説明

画像形成装置

【課題】生産性を落とすことなく画像形成装置全体としての印字待ち時間を短縮できる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】この発明の画像形成装置は、シート90に画像を形成する印字部110Y,110M,110C,110Kと、シート90に形成された画像を定着させる定着部130とを有し、定着部130が所定の印字許可温度に到達したとき印字部110Y,110M,110C,110Kの動作を開始する。定着部130がウォームアップ開始から印字許可温度に到達する前に、画像形成装置100の動作を遅延させる印字遅延要因を検知する遅延要因検知部201を備える。検知された印字遅延要因によって発生する遅延時間に応じて印字許可温度を可変して設定する印字遅延制御部202を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は画像形成装置に関し、より詳しくは、印字遅延要因に応じて印字遅延制御を行う画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な電子写真方式の画像形成装置では、例えば定着ローラの表面温度を検出して、その温度が所定の温度(印字許可温度)に達すれば印字許可として(印字許可信号を発生して)、画像形成動作を開始している。印字許可温度は、印字開始時に用紙によって熱を奪われ落ち込んでも画質保証できる温度を維持できるように、画質保証温度よりも高く設定されている。
【0003】
近年ではスタートから印字許可になるまでの印字待ち時間の短縮が求められている。そこで、最近では、印字許可温度を条件に応じて複数設定し、条件によっては印字許可温度を下げて印字許可とすることで、印字待ち時間を短縮する提案がなされている(例えば、特許文献1(特開2003−186346号公報)参照。)。例えばモノクロ印字だけ許可する温度、少数ジョブだけ印字許可とする温度、A4サイズのみ印字許可とする温度を、本来の印字許可温度よりも低く設定することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−186346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のように印字許可温度を条件に応じて複数設定し、条件によっては印字許可温度を下げて印字許可とすることで印字待ち時間を短縮したとしても、条件外の状況で印字する際には、定着性保持のために、生産性(単位時間当たりの印字枚数)を落として印字せざるを得ない場合がある。また、画像形成装置全体としては画像調整やクリーニング制御などのように、定着装置のウォームアップの他にも印字を遅延させる要因が存在するため、せっかく定着の印字を早めたとしても、再度別の要因で待たされることがある。
【0006】
そこで、この発明の課題は、生産性を落とすことなく画像形成装置全体としての印字待ち時間を短縮できる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、この発明の画像形成装置は、
シートに画像を形成する印字部と、上記シートに形成された上記画像を定着させる定着部とを有し、上記定着部が所定の印字許可温度に到達したとき上記印字部の動作を開始する画像形成装置において、
上記定着部がウォームアップ開始から上記印字許可温度に到達する前に、上記画像形成装置の動作を遅延させる印字遅延要因を検知する遅延要因検知部と、
検知された上記印字遅延要因によって発生する遅延時間に応じて上記印字許可温度を可変して設定する印字遅延制御部と
を備えたことを特徴とする。
【0008】
この発明の画像形成装置では、遅延要因検知部は、上記定着部が上記印字許可温度に到達する前に、上記画像形成装置の動作を遅延させる印字遅延要因を検知する。印字遅延制御部は、検知された上記印字遅延要因によって発生する遅延時間に応じて上記印字許可温度を可変して設定する。したがって、上記画像形成装置の動作を遅延させる様々な印字遅延要因が存在したとしても、上記印字許可温度を適切に設定できる。これにより、生産性を落とすことなく画像形成装置全体としての印字待ち時間を短縮できる。
【0009】
一実施形態の画像形成装置では、上記遅延要因検知部が検知する印字遅延要因は、上記定着部のウォームアップ中に印字予約動作によって受付けたジョブに関する要因を含むことを特徴とする。
【0010】
この一実施形態の画像形成装置では、上記定着部のウォームアップ中に印字予約動作によって受付けたジョブに関する印字遅延要因が発生したとしても、上記印字許可温度を適切に設定できる。
【0011】
一実施形態の画像形成装置では、上記遅延要因検知部が複数の印字遅延要因を検知したとき、上記印字遅延制御部は、上記複数の印字遅延要因に個々に対応した制御が互いに並列に実行可能であるか否かを判断して、上記印字許可温度の設定のために、互いに並列に実行可能である制御のうち印字待ち時間を最も長くする制御に応じた遅延時間を用いることを特徴とする。
【0012】
この一実施形態の画像形成装置では、複数の印字遅延要因に個々に対応した制御が互いに並列に実行可能である場合に、上記印字許可温度を適切に設定できる。
【0013】
なお、複数の印字遅延要因に個々に対応した制御が互いに並列に実行可能であるか否かを表す並列実行可否判定テーブルを備えるのが望ましい。上記遅延要因検知部が上記並列実行可否判定テーブルを参照すれば、複数の印字遅延要因に個々に対応した制御が互いに並列に実行可能であるか否かを容易に判断できる。
