイアス電源51及び画素電極34の潜像電位による電界作用により、現像ロール41上のトナーが像保持体20側に移動するようになる。尚、本実施の形態の現像ロール41は像保持体20の周速の1〜2倍で回転するように設定されている。
【0071】
また、現像ロール41の像保持体20と異なる側には、現像ロール41に対向して、帯電された導電性トナーを保持して搬送する中間トナー保持体としての中間ロール42が設けられている。本実施の形態における中間ロール42は、現像ロール41との対向部位にて互いに異なる方向(Against)に回転すると共に、その周速が現像ロール41の周速の1.2〜2倍の大きさになるように設定されている。また、中間ロール42と現像ロール41との間にはバイアス電源49によって所定の移動バイアスを印加することで、中間ロール42と現像ロール41とが対向する移動領域に移動電界を作用させ、中間ロール42上のトナーを現像ロール41に移動し易くしている。
【0072】
更に、中間ロール42の略上方に対向する位置には、未帯電のトナーに電荷を注入可能な電荷注入部材としての電荷注入ロール43が設けられている。本実施の形態の電荷注入ロール43は、例えばアルミニウム又はステンレス等の金属製のロール部材にて構成され、中間ロール42との間にバイアス電源50によって所定の電荷注入バイアスを印加することで、電荷注入ロール43と中間ロール42とが対向する電荷注入領域に電荷注入電界を作用させるようになっている。また、電荷注入ロール43は、中間ロール42との対向部位で互いに同方向(With)に回転するようになっており、その周速は中間ロール42の周速の1.5〜2.5倍となっている。
【0073】
また、本実施の形態の現像器40には、中間ロール42にトナーを供給するために、例えばポリウレタン樹脂等からなる導電性フォームロール構成のトナー供給ロール44が、電荷注入ロール43より中間ロール42の回転方向上流側位置にて中間ロール42に対向配置され、中間ロール42との対向部位で互いに異なる方向(Against)に回転するように設けられている。また、トナー供給ロール44は中間ロール42の周速の0.3〜1.0倍の周速で回転するように設定されている。そして、本実施の形態では、このトナー供給ロール44と中間ロール42とは電気的に短絡されている。そのため、電荷注入ロール43と中間ロール42との間で、中間ロール42表面が帯電されても、トナー供給ロール44と中間ロール42の電位を均一にする作用が働き、中間ロール42表面の帯電を抑える効果、すなわち、除電効果が作用するようになると共に、中間ロール42上に付着したトナーを清掃することができ、トナー供給ロール44が中間ロール42のリフレッシュ機能を果たすようになっている。
【0074】
そして、中間ロール42に対し、トナー供給ロール44と電荷注入ロール43の夫々の対向部位との間には、中間ロール42へトナー供給ロール44から供給されたトナーを規制して層状にする層形成ブレード45が設けられている。この層形成ブレード45は例えば0.05〜0.2mm厚のステンレスやりん青銅等の板状ばね部材からなるもので、現像ハウジング40aにその一端側が固定された支持部材45aの自由端側に固定支持されるようになっている。そして、特に、層形成ブレード45は自由端側の面が中間ロール42側に所定の押圧力で圧接するように設けられており、中間ロール42上のトナーを余分に掻き落とすことなく、層状に並べる効果がより一層発揮できるようになっている。尚、層形成ブレード45としては、トナーを層状にできるものであれば特に限定されず、板状ばね部材表面に弾性体を設けるようにしても差し支えない。
【0075】
一方、現像ロール41の現像位置Pdより下流側で中間ロール42に至るまでの間には、現像ロール41に接触するように例えばアルミニウム製の金属ロールからなるリフレッシュロール46が設けられている。そして、このリフレッシュロール46を接地することで、現像ロール41上の残留トナーを静電的に除去すると共に、現像ロール41表面の除電機能を果たすようになっている。また、このリフレッシュロール46には図示外の金属製ブレードが設けられ、リフレッシュロール46に付着したトナーを回収するようになっている。尚、リフレッシュロール46としては金属ロールに限られず、例えば導電性繊維を用いたブラシを用いるようにしてもよい。尚、図中符号48は、現像ハウジング40a内のトナーを撹拌しながらトナー供給ロール44にトナーを供給するアジテータである。
【0076】
また、本実施の形態で用いられる導電性トナーは、例えば図15(a)に示すように、導電性を有する材料からなる導電性トナー基体(導電性コア)81を有し、この導電性コア81の周囲を絶縁性被覆層(例えば絶縁性樹脂層)82で被覆すると共に、導電性コア81の一部が露出するように絶縁性被覆層82に適宜数の凹部83を設けたものが用いられる。導電性トナーは、重合法や各種公知のカプセル化技術で作製することができる。この時、導電性コア81は、ポリエステル系樹脂やスチレンアクリル系樹脂等に導電性カーボンやITO等の透明導電粉などの導電剤を分散させたり、ポリエステル系樹脂やスチレンアクリル系樹脂等からなる粒子表面を前記導電剤により被覆することによって、作製される。
