説明

画像形成装置

【課題】サンプル画像用紙が排紙されるタイミングを最適化することを可能とする画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置100は、通常画像データに基づいて通常画像を用紙上に形成し、サンプル画像データに基づいてサンプル画像を用紙上に形成する画像形成ユニット50と、通常画像が形成された用紙である通常画像用紙と、サンプル画像が形成された用紙であるサンプル画像用紙とを排紙する排紙ユニット70と、サンプル画像用紙を排紙する条件であるサンプル排紙条件が満たされた場合に、サンプル画像用紙の排紙処理を行う制御ユニット400とを備える。制御ユニット400は、通常画像に影響を与える環境状態に応じて、サンプル排紙条件を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常画像用紙及びサンプル画像用紙を排紙する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像データに基づいて、用紙上に画像を形成した上で、画像が形成された用紙を排紙する画像形成装置が知られている。画像形成装置は、例えば、複写機やプリンタなどである。画像形成装置が複写機である場合には、画像形成装置は、原稿から画像を読み取ることによって画像データを取得する。一方で、画像形成装置がプリンタである場合には、画像形成装置は、パーソナルコンピュータなどの外部装置から画像データを取得する。以下の説明において、複写乃至プリントすべき対象である画像データに基づいて形成される画像を通常画像と称する。
【0003】
ここで、通常画像が形成された用紙を画像形成装置が連続的に排紙するケースが考えられる。例えば、複数頁分の画像データに基づく画像形成を行う場合や、単一ページ分の画像データに基づいて複数部の画像形成を行う場合、等が挙げられる。このようなケースでは、用紙上に形成された画像品位に異常が生じたような事態においては、多量の不良出力が生じる可能性があり、従って連続して画像形成を行っている最中に画像品位に異常があるか否かを確認する必要がある。
【0004】
例えば、サンプル画像が形成された用紙であるサンプル画像用紙を排紙する画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2)。この画像形成装置は、所定条件が満たされた場合に、サンプル画像用紙を排紙する。
【0005】
所定条件は、例えば、(1)通常画像が形成された用紙である通常画像用紙の排紙枚数が所定枚数に達すること、(2)画像形成装置の内部温度が所定温度に達することなどである。
【特許文献1】特開2005−153374号公報
【特許文献2】特開2005−157015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、通常画像用紙上に形成された通常画像上に異常が生じる要因としては、キャリブレーション処理、トナーの交換処理、トナー補給処理、環境温度、環境湿度などの環境要因が挙げられる。
【0007】
しかしながら、上述した画像形成装置では、所定条件が特に変更されないため、サンプル画像用紙が排紙されるタイミングが適切ではない恐れがある。すなわち、通常画像上に異常が生じやすい環境下において、サンプル画像用紙が排紙されるタイミングが遅い(即ち、サンプル画像用紙を排出するインターバルが長い)恐れがある。逆に、通常画像上に異常が生じにくい環境下において、サンプル画像用紙が排紙されるタイミングが早い恐れがある。
【0008】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、サンプル画像用紙が排紙されるタイミングを最適化することを可能とする画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の特徴に係る画像形成装置は、用紙上に画像を形成する。画像形成装置は、通常画像データに基づいて通常画像を用紙上に形成し、サンプル画像データに基づいてサンプル画像を用紙上に形成する画像形成部(画像形成ユニット50)と、前記通常画像が形成された用紙である通常画像用紙と、サンプル画像が形成された用紙であるサンプル画像用紙とを排紙する排紙部(排紙ユニット70)と、前記サンプル画像用紙を排紙する条件であるサンプル排紙条件が満たされた場合に、前記サンプル画像用紙の排紙処理を行う制御部(制御ユニット400)とを備える。前記制御部は、前記通常画像に影響を与える環境状態に応じて、前記サンプル排紙条件を変更する。
【0010】
