説明

画像形成装置

【課題】画像形成に際しての残時間を正確に算出して表示することを可能にする。
【解決手段】画像データに基づいて用紙に画像を形成するプリンタ部と、前記画像データと出力設定条件に基づいて前記プリンタ部を制御する制御部とを備え、該制御部は、前記画像形成における各種基本動作時間のデータを記憶しておき、前記出力設定条件が決まると、記憶された画像形成における各種基本動作時間のデータを読み出すとともに、各原稿の画像データ黒化率情報より得られる所定の画像形成期間中の黒化率を積算し、前記各種基本動作時間のデータと、前記黒化率積算情報を用いて前記画像形成が完了するまでの残時間を算出する。該残時間は、表示部で表示することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像データに基づいて用紙に画像形成を行う画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、ファクシミリ、プリンタ、複合機などの画像形成装置では、操作部を通して設定したり、初期条件として設定されたりしている出力設定条件に基づいて画像形成が行われる。すなわち、画像データに基づいて感光体に潜像を形成し、該潜像を現像器から供給されるトナーで現像する。給紙トレイからは用紙を給紙、搬送し、現像された前記画像を転写し、定着器によって該画像を定着する。用紙には、必要に応じて片面または両面に画像が形成される。また、画像が形成された用紙は、必要に応じて後処理装置でステイプル、パンチング、折りなどの後処理がなされる。
【0003】
該画像形成では、上記した出力設定条件によって出力に要する時間が異なっており、出力枚数や部数が多かったりすると操作者による出力要時間の予測が困難になり、操作者の作業性を損なう。そこで、画像形成に際しての各種の基本動作時間をデータとして記憶しておき、出力設定条件が決まると、前記データを読み出して出力に要する残時間を算出して報知する画像形成装置が提案されている(特許文献1参照)。該画像形成装置によれば、操作者は残時間を容易に確認することができ、作業性が向上する。また、画像形成前や画像形成動作中の補正動作を考慮して所要時間の正確性を向上させた画像形成装置も提案されている(特許文献2参照)。
【0004】
ところで、画像形成においては、出力設定条件だけでなく、原稿画像要因として生産性が変動する場合がある。すなわち、黒化率の高い高カバレッジ原稿の連続画像形成においては現像剤消費が大きく、特に高速画像形成を行なうシステムにおいては現像剤供給が間に合わずに濃度低下を引き起こす要因となる。このような問題は特にカラー原稿で生じやすい。このため、現像剤供給の為に連続画像形成サイクルをダウンさせる等、生産性を落とす方法が提案されている(例えば特許文献3)。
【特許文献1】特開2003−98910号公報
【特許文献2】特開2004−255570号公報
【特許文献3】特開2005−316171号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記した残時間の算出では原稿画像要因による変動パラメータは含まれていないため、上記のように原稿画像要因で生産性が変動すると、当初予測残時間に対して生産性変動発生時点で残時間に誤差が発生するという問題がある。
【0006】
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、高カバレッジ原稿を含むことによる生産性変動に対しても残時間を正確に算出して、予測残時間値と実動作所要時間との誤差をなくすことができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明の画像形成装置のうち、第1の本発明は、画像データに基づいて用紙に画像を形成するプリンタ部と、前記画像データと出力設定条件に基づいて前記プリンタ部を制御する制御部とを備え、該制御部は、前記画像形成における各種基本動作時間のデータを記憶しておき、前記出力設定条件が決まると、記憶された画像形成における各種基本動作時間のデータを読み出すとともに、各原稿の画像データ黒化率情報より得られる所定の画像形成期間中の黒化率を積算し、前記各種基本動作時間のデータと、前記黒化率積算情報を用いて前記画像形成が完了するまでの残時間を算出することを特徴とする。
【0008】