【0077】
このような態様の導電性トナーに対し高電界を印加すると低抵抗化する傾向を示す。そして、低抵抗化する電界の大きさについては、トナーの主として凹部83の占有割合、あるいは、絶縁性被覆層82の厚さなどに依存する。このメカニズムについては、導電性コア81が絶縁性被覆層82にて被覆されているため、導電性コア81自体がコア同士接触することや直接電極部材等に接触することがなく、絶縁性被覆層82を介して一定の微小間隙を保つことになり、この結果、例えば高電界が印加された時、トンネル効果等により導通することになるものと推測される。
【0078】
また、導電性トナーの他の態様としては、例えば図15(b)に示すように、導電性コア81を絶縁性若しくは半導電性の被覆層84にて被覆し、被覆層84の厚さhを適宜調整することにより、トナーの抵抗を調整可能としたものが挙げられる。このとき、半導電性の被覆層84については、それ自体半導電性の材料を用いるようにしてもよいし、例えば絶縁性樹脂に、酸化チタンや酸化すず等の金属酸化物や導電性カーボンを微量含有させた半導電性樹脂を用いるようにしてもよい。そして、導電性コア81としては、例えば通常の絶縁性トナーからなる絶縁性トナー基体(絶縁性コア)の外表面近傍に導電性微粒子を付着させる態様や、絶縁性コアの内部に導電性微粒子を混入させるものなど適宜選定して差し支えない。
【0079】
このような導電性トナーを使用する際の現像器40での作動について概略を説明する。アジテータ48により撹拌されたトナーが、トナー供給ロール44側に供給された後、トナー供給ロール44の回転によって中間ロール42との対向部位に運ばれ、Against回転の中間ロール42側に供給される。中間ロール42上に供給されたトナーは層形成ブレード45によってその層厚が規制され、略均一なトナー層が形成される。この均一に形成された中間ロール42上のトナー層は、中間ロール42と電荷注入ロール43との対向部位にて、両者間に挟持され摺擦されながら、バイアス電源50によりもたらされる電荷注入電界によって電荷注入される。
【0080】
このような状態において、両者間に挟持されたトナーは単層以下に揃えられることから、トナーと電荷注入ロール43との接触確率が高められ、しかも、トナーの接触抵抗を小さくすることが可能になり、その分、トナーの見かけ上の抵抗が小さくなり、トナーは低抵抗な状態で電荷注入されるようになる。そのため、電荷注入電界としては、比較的低電界であっても、トナーには効率的に電荷注入が行われるようになる。特に、本実施の形態では、電荷注入ロール43がトナーへの電荷注入機能を専用に行うことができるため、電荷注入作用を安定して行うことができるという特長がある。
【0081】
このように、単層以下にしたトナーに対して電荷注入を行うことで、トナーに対する電荷注入が効果的になされ、WST(Wrong Sign Toner)の発生を抑えることができるようになる。そして、電荷注入ロール43との対向部位を経た中間ロール42上には、均一な電荷注入がなされた単層以下のトナー層となって、中間ロール42に保持されて搬送されるようになる。このとき、電荷注入ロール43と中間ロール42との間にトナーを挟持し、特に、摺擦しながら電荷注入するようにしているため、トナーの電荷注入ロール43への接触確率が更に高まり、かつ、接触抵抗を更に低減することが可能であるため、低い電荷注入電界にてトナーを単層状態で効率的に電荷注入することが可能になる。また、トナー層間にせん断力が与えられるため、トナーが分極状態で重なることを防止でき、電荷注入電界が仮に高電界の場合であってもWSTの発生を防止できるようになる。
【0082】
次に、電荷注入によって帯電されたトナーは中間ロール42と現像ロール41との対向部位に搬送される。ここでは、中間ロール42と現像ロール41とを互いにAgainst回転させ、バイアス電源49により移動電界を作用させるようにしているので、トナーは中間ロール42と現像ロール41とのニップを通過することなく、静電的に現像ロール41側へ移動するようになり、トナー帯電量を変化させることがない。更に、現像ロール41の周速に対し中間ロール42の周速を1.2〜2倍に増加させているため、中間ロール42から現像ロール41へ移動するトナー量を多くすることができ、結果的に現像ロール41上のトナー量密度を中間ロール42上のトナー量密度の略1.2〜2倍にすることができるようになる。尚、このとき、中間ロール42と現像ロール41とは、必ずしもAgainst回転する必要はなく、With回転させるようにしてもよい。このことは、移動電界が電荷注入電界に比べ小さく設定されているため、この移動時にトナーの帯電状態を変化させる虞が少ないことによる。尚、図中符号47は、中間ロール42に設けられたリフレッシュロールである。
