説明

画像形成装置

【課題】不要な噴射機能回復動作を低減し、噴射機能回復動作のための時間待ちやインクが無駄に消費される問題を解消する。
【解決手段】インクジェットプリンタ1は、インクジェットヘッド4のノズルからインクを噴射して画像形成を行う。インクジェットプリンタ1は、電源OFFにより時間測定部により時間を測定できない測定不能状態となった後で、電源がONされたときには、制御装置60に設けられた表示制御部より、回復動作制御部によるクリーニング動作の要否をユーザに問うためのメッセージを表示させる信号を表示部に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被画像形成媒体に液滴を噴射して画像形成を行う画像形成記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、インクジェットプリンタなどの画像形成装置は、時間を測定するタイマなどを有しており、一定時間おきに、インクの増粘を防止し噴射機能を回復させる噴射機能回復動作を行う。このような画像形成装置は、例えば、電源がOFFされた状態で内部バッテリの充電が切れた場合や内部バッテリを有していない状態で電源がOFFされた場合においては、再び電源をONしたとき前回の噴射機能回復動作からの経過時間を認識できない状態になってしまい、所定の時間間隔で噴射機能回復動作を実行できなくなってしまっていた。
【0003】
そこで、従来では、電源がONされると、画像形成に先立って強制的に噴射機能回復動作を行っているものが多い(例えば、特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特公平7−57551号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、特許文献1に記載の装置においては、電源がONされるたびに無条件に噴射機能回復動作が行われている。つまり、前回の噴射機能回復動作からあまり時間がたっていないにも関わらず、噴射機能回復動作が行われてしまうこともあり、頻繁に電源をON、OFFする使用状況にあっては、その噴射機能回復動作のための時間待ちを強いられ、かつインクが無駄に消費される問題があった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、不要な噴射機能回復動作を低減した画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成装置は、被画像形成媒体に液滴を噴射して画像形成を行う液滴噴射ヘッドと、前記液滴噴射ヘッドの噴射機能を回復させる回復手段と、時間を測定する時間測定手段と、前記時間測定手段からの情報に基づいて前記回復手段を制御し、表示手段及び入力手段とそれぞれ接続された制御手段と、を備え、前記時間測定手段が時間を測定できない状態となった後で電源がONにされたときには、前記制御手段は、前記表示手段に対して、前記回復手段による噴射機能回復動作の要否をユーザに問うためのメッセージを表示させる信号を出力することを特徴とする。
【0008】
本発明の記録装置によると、時間測定手段により時間を測定できなくなった場合には、制御手段は、噴射機能回復動作を行うか否かのメッセージを表示手段に表示させる。そうすることで、ユーザは、自らの意思で噴射機能回復動作を行うかどうかを選択することができ、時間測定手段により時間を測定できなかった時間が短時間である場合など必要ないと感じる場合には噴射機能回復動作を実行させないようにすることができるので、噴射機能回復動作のための待ち時間や画像形成のための液体が無駄に消費される問題を解消することができる。
【0009】
また、前記噴射機能回復動作を要求する信号が前記入力手段から入力されたときに、前記制御手段は、前記回復手段に前記噴射機能回復動作を行わせることが好ましい。このように、ユーザにより要求されたときに噴射機能回復動作を行うため、不要な噴射機能回復動作を省略でき、噴射機能回復動作のための待ち時間や画像形成のための液体が無駄に消費される問題を解消することができる。
【0010】
一方、本発明の画像形成装置は、被画像形成媒体に液滴を噴射して画像形成を行う液滴噴射ヘッドと、前記液滴噴射ヘッドの噴射機能を回復させる回復手段と、時間を測定する時間測定手段と、前記時間測定手段からの情報に基づいて前記回復手段を制御し、表示手段及び入力手段とそれぞれ接続された制御手段と、を備え、前記時間測定手段が時間を測定できない状態となった後で電源がONされたときには、前記制御手段は、前記表示手段に対して、電源がOFFされていた期間の程度をユーザに問うためのメッセージを表示させる信号を出力することを特徴とする。
【0011】
