説明

画像形成装置

【課題】複数の撮像素子で画像を読み取る場合に、振動の影響が抑制された高画質の1枚の画像を読み取ることができる。
【解決手段】 システム制御部は、第1の角速度変位算出部231により算出された角速度に基づいて、X方向の振動が抑制されるように、駆動回路211A、211Bに同一のレンズ移動量を示す位置調整信号を供給すると共に、駆動回路212A、212Bに同一のレンズ移動量を示す位置調整信号を供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェットによる画像形成装置には、形成された画像のムラを検出するものとしていわゆるインラインセンサが搭載されている。インラインセンサが装置本体からの振動の影響を受けないように、ラインカメラの保持機構、フレーム機構が設計され、これにより振動の問題を回避していた。また、インラインセンサは、フレーム振動の影響を避けるように配置され、振動の影響を受けないタイミングで検出するように設計されていた。
【0003】
特許文献1では、レジスト調整を実施する場合において、小液滴化、高画質化が進むにつれ、調整パターン群を印字形成した時に生じるキャリッジの振動の影響を低減する技術が開示されている。
【0004】
特許文献2では、プリントヘッドの移動中における振動、被プリント媒体の傾き、およびプリントヘッドと対向するプリント位置における被プリント媒体の位置ずれ等、特異的な外乱に起因するプリント不良の影響を回避する技術が開示されている。
【0005】
特許文献3では、プリント装置におけるプリントヘッドの往復走査間でのプリント位置合わせや複数のプリントヘッド間のプリント位置合わせを、ユーザー等の手を煩わせることなくかつ簡易に行う技術が開示されている。
【特許文献1】特開2007−152784号公報
【特許文献2】特開2006−102997号公報
【特許文献3】特開平10−329381号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、画像形成装置に求められる画像品質レベルが上がっている。更に、インラインセンサで読みとったノズルからの吐出テストパターンの値を用いて、画像データを補正して画質を維持するための補正データを検出・利用することが求められている。このため、従来以上の検出精度が必要とされている。
【0007】
この際、Single Pass、Page Width(S.P.、P.W.)型インクジェット画像形成装置は、1回で画像形成するために、振動の影響を除かないままインラインセンサで読み取ったデータを補正データとすると致命的な補正の誤り、画質劣化を発生させてしまう危険性が有った。
【0008】
この振動の影響を回避するために、デジタルスチルカメラで培われた手ブレ補正技術を導入することが考えられる。しかし、幅広用紙面を検出するために、複数の並列配置したレンズ、ラインCCDが用いられており、それらが個々に振動を補正しては、メモリ上に形成された画像データの繋ぎ合成が行われた後、1枚の一様な画像としては扱えず、合成画像の繋ぎ部に対応する段差が発生するという問題があった。
【0009】
本発明は、複数の光学系と、複数の撮像素子で画像を読み取る場合に、振動の影響が抑制された高画質の1枚の画像を読み取ることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明である画像形成装置は、記録媒体に対して画像データに基づく画像を記録する記録ヘッドと、撮像光学系と、当該撮像光学系を介して前記記録媒体に記録された画像を読み取る撮像素子と、の組み合わせを複数有する読取り手段と、前記撮像光学系と前記撮像素子の相対位置をそれぞれ調整する複数の相対位置調整手段と、各撮像光学系又は各撮像素子のそれぞれの振動量を検出する複数の振動量検出手段と、前記各振動量検出手段により検出された各振動量に基づいて、前記複数の相対位置調整手段で調整される各相対位置に対して同一の移動量で補正する相対位置補正手段と、前記読取り手段により読み取られた画像に基づいて前記画像データを補正する補正手段と、を備えている。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1に記載の画像形成装置であって、前記相対位置補正手段は、前記複数の振動量検出手段により検出された各振動量の平均値に対応する移動量を前記同一の移動量として補正する。