【0083】
そして、現像ロール41上に移動したトナーは、そのまま現像ロール41上を搬送されて現像ロール41と像保持体20との対向部位にある現像位置Pdに進む。ここで、バイアス電源51及び像保持体20上の画素電極34の潜像電位による電界作用により、現像ロール41上のトナーが潜像を現像して可視像化するようになる。このとき、現像ロール41上のトナー量密度が高くなっていることから、潜像に合わせた画像濃度を実現できるようになる。また、このことにより、現像ロール41の周速を徒に速める必要もないことから、現像ロール41の回転によって像保持体20上のトナーを掻き取ることもなく、細線再現性や粒状性等の画質劣化もなく、十分な画像濃度を得ることができるようになる。
【0084】
また、図16は、上述した現像器40(図14参照)の変形の形態の現像器40’を示したものであり、このような現像器40’を使用するようにしてもよい。ここに示す現像器40’は、上述した現像器40と略同様に構成されるが、電荷注入ロール43が独立して設けられるものではなく、中間ロール42とトナー供給ロール44との間に設けられる一方、層形成ブレード45が電荷注入ロール43上のトナーを規制するように設けられている点が大きく異なる。そのため、トナーは、トナー供給ロール44から電荷注入ロール43に搬送され、電荷注入ロール43から中間ロール42を経て現像ロール41に搬送されるようになる。
【0085】
このような構成の現像器40’での作動について説明する。現像器40’は、現像ハウジング40a内において導電性トナーがアジテータ48により撹拌され、撹拌されたトナーはトナー供給ロール44側に供給される。トナー供給ロール44と電荷注入ロール43とは互いにAgainst回転しているため、トナー供給ロール44に供給されたトナーは、電荷注入ロール43との対向部位で電荷注入ロール43側へと移動する。電荷注入ロール43上に移動したトナーは、層形成ブレード45によって層厚規制され、電荷注入ロール43で搬送されるトナーは所定のトナー層を形成する。
【0086】
層形成ブレード45によって形成されたトナー層は、電荷注入ロール43と中間ロール42との対向部位にて、この間に作用する電荷注入電界により電荷が注入されて帯電される。このとき、トナーは電荷注入ロール43と中間ロール42との間に挟持され、かつ、両者間の周速差によって摺擦されながら単層以下の層になって電荷注入されることになり、トナーと電荷注入ロール43との接触確率が高められ、しかも、トナーの接触抵抗を小さくすることが可能になり、その分、トナーの見かけ上の抵抗が小さくなり、トナーが低抵抗な状態になった際に電荷注入がなされるようになる。
【0087】
電荷が注入され帯電されたトナーは、中間ロール42上に単層以下のトナー層として保持されてそのまま搬送されるようになり、中間ロール42と現像ロール41との対向部位に達する。ここでは、両者間にトナーの移動を容易にする方向の移動電界を作用させると共に、更に、互いにAgainst回転を行い、中間ロール42の周速が現像ロール41の周速より速くなっているため、現像ロール41上には中間ロール42上のトナー量密度より高いトナー量密度のトナー層が形成され、現像ロール41上に保持されて搬送される。現像ロール41によって搬送されたトナーは、現像位置Pdにて像保持体20側の潜像電位及びバイアス電源51の現像バイアスの電界作用によって現像ロール41側からのトナーの飛翔により現像されて可視像化される。
【0088】
以上のように、このような現像器40’にあっても、現像ロール41上のトナー量密度を中間ロール42上のトナー量密度より大きくすることができ、その分、画像濃度を高くすることができるようになる。また、現像領域での低電荷トナーや逆極性トナーが生成されることは少なく、かぶりやトナークラウドを有効に防止できるようになる。
【0089】
上述したように、本実施の形態では、現像器40,40’を用いる態様を示したが、現像器40としては、像保持体20上に形成された潜像を可視像化できるものであればよく、上述の現像器40,40’において、現像ロール41と中間ロール42とを一体化したような態様のものであってもよい。また、像保持体20に対する低電界作用での現像を可能とする観点からは、トナーとして導電性トナーを用いる方が好ましいが、通常用いられる絶縁性トナーを使用するようにしてもよいことは云うまでもない。
【0090】
◎実施の形態3
図17は、実施の形態3に係る画像形成装置に用いられる像書込制御装置100’を示すもので、実施の形態1の像書込制御装置100(図7参照)とは異なるものとなっている。つまり、実施の形態1の像書込制御装置100は、画素電極34に対して潜像電圧を印加するものであったが、本実施の形態の像書込制御装置100’は、画素電極34に対して潜像電圧及び転写電圧を印加するようになっている。
【0091】