かかる特徴によれば、制御部は、サンプル排紙条件が満たされた場合に、サンプル画像用紙の排紙処理を行う。制御部は、通常画像に影響を与える環境状態に応じて、サンプル排紙条件を変更する。すなわち、通常画像用紙上に形成された通常画像に影響を与える環境状態の考慮によって、サンプル画像用紙が排紙されるタイミングを最適化することができる。
【0011】
第1の特徴において、前記環境状態は、画像形成装置の環境温度及び画像形成装置の環境湿度である。
【0012】
第1の特徴において、前記環境状態は、キャリブレーション処理の実行、トナーの交換処理の実行及びトナー補給処理の少なくともいずれかである。
【0013】
第1の特徴において、前記制御部は、前記環境状態が前記通常画像に異常を生じやすい状態である場合に、前記サンプル画像用紙を排紙する頻度が高くなるように前記サンプル排紙条件を変更する。前記制御部は、前記環境状態が前記通常画像に異常を生じにくい状態である場合に、前記サンプル画像用紙を排紙する頻度が低くなるように前記サンプル排紙条件を変更する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、サンプル画像用紙が排紙されるタイミングを動的に最適化することを可能とする画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下において、本発明の実施形態に係る画像形成装置について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0016】
ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0017】
[第1実施形態]
(画像形成装置の概略)
以下において、第1実施形態に係る画像形成装置の概略について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る画像形成装置100の概略を示す図である。なお、図1では、画像形成装置100の詳細な構成については省略されていることに留意すべきである。
【0018】
図1に示すように、画像形成装置100は、自動原稿送りユニット10と、画像読取ユニット20と、用紙トレイユニット30と、給紙ユニット40と、画像形成ユニット50と、定着ユニット60と、排紙ユニット70と、反転ユニット80と、操作ユニット90と、検出ユニット110とを有する。画像形成装置100は、給紙装置200及び後処理装置300をさらに有する。
【0019】
画像形成装置100は、プリンタコントローラ500を介してユーザ端末600に接続されている。画像形成装置100は、例えば、プリンタコントローラ500とビデオバス501によって接続される。プリンタコントローラ500は、例えば、ユーザ端末600とLAN(Local Area Network)601によって接続される。
【0020】
第1実施形態では、画像形成装置100として、電子写真方式によって用紙上に画像を形成するMFP(Multiple Function Peripheral)を例示する。但し、画像形成方法は、電子写真方式に限定されるものではなく、インクジェット方式、熱転写方式、ドットインパクト方式などであってもよい。
【0021】
第1実施形態では、画像形成装置100は、通常画像が形成された用紙である通常画像用紙と、サンプル画像が形成された用紙であるサンプル画像用紙とを排紙する機能を有する。画像形成装置100は、後述するように、サンプル排紙条件が満たされた場合に、サンプル画像用紙を排紙する。
【0022】
自動原稿送りユニット10は、複写すべき原稿を搬送するユニットである。具体的には、自動原稿送りユニット10は、原稿載置トレイと、原稿分離部と、原稿搬送部と、原稿排紙部と、原稿排紙トレイと、原稿反転部とを有する。
【0023】
原稿載置トレイは、原稿を載置するトレイである。原稿分離部は、原稿載置トレイに複数枚の原稿が載置されている場合に、原稿を1枚ずつに分離して給紙する。原稿搬送部は、原稿分離部によって分離された原稿を画像読み取り位置に搬送するローラ群を有する。原稿排紙部は、原稿搬送部によって搬送された原稿を原稿排紙トレイへ排紙する。原稿排紙トレイは、原稿排紙部によって排紙された原稿を載置するトレイである。原稿反転部は、両面複写モードにおいて原稿の表裏を反転する。
【0024】
画像読取ユニット20は、原稿の画像を読み取って、画像データを生成するユニットである。具体的には、画像読取ユニット20は、プラテンガラスと、ランプと、ミラーユニットと、結像レンズと、撮像素子とを有する。
【0025】