【0014】
一実施形態の画像形成装置では、上記遅延要因検知部が検知する印字遅延要因は、上記定着部のウォームアップ中に上記画像形成装置が置かれた環境に関する要因を含むことを特徴とする。
【0015】
この一実施形態の画像形成装置では、上記定着部のウォームアップ中に上記画像形成装置が置かれた環境に関する印字遅延要因が発生した場合に、上記印字許可温度を適切に設定できる。
【0016】
一実施形態の画像形成装置では、上記遅延要因検知部が検知する印字遅延要因は、印字予約動作で受付けたジョブが指定する用紙種類に関する要因を含むことを特徴とする。
【0017】
この一実施形態の画像形成装置では、印字予約動作で受付けたジョブが指定する用紙種類に関する印字遅延要因を含む場合に、上記印字許可温度を適切に設定できる。
【0018】
一実施形態の画像形成装置では、上記遅延要因検知部が検知する印字遅延要因は、印字予約動作で受付けたジョブが指定する用紙サイズに関する要因を含むことを特徴とする。
【0019】
この一実施形態の画像形成装置では、印字予約動作で受付けたジョブが指定する用紙サイズに関する印字遅延要因を含む場合に、上記印字許可温度を適切に設定できる。
【0020】
一実施形態の画像形成装置では、
上記遅延要因検知部は、上記定着部のウォームアップ開始から上記印字許可温度到達までの間に生じる印字遅延要因を逐次検出し、
上記印字遅延制御部は、上記定着部のウォームアップ開始から上記印字許可温度到達までの間に新たな印字遅延要因が検出されたとき、その新たな印字遅延要因に応じた変更候補としての印字許可温度を逐次求め、その求めた時点で上記変更候補としての印字許可温度が既に設定されている印字許可温度以下であるとき、上記既に設定されている印字許可温度を上記変更候補としての印字許可温度の値で更新することを特徴とする。
【0021】
この一実施形態の画像形成装置では、上記定着部のウォームアップ中に上記画像形成装置の動作を遅延させる様々な印字遅延要因が何回発生したとしても、上記印字許可温度を逐次適切に設定できる。これにより、生産性を落とすことなく画像形成装置全体としての印字待ち時間を短縮できる。
【0022】
一実施形態の画像形成装置では、上記更新後の印字許可温度が上記更新時点の上記定着部の温度以下になったとき、直ちに上記印字部の動作を開始することを特徴とする。
【0023】
この一実施形態の画像形成装置によれば、印字許可の条件が満たされた時点で直ちに上記印字部の動作を開始でき、生産性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の一実施形態の画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図2】上記画像形成装置における基本的な印字遅延制御フローを示す図である。
【図3】様々な印字遅延要因とそれらの印字遅延要因を検知するタイミングとを対応表として示す図である。
【図4】印字遅延要因ごとの制御についての制御時間と属性を示す図である。
【図5】印字遅延要因同士が並列実行可能か否かを記憶した並列実行可否テーブルを示す図である。
【図6】上記画像形成装置において、複数の印字遅延要因がある場合の印字遅延制御フローを示す図である。
【図7】(a)は2つの印字遅延要因同士が並列実行可能な場合の制御の概念、(b)は2つの印字遅延要因同士が並列実行不可の場合の制御の概念を、それぞれ模式的に例示する図である。
【図8】(a)は環境に応じた遅延制御の内容、(b)は用紙種類に応じた遅延制御の内容、(c)は用紙サイズに応じた遅延制御の内容を、それぞれ例示する図である。
【図9】上記画像形成装置において、ウォームアップ中にリアルタイムで印字許可温度を変更する印字遅延制御フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態のカラータンデム方式の画像形成装置(MFP;)100の概略構成を示している。この画像形成装置は、スキャナ、コピー、プリントなどの機能を備えた複合機であって、MFP(Multi Function Peripheral)と呼ばれるものである。
【0027】
この画像形成装置100は、本体ケーシング101内の略中央に、2個のローラ102、106に巻回された周方向に移動する環状の像担持体としての中間転写ベルト108を備えている。2個のローラ102、104のうち、一方のローラ102は図において左側に配置され、他方のローラ106は図において右側に配置されている。中間転写ベルト108はこれらのローラ102、106によって支持されて矢印X方向に回転駆動される。
【0028】
中間転写ベルト108の下方には、図において左側から順に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色トナーに対応する印字部としての作像ユニット110Y、110M、110C、110Kが並べて配置されている。
【0029】
