画像形成装置
【課題】電位ムラ情報を用いて画像の濃度ムラを減少させ、均一な画像を得る場合に、電位ムラ補正データの生成時間を短縮することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】感光体107における電位ムラ情報を記憶する電位ムラ情報記憶部208と、画像データの白領域を検知する画像データ白領域検知部210と、感光体107の走査位置を検知する走査位置検知部206とを備える。また、電位ムラ情報と白領域判別信号と走査位置信号とから半導体レーザ101のレーザ光量を補正するための補正データを生成する補正データ生成部211を備える。また、補正データ生成部211の補正データを基に半導体レーザ101のレーザ光量を制御するレーザ光量制御部212を備える。
【解決手段】感光体107における電位ムラ情報を記憶する電位ムラ情報記憶部208と、画像データの白領域を検知する画像データ白領域検知部210と、感光体107の走査位置を検知する走査位置検知部206とを備える。また、電位ムラ情報と白領域判別信号と走査位置信号とから半導体レーザ101のレーザ光量を補正するための補正データを生成する補正データ生成部211を備える。また、補正データ生成部211の補正データを基に半導体レーザ101のレーザ光量を制御するレーザ光量制御部212を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式により画像形成処理を行う、レーザプリンタや複写機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル技術の進歩に伴い、画像形成装置においての出力画像の高品質化が急速に進んでいる。そして、出力画像の高品質化の手法として、出力画像の画像濃度を一定にするために、感光体の電位ムラを測定し、その電位ムラ情報に基づいて、電位ムラに起因する画像の濃度ムラを補正する手法が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−70068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、感光体の電位ムラを精度良く補正するには、多くの電位ムラ情報を持つ必要があり、補正データの生成に時間を要する。
【0005】
本発明の目的は、電位ムラ情報を用いて画像の濃度ムラを減少させ、均一な画像を得る場合に、電位ムラ補正データの生成時間を短縮することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1記載の画像形成装置は、画像データに基づいてレーザ光を照射する光源と、前記レーザ光で走査される感光体と、前記感光体上の位置に応じた電位ムラに関する情報を記憶する記憶手段と、前記画像データの種類に応じて、前記記憶手段に記憶された情報に基づいたレーザ光量の補正を実行するか否かを決定し、前記決定に基づいて、前記感光体上の走査位置に応じてレーザ光量を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の画像形成装置によれば、電位ムラ情報を用いて画像の濃度ムラを減少させ、均一な画像を得る場合に、電位ムラ補正データの生成時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の構成図である。
【図2】図1の画像形成装置における露光制御部の構成図である。
【図3】図1の画像形成装置における露光制御部のブロック図である。
【図4】図1における感光体の電位ムラを示す図である。
【図5】図1における感光体の電位ムラ情報を示す図である。
【図6】図3における電位ムラ情報選択部の動作を説明する図である。
【図7】画像データの白領域を示す図である。
【図8】図3の露光制御部で実行される露光制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】図8のステップS102で実行される感光体の副走査位置の検知処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】図8のステップS102で実行される感光体の主走査位置の検知処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】図8のステップS105で実行される電位ムラの補正データ生成処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の構成図である。以下、その構成を動作と併せて説明する。画像形成装置は、画像形成部100、原稿読取部120、原稿搬送部130、給紙段140、150、160、170、180、後処理装置10を有している。
【0011】