プラテンガラスは、自動原稿送りユニット10を用いずに原稿を複写する場合に、原稿を載置する台である。
【0026】
ランプは、原稿に照射される光を出射する。ランプは、自動原稿送りユニット10を用いるケースでは、スリットを介して原稿に光を照射する。一方で、ランプは、自動原稿送りユニット10を用いないケースでは、プラテンガラスの下面に沿って走査移動しながら原稿に光を照射する。ミラーユニットは、原稿で反射された光を反射して、原稿で反射された光を結像レンズ側に導く。結像レンズは、ミラーユニットで反射された光を結像する。具体的には、結像レンズは、原稿で反射された光を撮像素子上に結像する。撮像素子は、結像レンズによって結像された光を読み取るCCDイメージセンサ等の光電変換素子である。CCDイメージセンサから取り出された画像信号は、A/D変換、シェーディング補正等を経てデジタルデータとしての画像データに変換される。
【0027】
用紙トレイユニット30は、用紙を収容するユニットである。用紙トレイユニット30は、複数の給紙トレイと、複数の給紙ローラと、複数の分離ローラと、複数のフォトセンサととを有する。
【0028】
各給紙トレイは、複数枚の用紙を収容するトレイである。各給紙ローラは、給紙トレイに収容された用紙を分離ローラ方向へ送り出す。各分離ローラは、給紙ローラによって送り出された用紙を1枚ずつに分離する。各フォトセンサは、後述するローラ群に用紙が到達したか否かを検出する。
【0029】
給紙ユニット40は、画像形成ユニット50に用紙を給紙するユニットである。給紙ユニット40は、複数のローラ群と、搬送ローラと、レジストローラと、転写前ローラとを有する。
【0030】
複数のローラ群は、用紙トレイユニット30や給紙装置200から送出された用紙を搬送する。搬送ローラは、複数のローラ群によって搬送された用紙をレジストローラ方向へ搬送する。また、搬送ローラは、後述する排紙ユニット70から搬送された用紙をレジストローラ方向へ搬送する。レジストローラは、搬送ローラによって搬送された用紙の先端を位置合わせするためのオーラであり、位置合わせを行った用紙を転写前ローラへ搬送する。なお、レジストローラに用紙が到達したタイミングで、画像形成ユニット50によるトナー像の形成を開始する。転写前ローラは、レジストローラによって搬送されたシートを画像形成ユニット50側に搬送する。
【0031】
画像形成ユニット50は、画像読取ユニット20によって生成された画像データに応じて、給紙ユニット40によって給紙された用紙上にトナー像を形成するユニットである。画像形成ユニット50は、感光体ドラムと、帯電器と、書込み処理部と、現像器と、転写器と、分離部と、クリーニング部と、搬送ベルトとを有する。
【0032】
感光体ドラムは、光導電性感光層が表面に形成されたドラムであり、回転可能に設けられている。感光体ドラムの表面には、後述するように、静電荷潜像が形成される。帯電器は、回転する感光体ドラムの表面を一様に帯電する。
【0033】
書込み処理部は、制御ユニット400から取得する画像データに応じて、感光体ドラムの表面に静電荷潜像を形成する。具体的には、書込み処理部は、画像データに基づいてレーザ光を出射するレーザダイオードと、レーザ光を偏向走査する走査光学ユニットを有している。出射したレーザ光は、走査光学ユニットのポリゴンミラーにより感光体ドラムの回転方向(副走査方向)とは直行する方向(主走査方向)に偏向走査され感光体ドラム上に結像されるによって感光体ドラムの表面を露光する。
【0034】
現像器は、静電荷潜像を反転現像することによって、感光体ドラムの表面にトナー像を形成する。転写器は、感光体ドラムとの間で電位差を形成するための転写電極を有する。この電位差を利用して、給紙ユニット40によって給紙された用紙上に感光体ドラム上に形成されたトナー像を転写する。
【0035】
分離部は、トナー像が形成された用紙を感光体ドラムから分離する。具体的には、分離部は、コロナ放電を行う分離電極を有しており、コロナ放電によって用紙の分離を促進する。クリーニング部は、感光体ドラムの表面を清掃する。具体的には、クリーニング部は、感光体ドラムの表面に残留するトナーを除去する。搬送ベルトは、分離部によって分離された用紙を定着ユニット60へ搬送する。
【0036】
定着ユニット60は、用紙上に形成されたトナー像を熱圧着によって用紙に定着するユニットである。定着ユニット60は、加熱ローラと、加圧ローラと、クリーニングウェブとを有する。
【0037】