各作像ユニット110Y、110M、110C、110Kは、それらが取り扱うトナー色の違いを除いて全く同様に構成されている。具体的には、例えばイエローの作像ユニット110Yは、感光体ドラム190と、帯電装置191と、露光装置192と、トナーを用いて現像を行う現像装置193と、クリーナ装置195とを一体にして構成されている。中間転写ベルト108を挟んで感光体ドラム190と対向する位置に、1次転写ローラ194が設けられている。画像形成時には、まず帯電装置191によって感光体ドラム190の表面が一様に帯電され、続いて、露光装置192によって、例えば図示されない外部装置から入力された画像信号に応じて感光体ドラム190の表面が露光されて、そこに潜像が形成される。次に、現像装置193によって、感光体ドラム190の表面上の潜像が現像されてトナー画像となる。このトナー画像は、感光体ドラム190と1次転写ローラ194との間の電圧印加によって、中間転写ベルト108に転写される。感光体ドラム190の表面上の転写残トナーは、クリーナ装置195によってクリーニングされる。
【0030】
中間転写ベルト108が矢印X方向に移動するに伴って、各作像ユニット110Y、110M、110C、110Kによって中間転写ベルト108上に4色のトナー画像が重ねて形成される。
【0031】
中間転写ベルト108の左側には、中間転写ベルト108の表面から残留トナーを取り除くクリーニング装置125と、このクリーニング装置125によって取り除かれたトナーを回収するトナー回収ボックス126とが設けられている。中間転写ベルト108の右側には、用紙のための搬送路124を挟んで2次転写部材としての2次転写ローラ112が設けられている。搬送路124のうち2次転写ローラ112の上流側、下流側に相当する位置にそれぞれ搬送ローラ120、119が設けられている。なお、搬送ローラ120と一体に、中間転写ベルト108上のトナーパターンを検出するための光学センサ(トナー濃度センサ)が設けられている。
【0032】
本体ケーシング101内の右上部には、トナーを用紙に定着させる定着部としての定着装置130が設けられている。定着装置130は、図1において紙面に対して垂直に延在する左右一対のローラ133,134と、それらローラ133,134に巻回された加熱用部材としての定着ベルト132と、定着ベルト132のうちローラ134を巻回する部分に圧接された図1の紙面に対して垂直に延在する加圧用部材としての加圧ローラ131とを備えている。定着ベルト132は、図示しない加熱源によって所定の印字許可温度に加熱される。加圧ローラ131は、図示しないばねによって定着ベルト132へ向かって付勢されている。これにより、加圧ローラ131と定着ベルト132とは定着のためのニップ部を形成している。トナー像が転写された用紙90がこのニップ部を通ることにより、その用紙90にトナー画像が定着される。加圧ローラ131と定着ベルト132の温度は、それぞれこの例ではサーミスタからなる温度センサ135,136によって検出される。
【0033】
また、本体ケーシング101の下部には、画像が形成されるべきシートとしての用紙90を収容した給紙口としての給紙カセット116A,116Bが2段に設けられている。給紙カセット116A,116Bにはそれぞれ、用紙を送り出すための給紙ローラ118と、送り出された用紙を検出する給紙センサ117とが設けられている。なお、簡単のため、給紙カセット116Aにのみ用紙90が収容された状態を示している。
【0034】
本体ケーシング101内には、この画像形成装置全体の動作を制御するCPU(中央演算処理装置)からなる制御部200が設けられている。後述するように、制御部200は遅延要因検知部201および印字遅延制御部202として働く。
【0035】
画像形成時には、制御部200による制御によって、用紙90は給紙ローラ118によって例えば給紙カセット116Aから搬送路124へ1枚ずつ送り出される。搬送路124に送り出された用紙90は、レジストセンサ114によってタイミングをとって、搬送ローラ120によって中間転写ベルト108と2次転写ローラ112との間のトナー転写位置へ送り込まれる。一方、既述のように、各作像ユニット110Y、110M、110C、110Kによって中間転写ベルト108上に4色のトナー画像が重ねて形成されている。上述のトナー転写位置に送り込まれた用紙90に、この中間転写ベルト108上の4色のトナー画像が、2次転写ローラ112によって転写される。トナー像が転写された用紙90は、定着装置130の加圧ローラ131と定着ベルト132とが作るニップ部を通して搬送され、加熱および加圧を受ける。これにより、その用紙90にトナー画像が定着される。そして、トナー画像が定着された用紙90は、排紙ローラ121によって、排紙路127を通して本体ケーシング101の上面に設けられた排紙トレイ部122へ排出される。なお、この例では、両面印刷の場合に用紙90を再びトナー転写位置へ送り込むためのスイッチバック搬送路128が設けられている。
【0036】
さて、この画像形成装置100では、制御部200は、上述の温度センサ135,136によって、それぞれ加圧ローラ131、定着ベルト132の温度を検出する。ただし、加圧用部材としての加圧ローラ131の方が加熱用部材としての定着ベルト132に比して熱容量が大きく、温度上昇が遅い。そこで、この例では、制御部200は、加圧ローラ131の温度が所定の印字許可温度に達すれば印字許可信号を発生して、印字動作を開始するものとする。なお、加圧ローラ131の温度上昇率は1℃/secとする。
【0037】
図3は、この画像形成装置100において印字許可温度を可変して設定する要因となる印字遅延要因(参照符号Fa1,Fa2,…,Fa10で特定する)を示している。
【0038】