第2の本発明の画像形成装置は、前記第1の本発明において、前記残時間を表示する表示部を備えることを特徴とする。
【0009】
第3の本発明の画像形成装置は、前記第1または第2の本発明において、前記制御部は、用紙への画像形成に伴う残枚数の変更に応じて前記残時間を更新することを特徴とする。
【0010】
第4の本発明の画像形成装置は、前記第1〜第3の本発明において、前記制御部は、前記黒化率積算値が所定の第1カバレッジ閾値を越えると、積算最終次原稿より画像形成サイクルを長くして低生産性稼働にし、その後、前記黒化率積算値が所定の第2カバレッジ閾値以下になると前記画像形成サイクルを通常値に戻して通常生産性稼働にすることを特徴とする。
【0011】
第5の本発明の画像形成装置は、前記第4の本発明において、前記第2カバレッジ閾値が前記第1カバレッジ閾値よりも低い値を有することを特徴とする。
【0012】
第6の本発明の画像形成装置は、前記第4または第5の本発明において、前記制御部は、前記低生産性稼働に際し、画像形成部の空転サイクルを設けることが可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明の画像形成装置によれば、画像データに基づいて用紙に画像を形成するプリンタ部と、前記画像データと出力設定条件に基づいて前記プリンタ部を制御する制御部とを備え、該制御部は、前記画像形成における各種基本動作時間のデータを記憶しておき、前記出力設定条件が決まると、記憶された画像形成における各種基本動作時間のデータを読み出すとともに、各原稿の画像データ黒化率情報より得られる所定の画像形成期間中の黒化率を積算し、前記各種基本動作時間のデータと、前記黒化率積算情報を用いて前記画像形成が完了するまでの残時間を算出するので、高カバレッジ原稿を含むことによって生産性が変動する際にも出力に要する残時間を正確に算出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明の画像形成装置の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、画像形成装置全体の中央断面図であり、機械的な構成を示している。以下に、その構成を説明する。
画像形成装置1は、その上部側に、スキャナ部130、自動原稿給送装置(ADF)135が設けられており、これらによって原稿読み取り部が構成されている。また、画像形成装置1の上部側に、操作パネル140が設けられており操作者による操作が可能になっている。
【0015】
また、画像形成装置1の下部側には、用紙が収納された複数の給紙トレイなどを備える給紙部155が設けられている。該給紙部155の給紙先には、LD152等で構成される画像形成部が配置されている。LD152の近傍には、感光体、帯電器、現像器153、定着器などが配置されて画像形成部が構成されている。前記給紙部155やこの画像形成部によってプリンタ部150が構成されている。画像形成部の下流側には、後処理装置(FNS)160が設置されて画像形成装置1に接続されており、画像形成がなされた転写紙に所望の後処理(ステープル、パンチ、断裁など)を行えるようになっている。
【0016】
次に、本発明における画像形成装置1の機能的な構成を図2のブロック図により示す。
画像形成装置1は、画像制御部110と自動原稿給送装置135とスキャナ部130と操作部140とプリンタ部150とを備え、該画像形成装置1に後処理装置160が接続されている。
【0017】
画像制御部110には、画像形成装置1全体の制御を行う画像制御CPU111を備えており、該画像制御CPU111には、該画像制御CPU111を動作させるプログラムが格納されたプログラムメモリ112、プログラム動作時のワークエリアやデータを一時格納場所などとして使用されるシステムメモリ(RAM)113、不揮発メモリ114が接続されている。該不揮発メモリ114には、画像形成装置1の初期印刷設定情報や、プロセス制御パラメータ等の機械設定情報、各給紙トレイの用紙情報(用紙サイズ、紙種など)などの設定データが格納されている。また、画像形成に際しての各種基本動作時間のデータ、高カバレッジ原稿に対し、生産性調整を行う際の基準となる所定の画像形成期間、第1のカバレッジ閾値、第2のカバレッジ閾値および生産性の調整度合いなどのデータが格納されている。
【0018】