加熱ローラは、トナー像が形成された用紙を加熱する。加圧ローラは、加熱ローラと加圧ローラとの間にシートを狭持して用紙を搬送する。これによって、加圧ローラは、トナー像が形成された用紙を加圧する。クリーニングウェブは、加圧ローラに付着したトナーを除去する。
【0038】
排紙ユニット70は、トナー像が定着された用紙を排紙するユニットである。また、排紙ユニット70は、両面複写モードにおいてシートの表裏を反転するユニットである。排紙ユニット70は、定着排出ローラと、切替部と、排紙ローラと、搬送ローラとを有する。
【0039】
定着排出ローラは、定着ユニット60から搬送された用紙を切替部側に搬送する。切替部は、定着排出ローラによって搬送された用紙を排紙するか否かを切り替える。具体的には、切替部は、片面複写モードにおいて、用紙の搬送ルートを排紙ローラ側に切り替える。切替部は、両面複写モードにおいて、用紙の両面についてトナー像の形成が終了している場合には、用紙の搬送ルートを排紙ローラ側に切り替える。一方で、切替部は、両面複写モードにおいて、用紙の片面についてトナー像の形成が終了していない場合には、用紙の搬送ルートを反転ユニット80側に切り替える。
【0040】
排紙ローラは、トナー像の定着が終了した用紙を後処理装置300側に排紙する。搬送ローラは、両面複写モードにおいて、片面についてトナー像の形成が終了してない用紙を反転ユニット80側に搬送する。
【0041】
反転ユニット80は、片面についてトナー像の形成が終了してない用紙の表裏を反転させるユニットである。反転ユニット80は、排紙ユニット70から搬送された用紙を画像形成ユニット50側に搬送する。すなわち、反転ユニット80は、画像形成ユニット50に用紙を再給紙する。
【0042】
操作ユニット90は、画像形成装置100の操作を行うためのユーザインタフェースである。操作ユニット90は、液晶パネル上にタッチパネルが重畳されたタッチスクリーン、ボタン及びスイッチによって構成される。
【0043】
検出ユニット110は、画像形成装置100の環境温度、画像形成装置100の環境湿度を検出する。検出ユニット110は、例えば、温度センサ、湿度センサなどである。
【0044】
検出ユニット110は、キャリブレーション処理、トナーの交換処理、トナーの補給処理を検出する。検出ユニット110は、例えば、操作ユニット90への操作を監視しており、キャリブレーション処理を検出する。検出ユニット110は、例えば、トナーを収容するトナーカートリッジの着脱を検出するセンサである。
【0045】
給紙装置200は、用紙トレイユニット30よりも多量の用紙を収容する装置である。多量の通常画像用紙を排出するケースにおいて、給紙装置200は、用紙トレイユニット30の代わりに用いられる。
【0046】
後処理装置300は、画像が形成された用紙の後処理を行う。具体的には、後処理装置300は、第1排紙トレイ310と、スタッカ320と、フィニッシャー330とを有する。
【0047】
第1排紙トレイ310は、画像形成装置100によって排紙された用紙を載置するトレイである。
【0048】
スタッカ320は、画像形成装置100によって排紙された用紙を収容する。スタッカ320は、多量の通常画像用紙を排出するケースで用いられる。
【0049】
フィニッシャー330は、ソート処理、パンチ(穴空け)処理、ステープル処理、中折り処理、裁断処理などを行う。フィニッシャー330は、これらの処理が施された用紙を第2排紙トレイ331に排紙する。第2排紙トレイ331は、フィニッシャー330によって排紙された用紙を載置するトレイである。
【0050】
プリンタコントローラ500は、LAN(Local Area Network)601を介してユーザ端末600から印刷ジョブを受信する。プリンタコントローラ500は、印刷ジョブを解析して、ビデオバス501を介して画像データを画像形成装置100に送信する。
【0051】
ユーザ端末600は、パーソナルコンピュータなどの端末である。ユーザ端末600は、LAN(Local Area Network)601を介して印刷ジョブをプリンタコントローラ500に送信する。印刷ジョブは、ユーザ端末600によって指定された画像の印刷を指示するデータであり、例えばPostScript(アドビ社の登録商標)、PCL等のページ記述言語(PDL:Page Description Language)で記述されている。
【0052】
(画像形成装置の機能)
以下において、第1実施形態に係る画像形成装置の機能について、図面を参照しながら説明する。図2は、第1実施形態に係る画像形成装置100を示すブロック図である。
【0053】
