説明

画像形成装置

【課題】 補助電力装置の省エネルギーと、オフモードからの立ち上がり時において必要な最低限の電力量の確保を両立できる画像形成装置の提供。
【解決手段】 補助電源装置である蓄電器37と、前記蓄電器37の蓄電量を検知する蓄電量検知装置39と、前記蓄電器37に充電をする充電器38と、前記充電器38の充電動作を制御する充電制御装置20と、を備えた画像形成装置であって、稼働待機中においては、前記充電制御装置20は、前記蓄電量検知装置39により検知した蓄電量が所定値以下になったときに、前記蓄電器37への充電動作を開始させることを特徴とする画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機等の画像形成装置は、普通紙やOHP等の記録媒体上に画像を形成するものであるが、事務用の画像形成装置としては、画像形成の高速性や画像品質、コスト等の面から電子写真方式が多く採用されている。電子写真方式は、記録媒体上にトナー像を形成し、熱と圧力で記録媒体上のトナー画像を定着させる方式である。定着方式としては、安全性等の面から現在ヒートローラ方式が最も多く採用されている。ヒートローラ方式は、ハロゲンヒータ等の発熱体により加熱する加熱ローラと、加熱ローラに対向配置する加圧ローラを圧接してニップ部と称される相互圧接部を形成し、このニップ部にトナー像が転写された記録媒体を通して加熱、加圧するもので、これによりトナー像を記録媒体に定着させている。この加熱装置には、大きな電力が必要である。特に、稼働開始時や画像形成待機後の運転再開時(稼働復帰時)に加熱装置の負荷が大きくなる。
【0003】
一方、最近は、環境問題が重要となり、複写機やプリンタ装置等の画像形成装置も省電力化が進んでいる。定着装置などの加熱部を備えた画像形成装置においては、省エネ化のために、非通紙時(例:画像形成待機(オフモード)時)において定着装置の加熱部温度(加熱部としては、定着ローラや定着ベルト等が挙げられる。)を加熱しないことが有効である。ただし、定着装置を加熱しないで加熱部温度を低下させると、画像形成開始のために定着装置を使用するときには、再び加熱部を一定温度まで昇温しなければならず、その間、画像形成操作を待機せねばならない。結果として装置が使用可能状態となるまでに時間を要するため、使い勝手は悪化する。
【0004】
これを回避するために、補助電源装置からの補助電力供給による加熱部昇温時間の短縮が考えられる。この補助電源装置からの補助電力供給を加熱部昇温時(装置立ち上げ時や、画像形成待機時(オフモード)からの復帰時)に有効活用する画像形成装置が知られている。この画像形成装置において、補助電源装置への充電を開始するタイミングは、主(外部)電源から加熱部へ電力供給が行われていないときである。補助電源装置への充電を、主電源からの加熱部へ電力供給と同時に行うと、補助電源装置への充電と加熱部へ電力供給とのため、過大な供給電力量が必要になり現実的ではない。一般的には、加熱のために大電力を必要とするのは、オフモードからの定着装置の加熱昇温時が多いので、補助電源装置への充電は、オフモード時に行うことにより、オフモードからの復帰時に補助電力装置から大電力を供給できるようにしている。
【0005】
上述のように、画像形成装置における補助電源の目的のひとつは、オフモードからの稼働再開や場合によっては電源オフからの立ち上げ時において、定着装置の加熱時間を短縮し、早期に画像形成可能な状態にすることである。このため、オフモード時における補助電源装置の充電開始は、装置がオフモードに移行することをトリガーとして実施されている。
【0006】
補助電源装置は、定着装置の昇温時等に短時間で大電力を供給する必要があるため、コンデンサ(キャパシタ)が用いられる場合が多い。コンデンサは、蓄電時には自己放電による放電ロスが避けられず、特に、満充電(コンデンサ容量いっぱいの充電)に近いほど、すなわち充電電圧が高いときほど放電電力量が大きい性質がある。一方で、省エネルギーの観点からは、補助電源装置の自己放電等による電力ロスを最小限に抑えることが要求されており、このような課題を解決するために、いくつかの提案がなされている。
【0007】
特許文献1には、補助電力装置への充電電力の無駄を省いた画像形成装置が提案されている。特許文献1に記載されている画像形成装置においては、オフモード開始後に一定のアイドル期間を設け、このアイドル期間が終了してから補助電力装置への充電を行っている。アイドル期間は、装置の省電力モード移行時を目標時期(基準時期)として、基準時期に補助電力装置への充電が完了するようにアイドル期間を定めている。これにより、不必要に早い時期から補助電力装置に充電することがなくなるとしている。
【0008】
