説明

画像形成装置

【課題】インクやトナー等の消耗品が残量不足であるにもかかわらず画像形成が要求された場合に、所望の画像形成を効率良く実現する。
【解決手段】画像形成装置1は、画像形成に用いる複数種類の消耗品それぞれの残量を検知するインク残量検知部1063と、その検知結果に基づいて、いずれか1種類以上の消耗品の残量が不足しているか否かを判断する主制御部111と、消耗品の残量が不足している場合、かつ、ユーザによる画像形成の指示を受けた場合に、通常の画像形成処理に用いるフォーマットとは異なる代替のフォーマットであって、あらかじめ定義された、ユーザの主用途に対応する代替フォーマットを用いて描画情報を生成する画像処理部114と、前記描画情報に基づいて画像形成処理を実行するプリントエンジン106と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に、画像形成に用いる消耗品が不足している場合になされる画像形成ニーズに、適切に対応する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタ等の画像形成装置を利用するユーザにとって、印刷用途は数パターンに大別される。本発明は、ユーザの主用途に応じたプレビュー画面パターンをあらかじめ算出し、選択することで、所望の印刷ジョブを今まで以上に効率良く実現することを課題とする。
【0003】
本発明に関連する発明が記載されている文献として、特許文献1,2を挙げる。特許文献1には、インクやトナー等の消耗品の利用可能性を示す目的で、消耗品のステータスを反映する印刷プレビューを用いて実現する内容が開示されている。本発明とは印刷プレビューを用いてインクの利用可能性を示す点で関連性がある。特許文献2には、インク消費量を各色均等にする目的で、残インク量の検出とそのインク量による色補正テーブルを用いて、色を補正し、印刷する内容が開示されている。本発明とは残インク量を検出し印刷に利用する点で関連性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数色のインクを用いて所定の画像を印刷するインクジェット方式のカラープリンタでは、印刷される画像の内容によってインク色毎の使用量が異なるため、各色インクカートリッジの交換時期がまちまちである。
【0005】
インクジェットプリンタには、インクカートリッジ残量が少ない場合、満足する画質が実現できないばかりか、印刷動作途中でマシンが停止する場合もある。しかし、ユーザは、インク交換や補充の時間や手間をかけずに、残インクによる印刷を求めることが多い。
【0006】
そこで、色剤不足によりそのままでは出力不可能な場合に、色剤消費量が少なくなるように画像編集された印刷出力用データに切り替えて処理することで、色剤補充や交換に起因するジョブ途中の色再現の違いを避ける技術が既に知られている(例えば、特許文献2)。
【0007】
また、残インク量を検出し、残インク量によって実現できる印刷プレビューを算出・表示し、印刷できる技術が既に知られている(例えば、特許文献1)。
【0008】
しかし、今までの残インクによる印刷プレビューを表示する画像形成装置では、異なる密度・色域・消耗品の選択をするもので、実現機能は多岐にわたるが、現行のジョブの配慮しかされていないに過ぎなかった。よって、現行の印刷で代替するインクを通常以上に多く消費するので、次のジョブが印刷できる可能性が低減してしまうという問題があった。また、ユーザによって種々の選択・設定を行うことから、設定が容易でないという問題があった。
【0009】
上記課題は、インクを用いるインクジェットプリンタについて述べたものであるが、複数色のトナーカートリッジを用いる電子写真方式の画像形成装置等においても共通の課題である。
【0010】
そこで本発明は、上記実情に鑑みて、インクやトナー等の消耗品が残量不足であるにもかかわらず画像形成が要求された場合に、所望の画像形成を効率良く実現する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために下記の画像形成装置を提供する。
【0012】
本発明に係る画像形成装置は、画像形成に用いる複数種類の消耗品それぞれの残量を検知する消耗品残量検知手段と、前記消耗品残量検知手段の検知結果に基づいて、いずれか1種類以上の消耗品の残量が不足しているか否かを判断する消耗品残量不足判断手段と、消耗品の残量が不足している場合、かつ、ユーザによる画像形成の指示を受けた場合に、通常の画像形成処理に用いるフォーマットとは異なる代替のフォーマットであって、あらかじめ定義された、ユーザの主用途に対応する代替フォーマットを用いて描画情報を生成する画像処理手段と、前記描画情報に基づいて画像形成処理を実行する画像形成手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、インクやトナー等の消耗品が残量不足であるにもかかわらず画像形成が要求された場合に、所望の画像形成を効率良く実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を実施するための形態に係る画像形成システムの運用形態の例を示すブロック図である。