図2に示すように、画像形成装置100は、画像形成装置100を統括的に制御する制御ユニット400を有する。制御ユニット400は、通信I/F410と、HDD420と、メモリ430と、CPU440とを有する。
【0054】
通信I/F410は、ビデオバス501に接続されており、プリンタコントローラ500から画像データを取得する。
【0055】
HDD420は、制御プログラムや画像形成装置100の機能に関する情報などを記憶する。
【0056】
メモリ430は、DRAMなどの半導体メモリによって構成される。メモリ430は、画像読取ユニット20によって取得された画像データや通信I/F410によって取得された画像データを一時的に記憶する。又、メモリ430上には、HDD420に記憶された制御プログラムが展開される。
【0057】
CPU440は、メモリ430上に展開された制御プログラムに従って、画像形成装置100の各構成を制御する。以下においては、第1実施形態に関連するCPU440の動作について主として説明する。従って、CPU440の動作の一部は省略されていることに留意すべきである。
【0058】
CPU440は、通常画像データに基づいて、通常画像の形成を画像形成ユニット50に指示する。CPU440は、サンプル画像データに基づいて、サンプル画像の形成を画像形成ユニット50に指示する。
【0059】
通常画像データは、画像読取ユニット20によって取得された画像データや通信I/F410によって取得された画像データである。
【0060】
サンプル画像データは、サンプル画像を形成するための画像データである。サンプル画像データは、HDD420などに記憶されている。サンプル画像は、通常画像に異常が生じていないかを確認するために用いられる。従って、サンプル画像は、グラデーションチャートなどのように、画質の変化を把握しやすい画像であることが好ましい。
【0061】
ここで、CPU440は、サンプル排紙条件が満たされた場合に、サンプル画像の形成及びサンプル画像用紙の排紙を指示する。また、CPU440は、通常画像に影響を与える環境状態に応じて、サンプル排紙条件を変更する。なお、CPU440は、環境状態を示す環境情報を検出ユニット110から取得する。
【0062】
サンプル排紙条件は、(a)サンプル画像用紙を排紙した後に通常画像用紙の排出枚数が枚数閾値に達したこと、(b)サンプル画像用紙を排紙してから経過した時間が時間閾値に達したことなどである。
【0063】
環境状態は、画像形成装置100の環境温度、画像形成装置100の環境湿度、キャリブレーション処理、トナーの交換処理、トナーの補給処理などである。
【0064】
CPU440は、環境状態が通常画像に異常を生じやすい状態である場合に、サンプル画像用紙が排紙される頻度が高くなるようにサンプル排紙条件を変更する。具体的には、CPU440は、サンプル排紙条件として定められた枚数閾値を減少する。又は、CPU440は、サンプル排紙条件として定められた時間閾値を短くする。
【0065】
一方で、CPU440は、環境状態が通常画像に異常を生じにくい状態である場合に、サンプル画像用紙が排紙される頻度が低くなるようにサンプル排紙条件を変更する。具体的には、CPU440は、サンプル排紙条件として定められた枚数閾値を増加する。又は、CPU440は、サンプル排紙条件として定められた時間閾値を長くする。
【0066】
(サンプル排紙条件の変更)
以下において、第1実施形態に係るサンプル排紙条件の変更について、図面を参照しながら説明する。図3は、第1実施形態に係るサンプル排紙条件の変更を説明する図である。
【0067】
図3において、横軸は、画像形成装置100の環境温度を示しており、縦軸は、画像形成装置100の環境湿度を示している。画像形成装置100の環境温度は、℃で表されており、画像形成装置100の環境湿度は、RH%で表されている。
【0068】
図3に示すように、環境温度及び環境湿度は、Aゾーン、Bゾーン、Cゾーン及びQゾーンを定義する。
【0069】
Qゾーンは、画像形成装置100の動作が最も安定する環境温度及び環境湿度の範囲である。すなわち、検出ユニット110によって検出された環境温度及び環境湿度がQゾーンに含まれる場合には、通常画像に最も異常が生じにくい。
【0070】
Aゾーンは、画像形成装置100の動作が最も不安定になる環境温度及び環境湿度の範囲である。すなわち、検出ユニット110によって検出された環境温度及び環境湿度がAゾーンに含まれる場合には、通常画像に最も異常が生じやすい。
【0071】
Bゾーン及びCゾーンは、画像形成装置100の動作がやや不安定になる環境温度及び環境湿度の範囲である。すなわち、検出ユニット110によって検出された環境温度及び環境湿度がBゾーン又はCゾーンに含まれる場合には、通常画像にやや異常が生じやすい。