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1に記載の画像形成装置であって、前記相対位置補正手段は、前記複数の振動量検出手段により検出された各振動量に重み付けをして平均値を算出し、算出した平均値に対応する移動量を前記同一の移動量として補正する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、撮像光学系と撮像素子の相対位置をそれぞれ調整する複数の相対位置調整手段に対して、各相対位置に対して同一の移動量で補正することにより、各撮像素子で撮像される画像からブレのない高画質の画像を得ることができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、複数の振動量検出手段により検出された各振動量に対応する各移動量の平均値を同一の移動量として補正することにより、平均的に良好な画質の画像を得ることができる。
【0015】
請求項3の発明によれば、検出された各振動量に重み付けをして平均値を算出し、算出した平均値に対応する移動量を前記同一の移動量として補正することにより、影響力のある振動量に応じて最適な補正を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
[全体構成]
図1は、本発明の実施の形態に係るインクジェット画像記録装置の全体構成を示す概略構成図である。本実施の形態に示すインクジェット画像記録装置10は、画像データに応じてインクを吐出して記録媒体14に所望の画像を形成するオンデマンド(版なし)画像記録装置である。
【0018】
同図に示すように、インクジェット画像記録装置10は、複数の回転ドラム16(16−1〜16−7)の表面に記録媒体14を巻きつけて固定し、各回転ドラム16−1〜16−7間を順次受け渡しながら記録媒体14を搬送するドラム搬送方式が適用される。各回転ドラム16−1〜16−7は、当該装置において使用される記録媒体14の最大幅に対応する幅を有し、不図示の駆動源(モータ)から与えられる駆動力によって所定の回転方向(各回転ドラム16−1〜16−7の回転方向を矢印線で図示)に回転するように構成されている。また、各回転ドラムの外周面には記録媒体14が固定される構造を有している。
【0019】
記録媒体14を固定する構造(方式)には、回転ドラム16の外周面を帯電させ、静電気によって記録媒体14を吸着する静電吸着方式や、回転ドラム16の外周面に吸引口を設け、内部から吸引して記録媒体14を吸着するエア吸着方式、回転ドラム16の外周面に設けられたグリッパー機構によって記録媒体14の端部をグリップする方式などが挙げられる。なお、記録媒体14の固定方式は上述した方式に限定されず、他の方式を適用することもできる。
【0020】
また、各回転ドラム16−1〜16−7間における記録媒体14の受け渡し部分には、記録媒体14の先端を受け側の回転ドラムに呼び込むガイド等の受渡機構や、記録媒体14の有無を検出するセンサ、回転ドラム16の回転位置を検出するセンサ等の検出機構が適宜設けられている。
【0021】
記録媒体14が給紙ドラム16−1の給紙位置にセットされると、給紙ドラム16−1を図1における時計回り方向に回転させて、記録媒体14を次段の処理液付与処理ドラム16−2に搬送する。記録媒体14が処理液付与処理ドラム16−2に受け渡されると、処理液付与処理ドラム16−2の外周面に固定される。処理液付与処理ドラム16−2の記録媒体搬送路上(処理液付与処理ドラム16−2の外周面と対向する位置)には、記録媒体14にインクを凝集(増粘)させる機能を有する処理液を打滴する処理液ヘッド18と、処理液が付与された記録媒体14を乾燥させるヒータ20が設けられている。処理液付与処理ドラム16−2の外周面に固定された記録媒体14は、処理液付与処理ドラム16−2を図1における反時計回り方向に回転させることで所定の搬送方向に搬送され、処理液ヘッド18の直下の処理液付与領域において処理液ヘッド18から処理液が打滴された後に、処理液ヘッド18の記録媒体搬送方向下流側に設けられたヒータ20によって加熱される。即ち、処理液付与処理ドラム16−2によって搬送される記録媒体14には、処理液付与処理および処理液乾燥処理が施される。
【0022】
処理液付与処理および処理液乾燥処理が施された記録媒体14は、図1における時計回り方向に回転する中間搬送ドラム16−3を介して印字ドラム16−4に受け渡され、印字ドラム16−4の外周面に固定される。印字ドラム16−4の記録媒体搬送路上(印字ドラム16−4の外周面と対向する位置)には、K(黒)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の各色に対応し、記録媒体14の搬送方向に沿って搬送方向上流側からKCMYの順に並べられた記録ヘッド22K、22C、22M、22Yを含む印字部22と、印字部22によってKCMY各色のインクが付与された記録媒体14上の余分な溶媒を乾燥させる溶媒乾燥部24が設けられている。