原稿搬送部130は以下のように構成されている。原稿置き台131にセットされた原稿は、給紙ローラ132によって1枚ずつ搬送される。原稿は、モータ136によって駆動される原稿搬送ベルト137により原稿読取位置まで搬送され、原稿の読取動作が原稿読取部120にてなされる。原稿の読取動作後は、フラッパ135にて搬送経路が変更され、モータ136を逆転することで、原稿が排出ローラ134により排出トレイ138に排出される。
【0012】
原稿読取部120は以下のように構成されている。露光ランプ122は、蛍光灯、ハロゲンランプ等からなり、その長手方向に対して垂直方向に移動しながら、原稿載置ガラス(原稿台)126上の原稿を照射する。露光ランプ122の照射による原稿からの散乱光は、モータ125で稼動する第1、第2ミラー台121、123に反射され、レンズ124に到達する。原稿上の像は、第1、第2ミラー台121、123、レンズ124を介して、数千個の受光素子がライン配列された図示せぬCCDラインセンサの受光部上に結像し、CCDラインセンサにより逐次、ライン単位で光電変換される。光電変換された信号は、図示せぬ信号処理部で処理され、画像形成部100の備える露光制御部に出力される。
【0013】
画像形成部100は以下のように構成されている。露光制御部190は、信号処理部の出力であるPWM変調した画像信号に基づいて半導体レーザ(光源)101を駆動して光ビームを射出し、光ビームを定速回転している感光体(像担持体)107の表面に照射する。この時、ドラム状の感光体107の軸方向(主走査方向)にモータ103で回転しているポリゴンミラー102を用いて光ビームを偏向走査する。尚、感光体107は、光ビームを照射する前に、図示せぬ前露光ランプにより感光体上の残量電荷が除電され、図示せぬ1次帯電器によりその表面が均一に帯電されている。従って、感光体107は、回転しながら光ビームを受けることにより、感光体表面に静電潜像が形成される。そして、現像器104により、感光体表面の静電潜像を所定色の現像剤(トナー)で可視化(現像)する。
【0014】
後述する給紙段140、150、160、170、180から搬送された転写紙は、レジストローラ106まで搬送される。レジストローラ106は、センサ105を用いて転写紙の到達を検知し、感光体107上で現像されたトナー像の先端と、転写紙の先端のタイミングを合わせて転写位置に転写紙を給紙する。
【0015】
転写帯電器108は、感光体107上の現像されたトナー像を、給送された転写紙に転写する。転写後、感光体107は、図示せぬクリーナーにより、残ったトナーが除去される。分離された転写紙は、定着部109に送られトナーが定着される。定着部109は、セラミック・ヒータ110、及びフィルム111、加圧ローラで構成され、セラミック・ヒータ110の熱は、薄いフィルム111を介して効率よく転写紙に伝達される。
【0016】
方向フラッパ112は、被転写紙の排出先を動作モードに応じてトレイ114と搬送ユニット190とに切り替える。搬送ユニット190は、転写紙を後述する後処理装置10まで搬送するためのユニットで、搬送ローラ191にて転写紙を搬送している。
【0017】
給紙段140、150、160、170は画像形成部100に転写紙を給紙する本体給紙段であり同じ機構で構成されている。給紙段180は、画像形成部100に転写紙を給紙する給紙段140、150、160、170より大量の転写紙を紙庫181に蓄積できるデッキ給紙段である。
【0018】
後処理装置10は、画像形成部100からの転写紙をローラ11にて内部に受け取る。受け取られた転写紙の出力先として、通常処理中に割り込んで行う処理の排出先等にはテンポラリとして使用するトレイ14、通常排出用のトレイとしてトレイ18とトレイ19、製本時に使用する排出トレイ27を選択する。
【0019】
図2は、図1の画像形成装置における露光制御部の構成図である。以下、その構成を動作と併せて説明する。レーザ駆動制御部202は、画像信号生成部201から画像信号を受け取り、半導体レーザ101を駆動させるレーザ駆動信号を生成する。そして、レーザ駆動信号を基に半導体レーザ101によりレーザ光が照射される。ここで、半導体レーザ101は、シングルビームを照射する半導体レーザだけではなく、マルチビームを照射可能な半導体レーザも含む。
【0020】
半導体レーザ101により照射されたレーザ光は拡散放射されるため、コリメータレンズ203を介して平行光にされ、ポリゴンミラー102に入射される。ポリゴンミラー102は、矢印方向に等角速度で回転しており、ポリゴンミラー102に入射したレーザ光は、角度を変えながら反射光となる。この反射光は、f−θレンズ204を介して走査速度を等角速度から等速度に補正され、感光体107を等速度で主走査方向に走査する。尚、BD(ビームディテクト)センサ205は、ポリゴンミラー102からの反射光を検知するセンサであり、反射光を検知したときに、ポリゴンミラー102の回転と画像データの書き込みの同期を取るための水平同期信号を生成する。