【0072】
このようなケースにおいて、制御ユニット400は、検出ユニット110によって検出された環境温度及び環境湿度がQゾーンに含まれる場合には、サンプル画像用紙が排紙される頻度が最も低くなるようにサンプル排紙条件を変更する。例えば、制御ユニット400は、サンプル排紙条件として定められた枚数閾値を“1000枚”に設定する。
【0073】
制御ユニット400は、検出ユニット110によって検出された環境温度及び環境湿度がAゾーンに含まれる場合には、サンプル画像用紙が排紙される頻度が最も高くなるようにサンプル排紙条件を変更する。例えば、制御ユニット400は、サンプル排紙条件として定められた枚数閾値を“500枚”に設定する。
【0074】
制御ユニット400は、検出ユニット110によって検出された環境温度及び環境湿度がBゾーン又はCゾーンに含まれる場合には、サンプル画像用紙が排紙される頻度がやや高くなるようにサンプル排紙条件を変更する。例えば、制御ユニット400は、サンプル排紙条件として定められた枚数閾値を“850枚”に設定する。
【0075】
(画像形成装置の動作)
以下において、第1実施形態に係る画像形成装置の動作について、図面を参照しながら説明する。図4〜図7は、第1実施形態に係る画像形成装置100の動作を示すフロー図であり、当該フローは、画像形成装置100の電源が投入された際に、CPU440がHDD420に記憶されたプログラムをメモリ430に展開して実行することにより開始される。
【0076】
図4に示すように、ステップ10において、制御ユニット400は、画像形成装置100の設定などを初期化する。
【0077】
ステップ20において、制御ユニット400は、通常画像データを待受ける状態に遷移する。通常画像データは、画像読取ユニット20によって取得された画像データや通信I/F410によって取得された画像データである。
【0078】
ステップ30において、制御ユニット400は、通常画像データを受け付けたか否かを判定する。制御ユニット400は、通常画像データを受け付けた場合には、ステップ40の処理に移る。制御ユニット400は、通常画像データを受け付けていない場合には、ステップ20の処理に戻る。
【0079】
ステップ40において、制御ユニット400は、用紙上に画像を形成する処理である画像形成処理を開始する。画像形成処理の詳細については後述する(図5を参照)。
【0080】
ステップ50において、制御ユニット400は、画像が形成された用紙を排紙する排紙処理を行う。
【0081】
ステップ60において、制御ユニット400は、通常画像データに基づく画像形成を終了するか否かを判定する。制御ユニット400は、画像形成を終了する場合には、ステップ70の処理に移る。制御ユニット400は、画像形成を終了しない場合には、ステップ40の処理に戻る。
【0082】
ステップ70において、制御ユニット400は、後処理が必要である場合に、後処理装置300に後処理を指示する。後処理は、ソート処理、パンチ(穴空け)処理、ステープル処理、中折り処理、裁断処理などである。
【0083】
次に、画像形成処理の詳細について、図5を参照しながら説明する。図5に示すように、ステップ41において、制御ユニット400は、サンプル排紙条件が満たされているか否かを判定する。制御ユニット400は、サンプル排紙条件が満たされていない場合には、ステップ42の処理に移る。制御ユニット400は、サンプル排紙条件が満たされている場合には、ステップ43の処理に移る。
【0084】
ステップ42において、制御ユニット400は、通常画像データに基づいて、通常画像を形成する。制御ユニット400は、通常画像を画像形成ユニット50に出力する。
【0085】
ステップ43において、制御ユニット400は、サンプル画像データに基づいて、サンプル画像を形成する。制御ユニット400は、サンプル画像を画像形成ユニット50に出力する。
【0086】
(サンプル排紙条件の変更処理)
以下において、第1実施形態に係るサンプル排紙条件の変更処理について、図面を参照しながら説明する。なお、図6又は図7に示すサンプル排紙条件の変更処理は、所定周期で図4に示すフローに割り込んで実行される処理である。
【0087】
第1に、画像形成装置100の環境温度及び環境湿度に応じて、サンプル排紙条件を変更するケースについて、図6を参照しながら説明する。
【0088】
図6に示すように、ステップ110において、制御ユニット400は、環境状態を示す環境情報を検出ユニット110から取得する。ここでは、制御ユニット400は、画像形成装置100の環境温度及び環境湿度を取得する。
