画像形成装置
【課題】中間転写体の耐久性や転写条件を損なうことなく、中間転写体とこれに近接する部材との間で放電やトナー飛散が発生するような電界の発生を抑制することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】トナー像を担持する感光体11と、感光体11に接触し所定の方向に移動する中間転写ベルト21と、感光体11上のトナー像を中間転写ベルト21に転写する一次転写ローラ26と、中間転写ベルト21上のトナー像をシートsに転写する二次転写装置27とを備える画像形成装置において、中間転写ベルト21のトナー保持面の裏面に対し当接又は離間することが選択可能な状態で接地された電極部材60を備える。
【解決手段】トナー像を担持する感光体11と、感光体11に接触し所定の方向に移動する中間転写ベルト21と、感光体11上のトナー像を中間転写ベルト21に転写する一次転写ローラ26と、中間転写ベルト21上のトナー像をシートsに転写する二次転写装置27とを備える画像形成装置において、中間転写ベルト21のトナー保持面の裏面に対し当接又は離間することが選択可能な状態で接地された電極部材60を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の複写機、プリンタ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、像担持体上に形成されたトナー像を中間転写体に一次転写し、中間転写体上に順次保持された複数色のフルカラートナー像を、用紙等の記録媒体上に一括して二次転写する、所謂中間転写方式の画像形成装置が実用化されている。このなかでも複数の像担持体を並べたタンデム方式は、より短い時間でフルカラー像を記録媒体に転写することができるため、特に広く用いられている。このようなタンデム型中間転写方式においては、装置の調整動作中に像担持体から中間転写体たる中間転写ベルトや転写ローラを退避させたり、単色での作像時には他色の像担持体から中間転写ベルトを退避させたりする接離機構を有するものが多くある。これは、不要に像担持体と中間転写ベルトとが接触駆動されることを防ぎ、像担持体表面の機械的磨耗を最小限に抑えるためである。しかしながら、このタンデム型中間転写方式が抱える課題も多くある。例えば、一度に複数色のトナーを中間転写ベルト上に保持するので、中間転写ベルト上の各色トナー同士の間に反発する力が作用して装置内にトナーが飛散しやすくなる。このために、中間転写ベルトのトナー保持面に近接する部材が飛散トナーによって汚れやすく、その部材の汚れに起因して用紙の汚れ等が発生してしまう。また、複数色のトナー像をバイアス印加により順次中間転写ベルトに転写しフルカラー像を得るので、連続プリントを重ねるにつれて中間転写ベルトが帯電し、中間転写ベルトと中間転写ベルトに近接する部材との間で放電が起きやすくなる。この放電によってトナー像の一部が白く抜けたり、画像上に放電痕が発生したりしてしまう。中間転写ベルト上の放電が起こった部分では、トナーの電荷が減少するため、その状態で次の色の一次転写工程を経ると、その次の色の一次転写工程で電荷が減少した部分のトナーが像担持体側へ逆転写されてしまうからである。
【0003】
そこで、中間転写ベルト上のトナーが飛散することを防止するために、中間転写ベルトのトナー保持面側にトナーと同極性の電位を作用させ、トナーを中間転写ベルト上に保持させる力を作用させることが提案されている。例えば特許文献1では、中間転写ベルトのトナー保持面とは反対側の面(以下、裏面という)に導電部材を常時接触配置させ、その対向位置のトナー保持面側に近接配置された導電性部材に対してトナーと同極性の電位を与える構成が提案されている。これにより、中間転写ベルトが除電され、中間転写ベルトとこれに近接配置された導電性部材との間にトナーが飛散するような不要な電界が作用することを防ぐことができる。また、特許文献2では、中間転写ベルトに蓄積された電荷を除去するために、中間転写ベルトの裏面に除電ブラシ等の除電部材を配置する構成も提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されるように、中間転写ベルトの裏面に導電性部材を常時接触させる構成では、作像中は中間転写ベルトが導電性部材と摺擦しながら駆動される。よって、中間転写ベルトへのダメージが大きく部品耐久性の観点から望ましくない。また、特許文献2に記載されるように、除電部材として、ブラシローラを中間転写ベルトに接触させる場合には、剛体からなる除電部材を用いる場合に比べ中間転写ベルトの耐久性は上がるが、除電部材の繊維が長期使用によって毛倒れしてしまう。そのために、一次転写ローラと中間転写ベルトとの接触状態が変化し、一次転写ニップ部での放電条件が初期と経時状態で変化し、狙いの転写条件を得ることが困難となる虞がある。
【0005】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものである。その目的は、中間転写体の耐久性や転写条件を損なうことなく、中間転写体とこれに近接する部材との間で放電やトナー飛散が発生するような電界の発生を抑制することが可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、トナー像を担持する像担持体と、該像担持体に接触し所定の方向に移動する中間転写ベルトと、該像担持体上のトナー像を該中間転写体に転写する一次転写手段と、該中間転写体上のトナー像を記録媒体に転写する二次転写手段とを備える画像形成装置において、上記中間転写体のトナー保持面の裏面に対し当接又は離間することが選択可能な状態で接地された接地部材を備えることを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記接地部材は上記中間転写体に当接して該中間転写体の電荷を除去することを特徴とするものである。
請求項3の発明は、請求項1又は2の画像形成装置において、上記接地部材は上記一次転写手段によるトナー像転写時には上記中間転写体のトナー保持面の裏面から離間し、該一次転写手段によるトナー像転写終了後に該中間転写体のトナー保持面の裏面に当接することを特徴とするものである。
請求項4の発明は、請求項1、2、又は3の画像形成装置において、上記像担持体への連続作像枚数に応じて連続作像を一旦中断し、上記中間転写体に上記接地部材を接触させて該中間転写体を除電した後に、該中間転写体から該接地部材を離間させ、該像担持体への作像を再度開始させる制御部を備えることを特徴とするものである。
請求項5の発明は、請求項1、2、3又は4の画像形成装置において、上記一次転写手段を上記像担持体に対し当接又は離間させる接離手段を備え、上記接地部材は、該接離手段により該一次転写手段が該像担持体から離間されることによって上記中間転写体が該像担持体から離間した際に、該中間転写体のトナー保持面の裏面に当接するように固定配置されていることを特徴とするものである。
請求項6の発明は、請求項1、2、3又は4の画像形成装置において、上記接地部材は、移動可能に配置されていることを特徴とするものである。
請求項7の発明は、請求項1、2、3、4、5、又は6の画像形成装置において、上記接地部材は、上記中間転写体のトナー保持面に最近接する接地された近接部材に該中間転写体を介して対向する位置に配置されることを特徴とするものである。
請求項8の発明は、請求項7の画像形成装置において、上記中間転写体と上記接地部材との距離は、該中間転写体と上記近接部材との距離よりも常に小さいことを特徴とするものである。
請求項9の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7又は8の画像形成装置において、上記接地部材は、導電性を有する繊維部材がシート状部材表面に覆われて構成されていることを特徴とするものである。
請求項10の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、又は9の画像形成装置において、上記中間転写体は複数配置された像担持体上に形成されたトナー像が順次転写されて形成されるフルカラートナー像を搬送する中間転写ベルトであり、上記接離手段は複数配置された一次転写手段のうち少なくとも1以上を該像担持体に対して当接又は離間させ、上記接地部材は、複数配置された一次転写手段の間にそれぞれ配置されることを特徴とするものである。
請求項11の発明は、請求項10の画像形成装置において、複数配置された像担持体の全てを用いて作像を行う第一の画像形成モードと、中間転写体移動方向最上流側にある像担持体のみを用いないで作像を行う第二の画像形成モードと、中間転写体移動方向最下流側にある像担持体のみを用いて作像を行う第三の画像形成モードとを備えることを特徴とするものである。
請求項12の発明は、請求項11の画像形成装置において、上記複数配置された接地部材のうち上記中間転写体の移動方向最上流側にある接地部材は移動可能に配置され、それ以外の接地部材は固定配置されていることを特徴とするものである。
請求項13の発明は、請求項12の画像形成装置において、上記接地部材のうち中間転写体移動方向最上流側にある接地部材は、上記接離手段によって中間転写体移動方向最上流側にある上記一次転写手段と一体に移動することを特徴とするものである。
請求項14の発明は、請求項13の画像形成装置において、上記接地部材のうち中間転写体移動方向最上流側にある接地部材は、中間転写体移動方向最上流側にある上記一次転写手段を支持する支持部材に支持されるとともに、該支持部材の剛性を補強することを特徴とするものである。
【0007】
本発明においては、例えば作像中に中間転写体のトナー保持面とこれに近接する近接部材との間で電界が形成されても、中間転写体のトナー保持面の裏面とこれに近接(離間)する接地部材との間に同様の電界が形成される。これにより、中間転写体上にトナーが保持され、トナー飛散が抑制される。また、例えば複数回の転写が繰り返され中間転写体が帯電しても、中間転写体と接地部材とが当接することにより中間転写体が除電される。これにより、中間転写体とこれに近接する近接部材との間で放電が発生することが抑制される。この接地部材は中間転写体との当接を選択的に行うことができるので、常時接触させる場合に比べ、中間転写体や接地部材の耐摩耗性の向上を図ることができ、転写条件の安定化を図ることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、中間転写体の耐久性や転写条件を損なうことなく、中間転写体とこれに近接する部材との間で放電やトナー飛散が発生するような電界の発生を抑制することが可能な画像形成装置を提供できるという優れた効果ある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第一の実施形態に係るプリンタの構成を示す概略構成図。
【図2】同プリンタの転写ユニットの構成の一部を示す概略構成図。
【図3】同プリンタのひとつの作像ユニット周辺の構成を示す部分拡大構成図。
【図4】同転写ユニットの一次転写ローラの接離手段の構成を説明する概略構成図。
【図5】同転写ユニットの電極部材の構成を説明する断面図。
【図6】実験方法を説明する概略構成図。
【図7】実験結果を説明する特性図。
【図8】制御部の制御フローを示すフローチャート。
【図9】第二の実施形態に係るプリンタにおいて、第一の画像形成モード選択時の転写ユニットの構成の一部を示す概略構成図。
【図10】同プリンタにおいて、第二の画像形成モード選択時の転写ユニットの構成の一部を示す概略構成図。
【図11】同プリンタにおいて、第三の画像形成モード選択時の転写ユニットの構成の一部を示す概略構成図。
【図12】同プリンタにおいて、作像終了後の転写ユニットの構成の一部を示す概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を適用した第一の実施形態について説明する。まず、第一の実施形態に係るタンデム型中間転写方式の画像形成装置であるプリンタの構成及び動作について説明する。