本発明の画像形成装置によると、時間測定手段により時間を測定できなくなった場合には、制御手段は、電源がOFFされていた期間をユーザに問うメッセージを表示させる。これにより、電源がOFFされていたおおよその期間に基づいて、回復手段の噴射機能回復動作を最適に制御し、噴射機能回復動作のための待ち時間や画像形成のための液体が無駄に消費される問題を解消することができる。
【0012】
また、前記制御手段は、前記入力手段から入力された期間の程度に応じて、前記回復手段の前記噴射機能回復動作を行うか否かを判断することが好ましい。このように、電源がOFFされていた期間が短い場合には噴射機能回復動作を行わないことで、不要な噴射機能回復動作を省略し、噴射機能回復動作のための待ち時間や画像形成のための液体が無駄に消費される問題を解消することができる。
【0013】
さらに、前記制御手段は、前記入力手段から入力された期間の程度に応じて、前記回復手段の前記噴射機能回復動作の強さを変えることが好ましい。このように、電源がOFFされていた期間の長短に応じて噴射機能回復動作の強さを変えることにより、最適な噴射機能回復動作を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
<第1実施形態>
以下、本発明の画像形成装置をインクジェットプリンタに具体化した第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0015】
図1は、第1実施形態に係るインクジェットプリンタの概略構成図である。図1に示すように、インクジェットプリンタ1は、液滴噴射ヘッドすなわちインクジェットヘッド4を被画像形成媒体たる用紙Pと平行に往復走査する主走査装置と、その往復走査方向に対して直交する方向に用紙Pを搬送する搬送装置と、インクジェットヘッド4に画像形成用の液体、すなわちインクを供給するインク供給装置と、インクジェットヘッド4の噴射機能を回復させる回復装置とを主に備え、さらに、それらの動作を制御する制御装置60と、それらに動作用の電力を供給するための電源装置80とを備えている。また図2に示すように、インクジェットプリンタ1は、操作パネル部90にキースイッチなどの入力部91(入力手段)、液晶表示板などの表示部92(表示手段)を備えている。
【0016】
主走査装置は、インクジェットヘッド4を搭載したキャリッジ2を備え、そのキャリッジをガイド軸3に沿って走査方向(図1左右方向)に往復移動させる。インクジェットヘッド4は、キャリッジ2の下面にノズル25(図2参照)を露出させており、キャリッジ2とともに走査方向に往復移動しつつ、ノズル25から用紙Pに向けてインクを噴射する。
【0017】
インク供給装置は、キャリッジ2外のインクジェットプリンタ1における静止部位13に装着された4つのインクカートリッジ14a〜14dと、キャリッジ2の上に搭載された4つのインクタンク5a〜5dと、インクカートリッジ14a〜14dとインクタンク5a〜5dとを接続する4本のチューブ6a〜6dとからなる。インクカートリッジ14a〜14dには、それぞれブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクが充填されている。これら4色のインクは、インクカートリッジ14a〜14dから4本のチューブ6a〜6dを介して、4つのインクタンク5a〜5dに供給され、さらにインクタンク5a〜5dからインクジェットヘッド4に供給される。
【0018】
搬送装置は、用紙Pを、インクジェットヘッド4のノズルの下方位置において、キャリッジ2の走査方向と直交する方向(図1中紙面手前方向)に搬送する搬送ローラ9を備える。
【0019】
回復装置は、公知のようにパージ動作、排気動作、フラッシング動作を行う。排気動作のために、各インクタンク5a〜5dには、図4に示すように、その上面から右方に延び、その右端部において下方に略直角に折れ曲がった排気流路7a〜7dが設けられている。4つの排気流路7a〜7dは、下端7eをインクジェットヘッド4の側方において外部に開口させており、それぞれ内部に弁17を備えている。弁17は、バネ18の作用によって常には排気流路7a〜7dを外部に対して閉じている。
【0020】
排気キャップ8及びパージキャップ10は、インクジェットプリンタ1において用紙Pが搬送される領域よりも側方に設けられている。排気キャップ8及びパージキャップ10は、昇降機構19により上下方向に移動可能となっており、用紙Pの搬送領域外に移動したキャリッジ2に向けて上方に移動することにより、排気流路7a〜7dの下端開口7eに排気キャップ8が、インクジェットヘッド4の下面にパージキャップ10がそれぞれ密着する。排気キャップ8は、内部に押し上げ突部8aを備えており、排気キャップ8が排気流路7a〜7dの下端開口7eに接続されたとき、その突部8aにより弁17を押し上げて開き、サブタンク5内の上部空間と排気キャップ8内と接続する。