本実施の形態の像書込制御装置100’は、画素電極34に印加する潜像電圧を制御する潜像電圧制御部101と、画素電極34に転写電圧を印加する転写書込位置Ptにおいて画素電極34に印加する転写電圧を制御する転写電圧制御部108と、温度センサ28(図2参照)からの検出情報に基づいて、実施の形態1(図7参照)と同様に潜像書込位置を変更するための判別を行う潜像電位変化判別部106と、この潜像電位変化判別部106での判別結果に基づいて像保持体20の潜像書込位置Ps及び転写書込位置Ptを設定する走査タイミング設定部107’と、潜像電圧制御部101及び転写電圧制御部108のいずれかからの信号をデータ用ドライバ31に伝達するように切り替える切替部111等で構成されている。
【0092】
また、潜像電圧制御部101は、画像信号からの画像データを記憶するメモリ部102、メモリ部102からの画像データを階調変換する階調変換部103、階調変換されたデータから画素電極34毎の潜像電圧を設定する潜像電圧設定部104、潜像電圧設定部104に具体的な各種潜像電圧を供給する潜像電圧用電源部105等で構成されている。一方、転写電圧制御部108は、潜像電圧制御部101内のメモリ部102からの画像データに基づいて転写電圧を設定する転写電圧設定部109、転写電圧設定部109に具体的な転写電圧を供給する転写電圧用電源部110等で構成されている。
【0093】
そして、本実施の形態では、潜像電圧制御部101で設定された潜像電圧と、転写電圧制御部108で設定された転写電圧のうち、いずれかが切替部111を介してデータ用ドライバ31に導かれ、一方、走査用ドライバ32には、潜像電位変化判別部106の判別結果に基づいて走査タイミング設定部107’にて走査タイミングが設定され、それに合わせた信号が伝達されるようになる。そして、このとき、走査用ドライバ32には、例えば二系統のカウンタを備え、その夫々に選択的に像書込制御装置100’からの信号を伝達することで、一系統のカウンタを選択的に動作させ、現像前の潜像書込位置Psや転写前の転写書込位置Ptのいずれかを選択することができるようになっている。
【0094】
図18は、本実施の形態での一つの像保持体20の走査方式を示す概略図である。尚、画像形成装置は実施の形態1と略同様の構成のため、ここでは省略する。
本実施の形態では、潜像書込位置Psと、更に、像保持体20と転写器27との対向部位である転写位置に基づく転写書込位置Ptにて、画素電極34に夫々潜像電圧及び転写電圧を印加するようになっている。
今、ある時間のタイミングで図18(a)のように、潜像書込位置Psから像保持体20の回転方向上流側に向かって画素電極34がx,y,z,…と並んでおり、一方、転写書込位置Ptより上流側では画素電極34がX,Y,Z,…と並んでいるものとする。
【0095】
ここで、本実施の形態では、潜像書込位置Psと転写書込位置Ptとを交互に選択するようにして、像保持体20の画素電極34に対し潜像の形成、並びに、転写像パターンの形成を行うようにしている。つまり、図18(b)に示すように、潜像書込位置Psにある画素電極34(具体的にはx)の走査を行った(ON)直後に、転写書込位置Ptにある画素電極34(具体的にはX)の走査を行う(ON)ようにする。次に、潜像書込位置Psにある画素電極34(具体的にはy)の走査を行う(ON)。このような動作を繰り返すことで、潜像書込位置Psと転写書込位置Ptとが交互に選択され、画素電極34に対し潜像書込位置Psでは潜像電圧が印加され、転写書込位置Ptでは転写電圧が印加される。更に、このとき、潜像書込位置Ps及び転写書込位置Ptでの見かけ上の走査速度v’が、いずれも像保持体20の回転速度と等しくなるように設定することで、潜像書込位置Psから現像位置Pdまでの画素電極34の到達時間を一定にすることができるようになる。
【0096】
ここで、潜像を形成するための潜像書込位置Psでの画素電極34のON時間と、転写像パターンを形成するための転写書込位置Ptでの画素電極34のON時間とは等しくする必要はなく、適宜設定すればよい。また、転写書込位置Ptは、転写位置での画素電極34上に付着したトナー量に合わせて、転写器27と画素電極34との間で画素電極34上に形成されたトナーを転写器27側へ飛翔させる方向の電界が発生するように、転写電圧を印加する位置であり、転写位置あるいはその近傍で画素電極34に例えば潜像電圧と極性の異なる電界方向の転写電圧を印加するようにしている。尚、本例では転写器27を接地している。
【0097】
そして、本実施の形態では潜像書込位置Psを減衰変化量によって適宜変更するようにしているため、現像位置Pdでの画素電極34上の潜像電位を安定させることができるようになる。ここで、転写書込位置Ptについても減衰変化量に合わせて位置を変更するようにしても差し支えないが、転写電圧としては画素電極34上に形成されたトナー量を転写できる転写電界が形成されるものであればよいことから、現像時とは異なり、余裕を持った電圧設定を行うことが可能であり、減衰変化量に応じて転写書込位置Pt自体を変更することは特に必要ではない。また、転写時に画素電極34から転写媒体(本例では中間転写ベルト60)にトナーを移動させる方向の電界が形成される必要から、画素電極34にはトナーの極性とは反対方向の電界が作用する電位にする必要があり、転写時にこのようになっていればよい。そのため、転写位置若しくはその上流側近傍を転写書込位置Ptとすればよいため、常に、固定された位置を転写書込位置Ptとすることができる。