特許文献2においても、補助電力装置への充電電力の無駄を省いた画像形成装置が提案されている。特許文献2に記載されている画像形成装置においては、オフモード開始後、次に復帰運転が開始される時期を目標にして、復帰運転の開始時に補助電力装置の必要電力量が充電(満充電)されるように充電開始時期を決めている。この画像形成装置においては、補助電力装置への充電開始時期は、補助電力装置の残電力量、加熱部温度、ジョブ履歴、環境温度などに基づいて設定されている。この画像形成装置においては、オフモードからのジョブ復帰時に、補助電力装置への充電が完了するので、オフモード時の補助電力装置からの自然放電による電力の無駄が非常に少なくできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のように、補助電力装置への充電電力の無駄を省く工夫をした画像形成装置が提案されているが、特許文献1、2に記載された画像形成装置においては、オフモード後の再復帰の時期、又は省電力モード移行時期が判っている場合には有効な省エネ効果と装置立ち上がり時間の短縮が両立できる。なお、特許文献1に記載の画像形成装置においては、省電力モードから再復帰して稼働するまでの時間がそれほど長くないことが前提であり、装置復帰時期が予想以上に遅い場合は省エネルギー効果が期待できなかったり、復帰運転における立ち上がり時間が長くなったりする恐れがある。このように、特許文献1に記載された画像形成装置においては、オフモード移行後に次回の復帰時期が予測できないときや、長時間装置を使用しない場合には、従来の画像形成装置と同様、余分な電力を充電させたまま装置を放置することになるため、補助電源装置の自然放電などによる電力消費の無駄を発生させることになる。
【0010】
特許文献2に記載の画像形成装置においては、キャパシタの残電力量や負荷対象である定着装置の温度などを基にして充電時間の短縮を図っているが、オフモードから再復帰して稼働する時間が判っていないと、十分な効果が発揮できない。また、場合によっては、一旦、補助電力装置に満充電しても、長時間の自然放電によって補助電力装置に必要とされる電力量が確保できなくなることもある。
【0011】
本発明の目的は、上記課題を踏まえ、補助電力装置の省エネルギーと、オフモードからの立ち上がり時において必要な最低限の電力量の確保を両立できる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、補助電源装置である蓄電器と、前記蓄電器の蓄電量を検知する蓄電量検知装置と、前記蓄電器に充電をする充電器と、前記充電器の充電動作を制御する充電制御装置と、を備えた画像形成装置であって、稼働待機中においては、前記充電制御装置は、前記蓄電量検知装置により検知した蓄電量が所定値以下になったときに、前記充電器に前記蓄電器への充電動作を開始させることを特徴とする画像形成装置である。
【0013】
好ましい本発明は、稼働待機中においては、前記充電制御装置への電力供給を前記蓄電器から行うことを特徴とする前記画像形成装置である。
【0014】
好ましい本発明は、稼働待機中においては、前記蓄電量検知装置への電力供給を前記蓄電器から行うことを特徴とする前記画像形成装置である。
【0015】
好ましい本発明は、前記蓄電量の所定値は、稼働開始時に前記蓄電器から供給する最低必要電力量であることを特徴とする前記画像形成装置である。
【0016】
好ましい本発明は、前記蓄電器から電力供給を受ける定着装置と、前記定着装置の温度を検知する温度検知装置とを備え、前記定着装置の温度に対応して前記蓄電量の所定値を変更することを特徴とする前記画像形成装置である。
【0017】
好ましい本発明は、稼働待機中においては、前記温度検知装置への電力供給を前記蓄電器から行うことを特徴とする前記画像形成装置である。
【0018】
好ましい本発明は、前記蓄電量検知装置は、前記蓄電器の端子間電圧を検出する電圧センサと、前記電圧センサで検出した電圧を基準電圧と比較するコンパレータとを備えていることを特徴とする前記画像形成装置である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、補助電力装置の省エネルギーと、オフモードからの立ち上がり時において必要な最低限の電力量の確保を両立できる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る画像形成装置の実施形態である複合機能複写機の概略図である。
【図2】図1に示した複合機能複写機のプリンタ部の構成図である。
【図3】図2に示したプリンタ部の電源系統のブロック図である。
【図4】図2に示したプリンタ部の制御系統のブロック図である。
【図5】キャパシタへの充電とキャパシタ電圧の推移を示すグラフである。