【0023】
印字ドラム16−4の外周面に固定された記録媒体14は、印字ドラム16−4を図1における反時計回りに回転させることで所定の搬送方向に搬送され、印字部22の直下の画像形成領域において印字部22からインクが打滴されて所望の画像が形成される。また、印字後の記録媒体14は、印字部22の記録媒体搬送方向下流側に設けられた溶媒乾燥部24によって余剰溶媒除去処理が施される。その後、記録媒体14は図1における時計回り方向に回転する中間搬送ドラム16−5を介して検査ドラム16−6に受け渡される。
【0024】
検査ドラム16−6の記録媒体搬送路上(検査ドラム16−6の外周面と対向する位置)にはインライン検出部26が設けられている。検査ドラム16−6の外周面に固定された記録媒体14は、検査ドラム16−6を図1における反時計回りに回転させることで所定の搬送方向に搬送され、インライン検出部26の直下の検査領域においてインライン検出部によって画像を読み取られる。
【0025】
また、検査ドラム16−6のフレーム側面には加速度計測部36を配置する。加速度計測部36は、記録媒体14の搬送方向、幅方向及び法線方向の3軸方向の加速度を計測する。インライン検出部26が読み取る画像が出力された記録媒体14が固定回転する検査ドラム16−6を支えるフレームの側面に配置する。
【0026】
インライン検出部26による画像の読み取りが終了した記録媒体14は、図1における時計回り方向に回転する排紙ドラム16−7を介して装置外部に排出される。加速度計測部36は、少なくとも記録媒体14が検査ドラム16−6上にある期間、常に計測し続ける。
【0027】
また、本実施の形態に示すインクジェット画像記録装置10では、通常の画像形成プロセス(通常画像出力モード)において記録媒体14の移動速度が一定になるように制御される。また、装置の動作モードに応じて記録媒体14の搬送速度(即ち、各回転ドラム16−1〜16−7の回転速度)を適宜変更可能に構成されている。
【0028】
図1には、記録媒体14の搬送機構の一態様としてドラム搬送方式を例示したが、ベルト搬送方式等の他の搬送方式も適用可能である。また、記録媒体14に処理液を付与する一態様としてインクジェット方式を例示したが、塗布ローラを用いた塗布やスプレー方式による付与などの他の付与方式も適用可能である。
【0029】
[システム構成]
図2は、インクジェット画像記録装置10のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット画像記録装置10は、通信インターフェース70、システム制御部72、画像メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78、プリント制御部80、画像バッファメモリ、ヘッドドライバ84、処理液ヘッドドライバ85、メンテナンス制御部90、画像処理部94を備えている。
【0030】
通信インターフェース70は、ホストコンピュータ86から送られてくる画像データを受信する。通信インターフェース70にはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサーネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリを搭載してもよい。ホストコンピュータ86から送信された画像データは通信インターフェース70を介してインクジェット画像記録装置10に取り込まれ、一旦画像メモリ74に記憶される。
【0031】
画像メモリ74は、通信インターフェース70を介して入力された画像やインライン検出部26によって読み取られた画像の読取りデータ、画像処理部94による画像処理後の画像データを一旦格納し、システム制御部72を通じてデータの読み書きが行われる。
【0032】
システム制御部72は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット画像記録装置10の全体を制御すると共に各種演算を行う。すなわち、システム制御部72は、通信インターフェース70、画像メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78等の各部を制御し、ホストコンピュータ86との間の通信制御、画像メモリ74の読み書き制御等を行い、搬送系のモータ88やヒータ89を制御する制御信号を生成する。
【0033】
