説明

画像形成装置

【課題】本発明は、情報記録担体を読取部に接触させる場合の操作性を向上させることができる画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【解決手段】画像形成装置本体の側部に設けられた操作表示パネル50に並列して読取パネル51が取り付けられている。読取パネル51の上面には、非接触ICカードが載置される載置部52が設定されており、載置されたカードとの間で無線通信により情報を読み取るようになっている。読取部パネル51の上面の高さは、操作表示パネル50の操作キー53等の操作面よりも突出するように設定されており、カードを載置する際に不用意に操作キー53等に触れることがなく確実に載置することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上述の画像形成装置では、装置を動作させるために操作キー及び表示部を備えた操作表示パネルが取り付けられており、ユーザーインターフェースの向上が図られている。また、画像形成装置をネットワークに接続して使用する場合等に、装置を使用するユーザーの認証を取り入れることが提案されている。ユーザー認証には、近年普及している非接触ICカードといった情報記録担体が用いられており、無線通信によりユーザの所有している情報記録担体と装置側との間で認証情報を交信して認証処理が行われる。また、ユーザーの個人情報を情報記録担体に記憶しておき、使用する前に画像形成装置に情報記録担体から個人情報を読み込ませて画像形成処理に用いることも提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、ICカードリーダーをタッチパネルとともに設けた画像形成装置が記載されている。また、特許文献2では、カード読取部を操作パネルより手前に突出させた非接触カード読取装置が記載されている。
【特許文献1】特開2003−337505号公報
【特許文献2】特開2001−195549号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
認証情報及び個人情報を記憶する非接触型の情報記録担体は、ID認証の他に、携帯電話、電子マネー、交通機関、タグ等の生産管理といった幅広い分野に普及してきている。こうした非接触型の情報記録担体を用いたシステムを画像形成装置に組み込んでいく場合、1秒程度の交信時間が必要で、その間は交信距離を10cm以下に設定しておく必要がある。そのため、ユーザーは情報記録担体を画像形成装置の読取部に接触させるようにするが、その際に、読取部を操作表示パネルに近接して配置する場合、操作表示パネルの操作ボタン又はテンキー等が情報記録担体を接触させる動作の支障になりやすい。特に、非接触型ICを内蔵した携帯電話を情報記録担体として用いる場合、ユーザーによる読取動作が難しくなって、操作ボタン等を不用意に操作してしまうおそれがある。
【0005】
特許文献1では、ICカードリーダーをタッチパネルとは別の面に配置して読取動作の際にICカードリーダーを正面に向けてセットするようにしているが、ユーザーの利便性の面で問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、情報記録担体を読取部に接触させる場合の操作性を向上させることができる画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る画像形成装置は、装置本体の側部に設けられた操作表示パネルと、前記操作表示パネルに並列して取り付けられるとともに情報記録担体との間で無線通信により情報を読み取る読取部とを備えた画像形成装置であって、前記読取部は、前記情報記録担体を載置する載置面が前記操作表示パネルの操作面よりも突出するように設定されていることを特徴とする。さらに、前記読取部は、前記載置面を形成した筐体を有していることを特徴とする。さらに、前記読取部は、所定の隙間を空けて前記操作表示パネルに取り付けられていることを特徴とする。さらに、前記読取部は、前記操作表示パネルに対して回動可能に取り付けられていることを特徴とする。さらに、前記操作表示パネルは、装置本体に対して回動可能に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上記のような構成を有することで、読取部の載置面が操作表示パネルの操作面よりも突出するように設定されているので、操作ボタン及びテンキー等を操作する操作面を気にすることなく載置面に情報記録担体を接触させて読取動作を行なうことができる。そのため、情報記録担体との交信を安定した状態で行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態について詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に本発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
【0010】
図1は、本発明に係る実施形態である画像形成装置全体の概略構成図である。画像形成装置の上部には原稿を搬送して原稿を読み取る原稿読取部1が配置され、その下部に、画像を記録する記録部2、画像を記録する用紙を搬送する用紙搬送部3及び用紙を給紙する給紙部4が配置されている。
【0011】
原稿読取部1は、原稿搬送装置(ADF)を内部に備えたカバー部10と、スキャナ11を備えた読取本体部12からなる。読取本体部12の上面には、搬送される原稿を読み取る部分にプラテンガラス13が配置され、原稿又は本等を載置して読み取る部分に透明なガラス材からなる載置ベッド14が配置されている。搬送原稿を読み取る場合にはスキャナ11をプラテンガラス13に対向する位置に静止させて読取動作を行い、載置ベッド14に載置された原稿等を読み取る場合にはスキャナ11で原稿等の読取面に対して走査して読取動作を行うようにする。