【図6】キャパシタへの充電動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る画像形成装置を、実施形態例である複合機能複写機により詳細に説明する。
図1に、本発明にかかる画像形成装置の実施形態例のフルカラーデジタル複合機能複写機の外観を示す。このフルカラー複合機能複写機は、自動原稿送り装置(ADF)120と、操作ボード10と、カラースキャナ100と、カラープリンタ200の各ユニットで構成されている。なお、操作ボード10と、ADF120と、カラースキャナ100は、カラープリンタ200から分離可能なユニットタイプである。カラースキャナ100は、動力機器ドライバやセンサ入力およびコントローラを有する制御ボードを有して、エンジンコントローラと、直接または間接に通信を行いタイミング制御されて原稿画像の読取りを行う。
【0022】
図2に、この実施形態のフルカラー複合機能複写機のカラープリンタ200部分の内部構成を示す。この実施形態におけるカラープリンタ200は、レーザプリンタである。このレーザプリンタは、マゼンダ(M),シアン(C),イエロー(Y)および黒(ブラック:K)の各色の画像を形成するための4組のトナー像形成ユニットa〜dが、一次転写ベルト208の移動方向(図中の左から右方向)に沿ってこの順に配置されている。即ち、このレーザプリンタ200は、4連ドラム方式(タンデム方式)のフルカラー画像形成装置である。
【0023】
感光体201は、矢印方向に回転可能に支持され、その外周部には、順に帯電装置202、現像装置204、除電装置、及びクリーニング装置が配置されている。帯電装置202と現像装置204の間には、露光装置203から発せられる光情報(画像情報)の走査スペースが確保されている。感光体201は4色の色に対応して4個(a,b,c,d)あるが、それぞれ周囲に設けられる画像形成用の装置(部品)構成は同じであり、それぞれの現像装置204が扱う色材(トナー)の色が異なるだけである。
【0024】
露光装置203は公知のレーザ方式で、フルカラー画像形成に対応した光情報を、帯電装置202により一様に帯電された感光体201表面に照射して潜像を形成する。露光装置203は、レーザ方式に代えてLEDアレイと結像手段から成る露光装置を採用してもよい。
【0025】
それぞれの感光体201は、ニップ部において一次転写ベルト208に接しており、ニップ部でトナー像を一次転写ベルト208に転写する。なお、この実施形態において、感光体201はドラム状であるが、ベルト状の感光体も採用可能である。一次転写ベルト208は支持ローラおよび駆動ローラ間に支持、張架されていて、矢印方向に回転する。一次転写ベルト208の裏側(ループの内側)には、4個の一次転写ローラがそれぞれの感光体201に対向するように配置されて、感光体201との間でニップ部を形成している。ベルトループの外側には、一次転写ベルト用のベルトクリーニング装置が配備されており、ベルトクリーニング装置は、一次転写ベルト208から記録媒体(用紙)又は二次転写ベルト215にトナー像を転写した後に、その表面に残留する不要のトナーを拭い取る。
【0026】
記録媒体(用紙)は、図2の下方の給紙カセット209,210に収納されており、最上の用紙が給紙ローラで1枚ずつ、複数の用紙ガイドを経てレジストローラ233に搬送される。二次転写ベルト215の上方に、定着装置214、排紙ガイド224、排紙ローラ225、排紙スタック226が配備されている。一次転写ベルト208の上方で、排紙スタック226の下方には、補給用のトナーが収納できるトナー収納部227が設けてある。トナーの色はマゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの四色があり、カートリッジの形態にしてある。トナーは、粉体ポンプ等により対応する色の現像装置204に適宜補給される。
【0027】
ここで両面印刷をするときの、画像形成装置の各部の動作を説明する。まず感光体201による、作像が行われる。すなわち、露光装置203の作動により、不図示のLD光源からの光は、不図示の光学部品を経て、帯電装置202で一様に帯電された感光体201のうち、作像ユニットa(例えば、マゼンタの作像ユニット)の感光体上に至り、書き込み情報(色に応じた情報)に対応した潜像を形成する。感光体201上の潜像は現像装置204で現像され、トナーによる顕像(トナー像)が感光体201の表面に形成され保持される。このトナー像(マゼンタ)は、一次転写ローラにより、感光体201と同期して移動する一次転写ベルト208の表面に転写される。転写を終えた感光体201の表面は、残存するトナーがクリーニング装置でクリーニングされ、除電装置で除電され次の作像サイクルに備える。
【0028】