【0021】
図3は、図1の画像形成装置における露光制御部のブロック図である。以下、その構成を動作と併せて説明する。HP(ホームポジション)センサ207は、感光体107に設けられたHP(ホームポジション)217を検知してHP検知信号を出力する。走査位置検知部206では、HP(ホームポジション)センサ207で出力されるHP検知信号とBDセンサ205からのBD信号を基に、主走査位置及び副走査位置を特定し、主走査位置信号及び副走査位置信号を生成する。
【0022】
図4は、感光体の有する電位ムラ情報をHP基準に展開して立体的に表した図である。電位ムラ情報記憶部208には、図4に示すように、感光体107の主走査方向と副走査方向に2次元配列状に電位ムラ情報が格納されている。図5に示すように、電位ムラ情報は、感光体107上で主走査方向にある一定間隔(Lx)、副走査方向にある一定間隔(Ly)で存在する。交点に表された丸印の位置の電位ムラ情報を備える。
【0023】
電位ムラ情報選択部209では、電位ムラ情報記憶部208からの電位ムラ情報を基に、電位ムラ情報選択信号を生成する。ここで、電位ムラ情報選択部209は、図6に示すように、例えば、電位ムラの一番大きい点を基準として、画像濃度に影響を及ぼさない電位差(ΔV<5V)で、上記電位ムラ情報をレベル分けし、等電位線上に存在する電位ムラ情報を選択する。画像データ白領域検知部210では、図7に示すように、画像信号生成部201からの画像信号を基に、白領域を検知する。ここで、白領域とは現像剤が載らない領域を意味する。また、画像データ白領域検知部210では、画像サイズも同時に検知し、画像データ以外の領域を白領域として扱い、白領域判別信号を生成する。
【0024】
補正データ生成部211では、以下の各信号の選択結果から補正データを生成する。即ち、走査位置検知部206からの走査位置信号と、電位ムラ情報記憶部208からの電位ムラ情報と、電位ムラ情報選択部209からの電位ムラ情報選択信号と、画像データ白領域検知部210からの白領域判別信号である。
【0025】
レーザ駆動制御部202からのレーザ駆動信号と、補正データ生成部211の補正データは、レーザ光量制御部212に入力され、レーザ光量制御部212により、半導体レーザ101のレーザ光量が制御される。ここで、電位ムラ情報記憶部208は、電位ムラ情報を感光体107の表面の各箇所に対応付け、2次元配列状に記憶する。また、感光体107は、周方向においてのHP(基準位置)を有し、走査位置検知部206は、HPセンサ207からのHP検知信号とBDセンサ205から出力されるBD信号とから相対位置を特定する。
【0026】
レーザ光量制御部212は、画像データの種類に応じて、記憶部に記憶された情報に基づいたレーザ光量の補正を実行するか否かを決定し、決定に基づいて、感光体107上の走査位置に応じてレーザ光量を制御する。
【0027】
図8は、上記構成された画像形成装置において、露光制御(レーザ光量制御)処理の手順を示すフローチャートで、図3の露光制御部で実行される処理であり、図1の画像形成装置が備えるCPUにより制御される。図8において、まず、ホストコンピュータや画像形成装置が備える操作部からプリント要求が入ると(ステップS101)、走査位置検知部206は、感光体107の走査位置の検知処理を実行し(ステップS102)、作像処理が開始される(ステップS103)。ここで走査位置とは、主走査位置と副走査位置の両方を指す。
【0028】
補正データ生成部211は、走査位置検知部206から走査位置信号を取得し(ステップS104)、電位ムラ情報記憶部208に格納されている電位ムラ情報から補正データの生成処理を実行する(ステップS105)。レーザ光量制御部212は、補正データ生成部211から補正データを受け取り(ステップS106)、走査位置に応じた補正データに基づいてレーザ光量を制御し(ステップS107)、半導体レーザ101から感光体107に向けてレーザ光を照射する(ステップS108)。そして、本処理を終了する。
【0029】
図9は、図8のステップS102で実行される感光体の副走査位置の検知処理の手順を示すフローチャートである。図9において、感光体107が回転を始め、感光体107の速度が安定すると(ステップS201)、HPセンサ207が、感光体107のHP217を検知する(ステップS202)。
【0030】