図1は、本実施形態に係るプリンタの構成を示す概略構成図である。図1に示すように、このプリンタは、記録媒体たるシートsに画像形成を行う本体部100と、この本体部100へシートsを給紙する給紙部200等を備えている。上記本体部100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像を形成する4つの作像ユニット10Y、10M、10C、10Kを備えている(以下添字Y、M、C、Kはイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色をそれぞれ示す)。この作像ユニット10Y、10M、10C、10Kは、それぞれ各色のトナー像を担持する像担持体である感光体11C、11M、11Y、11Kを備えている。これら各感光体11の周囲には、各感光体11表面を一様に帯電する帯電装置12Y、12M、12C、12K、各感光体11表面に形成される静電潜像を現像する現像装置13Y、13M、13C、13K、トナー像転写後の各感光体11表面をクリーニングする感光体クリーニング装置14Y、14M、14C、14K等を備えている。
【0011】
各作像ユニット10の現像装置13では、現像剤担持体が現像剤を担持・搬送し、感光体11との対向位置において交互電界が印加されて感光体11上の静電潜像を現像する。交互電界を印加することで現像剤を活性化させ、トナーの帯電量分布をより狭くすることができ、現像性を向上させることができる。各作像ユニット10は、現像装置13を感光体11とともに一体に支持し、本体部100に対して着脱自在に形成してプロセスカートリッジとすることができる。このプロセスカートリッジは、このほかに帯電装置12、感光体クリーニング装置14等を含んだものとすることもできる。なお、作像ユニット10Y、10M、10C、10Kの構成は収容するトナーの色が異なる以外は同様の構成であるので、一部添字を省略して説明する。
【0012】
上記作像ユニット10Y、10M、10C、10Kの上方には、各感光体11C、11M、11Y、11Kの一様に帯電された表面に画像情報に応じたレーザ光を照射して静電潜像を形成する光書込ユニット15を備えている。光書込ユニット15は、レーザ光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラー等を備え、所定の露光位置において画像データに基づき回転駆動されている各感光体11Y、11C、11K、11Kの表面にレーザ光を主走査方向に走査しながら照射する。
【0013】
上記作像ユニット10Y、10M、10C、10Kの下方には、感光体11Y、11M、11C、11Kに形成されたトナー画像を中間転写体たる中間転写ベルト21を介してシートsに転写する転写ユニット20を備えている。転写ユニット20では、無端ベルト状の中間転写ベルト21が駆動ローラ22を含む複数のローラ23、24、25等に掛け回され、所定のタイミングで図中反時計回り方向に回転駆動する。本実施例では、中間転写ベルト21として、抵抗率が109Ω・cm、90μm厚のポリイミド樹脂単層からなるものを用いた。この中間転写ベルト21の内部には、一次転写位置において転写電荷を付与して各感光体11Y、11M、11C、11K上のトナー像をシートsに転写する一次転写手段としての一次転写ローラ26Y、26M、26C、26Kが設けられている。本実施例では、一次転写ローラ26として、厚さ5mm程の導電性発泡ゴムからなり、1000V印加時の全幅の電気抵抗が107.5Ω程度であり、Asker−C硬度44°程度のものを用いた。また、転写ユニット20は、中間転写ベルト21を挟んで作像ユニット10とは反対側に二次転写手段としての二次転写装置27を備える。二次転写装置27は、二次転写ローラ28を中間転写ベルト21を介して二次転写対向ローラ25に押し当てて転写電界を印加することで、中間転写ベルト21上のトナー像をシートsに転写する。また、転写ユニット20は、支持ローラ24と二次転写対向ローラ25との間に、シートsへのトナー像転写後に中間転写ベルト21に残留するトナーを除去するベルトクリーニング装置29を備えている。
【0014】
上記転写ユニット20の図中左方には、シートs上の転写トナー像の定着を行う定着装置30を備えている。定着装置30は、定着ベルト31に加圧ローラ32を押し当てて、熱と圧力によりシートs上のトナー像を定着せしめる。また、上記二次転写装置27と上記定着装置30との間には、二次転写位置から送り出されたシートsを定着装置30へ搬送する搬送ベルトが配置される。上記転写ユニット20の下方には、作像ユニット10Y、10M、10C、10Kと平行に、シートsの両面に画像を記録すべくシートsを反転するシート反転装置34を備えている。
【0015】
本プリンタの給紙部200は、ペーパーバンク40にシートsを複数枚重ねた紙束の状態で収納する給紙カセット41を多段備え、各給紙カセット41内の一番上のシートsに給紙ローラ42を押し当てている。選択された給紙ローラ42が回転駆動せしめられると、一番上のシートsが分離ローラ43で分離されて1枚ずつ給紙路44に向けて送り出される。この給紙路44に送り出されたシートsは、複数の搬送ローラ対45を経て本体部100内の給紙路46に導かれ、レジストローラ対47のローラ間に挟み込まれる。レジストローラ対47は、ローラ間にシートsを挟み込むとすぐに回転駆動を一旦停止させ、所定のタイミングで回転駆動を再開して、シートsを二次転写装置27に向けて送り出す。
【0016】
以上のように構成されるプリンタにおいて、4色重ね合わせのフルカラーモードが図示しない操作部で選択された場合は次のように画像形成が行われる。例えばイエロー用の作像ユニット10Yでは、帯電装置12Yにより一様に帯電された感光体11Yの表面に、光書込ユニット15で変調及び偏向されたレーザ光が走査されながら照射されて静電潜像が形成される。感光体11Y上の静電潜像は、現像装置13Yで現像されてイエロー色のトナー画像となる。中間転写ベルト21を挟んで一次転写ローラ26に対向する一次転写位置では、感光体11Y上のトナー像がシートsに転写される。トナー像が転写された後の感光体11Yの表面は、感光体クリーニング装置14Yでクリーニングされ、次の静電潜像の形成に備えられる。
【0017】
他の作像ユニット10M、10C、10Kについても、上述した画像形成行程が中間転写ベルト21の搬送に同期させて実行される。一方、給紙カセット41から給送されたシートsは、レジストローラ対47により所定のタイミングで送出されて二次転写装置27に搬送される。または、本体部100の側面に設置された手差しトレイ50から給紙されたシートsは、給紙ローラ51によって手差し給紙路52内に繰り出され、レジストローラ47により所定のタイミングで送出されて二次転写装置27に搬送される。そして、二次転写装置27によりフルカラー画像が一括転写されたシートsは、搬送ベルト33によって搬送されて定着装置30でトナー像が定着された後、排出ローラ53で排紙され排紙トレイ54上に排出される。または、トナー画像が定着されたシートsは、不図示の切換爪で切り替えられてシート反転装置34によって搬送され、再び二次転写装置27へと導かれ、裏面にもトナー像を記録した後、排出ローラ53により排紙トレイ54上に排出される。一方、トナー像転写後の中間転写ベルト21は、ベルトクリーニング装置29により残留トナーが除去され、作像ユニット10による再度の画像形成に備える。
【0018】
以上の作像動作は、4色重ね合わせのフルカラーモードが図示しない操作部で選択された時の動作である。なお、モノクロモードを選択することもできる。モノクロモードがされた場合には、図示しない接離手段によって感光体11Y、11M、11Cから中間転写ベルト21及び一次転写ローラ26Y、26M、26Cを離間させ、中間転写ベルト21にKトナー像の形成のみを行う。
【0019】
次に、本実施形態の特徴部である転写ユニット20について詳細に説明する。図2は、転写ユニットの構成の一部を示す概略構成図である。転写ユニット20は、図2中、点線と実線で示すように、一次転写ローラ26Y、26M、26C、26Kを中間転写ベルト21を介して感光体11Y、11M、11C、11Kに当接、又は離間させる図示しない接離手段を備えている。この接離手段は、上述したように、フルカラーモードが選択された作像時には、図中点線で示すように、感光体11Y、11M、11C、11Kと一次転写ローラ26Y、26M、26C、26Kとを中間転写ベルト21とを介して当接させるべく、一次転写ローラ26Y、26M、26C、26Kの接離動作を行う。モノクロモードが選択された作像時には、感光体11Kと一次転写ローラ26Kのみを当接させるべく、一次転写ローラ26Y、26M、26C、26Kの接離動作を行う。一方、作像終了後には、感光体11Y、11M、11C、11Kと一次転写ローラ26Y、26M、26C、26Kを離間させるべく、一次転写ローラ26Y、26M、26C、26Kの接離動作を行う。さらに、上記転写ユニット20は、一次転写ローラ26Y、26M、26Cの間の三箇所に、中間転写ベルト21の裏面に対向するように、それぞれ接地部材としての電極部材60を備えている。後述するように、この電極部材60は、中間転写ベルト21が図中点線位置にあるときは、中間転写ベルト21の裏面から離間し、中間転写ベルト21が図中実線位置にあるときは中間転写ベルト21の裏面に当接する。
【0020】
図3は、ひとつの作像ユニット周辺の構成を示す部分拡大構成図である。なお、図3中、作像ユニットの構成は収容するトナーの色が異なる以外は同様の構成であるので、添字を省略して説明する。図3に示すように、電極部材60は、中間転写ベルト21を挟んで感光体クリーニング装置14に対向する位置に中間転写ベルト21の裏面から離間した位置に配設されている。感光体クリーニング装置14は、アルミ材のケーシング14aで覆われる構成となっており、その剛性を確保している。この電極部材60は、一次転写位置通過後に中間転写ベルト21が帯電し、中間転写ベルト21のトナー保持面とケーシング14aとの間に電界が形成されても、その対向位置、つまり中間転写ベルト21の裏面と電極部材60との間に同様の電界を作用させる。これにより、中間転写ベルト21のトナー保持面からケーシング14aに向かってトナーが飛散することを抑制することができる。また、中間転写ベルト21が走行している間は、中間転写ベルト21と電極部材60とが接触しないため、中間転写ベルト21の摩耗を抑制する。なお、中間転写ベルト21に近接する近接部材は、感光体クリーニング装置14のケーシング14aの他に、感光体11や現像装置13を一体的に支持する作像ユニット10のケーシング外周面等であっても、同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0021】
このとき、中間転写ベルト21の裏面と電極部材60との最近接距離d2は、中間転写ベルト21のトナー担持面とケーシング14aとの距離d1より小さくする。このような位置(d1>d2)に電極部材60を配置することにより、トナー飛散を引き起こす電界に対して、中間転写ベルト21の裏面側からの電界をより強く作用させることができ、トナー飛散抑制に対して大きな効果を得ることができる。ただし、電極部材60を中間転写ベルト21に接触させると(距離d2=0)、その摩擦負荷のために中間転写ベルト21の部品耐久性を損なうため、転写ユニット20の作像動作時には中間転写ベルト21と電極部材60とを離間させる(距離d2>0)。本実施例では、電極部材60の離間時には、中間転写ベルト21のトナー担持面とケーシング14aとの距離d1を10mmとし、中間転写ベルト21と電極部材60との最近接距離d2を5mm程度にした。なお、モノクロモードが選択された作像では、中間転写ベルト21と電極部材60との距離は上述したフルカラーモードの時とは異なるが、中間転写ベルト21と電極部材60とは離間している(距離d2>0)。
【0022】