一次転写ベルト208は、表面に転写されたトナー像を坦持し、矢印の方向に回転移動する。一方、作像ユニットbの感光体201には、別の色(例えば、シアン)に対応する潜像が書き込まれ、対応する色のトナーで現像され顕像となる。この像は、すでに一次転写ベルト208に転写されている前の色(マゼンタ)の顕像に重ねて転写される。同様にして、一次転写ベルト208上に4個の作像ユニットから4色のトナー像が重ねて転写される。なお、白黒印刷をする場合は、単色(ブラック)のみのトナー像を形成する場合もある。
【0029】
一次転写ベルト208と同期して二次転写ベルト215は、矢印方向(反時計回り方向)にさらに回転移動して二次転写ベルト215と接触し、一次転写ベルト208表面に作られたトナー像が、二次転写ローラの作用で二次転写ベルト215の表面に転写される。いわゆるタンデム形式である4個の作像ユニットa〜dの各感光体201上で画像が形成されながら、一次、二次転写ベルト208,215が移動し、作像が進められるので、フルカラー画像の作像時間が短縮できる。
【0030】
一次転写ベルト208が、所定の位置まで移動すると、用紙の別の面に作成されるべきトナー画像が、前述と同様の工程で再度感光体201により作像され、用紙の給紙が開始される。給紙カセット209又は210内の最上部にある用紙が引き出され、レジストローラ233の位置まで搬送される。用紙は、レジストローラ233でタイミングを合わせて一次転写ベルト208と二次転写ベルト215の間(ニップ部)に送られ、二次転写ローラにより一次転写ベルト208表面のトナー像が、用紙に転写される。更に用紙は、上方に搬送され、二次転写ベルト215表面のトナー像が、チャージャにより用紙のもう一方の面に転写される。転写に際して、用紙は画像の位置が正常になるよう、タイミングがとられて搬送される。
【0031】
二次転写ベルト215は、トナー像を用紙に転写した後、ブラシローラ,回収ローラ、ブレード等を備えたベルトクリーニング装置で、残留する不要のトナーや紙粉を除去される。ベルトクリーニング装置のブラシローラは、支点を中心として揺動可能で、二次転写ベルト215がトナー像を担持しているときは、二次転写ベルト215の表面から離れた状態にあり、クリーニングが必要なときには、二次転写ベルト215に接触させて、残留トナーを除去する。除去された不要トナーは、トナー収納部に集められ、廃棄されたり、再使用されたりする。
【0032】
両面にトナー像が転写された用紙は、定着装置214に送られ、用紙上(両面)のトナー像が一度に溶融、定着され、ガイド224を経て排紙ローラ225により、本体フレーム上部の排紙スタック226に排出される。以上が、両面印刷モードの作像プロセスである。
【0033】
図2に示すように、ガイド224、排紙ローラ225、排紙スタック226を配置した場合、両面画像のうち後からトナー像が形成され、転写された面(頁)、すなわち一次転写ベルト208から直接用紙に転写された画像面が下面となって、排紙スタック226に載置されるから、頁揃えをしておくには2頁目の画像を先に作成し、二次転写ベルト215にそのトナー像を保持し、1頁目の画像を一次転写ベルト208から用紙に直接転写する。一次転写ベルト208から直接用紙に転写される画像は、感光体表面で正像にし、二次転写ベルト215から用紙に転写されるトナー像は、感光体表面で逆像(鏡像)になるよう露光される。このような頁揃えのための作像順、ならびに、正、逆像(鏡像)に切り換える画像処理も、コントローラ上でのメモリに対する画像データの読書き制御によって行っている。
【0034】
片面印刷の場合には、二次転写ベルト215による片面転写モードと一次転写ベルト208による片面転写モードの2つの方法が可能であり、前者の二次転写ベルト215を用いる片面転写モードを設定した場合には、一次転写ベルト208に3色又は4色重ね、もしくは黒単色で形成された顕像が二次転写ベルト215に転写され、その後用紙の片面に転写される。用紙の他面には画像転写はない。この場合、排紙スタック226に排出された印刷済用紙の上面に印刷画面がある。後者の一次転写ベルト208を用いる片面転写モードを設定した場合には、一次転写ベルト208に3色又は4色重ね、もしくは黒単色で形成された顕像が、二次転写ベルト215には転写されずに、一次転写ベルト208から直接用紙の片面に転写される。用紙の他面には画像転写はない。この場合は、排紙スタック226に排出された印刷済用紙の下面に印刷画面がある。このようにすれば、頁順に印刷用紙が揃えられる。
【0035】
図3に、この実施形態のカラープリンタの電源装置の構成を示す。主電源スイッチ28のオンにより、外部AC電源(例えば、商用AC電源)27から主電源29及び補助電源32に電力が供給される。主電源29は、AC制御回路である定着電源31および定電圧電源(AC/DCコンバータ)30に分かれる。定着電源31は、入出力制御部20から与えられる電力指示信号で指定される電力範囲内で、温度検出センサ70から与えられる定着温度信号を使用して定着器温度をフィードバック制御する。