感光体107の走査位置検知部206において、HPからの相対位置を表す副走査位置カウンタを初期化する(ステップS203)。予め設定された所定時間が経過すると(ステップS204)、走査位置検知部206は、副走査位置カウンタをカウントアップさせ(ステップS205)、感光体107の副走査位置を検知する(ステップS206)。そして、走査位置検知部206は、副走査位置信号を出力する(ステップS207)。再び感光体107のHPが検知されるまで、ステップS203〜S207の工程を繰り返し、再び感光体107のHPが検知されるとステップS202に移る。
【0031】
図10は、図8のステップS102で実行される感光体上での主走査位置の検知処理の手順を示すフローチャートである。図10において、感光体107が回転を始め、感光体107の速度が安定すると(ステップS301)、半導体レーザ101よりレーザ光を照射し、ポリゴンミラー102で反射・走査されたレーザ光をBDセンサ205で検知してBD信号を出力する(ステップS302)。
【0032】
感光体107の走査位置検知部206において、BD信号を検出したタイミングからの主走査方向の相対位置を表す主走査位置カウンタを初期化する(ステップS303)。予め設定された所定時間が経過すると(ステップS304)、走査位置検知部206は、主走査位置カウンタをカウントアップさせ(ステップS305)、感光体107の主走査位置を検知し(ステップS306)、主走査位置信号を出力する(ステップS307)。再びHPが検知されるまで、ステップS303〜S307の工程を繰り返し、再びHPが検知されるとステップS302に移る。
【0033】
図11は、図8のステップS105で実行される電位ムラの補正データ生成処理の手順を示すフローチャートである。図11において、走査位置検知部206は、主走査及び副走査の走査位置を取得する(ステップS401)。画像データ白領域検知部210は、画像データが白領域かどうかの判別を行う(ステップS402)。ここで、画像データが白領域と判別された場合、電位ムラ情報記憶部208から電位ムラ情報を読み出すことなく処理は終了する。
【0034】
一方、画像データが白領域以外と判別された場合、電位ムラ情報選択部209からの電位ムラ情報選択信号にて、補正データ生成部211は、電位ムラ情報を使用するか判別を行う(ステップS403)。ここで、電位ムラ情報を使用しないと判別された場合、電位ムラ情報記憶部208から電位ムラ情報を読み出すことなく処理は終了する。
【0035】
一方、電位ムラ情報を使用すると判別された場合、補正データ生成部211は、電位ムラ情報記憶部208から電位ムラ情報を読み出し(ステップS404)、補正データを生成する(ステップS405)。
【0036】
以上のように、本実施の形態により、画像の濃度ムラを低下させ、均一な画像を提供しつつ、感光体の表面電位の電位ムラについて、電位ムラ補正に要する設定時間を短縮することが可能となる。
【符号の説明】
【0037】
101 半導体レーザ
107 感光体
206 走査位置検知部
208 電位ムラ情報記憶部
209 電位ムラ情報選択部
210 画像データ白領域検知部
211 補正データ生成部
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式により画像形成処理を行う、レーザプリンタや複写機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル技術の進歩に伴い、画像形成装置においての出力画像の高品質化が急速に進んでいる。そして、出力画像の高品質化の手法として、出力画像の画像濃度を一定にするために、感光体の電位ムラを測定し、その電位ムラ情報に基づいて、電位ムラに起因する画像の濃度ムラを補正する手法が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−70068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、感光体の電位ムラを精度良く補正するには、多くの電位ムラ情報を持つ必要があり、補正データの生成に時間を要する。
【0005】
本発明の目的は、電位ムラ情報を用いて画像の濃度ムラを減少させ、均一な画像を得る場合に、電位ムラ補正データの生成時間を短縮することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1記載の画像形成装置は、画像データに基づいてレーザ光を照射する光源と、前記レーザ光で走査される感光体と、前記感光体上の位置に応じた電位ムラに関する情報を記憶する記憶手段と、前記画像データの種類に応じて、前記記憶手段に記憶された情報に基づいたレーザ光量の補正を実行するか否かを決定し、前記決定に基づいて、前記感光体上の走査位置に応じてレーザ光量を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の画像形成装置によれば、電位ムラ情報を用いて画像の濃度ムラを減少させ、均一な画像を得る場合に、電位ムラ補正データの生成時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の構成図である。