【0021】
パージキャップ10と排気キャップ8は、それぞれ別々の昇降機構によって、上下動するようにしてもよい。また、排気キャップ8とその中の突部8aとは、別々の昇降機構によって上下動するようにしてもよい。さらに、排気通路7a〜7d内の各弁17を別々に開閉するようにしてもよい。
【0022】
排気キャップ8及びパージキャップ10は、それぞれ切替装置11を介して吸引ポンプ12に接続されている。切替装置11は、排気キャップ8及びパージキャップ10と吸引ポンプ12との接続及びその遮断を切り替える。
【0023】
排気キャップ8が排気流路7a〜7dに接続され、切替装置11により排気キャップ8と吸引ポンプ12とが接続された状態で、吸引ポンプ12を動作させると、排気流路7a〜7dからインクタンク5a〜5d内の上部のエアが外部に排出される。
【0024】
また、パージキャップ10によりインクジェットヘッド4の下面、つまりノズル25が覆われ、切替装置11によりパージキャップ10と吸引ポンプ12とが接続された状態で、吸引ポンプ12を動作させると、ノズル25からインクジェットヘッド4内のインクが吸引される(吸引パージ動作)。
【0025】
フラッシング動作は、公知のようにインクジェットヘッド4の噴射性能を回復させるために、キャリッジ2が記録用紙Pの搬送領域よりも側方の位置に移動した状態で、インクジェットヘッド4を駆動して全ノズル25からインクを、画像データとは無関係にパージキャップ10または図示しない公知の容器に向けて噴射して行われる。
【0026】
図3は、インクジェットヘッド4の一例を示すものである。インクジェットヘッド4は、公知のものと同様に、記録用紙と対向する下面に、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクごとに列をなす多数のノズル25を備え、各インク毎に設けられたマニホールド流路21に各列のノズル25を圧力室20を介して連通させている。マニホールド流路21は、一端の供給口27を対応するサブタンク5に連通させ、サブタンク5から供給されたインクを圧力室20に分配する。圧力室20内のインクは、公知のように吐出エネルギーを付与されることによって、ノズル25から液滴となって記録用紙へ向け吐出される。吐出エネルギーの付与手段としては、圧電素子の変形させるもの、ヒータによりインクを発泡させるものなどが適用可能である。
【0027】
次に、インクジェットプリンタ1の動作を制御する制御装置60(制御手段)について、図5を参照しつつ説明する。制御装置60は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などによって構成されており、これらが図5に示すように、画像形成制御部61、回復動作制御部63、表示制御部66及び時間測定部68(時間測定手段)として動作する。
【0028】
画像形成制御部61は、外部機器例えばパーソナルコンピュータ(PC)90、ファクシミリなどから入力された画像データに基づいて画像形成を行う際、インクジェットヘッド4、主走査装置及び搬送装置の動作を制御する。
【0029】
回復動作制御部63は、インクジェットヘッド4の噴射機能を回復させるクリーニング動作(噴射機能回復動作)すなわちパージ動作、排気動作、フラッシング動作を制御するものであり、フラッシング制御部62、パージ制御部64及び排気制御部65を備える。
【0030】
フラッシング制御部62は、フラッシング動作を行う際のインクジェットヘッド4及びキャリッジ2の動作を制御する。
【0031】
パージ制御部64は、パージキャップ10で吸引パージ動作を行う際のキャリッジ2、昇降機構19、切替装置11及び吸引ポンプ12の動作を制御する。
【0032】
排気制御部65は、排気キャップ8でインクタンク5内のエアの排気動作を行う際のキャリッジ2、昇降機構19、排気キャップ8、切替装置11及び吸引ポンプ12の動作を制御する。
【0033】
時間測定部68は、回復動作制御部63により前回の各クリーニング動作すなわちパージ動作、排気動作及びフラッシング動作が行われてから現在までの経過時間をそれぞれ測定し、回復動作制御部63に出力する。回復動作制御部63は、時間測定部68で測定した時間の制御の下に、フラッシング制御部62、パージ制御部64及び排気制御部65をそれぞれ予め決めた周期で駆動する。時間測定部68は、電源装置80が内部バッテリ72を搭載している場合には、商用電源から切断すなわち電源をOFFした後も公知のように一定期間内部バッテリ72により経過時間の測定機能を保持しているが、その後内部バッテリ72も切れると、測定した時間データが消去されかつ経過時間を測定できない状態となる。したがって、この場合、商用電源から切断した後上記一定期間内に再び商用電源を接続すれば、時間測定部68は測定動作を継続している。また、電源装置80が内部バッテリを搭載していない場合には、電源をOFFにすると、測定した時間データが直ちに消去されかつ経過時間を測定できない状態となる。