【0036】
主電源29の、第1の電源である定電圧電源30は、ブリッジ整流器80、絶縁型スイッチング回路81a,81b、および整流平滑回路82a,82bによりAC電源をDC電源に変換する。そして、絶縁型誤差増幅器83a,83bを介してPWMコントローラ84a,84bに与えられる電圧検出信号を使用して、定電圧フィードバック制御で5Vと24Vの2系統のDC定電圧電源とする。
【0037】
このとき、24V系の電圧検出信号(フィードバック信号)は、負荷電流検出器33の後部より与える構成とする。下記で詳述するが、負荷電流検出器33は、電源ラインに数mΩの抵抗をシリーズ接続しているため、電圧検出信号(フィードバック信号)取り込み部の後部に負荷電流検出器33を設けた場合には、負荷電流の変化により24V系電源の電圧が変動してしまう。例えば、負荷電流検出器33の電流検出抵抗に10mΩの抵抗を接続し、負荷が5Aから15Aに変化した場合には、0.1V(10mΩ×(15A−5A))の変動が発生することとなる。さらに主電源29の外部に負荷電流検出器33の電流検出抵抗を付加した場合には、配線抵抗の影響により、これ以上の変動が発生することとなる。以上の電流検出抵抗の付加によるDC負荷供給電源電圧の変動を防止するため、抵抗を介した後の電圧をフィードバック制御する構成としている。
【0038】
補助電源32は、本実施形態では、キャパシタ充電器38、キャパシタ充電器38によって充電されるキャパシタ(蓄電器、コンデンサ)37、及びキャパシタ電力を24V系負荷35への給電ラインに定電流出力する第2電源装置である定電流電源26で構成される。
【0039】
補助電源32を24V系負荷35に給電しているのは、定着加熱装置36への供給電力量の増大分を補助電源が負担する必要があり、この負担させようとしている電力量以上の消費がある電源系統である24V系負荷35に補助電源32を供給するためである。このため本実施形態では、定着加熱装置36への供給電力量の増大分(例えば300W)を考慮し、5V系負荷34(例えば100W)より消費電力量が大きい24V系負荷35(例えば500W)に補助電源32を給電する構成としている。定着加熱装置36への供給電力量の供給分が小さい場合や、5V系負荷34の消費電力量が大きい場合には、5V系負荷34に補助電源32を給電させる構成とすることも可能である。
【0040】
負荷電流検出器33は、定電圧電源30(第1電源)および定電流電源26(第2電源)が同時に供給する電流値の和である24V系負荷電流値を検出して電流検出信号を、電流指示器64に与える。また、電流指示器64には、入出力制御部20が、定電圧電源30の出力電流上限値を指定する上限指示データMCDを与える。電流指示器64は24V系負荷電流値より上限指示値を減算した値(=定電流電源26の出力電流指示値)を示す電流指示信号を定電流電源26に与える。定電流電源26は、該電流指示信号が指示する電流値を目標値とする定電流制御によって、キャパシタ37の電力を24V系負荷ラインに定電流給電する。
【0041】
キャパシタ充電器38は、キャパシタ(蓄電器)37の充電制御装置である入出力制御部20からのON/OFF指示により、外部AC電源27をDC電源に変換し、キャパシタ37へ電力を蓄積させる。補助電源32のキャパシタ37は電気二重層コンデンサ等の大容量キャパシタで構成されている。電気二重層コンデンサ以外にも、いろいろと選択可能であるが、本実施形態では、短時間での充放電が可能で、長寿命である電気二重層コンデンサを用いた。電気二重層コンデンサの特徴として放電するに従い端子電圧(キャパシタ電圧)が低くなってしまうため、定電流電源26をキャパシタ37の後に配置することにより、キャパシタ電圧の変動にもかかわらず所用電流値を出力するようにしている。
【0042】
図4は、この実施形態のカラープリンタ200の制御系統の入出力制御部20の内部構成を表すブロック図である。入出力制御部20は、カラープリンタのエンジン制御部からの制御命令ならびに、ROM22に格納されたプログラムや不揮発性RAM24に格納されたプログラムやデータに従って、各種のセンサおよび負荷に対する入出力制御および電源装置の制御を行うCPU21と、CPU21を動作させるためのプログラムを格納するROM22と、CPU21のワークメモリとして使用されるRAM23と、各負荷の動作状態や各動作モードにおける消費電力データを格納した消費電力テーブルや各動作モードにおける印刷処理に要する時間データを格納した印刷処理時間テーブルなどを記憶する不揮発性RAM24と、フルカラーデジタル複合機能複写機MF1の各センサ26の入力読み込み、および負荷35の個々の駆動を制御するI/O制御部25を備えている。
【0043】