すなわち、図3中の「印字遅延要因」欄に示すように、「2次転写部材クリーニング」Fa1、「ATVC」Fa2、「ポリゴンミラー速度切替」Fa3、「色ずれ補正」Fa4、「給紙口切替」Fa5、「感光体速度切替」Fa6、「低温での印字」Fa7、「高湿度での印字」Fa8、「厚紙印字」Fa9、「サイズ大用紙の印字」Fa10が挙げられる。
【0039】
「2次転写部材クリーニング」Fa1は、2次転写部材としての2次転写ローラ112をクリーニングする処理である。「2次転写部材クリーニング」Fa1は、図3中の「遅延実施判断」欄に示すように、所定枚数以上の通紙の有無に応じて実施するか否かが判断される。例えば、累積印字枚数が規定枚数に到達した後に印字要求があった場合は、要求されたジョブがどんなジョブであってもその印字開始前に所定時間印字が遅延されて、2次転写ローラ112のクリーニングが必ず実施される。
【0040】
「ATVC」(Active Transfer Voltage Control)Fa2は、自動的に転写バイアスを制御する処理であり、規定値以上の湿度変化があった場合に実施される。
【0041】
「ポリゴンミラー速度切替」Fa3は、露光装置192においてポリゴンミラー(用紙の幅方向に光線を走査する部材)の速度を切り替える処理であり、印字の際の必要に応じて実施される。
【0042】
「色ずれ補正」Fa4は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色トナーの位置・倍率を適切に合わせる処理であり、規定値以上の温度変化があってカラー印字要求があったときに実施される。
【0043】
「給紙口切替」Fa5は、給紙口としての給紙カセット116A,116Bを切り替える処理であり、用紙を切り替えるときに実施される。
【0044】
「感光体速度切替」Fa6は、プロセス速度(感光体の回転速度)を切り替える処理であり、印字の際の設定に応じて実施される。
【0045】
「低温での印字」Fa7は、低温環境で印字を行うための処理であり、定着温度が規定値未満の状況で低温環境での印字要求があったときに実施される。
【0046】
「高湿度での印字」Fa8は、高湿度環境で印字を行うための処理であり、定着温度が規定値未満の状況で高湿度での印字要求があったときに実施される。
【0047】
「厚紙印字」Fa9は、厚紙に印字を行うための処理であり、定着温度が規定値未満の状況で厚紙に印字する要求があったときに実施される。
【0048】
「サイズ大用紙の印字」Fa10は、サイズ大用紙(例えば日本工業規格(JIS)で規定されたA3)に印字を行うための処理であり、定着温度が規定値未満の状況でサイズ大用紙に印字する要求があったときに実施される。
【0049】
図3中の「印字遅延要因の判定可能タイミング」欄に示すように、「2次転写部材クリーニング」Fa1と「ATVC」Fa2はウォームアップ中に発生しうるが、他の印字遅延要因Fa3,Fa4,…,Fa10は印字予約受付後に発生する。
【0050】
図4の「印字遅延要因ごとの制御」テーブルは、図3中の各印字遅延要因に対応して行われる個々の制御と、その制御時間と、属性とを対応付けて記憶している。印字遅延要因の名称と個々の制御の名称とは、略共通している。特に、印字遅延要因Fa1,…,Fa5の名称は、それぞれ制御名と同じになっている。また、「低温での印字」Fa7に対応して行われる制御は「低温印字ウェイト」、「高湿度での印字」Fa8に対応して行われる制御は「高湿度ウェイト」、「厚紙印字」Fa9に対応して行われる制御は「厚紙印字ウェイト」、「サイズ大用紙の印字」Fa10に対応して行われる制御は「サイズ大用紙ウェイト」とそれぞれ呼ばれる。
【0051】
個々の制御のための制御時間は、それぞれ図4中の「制御時間(s)」欄に示す値となっている。例えば、2次転写部材クリーニングならば10秒間、ATVCならば6秒間をそれぞれ要する。
【0052】
図4中の「属性」は、個々の制御の優先順位を表している。この例では、属性「2」をもつ「低温印字ウェイト」、「高湿度ウェイト」、「厚紙印字ウェイト」および「サイズ大用紙ウェイト」の制御群は、定着性に影響を与えることから、優先順位が最も高い。属性「1−1」をもつ「2次転写部材クリーニング」および「ATVC」の制御群は、定着性に影響を与えないが印字予約受付がなくても実施できることから、優先順位がその次に高い。属性「1−2」をもつ「ポリゴンミラー速度切替」、「色ずれ補正」、「給紙口切替」、「感光体速度切替」のの制御群は、優先順位が低い。同じ属性であった場合は、表中のより上段のものの優先順位が高い。
【0053】
図2は、画像形成装置100の制御部200による基本的な印字遅延制御フローを例示している。この例は、待機時に印字ジョブを受け付けて定着装置130のウォームアップを開始した時点からスタートする。なお、ウォームアップは、画像形成装置100の電源投入時や、画像形成装置100が待機状態から動作状態に復帰する時に行われる。
【0054】
i) まず、定着装置130のウォームアップ開始時に、ステップS1で、印字許可温度(上述のように加圧ローラ131が到達すべき温度である。以下同様。)Tendを所定の初期値に設定する。
【0055】
具体的な例として、室温23℃において、用紙90がA4またはB5サイズの普通紙である場合は、まず、印字許可温度Tendを100℃に設定する。
【0056】