画像メモリ74には、システム制御部72のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データなどが格納されている。なお、画像メモリ74は、書換不能な記憶手段であってもよいし、EEPROMのような書換可能な記憶手段であってもよい。画像メモリ74は、画像データの一時記憶領域として利用されると共に、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。また、システム制御部72等を構成するプロセッサ類に内蔵されるメモリを画像メモリ74として用いてもよい。
【0034】
モータドライバ76は、システム制御部72からの指示に従ってモータ88を駆動する。図2には、装置内の各部に配置されるモータ(アクチュエータ)を代表して符号88で図示されている。例えば、図2に示すモータ88には、図1の搬送ドラム16−1〜16−7を駆動するモータが含まれる。
【0035】
ヒータドライバ78は、システム制御部72からの指示に従って、ヒータ89を駆動する。図2には、インクジェット画像記録装置10に備えられる複数のヒータを代表して符号89で図示されている。例えば、図2に示すヒータ89には、図1のヒータ20や、溶媒乾燥機24のヒータが含まれる。
【0036】
プリント制御部80は、システム制御部72の制御に従い、画像メモリ74内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行い、生成した印字データ(ドットデータ)をヘッドドライバ84及び処理液ヘッドドライバ85に供給する。プリント制御部80において所要の信号処理が施され、画像データに基づいて、ヘッドドライバ84を介してヘッド50のインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。また、画像データに基づいて処理液ヘッドドライバ85を介して処理液ヘッド18の処理液吐出量や吐出タイミングが制御される。
【0037】
プリント制御部80には不図示の画像バッファメモリが備えられており、プリント制御部80における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリに一時的に格納される。また、プリント制御部80とシステム制御部72とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
【0038】
ヘッドドライバ84は、プリント制御部80から与えられる画像データに基づいてヘッド50の圧電素子(図示せず)に印加される駆動信号を生成するとともに、駆動信号を圧電素子に印加して圧電素子を駆動する駆動回路を含んでいる。なお、図2に示すヘッドドライバ84には、ヘッド50の駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。また、処理液ヘッドドライバ85にもヘッドドライバ84と同様の構成が適用される。なお、処理液のドットにはインクのドットと同程度の解像度は要求されないので、処理液のドット解像度をインクのドット解像度よりも粗くすることも可能である。
【0039】
すなわち、処理液ヘッド18のノズル径をインクのヘッド22K22C,22M,22Yのノズル径よりも大きくし、処理液ヘッド18のノズル密度をインクのヘッド22K22C,22M,22Yのノズル密度よりも粗くしてもよい。印刷すべき画像のデータは、通信インターフェース70を介して外部から入力され、画像メモリ74に蓄えられる。この段階では、RGBの画像データが画像メモリ74に記憶される。
【0040】
画像メモリ74に蓄えられた画像データは、システム制御部72を介してプリント制御部80に送られ、プリント制御部80においてインク色ごとのどっとデータに変換される。すなわち、プリント制御部80は、入力されたRGBのラスターデータをKCMYの4色のドットデータに変換するRIP処理を行う。プリント制御部80で生成されたドットデータは、不図示の画像バッファメモリに蓄えられる。また、処理液のドットデータも同様に形成することができる。なお、処理液のドットデータインクのドットデータと異なる専用のドットデータとしてもよい。
【0041】
不図示のプログラム格納部には各種制御プログラムが格納されており、システム制御部72の指令に応じて、制御プログラムが読み出され、実行される。プログラム格納部はROMやEEPROM等の半導体メモリであってもよいし、磁気ディスクであっても良い。外部インターフェースを備え、メモリカードやPCカードを備えてもよい。なお、プログラム格納部は動作パラメータ等の記憶手段(不図示)と兼用してもよい。
【0042】