一方、上記電極部材60は、作像ユニット10及び転写ユニット20での作像動作が終了したときに、中間転写ベルト21の裏面に接触し(距離d2=0)、中間転写ベルト21の除電を行って次の作像動作に備える。このとき、中間転写ベルト21に対して電極部材60を接離させる新たな接離手段を設けると、装置が複雑となりコストアップとなる。よって、本実施形態では、電極部材60を中間転写ベルト21に対して接離動作させるのではなく、上述した接離手段により一次転写ローラ26が感光体11から離間したときに、電極部材60が中間転写ベルト21に当接するように、電極部材60を転写ユニット20に対して固定配置するとよい。図2中実線で示すように、作像動作の終了後に感光体11から一次転写ローラ26を離間させ、感光体11と中間転写ベルト21とが離間したときに、中間転写ベルト21の裏面と電極部材60とが接触するような位置関係をとるように、電極部材60を固定配置するとよい。つまり、作像終了後は、感光体11から一次転写ローラ26を離間させ、中間転写ベルト21と電極部材60とを当接させた状態で所定時間中間転写ベルト21を駆動して十分に中間転写ベルト21の除電を行った後に駆動を停止させて、次の作像に備える。複数の電極部材60が中間転写ベルト21に当接して効果的に除電するため、中間転写ベルト21のトナー保持面に近接して配置されたケーシング14aと中間転写ベルト21との間に放電が発生することを防止することが可能となる。
【0023】
一次転写ローラ26を感光体11に対して当接及び離間させる上記接離手段は、例えば次のような構成のものを用いることができる。図4は、一次転写ローラの接離手段の構成を説明する概略構成図である。図4に示すように、この接離手段63は、一次転写ローラ26を支持する一次転写ホルダ61と、カム機構によるスライド機構62とから構成される。スライド機構部62が水平方向に移動することによって、一次転写ホルダ61がホルダ回転支点61aを支軸として回転し、一次転写ローラ26が感光体11に対して接離動作を行う。
【0024】
図5は、電極部材の構成を説明する断面図である。図5に示すように、本実施形態において、電極部材60には、シート状部材となる厚さ0.5〜2mm程度の板金60aに導電性を有する繊維部材60bを植毛処理したものを用いている。作像終了後に中間転写ベルト21と電極部材60とを接触させる場合でも電極部材60が中間転写ベルト21にダメージを与えないようにするためである。植毛処理が施された電極部材60は、剛性のものを用いる場合に比べ中間転写ベルト21へのダメージが少ない。また、中間転写ベルト21へのダメージを与えないようにするため、電極部材60の端部をR形状とするのが好ましい。中間転写ベルト21が回転駆動しながら感光体11から離間した場合でも、電極部材60の端部が滑らかに中間転写ベルト21に接触するようにすることが好ましい。また、シート状の電極部材60は、ローラ状の部材に比べより広い範囲に電界抑制効果を作用させることができる。
【0025】
次に、本実施形態に係るプリンタにおいては、連続プリント枚数が多くなるにつれて、中間転写ベルト21に徐々に電荷が蓄積してベルト電位の絶対値が大きくなり、トナー飛散や放電に対して不利な状態になることが実験により明らかとなっている。図6は、実験方法を説明する概略構成図である。図7は、実験結果を説明する特性図である。図6に示すように、中間転写ベルト21の一次転写位置よりも下流側で感光体クリーニング装置14と対向する位置の表面電位を表面電位計70により測定し、連続プリント枚数とベルト電位との関係を調べた。本プリンタにおいては、図7に示すように、連続プリント枚数が500枚に到達した時点で、中間転写ベルト21の表面電位の絶対値が2kVを上回り放電が発生しやすくなることがわかっている。
【0026】
そこで、本実施形態に係るプリンタにおいては、連続プリント枚数に応じて作像を中断し、中間転写ベルト21に蓄積した電荷を取り除いてから再度の作像に備えるよう制御を行う制御部を設けている。図8は、制御部の制御フローを示すフローチャートである。図8に示すように、制御部は、プリント信号を受信すると(ステップS1)、作像ユニット10や転写ユニット20における作像を開始させる(ステップS2)。そして、連続プリント枚数をカウントし(ステップS3)、連続プリント枚数が500枚に到達していなければ(ステップS3でNo)、指定されたプリント枚数又は500枚に到達するまで次ページの作像を継続する(ステップS4、S5、S6)。指定されたプリント枚数に到達した場合には(ステップS5でYes)、作像を停止する(ステップS7)。一方、作像中であっても、連続プリント枚数が500枚をカウントした場合には(ステップS3でYes)、作像を一旦中断し、感光体11から一次転写ローラ26を離間させ、電極部材60を中間転写ベルト21に当接させる。そして、中間転写ベルト21を所定時間周回させて、電極部材60によって中間転写ベルト21の除電を確実に行う(ステップ7)。そして連続プリント枚数のカウントをクリアし(ステップS8)、一次転写ローラ26を中間転写ベルト21を介して感光体11に当接させて再度作像を開始する(ステップ2)。
【0027】
次に、第二の実施形態に係るタンデム型中間転写方式のプリンタについて説明する。第二の実施形態に係るプリンタは、カラートナーに加えて画像に光沢を付与するための特殊トナーであるクリアトナーを使用して作像を行うための感光体11Tを有する作像ユニットを備えていることを特徴としている。クリアトナーを使用して作像を行うための感光体11Tを有する作像ユニットは、クリアトナーが最終的な記録媒体となるシートs上で表層となるようにするために、中間転写ベルト21の移動方向最上流側に設置される。第二の実施形態に係るプリンタは、クリアトナーを使用して作像を行うための作像ユニットが付加された以外は、第一の実施形態と同様の構成であるので、同一部材には同一符号を付し説明を省略する。ここでは、転写ユニットの構成について詳細に説明する。
【0028】
図9乃至図12は、第二の実施形態に係る転写ユニットの構成を示す概略構成図である。この転写ユニット20’は、感光体11Yの隣(中間転写ベルト移動方向上流側)にクリアトナーに対応した感光体11Tを備えている。そして、この転写ユニット20’は、一次転写ローラ26T、26Y、26M、26C、26Kを中間転写ベルト21を介して感光体11T、11Y、11M、11C、11Kに当接、又は離間させる図示しない接離手段を備えている。この接離手段は、図9に示すように、第一の画像形成モードたるクリアトナーを用いるフルカラーモードが選択された作像時には、感光体11T、11Y、11M、11C、11Kと中間転写ベルト21とを当接するべく、一次転写ローラ26T、26Y、26M、26C、26Kの接離動作を行う。図10に示すように、第二の画像形成モードたるクリアトナーを用いないフルカラーモードが選択された作像時には、感光体11Tを除く、感光体11Y、11M、11C、11Kと中間転写ベルト21とを当接するべく、一次転写ローラ26T、26Y、26M、26C、26Kの接離動作を行う。図11に示すように、第三の画像形成モードたるモノクロモードが選択された場合には、感光体11Kと中間転写ベルト21のみを当接するべく、一次転写ローラ26T、26Y、26M、26Cの接離動作を行う。図12に示すように、作像終了後には、すべての感光体11T、11Y、11M、11C、11Kと中間転写ベルト21を離間させるべく、一次転写ローラ26T、26Y、26M、26C、26Kの接離動作を行う。
【0029】
また、上記転写ユニット20’は、転写ローラ26Y、26M、26C、26Kの間の3箇所に、それぞれ接地部材たる電極部材60を備え、転写ローラ26Tと転写ローラ26Yの間に接地部材たる電極部材70を備えている。これらの電極部材60、70は、図9乃至図12中図示しないが、図3に示すように、中間転写ベルト21を挟んで感光体クリーニング装置14のケーシング14aに対向する位置に配置されている。
【0030】
ところで、モノクロモード時に中間転写ベルト21と電極部材60、70とが接触しないためには、電極部材60、70をモノクロモード時における中間転写ベルト21の位置よりも離れた位置に配置する必要がある。つまり、中間転写ベルト21の移動方向上流側にある電極部材ほど、フルカラーモード時における中間転写ベルト21の位置から大きく離す必要がある。特に、第一の実施形態に係る転写ユニット20に比べ、クリアトナーを用いる感光体11Tを付加した第二の実施形態に係る転写ユニット20’では、モノクロモード時に中間転写ベルト21が大きく移動することになる。そのため、中間転写ベルト移動方向最上流側にある電極部材70はフルカラーモード時における中間転写ベルト21の位置から大きく離す必要がある。その結果、フルカラーモード時には、中間転写ベルト21と電極部材70との間に形成されるトナー飛散防止のための電界が弱くなる虞がある。中間転写ベルト21上に形成されたトナーの飛散を防止するための電界を形成するためには、接地された電極部材70と中間転写ベルト21との距離を、中間転写ベルト21と中間転写ベルト21のトナー保持面側に近接配置されたケーシング14aとの距離よりも小さくする必要がある。上述したように、中間転写ベルト21上のトナーを飛散させる電界よりも強い電界を中間転写ベルト21の裏面から作用させるためには、電極部材70を中間転写ベルト21に接触しない範囲でできる限り近づけることが好ましい。
【0031】
そこで、第二の実施形態に係る転写ユニット20’では、電極部材60は転写ユニット20’のケーシングに固定支持されているが、電極部材70は中間転写ベルト21に対して当接又は接離できるよう移動可能に構成されている。中間転写ベルト21の移動方向に対して最上流側に位置する電極部材70を移動可能に構成することで、電極部材70と中間転写ベルト21との距離を任意に設定することができ、トナー飛散を抑制するための電界を効果的にトナーに作用させることが可能となる。
【0032】
電極部材70を移動させるための接離手段を新たに設けてよいが、装置の構成が複雑となりコストアップになる。そこで、転写ユニット20’では、図9に示すように、転写ローラ26Tを支持する一次転写ホルダ71に電極部材70を取り付ける。そして、一次転写ホルダ71をカム機構により回転させる接離手段(図4参照)によって、転写ローラ26Tと電極部材70とを一体に接離動作させるとよい。これにより、新たな接離手段が不要となり、装置の複雑化を避けることできる。また、電極部材70は、一次転写ホルダ71の補強部材としての機能を付与することが可能であるため、部品点数の増加を抑え、装置の簡略化、コスト抑制が可能である。
【0033】
ここで、上記構成の転写ユニット20’において、クリアトナーを使用するフルカラーモードが選択された場合について詳細に説明する。図9に示すように、クリアトナーを使用するフルカラーモードが選択された作像時には、図示しない接離手段により全ての感光体11T、11Y、11M、11C、11Kと中間転写ベルト21とを当接させる。このとき、複数の電極部材60、70は中間転写ベルト21から離間し、中間転写ベルト21の裏面と電極部材60、70との最近接距離d2は、中間転写ベルト21のトナー担持面とケーシング14aとの距離d1より小さい。電極部材60、70は、一次転写位置通過後に中間転写ベルト21が帯電し、中間転写ベルト21のトナー保持面とケーシング14aとの間に電界が形成されても、その対向位置、つまり中間転写ベルト21の裏面から、トナー飛散を引き起こす電界よりも強い電界を作用させる。これにより、中間転写ベルト21のトナー保持面からケーシング14aに向かってトナーが飛散することを防ぐことができる。また、上述したように、中間転写ベルト21が走行している間は、中間転写ベルト21と電極部材60、70とが接触しないため、中間転写ベルト21の摩耗による異常画像発生の虞がない。電極部材60、70はシート状に形成されているため、ローラ状に形成されているものを用いる場合に比べ、より広範囲に電界抑制効果を作用させることが可能である。
【0034】