【0034】
表示制御部66は、操作パネル部90の表示部92に表示するメッセージ信号を表示部92に出力する。電源をONしたとき、表示制御部66は、時間測定部68の動作状況を判断し、時間が測定不能状態となっている場合には、表示制御部66は、ユーザにクリーニング動作を行うか否かのメッセージを表示部92に表示するよう制御する。また、表示制御部66は、テスト印字を行うか否か、テスト印字の結果に応じてクリーニング動作を行うか否かなどのメッセージを表示部92に表示するよう制御する。
【0035】
図6に示すように、まず、電源をONして(A1)、時間測定部68の動作状況を判断する(A2)。ここでは測定された経過時間を読み取ることにより、あるいはバッテリが切れているか否かでそれを判断してもよい。プリンタにバッテリが搭載されていて電源がOFF状態でも時間測定部68の動作が継続されている場合には、時間測定部68により経過時間を測定できている(A2:Yes)。このときは、以降も時間測定部68で測定した時間の制御の下に回復動作制御部63は、フラッシング制御部62、パージ制御部64及び排気制御部65をそれぞれ予め決めた周期で駆動する。
【0036】
一方、前記バッテリも切れていた場合及びバッテリを搭載していない装置の場合、時間測定部68の動作が停止され、前回の回復動作からの経過時間が不明となっている(A2:No)。この場合(A2:No)、表示制御部66は、表示部92に、図2(b)に示すように「クリーニングを実行することをお勧めしますが、実行しますか?」と表示させて(A3)、クリーニング動作を行うか否かをユーザに問う。
【0037】
ユーザが入力部91からクリーニング動作を行うYes信号を入力すると(A4:Yes)、回復動作制御部63は、クリーニング動作としてパージ制御部64及び排気制御部65に吸引パージ動作及び排気動作を行わせる(A5)。すなわち、排気キャップ8と排気流路7a〜7dとを接続するとともにパージキャップ10でノズル25を覆い、その状態でまず切替装置11により排気キャップ8と吸引ポンプ12とを接続し、インクタンク5a〜5dの上部に溜まったエアの排出をする。その後、切替装置11によりパージキャップ10と吸引ポンプ12とを接続し、ノズル25からインクを吸引して排出する吸引パージ動作を行う。
【0038】
ユーザが入力部91からクリーニング動作を行わないNo信号を入力すると(A4:No)、さらに、表示部92に「印字が不安定になる可能性があります。テスト印字をしますか?」と表示して(A6)、テスト印字を行うか否かをユーザに問う。ユーザがPC90の入力部91からテスト印字を行わないNo信号を入力すると(A7:No)、テスト印字を行わずに、本シーケンスを終了する。
【0039】
ユーザが入力部91からテスト印字を行うYes信号を入力すると(A7:Yes)、記録制御部61は、インクジェットヘッド4、主走査装置及び搬送装置を制御して用紙上に所定の画像パターンを形成するテスト印字を行わせる(A8)。そして、表示部92に「テスト印字の結果は良好ですか?」と表示して、テスト印字の結果をユーザに問う(A9)。ユーザが入力部91からテスト印字の結果は良好であるとYes信号を入力すると(A10:Yes)、クリーニング動作を行わずに本シーケンスを終了する。ユーザが入力部91からテスト印字の結果は良好ではないとNo信号を入力すると(A10:No)、回復動作制御部63は、前記A5と同様に、クリーニング動作をパージ制御部64及び排気制御部65に行わせる(A11)。
【0040】
以上のような第1実施形態に係るインクジェットプリンタ1によると、電源OFF等により、時間測定部68により経過時間を測定できなくなった後、電源をONした場合には、制御装置60は、クリーニング動作を行うか否かのメッセージを表示部92に表示させる。そうすることで、ユーザは、自らの意思でクリーニング動作を行うかどうかを選択することができる。頻繁に電源をON、OFFさせる使用環境であったり、プリンタを移動させるために一時的に電源をOFFするなどして、時間測定手段により時間を測定できなかった時間が短時間であるとき、通常はクリーニング動作を行う必要がない。のような場合にはクリーニング動作を実行させないようにすることができる。
【0041】
また、入力部91からユーザにより要求されたときにのみクリーニング動作を行うため、不要なクリーニング動作のための待ち時間やインクが無駄に消費される問題を解消することができる。