ii) 次に、ウォームアップ開始から加圧ローラ131の温度が印字許可温度Tendに到達する前に、ステップS2で、制御部200が遅延要因検知部201として働いて、画像形成装置100の動作を遅延させる印字遅延要因を検知する。
【0057】
この例では、図3中に示した印字遅延要因のうち、「2次転写部材クリーニング」のみが印字遅延要因として検知されたとする。このため、図2中のステップS2′で印字遅延要因が「あり」と判断される。なお、ステップS2′で印字遅延要因が「なし」と判断されたときは、印字許可温度を変更することなく、後述のステップS4へ進む。
【0058】
iii) 次に、ステップS3で、印字遅延要因によって発生する遅延時間に応じて、印字許可温度Tendを初期値から新たな値(Tnew)に変更する。
【0059】
既述のように、2次転写部材クリーニングのための制御時間(遅延時間)は10秒間であり、加圧ローラ131の温度上昇率は1℃/秒である。したがって、この例では、印字許可信号を発生した後、用紙90が定着装置130に到達する前に、その10秒間で加圧ローラ131の温度が10℃だけ上昇することを期待できる。そこで、その10秒間に応じて、印字許可温度Tendを、初期設定値100℃から10℃だけ差し引いて90℃(Tnew)に変更する。
【0060】
iv) 次に、ステップS4で、加圧ローラ131の現在の温度Tnowが印字許可温度Tend以上に到達しているか否かを判断する。ここで、加圧ローラ131の現在の温度Tnowが印字許可温度Tend以上に到達していなければ(ステップS4′で「F」)、ステップS2〜S4の処理を繰り返す。
【0061】
一方、加圧ローラ131の現在の温度Tnowが印字許可温度Tend(この例では90℃)以上に到達していれば(ステップS4′で「T」)、印字許可信号を発生する。これにより、10秒間の2次転写部材クリーニングが行われた後、用紙90にトナー画像が転写され、定着装置130によって定着が行われる。この場合、定着動作時には加圧ローラ131は本来の印字許可温度である100℃に到達しているので、定着性に問題は生じない。
【0062】
上述のような制御を行えば、画像形成装置100の動作を遅延させる様々な印字遅延要因が存在したとしても、印字許可温度を適切に設定できる。これにより、生産性を落とすことなく画像形成装置全体としての印字待ち時間を短縮できる。上の例では、印字待ち時間を10秒間短縮できる。
【0063】
次に、図2の印字遅延フローを再び参照して、図3中に示した印字遅延要因のうち、「色ずれ補正」が印字遅延要因である場合について説明する。
【0064】
この「色ずれ補正」という印字遅延要因は、ウォームアップ中に印字予約を受け付けたときに発生し得る。すなわち、ウォームアップ中に、図2のステップS2で、画像形成装置100の機内(環境)の温度変化を検知し、前回色ずれ補正した温度から規定値以上の温度変化があったとする。さらに、上記印字予約でカラー印字要求があり、用紙として普通紙が指定されたとする。このような場合、印字(カラー印字)前に、色ずれ補正の制御を8秒間(図4参照)かけて行う必要がある。そして、制御部200が遅延要因検知部201として働いて、図3中に示した印字遅延要因のうち、「色ずれ補正」を印字遅延要因として検知する。このため、図2中のステップS2′で印字遅延要因が「あり」と判断される。
【0065】
次に、ステップS3で、印字遅延要因によって発生する遅延時間に応じて、印字許可温度Tendを初期値から新たな値(Tnew)に変更する。今回の例では、印字許可温度Tendを、初期設定値100℃から8℃だけ差し引いて92℃(Tnew)に変更する。
【0066】
この場合、ステップS4で、加圧ローラ131の現在の温度Tnowが印字許可温度Tend以上に到達しているか否かを判断し、加圧ローラ131の現在の温度Tnowが印字許可温度Tend(この例では92℃)以上に到達していれば(ステップS4′で「T」)、印字許可信号を発生する。これにより、8秒間の色ずれ補正が行われた後、用紙90にカラーのトナー画像が転写され、定着装置130によって定着が行われる。この場合、定着動作時には加圧ローラ131は本来の印字許可温度である100℃に到達しているので、定着性に問題は生じない。この例では、印字待ち時間を8秒間短縮できる。
【0067】
このように、この印字遅延フローによれば、定着装置130のウォームアップ中に印字予約動作によって受付けたジョブに関する印字遅延要因が発生したとしても、印字許可温度を適切に設定できる。これにより、生産性を落とすことなく画像形成装置100全体としての印字待ち時間を短縮できる。
【0068】
さて、これまでの例では、図2のステップS2で印字遅延要因が1つだけ検知された場合について説明した。これに対して、複数の印字遅延要因が検知された場合、全体としての遅延時間を短縮するために、それらの複数の印字遅延要因に個々に対応した制御を互いに並列に実行可能であるか否かが問題となる。図5の並列実行可否判定テーブルは、図4中に示した印字遅延要因Fa1,Fa2,…,Fa10に個々に対応した制御が互いに並列に実行可能であるか否かを記憶している。
【0069】
図5の並列実行可否判定テーブルでは、左欄の印字遅延要因Fa1,Fa2,…,Fa10に対応した制御と上欄の印字遅延要因Fa1,Fa2,…,Fa10に対応した制御とが特定する枠内に、並列実行可能であれば○印、並列実行不可であれば×印がそれぞれ付されている。この並列実行可否判定テーブルを参照すれば、例えば印字遅延要因Fa1に対応した制御と印字遅延要因Fa2に対応した制御とは並列実行不可(×印)であることが分かる。また、印字遅延要因Fa1に対応した制御と印字遅延要因Fa3に対応した制御とは並列実行可能(○印)であることが分かる。