【図2】図1の画像形成装置における露光制御部の構成図である。
【図3】図1の画像形成装置における露光制御部のブロック図である。
【図4】図1における感光体の電位ムラを示す図である。
【図5】図1における感光体の電位ムラ情報を示す図である。
【図6】図3における電位ムラ情報選択部の動作を説明する図である。
【図7】画像データの白領域を示す図である。
【図8】図3の露光制御部で実行される露光制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】図8のステップS102で実行される感光体の副走査位置の検知処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】図8のステップS102で実行される感光体の主走査位置の検知処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】図8のステップS105で実行される電位ムラの補正データ生成処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の構成図である。以下、その構成を動作と併せて説明する。画像形成装置は、画像形成部100、原稿読取部120、原稿搬送部130、給紙段140、150、160、170、180、後処理装置10を有している。
【0011】
原稿搬送部130は以下のように構成されている。原稿置き台131にセットされた原稿は、給紙ローラ132によって1枚ずつ搬送される。原稿は、モータ136によって駆動される原稿搬送ベルト137により原稿読取位置まで搬送され、原稿の読取動作が原稿読取部120にてなされる。原稿の読取動作後は、フラッパ135にて搬送経路が変更され、モータ136を逆転することで、原稿が排出ローラ134により排出トレイ138に排出される。
【0012】
原稿読取部120は以下のように構成されている。露光ランプ122は、蛍光灯、ハロゲンランプ等からなり、その長手方向に対して垂直方向に移動しながら、原稿載置ガラス(原稿台)126上の原稿を照射する。露光ランプ122の照射による原稿からの散乱光は、モータ125で稼動する第1、第2ミラー台121、123に反射され、レンズ124に到達する。原稿上の像は、第1、第2ミラー台121、123、レンズ124を介して、数千個の受光素子がライン配列された図示せぬCCDラインセンサの受光部上に結像し、CCDラインセンサにより逐次、ライン単位で光電変換される。光電変換された信号は、図示せぬ信号処理部で処理され、画像形成部100の備える露光制御部に出力される。
【0013】
画像形成部100は以下のように構成されている。露光制御部190は、信号処理部の出力であるPWM変調した画像信号に基づいて半導体レーザ(光源)101を駆動して光ビームを射出し、光ビームを定速回転している感光体(像担持体)107の表面に照射する。この時、ドラム状の感光体107の軸方向(主走査方向)にモータ103で回転しているポリゴンミラー102を用いて光ビームを偏向走査する。尚、感光体107は、光ビームを照射する前に、図示せぬ前露光ランプにより感光体上の残量電荷が除電され、図示せぬ1次帯電器によりその表面が均一に帯電されている。従って、感光体107は、回転しながら光ビームを受けることにより、感光体表面に静電潜像が形成される。そして、現像器104により、感光体表面の静電潜像を所定色の現像剤(トナー)で可視化(現像)する。
【0014】
後述する給紙段140、150、160、170、180から搬送された転写紙は、レジストローラ106まで搬送される。レジストローラ106は、センサ105を用いて転写紙の到達を検知し、感光体107上で現像されたトナー像の先端と、転写紙の先端のタイミングを合わせて転写位置に転写紙を給紙する。
【0015】
転写帯電器108は、感光体107上の現像されたトナー像を、給送された転写紙に転写する。転写後、感光体107は、図示せぬクリーナーにより、残ったトナーが除去される。分離された転写紙は、定着部109に送られトナーが定着される。定着部109は、セラミック・ヒータ110、及びフィルム111、加圧ローラで構成され、セラミック・ヒータ110の熱は、薄いフィルム111を介して効率よく転写紙に伝達される。
【0016】
方向フラッパ112は、被転写紙の排出先を動作モードに応じてトレイ114と搬送ユニット190とに切り替える。搬送ユニット190は、転写紙を後述する後処理装置10まで搬送するためのユニットで、搬送ローラ191にて転写紙を搬送している。
【0017】