【図2】本発明を実施するための形態に係る画像形成装置のハードウェア構成の例を示すブロック図である。
【図3】本発明を実施するための形態に係る画像形成装置の機能構成を示すブロック図である。
【図4】本発明を実施するための形態に係る画像形成装置のプリントエンジンの要部構成を示す図である。
【図5】本発明を実施するための形態に係る画像形成装置の画像形成動作を示す図(その1)である。
【図6】本発明を実施するための形態に係る画像形成装置の画像形成動作を示す図(その2)である。
【図7】本発明を実施するための形態に係る画像形成装置の画像形成動作を示す図(その3)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0016】
図1は、本実施形態に係る画像形成システムの運用形態の例を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係る画像形成システムは、画像形成装置1とクライアント用端末2を含む。画像形成装置1とクライアント用端末2は、ネットワーク3を介して通信可能に接続されている。
【0017】
画像形成装置1は、本実施形態に係る画像形成システムにおいて、ユーザの操作に応じて画像形成を実行する情報処理端末であり、撮像機能、画像形成機能及び通信機能等を備えることにより、プリンタ、ファクシミリ、スキャナ、複写機として利用可能な複合機である。
【0018】
また、本実施形態に係る画像形成装置1は、プリンタや複写機として利用されて、インクやトナー等の消耗品が残量不足であるにもかかわらず画像形成が要求された場合、ユーザの主用途に対応する代替フォーマットで画像形成に必要な描画情報を生成する処理を実行する。画像形成装置1の機能が本実施形態に係る要旨の1つとなる。
【0019】
クライアント用端末2は、ユーザが操作する情報処理端末である。クライアント用端末2は、画像形成装置1をクライアント用端末2から利用するためのソフトウェアプログラムであるプリンタドライバ2aがインストールされている。
【0020】
次に、本実施形態に係る画像形成装置1及びクライアント用端末2等の、情報処理端末のハードウェア構成について説明する。図2は、本実施形態に係る情報処理端末のハードウェア構成を示すブロック図である。なお、画像形成装置1は、図2に示すハードウェア構成に加えて、スキャナ、プリンタ等を実現するためのエンジンを備える。以降、画像形成装置1のハードウェア構成を例として説明するが、他の情報処理端末も同様である。
【0021】
図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、一般的なサーバやPC(Personal Computer)等の情報処理端末と同様の構成を有する。即ち、本実施形態に係る画像形成装置1は、CPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)20、ROM(Read Only Memory)30、HDD(Hard Disk Drive)40及びI/F50がバス80を介して接続されている。また、I/F50にはLCD(Liquid Crystal Display)60及び操作部70が接続されている。
【0022】
CPU10は演算手段であり、画像形成装置1全体の動作を制御する。RAM20は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM30は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD40は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納される。
【0023】
I/F50は、バス80と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。LCD60は、ユーザが画像形成装置1の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースである。操作部70は、キーボードやマウス等、ユーザが画像形成装置1に情報を入力するためのユーザインタフェースである。
【0024】
このようなハードウェア構成において、ROM30やHDD40若しくは図示しない光学ディスク等の記憶媒体に格納されたプログラムがRAM20に読み出され、CPU10の制御に従って動作することにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係る画像形成装置1等の情報処理端末の機能を実現する機能ブロックが構成される。
【0025】
次に、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成について、図3を参照して説明する。図3は、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成を示すブロック図である。図3に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、コントローラ100、ADF(Auto Document Feeder:原稿自動搬送装置)101、スキャナユニット102、排紙トレイ103、ディスプレイパネル104、給紙テーブル105、プリントエンジン106、排紙トレイ107及びネットワークI/F108を有する。