次に、クリアトナーを使用しないフルカラーモードが選択された場合について説明する。図10に示すように、クリアトナーを使用しないフルカラーモードが選択された作像時には、図示しない接離手段により感光体11Tを除く感光体11Y、11M、11C、11Kと中間転写ベルト21とを当接させる。このとき、電極部材60は上述したように中間転写ベルト21から離間している。電極部材70は、転写ローラ26Tを支持する転写ホルダ71と一体に下方に移動し、中間転写ベルト21が感光体11Tから離れた位置に配置されても、中間転写ベルト21と接触しない。電極部材60、70は、一次転写位置通過後に中間転写ベルト21が帯電し、中間転写ベルト21のトナー保持面とケーシング14aとの間に電界が形成されても、その対向位置、つまり中間転写ベルト21の裏面から、トナー飛散を引き起こす電界よりも強い電界を作用させる。これにより、中間転写ベルト21のトナー保持面からケーシング14aに向かってトナーが飛散することを防ぐことができる。また、上述したように、中間転写ベルト21が走行している間は、中間転写ベルト21と電極部材60、70とが接触しないため、中間転写ベルト21の摩耗による異常画像発生の虞がない。
【0035】
次に、モノクロモードが選択された場合について説明する。図11に示すように、モノクロモードが選択された作像時には、図示しない接離手段により感光体11Kのみを中間転写ベルト21に当接させる。このとき、上述したように電極部材60は中間転写ベルト21から離間している。電極部材70は、転写ローラ26Tを支持する転写ホルダ71と一体に下方に移動し、中間転写ベルト21が感光体11Tから離れた位置に配置されても、中間転写ベルト21と接触しない。電極部材60、70は、一次転写位置通過後に中間転写ベルト21が帯電し、中間転写ベルト21のトナー保持面とケーシング14aとの間に電界が形成されても、その対向位置、つまり中間転写ベルト21の裏面から、トナー飛散を引き起こす電界よりも強い電界を作用させる。これにより、中間転写ベルト21のトナー保持面からケーシング14aに向かってトナーが飛散することを防ぐことができる。また、上述したように、中間転写ベルト21が走行している間は、中間転写ベルト21と電極部材60、70とが接触しないため、中間転写ベルト21の摩耗による異常画像発生の虞がない。
【0036】
一方、上述したフルカラーモード又はモノクロモードにおける作像動作を終えると、図12に示すように、図示しない接離手段によって一次転写ローラ26T、26Y、26M、26C、26Kが感光体11T、11Y、11M、11C、11Kから離間する。そして、感光体11T、11Y、11M、11C、11Kと中間転写ベルト21とが離間する。このとき、複数の電極部材60、70と中間転写ベルト21とが接触するため、中間転写ベルト21を効果的に除電することができる。これにより、中間転写ベルト21と、中間転写ベルト21のトナー保持面に近接して配置されるケーシング14aとの間に放電が発生することを防止することが可能である。また、電極部材は60、70、図5に示すように、表面に導電性繊維を植毛処理しているため、中間転写ベルト21と電極部材60、70とが接触することにより傷を防止することが可能である。
【0037】
なお、第二の実施形態に係るプリンタにおいても、上述したように、連続プリント枚数に応じて作像を中断し、図8に示すように、中間転写ベルト21に蓄積した電荷を取り除いてから再度の作像に備えるようにしてもよい。
【0038】
なお、第一及び第二実施形態に係るプリンタにおいては、感光体11Kと一次転写ローラ26Kとの対向部である一次転写位置よりも下流側の位置には接地部材たる電極部材を設けていない。これは、作像ユニット10Kよりも下流側で中間転写ベルト21のトナー保持面とケーシング14aとの間に放電が発生しても、次の一次転写工程はなく、次の逆転写現象は起きないためである。ただし、感光体11Kと一次転写ローラ26Kとの対向部である一次転写位置よりも下流側の位置に電極部材60を設けた場合には、感光体クリーニング装置14Kのケーシング14aへのトナー飛散を抑制する効果を発揮することができると考えられるため、設置してもよいことを勿論である。
【0039】
以上、本実施形態に係るプリンタによれば、中間転写ベルト21のトナー保持面とこれに近接する近接部材たるケーシング14aとの間で電界が形成されても、中間転写ベルト21のトナー保持面の裏面とこれに近接(離間)する接地部材たる電極部材60、70との間に同様の電界が形成される。これにより、中間転写ベルト21上にトナーが保持され、トナー飛散が抑制される。また、複数回の転写が繰り返され中間転写ベルト21が帯電しても、中間転写ベルト21と電極部材60、70とが当接することにより中間転写ベルト21が除電される。これにより、中間転写ベルト21とこれに近接するケーシング14aとの間で放電が発生することが抑制される。この電極部材60、70は中間転写ベルト21との当接を選択的に行うことができるので、常時接触させる場合に比べ、中間転写ベルト21や電極部材60、70の耐摩耗性の向上を図ることができ、転写条件の安定化を図ることができる。
また、本実施形態に係るプリンタによれば、接地された電極部材60、70が中間転写ベルト21に当接することにより中間転写ベルト21を除電することができる。
また、本実施形態に係るプリンタによれば、電極部材60、70は、作像時は中間転写ベルト21から離間し、作像終了後に中間転写ベルト21に当接して中間転写ベルト21の除電を行う。そのため、電極部材60が中間転写ベルト21に接触する際の衝撃や不要な速度変動が作像に影響することがない。
また、本実施形態に係るプリンタによれば、連続作像枚数に応じて一旦作像を中断し、電極部材60、70により中間転写ベルト21の除電を行う。よって、連続作像時であっても中間転写ベルト21に電荷が蓄積して放電やトナー飛散を引き起こすことを防止することができる。
また、本実施形態に係るプリンタによれば、電極部材60は、感光体11から一次転写ローラ26が離間し、中間転写ベルト21が下方に移動した際に、中間転写ベルト21の裏面に当接するよう固定配置されている。一次転写ローラ26を接離動作させる接離手段を利用することにより、電極部材60を中間転写ベルト21に対して接離動作させる接離手段を新たに設ける場合に比べ、装置の複雑化を避けることができる。
また、本実施形態に係るプリンタによれば、電極部材70を移動可能に構成すると、電極部材70を固定配置する場合に比べ、中間転写ベルト21の位置に応じて電極部材70の位置を任意に設定することができる。よって、トナー飛散を防止する電界を効果的に中間転写ベルト21上のトナーに作用させることができる。
また、本実施形態に係るプリンタによれば、電極部材60、70は中間転写ベルト21に最近接するケーシング14aに中間転写ベルト21を介して対向する位置に配置される。中間転写ベルト21のトナー保持面とケーシング14aとの間に電界が形成されても、その対向位置、つまり中間転写ベルト21の裏面と電極部材60、70との間にも同様の電界が形成される。これにより、中間転写ベルト21のトナー保持面からケーシング14aに向かってトナーが飛散することを抑制することができる。
また、本実施形態に係るプリンタによれば、中間転写ベルト21と電極部材60、70との距離d2が中間転写ベルト21とケーシング14aとの距離d1よりも小さくなるように、中間転写ベルト21と電極部材60、70とが離間している。距離d2を距離d1よりも小さくすることで、トナー飛散を引き起こす電界に対して中間転写ベルト21の裏面からの電界を強く作用させることができ、トナー飛散抑制に対して大きな効果を得ることができる。
また、本実施形態に係るプリンタによれば、電極部材60、70は、シート状部材である板金60aに導電性を有する繊維部材60bが植毛処理されて構成されている。植毛処理された電極部材60、70は、剛性のものを用いる場合に比べ、中間転写ベルト21の部品耐久性を損なうことなく、適正な一次転写条件を長期に亘り安定して発揮することができる。また、シート状の電極部材60、70は、ローラ状のものを用いる場合に比べ、より広範囲に電界抑制効果を作用させることができる。
また、本実施形態に係るプリンタによれば、複数色のトナー像を中間転写ベルト21に順次繰り返して転写するタンデム型中間転写方式の転写ユニット20、20’を採用している。複数色の転写を行う転写ユニット20、20’では、単色転写の場合よりもトナーが飛散しやすく、中間転写ベルト21に電荷が蓄積しやすいが、上述したように複数の電極部材60、70によって効果的に中間転写ベルト21上のトナー飛散や、中間転写ベルト21とこれに近接するケーシング14aとの間の放電の発生を抑制できる。
また、本実施形態に係るプリンタによれば、第一の画像形成モードたるフルカラーモード(クリアトナー使用有り)や、第二の画像形成モードたるフルカラーモード(クリアトナー使用無し)や、第三の画像形成モードたるモノクロモードによる作像が可能な転写ユニット20’を採用している。クリアトナーを使用してクリア画像を形成することで、画像の光沢付与等の付加価値を向上させることができる。
また、本実施形態に係るプリンタによれば、中間転写ユニット20’では、中間転写ベルト移動方向最上流側に配置される電極部材70が移動可能に配置され、それ以外の電極部材60は固定配置されている。中間転写ベルト21の位置に応じて、電極部材70を移動可能に配置することで、トナー飛散を抑制するための電界を効果的にトナーに作用させることが可能である。
また、本実施形態に係るプリンタによれば、中間転写ユニット20’では、電極部材70が一次転写ローラ26Tを支持する支持部材たる一次転写ホルダ71と一体になって移動可能に構成されている。よって、電極部材70だけを移動させるための接離手段が不要となり、装置の構成の簡略化及びコスト抑制が可能となる。
また、本実施形態に係るプリンタによれば、中間転写ユニット20’では、電極部材70が一次転写ローラ26Tを支持する一次転写ホルダ71の補強部材としての機能も兼ねている。よって、部品点数の増加を抑え、装置の構成の簡略化及びコスト抑制が可能となる。
【符号の説明】
【0040】
10 作像ユニット
11 感光体
14 感光体クリーニング装置
20 転写ユニット
21 中間転写ベルト
26 一次転写ローラ
60、70 電極部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0041】
【特許文献1】特開2004−252032号公報
【特許文献2】特開2008−3522号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の複写機、プリンタ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、像担持体上に形成されたトナー像を中間転写体に一次転写し、中間転写体上に順次保持された複数色のフルカラートナー像を、用紙等の記録媒体上に一括して二次転写する、所謂中間転写方式の画像形成装置が実用化されている。このなかでも複数の像担持体を並べたタンデム方式は、より短い時間でフルカラー像を記録媒体に転写することができるため、特に広く用いられている。このようなタンデム型中間転写方式においては、装置の調整動作中に像担持体から中間転写体たる中間転写ベルトや転写ローラを退避させたり、単色での作像時には他色の像担持体から中間転写ベルトを退避させたりする接離機構を有するものが多くある。これは、不要に像担持体と中間転写ベルトとが接触駆動されることを防ぎ、像担持体表面の機械的磨耗を最小限に抑えるためである。しかしながら、このタンデム型中間転写方式が抱える課題も多くある。例えば、一度に複数色のトナーを中間転写ベルト上に保持するので、中間転写ベルト上の各色トナー同士の間に反発する力が作用して装置内にトナーが飛散しやすくなる。このために、中間転写ベルトのトナー保持面に近接する部材が飛散トナーによって汚れやすく、その部材の汚れに起因して用紙の汚れ等が発生してしまう。また、複数色のトナー像をバイアス印加により順次中間転写ベルトに転写しフルカラー像を得るので、連続プリントを重ねるにつれて中間転写ベルトが帯電し、中間転写ベルトと中間転写ベルトに近接する部材との間で放電が起きやすくなる。この放電によってトナー像の一部が白く抜けたり、画像上に放電痕が発生したりしてしまう。中間転写ベルト上の放電が起こった部分では、トナーの電荷が減少するため、その状態で次の色の一次転写工程を経ると、その次の色の一次転写工程で電荷が減少した部分のトナーが像担持体側へ逆転写されてしまうからである。