入出力制御部20は、エンジン制御部の画像読み込み、印刷、複写等のプロセス制御、シーケンス制御に伴う指示に従って、センサおよび負荷への入出力制御および電源制御を行っており、各動作モードに応じてシーケンシャルに各電源を作動させる。
【0044】
入出力制御部20は、キャパシタ充電器38によるキャパシタ37への充電の制御を行う充電制御装置でもあり、キャパシタ37の充電をキャパシタ充電器38に指示したり、装置の立ち上げ時、及び立ち上げ後所定の時間までの期間、キャパシタ37に蓄積された電力から、24V系負荷35への給電を指示する。そして、外部AC電源27からの供給電力による定着加熱装置36の加熱に加えて、キャパシタ37に蓄積された電力によって定着加熱装置36の昇温速度を速める。なお、このカラープリンタ200は、外部からの電源供給を遮断するオフモード(印刷待機モード)への移行時には、キャパシタ37からの電力供給により入出力制御部20を作動させたり、温度センサ70、71の作動やキャパシタ37の電圧検知を行い、蓄電量や定着温度等の条件によりキャパシタ充電器38の充電動作を作動させたりする。
【0045】
図5は、この実施形態における電気二重層コンデンサタイプの蓄電器(キャパシタ37)の特性について説明する図である。通常、キャパシタ37は、何も接続していない状態においても自己放電現象により蓄積電力を消費していくという特性がある。自己放電現象では、電圧値が時間の経過とともにほぼ直線的に低くなっていくため、蓄電量が多い(電圧が高い)ときのほうが、単位時間あたりの自己放電による放電電力量(放電エネルギー量)が大きくなる。
【0046】
図5に従って説明すれば、装置の動作モードが終了してオフモードになり(時間t)、キャパシタ電圧がvであるとき、従来の画像形成装置であれば、すぐに充電動作が始まり、時間tにおいてキャパシタは十分な電力量を充電(満充電)され電圧vmaxとなる。その後、時間tから一定時間の間(t〜t)に電圧vmaxの状態で自己放電が起こると、電圧がv低下する(図5の破線参照)。この場合、放電電力量は、ほぼvmax×vとなる。一方、充電をしないで電圧vのままでおなじ一定時間(t〜t)経過したときの、自己放電による電圧低下もvである。この場合の放電電力量は、ほぼv×vとなり、自己放電量はvmaxとvの比に比例して小さくなる。それ故、キャパシタにおいては、蓄電量を出来るだけ少なく、すなわち電圧を低くしておくことが、放電電力量を低減すること(省エネルギー)につながる。
【0047】
本実施形態の画像形成装置においては、キャパシタ37の蓄電量検知装置を備え、オフモードにおけるキャパシタ37の蓄電量が必要最少量になったときに充電を開始する。蓄電量検知装置は、電圧検出器39であり、電圧を測定して蓄電量を算出する。電圧検出器39は、電圧センサと、電圧センサで検出した電圧と基準電圧とを比較するコンパレータを備えており、所定の基準電圧vminになったら、入出力制御部20からの指示によりキャパシタ充電器38がキャパシタ37の充電を開始する。
【0048】
オフモードにおいては、本実施形態の画像形成装置における入出力制御部20、電圧検出器39、温度検出センサ70、71を始めとする制御装置やセンサ類は、キャパシタ37からの電力供給で作動できる。このときは、主電源スイッチ28はオンになっているが、主電源29は作動していない。
【0049】
充電後のキャパシタ37の蓄電量は、画像形成装置におけるキャパシタ37が必要とする最大の電力量に対応する電圧vmaxに制御することが好ましい。電圧vmaxは、画像形成装置がオプション装置などを装備した際に、出来るだけ早くオフモードからオンモードへ復帰できる電力量を蓄積しているときの電圧であり、通常はキャパシタ37の最大蓄電量に対応している。また、基準電圧vminは、この画像形成装置におけるキャパシタ37が必要とする最少の電力量に対応する電圧で、画像形成装置の仕様、ユーザーの許容できる最長立ち上がり時間などから求められる蓄積電力量に対応する電圧である。
【0050】
この画像形成装置においては、キャパシタ37の蓄積電力量に対応する電圧が、常にvminとvmaxの間にあり、装置としての必要最小限の電力を保持するとともに、最大必要以上の電力を蓄積することによる放電ロスをなくすことが出来る。また、vminとvmaxは、ユーザーの指示により、変更できるものであり、省エネルギーと装置復帰動作の短縮との兼ね合いをユーザー毎、又は装置の置かれた状況に応じて調整することが出来る。
【0051】
なお、オフモードにおいては、充電制御装置を兼ねる入出力制御部20,蓄電量検知装置である電圧検出器39、定着装置の温度検出センサ70などをキャパシタ37の蓄積電力により作動させている。この為、キャパシタ37は、自然放電以上に早く電圧降下する。この為、装置が長期間オフモードで放置されている場合は、キャパシタ37への充電操作は、キャパシタ37の電圧がvminに達する度に行われてもよい。