【0026】
また、コントローラ100は、主制御部111、エンジン制御部112、入出力制御部113及び画像処理部114を有する。図3に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、スキャナユニット102、プリントエンジン106を有する複合機として構成されている。なお、図3においては、電気的接続を実線の矢印で示しており、用紙若しくは文書束の流れを破線の矢印で示している。
【0027】
ディスプレイパネル104は、画像形成装置1の状態を視覚的に表示する出力インタフェースであるとともに、タッチパネルとしてユーザが画像形成装置1を直接操作し若しくは画像形成装置1に対して情報を入力する際の入力インタフェース(操作部)でもある。ネットワークI/F108は、画像形成装置1がネットワーク3を介して他の機器と通信するためのインタフェースであり、Ethernet(登録商標)やUSB(Universal Serial Bus)インタフェースが用いられる。
【0028】
コントローラ100は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって構成される。具体的には、ROM30や不揮発性メモリ並びにHDD40や光学ディスク等の不揮発性記憶媒体に格納されたファームウェア等の制御プログラムが、RAM20等の揮発性メモリ(以下、メモリ)にロードされ、CPU10の制御に従って構成されるソフトウェア制御部と集積回路などのハードウェアとによってコントローラ100が構成される。コントローラ100は、画像形成装置1全体を制御する制御部として機能する。
【0029】
主制御部111は、コントローラ100に含まれる各部を制御する役割を担い、コントローラ100の各部に命令を与える。エンジン制御部112は、プリントエンジン106やスキャナユニット102等を制御若しくは駆動する駆動手段としての役割を担う。入出力制御部113は、ネットワークI/F108を介して入力される信号や命令を主制御部111に入力する。また、主制御部111は、入出力制御部113を制御し、ネットワークI/F108及びネットワーク3を介してクライアント用端末2にアクセスする。
【0030】
画像処理部114は、主制御部111の制御に従い、印刷出力すべき画像情報に基づいて描画情報を生成する。この描画情報とは、画像形成部であるプリントエンジン106が画像形成動作において形成すべき画像を描画するための情報である。
【0031】
また、画像処理部114は、スキャナユニット102から入力される撮像データを処理し、画像データを生成する。この画像データとは、スキャナ動作の結果物として画像形成装置1に格納され若しくはネットワークI/F108を介してクライアント用端末2に送信される情報である。入出力制御部113は、ディスプレイパネル104に情報表示を行い若しくはディスプレイパネル104を介して入力された情報を主制御部111に通知する。
【0032】
画像形成装置1がプリンタとして動作する場合は、まず、入出力制御部113がネットワークI/F108を介して印刷ジョブを受信する。入出力制御部113は、受信した印刷ジョブを主制御部111に転送する。主制御部111は、印刷ジョブを受信すると、画像処理部114を制御して印刷ジョブに含まれる文書情報若しくは画像情報に基づいて描画情報を生成する。
【0033】
画像処理部114によって描画情報が生成されると、エンジン制御部112は、生成された描画情報に基づき、給紙テーブル105から搬送される用紙に対して画像形成を実行する。プリントエンジン106の具体的態様としては、インクジェット方式による画像形成機構や電子写真方式による画像形成機構等を用いることが可能である。プリントエンジン106によって画像形成が施された文書は排紙トレイ107に排紙される。
【0034】
画像形成装置1がスキャナとして動作する場合は、ユーザによるディスプレイパネル104の操作若しくはネットワークI/F108を介して外部のクライアント用端末2等から入力されるスキャン実行指示に応じて、入出力制御部113が主制御部111にスキャン実行信号を転送する。主制御部111は、受信したスキャン実行信号に基づき、エンジン制御部112を制御する。
【0035】
エンジン制御部112は、ADF101を駆動し、ADF101にセットされた撮像対象原稿をスキャナユニット102に搬送する。また、エンジン制御部112は、スキャナユニット102を駆動し、ADF101から搬送される原稿を撮像する。また、ADF101に原稿がセットされておらず、スキャナユニット102に直接原稿がセットされた場合、スキャナユニット102は、エンジン制御部112の制御に従い、セットされた原稿を撮像する。
【0036】