【0089】
ステップ120において、制御ユニット400は、サンプル排紙条件の変更が必要であるか否かを判定する。制御ユニット400は、サンプル排紙条件の変更が必要である場合には、ステップ130の処理に移る。制御ユニット400は、サンプル排紙条件の変更が必要でない場合には、ステップ110の処理に戻る。
【0090】
例えば、制御ユニット400は、環境温度及び環境湿度によって定義されるゾーンが変わった場合に、サンプル排紙条件の変更が必要であると判定する。
【0091】
ステップ130において、制御ユニット400は、検出ユニット110から取得した環境温度及び環境湿度がQゾーンに含まれるか否かを判定する。制御ユニット400は、環境温度及び環境湿度がQゾーンに含まれる場合には、ステップ140の処理に移る。制御ユニット400は、環境温度及び環境湿度がQゾーンに含まれない場合には、ステップ150の処理に移る。
【0092】
ステップ140において、制御ユニット400は、サンプル排紙条件を第1サンプル排紙条件に変更する。第1サンプル排紙条件は、サンプル画像用紙が排紙される頻度が最も低い条件である。例えば、制御ユニット400は、サンプル排紙条件として定められた枚数閾値を“1000枚”に設定する。
【0093】
ステップ150において、制御ユニット400は、検出ユニット110から取得した環境温度及び環境湿度がAゾーンに含まれるか否かを判定する。制御ユニット400は、環境温度及び環境湿度がAゾーンに含まれる場合には、ステップ160の処理に移る。制御ユニット400は、環境温度及び環境湿度がAゾーンに含まれない場合には、ステップ170の処理に移る。
【0094】
ステップ160において、制御ユニット400は、サンプル排紙条件を第2サンプル排紙条件に変更する。第2サンプル排紙条件は、サンプル画像用紙が排紙される頻度が最も高い条件である。例えば、制御ユニット400は、サンプル排紙条件として定められた枚数閾値を“500枚”に設定する。
【0095】
ステップ170において、制御ユニット400は、サンプル排紙条件を第3サンプル排紙条件に変更する。第3サンプル排紙条件は、サンプル画像用紙が排紙される頻度がやや高い条件である。例えば、制御ユニット400は、サンプル排紙条件として定められた枚数閾値を“850枚”に設定する。
【0096】
第2に、キャリブレーション処理、トナー交換処理及びトナー補給処理に応じて、サンプル排紙条件を変更するケースについて、図7を参照しながら説明する。
【0097】
図7に示すように、ステップ210において、制御ユニット400は、キャリブレーション処理が実行されたか否かを判定する。すなわち、制御ユニット400は、検出ユニット110によってキャリブレーション処理が検出されたか否かを判定する。制御ユニット400は、キャリブレーション処理が実行された場合には、ステップ220の処理に移る。制御ユニット400は、キャリブレーション処理が実行されていない場合には、ステップ230の処理に移る。
【0098】
ステップ220において、制御ユニット400は、サンプル排紙条件を第4サンプル排紙条件に変更する。第4サンプル排紙条件は、例えば、キャリブレーション処理が行われてから所定期間内において、サンプル画像用紙が排紙される頻度が上昇させる条件である。例えば、第4サンプル排紙条件は、通常画像用紙の排出枚数が1000枚となるまでの期間において、通常画像用紙の排出枚数が50枚に達する毎にサンプル画像用紙を排紙することなどである。
【0099】
ステップ230において、制御ユニット400は、制御ユニット400は、トナー交換処理又はトナー補給処理が実行されたか否かを判定する。すなわち、制御ユニット400は、検出ユニット110によってトナー交換処理又はトナー補給処理が検出されたか否かを判定する。制御ユニット400は、トナー交換処理又はトナー補給処理が実行された場合には、ステップ240の処理に移る。制御ユニット400は、トナー交換処理又はトナー補給処理が実行されていない場合には、ステップ210の処理に戻る。
【0100】
ステップ240において、制御ユニット400は、サンプル排紙条件を第5サンプル排紙条件に変更する。第5サンプル排紙条件は、例えば、トナー交換処理又はトナー補給処理が行われてから所定期間内において、サンプル画像用紙が排紙される頻度が上昇させる条件である。例えば、第5サンプル排紙条件は、通常画像用紙の排出枚数が500枚となるまでの期間において、通常画像用紙の排出枚数が20枚に達する毎にサンプル画像用紙を排紙することなどである。
【0101】