給紙段140、150、160、170は画像形成部100に転写紙を給紙する本体給紙段であり同じ機構で構成されている。給紙段180は、画像形成部100に転写紙を給紙する給紙段140、150、160、170より大量の転写紙を紙庫181に蓄積できるデッキ給紙段である。
【0018】
後処理装置10は、画像形成部100からの転写紙をローラ11にて内部に受け取る。受け取られた転写紙の出力先として、通常処理中に割り込んで行う処理の排出先等にはテンポラリとして使用するトレイ14、通常排出用のトレイとしてトレイ18とトレイ19、製本時に使用する排出トレイ27を選択する。
【0019】
図2は、図1の画像形成装置における露光制御部の構成図である。以下、その構成を動作と併せて説明する。レーザ駆動制御部202は、画像信号生成部201から画像信号を受け取り、半導体レーザ101を駆動させるレーザ駆動信号を生成する。そして、レーザ駆動信号を基に半導体レーザ101によりレーザ光が照射される。ここで、半導体レーザ101は、シングルビームを照射する半導体レーザだけではなく、マルチビームを照射可能な半導体レーザも含む。
【0020】
半導体レーザ101により照射されたレーザ光は拡散放射されるため、コリメータレンズ203を介して平行光にされ、ポリゴンミラー102に入射される。ポリゴンミラー102は、矢印方向に等角速度で回転しており、ポリゴンミラー102に入射したレーザ光は、角度を変えながら反射光となる。この反射光は、f−θレンズ204を介して走査速度を等角速度から等速度に補正され、感光体107を等速度で主走査方向に走査する。尚、BD(ビームディテクト)センサ205は、ポリゴンミラー102からの反射光を検知するセンサであり、反射光を検知したときに、ポリゴンミラー102の回転と画像データの書き込みの同期を取るための水平同期信号を生成する。
【0021】
図3は、図1の画像形成装置における露光制御部のブロック図である。以下、その構成を動作と併せて説明する。HP(ホームポジション)センサ207は、感光体107に設けられたHP(ホームポジション)217を検知してHP検知信号を出力する。走査位置検知部206では、HP(ホームポジション)センサ207で出力されるHP検知信号とBDセンサ205からのBD信号を基に、主走査位置及び副走査位置を特定し、主走査位置信号及び副走査位置信号を生成する。
【0022】
図4は、感光体の有する電位ムラ情報をHP基準に展開して立体的に表した図である。電位ムラ情報記憶部208には、図4に示すように、感光体107の主走査方向と副走査方向に2次元配列状に電位ムラ情報が格納されている。図5に示すように、電位ムラ情報は、感光体107上で主走査方向にある一定間隔(Lx)、副走査方向にある一定間隔(Ly)で存在する。交点に表された丸印の位置の電位ムラ情報を備える。
【0023】
電位ムラ情報選択部209では、電位ムラ情報記憶部208からの電位ムラ情報を基に、電位ムラ情報選択信号を生成する。ここで、電位ムラ情報選択部209は、図6に示すように、例えば、電位ムラの一番大きい点を基準として、画像濃度に影響を及ぼさない電位差(ΔV<5V)で、上記電位ムラ情報をレベル分けし、等電位線上に存在する電位ムラ情報を選択する。画像データ白領域検知部210では、図7に示すように、画像信号生成部201からの画像信号を基に、白領域を検知する。ここで、白領域とは現像剤が載らない領域を意味する。また、画像データ白領域検知部210では、画像サイズも同時に検知し、画像データ以外の領域を白領域として扱い、白領域判別信号を生成する。
【0024】
補正データ生成部211では、以下の各信号の選択結果から補正データを生成する。即ち、走査位置検知部206からの走査位置信号と、電位ムラ情報記憶部208からの電位ムラ情報と、電位ムラ情報選択部209からの電位ムラ情報選択信号と、画像データ白領域検知部210からの白領域判別信号である。
【0025】
レーザ駆動制御部202からのレーザ駆動信号と、補正データ生成部211の補正データは、レーザ光量制御部212に入力され、レーザ光量制御部212により、半導体レーザ101のレーザ光量が制御される。ここで、電位ムラ情報記憶部208は、電位ムラ情報を感光体107の表面の各箇所に対応付け、2次元配列状に記憶する。また、感光体107は、周方向においてのHP(基準位置)を有し、走査位置検知部206は、HPセンサ207からのHP検知信号とBDセンサ205から出力されるBD信号とから相対位置を特定する。
【0026】
レーザ光量制御部212は、画像データの種類に応じて、記憶部に記憶された情報に基づいたレーザ光量の補正を実行するか否かを決定し、決定に基づいて、感光体107上の走査位置に応じてレーザ光量を制御する。
【0027】