【0003】
そこで、中間転写ベルト上のトナーが飛散することを防止するために、中間転写ベルトのトナー保持面側にトナーと同極性の電位を作用させ、トナーを中間転写ベルト上に保持させる力を作用させることが提案されている。例えば特許文献1では、中間転写ベルトのトナー保持面とは反対側の面(以下、裏面という)に導電部材を常時接触配置させ、その対向位置のトナー保持面側に近接配置された導電性部材に対してトナーと同極性の電位を与える構成が提案されている。これにより、中間転写ベルトが除電され、中間転写ベルトとこれに近接配置された導電性部材との間にトナーが飛散するような不要な電界が作用することを防ぐことができる。また、特許文献2では、中間転写ベルトに蓄積された電荷を除去するために、中間転写ベルトの裏面に除電ブラシ等の除電部材を配置する構成も提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されるように、中間転写ベルトの裏面に導電性部材を常時接触させる構成では、作像中は中間転写ベルトが導電性部材と摺擦しながら駆動される。よって、中間転写ベルトへのダメージが大きく部品耐久性の観点から望ましくない。また、特許文献2に記載されるように、除電部材として、ブラシローラを中間転写ベルトに接触させる場合には、剛体からなる除電部材を用いる場合に比べ中間転写ベルトの耐久性は上がるが、除電部材の繊維が長期使用によって毛倒れしてしまう。そのために、一次転写ローラと中間転写ベルトとの接触状態が変化し、一次転写ニップ部での放電条件が初期と経時状態で変化し、狙いの転写条件を得ることが困難となる虞がある。
【0005】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものである。その目的は、中間転写体の耐久性や転写条件を損なうことなく、中間転写体とこれに近接する部材との間で放電やトナー飛散が発生するような電界の発生を抑制することが可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、トナー像を担持する像担持体と、該像担持体に接触し所定の方向に移動する中間転写ベルトと、該像担持体上のトナー像を該中間転写体に転写する一次転写手段と、該中間転写体上のトナー像を記録媒体に転写する二次転写手段とを備える画像形成装置において、上記中間転写体のトナー保持面の裏面に対し当接又は離間することが選択可能な状態で接地された接地部材を備えることを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記接地部材は上記中間転写体に当接して該中間転写体の電荷を除去することを特徴とするものである。
請求項3の発明は、請求項1又は2の画像形成装置において、上記接地部材は上記一次転写手段によるトナー像転写時には上記中間転写体のトナー保持面の裏面から離間し、該一次転写手段によるトナー像転写終了後に該中間転写体のトナー保持面の裏面に当接することを特徴とするものである。
請求項4の発明は、請求項1、2、又は3の画像形成装置において、上記像担持体への連続作像枚数に応じて連続作像を一旦中断し、上記中間転写体に上記接地部材を接触させて該中間転写体を除電した後に、該中間転写体から該接地部材を離間させ、該像担持体への作像を再度開始させる制御部を備えることを特徴とするものである。
請求項5の発明は、請求項1、2、3又は4の画像形成装置において、上記一次転写手段を上記像担持体に対し当接又は離間させる接離手段を備え、上記接地部材は、該接離手段により該一次転写手段が該像担持体から離間されることによって上記中間転写体が該像担持体から離間した際に、該中間転写体のトナー保持面の裏面に当接するように固定配置されていることを特徴とするものである。
請求項6の発明は、請求項1、2、3又は4の画像形成装置において、上記接地部材は、移動可能に配置されていることを特徴とするものである。
請求項7の発明は、請求項1、2、3、4、5、又は6の画像形成装置において、上記接地部材は、上記中間転写体のトナー保持面に最近接する接地された近接部材に該中間転写体を介して対向する位置に配置されることを特徴とするものである。
請求項8の発明は、請求項7の画像形成装置において、上記中間転写体と上記接地部材との距離は、該中間転写体と上記近接部材との距離よりも常に小さいことを特徴とするものである。
請求項9の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7又は8の画像形成装置において、上記接地部材は、導電性を有する繊維部材がシート状部材表面に覆われて構成されていることを特徴とするものである。
請求項10の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、又は9の画像形成装置において、上記中間転写体は複数配置された像担持体上に形成されたトナー像が順次転写されて形成されるフルカラートナー像を搬送する中間転写ベルトであり、上記接離手段は複数配置された一次転写手段のうち少なくとも1以上を該像担持体に対して当接又は離間させ、上記接地部材は、複数配置された一次転写手段の間にそれぞれ配置されることを特徴とするものである。
請求項11の発明は、請求項10の画像形成装置において、複数配置された像担持体の全てを用いて作像を行う第一の画像形成モードと、中間転写体移動方向最上流側にある像担持体のみを用いないで作像を行う第二の画像形成モードと、中間転写体移動方向最下流側にある像担持体のみを用いて作像を行う第三の画像形成モードとを備えることを特徴とするものである。
請求項12の発明は、請求項11の画像形成装置において、上記複数配置された接地部材のうち上記中間転写体の移動方向最上流側にある接地部材は移動可能に配置され、それ以外の接地部材は固定配置されていることを特徴とするものである。
請求項13の発明は、請求項12の画像形成装置において、上記接地部材のうち中間転写体移動方向最上流側にある接地部材は、上記接離手段によって中間転写体移動方向最上流側にある上記一次転写手段と一体に移動することを特徴とするものである。
請求項14の発明は、請求項13の画像形成装置において、上記接地部材のうち中間転写体移動方向最上流側にある接地部材は、中間転写体移動方向最上流側にある上記一次転写手段を支持する支持部材に支持されるとともに、該支持部材の剛性を補強することを特徴とするものである。
【0007】
本発明においては、例えば作像中に中間転写体のトナー保持面とこれに近接する近接部材との間で電界が形成されても、中間転写体のトナー保持面の裏面とこれに近接(離間)する接地部材との間に同様の電界が形成される。これにより、中間転写体上にトナーが保持され、トナー飛散が抑制される。また、例えば複数回の転写が繰り返され中間転写体が帯電しても、中間転写体と接地部材とが当接することにより中間転写体が除電される。これにより、中間転写体とこれに近接する近接部材との間で放電が発生することが抑制される。この接地部材は中間転写体との当接を選択的に行うことができるので、常時接触させる場合に比べ、中間転写体や接地部材の耐摩耗性の向上を図ることができ、転写条件の安定化を図ることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、中間転写体の耐久性や転写条件を損なうことなく、中間転写体とこれに近接する部材との間で放電やトナー飛散が発生するような電界の発生を抑制することが可能な画像形成装置を提供できるという優れた効果ある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第一の実施形態に係るプリンタの構成を示す概略構成図。
【図2】同プリンタの転写ユニットの構成の一部を示す概略構成図。
【図3】同プリンタのひとつの作像ユニット周辺の構成を示す部分拡大構成図。
【図4】同転写ユニットの一次転写ローラの接離手段の構成を説明する概略構成図。
【図5】同転写ユニットの電極部材の構成を説明する断面図。
【図6】実験方法を説明する概略構成図。
【図7】実験結果を説明する特性図。
【図8】制御部の制御フローを示すフローチャート。
【図9】第二の実施形態に係るプリンタにおいて、第一の画像形成モード選択時の転写ユニットの構成の一部を示す概略構成図。
【図10】同プリンタにおいて、第二の画像形成モード選択時の転写ユニットの構成の一部を示す概略構成図。
【図11】同プリンタにおいて、第三の画像形成モード選択時の転写ユニットの構成の一部を示す概略構成図。
【図12】同プリンタにおいて、作像終了後の転写ユニットの構成の一部を示す概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を適用した第一の実施形態について説明する。まず、第一の実施形態に係るタンデム型中間転写方式の画像形成装置であるプリンタの構成及び動作について説明する。
図1は、本実施形態に係るプリンタの構成を示す概略構成図である。図1に示すように、このプリンタは、記録媒体たるシートsに画像形成を行う本体部100と、この本体部100へシートsを給紙する給紙部200等を備えている。上記本体部100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像を形成する4つの作像ユニット10Y、10M、10C、10Kを備えている(以下添字Y、M、C、Kはイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色をそれぞれ示す)。この作像ユニット10Y、10M、10C、10Kは、それぞれ各色のトナー像を担持する像担持体である感光体11C、11M、11Y、11Kを備えている。これら各感光体11の周囲には、各感光体11表面を一様に帯電する帯電装置12Y、12M、12C、12K、各感光体11表面に形成される静電潜像を現像する現像装置13Y、13M、13C、13K、トナー像転写後の各感光体11表面をクリーニングする感光体クリーニング装置14Y、14M、14C、14K等を備えている。
【0011】
各作像ユニット10の現像装置13では、現像剤担持体が現像剤を担持・搬送し、感光体11との対向位置において交互電界が印加されて感光体11上の静電潜像を現像する。交互電界を印加することで現像剤を活性化させ、トナーの帯電量分布をより狭くすることができ、現像性を向上させることができる。各作像ユニット10は、現像装置13を感光体11とともに一体に支持し、本体部100に対して着脱自在に形成してプロセスカートリッジとすることができる。このプロセスカートリッジは、このほかに帯電装置12、感光体クリーニング装置14等を含んだものとすることもできる。なお、作像ユニット10Y、10M、10C、10Kの構成は収容するトナーの色が異なる以外は同様の構成であるので、一部添字を省略して説明する。
【0012】
上記作像ユニット10Y、10M、10C、10Kの上方には、各感光体11C、11M、11Y、11Kの一様に帯電された表面に画像情報に応じたレーザ光を照射して静電潜像を形成する光書込ユニット15を備えている。光書込ユニット15は、レーザ光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラー等を備え、所定の露光位置において画像データに基づき回転駆動されている各感光体11Y、11C、11K、11Kの表面にレーザ光を主走査方向に走査しながら照射する。
【0013】