【0098】
本実施の形態では、実施の形態1に加え、転写時にも画素電極34を用いるようにしたので、転写時の転写電界の広がりを抑えることができ、転写後の画像に対しよりシャープな画像を形成することができるようにもなる。
【0099】
以上のように、上述した実施の形態1〜3の画像形成装置によれば、像保持体20表面側にマトリックス状に画素電極34を設け、各画素電極34へ画像信号に基づく電圧を印加し、潜像形成を行うようにしたので、画素の位置及び形状はそのまま画素電極34の位置及び形状になり、また、潜像電位は画素電極34への印加電圧(潜像電圧)で決まるため、画素の位置、形状及び電位が一義的に決定され、濃度むら、色むら、すじ等の画像欠陥の発生が抑えられた高画質画像が得られるようになる。
また、このような方式では、帯電器を使用しないことから、帯電器自身がトナーに汚染され帯電不良を起こしたり、帯電器から発生する放電生成物が像保持体20表面を変質させたり、また、放電生成物により清掃性能を低下させたりすることがない。
【0100】
◎実施の形態4
図19は、実施の形態4に係る画像形成装置の概要を示す説明図である。本実施の形態では、実施の形態1とは異なり、像保持体150の周囲に四個の現像器151(151a〜151d)を像保持体150の回転方向に沿って順次配置し、カラー画像の形成が可能な構成のものとなっている。また、像保持体150の回転方向最下流の現像器150dの下流側には、像保持体150上で形成されたカラー画像を記録材153へ転写する転写器152が配置されている。尚、記録材153上に転写されたカラートナー像は、図示外の定着器にて定着されるようになっていることは云うまでもない。
【0101】
このような画像形成装置では、図示外の像書込制御装置によって、潜像書込位置Psが制御されており、夫々の現像器151の上流側に夫々の潜像書込位置Ps(a)〜Ps(d)が設定されている。そして、像保持体150の画素電極の走査は、例えばPs(a)の次にPs(b)、その次にPs(c)、次にPs(d)と順次繰り返すようになっており、このことで、各現像器151に合った潜像を像保持体150上に形成するようになっている。つまり、画素電極の走査に対しては、時分割を行うことで、夫々の潜像書込位置Psでの見かけ上の走査速度をv’を一定にすることができ、このとき、像保持体150の回転速度vと等速になるようになっている。
【0102】
更に、本実施の形態では、図示外の温度センサからの検出情報によって、夫々の潜像書込位置Ps(a)〜Ps(d)が調整されるようになっている。これは、実施の形態1と同様に行われ、夫々の現像位置Pd(図示せず)での潜像電位の安定化が行われる。尚、温度のみならず、実施の形態1と同様に、像保持体150の累積使用時間や製造ロット等の要因から潜像書込位置Psを変更することが可能である。
このような構成をなすには、例えば、走査用ドライバ32(図6等参照)に、四系統のカウンタを備え、このカウンタを切替選択することで夫々の潜像書込位置Ps(a)〜Ps(d)を順次選択するようにすればよい。また、潜像書込位置Psの変更は、例えばカウンタのセットアドレスを調整するようにすればよい。
特に、カラー画像においては、像保持体150の回転速度vを単色の場合に比べ遅くすることが可能であり、潜像書込位置Psを時分割するに際しても、夫々の潜像電圧印加時間を長めに設定することができるため、必要な潜像電圧を十分印加することができるようになる。そのため、カラーの画像形成装置でも実施の形態1と同様の作用を行わせることができるようになる。
【実施例】
【0103】
本実施例は、画素電極に印加する信号電圧(潜像電圧に相当)と、これにより発生する画素電極上の出力電位(潜像電位に相当)の変化傾向との関係を確認評価したものである。
第一に、画素電極に信号電圧(潜像電圧に相当)を印加した後、画素電極上の出力電位(潜像電位)が時間的にどう変化するかを確認した。このとき、信号電圧としては10〜50Vを10Vステップで行い、時間は5ms後と20ms後とした。
結果は、図20に示すように、信号電圧を上げて行くと初めは直線的に出力電位も上昇するが、信号電圧が40V以降では飽和傾向が見られた。また、特に高電圧領域では、経過時間によって出力電位が大きく乖離するようになった。
このことは、信号電圧を高電圧化すると、画素電極での電位の保持性が低下し、信号電圧をそれ以上上げても電位が上がらなくなることを示し、また、潜像書込位置から現像位置までの時間を長くとると、出力電位が大きく変化するようになることを示している。