インライン検出部26によって読み取られた読取画像データは、ノイズ除去や増幅、波形整形などの所定の信号処理が施された後にシステム制御部72を介して画像処理部94に送られる。画像処理部94は、読取画像データに対して所定の画像処理を施した後、処理済みのデータを画像メモリ74内の所定領域に書き込む。また、システム制御部72は、この処理済みの画像データに基づいて当該画像に異常が発生しているか否かを判定することもできる。
【0043】
読取画像に異常が発生している場合には、システム制御部72は、当該画像異常がデータ上の補正で対応可能であるか、ヘッドの回復動作が必要であるかを判定し、この判定結果に基づいて装置各部を制御する。
【0044】
メンテナンス制御部90は、システム制御部72から送出される制御信号に基づいて、キャップ、クリーニングブレード、ポンプを含むメンテナンスブロックの各部を動作させるメンテナンス駆動部92に制御信号を送出する。すなわち、システム制御部72においてヘッドの回復処理が必要と判断されると、装置の動作モードがヘッドのメンテナンスモード(回復処理モード)に変更されるとともに、システム制御部72からヘッド50の回復処理を実行する旨の指令信号がメンテナンス制御部90に送られる。
【0045】
メンテナンス駆動部92は、システム制御部72から送られた指令信号に基づいてメンテナンス駆動部92を介して、キャップを移動させる駆動系や、クリーニングブレードを移動させる駆動系、ポンプ等の各部を適宜動作させる。
【0046】
[異常検査の説明]
インライン検出部26は、出力された画像、または出力画像の他に設けられた不吐出を検知する専用のテストパターン、濃度ムラを検知する専用のパッチをインライン検出部26で読み取り、読取結果から出力画像における不吐出や吐出ムラ(画像の濃度ムラ)を検査する。良好な画像はそのまま出力し、不吐出や吐出ムラ(吐出異常)のある出力画像には、テープインサーター等を用いて付箋を挟む、スタンプを押印するなど、不良画像の目印となるマークを付与する。
【0047】
また、同じ原因による不良画像の出力がされないように、直ちに出力ヘッドに対する吐出データ(画像データ)の補正を実施する。但し、当該不良が吐出データの補正では不正不可能なレベルであると判断された場合には、ヘッドのフラッシング、ワイピング、吸引などのヘッドの回復処理を実行するヘッドのメンテナンスモード(ヘッドの回復処理)に移行する。
【0048】
すなわち、インクジェット画像記録装置10は、インライン検出部26によって出力画像の画像品質(濃度ムラの有無、吐出異常による異常の有無などの画像異常の有無)を蓄積するとともに常時監視し、出力画像に何らかの異常が発生した場合には、装置の動作モードを、画像補正を行うか、ヘッドの回復処理を行う補正モードに適宜変更して、異常原因の除去を行う。
【0049】
図3は、インライン検出部26の概略構成を示す図である。インライン検出部26は、第1のCCDイメージセンサ100と、第2のCCDイメージセンサ102と、記録媒体14上の画像の反射光を第1のCCDイメージセンサ100に導く第1のレンズ110と、記録媒体14上の画像の反射光を第2のCCDイメージセンサ102に導く第2のレンズ112と、を有している。また、インライン検出部26は、記録媒体14から第1のCCDイメージセンサ100までの光路中に挿入される第1のブレ補正レンズ114と、記録媒体14から第2のCCDイメージセンサ102までの光路中に挿入される第2のブレ補正レンズ116と、を備えている。
【0050】
第1のCCDイメージセンサ100及び第2のCCDイメージセンサ102は、同一機能を有し、記録媒体14の幅方向に沿って配置され、記録媒体14の全幅を読み取る。すなわち、第1のCCDイメージセンサ100の読取領域120の記録媒体14の幅方向の長さと、第2のCCDイメージセンサ102の読取領域122の記録媒体14の幅方向の長さは、記録媒体14の幅1/2を超える長さである。また、読取領域120と読取領域122には、記録媒体14の幅方向の中央部で記録媒体14の幅方向の位置が重なり合う領域が存在する。一方、読取領域120と読取領域122は、記録媒体搬送方向の位置がずれている。
【0051】
なお、この態様では、第1のCCDイメージセンサ100の読取画像と第2のCCDイメージセンサ102の読取画像との間には時間的なずれが生じてしまう。そこで、図7に示す画像処理部94は、読取画像に対して時間的なずれを補償する処理を行う。
【0052】
[ブレ補正機構の構成]