画像制御CPU111は、システムメモリ113上のデータを参照しながら、プログラムメモリ112に格納されているプログラムに従って各部制御などの動作を行う。画像制御CPU111は、該不揮発メモリ114の不揮発データを読み取り可能であり、また、所望のデータを不揮発データとして該不揮発メモリ114に書き込むことが可能である。画像制御CPU111は、上記機械設定情報や印刷設定情報に従って画像形成装置1の各部を動作制御する。画像処理制御CPU111は、画像形成装置1全体を制御するものであり、本発明の制御部に相当する。
【0019】
画像制御CPU111には、DRAM制御IC115が接続されており、該DRAM制御IC115には、圧縮メモリ121を備える画像メモリ120が接続されている。
また、前記DRAM制御IC115には、書き込み処理部125が接続されている。該書き込み処理部125は、プリンタ部150のLD(レーザダイオード)152に接続され、該LD152の動作に用いられる書き込みデータの処理を行う。また、プリンタ部150は、プリンタ部150の全体(給紙、画像形成、排紙、後処理など)を制御するプリンタ制御部151を備えていおり、プリンタ制御部151は前記した画像制御CPU111に接続されている。
【0020】
プリンタ制御部151は、画像制御CPU111とシリアル通信を行いながら画像制御CPU111の制御指令に従って動作してプリンタ部150を制御する。プリンタ制御部151には、給紙機構、搬送機構などが制御可能に接続されており、プリンタ制御部151は画像制御CPU111の指示に従い負荷を制御し紙搬送、画像形成などを行う。 また、プリンタ制御部151には、後処理装置(FNS)160の後処理制御部161が接続されており、プリンタ制御部151を介して後処理装置(FNS)160の制御が行われる。
【0021】
次に、前記スキャナ130は、光学読み取りを行うCCD131と、スキャナ130全体の制御を行うスキャナ制御部132とを備えている。スキャナ制御部132は、前記画像制御CPU111とシリアル通信可能に接続されている。また、前記CCD131は、該CCD131で読み取った画像データを処理する読み取り処理部120に接続され、該読み取り処理部120にはDRAM制御IC111に接続されており、DRAM制御IC115には、さらに画像データの圧縮処理や伸長処理をする圧縮・伸長IC122が接続されている。
【0022】
また、自動原稿給送装置(ADF)135は、ADF制御部136を有しており、該ADF制御部136は、前記画像制御CPU111に接続されて画像制御CPU111によって制御を受ける。
【0023】
前記操作パネル140は、表示部と操作部とを兼ね、LCD141と、操作部全体を制御する操作部制御部142とを備えており、該操作部制御部142は前記画像制御CPU111にシリアル通信可能に接続されている。操作パネル140では、画像制御CPU111の制御を受けて、LCD141によって、画像形成装置1における印刷設定や動作制御条件などの機械設定入力、出力に関する設定入力や、設定内容の表示、画像形成における所要残時間などの情報等の表示が可能になっている。
【0024】
次に、上記画像形成装置1の基本的動作について説明する。
先ず、画像形成装置1において画像データを蓄積する手順について説明する。
画像形成装置1において、スキャナ部130で画像を読み取り画像データを生成する場合について説明する。スキャナ部130において原稿からCCD131により画像を光学的に読み取る。この際には、画像制御CPU111から指令を受けるスキャナ部制御部132によってCCD131の動作制御を行う。原稿の読み取りは、流し込みtype自動原稿給送装置(ADF)135によって行ってもよく、また、プラテンガラス上に原稿を置いて行ってもよい。
【0025】
画像制御CPU111はプログラムによって動作し、操作部140による操作に基づいてスキャナ部130への指令を発行する。CCD131で読み取られた画像は、読み取り処理部120でデータ処理がなされ、データ処理された画像データは、圧縮・伸長IC122において所定の方法によって圧縮され、DRAM制御IC115を介して圧縮メモリ121に格納される。なお、画像データの蓄積に際し、画像制御CPU111で、各原稿の黒化率の情報(画像領域全体に対する画像印字ドット密度)を取得して画像データとともに画像メモリ120などに格納してもよい。
【0026】