図8は、上記構成された画像形成装置において、露光制御(レーザ光量制御)処理の手順を示すフローチャートで、図3の露光制御部で実行される処理であり、図1の画像形成装置が備えるCPUにより制御される。図8において、まず、ホストコンピュータや画像形成装置が備える操作部からプリント要求が入ると(ステップS101)、走査位置検知部206は、感光体107の走査位置の検知処理を実行し(ステップS102)、作像処理が開始される(ステップS103)。ここで走査位置とは、主走査位置と副走査位置の両方を指す。
【0028】
補正データ生成部211は、走査位置検知部206から走査位置信号を取得し(ステップS104)、電位ムラ情報記憶部208に格納されている電位ムラ情報から補正データの生成処理を実行する(ステップS105)。レーザ光量制御部212は、補正データ生成部211から補正データを受け取り(ステップS106)、走査位置に応じた補正データに基づいてレーザ光量を制御し(ステップS107)、半導体レーザ101から感光体107に向けてレーザ光を照射する(ステップS108)。そして、本処理を終了する。
【0029】
図9は、図8のステップS102で実行される感光体の副走査位置の検知処理の手順を示すフローチャートである。図9において、感光体107が回転を始め、感光体107の速度が安定すると(ステップS201)、HPセンサ207が、感光体107のHP217を検知する(ステップS202)。
【0030】
感光体107の走査位置検知部206において、HPからの相対位置を表す副走査位置カウンタを初期化する(ステップS203)。予め設定された所定時間が経過すると(ステップS204)、走査位置検知部206は、副走査位置カウンタをカウントアップさせ(ステップS205)、感光体107の副走査位置を検知する(ステップS206)。そして、走査位置検知部206は、副走査位置信号を出力する(ステップS207)。再び感光体107のHPが検知されるまで、ステップS203〜S207の工程を繰り返し、再び感光体107のHPが検知されるとステップS202に移る。
【0031】
図10は、図8のステップS102で実行される感光体上での主走査位置の検知処理の手順を示すフローチャートである。図10において、感光体107が回転を始め、感光体107の速度が安定すると(ステップS301)、半導体レーザ101よりレーザ光を照射し、ポリゴンミラー102で反射・走査されたレーザ光をBDセンサ205で検知してBD信号を出力する(ステップS302)。
【0032】
感光体107の走査位置検知部206において、BD信号を検出したタイミングからの主走査方向の相対位置を表す主走査位置カウンタを初期化する(ステップS303)。予め設定された所定時間が経過すると(ステップS304)、走査位置検知部206は、主走査位置カウンタをカウントアップさせ(ステップS305)、感光体107の主走査位置を検知し(ステップS306)、主走査位置信号を出力する(ステップS307)。再びHPが検知されるまで、ステップS303〜S307の工程を繰り返し、再びHPが検知されるとステップS302に移る。
【0033】
図11は、図8のステップS105で実行される電位ムラの補正データ生成処理の手順を示すフローチャートである。図11において、走査位置検知部206は、主走査及び副走査の走査位置を取得する(ステップS401)。画像データ白領域検知部210は、画像データが白領域かどうかの判別を行う(ステップS402)。ここで、画像データが白領域と判別された場合、電位ムラ情報記憶部208から電位ムラ情報を読み出すことなく処理は終了する。
【0034】
一方、画像データが白領域以外と判別された場合、電位ムラ情報選択部209からの電位ムラ情報選択信号にて、補正データ生成部211は、電位ムラ情報を使用するか判別を行う(ステップS403)。ここで、電位ムラ情報を使用しないと判別された場合、電位ムラ情報記憶部208から電位ムラ情報を読み出すことなく処理は終了する。
【0035】
一方、電位ムラ情報を使用すると判別された場合、補正データ生成部211は、電位ムラ情報記憶部208から電位ムラ情報を読み出し(ステップS404)、補正データを生成する(ステップS405)。
【0036】
以上のように、本実施の形態により、画像の濃度ムラを低下させ、均一な画像を提供しつつ、感光体の表面電位の電位ムラについて、電位ムラ補正に要する設定時間を短縮することが可能となる。
【符号の説明】
【0037】
101 半導体レーザ
107 感光体
206 走査位置検知部
208 電位ムラ情報記憶部
209 電位ムラ情報選択部
210 画像データ白領域検知部
211 補正データ生成部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに基づいてレーザ光を照射する光源と、
前記レーザ光で走査される感光体と、