(作用及び効果)
第1実施形態では、制御ユニット400は、サンプル排紙条件が満たされた場合に、サンプル画像用紙の排紙処理を行う。制御ユニット400は、通常画像に影響を与える環境状態に応じて、サンプル排紙条件を変更する。すなわち、通常画像用紙上に形成された通常画像に影響を与える環境状態の考慮によって、サンプル画像用紙が排紙されるタイミングを最適化することができる。
【0102】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0103】
例えば、画像形成装置100は、MFPではなくて、プリンタ機能のみを有する装置であってもよく、複写機能のみを有する装置であってもよい。
【0104】
環境状態は、画像形成装置100の環境温度、画像形成装置100の環境湿度、キャリブレーション処理、トナーの交換処理、トナーの補給処理に限定されるものではない。具体的には、環境状態は、通常画像用紙上に形成された通常画像に影響を与える状態であれば、他の状態であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】第1実施形態に係る画像形成装置100の概略を示す図である。
【図2】第1実施形態に係る制御ユニット400の構成を示す図である。
【図3】第1実施形態に係るサンプル排紙条件の変更を説明するための図である。
【図4】第1実施形態に係る画像形成装置100の動作を示すフロー図である。
【図5】第1実施形態に係る画像形成装置100の動作を示すフロー図である。
【図6】第1実施形態に係る画像形成装置100の動作を示すフロー図である。
【図7】第1実施形態に係る画像形成装置100の動作を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0106】
10・・・自動原稿送りユニット、20・・・画像読み取りユニット、30・・・用紙トレイユニット、40・・・給紙ユニット、50・・・画像形成ユニット、60・・・定着ユニット、70・・・排紙ユニット、80・・・反転ユニット、90・・・操作ユニット、100・・・画像形成装置、110・・・検出ユニット、200・・・給紙装置、300・・・後処理装置、310・・・第1排紙トレイ、320・・・スタッカ、330・・・フィニッシャー、331・・・第2排紙トレイ、400・・・制御ユニット、410・・・通信I/F、420・・・HDD、430・・・メモリ、440・・・CPU、500・・・プリンタコントローラ、501・・・ビデオバス、600・・・ユーザ端末、601・・・LAN

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙上に画像を形成する画像形成装置であって、
通常画像データに基づいて通常画像を用紙上に形成し、サンプル画像データに基づいてサンプル画像を用紙上に形成する画像形成部と、
前記通常画像が形成された用紙である通常画像用紙と、サンプル画像が形成された用紙であるサンプル画像用紙とを排紙する排紙部と、
前記サンプル画像用紙を排紙する条件であるサンプル排紙条件が満たされた場合に、前記サンプル画像用紙の排紙処理を行う制御部とを備え、
前記制御部は、前記通常画像に影響を与える環境状態に応じて、前記サンプル排紙条件を変更することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記環境状態は、画像形成装置の環境温度及び画像形成装置の環境湿度であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記環境状態は、キャリブレーション処理の実行、トナーの交換処理の実行及びトナー補給処理の少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記環境状態が前記通常画像に異常を生じやすい状態である場合に、前記サンプル画像用紙を排紙する頻度が高くなるように前記サンプル排紙条件を変更し、
前記環境状態が前記通常画像に異常を生じにくい状態である場合に、前記サンプル画像用紙を排紙する頻度が低くなるように前記サンプル排紙条件を変更することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−276585(P2009−276585A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−127983(P2008−127983)
【出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】