画像形成装置1で画像出力を行う場合、操作パネル140による設定または初期条件によって出力設定条件が決定される。画像制御CPU111では、該出力設定条件に従って、各部を制御する。出力設定条件としては、例えば、「原稿サイズ/枚数」「転写紙サイズ」「倍率」「片面/両面」「設定部数」「後処理動作条件」等の入力画像に対する出力設定パラメータが挙げられる。
先ず、画像形成に際しては、圧縮メモリ121に格納された画像データをDRAM制御IC115を介して圧縮・伸張IC122に送出してデータを伸張し、伸張したデータはDRAM制御IC115を介して画像制御CPU111に送信される。画像制御CPU111では、各原稿に対応する黒化率情報を取得し、前記不揮発メモリ114に記憶されている所定の画像形成期間中の各原稿の黒化率の積算情報(以下(原稿)カバレッジと記述)を算出し、生産性変動の判定および必要に応じて生産性調整を行う(詳細は後述する)。
【0027】
また、伸長した画像データは、DRAM制御IC115を通して書き込み処理部125に送出して書き込みデータを生成し、LD152において感光体への書き込みを行う。
プリンタ部150では、画像制御CPU111の指令を受けたプリンタ制御部151によって給紙部155、画像形成部などの各部の制御が行われる。プリンタ部150において、画像形成、用紙への転写、定着、後処理装置160への搬送、後理装置160での後処理などが順次行われて印刷出力が行われる。
【0028】
次に、上記画像制御CPU111では、出力設定条件の決定に従い、不揮発メモリ114に格納された各種基本動作時間に基づいて画像形成に要する残時間の算出を行うことができる。すなわち、出力設定条件により決定される、画像形成インターバル時間、後処理所要時間(部間時間)等の各種基本動作時間を基に残時間を算出する。図3は、画像形成インターバル時間、後処理所要時間(部間時間)のタイムチャートを概念的に示す図である。
これらの情報により、例えば残時間は下記式で算出することができる。
【0029】
残時間=(残枚数)*(インターバル時間)+(残部数−1)*(部間時間)
残枚数=(原稿枚数)*(部数)−排紙枚数
【0030】
ただし、上記残時間の算出では、原稿要因による生産性変動を考慮しておらず、生産性変動が生じる場合には、正確な残時間を示すことができない。
原稿要因による以下仕様における生産性変動の手順の一例を図4のフローチャートを用いて説明する。
【0031】
生産性変動仕様:
(1)原稿カバレッジを「Zsec間に画像形成を行なう各原稿の黒化率積算値」として算出
(2)原稿カバレッジがA%(第1のカバレッジ閾値)を越えた場合に(現像剤供給が追いつかなくなり)、積算最終次原稿よりの画像形成サイクルを通常の2倍(=生産性1/2)に落とす。
(3)画像形成サイクルを(2)の2倍(生産性調整度)としたときの原稿カバレッジがB%(第2のカバレッジ閾値、但し、B<A)以下となった場合に積算最終次原稿よりの画像形成サイクルを通常画像形成サイクルに戻す。
【0032】
コピー動作条件: *はメモリされている基本動作時間
・片面A4サイズ、倍率×1.00 :Zsec間の画像形成枚数Y=Z/画像形成サイクル*
・後処理ステイプルモード(ソート出力):ステイプル後処理時間(=部間時間)=S*・50部設定
・ADF原稿枚数 50枚
残時間表示:コピー開始後原稿枚数確定後に操作部にJOB終了までの残時間情報を表示する。
転写紙排出での残枚数変更に対して残時間情報を更新する。
【0033】
生産性変動の判定および調整の手順では、図4に示すように、Zsec間(所定の画像形成期間)に画像形成を行なう各原稿の黒化率積算値が算出され、該黒化率積算値が第1のカバレッジ閾値であるA%を越えたか否かの判定がなされる(ステップs1)。A%を越えていなければ、現像剤の供給に問題はないため、通常の生産性で出力し(ステップs2)、次頁判定に移行し(ステップs3)、ジョブ終了までステップs1に戻る(ステップs4)。
一方、黒化率積算値がA%を越える場合、現像剤の供給が間に合わない可能性があるため、予め設定された生産性調整度(ここでは1/2)に基づいて画像形成サイクルを2倍(生産性を1/2)とする(ステップs5)。
【0034】
次いで次頁判定に移行し(ステップs6)、原稿カバレッジが第2のカバレッジ閾値であるB%以下であるか否かの判定がなされる(ステップs7)。高カバレッジな原稿が継続すると、現像剤の供給がより間に合わなくなるため、厳しい閾値で高カバレッジを判定することが必要になる。