【0104】
次に、温度変化によって画素電極上の出力電位(電極電位)がどう変化するかを確認した。温度は、画像形成装置が使用される低温環境を想定した5℃と高温環境を想定した28℃とで行った。尚、出力電位は5ms後の値を用いた。
結果は、図21に示すように、信号電圧と出力電位の関係は実施例1と同様であり、また、高電圧領域では、温度を高くすると出力電位が低下することが判明した。つまり、高電圧領域では、温度によって出力電位が大きく変化することが判明した。
【0105】
更に、画素電極の製造ロット(具体的にはTFTの製造ロット)によって、出力電位がどう変化するかを確認した。尚、出力電位は、信号電圧を印加した5ms後とした。
結果は、図22に示すように、信号電圧が低電圧領域では、製造ロットによる差は殆どないものの、信号電圧が高い高電圧領域では、製造ロット間で出力電位に2V程度の差が発生することが確認された。
【0106】
以上のことから、TFTを用いる場合、例えば信号電圧が約30V以下(出力電位が約20V以下)の低電圧領域で使用することが好ましいが、現像コントラスト電位を大きくし、十分な現像濃度を確保しながら、かぶりのない画像を得るには、高電圧領域での使用が望まれる。
しかしながら、高電圧領域で使用する際には注意が必要であり、温度等の環境変化や、製造ロット間での変化を考慮する必要がある。
【0107】
本実施例では、画素電極に信号電圧を印加した後、現像位置に達するまでの時間を調整するようにしたので、高電圧領域での出力電位を安定化させることができるようになる。このことは、図20で示したように、高電圧領域では経過時間によって出力電位が変化することから、例えば温度によって出力電位が変化しようとしても、この経過時間を調整することで出力電位を安定化させることができるようになることから理解される。つまり、画素電極に対する潜像書込位置を調整することで、高電圧領域での使用も可能にできるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】(a)(b)は本発明を具現化する第一の実施の形態モデルに係る画像形成装置の概要を示す説明図である。
【図2】実施の形態1に係る画像形成装置を示す説明図である。
【図3】実施の形態1の像保持体を示す斜視図である。
【図4】(a)(b)は実施の形態1の像保持体の内部構造を示す説明図である。
【図5】実施の形態1の画素構造を示す説明図であり、(a)は画素群、(b)は一つの画素、(c)は画素間の接続の様子を示す。
【図6】実施の形態1の像保持体のマトリクスパネルの構成を示す説明図である。
【図7】実施の形態1の像書込制御装置を示す説明図である。
【図8】実施の形態1における階調方式を示す説明図である。
【図9】実施の形態1の具体例として潜像電圧の作用を示す説明図であり、(a)は画像信号が階調変換された信号、(b)は潜像電圧設定のための生成信号として潜像制御信号生成部にて生成された制御信号、(c)は設定された潜像電圧が画素電極に割り当てられた様子を示す。
【図10】(a)は潜像書込位置を示す説明図であり、(b)は潜像電位の時間的変化を示す説明図である。
【図11】(a)潜像電位の減衰曲線を示し、(b)はその拡大図である。
【図12】実施の形態1の温度による制御フローを示すフローチャートである。
【図13】実施の形態1の変形形態としての制御フローを示すフローチャートである。
【図14】実施の形態2に係る画像形成装置に用いられる現像器を示す説明図である。
【図15】(a)(b)は導電性トナーを示す説明図である。
【図16】実施の形態2の現像器の変形の形態を示す説明図である。
【図17】実施の形態3に係る画像形成装置の像書込制御装置を示す説明図である。
【図18】(a)(b)は実施の形態3の走査方式を示す説明図である。
【図19】実施の形態4に係る画像形成装置の概要を示す説明図である。
【図20】実施例の時間変化による出力電位の変化を示すグラフである。
【図21】実施例の温度変化による出力電位の変化を示すグラフである。
【図22】実施例の製造ロットによる出力電位の変化を示すグラフである。
【図23】比較モデルとしての通常の画像形成装置の概要を示す説明図である。
【符号の説明】
【0109】
1…像保持体,1a…支持体,1b…画素電極,2…像書込手段,3…現像手段,4…潜像電位変化判別手段,5…潜像書込制御手段,6…転写手段,7…転写媒体,8…転写像書込制御手段,Pd…現像位置,Ps…潜像書込位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能な支持体及びこの支持体に支持され且つ支持体の移動方向に沿った方向を副走査方向、これに直交する方向を主走査方向として縦横に配列された画素電極を有する像保持体と、
この像保持体の潜像書込位置にて画素電極夫々に対し画像信号に基づいた潜像電圧を印加し、この潜像電圧による潜像電位パターンからなる潜像を像保持体に書き込む像書込手段と、