撮像動作においては、スキャナユニット102に含まれるCCD等の撮像素子が原稿を光学的に走査し、光学情報に基づいて生成された撮像情報が生成される。エンジン制御部112は、スキャナユニット102が生成した撮像情報を画像処理部114に転送する。画像処理部114は、主制御部111の制御に従い、エンジン制御部112から受信した撮像情報に基づき画像情報を生成する。画像処理部114が生成した画像情報はHDD40等の画像形成装置1に装着された記憶媒体に保存される。
【0037】
画像処理部114によって生成された画像情報は、ユーザの指示に応じてそのままHDD40等に格納され若しくは入出力制御部113及びネットワークI/F108を介してクライアント用端末2等の外部の装置に送信される。
【0038】
また、画像形成装置1が複写機として動作する場合は、エンジン制御部112がスキャナユニット102から受信した撮像情報若しくは画像処理部114が生成した画像情報に基づき、画像処理部114が描画情報を生成する。その描画情報に基づいてプリンタ動作の場合と同様に、エンジン制御部112がプリントエンジン106を駆動する。
【0039】
次に、上述の、インクやトナー等の消耗品が残量不足であるにもかかわらず画像形成が要求された場合、ユーザの主用途に対応する代替フォーマットで画像形成に必要な描画情報を生成する処理について、説明する。
【0040】
図4を参照すると、プリントエンジン106の要部構成が示されている。図4に示す例においては、本実施形態に係る画像形成装置1がインクジェット方式で画像形成を行う場合の例を示している。以下、同様に、画像形成装置1がインクジェット方式で画像形成を行うものとして説明をするが、本発明がこれに限定されないものであることはいうまでもない。
【0041】
図示のように、プリントエンジン106は、キャリッジ1061を有し、このキャリッジ1061が主走査方向に移動走査しつつ、各色のインク滴を普通紙等の記録媒体に記録ヘッド1062から吐出させて、画像形成する。記録ヘッド1062は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出する4個の液吐出ヘッドと、各色のインクが封入されたインクカートリッジを具備する。
【0042】
インク残量検知部1063は、各色のインクカートリッジに入っているインクの残量を検知し、検知したインク毎の残量を残量検知信号としてエンジン制御部112に送信する。エンジン制御部112は、当該残量検知信号を主制御部111に送信する。したがって、画像形成装置1がプリンタ若しくは複写機として動作する場合、即ち画像形成動作をする場合、インク残量検知部1063は、画像形成に用いる消耗品の残量を検知する消耗品残量検知手段として機能する。
【0043】
なお、図4では消耗品がインクであって、その種類が4色(4種類)である例を示したが、消耗品がトナーであったり、その種類が増減したりしてもよい。なお、このような消耗品の残量を検知する技術自体は周知であるので、より詳細な説明は省略する。
【0044】
残量検知信号を受け取った主制御部111は、残量検知信号に基づいて、まず、残量が不足しているインクがあるか否かを判断する。つまり、いずれか1種類以上のインクの残量が不足しているか否かを判断する。残量不足を判断する基準は、インクの絶対量に基づいてもよいし、インクカートリッジの容量に対する残量の比等、相対的な基準であってもよい。即ち、主制御部111は、消耗品残量不足判断手段として機能する。
【0045】
本実施形態に係る画像形成装置1は、主制御部111が消耗品の残量不足であると判断した場合であっても、ユーザによる画像形成指示を受け付ける。ただし、消耗品不足によりそのままでは出力不可能な場合に、消耗品消費量が少なくなるように画像処理部114にて画像処理を行い、出力する。具体的には、通常の画像形成に用いるフォーマットとは異なる代替のフォーマットを用いて、描画情報を生成する。
【0046】
描画情報の生成は、スキャナユニット102が原稿をスキャンして得た画像情報又はクライアント用端末2が発行した印刷ジョブに含まれる文書情報若しくは画像情報を、上記通常又は代替フォーマットを用いて描画情報に変換するものである。
【0047】
本実施形態における代替フォーマットは、下記の「ユーザが画像を印刷する場合の主用途」のいずれかに対応するものである。主用途は、下記のようにあらかじめ定義されているものである。インクジェットプリンタ等の画像形成装置を利用するユーザにとって、印刷用途は数パターンに大別される(以下、「主用途」という)。主用途は大きく以下の4パターンに分けられる。
【0048】
1.テキスト文書(読めれば色は関係なし)
2.テキスト文書(ハイライトし、一部を強調)
3.テキストor写真画像(全体的に色のバランスを求める)
4.写真画像(画質を求める)
【0049】
パターン1の場合、紙などの印刷媒体は白であることが多い為、テキスト文書の文字や絵は、明度の低い色を形成することで、ユーザが苦なく読める文書を印刷することができる。したがって、代替フォーマットは、文書情報に含まれる文字や絵の描画が明度の低い色によってなされるものとする。また、印刷媒体が色紙であった場合でも、その紙の補色に近い色を形成することで、ユーザが苦労することなく読める文書を印刷することができる。したがって、代替フォーマットは、文書情報に含まれる文字や絵の描画が用紙の補色に近い色によってなされるものとする。なお、上記の明度の低い色若しくは補色に近い色は、残量が不足していない消耗品を用いて作成する。