原稿カバレッジがB%以下になっておらず(ステップs7、NO)、ジョブ終了でなければ(ステップs8、NO)、生産性1/2を維持し(ステップs5へ)、次頁判定を繰り返す。一方、原稿カバレッジがB%以下であれば(ステップs7、YES)、生産性を低下させなくても現像剤の供給が間に合うため、通常生産に戻し(ステップs2)、ジョブ終了まで次頁判定を繰り返す(ステップs3、s4、s1へ)。上記手順により、高カバレッジ原稿では、生産性を調整して現像剤の供給が適切になされるように制御している。
【0035】
次に、原稿カバレッジによって生産性調整がなされることを考慮して画像形成における残時間を算出する手順を、図5以降のフローチャートを用いて説明する。該手順は、画像制御CPU111により行われる。
先ず、出力設定条件と、画像データの取得による原稿黒化率の確定を待つ(ステップst1)。これらが確定すると(ステップst1、YES)、原稿カバレッジによる生産性ダウン枚数を算出する(ステップst2)。
【0036】
該生産性ダウン枚数の算出ルーチンを図6のフローチャートに基づいて説明する。なお、この例では、原稿枚数を50枚とする。
また、図6のフローチャートでは、
n :原稿NO変数、
N :生産性ダウン枚数、
Y :通常生産性時のZ秒間の画像形成枚数、
Y’:生産性1/2時のZ秒間の画像形成枚数、
Z秒:黒化率を積算する所定の画像形成期間、
が与えられている。
【0037】
当該算出手順では、先ず、変数n=1、N=0とし(ステップst20)、原稿n枚目からn+Y−1枚目までの黒化率情報の積算を行う(ステップst21)。次いで、nに1を加算し(n=n+1、ステップst22)、次頁以降で上記積算値がA%を越えるか否かの判定がなされる(ステップst23)。該A%は前記したように、不揮発メモリ114に第1のカバレッジ閾値として格納されており、これを読み出して判定に用いる。積算値がA%を越えていなければ、生産性ダウン枚数は増加しないので、原稿終了まで上記ステップst21に戻って処理を継続する(ステップst30)。一方、積算値がA%を越える場合、nに(Y−1)を加算する(n=n+(Y−1)、ステップst24)。これにより原稿NOは、黒化率を積算した頁間の次頁となる。また、上記判定に伴って生産性ダウン枚数に1を加算する(N=N+1、ステップst25)。次いで、生産性を低下させた後の所定画像形成期間における画像形成枚数(Y’)分の黒化率情報の積算を行い(ステップst26)、次頁に移行する。ステップst26で積算した黒化率がB%以下であるか否かの判定を行う(ステップst28)。該B%は前記したように、不揮発メモリ114に第2のカバレッジ閾値として格納されており、これを読み出して判定に用いる。積算黒化率がB%以下でない場合(ステップst28、NO)、生産性ダウンの維持が必要であるため、原稿終了までは、st25に戻って生産性ダウン枚数を加算して同様の手順を繰り返す(ステップst29)。一方、上記積算黒化率がB%以下である場合、生産性ダウンは必要ないため、原稿NOを黒化率を積算した頁の次頁とし(n=n+(Y’−1))、生産性ダウン枚数としてY’−1を加算する(N=N+(Y’−1))(ステップst31)。次いで、ステップst21に戻って上記手順を繰り返す。
上記により原稿が終了するまでの生産性ダウン枚数Nが算出される。
【0038】
該生産性ダウン枚数の算出ルーチン(ステップst2)が終了した後、転写紙が排出されるのを待つ(ステップst3)。転写紙が排出されると排紙枚数が増加し、残枚数が減少する。転写紙排出後、残時間を計算する(st4)。この残時間算出ルーチンを図7のフローチャートの基づいて説明する。残時間計算では、生産性ダウン枚数が0であるか否かを判定する(ステップst40)。ここで生産性ダウン枚数が0の場合(ステップst40、YES)、生産性ダウンを考慮することなく下記A式で残時間を算出する。また、生産性ダウン枚数が0でない場合(ステップst40、NO)、生産性ダウンを考慮して下記B式で残時間を算出する。
A式:残時間=(残枚数)*T +(残部数−1)*S
B式:残時間=(残枚数)*T’+(残部数−1)*S
(通常時のTに対して生産性変動を加味したT’に置き換える)
但し、