前記像保持体の潜像書込位置より像保持体の移動方向下流側に位置する現像位置に対応して設けられ、像書込手段にて書き込まれた潜像をトナーにて可視像化する現像手段と、
像保持体の潜像書込位置にて画素電極に対し画像信号に基づいた潜像電圧を印加したときに、潜像書込位置から現像位置に至るまでの画素電極での潜像電圧による潜像電位の減衰変化傾向が予め規定された規定範囲内であるか否かを判別する潜像電位変化判別手段と、
像書込手段にて潜像を書き込み制御するに当たり、前記潜像電位変化判別手段が潜像電位の減衰変化傾向を規定範囲内と判別した場合には、予め決められた潜像書込位置に画像信号に基づいた潜像電圧を印加する一方、前記潜像電位変化判別手段が潜像電位の減衰変化傾向を規定範囲外と判別した場合には、潜像電位の減衰変化傾向が規定範囲内である場合の潜像書込位置から現像位置に至るまでの潜像電位の減衰変化量と略等しい潜像電位の減衰変化量となるように潜像書込位置を変更し、かつ、変更された潜像書込位置に画像信号に基づいた潜像電圧を印加する潜像書込制御手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記潜像書込制御手段は、前記潜像電位変化判別手段にて潜像電位の減衰変化傾向が規定範囲外にあると判別された場合には、変更された潜像書込位置にて更に潜像電圧を変更することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記潜像書込制御手段は、画素電極に印加される最大潜像電圧が予め規定された値以上のときに限り前記潜像電位変化判別手段にて潜像電位の減衰傾向が規定範囲内であるか否かの判別を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の画像形成装置のうち像保持体が回転体である態様において、
前記潜像書込制御手段は、像保持体の回転方向と逆方向で且つ当該回転速度と等しい速度で画素電極を走査するようにしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
前記潜像書込制御手段は、前記像書込手段により潜像書込位置にて潜像電圧が印加された画素電極が、当該画素電極の潜像電位に対し潜像電圧印加直後の急減衰が収まるまでの予め規定された減衰時間を経過した後に現像位置に達するように潜像書込位置を設定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
前記像書込手段は、画素電極夫々に対し設けられ且つ画素電極を駆動する薄膜トランジスタを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6記載の画像形成装置において、
前記像保持体は、潜像書込位置から現像位置に至るまでの領域にある薄膜トランジスタへの光の照射を遮蔽する遮光手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
前記現像手段は、
前記像保持体に対向配置され且つ帯電された導電性トナーを保持搬送するトナー保持体と、
このトナー保持体と前記像保持体との間の現像位置に現像電界を形成する現像電界形成手段と、
前記トナー保持体の前記像保持体とは異なる側に対向配置される電荷注入部材を有し、この電荷注入部材と前記トナー保持体との間に電荷注入電界を作用させることで未帯電の導電性トナーに電荷注入を行う電荷注入手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項8記載の画像形成装置において、
前記トナー保持体は、
前記像保持体に対向して回転可能に設けられ、前記現像位置まで導電性トナーを保持搬送すると共に現像位置に現像電界形成手段による現像電界を作用させることで像保持体上の潜像を導電性トナーにて現像する現像トナー保持体と、
この現像トナー保持体に対向して現像トナー保持体よりも速い回転速度で回転可能に設けられ、現像トナー保持体の現像位置から離れた部位に至るまで前記電荷注入手段にて電荷注入された導電性トナーを保持搬送する中間トナー保持体とを有し、
現像トナー保持体と中間トナー保持体との間に設けられた移動電界形成手段により、中間トナー保持体から現像トナー保持体に向かって導電性トナーを移動させる移動電界を作用させるようにしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の画像形成装置において、
前記電荷注入手段は、電荷注入電界を作用させながら導電性トナーを挟んで摺擦することで当該導電性トナーに電荷注入を行うようにしたものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項8又は9に記載の画像形成装置において、
前記導電性トナーは、現像位置では当該導電性トナーの電荷保持性を保つように高抵抗に変化し、かつ、電荷注入電界が作用する領域では当該導電性トナーの電荷注入を容易にするように低抵抗に変化することを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