図4は、インライン検出部26内に設けられたブレ補正機構200の要部斜視図である。ブレ補正機構200は、インライン検出部26に生じる振動量(本実施形態では加速度)に基づいて、第1のCCDイメージセンサ100と第1のブレ補正レンズ114との相対位置、第2のCCDイメージセンサ102と第2のブレ補正レンズ112との相対位置をそれぞれ調整することで、画像読取時のブレを抑制する。
【0053】
ブレ補正機構200は、図4に示すように、基板201に固定された及び鏡筒202A、202Bを備えている。以下、鏡筒202Aの周囲の駆動回路、角速度センサの配置について説明するが、鏡筒202Bの周囲の駆動回路、角速度センサの配置についても同様になっている。
【0054】
鏡筒202Aの周囲には、鏡筒202A内の第1のブレ補正レンズ114の位置を制御する4個の駆動回路211A、212A、213A、214Aが基板201に固定されていると共に、角速度を検出する4個の角速度センサ221A、222A、223A、224Aも基板201に固定されている。
【0055】
駆動回路211A及び駆動回路212Aは、鏡筒202Aを挟んで、記録媒体14の幅方向(X方向)に沿って配置されている。駆動回路213A及び駆動回路214Aは、鏡筒202Aを挟んで、記録媒体14の搬送方向(Y方向)に沿って配置されている。
【0056】
角速度センサ221A及び角速度センサ222Aは、鏡筒202Aを挟んで、記録媒体14の幅方向(X方向)に沿って配置されている。角速度センサ223A及び角速度センサ224Aは、鏡筒202Aを挟んで、記録媒体14の搬送方向(Y方向)に沿って配置されている。
【0057】
図5は、ブレ補正機構200の機能的な構成を示すブロック図である。ここでは、角速度センサ221Aと駆動回路211Aを例に挙げて説明するが、その他の角速度センサと駆動回路も同様に構成されている。
【0058】
角速度センサ221Aは、振動を検出し、その振動による加速度を基準値演算部251及び加算器252に供給する。なお、角速度センサ221Aとしては、通常、コリオリ力を検出する圧電振動式角速度センサが用いられる。
【0059】
基準値演算部251は、角速度センサ221Aの出力に基づいてブレの基準値を演算する。加算器252は、角速度センサ221Aから出力されたブレ振動から、基準値演算部251で演算された基準値を差し引いた演算結果を積分器253へ供給する。積分器253は、角速度の単位で表されているブレ信号を時間積分してブレ角度に変換する。
【0060】
目標駆動位置演算部254は、積分器253によって求められたブレ角度に、レンズの焦点距離などの情報を加味して、第1のブレ補正レンズ114の目標駆動位置情報を演算し、この演算値を駆動信号演算部255へ供給する。
【0061】
駆動信号演算部255は、加算器であり、目標駆動位置情報に応じて第1のブレ補正レンズ114の位置を制御するために、目標駆動位置演算部254で演算された目標駆動位置情報から、後述する位置信号演算部256で演算された現在の第1のブレ補正レンズ114の位置情報を差し引いた差を演算し、その演算値に応じた駆動電流をコイル263へ流す。
【0062】
駆動回路211Aは、第1のCCDイメージセンサ100に対する第1のブレ補正レンズ114の位置を制御するものであり、駆動力を発生するアクチュエータ260と、第1のブレ補正レンズ114の位置を検出する位置検出部270とを有している。
【0063】
アクチュエータ260は、ヨーク261、264、マグネット262、コイル263を有している。コイル263は、ヨーク261、264とマグネット262により形成される磁気回路内に置かれている。コイル263に電流が流れると、フレミングの左手の法則により、コイル263に力が発生する。コイル263は、第1のブレ補正レンズ114を収めている鏡筒202Aに取付けられている。第1のブレ補正レンズ114及び鏡筒202Aは、互いに固定された状態で、共に光軸に直交する方向に移動できる。このため、コイル263の移動によって第1のブレ補正レンズ114を光軸に直交する方向に駆動させることが可能となる。
【0064】
位置検出部270は、第1のブレ補正レンズ114の動きをモニタする部分であり、点灯回路271、赤外線発光ダイオード272、スリットを有するスリット板273、PSD(Position Sensitive Device)274を備えている。
【0065】