【0052】
定着装置214は、オフモード移行直後は、高温を保持しており、温度低下までには時間を要する。この温度低下までの時間における復帰動作を始める場合においては、補助電源を使用しなくても、あるいは少量の補助電力で装置の早い立ち上がりが可能である。この場合、キャパシタ37の必要電力量は、0又は少量でよい。この時期に対応するキャパシタ37の蓄積電力はほとんど不用になる。定量的に基準電圧vminとして算出するには、定着装置214の加熱部の温度を測定している温度検知センサ70の温度を基に、定着装置214の必要補助電力量から算出することが出来る。同様に、定着装置214の加熱部の温度に対応してvmaxについても変更して省エネルギー効果を上げることが出来る。
【0053】
定着装置214の冷却速度が想定される場合は、定着装置が印刷動作モード(オンモード)に変更された時からの時間から加熱部の温度を算出して、上記のように定着装置214の必要補助電力量からvmin、vmaxを算出することが出来る。この場合、環境温度(通常、室温)の影響を勘案して、温度検出センサ71により環境温度を測定しておき、環境温度を修正パラメータとして利用することも出来る。
【0054】
さらに、オフモードに切り替わる前の印刷履歴を考慮してvmin、vmaxを算出することも出来る。すなわち、オフモード前に長時間高速印刷を継続していると、定着装置の消費熱量が増大し、印刷中に定着電源31からの供給電力では加熱不足となることがある。そのような場合には、印刷動作中(オンモード)であっても、補助電源からも電力供給を行い定着装置の温度を正常に保っている。そうすると、補助電源のキャパシタ37の蓄電量は少なくなるので、このような消費電力量を勘案して、vmin、vmaxを算出することが好ましい。
【0055】
温度検出センサ70は、構成簡素化のため、定着装置の温度制御時に使用している温度検出センサと兼用することが出来るが、定着装置の保熱度を正確に測定できる位置に別途設けてもよい。このようにすれば、定着装置の温度制御とは独立して定着装置の温度検出が出来るので、低下温度検出の精密化、延いては充電制御の精密化を行うことができる。
【0056】
なお、上記のvmin、vmaxを算出する各種のパラメータは、それぞれひとつだけでvmin、vmax決定に使用するのではなく、これらのパラメータを組み合わせてvmin、vmaxを算出することも出来る。画像形成装置の設置された環境、装置の使用パターン、印刷待ち時間と省エネルギーの必要性の兼ね合いなどを考慮して、最適に組み合わせることにより、装置の使い勝手と省エネルギー効果は向上する。
【0057】
図6を参照にして、キャパシタ37への充電動作を説明する。図6は、本実施形態におけるキャパシタへの充電動作を示すフローチャートである。装置の印刷動作が終了し、オフモード(スリープモード)へ移行すると、温度検出センサ70により定着装置の加熱部の温度を検出する(ステップS1)。そして、電圧検出器39により、キャパシタ37の電圧を検出する(ステップS2)。また、温度検出センサ71により外部環境温度(室温)を測定する。(ステップS3)。さらに、オフモードになってからのキャパシタ37の負荷状態を負荷電流検出器33で確認する(ステップS4)。この充電動作の制御においては、上記の定着装置の加熱部の温度、キャパシタ37の電圧(蓄電量に対応する。)、外部環境温度、及びキャパシタ37の負荷の4つのパラメータを使用している。なお、パラメータの種類、使用個数、及び検出順については、上述のパターンに限るものではない。
【0058】
入出力制御部20に記憶させておいたキャパシタ37の必要最少電圧(所定の基準電圧)vmin、とキャパシタ37の必要最大電圧vmaxと、上述のパラメータを使用して、充電開始タイミングを算出し、それまでの時間をタイマ設定する(ステップS5)。なお、この場合、電圧検出器39により検出したキャパシタ37の電圧が基準電圧vmin以下であれば、タイマの設定時間は0である。
【0059】
タイマ作動中に装置への印刷動作復帰(オンモード)要求があれば(ステップS6のYES)、タイマは停止して、装置の復帰処理を行い(ステップS14)、充電動作は一旦終了する。このとき、キャパシタ37の電圧がvmax以下であれば、キャパシタ37からの電力供給は必要性の高いものから順に行う。さらに、キャパシタ37の電圧がvmaxであれば、装置に付加したオプション装置などにも、キャパシタ37からの電力供給を行い、最も効率よく装置の立ち上げを終了することが出来る。
【0060】