上記作像ユニット10Y、10M、10C、10Kの下方には、感光体11Y、11M、11C、11Kに形成されたトナー画像を中間転写体たる中間転写ベルト21を介してシートsに転写する転写ユニット20を備えている。転写ユニット20では、無端ベルト状の中間転写ベルト21が駆動ローラ22を含む複数のローラ23、24、25等に掛け回され、所定のタイミングで図中反時計回り方向に回転駆動する。本実施例では、中間転写ベルト21として、抵抗率が109Ω・cm、90μm厚のポリイミド樹脂単層からなるものを用いた。この中間転写ベルト21の内部には、一次転写位置において転写電荷を付与して各感光体11Y、11M、11C、11K上のトナー像をシートsに転写する一次転写手段としての一次転写ローラ26Y、26M、26C、26Kが設けられている。本実施例では、一次転写ローラ26として、厚さ5mm程の導電性発泡ゴムからなり、1000V印加時の全幅の電気抵抗が107.5Ω程度であり、Asker−C硬度44°程度のものを用いた。また、転写ユニット20は、中間転写ベルト21を挟んで作像ユニット10とは反対側に二次転写手段としての二次転写装置27を備える。二次転写装置27は、二次転写ローラ28を中間転写ベルト21を介して二次転写対向ローラ25に押し当てて転写電界を印加することで、中間転写ベルト21上のトナー像をシートsに転写する。また、転写ユニット20は、支持ローラ24と二次転写対向ローラ25との間に、シートsへのトナー像転写後に中間転写ベルト21に残留するトナーを除去するベルトクリーニング装置29を備えている。
【0014】
上記転写ユニット20の図中左方には、シートs上の転写トナー像の定着を行う定着装置30を備えている。定着装置30は、定着ベルト31に加圧ローラ32を押し当てて、熱と圧力によりシートs上のトナー像を定着せしめる。また、上記二次転写装置27と上記定着装置30との間には、二次転写位置から送り出されたシートsを定着装置30へ搬送する搬送ベルトが配置される。上記転写ユニット20の下方には、作像ユニット10Y、10M、10C、10Kと平行に、シートsの両面に画像を記録すべくシートsを反転するシート反転装置34を備えている。
【0015】
本プリンタの給紙部200は、ペーパーバンク40にシートsを複数枚重ねた紙束の状態で収納する給紙カセット41を多段備え、各給紙カセット41内の一番上のシートsに給紙ローラ42を押し当てている。選択された給紙ローラ42が回転駆動せしめられると、一番上のシートsが分離ローラ43で分離されて1枚ずつ給紙路44に向けて送り出される。この給紙路44に送り出されたシートsは、複数の搬送ローラ対45を経て本体部100内の給紙路46に導かれ、レジストローラ対47のローラ間に挟み込まれる。レジストローラ対47は、ローラ間にシートsを挟み込むとすぐに回転駆動を一旦停止させ、所定のタイミングで回転駆動を再開して、シートsを二次転写装置27に向けて送り出す。
【0016】
以上のように構成されるプリンタにおいて、4色重ね合わせのフルカラーモードが図示しない操作部で選択された場合は次のように画像形成が行われる。例えばイエロー用の作像ユニット10Yでは、帯電装置12Yにより一様に帯電された感光体11Yの表面に、光書込ユニット15で変調及び偏向されたレーザ光が走査されながら照射されて静電潜像が形成される。感光体11Y上の静電潜像は、現像装置13Yで現像されてイエロー色のトナー画像となる。中間転写ベルト21を挟んで一次転写ローラ26に対向する一次転写位置では、感光体11Y上のトナー像がシートsに転写される。トナー像が転写された後の感光体11Yの表面は、感光体クリーニング装置14Yでクリーニングされ、次の静電潜像の形成に備えられる。
【0017】
他の作像ユニット10M、10C、10Kについても、上述した画像形成行程が中間転写ベルト21の搬送に同期させて実行される。一方、給紙カセット41から給送されたシートsは、レジストローラ対47により所定のタイミングで送出されて二次転写装置27に搬送される。または、本体部100の側面に設置された手差しトレイ50から給紙されたシートsは、給紙ローラ51によって手差し給紙路52内に繰り出され、レジストローラ47により所定のタイミングで送出されて二次転写装置27に搬送される。そして、二次転写装置27によりフルカラー画像が一括転写されたシートsは、搬送ベルト33によって搬送されて定着装置30でトナー像が定着された後、排出ローラ53で排紙され排紙トレイ54上に排出される。または、トナー画像が定着されたシートsは、不図示の切換爪で切り替えられてシート反転装置34によって搬送され、再び二次転写装置27へと導かれ、裏面にもトナー像を記録した後、排出ローラ53により排紙トレイ54上に排出される。一方、トナー像転写後の中間転写ベルト21は、ベルトクリーニング装置29により残留トナーが除去され、作像ユニット10による再度の画像形成に備える。
【0018】
以上の作像動作は、4色重ね合わせのフルカラーモードが図示しない操作部で選択された時の動作である。なお、モノクロモードを選択することもできる。モノクロモードがされた場合には、図示しない接離手段によって感光体11Y、11M、11Cから中間転写ベルト21及び一次転写ローラ26Y、26M、26Cを離間させ、中間転写ベルト21にKトナー像の形成のみを行う。
【0019】
次に、本実施形態の特徴部である転写ユニット20について詳細に説明する。図2は、転写ユニットの構成の一部を示す概略構成図である。転写ユニット20は、図2中、点線と実線で示すように、一次転写ローラ26Y、26M、26C、26Kを中間転写ベルト21を介して感光体11Y、11M、11C、11Kに当接、又は離間させる図示しない接離手段を備えている。この接離手段は、上述したように、フルカラーモードが選択された作像時には、図中点線で示すように、感光体11Y、11M、11C、11Kと一次転写ローラ26Y、26M、26C、26Kとを中間転写ベルト21とを介して当接させるべく、一次転写ローラ26Y、26M、26C、26Kの接離動作を行う。モノクロモードが選択された作像時には、感光体11Kと一次転写ローラ26Kのみを当接させるべく、一次転写ローラ26Y、26M、26C、26Kの接離動作を行う。一方、作像終了後には、感光体11Y、11M、11C、11Kと一次転写ローラ26Y、26M、26C、26Kを離間させるべく、一次転写ローラ26Y、26M、26C、26Kの接離動作を行う。さらに、上記転写ユニット20は、一次転写ローラ26Y、26M、26Cの間の三箇所に、中間転写ベルト21の裏面に対向するように、それぞれ接地部材としての電極部材60を備えている。後述するように、この電極部材60は、中間転写ベルト21が図中点線位置にあるときは、中間転写ベルト21の裏面から離間し、中間転写ベルト21が図中実線位置にあるときは中間転写ベルト21の裏面に当接する。
【0020】
図3は、ひとつの作像ユニット周辺の構成を示す部分拡大構成図である。なお、図3中、作像ユニットの構成は収容するトナーの色が異なる以外は同様の構成であるので、添字を省略して説明する。図3に示すように、電極部材60は、中間転写ベルト21を挟んで感光体クリーニング装置14に対向する位置に中間転写ベルト21の裏面から離間した位置に配設されている。感光体クリーニング装置14は、アルミ材のケーシング14aで覆われる構成となっており、その剛性を確保している。この電極部材60は、一次転写位置通過後に中間転写ベルト21が帯電し、中間転写ベルト21のトナー保持面とケーシング14aとの間に電界が形成されても、その対向位置、つまり中間転写ベルト21の裏面と電極部材60との間に同様の電界を作用させる。これにより、中間転写ベルト21のトナー保持面からケーシング14aに向かってトナーが飛散することを抑制することができる。また、中間転写ベルト21が走行している間は、中間転写ベルト21と電極部材60とが接触しないため、中間転写ベルト21の摩耗を抑制する。なお、中間転写ベルト21に近接する近接部材は、感光体クリーニング装置14のケーシング14aの他に、感光体11や現像装置13を一体的に支持する作像ユニット10のケーシング外周面等であっても、同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0021】
このとき、中間転写ベルト21の裏面と電極部材60との最近接距離d2は、中間転写ベルト21のトナー担持面とケーシング14aとの距離d1より小さくする。このような位置(d1>d2)に電極部材60を配置することにより、トナー飛散を引き起こす電界に対して、中間転写ベルト21の裏面側からの電界をより強く作用させることができ、トナー飛散抑制に対して大きな効果を得ることができる。ただし、電極部材60を中間転写ベルト21に接触させると(距離d2=0)、その摩擦負荷のために中間転写ベルト21の部品耐久性を損なうため、転写ユニット20の作像動作時には中間転写ベルト21と電極部材60とを離間させる(距離d2>0)。本実施例では、電極部材60の離間時には、中間転写ベルト21のトナー担持面とケーシング14aとの距離d1を10mmとし、中間転写ベルト21と電極部材60との最近接距離d2を5mm程度にした。なお、モノクロモードが選択された作像では、中間転写ベルト21と電極部材60との距離は上述したフルカラーモードの時とは異なるが、中間転写ベルト21と電極部材60とは離間している(距離d2>0)。
【0022】
一方、上記電極部材60は、作像ユニット10及び転写ユニット20での作像動作が終了したときに、中間転写ベルト21の裏面に接触し(距離d2=0)、中間転写ベルト21の除電を行って次の作像動作に備える。このとき、中間転写ベルト21に対して電極部材60を接離させる新たな接離手段を設けると、装置が複雑となりコストアップとなる。よって、本実施形態では、電極部材60を中間転写ベルト21に対して接離動作させるのではなく、上述した接離手段により一次転写ローラ26が感光体11から離間したときに、電極部材60が中間転写ベルト21に当接するように、電極部材60を転写ユニット20に対して固定配置するとよい。図2中実線で示すように、作像動作の終了後に感光体11から一次転写ローラ26を離間させ、感光体11と中間転写ベルト21とが離間したときに、中間転写ベルト21の裏面と電極部材60とが接触するような位置関係をとるように、電極部材60を固定配置するとよい。つまり、作像終了後は、感光体11から一次転写ローラ26を離間させ、中間転写ベルト21と電極部材60とを当接させた状態で所定時間中間転写ベルト21を駆動して十分に中間転写ベルト21の除電を行った後に駆動を停止させて、次の作像に備える。複数の電極部材60が中間転写ベルト21に当接して効果的に除電するため、中間転写ベルト21のトナー保持面に近接して配置されたケーシング14aと中間転写ベルト21との間に放電が発生することを防止することが可能となる。
【0023】
一次転写ローラ26を感光体11に対して当接及び離間させる上記接離手段は、例えば次のような構成のものを用いることができる。図4は、一次転写ローラの接離手段の構成を説明する概略構成図である。図4に示すように、この接離手段63は、一次転写ローラ26を支持する一次転写ホルダ61と、カム機構によるスライド機構62とから構成される。スライド機構部62が水平方向に移動することによって、一次転写ホルダ61がホルダ回転支点61aを支軸として回転し、一次転写ローラ26が感光体11に対して接離動作を行う。
【0024】
図5は、電極部材の構成を説明する断面図である。図5に示すように、本実施形態において、電極部材60には、シート状部材となる厚さ0.5〜2mm程度の板金60aに導電性を有する繊維部材60bを植毛処理したものを用いている。作像終了後に中間転写ベルト21と電極部材60とを接触させる場合でも電極部材60が中間転写ベルト21にダメージを与えないようにするためである。植毛処理が施された電極部材60は、剛性のものを用いる場合に比べ中間転写ベルト21へのダメージが少ない。また、中間転写ベルト21へのダメージを与えないようにするため、電極部材60の端部をR形状とするのが好ましい。中間転写ベルト21が回転駆動しながら感光体11から離間した場合でも、電極部材60の端部が滑らかに中間転写ベルト21に接触するようにすることが好ましい。また、シート状の電極部材60は、ローラ状の部材に比べより広い範囲に電界抑制効果を作用させることができる。