T :通常精算時のインターバル時間、
T’:生産性ダウン時のインターバル時間(T’=T*{50−N+2*N)/50}、S:後処理(例:)ステイプルに要する部間時間である。
T、Sは、各種基本動作時間として、サイズ/モードによる固定メモリ値を使用したものである。
上記残時間の算出(ステップst2)後、残時間表示を行う(ステップst5)。該残時間表示は、前記した操作パネル140に残時間情報を表示することにより行う。その後、転写紙が排出される毎に残枚数を減じて上記残時間計算(ステップs4)をして残時間を更新し、更新された残時間を表示する(ステップst5)。これら手順によりJOBが終了するまで、転写紙が排紙される毎に正確な残時間が算出、表示される。
【0039】
以上により、原稿要因によって生産性に変動が生じる場合にも、画像形成における残時間を正確に誤差なく算出して表示することが可能になる。
以上、本発明について上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は、上記説明の内容に限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲で適宜の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】画像形成装置全体の機械的構成を示す図である
【図2】同じくシステム全体ブロックを示す図である。
【図3】同じく、画像形成時のタイムチャートを示す図である。
【図4】同じく、原稿カバレッジによる生産性変動の手順を示すフロー図である。
【図5】同じく、残時間報知動作の概略手順を示すフロー図である。
【図6】同じく、生産性ダウン枚数の算出手順を示すフロー図である。
【図7】同じく、残時間算出処理を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0041】
1 画像形成装置
111 画像制御CPU
114 不揮発メモリ
130 スキャナ部
140 操作パネル
150 プリンタ部
155 給紙部
160 後処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに基づいて用紙に画像を形成するプリンタ部と、前記画像データと出力設定条件に基づいて前記プリンタ部を制御する制御部とを備え、
該制御部は、前記画像形成における各種基本動作時間のデータを記憶しておき、前記出力設定条件が決まると、記憶された画像形成における各種基本動作時間のデータを読み出すとともに、各原稿の画像データ黒化率情報より得られる所定の画像形成期間中の黒化率を積算し、前記各種基本動作時間のデータと、前記黒化率積算情報を用いて前記画像形成が完了するまでの残時間を算出することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記残時間を表示する表示部を備えることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、用紙への画像形成に伴う残枚数の変更に応じて前記残時間を更新することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記黒化率積算値が所定の第1カバレッジ閾値を越えると、積算最終次原稿より画像形成サイクルを長くして低生産性稼働にし、その後、前記黒化率積算値が所定の第2カバレッジ閾値以下になると前記画像形成サイクルを通常値に戻して通常生産性稼働にすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第2カバレッジ閾値が前記第1カバレッジ閾値よりも低い値を有することを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記低生産性稼働に際し、画像形成部の空転サイクルを設けることが可能であることを特徴とする請求項4または5に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−11100(P2010−11100A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−168182(P2008−168182)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】