印刷動作復帰要求がなく(ステップS6のNO)、オフモードのまま、タイマの設定時間が経過する(ステップS7のYES)と、キャパシタ37への充電が開始される(ステップS8)。充電中に装置への印刷動作復帰(オンモード)要求があれば(ステップS9のYES)、充電停止して、装置の復帰処理を行い(ステップS14)、充電動作は一旦終了する。このとき、キャパシタ37の電圧が基準電圧vmax以下であれば、キャパシタ37からの電力供給は必要性の高いものから順に行う。さらに、キャパシタ37の電圧が基準電圧vmaxであれば、装置に付加したオプション装置などにも、キャパシタ37からの電力供給を行い、最も効率よく装置の立ち上げを終了することが出来る。また、キャパシタ37の電圧が基準電圧vmin以下であれば、補助電源は使用しないで復帰処理を行う。
【0061】
復帰要求がなくオフモードのまま(ステップS9のNO)、キャパシタ37の電圧がvmaxになれば、充電は完了し(ステップS10のYES)充電動作が終了する。この状態であれば、何時でも最適な状態で装置復帰することができる。なお、長期間のオフモードにより、自然放電量等が多くなり、電圧が基準電圧vmin以下になれば、再度充電動作を繰り返してもよい。
【符号の説明】
【0062】
10 操作ボード
20 入出力制御部(充電制御装置)
21 CPU
22 ROM
23 RAM
24 不揮発性RAM
25 I/O制御部
26 定電流電源装置
27 外部AC電源(商用AC電源)
28 主電源スイッチ
29 主電源
30 低電圧電源
31 定着電源
32 補助電源
33 負荷電流検出器
34 5V系負荷
35 24V系負荷
36 定着加熱装置
37 キャパシタ(蓄電器)
38 キャパシタ充電器
39 電圧検出器
64 電流指示器
70 温度検出センサ1
71 温度検出センサ2
80 ブリッジ整流器
81a,b 絶縁型スイッチング
82a,b 整流平滑器
83a,b 絶縁型誤差増幅器
84a,b PWMコントローラ
100 カラースキャナ
120 自動原稿送り装置(ADF)
200 カラープリンタ
201 感光体
202 帯電装置
203 露光装置
204 現像装置
208 一次転写ベルト
209 給紙カセット
210 給紙カセット
214 定着装置
215 二次転写ベルト
223 加熱ベルト
224 排紙ガイド
225 排紙ローラ
226 排紙スタック
227 トナー収容部
233 レジストローラ
516 センサ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0063】
【特許文献1】特開2008−58684号公報
【特許文献2】特開2007−78909号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
補助電源装置である蓄電器と、
前記蓄電器の蓄電量を検知する蓄電量検知装置と、
前記蓄電器に充電をする充電器と、
前記充電器の充電動作を制御する充電制御装置と、
を備えた画像形成装置であって、
稼働待機中においては、
前記充電制御装置は、前記蓄電量検知装置により検知した蓄電量が所定値以下になったときに、前記充電器に前記蓄電器への充電動作を開始させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
稼働待機中においては、前記充電制御装置への電力供給を前記蓄電器から行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
稼働待機中においては、前記蓄電量検知装置への電力供給を前記蓄電器から行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記蓄電量の所定値は、稼働開始時に前記蓄電器から供給する最低必要電力量であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記蓄電器から電力供給を受ける定着装置と、
前記定着装置の温度を検知する温度検知装置とを備え、
前記定着装置の温度に対応して前記蓄電量の所定値を変更することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
稼働待機中においては、前記温度検知装置への電力供給を前記蓄電器から行うことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記蓄電量検知装置は、前記蓄電器の端子間電圧を検出する電圧センサと、前記電圧センサで検出した電圧を基準電圧と比較するコンパレータとを備えていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−217603(P2010−217603A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−65293(P2009−65293)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】