【0070】
次に、図6の印字遅延フローを用いて、複数の印字遅延要因がある場合の制御について説明する。
【0071】
図6のステップS100で印字遅延要因の有無の確認をスタート(図2中のステップS2のスタートに相当)すると、まず、ステップS101で、検出された印字遅延要因が2つ以上あるかどうかを判断する。印字遅延要因が2つ以上ある場合(ステップS101′で「YES」)、ステップS102へ進んで、図5の並列実行可否判定テーブルを参照して、それらの印字遅延要因に対応した制御同士が互いに並列に実行可能であるか否かを判断する。それらの印字遅延要因に対応した制御同士が互いに並列に実行可能であれば(ステップS102′で「YES」)、ステップS103へ進んで、それらの印字遅延要因のうち、遅延時間の値が最も大きい要因を判定する。
【0072】
例えば、図7(a)に示すように、検出された印字遅延要因が2次転写部材クリーニングFa1とポリゴンミラー速度切替Fa3である場合、図5の並列実行可否判定テーブルを参照すれば、それらに対応した制御同士が互いに並列に実行可能であることが容易に分かる。そして、図4中の「制御時間」欄を参照すれば、それらの印字遅延要因Fa1,Fa3を解除するための制御時間はそれぞれ10秒間、3秒間であることが分かる。この例では、印字遅延要因Fa1,Fa3のうち、遅延時間(制御時間)の値が最も大きい要因は2次転写部材クリーニングFa1であると判定する。
【0073】
次に、ステップS105で、判定された印字遅延要因によって発生する遅延時間に応じて、印字許可温度Tendを初期値から新たな値(Tnew)に変更する。この例では、2次転写部材クリーニングFa1によって発生する遅延時間は10秒間であるから、印字許可温度Tendを初期値100℃から新たな値(Tnew=90℃)に変更する。この後、図2のステップS104へ進む。この例では、印字待ち時間を10秒間短縮できる。
【0074】
このように、この印字遅延フローによれば、複数の印字遅延要因に個々に対応した制御が互いに並列に実行可能である場合に、印字許可温度を適切に設定できる。これにより、生産性を落とすことなく画像形成装置100全体としての印字待ち時間を短縮できる。
【0075】
一方、検出された印字遅延要因に対応した制御同士が互いに並列に実行不可であれば(ステップS102′で「NO」)、図4中の「属性」欄を参照して、それらの印字遅延要因に対応した制御同士の間の優先順位を判定する。
【0076】
例えば、図7(b)に示すように、検出された印字遅延要因が2次転写部材クリーニングFa1と色ずれ補正Fa4である場合、図4中の「属性」欄を参照すれば、2次転写部材クリーニングFa1の方が色ずれ補正Fa4よりも優先順位が高いことが容易に分かる。そこで、図7(b)に示すように、まず2次転写部材クリーニングFa1に対応した制御(10秒間)を実行し、続いて色ずれ補正Fa4に対応した制御(8秒間)を実行することになる。この場合の全体としての遅延時間は18秒間になる。
【0077】
次に、ステップS105で、印字遅延要因によって発生する全体としての遅延時間に応じて、印字許可温度Tendを初期値から新たな値(Tnew)に変更する。この例では、2次転写部材クリーニングFa1と色ずれ補正Fa4とによって発生する全体としての遅延時間は18秒間であるから、印字許可温度Tendを初期値100℃から新たな値(Tnew=82℃)に変更する。この後、図2のステップS104へ進む。この例では、印字待ち時間を18秒間短縮できる。
【0078】
なお、図6の印字遅延フローで、検出された印字遅延要因が1つだけである場合(ステップS101′で「NO」であり、ステップS107,S107′へ進む場合)は、実質的に図2の印字遅延フローと同じ制御になる。
【0079】
なお、図8(a),(b),(c)は、ウォームアップ中の予約動作で受付けたジョブに関して、印字許可温度Tendを低く設定するのではなく、むしろ高く設定すべき場合を示している。
【0080】
例えば図8(a)の「環境による遅延制御」の上段の例(印字遅延要因Fa7に対応した制御)では、例えばウォームアップ中に印字予約動作を受付けた際に、その時の画像形成装置100の機内(環境)の温度が所定温度以下(例えば10℃以下)だった場合に、5秒間の印字遅延動作を発生させることを示している。この印字遅延動作は、積極的に5秒間遅らせて定着温度(目標温度)を上昇させることによって定着性を確保することを目的としている。したがって、印字許可温度を低く設定するのではなく(低く設定すると未定着画像を発生させてしまうおそれがある。)、印字許可温度を5秒間で上昇する分だけ高く設定し直す。この例では、の加圧ローラ131の温度上昇率は1℃/secであるから、印字許可温度Tendを105℃に設定する。こうすることで、定着性を良好に維持できる。また、ウォームアップ時間は延びてしまうが、印字許可信号が発生してから待たされることがなくなるので、画像形成装置100全体としての待ち時間はそのままで矛盾のない動作を提供できる。
【0081】