赤外線発光ダイオード272が発光した赤外光は、スリット273を通過することによって光線の幅を絞られ、PSD274へ到達する。PSD274は、その受光面の光の位置に応じた信号を出力する。スリット板273は、鏡筒202Aに取付けられているため、第1のブレ補正レンズ114の動きがスリット273の動きとなり、PSD274の受光面上の光の動きとなる。従って、PSD274の受光面上の光の位置が第1のブレ補正レンズ114の位置と等価となる。PSD274により出力された信号は、位置信号演算部256に供給される。位置信号演算部256は、PSD274からの信号に基づいて第1のブレ補正レンズ114の位置情報を演算し、これを駆動信号演算部255へフィードバックする。これにより、鏡筒202A内にある第1のブレ補正レンズ114の位置が調整される。
【0066】
そして、図4に示すように、第1の角速度変位算出部231は、角速度センサ221A、222A、221B、222Bの出力を平均化した角速度を算出し、この角速度を図2に示すシステム制御部72に供給する。第2の角速度変位算出部232は、角速度センサ223A、224A、223B、224Bの出力を平均化した角速度を算出し、この角速度をシステム制御部72に供給する。
【0067】
システム制御部72は、角速度に応じて予め決められたレンズ移動量を記憶している。図6は、角速度に対する補正すべきレンズ移動量を示す図である。システム制御部72の図示しないメモリには、角速度センサによって検知された値に対するレンズ移動量の最適値が予め記憶されている。システム制御部72は、2つのレンズ近傍で検知された角速度(a,b)に対する移動量をそれぞれ(L1,L2)とするのではなく、検知された値の平均x=(a+b)/2の値に対する最適の移動量Lのみを用いて2つの第1のブレ補正レンズ114、第2のブレ補正レンズ116を移動させる。なお、このレンズ移動量は、X方向とY方向のそれぞれ別に用意してもよいし、X方向とY方向で共通して用意してもよい。
【0068】
システム制御部72は、第1の角速度変位算出部231により算出された角速度に基づいて、X方向の振動が抑制されるように、駆動回路211A、211Bに同一のレンズ移動量を示す位置調整信号を供給すると共に、駆動回路212A、212Bに同一のレンズ移動量を示す位置調整信号を供給する。これにより、X方向に相対する駆動回路がレンズに対してそれぞれ相反する位置補正を行うことで、X方向のぶれが抑制される。
【0069】
また、システム制御部72は、第2の角速度変位算出部232により算出された角速度に基づいて、Y方向の振動が抑制されるように、駆動回路213A、213Bに同一のレンズ移動量を示す位置調整信号を供給すると共に、駆動回路214A、214Bに同一のレンズ移動量を示す位置調整信号を供給する。これにより、Y方向に相対する駆動回路がレンズに対してそれぞれ相反する位置補正を行うことで、Y方向のぶれが抑制される。
【0070】
ここで、図6に示すように、第1のブレ補正レンズ114近傍で検出された角速度がaである場合では、第1のブレ補正レンズ114のブレを補正するためのレンズ移動量はL1であり、第2のブレ補正レンズ112近傍で検出された角速度がbである場合では、第2のブレ補正レンズ112のブレを補正するためのレンズ移動量はL2である。しかし、システム制御部72は、角速度aとbの平均であるxに対応するレンズ移動量Lを、第1のブレ補正レンズ114及び第2のブレ補正レンズ116に与える。
【0071】
図7(A)は第1のブレ補正レンズ114と第2のブレ補正レンズ116をそれぞれ独立してブレ補正を行ったときの読取画像を示す図であり、同図(B)は第1のブレ補正レンズ114と第2のブレ補正レンズ116にそれぞれ同一のレンズ移動量を与えてブレ補正を行ったときの読取画像を示す図である。同図(A)に示す場合は、第1のCCDイメージセンサ100と第2のCCDイメージセンサ102でそれぞれ読み取られた画像にずれが生じているが、同図(B)に示す場合は、それぞれで読み取られた画像にずれは生じていない。すなわち、従来は、形成画像中に段差が生じて、必要のないムラ補正処理を行っていたが、本実施形態では、そのような問題を回避することができる。
【0072】
以上のように、インライン検出部26は、振動を検出した場合には、第1のCCDイメージセンサ100に対する第1のブレ補正レンズ114の相対位置と、第2のCCDイメージセンサ102に対する第2のブレ補正レンズ116の相対位置にそれぞれ等量の位置補正を行うことで、読取時のブレを抑制することができる。
【0073】
なお、上述した実施形態では、第1のブレ補正レンズ114、第2のブレ補正レンズ116の位置を調整する例を挙げたが、その代わりに、第1のCCDイメージセンサ100、第2のCCDイメージセンサ102の位置を調整してもよい。
【0074】