移動可能な支持体及びこの支持体に支持され且つ支持体の移動方向に沿った方向を副走査方向、これに直交する方向を主走査方向として縦横に配列された画素電極を有する像保持体と、
この像保持体の潜像書込位置にて画素電極夫々に対し画像信号に基づいた潜像電圧を印加し、この潜像電圧による潜像電位パターンからなる潜像を像保持体に書き込む像書込手段と、
前記像保持体の潜像書込位置より像保持体の移動方向下流側に位置する現像位置に対応して設けられ、像書込手段にて書き込まれた潜像をトナーにて可視像化する現像手段と、
像保持体の潜像書込位置にて画素電極に対し画像信号に基づいた潜像電圧を印加したときに、潜像書込位置から現像位置に至るまでの画素電極での潜像電圧による潜像電位の減衰変化傾向が予め規定された規定範囲内であるか否かを判別する潜像電位変化判別手段と、
像書込手段にて潜像を書き込み制御するに当たり、前記潜像電位変化判別手段が潜像電位の減衰変化傾向を規定範囲内と判別した場合には、予め決められた潜像書込位置に画像信号に基づいた潜像電圧を印加する一方、前記潜像電位変化判別手段が潜像電位の減衰変化傾向を規定範囲外と判別した場合には、潜像電位の減衰変化傾向が規定範囲内である場合の潜像書込位置から現像位置に至るまでの潜像電位の減衰変化量と略等しい潜像電位の減衰変化量となるように潜像書込位置を変更し、かつ、変更された潜像書込位置に画像信号に基づいた潜像電圧を印加する潜像書込制御手段と、
前記現像手段により像保持体上に形成されたトナー像を転写媒体に転写する転写手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項12記載の画像形成装置において、
前記転写手段は、前記像保持体に対向配置されると共に所定の転写電圧が印加され且つ像保持体との間に所定の転写電界を作用させる転写部材を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項12記載の画像形成装置において、
前記像書込手段は、前記潜像パターンを書き込むことに加え、画素電極毎に既に形成された各色トナー像に基づいた転写電圧を印加し、像保持体に前記転写電圧による画素電極毎の転写電位変化としての転写像パターンを書き込むものであり、
前記転写手段は、転写像パターンを書き込む前記像書込手段と、像保持体に対向配置され且つ画素電極夫々との間で像書込手段による転写像パターンに応じた転写電界を作用させる対向電極部材とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
請求項14記載の画像形成装置において、
更に、前記像書込手段によって転写像パターンを書き込むに当たり、前記現像手段により画素電極毎に既に形成された各色トナー像を考慮した転写電圧を決定した上で像書込手段を制御する転写像書込制御手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
移動可能な支持体及びこの支持体に支持され且つ支持体の移動方向に沿った方向を副走査方向、これに直交する方向を主走査方向として縦横に配列された画素電極を有する像保持体と、
この像保持体の潜像書込位置にて画素電極夫々に対し画像信号に基づいた潜像電圧を印加し、この潜像電圧による潜像電位パターンからなる潜像を像保持体に書き込む像書込手段と、
前記像保持体の潜像書込位置より像保持体の移動方向下流側に位置する現像位置に対応して設けられ、像書込手段にて書き込まれた潜像をトナーにて可視像化する現像手段と、
像保持体の潜像書込位置にて画素電極に対し画像信号に基づいた潜像電圧を印加したときに、潜像書込位置から現像位置に至るまでの画素電極での潜像電圧による潜像電位の減衰変化傾向が予め規定された規定範囲内であるか否かを判別する潜像電位変化判別手段と、
像書込手段にて潜像を書き込み制御するに当たり、前記潜像電位変化判別手段が潜像電位の減衰変化傾向を規定範囲内と判別した場合には、予め決められた潜像書込位置に画像信号に基づいた潜像電圧を印加する一方、前記潜像電位変化判別手段が潜像電位の減衰変化傾向を規定範囲外と判別した場合には、潜像電位の減衰変化傾向が規定範囲内である場合の潜像書込位置から現像位置に至るまでの潜像電位の減衰変化量と略等しい潜像電位の減衰変化量となるように潜像電圧を変更し、かつ、変更された潜像電圧を潜像書込位置にて印加する潜像書込制御手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2009−214443(P2009−214443A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−61059(P2008−61059)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】