【0012】
カバー部10の載置ベッド14に対向する面には原稿押え15が取り付けられており、また、その上部には複数枚の原稿を載置しておく原稿トレイ16が設けられている。原稿トレイ16に載置された原稿は、ピックアップローラ17及びセパレートローラ18によりADF内に搬入される。そして、フィードローラ19によりプラテンガラス13に対向する読取位置に搬送されてスキャナ11により読み取られ、排出ローラ20により原稿排出トレイ21に排出される。
【0013】
給紙部4では、給紙カセット22が配置されており、フラッパ23に所定のサイズの用紙が複数枚積載される。フラッパ23は、アーム24がモータにより回転して上方に回動することで、それに連動して上方に回動する。給紙カセット22の右端部には、ピックアップローラ25が配置されている。フラッパ23は、積載された用紙の上面がピックアップローラ25に圧接するように、アーム24により支持されている。この状態でピックアップローラ25が回転駆動する場合、摩擦力により用紙が1枚ずつ用紙搬送路に給紙され、フィードローラ26及びプレスローラ27に挟持されて搬送されるようになる。
【0014】
給紙された用紙は、用紙搬送部3のレジストローラ28及びプレスローラ29により記録部2に搬送される。記録部2では、搬送された用紙に記録するために、現像器30、クリーニング機構31、帯電器32、感光体ドラム33、転写ローラ34、露光ヘッド35及び定着ローラ36が備えられている。
【0015】
現像器30は、螺旋状の羽根を有する一対のオーガを内蔵しており、一対のオーガにより二成分系現像剤が所定方向に循環するように搬送される。循環搬送される現像剤は回転するパドルを介して現像ローラに供給される。現像ローラは、内部のマグネットローラとマグネットローラの外周面に配設された円筒状の現像スリーブからなり、現像剤のキャリアがマグネットローラの磁力により現像スリーブの表面に吸着されてキャリア穂が形成され、形成されたキャリア穂にトナーが付着した状態となる。この場合、キャリア及びトナーは、搬送されていく間に摩擦帯電により互いに逆極性に帯電するようになるため、キャリア穂にトナーが電気的な吸着力により安定した状態で保持されるようになる。
【0016】
現像器41には、内部に貯留される現像剤のトナー濃度を検知する濃度検知センサが設けられており、濃度検知センサからの検知出力に基づいてトナーカートリッジ41から図示せぬトナー補給機構によりトナーが補給される。
【0017】
クリーニング機構31は、転写後の感光体ドラム33の表面に付着した残留トナー及び紙粉等の異物をクリーニングブレードにより掻き取って感光体ドラム33の表面を清掃する。クリーニング機構31で回収された残留トナー等の異物は、廃トナー溜め部42に搬送されて排出される。
【0018】
帯電器32は、放電ワイヤからのコロナ放電により感光体ドラム33の表面を一様に帯電する。一様に帯電された感光体ドラム33に、露光ヘッド35で画像記録信号に応じて露光することで静電潜像が形成される。そして、現像器30内の現像スリーブが回転してその表面に形成されたキャリア穂が感光体ドラム33の表面に近接してキャリア穂に付着したトナーが静電潜像に転移され、静電潜像を可視像化する。転写ローラ34は、用紙を挟んで感光体ドラム33と対向する位置に設置されており、所定の電圧が印加されると感光体ドラム33表面に形成されたトナー像が用紙に転写される。こうして画像形成に必要な一連のプロセス処理が行われ、転写されたトナー像は、定着ローラ36及びプレスローラ37によって挟持されて、加熱及びプレスされ用紙に定着される。定着された用紙は、用紙搬送部3のフィードローラ38及びプレスローラ39により排出経路に送られて、排出ローラ40により用紙排紙トレイ43に搬出される。
【0019】
また、装置本体の側面には、手差し給紙機構及び反転搬送機構が設けられており、手差し給紙を行う場合には、手差しトレイ44を開いて給紙ローラ45に用紙を差し込むことで行われる。差し込まれた用紙は、給紙ローラ45によりレジストローラ28及びプレスローラ29に搬送されて記録動作が行われる。また、反転搬送を行う場合には、片面に記録した用紙が一旦排出ローラ40により搬出された後排出ローラ40を逆回転して反転搬送路に搬送し、搬送ローラ46により下方に向けて搬送する。そして、搬送路に沿って上方に向けて搬送されて、再度レジストローラ28及びプレスローラ29に搬送されてもう一方の面に記録動作が行われ、用紙の両面に記録されるようになる。
【0020】
図2は、画像形成装置に関する外観斜視図である。画像形成装置の読取本体部12の手前側の側面には、操作表示パネル50が取り付けられている。操作表示パネル50は、設定データ等の入力を行うための操作キー及び液晶表示パネルが設けられており、読取本体部12に対して上下方向に回動可能となるように軸支されている。そのため、操作表示パネル50の操作面の角度を変更することができ、利用者が容易に操作できる角度位置に操作表示パネル50を保持可能となっている。
【0021】
そして、読取パネル51が操作表示パネル50に並列して読取本体部12の側面に配置され、操作表示パネル50の側面に取り付けられている。操作表示パネル50及び読取パネル51は、並列した状態で操作本体部12の手前側の側面に収まるように側面に沿う長さが設定されている。
【0022】