図8(a)の「環境による遅延制御」の下段の例(印字遅延要因Fa8に対応した制御)では、ウォームアップ中に印字予約動作を受付けた際に、その時の画像形成装置100の機内(環境)の絶対湿度が所定値以上だった場合に、加圧ローラ131が130℃に到達するまで印字遅延動作を発生させることを示している。
【0082】
図8(b)の「用紙種類に応じた遅延制御」の上段の例(印字遅延要因Fa9に対応した制御)では、ウォームアップ中に印字予約動作を受付けた際に、その印字ジョブが指定する用紙種類が厚紙であった場合に、3秒間の印字遅延動作を発生させることを示している。
【0083】
図8(b)の「用紙種類に応じた遅延制御」の下段の例では、ウォームアップ中に印字予約動作を受付けた際に、その印字ジョブが指定する用紙種類がOHP(オーバヘッドプロジェクタ)フィルムであった場合に、10秒間の印字遅延動作を発生させることを示している。
【0084】
図8(c)の「用紙サイズに応じた遅延制御」の例(印字遅延要因Fa10に対応した制御)では、ウォームアップ中に印字予約動作を受付けた際に、その印字ジョブが指定する用紙サイズが用紙幅216mm以上であった場合に、5秒間の印字遅延動作を発生させることを示している。
【0085】
図8(a)から図8(c)に示した場合にも印字許可温度Tendを高く設定することで、印字許可温度を適切に設定でき、したがって、定着性を良好に維持できる。
【0086】
図9は、定着装置130のウォームアップ開始から印字許可温度到達までの間、すなわちウォームアップ中に、リアルタイムで印字許可温度を変更する印字遅延制御フローを示している。
【0087】
i) まず、定着装置130のウォームアップ開始時に、ステップS401で、印字許可温度(上述のように加圧ローラ131が到達すべき温度である。以下同様。)T1を所定の初期値に設定する。
【0088】
具体的な例として、室温23℃において、用紙90がA4またはB5サイズの普通紙である場合は、まず、印字許可温度T1を100℃に設定する。
【0089】
ii) 次に、ウォームアップ開始から加圧ローラ131の温度が印字許可温度T1に到達する前に、ステップS402で、制御部200が遅延要因検知部201として働いて、画像形成装置100の動作を遅延させる印字遅延要因を検知する。
【0090】
ここで、図3中に示した印字遅延要因のうちのいずれかが検知されれば、図9中のステップS402′で印字遅延要因が「あり」と判断される。なお、ステップS402′で印字遅延要因が「なし」と判断されたときは、後述のステップS405へ進む。
【0091】
iii) 次に、ステップS403で、検出された印字遅延要因によって発生する遅延時間に応じた変更候補としての印字許可温度T2を求める。さらに、この変更候補としての印字許可温度T2が初期値T1以下であるか否か、つまりT2≦T1であるか否かを確認する。ここで、T2≦T1であれば(ステップS403′で「T」)、ステップS404へ進んで、既に設定されている印字許可温度T1を変更候補としての印字許可温度T2の値で更新する。
【0092】
例えば、今回の例では、上述のステップS402で、規定値以上の湿度変化が発生したことによって、図3中に示した印字遅延要因のうち、新たに「ATVC」Fa2が印字遅延要因として検知されたとする。既述のようにATVCのための制御時間(遅延時間)は6秒間であり、加圧ローラ131の温度上昇率は1℃/秒である。したがって、この例では、変更候補としての印字許可温度T2は94℃となる。既に設定されている印字許可温度T1は100℃である。したがって、T2≦T1であるから、ステップS404では、印字許可温度T1を変更候補としての印字許可温度T2の値94℃で更新する。
【0093】
一方、T2>T1であれば(ステップS403′で「F」)、後述のステップS405へ進む。
【0094】
iv) 次に、ステップS405で、加圧ローラ131の現在の温度Tnowが印字許可温度T1(上の例では94℃)以上に到達しているか否かを判断する。ここで、加圧ローラ131の現在の温度Tnowが印字許可温度T1以上に到達していなければ(ステップS405′で「F」)、ステップS402〜S405の処理を繰り返す。
【0095】
例えばステップS402〜S405の処理を繰り返している間に、印字予約を受け付けたことによって、図3中に示した印字遅延要因のうち、新たに「給紙口切替」Fa5が印字遅延要因として検知され、その印字予約によるジョブの印字開始前に「給紙口切替」制御を実行することが確定したとする。図5の並列実行可否判定テーブルを参照すれば、「ATVC」と「給紙口切替」に対応した制御同士が互いに並列に実行可能であることが分かる。そして、図4中の「制御時間」欄を参照すれば、それらの印字遅延要因Fa2,Fa5を解除するための制御時間はそれぞれ6秒間、1秒間であることが分かる。したがって、この場合の変更候補としての印字許可温度T2は94℃となる。T2>T1であれば、印字許可温度を更新することなく、ステップS405へ進む。
【0096】
v) このようにしてステップS402〜S405の処理を繰り返しながら、ステップS405,S405′で、加圧ローラ131の現在の温度Tnowが印字許可温度T1以上に到達していれば(ステップS405′で「T」)、印字許可信号を発生する。これにより、印字許可の条件が満たされた時点で直ちに作像動作を開始でき、画像形成装置100の生産性を高めることができる。
【0097】