【0042】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係るインクジェットプリンタについて、図7を参照して説明する。本実施形態においては、電源OFFの日数に応じてクリーニング動作を行うものであり、図1から図4のインクジェットプリンタの本体部分や図5のブロック図は同様である。
【0043】
図7に示すように、まず、電源をONして(B1)、時間測定部68の動作状況を判断する(B2)ところまでは、第1実施形態のA1、A2と同じなので詳細な説明は省略する。一方、前回の回復動作からの経過時間が不明となっている場合(B2:No)、表示部92に、図2(c)に示すように「電源が切れていた日数は30日未満ですか?」と表示して(B3)、電源の切れていた日数、つまり電源がOFFされてからの経過時間をユーザに問う。
【0044】
ユーザが入力部91からYes信号を入力すると(B4:Yes)、クリーニング動作を行わずに本シーケンスを終了する。ユーザが入力部91からNo信号を入力すると(B4:No)、さらに、表示部92に「電源が切れていた日数は30日以上60日未満ですか?」と表示して(B5)、電源の切れていた日数をユーザに問う。
【0045】
ユーザが入力部91からYes信号を入力すると(B6:Yes)、回復動作制御部63は、パージ制御部64及び排気制御部65にクリーニング動作をさせる(B7)。このクリーニング動作の内容は、第1実施形態のA5,A11と同じである。ユーザが入力部91からNo信号を入力すると(B6:No)、回復動作制御部63は、パージ制御部64及び排気制御部65に強力なクリーニング動作を行わせる(B8)。このとき、B8で行う強力なクリーニング動作においては、電源の切れていた日数が長いため、B7で行うクリーニング動作に比べて、吸引パージ及び排気パージによる吸引量を多くする。
【0046】
上記メッセージの表示に代えて「電源が切れていた日数を入力してください」と表示して、ユーザが入力部91から日数を数字で入力し、その数字の大きさにもとづいて噴射機能回復動作の有無、その大きさを制御するようにすることもできる。
【0047】
以上のような第2実施形態に係るインクジェットプリンタ1によると、電源OFF等により、時間測定部68により経過時間を測定できなくなった後、電源をONした場合には、制御装置60は、電源がOFFされていた期間をユーザに問うメッセージを表示させる。これにより、制御装置60は、電源がOFFされてからおおよそどれくらいの時間が経過しているかを把握でき、この時間に基づいて、回復動作制御部63によるクリーニング動作を制御することができる。
【0048】
また、電源がOFFされていた期間が短い場合にはクリーニング動作を行わないことで、不要なクリーニング動作が行われてしまうというユーザの不満を解消することができる。
【0049】
さらに、電源がOFFされていた期間の長短に応じてクリーニング動作の強さを変えることにより、インクの乾燥の進行にかかわらずインクジェットヘッドの噴射機能を回復することができる。
【0050】
第1実施形態及び第2実施形態において、ユーザがインクジェットプリンタを購入してはじめて電源をONしたときは、上記の制御を行わず、新しいインクカートリッジの装着の検出にもとづいて、そのインクカートリッジからインクジェットヘッドへインクを導入するための吸引動作を行うように設定することが好ましい。
【0051】
また、電源が継続してONされている状態において、時間測定部68の時間測定にもとづいて、制御部60は、噴射機能回復動作を公知のように自動的に行うだけでなく、その噴射機能回復動作を行うべき時機に達したとき、あるいは近づいたとき、表示部92にその旨を表示し、ユーザが入力部91から指示したときにその噴射機能回復動作を行うように構成することもできる。
【0052】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、インクジェットプリンタとパーソナルコンピュータとの組を1つの画像形成装置とし、入力部91及び表示部92を、パーソナルコンピュータのキーボード等の入力装置およびディスプレーで代用させることもできる。
【0053】
また、第1及び第2実施形態においては、クリーニング動作として、吸引パージ動作及び排気動作を行っていたが、それにフラッシング動作を含めて、それらを単独に行ったり、またそれらを任意に組み合わせて行ってもよい。さらに、両実施形態においては、吸引ポンプによって排気動作、パージ動作を行うようにしたが、インクカートリッジ14a〜14d側からインクに正圧を加え、弁17を開いた状態で、インクタンク5a〜5dからエアを押し出す排気動作、弁17を閉じた状態で、ノズル25からインクを押し出すパージ動作を行うように構成することもできる。
【0054】