【0025】
次に、本実施形態に係るプリンタにおいては、連続プリント枚数が多くなるにつれて、中間転写ベルト21に徐々に電荷が蓄積してベルト電位の絶対値が大きくなり、トナー飛散や放電に対して不利な状態になることが実験により明らかとなっている。図6は、実験方法を説明する概略構成図である。図7は、実験結果を説明する特性図である。図6に示すように、中間転写ベルト21の一次転写位置よりも下流側で感光体クリーニング装置14と対向する位置の表面電位を表面電位計70により測定し、連続プリント枚数とベルト電位との関係を調べた。本プリンタにおいては、図7に示すように、連続プリント枚数が500枚に到達した時点で、中間転写ベルト21の表面電位の絶対値が2kVを上回り放電が発生しやすくなることがわかっている。
【0026】
そこで、本実施形態に係るプリンタにおいては、連続プリント枚数に応じて作像を中断し、中間転写ベルト21に蓄積した電荷を取り除いてから再度の作像に備えるよう制御を行う制御部を設けている。図8は、制御部の制御フローを示すフローチャートである。図8に示すように、制御部は、プリント信号を受信すると(ステップS1)、作像ユニット10や転写ユニット20における作像を開始させる(ステップS2)。そして、連続プリント枚数をカウントし(ステップS3)、連続プリント枚数が500枚に到達していなければ(ステップS3でNo)、指定されたプリント枚数又は500枚に到達するまで次ページの作像を継続する(ステップS4、S5、S6)。指定されたプリント枚数に到達した場合には(ステップS5でYes)、作像を停止する(ステップS7)。一方、作像中であっても、連続プリント枚数が500枚をカウントした場合には(ステップS3でYes)、作像を一旦中断し、感光体11から一次転写ローラ26を離間させ、電極部材60を中間転写ベルト21に当接させる。そして、中間転写ベルト21を所定時間周回させて、電極部材60によって中間転写ベルト21の除電を確実に行う(ステップ7)。そして連続プリント枚数のカウントをクリアし(ステップS8)、一次転写ローラ26を中間転写ベルト21を介して感光体11に当接させて再度作像を開始する(ステップ2)。
【0027】
次に、第二の実施形態に係るタンデム型中間転写方式のプリンタについて説明する。第二の実施形態に係るプリンタは、カラートナーに加えて画像に光沢を付与するための特殊トナーであるクリアトナーを使用して作像を行うための感光体11Tを有する作像ユニットを備えていることを特徴としている。クリアトナーを使用して作像を行うための感光体11Tを有する作像ユニットは、クリアトナーが最終的な記録媒体となるシートs上で表層となるようにするために、中間転写ベルト21の移動方向最上流側に設置される。第二の実施形態に係るプリンタは、クリアトナーを使用して作像を行うための作像ユニットが付加された以外は、第一の実施形態と同様の構成であるので、同一部材には同一符号を付し説明を省略する。ここでは、転写ユニットの構成について詳細に説明する。
【0028】
図9乃至図12は、第二の実施形態に係る転写ユニットの構成を示す概略構成図である。この転写ユニット20’は、感光体11Yの隣(中間転写ベルト移動方向上流側)にクリアトナーに対応した感光体11Tを備えている。そして、この転写ユニット20’は、一次転写ローラ26T、26Y、26M、26C、26Kを中間転写ベルト21を介して感光体11T、11Y、11M、11C、11Kに当接、又は離間させる図示しない接離手段を備えている。この接離手段は、図9に示すように、第一の画像形成モードたるクリアトナーを用いるフルカラーモードが選択された作像時には、感光体11T、11Y、11M、11C、11Kと中間転写ベルト21とを当接するべく、一次転写ローラ26T、26Y、26M、26C、26Kの接離動作を行う。図10に示すように、第二の画像形成モードたるクリアトナーを用いないフルカラーモードが選択された作像時には、感光体11Tを除く、感光体11Y、11M、11C、11Kと中間転写ベルト21とを当接するべく、一次転写ローラ26T、26Y、26M、26C、26Kの接離動作を行う。図11に示すように、第三の画像形成モードたるモノクロモードが選択された場合には、感光体11Kと中間転写ベルト21のみを当接するべく、一次転写ローラ26T、26Y、26M、26Cの接離動作を行う。図12に示すように、作像終了後には、すべての感光体11T、11Y、11M、11C、11Kと中間転写ベルト21を離間させるべく、一次転写ローラ26T、26Y、26M、26C、26Kの接離動作を行う。
【0029】
また、上記転写ユニット20’は、転写ローラ26Y、26M、26C、26Kの間の3箇所に、それぞれ接地部材たる電極部材60を備え、転写ローラ26Tと転写ローラ26Yの間に接地部材たる電極部材70を備えている。これらの電極部材60、70は、図9乃至図12中図示しないが、図3に示すように、中間転写ベルト21を挟んで感光体クリーニング装置14のケーシング14aに対向する位置に配置されている。
【0030】
ところで、モノクロモード時に中間転写ベルト21と電極部材60、70とが接触しないためには、電極部材60、70をモノクロモード時における中間転写ベルト21の位置よりも離れた位置に配置する必要がある。つまり、中間転写ベルト21の移動方向上流側にある電極部材ほど、フルカラーモード時における中間転写ベルト21の位置から大きく離す必要がある。特に、第一の実施形態に係る転写ユニット20に比べ、クリアトナーを用いる感光体11Tを付加した第二の実施形態に係る転写ユニット20’では、モノクロモード時に中間転写ベルト21が大きく移動することになる。そのため、中間転写ベルト移動方向最上流側にある電極部材70はフルカラーモード時における中間転写ベルト21の位置から大きく離す必要がある。その結果、フルカラーモード時には、中間転写ベルト21と電極部材70との間に形成されるトナー飛散防止のための電界が弱くなる虞がある。中間転写ベルト21上に形成されたトナーの飛散を防止するための電界を形成するためには、接地された電極部材70と中間転写ベルト21との距離を、中間転写ベルト21と中間転写ベルト21のトナー保持面側に近接配置されたケーシング14aとの距離よりも小さくする必要がある。上述したように、中間転写ベルト21上のトナーを飛散させる電界よりも強い電界を中間転写ベルト21の裏面から作用させるためには、電極部材70を中間転写ベルト21に接触しない範囲でできる限り近づけることが好ましい。
【0031】
そこで、第二の実施形態に係る転写ユニット20’では、電極部材60は転写ユニット20’のケーシングに固定支持されているが、電極部材70は中間転写ベルト21に対して当接又は接離できるよう移動可能に構成されている。中間転写ベルト21の移動方向に対して最上流側に位置する電極部材70を移動可能に構成することで、電極部材70と中間転写ベルト21との距離を任意に設定することができ、トナー飛散を抑制するための電界を効果的にトナーに作用させることが可能となる。
【0032】
電極部材70を移動させるための接離手段を新たに設けてよいが、装置の構成が複雑となりコストアップになる。そこで、転写ユニット20’では、図9に示すように、転写ローラ26Tを支持する一次転写ホルダ71に電極部材70を取り付ける。そして、一次転写ホルダ71をカム機構により回転させる接離手段(図4参照)によって、転写ローラ26Tと電極部材70とを一体に接離動作させるとよい。これにより、新たな接離手段が不要となり、装置の複雑化を避けることできる。また、電極部材70は、一次転写ホルダ71の補強部材としての機能を付与することが可能であるため、部品点数の増加を抑え、装置の簡略化、コスト抑制が可能である。
【0033】
ここで、上記構成の転写ユニット20’において、クリアトナーを使用するフルカラーモードが選択された場合について詳細に説明する。図9に示すように、クリアトナーを使用するフルカラーモードが選択された作像時には、図示しない接離手段により全ての感光体11T、11Y、11M、11C、11Kと中間転写ベルト21とを当接させる。このとき、複数の電極部材60、70は中間転写ベルト21から離間し、中間転写ベルト21の裏面と電極部材60、70との最近接距離d2は、中間転写ベルト21のトナー担持面とケーシング14aとの距離d1より小さい。電極部材60、70は、一次転写位置通過後に中間転写ベルト21が帯電し、中間転写ベルト21のトナー保持面とケーシング14aとの間に電界が形成されても、その対向位置、つまり中間転写ベルト21の裏面から、トナー飛散を引き起こす電界よりも強い電界を作用させる。これにより、中間転写ベルト21のトナー保持面からケーシング14aに向かってトナーが飛散することを防ぐことができる。また、上述したように、中間転写ベルト21が走行している間は、中間転写ベルト21と電極部材60、70とが接触しないため、中間転写ベルト21の摩耗による異常画像発生の虞がない。電極部材60、70はシート状に形成されているため、ローラ状に形成されているものを用いる場合に比べ、より広範囲に電界抑制効果を作用させることが可能である。
【0034】
次に、クリアトナーを使用しないフルカラーモードが選択された場合について説明する。図10に示すように、クリアトナーを使用しないフルカラーモードが選択された作像時には、図示しない接離手段により感光体11Tを除く感光体11Y、11M、11C、11Kと中間転写ベルト21とを当接させる。このとき、電極部材60は上述したように中間転写ベルト21から離間している。電極部材70は、転写ローラ26Tを支持する転写ホルダ71と一体に下方に移動し、中間転写ベルト21が感光体11Tから離れた位置に配置されても、中間転写ベルト21と接触しない。電極部材60、70は、一次転写位置通過後に中間転写ベルト21が帯電し、中間転写ベルト21のトナー保持面とケーシング14aとの間に電界が形成されても、その対向位置、つまり中間転写ベルト21の裏面から、トナー飛散を引き起こす電界よりも強い電界を作用させる。これにより、中間転写ベルト21のトナー保持面からケーシング14aに向かってトナーが飛散することを防ぐことができる。また、上述したように、中間転写ベルト21が走行している間は、中間転写ベルト21と電極部材60、70とが接触しないため、中間転写ベルト21の摩耗による異常画像発生の虞がない。
【0035】
次に、モノクロモードが選択された場合について説明する。図11に示すように、モノクロモードが選択された作像時には、図示しない接離手段により感光体11Kのみを中間転写ベルト21に当接させる。このとき、上述したように電極部材60は中間転写ベルト21から離間している。電極部材70は、転写ローラ26Tを支持する転写ホルダ71と一体に下方に移動し、中間転写ベルト21が感光体11Tから離れた位置に配置されても、中間転写ベルト21と接触しない。電極部材60、70は、一次転写位置通過後に中間転写ベルト21が帯電し、中間転写ベルト21のトナー保持面とケーシング14aとの間に電界が形成されても、その対向位置、つまり中間転写ベルト21の裏面から、トナー飛散を引き起こす電界よりも強い電界を作用させる。これにより、中間転写ベルト21のトナー保持面からケーシング14aに向かってトナーが飛散することを防ぐことができる。また、上述したように、中間転写ベルト21が走行している間は、中間転写ベルト21と電極部材60、70とが接触しないため、中間転写ベルト21の摩耗による異常画像発生の虞がない。
【0036】