このように、この印字遅延制御フローでは、定着装置130のウォームアップ中に新たな印字遅延要因が検出されたとき、その新たな印字遅延要因に応じた変更候補としての印字許可温度T2を逐次求める。そして、その求めた時点で上記変更候補としての印字許可温度T2が既に設定されている印字許可温度T1以下であるとき、上記既に設定されている印字許可温度T1を上記変更候補としての印字許可温度T2の値で更新する。
【0098】
上述のような制御を行えば、定着装置130のウォームアップ中に画像形成装置100の動作を遅延させる様々な印字遅延要因が何回発生したとしても、印字許可温度を逐次適切に設定できる。これにより、生産性を落とすことなく画像形成装置全体としての印字待ち時間を短縮できる。上の例では、印字待ち時間を6秒間短縮できる。
【0099】
なお、図4の「印字遅延要因ごとの制御」テーブルや図5の並列実行可否判定テーブルは制御部200に含まれていても良いし、制御部200とは別の記憶部に格納されていても良い。
【0100】
また、これまでの例では、用紙90がA4またはB5サイズの普通紙であるものとしたことにより、印字許可温度Tendの初期設定値を100℃にした。全ての用紙種類とサイズを対象とする場合は、印字許可温度Tendの初期設定値を例えば130℃にするのが望ましい。
【0101】
また、上述の実施形態では、シートとして主に用紙90に画像を形成するものとしたが、紙だけでなく、OHP(オーバヘッドプロジェクタ)フィルムなどの樹脂に画像を形成しても良い。
【0102】
また、上述の実施形態では、加熱用部材は一対のローラ133,134を巻回した定着ベルト132であるものとしたが、これに限られるものではない。加熱用部材は、ローラであっても良い。
【符号の説明】
【0103】
100 画像形成装置
130 定着装置
200 制御部
201 遅延要因検知部
202 印字遅延制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する印字部と、上記シートに形成された上記画像を定着させる定着部とを有し、上記定着部が所定の印字許可温度に到達したとき上記印字部の動作を開始する画像形成装置において、
上記定着部がウォームアップ開始から上記印字許可温度に到達する前に、上記画像形成装置の動作を遅延させる印字遅延要因を検知する遅延要因検知部と、
検知された上記印字遅延要因によって発生する遅延時間に応じて上記印字許可温度を可変して設定する印字遅延制御部と
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
上記遅延要因検知部が検知する印字遅延要因は、上記定着部のウォームアップ中に印字予約動作によって受付けたジョブに関する要因を含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像形成装置において、
上記遅延要因検知部が複数の印字遅延要因を検知したとき、上記印字遅延制御部は、上記複数の印字遅延要因に個々に対応した制御が互いに並列に実行可能であるか否かを判断して、上記印字許可温度の設定のために、互いに並列に実行可能である制御のうち印字待ち時間を最も長くする制御に応じた遅延時間を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1に記載の画像形成装置において、
上記遅延要因検知部が検知する印字遅延要因は、上記定着部のウォームアップ中に上記画像形成装置が置かれた環境に関する要因を含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1に記載の画像形成装置において、
上記遅延要因検知部が検知する印字遅延要因は、印字予約動作で受付けたジョブが指定する用紙種類に関する要因を含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1に記載の画像形成装置において、
上記遅延要因検知部が検知する印字遅延要因は、印字予約動作で受付けたジョブが指定する用紙サイズに関する要因を含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1に記載の画像形成装置において、
上記遅延要因検知部は、上記定着部のウォームアップ開始から上記印字許可温度到達までの間に生じる印字遅延要因を逐次検出し、
上記印字遅延制御部は、上記定着部のウォームアップ開始から上記印字許可温度到達までの間に新たな印字遅延要因が検出されたとき、その新たな印字遅延要因に応じた変更候補としての印字許可温度を逐次求め、その求めた時点で上記変更候補としての印字許可温度が既に設定されている印字許可温度以下であるとき、上記既に設定されている印字許可温度を上記変更候補としての印字許可温度の値で更新することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7に記載の画像形成装置において、
上記更新後の印字許可温度が上記更新時点の上記定着部の温度以下になったとき、直ちに上記印字部の動作を開始することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−217296(P2010−217296A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−61333(P2009−61333)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】