さらに、第1実施形態においては、クリーニング動作をすることを勧めた後、実行するか否かをユーザに選択させてクリ−ニング動作を行っていたが、必ずしもクリーニング動作をする必要はなく、ユーザに対してクリーニング動作をすることを喚起するだけでもよい。
【0055】
さらに、第2実施形態においては、入力部91から入力された期間の程度に応じて、回復動作制御部63によるクリーニング動作の強さを変えていたが、ユーザの判断によりクリーニング動作の強さを変えてもよいし、その期間の程度によらずクリーニング動作の強さは同じでもよい。
【0056】
また、第1実施形態におけるA4「クリーニングを実行することをお勧めしますが、実行しますか?」と表示した後、第2実施形態におけるB3「電源が切れていた日数は30日未満ですか?」と表示するなど、両実施形態を組み合わせて実施することもできる。
【0057】
さらに、第1及び第2実施形態においては、本発明の画像形成装置をインクジェットプリンタに具体化した例を示したが、インク以外の液体、例えば、着色剤を所定のパターン状に塗布して液晶表示装置のカラーフィルタを製造する装置、導電性の液体を線状に塗布して電気回路の配線パターンを形成する装置などにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本実施形態に係るインクジェットプリンタの概略構成図である。
【図2】(a)図1のインクジェットプリンタの操作パネル部の平面図、(b)、(c)その操作パネル部内の表示部での表示態様を説明する図である。
【図3】インクジェットヘッドの平面図である。
【図4】(a)図1のインクジェットヘッド、サブタンク部分の縦断面図、(b)前記(a)のb−b断面図とそれに対応するキャップ部分の断面図である。
【図5】制御装置の概略を示すブロック図である。
【図6】第1実施形態のクリーニング動作を説明するフローチャートである。
【図7】第2実施形態のクリーニング動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0059】
1 インクジェットプリンタ
4 インクジェットヘッド
60 制御装置
63 回復動作制御部
64 パージ制御部
65 排気制御部
66 表示制御部
68 時間測定部
80 電源装置
91 入力部
92 表示部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
被画像形成媒体に液滴を噴射して画像形成を行う液滴噴射ヘッドと、
前記液滴噴射ヘッドの噴射機能を回復させる回復手段と、
時間を測定する時間測定手段と、
前記時間測定手段からの情報に基づいて前記回復手段を制御し、表示手段及び入力手段とそれぞれ接続された制御手段と、を備え、
前記時間測定手段が時間を測定できない状態となった後で電源がONにされたときには、前記制御手段は、前記表示手段に対して、前記回復手段による噴射機能回復動作の要否をユーザに問うためのメッセージを表示させる信号を出力することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記噴射機能回復動作を要求する信号が前記入力手段から入力されたときに、前記制御手段は、前記回復手段に前記噴射機能回復動作を行わせることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
被記画像形成体に液滴を噴射して画像形成を行う液滴噴射ヘッドと、
前記液滴噴射ヘッドの噴射機能を回復させる回復手段と、
時間を測定する時間測定手段と、
前記時間測定手段からの情報に基づいて前記回復手段を制御し、表示手段及び入力手段とそれぞれ接続された制御手段と、を備え、
前記時間測定手段が時間を測定できない状態となった後で電源がONにされたときには、前記制御手段は、前記表示手段に対して、電源がOFFされていた期間の程度をユーザに問うためのメッセージを表示させる信号を出力することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記入力手段から入力された期間の程度に応じて、前記回復手段による前記噴射機能回復動作を行うか否かを判断することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記入力手段から入力された期間の程度に応じて、前記回復手段による前記噴射機能回復動作の強さを変えることを特徴とする請求項3または4に記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−83167(P2009−83167A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−252871(P2007−252871)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】