図8は、ブレ補正機構の他の実施形態を示す図である。このブレ補正機構は、1つのブレ補正レンズ300に対して、2つの角速度センサ302、2つのアクチュエータ304、2つの位置検出部306を備えている。なお、角速度センサ302、アクチュエータ304、位置検出部306は、上述したものとそれぞれ同じ構成とする。このような構成のブレ補正機構は、上述したブレ補正機構200に比べて、各種センサ、回路の数を半分に削減することができる。このように、ブレ補正機構は、2軸方向の角速度をそれぞれ検出し、ブレ補正レンズに対して2軸方向のブレを調整するアクチュエータを備えていればよい。
【0075】
また、本実施形態では、角速度センサに検出値に応じてレンズを移動させてブレ補正を行ったが、上述したように画像を撮像するセンサを移動させても同様にブレ補正を行うことが可能である。この場合も並列配置したセンサ近傍の角速度センサの平均値を用いることが1枚の画像として取扱えるデータ生成に有効である。角速度センサの他、角加速度センサ、変位センサも用いることが可能である。
【0076】
なお、上述した実施形態では、第1の角速度変位算出部231及び第2の角速度変位算出部232は、各加速度の平均値を求めたが、検出された場所等に応じて各加速度に重み付けを行い、重み付け平均値を求めても良い。例えば、ドラム(16−1)〜(16−7)を駆動するギア側で検出された加速度の重みを大きくし、ドラム非駆動側で検出された加速度の重みを小さくするとよい。また、上述した実施形態では、第1のブレ補正レンズ114,第2のブレ補正レンズ116の位置を調整する例について説明したが、これらの代わりに、第1のレンズ110、第2のレンズ112の位置を調整してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施の形態に係るインクジェット画像記録装置の全体構成を示す概略構成図である。
【図2】インクジェット画像記録装置のシステム構成を示す要部ブロック図である。
【図3】インライン検出部の概略構成を示す図である。
【図4】インライン検出部内に設けられたブレ補正機構200の要部斜視図である。
【図5】ブレ補正機構の機能的な構成を示すブロック図である。
【図6】角速度に対する補正すべきレンズ移動量を示す図である。
【図7】(A)は第1のブレ補正レンズと第2のブレ補正レンズをそれぞれ独立してブレ補正を行ったときの読取画像を示す図であり、(B)は第1のブレ補正レンズと第2のブレ補正レンズにそれぞれ同一のレンズ移動量を与えてブレ補正を行ったときの読取画像を示す図である。
【図8】ブレ補正機構の他の実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0078】
10 インクジェット画像記録装置
26 インライン検出部
100 第1のCCDイメージセンサ
102 第2のCCDイメージセンサ
110 第1のレンズ
112 第2のレンズ
114 第1のブレ補正レンズ
116 第2のブレ補正レンズ
200 ブレ補正機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に対して画像データに基づく画像を記録する記録ヘッドと、
撮像光学系と、当該撮像光学系を介して前記記録媒体に記録された画像を読み取る撮像素子と、の組み合わせを複数有する読取り手段と、
前記撮像光学系と前記撮像素子の相対位置をそれぞれ調整する複数の相対位置調整手段と、
各撮像光学系又は各撮像素子のそれぞれの振動量を検出する複数の振動量検出手段と、
前記各振動量検出手段により検出された各振動量に基づいて、前記複数の相対位置調整手段で調整される各相対位置に対して同一の移動量で補正する相対位置補正手段と、
前記読取り手段により読み取られた画像に基づいて前記画像データを補正する補正手段と、
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記相対位置補正手段は、前記複数の振動量検出手段により検出された各振動量の平均値に対応する移動量を前記同一の移動量として補正する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記相対位置補正手段は、前記複数の振動量検出手段により検出された各振動量に重み付けをして平均値を算出し、算出した平均値に対応する移動量を前記同一の移動量として補正する
請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−239853(P2009−239853A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−86727(P2008−86727)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】