【0050】
パターン2の場合、文書の文字は黒であることが多い為、強調部をハイライトしたい際には、実使用では”赤”を選択するユーザが多いが、その色に特別な意味がない場合、色相関上で黒から遠いその他の色である、例えば”青”でも”緑”でも構わない。したがって、代替フォーマットは、文書情報に含まれるハイライト箇所の描画がハイライトされていない箇所の描画色と色相関上で遠い色であって、残量が不足していない消耗品を用いて作成できる色によってなされるものとする。
【0051】
パターン3の場合、文書の色のバランスを重視するので、所望の画像のバランスを維持しつつ、明度や彩度を全体的に低くすることで実現できる。したがって、代替フォーマットは、明度や彩度を全体的に低くするフォーマットである。
【0052】
パターン4の場合、画質を求めるので、現状のインク量で所望の画像に最も近い色を再現し、印刷する。したがって、代替フォーマットは、残量が不足していない消耗品を用いて可能な範囲で、所望の画像に最も近い色を描画するフォーマットである。
【0053】
これら主用途は、代替フォーマットによる画像形成実行の前に、自動で判別してもよいし、ユーザに問い合わせてもよい。また、パターン1をデフォルト設定として設定し、ユーザによる主用途の選択がない場合、パターン1を選択したものとみなすとよい。パターン1をデフォルト設定する理由は、実使用上、通常印刷ができない場合でも印刷したい場合、ユーザは色の鮮やかさを求めるよりも、地図や文章の印刷等、読めれば色は関係ないとする場合が多いためである。
【0054】
次に、上述した本実施形態に係る画像形成装置1の画像形成動作を、フローチャートを参照しながら説明する。図5を参照すると、画像形成動作の流れ(その1)が示されている。
【0055】
まず、主制御部111は、クライアント用端末2による印刷ジョブの発行や、ユーザによるディスプレイパネル104の操作により、ユーザによる画像形成指示を受け付ける(ステップS101)。
【0056】
次に、インク残量検知部1063は、消耗品の残量を検知する(ステップS102)。インク残量検知部1063が検知した残量検知信号は主制御部111に送られる。なお、ステップS101とS102は入れ替えてもよい。
【0057】
次に、主制御部111は、残量不足のインクカートリッジがあるか否かを判断し、ある場合に、残量不足の旨をユーザに通知する(ステップS103)。通知方法としては、ディスプレイパネル104に表示するほか、ネットワークI/F108を介してクライアント用端末2で動作しているプリンタドライバ2aを用いて通知する。
【0058】
次に、主制御部111は、代替フォーマットでの画像形成の続行の指示があるか否かを判断する(ステップS104)。代替フォーマットで印刷しない場合、印刷ジョブ等の実行を終了させる。
【0059】
プリンタドライバ2a若しくはディスプレイパネル104は、残量不足の通知をする際、主用途をユーザに選択させるプロンプトを出している。主制御部111は、このプロンプトを利用した主用途の選択があるか否かを判断する(ステップS105)。
【0060】
ある場合は、主制御部111は、選択された主用途のパターンに対応する代替フォーマットを用いて、画像処理部114にて描画される描画情報を縮小したり、適度に画素数を落としたりして印刷プレビューを作成し、クライアント用端末2若しくはディスプレイパネル104にて表示させる(ステップS106)。
【0061】
ない場合は、上記パターンのうち第1のパターン(読めれば問題ないという用途に適したパターン)が自動設定される。
【0062】
代替フォーマットが設定されると、当該代替フォーマットを用いた描画情報が画像処理部114にて生成され、当該描画情報に基づいて、プリントエンジン106に手画像形成処理が実行される(ステップS107)。
【0063】
以上に述べた実施形態によれば、インクやトナー等の消耗品が残量不足であるにもかかわらず画像形成が要求された場合、ユーザの主用途に対応する代替フォーマットで画像形成に必要な描画情報を生成するため、ユーザが所望する画像を効率良く形成することが可能になる。
【0064】
また、主用途があらかじめ定義されており、それに対応する代替フォーマットもあらかじめ決まっているため、ユーザによって種々の選択や設定を行う必要がなく、設定が容易である。また、ユーザの主用途に応じた画像を自動生成し、ユーザの印刷ジョブ設定時間を最小限にできるので、本実施形態は印刷ジョブ効率を上げるのに有効な手段と言える。
【0065】
上述した本実施形態に係る画像形成装置1の画像形成動作は、以下に説明する動作にすると、さらに効率良く画像形成が可能になる。図6を参照すると、画像形成動作の流れ(その2)が示されている。図6において、図5と同等の動作を示すステップには同じ符号を付し、説明を省略する。
【0066】
図6に示す動作においては、印刷プレビューのあと、主制御部111は、省インク消費モードでの画像形成指示があるか否かを判断する(ステップS201)。ユーザが省インク消費モードを選択するためのプロンプトは、クライアント用端末2若しくはディスプレイパネル104にて表示させる。