読取パネル51は、平面視矩形状に形成されており、上面の中央部分に情報担持体の1つである非接触ICカードを載置する載置部52が設けられている。載置部52の下方には図示せぬカード読取回路が内蔵されており、載置部52の上面に非接触ICカードが載置された場合に非接触ICカードとの間で無線通信により情報を読み取るようになっている。こうしたカード読取回路及び非接触ICカードについては、公知のものを用いればよい。
【0023】
載置部52の表面には樹脂製の保護膜が形成されており、カードの載置動作の際の耐久性を高めている。また、内蔵されたカード読取回路から載置部52の上面までの距離は、カードの規格に応じて数cmに設定されており、非接触ICカードを載置部52に載置すれば確実に読取動作が行なわれるようになっている。
【0024】
なお、この例では、読取パネル51を操作表示パネル50の左側に取り付けているが、右側に取り付けるようにしてもよく、操作表示パネル50の形状に合せてその取付位置を適宜変更することができる。
【0025】
図3及び図4は、読取パネル51に関する平面図及び正面図であり、図5は、操作表示パネル50を読取パネル51の反対側から見た側面図である。
【0026】
読取パネル51は、操作表示パネル50の側面との間に所定間隔Dを空けて軸支部54により支持されている。軸支部54は、公知の蝶番構造で構成されており、読取パネル51を上下方向に回動可能に支持している。そして、軸支部54は、読取パネル51を操作表示パネル50と並列させる水平位置及び水平位置から下方にほぼ直角に回動させた退避位置に保持させる。図6は、読取パネル51が退避位置(符号51’で示す)に保持された状態を示す正面図である。
【0027】
読取パネル51は、水平位置にセットされた状態では非接触ICカードが読取動作可能なオン状態に自動的に設定され、退避位置にセットされた状態では読取動作しないオフ状態に自動的に設定される。したがって、カードの読取動作が必要な時のみ読取パネル51が水平位置にセットされるので、読取動作が誤作動することを防止することができる。
【0028】
また、読取パネル51が所定間隔Dを空けて取り付けられているので、利用者が読取パネル51の上方から用紙排紙トレイ43を視認することができるようになり、画像形成処理された用紙を利用者が屈むことなく確認でき、利便性を高めることが可能となる。そして、読取パネル51が退避位置にセットされた場合には、用紙排紙トレイ43がさらに視認しやすく、用紙を取り出しやすくなって利便性を向上させることができる。
【0029】
図5に示すように、読取パネル51の上面位置の高さは、操作表示パネル50の操作面である操作キー53等の上面位置の高さよりも高さTだけ高くなるように設定されている。そのため、読取パネル51の上面に設定された載置部52が操作表示パネル50の操作面よりも高く設定され、操作キー53等に不用意に触れることなく載置部52に非接触ICカードを載置させることができる。
【0030】
このように、載置部52に非接触ICカードを確実に載置させることができるので、読取パネル51において非接触ICカードとの間で安定した状態で無線通信を行い、カードの読取動作を確実に行なうことが可能となる。
【0031】
以上説明した例では、操作表示パネル50の側面に読取パネル51を回動可能に取り付けるようにしているが、読取パネル51を操作表示パネル50と一体化してもよい。その場合には、操作キー及び液晶表示パネルの配置に合せて読取パネル51の配置を端部以外の位置に設定することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る実施形態に関する概略断面図である。
【図2】画像形成装置に関する外観斜視図である。
【図3】読取パネルに関する平面図である。
【図4】読取パネルに関する正面図である。
【図5】操作表示パネルを読取パネルの反対側から見た側面図である。
【図6】読取パネルが退避位置に保持された状態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 原稿読取部
2 記録部
3 用紙搬送部
4 給紙部
50 操作表示パネル
51 読取パネル
52 載置部
53 操作キー
54 軸支部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体の側部に設けられた操作表示パネルと、前記操作表示パネルに並列して取り付けられるとともに情報記録担体との間で無線通信により情報を読み取る読取部とを備えた画像形成装置であって、前記読取部は、前記情報記録担体を載置する載置面が前記操作表示パネルの操作面よりも突出するように設定されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記読取部は、前記載置面を形成した筐体を有していることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記読取部は、所定の隙間を空けて前記操作表示パネルに取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記読取部は、前記操作表示パネルに対して回動可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記操作表示パネルは、装置本体に対して回動可能に設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−114784(P2010−114784A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−287176(P2008−287176)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】