前記感光体上の位置に応じた電位ムラに関する情報を記憶する記憶手段と、
前記画像データの種類に応じて、前記記憶手段に記憶された情報に基づいたレーザ光量の補正を実行するか否かを決定し、前記決定に基づいて、前記感光体上の走査位置に応じてレーザ光量を制御する制御手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像データの種類を判別する判別手段と、
前記感光体上の走査位置を示す位置信号を出力する検知手段を更に有し、
前記制御手段は、前記検知手段から出力される位置信号と前記記憶手段に記憶された電位ムラに関する情報と前記判別手段で判別される画像データの種類とに基づいて、前記感光体上の走査位置に応じてレーザ光量を制御することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記検知手段から出力される位置信号と前記記憶手段に記憶された電位ムラに関する情報と前記判別手段で判別される画像データの種類とに基づいてレーザ光量を補正するための補正データを出力する生成手段を更に有し、
前記制御手段は前記生成手段から出力される補正データに基づいて、前記感光体上の走査位置に応じてレーザ光量を制御することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記判別手段で判別される画像データの種類に応じて前記記憶手段に記憶された電位ムラに関する情報を使用するか否かを選択する選択手段を更に備え、
前記生成手段は、前記検知手段から出力される位置信号と前記記憶手段に記憶された電位ムラに関する情報と前記判別手段で判別される画像データの種類と前記選択手段での選択結果に基づいてレーザ光量を補正するための補正データを出力することを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記判別手段は、現像剤が転写されない白領域の画像データであるか否を判別することを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項1】
画像データに基づいてレーザ光を照射する光源と、
前記レーザ光で走査される感光体と、
前記感光体上の位置に応じた電位ムラに関する情報を記憶する記憶手段と、
前記画像データの種類に応じて、前記記憶手段に記憶された情報に基づいたレーザ光量の補正を実行するか否かを決定し、前記決定に基づいて、前記感光体上の走査位置に応じてレーザ光量を制御する制御手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像データの種類を判別する判別手段と、
前記感光体上の走査位置を示す位置信号を出力する検知手段を更に有し、
前記制御手段は、前記検知手段から出力される位置信号と前記記憶手段に記憶された電位ムラに関する情報と前記判別手段で判別される画像データの種類とに基づいて、前記感光体上の走査位置に応じてレーザ光量を制御することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記検知手段から出力される位置信号と前記記憶手段に記憶された電位ムラに関する情報と前記判別手段で判別される画像データの種類とに基づいてレーザ光量を補正するための補正データを出力する生成手段を更に有し、
前記制御手段は前記生成手段から出力される補正データに基づいて、前記感光体上の走査位置に応じてレーザ光量を制御することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記判別手段で判別される画像データの種類に応じて前記記憶手段に記憶された電位ムラに関する情報を使用するか否かを選択する選択手段を更に備え、
前記生成手段は、前記検知手段から出力される位置信号と前記記憶手段に記憶された電位ムラに関する情報と前記判別手段で判別される画像データの種類と前記選択手段での選択結果に基づいてレーザ光量を補正するための補正データを出力することを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記判別手段は、現像剤が転写されない白領域の画像データであるか否を判別することを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−208024(P2010−208024A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−53381(P2009−53381)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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