【0067】
ある場合は、省インク消費モードで画像形成する(ステップS202)。インク残量が不十分である場合の代替色での印刷動作は、通常、代替インクで実現できる最大限の色を印刷する。そのため、代替インクの消費量が大きくなり、インク総消費量を抑制しているわけではない。次印刷ジョブを考慮して少量のインクで実行するので、本実施形態は印刷ジョブ効率を上げるのに有効な手段と言える。
【0068】
上述した本実施形態に係る画像形成装置1の画像形成動作は、以下に説明する動作にすると、さらに効率良く画像形成が可能になる。図7を参照すると、画像形成動作の流れ(その3)が示されている。図7において、図5と同等の動作を示すステップには同じ符号を付し、説明を省略する。
【0069】
図7に示す動作においては、前提として、ユーザ毎にあらかじめ主用途が設定されている。ユーザ毎の主用途の設定は、HDD40等に保持されている。画像形成の指示は、ユーザを識別するユーザ識別情報(ユーザID)を伴って主制御部111に送られる。主制御部111は、ユーザIDをキーにHDD40を参照し、当該ユーザに設定された主用途を読み込む。画像処理部114は、設定された主用途に対応する代替フォーマットを用いて描画情報を生成する。
【0070】
ユーザ毎に主用途があらかじめ決まっているので、主制御部111が登録ユーザより画像形成の指示を受けた場合(ステップS301)、図5のステップS105,ステップS106の処理を省略する。
【0071】
ユーザには、あらかじめ印刷用途を登録してもらい、印刷実行時に選択する操作を省くことで、効率よく印刷ジョブを実行できる。実使用状況では、あるユーザが印刷する用途が大きく変わることは少ないため、本実施形態は印刷ジョブ効率を上げるのに有効な手段と言える。
【0072】
なお、ユーザ登録、ユーザ識別の具体的方法については、周知の技術であるため、説明を省略する。
【0073】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 画像形成装置
2 クライアント用端末
3 ネットワーク
10 CPU
20 RAM
30 ROM
40 HDD
50 I/F
60 LCD
70 操作部
80 バス
100 コントローラ
101 ADF
102 スキャナユニット
103 排紙トレイ
104 ディスプレイパネル
105 給紙テーブル
106 プリントエンジン
107 排紙トレイ
108 ネットワークI/F
111 主制御部
112 エンジン制御部
113 入出力制御部
114 画像処理部
1062 記録ヘッド
1063 インク残量検知部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0075】
【特許文献1】特開2004−133938号公報
【特許文献2】特開2007−292871号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成に用いる複数種類の消耗品それぞれの残量を検知する消耗品残量検知手段と、
前記消耗品残量検知手段の検知結果に基づいて、いずれか1種類以上の消耗品の残量が不足しているか否かを判断する消耗品残量不足判断手段と、
消耗品の残量が不足している場合、かつ、ユーザによる画像形成の指示を受けた場合に、通常の画像形成処理に用いるフォーマットとは異なる代替のフォーマットであって、あらかじめ定義された、ユーザの主用途に対応する代替フォーマットを用いて描画情報を生成する画像処理手段と、
前記描画情報に基づいて画像形成処理を実行する画像形成手段と、
を備えることを特徴とする、画像形成装置。
【請求項2】
前記代替フォーマットは、残量が不足している消耗品を、不足していない他の種類の消耗品で代替するフォーマットであることを特徴とする、請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記代替フォーマットは、通常の画像形成処理が必要とするよりも少ない量の消耗品を消費するフォーマットであることを特徴とする、請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記主用途に対応する前記代替フォーマットを用いて生成される前記描画情報に基づいてプレビューを作成し、ユーザに該プレビューを提示するプレビュー制御手段を備えることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記主用途は、ユーザ毎にあらかじめ定義され、
前記画像処理手段は、前記画像形成の指示がユーザを識別するユーザ識別情報を伴う場合に、前記ユーザ識別情報に対応する前記主用途に対応する前記代替フォーマットを用いて前記描画情報を生成することを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−188649(P2010−188649A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−36414(P2009−36414)
【出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】