一方、上述したフルカラーモード又はモノクロモードにおける作像動作を終えると、図12に示すように、図示しない接離手段によって一次転写ローラ26T、26Y、26M、26C、26Kが感光体11T、11Y、11M、11C、11Kから離間する。そして、感光体11T、11Y、11M、11C、11Kと中間転写ベルト21とが離間する。このとき、複数の電極部材60、70と中間転写ベルト21とが接触するため、中間転写ベルト21を効果的に除電することができる。これにより、中間転写ベルト21と、中間転写ベルト21のトナー保持面に近接して配置されるケーシング14aとの間に放電が発生することを防止することが可能である。また、電極部材は60、70、図5に示すように、表面に導電性繊維を植毛処理しているため、中間転写ベルト21と電極部材60、70とが接触することにより傷を防止することが可能である。
【0037】
なお、第二の実施形態に係るプリンタにおいても、上述したように、連続プリント枚数に応じて作像を中断し、図8に示すように、中間転写ベルト21に蓄積した電荷を取り除いてから再度の作像に備えるようにしてもよい。
【0038】
なお、第一及び第二実施形態に係るプリンタにおいては、感光体11Kと一次転写ローラ26Kとの対向部である一次転写位置よりも下流側の位置には接地部材たる電極部材を設けていない。これは、作像ユニット10Kよりも下流側で中間転写ベルト21のトナー保持面とケーシング14aとの間に放電が発生しても、次の一次転写工程はなく、次の逆転写現象は起きないためである。ただし、感光体11Kと一次転写ローラ26Kとの対向部である一次転写位置よりも下流側の位置に電極部材60を設けた場合には、感光体クリーニング装置14Kのケーシング14aへのトナー飛散を抑制する効果を発揮することができると考えられるため、設置してもよいことを勿論である。
【0039】
以上、本実施形態に係るプリンタによれば、中間転写ベルト21のトナー保持面とこれに近接する近接部材たるケーシング14aとの間で電界が形成されても、中間転写ベルト21のトナー保持面の裏面とこれに近接(離間)する接地部材たる電極部材60、70との間に同様の電界が形成される。これにより、中間転写ベルト21上にトナーが保持され、トナー飛散が抑制される。また、複数回の転写が繰り返され中間転写ベルト21が帯電しても、中間転写ベルト21と電極部材60、70とが当接することにより中間転写ベルト21が除電される。これにより、中間転写ベルト21とこれに近接するケーシング14aとの間で放電が発生することが抑制される。この電極部材60、70は中間転写ベルト21との当接を選択的に行うことができるので、常時接触させる場合に比べ、中間転写ベルト21や電極部材60、70の耐摩耗性の向上を図ることができ、転写条件の安定化を図ることができる。
また、本実施形態に係るプリンタによれば、接地された電極部材60、70が中間転写ベルト21に当接することにより中間転写ベルト21を除電することができる。
また、本実施形態に係るプリンタによれば、電極部材60、70は、作像時は中間転写ベルト21から離間し、作像終了後に中間転写ベルト21に当接して中間転写ベルト21の除電を行う。そのため、電極部材60が中間転写ベルト21に接触する際の衝撃や不要な速度変動が作像に影響することがない。
また、本実施形態に係るプリンタによれば、連続作像枚数に応じて一旦作像を中断し、電極部材60、70により中間転写ベルト21の除電を行う。よって、連続作像時であっても中間転写ベルト21に電荷が蓄積して放電やトナー飛散を引き起こすことを防止することができる。
また、本実施形態に係るプリンタによれば、電極部材60は、感光体11から一次転写ローラ26が離間し、中間転写ベルト21が下方に移動した際に、中間転写ベルト21の裏面に当接するよう固定配置されている。一次転写ローラ26を接離動作させる接離手段を利用することにより、電極部材60を中間転写ベルト21に対して接離動作させる接離手段を新たに設ける場合に比べ、装置の複雑化を避けることができる。
また、本実施形態に係るプリンタによれば、電極部材70を移動可能に構成すると、電極部材70を固定配置する場合に比べ、中間転写ベルト21の位置に応じて電極部材70の位置を任意に設定することができる。よって、トナー飛散を防止する電界を効果的に中間転写ベルト21上のトナーに作用させることができる。
また、本実施形態に係るプリンタによれば、電極部材60、70は中間転写ベルト21に最近接するケーシング14aに中間転写ベルト21を介して対向する位置に配置される。中間転写ベルト21のトナー保持面とケーシング14aとの間に電界が形成されても、その対向位置、つまり中間転写ベルト21の裏面と電極部材60、70との間にも同様の電界が形成される。これにより、中間転写ベルト21のトナー保持面からケーシング14aに向かってトナーが飛散することを抑制することができる。
また、本実施形態に係るプリンタによれば、中間転写ベルト21と電極部材60、70との距離d2が中間転写ベルト21とケーシング14aとの距離d1よりも小さくなるように、中間転写ベルト21と電極部材60、70とが離間している。距離d2を距離d1よりも小さくすることで、トナー飛散を引き起こす電界に対して中間転写ベルト21の裏面からの電界を強く作用させることができ、トナー飛散抑制に対して大きな効果を得ることができる。
また、本実施形態に係るプリンタによれば、電極部材60、70は、シート状部材である板金60aに導電性を有する繊維部材60bが植毛処理されて構成されている。植毛処理された電極部材60、70は、剛性のものを用いる場合に比べ、中間転写ベルト21の部品耐久性を損なうことなく、適正な一次転写条件を長期に亘り安定して発揮することができる。また、シート状の電極部材60、70は、ローラ状のものを用いる場合に比べ、より広範囲に電界抑制効果を作用させることができる。
また、本実施形態に係るプリンタによれば、複数色のトナー像を中間転写ベルト21に順次繰り返して転写するタンデム型中間転写方式の転写ユニット20、20’を採用している。複数色の転写を行う転写ユニット20、20’では、単色転写の場合よりもトナーが飛散しやすく、中間転写ベルト21に電荷が蓄積しやすいが、上述したように複数の電極部材60、70によって効果的に中間転写ベルト21上のトナー飛散や、中間転写ベルト21とこれに近接するケーシング14aとの間の放電の発生を抑制できる。
また、本実施形態に係るプリンタによれば、第一の画像形成モードたるフルカラーモード(クリアトナー使用有り)や、第二の画像形成モードたるフルカラーモード(クリアトナー使用無し)や、第三の画像形成モードたるモノクロモードによる作像が可能な転写ユニット20’を採用している。クリアトナーを使用してクリア画像を形成することで、画像の光沢付与等の付加価値を向上させることができる。
また、本実施形態に係るプリンタによれば、中間転写ユニット20’では、中間転写ベルト移動方向最上流側に配置される電極部材70が移動可能に配置され、それ以外の電極部材60は固定配置されている。中間転写ベルト21の位置に応じて、電極部材70を移動可能に配置することで、トナー飛散を抑制するための電界を効果的にトナーに作用させることが可能である。
また、本実施形態に係るプリンタによれば、中間転写ユニット20’では、電極部材70が一次転写ローラ26Tを支持する支持部材たる一次転写ホルダ71と一体になって移動可能に構成されている。よって、電極部材70だけを移動させるための接離手段が不要となり、装置の構成の簡略化及びコスト抑制が可能となる。
また、本実施形態に係るプリンタによれば、中間転写ユニット20’では、電極部材70が一次転写ローラ26Tを支持する一次転写ホルダ71の補強部材としての機能も兼ねている。よって、部品点数の増加を抑え、装置の構成の簡略化及びコスト抑制が可能となる。
【符号の説明】
【0040】
10 作像ユニット
11 感光体
14 感光体クリーニング装置
20 転写ユニット
21 中間転写ベルト
26 一次転写ローラ
60、70 電極部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0041】
【特許文献1】特開2004−252032号公報
【特許文献2】特開2008−3522号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する像担持体と、該像担持体に接触し所定の方向に移動する中間転写ベルトと、該像担持体上のトナー像を該中間転写体に転写する一次転写手段と、該中間転写体上のトナー像を記録媒体に転写する二次転写手段とを備える画像形成装置において、
上記中間転写体のトナー保持面の裏面に対し当接又は離間することが選択可能な状態で接地された接地部材を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
上記接地部材は上記中間転写体に当接して該中間転写体の電荷を除去することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2の画像形成装置において、
上記接地部材は上記一次転写手段によるトナー像転写時には上記中間転写体のトナー保持面の裏面から離間し、該一次転写手段によるトナー像転写終了後に該中間転写体のトナー保持面の裏面に当接することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1、2、又は3の画像形成装置において、
上記像担持体への連続作像枚数に応じて連続作像を一旦中断し、上記中間転写体に上記接地部材を接触させて該中間転写体を除電した後に、該中間転写体から該接地部材を離間させ、該像担持体への作像を再度開始させる制御部を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1、2、3又は4の画像形成装置において、
上記一次転写手段を上記像担持体に対し当接又は離間させる接離手段を備え、
上記接地部材は、該接離手段により該一次転写手段が該像担持体から離間されることによって上記中間転写体が該像担持体から離間した際に、該中間転写体のトナー保持面の裏面に当接するように固定配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1、2、3又は4の画像形成装置において、
上記接地部材は、移動可能に配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、5、又は6の画像形成装置において、
上記接地部材は、上記中間転写体のトナー保持面に最近接する接地された近接部材に該中間転写体を介して対向する位置に配置されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7の画像形成装置において、
上記中間転写体と上記接地部材との距離は、該中間転写体と上記近接部材との距離よりも常に小さいことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1、2、3、4、5、6、7又は8の画像形成装置において、
上記接地部材は、導電性を有する繊維部材がシート状部材表面に覆われて構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、又は9の画像形成装置において、
上記中間転写体は複数配置された像担持体上に形成されたトナー像が順次転写されて形成されるフルカラートナー像を搬送する中間転写ベルトであり、
上記接離手段は複数配置された一次転写手段のうち少なくとも1以上を該像担持体に対して当接又は離間させ、
上記接地部材は、複数配置された一次転写手段の間にそれぞれ配置されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項10の画像形成装置において、
複数配置された像担持体の全てを用いて作像を行う第一の画像形成モードと、中間転写体移動方向最上流側にある像担持体のみを用いないで作像を行う第二の画像形成モードと、中間転写体移動方向最下流側にある像担持体のみを用いて作像を行う第三の画像形成モードとを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項11の画像形成装置において、
上記複数配置された接地部材のうち上記中間転写体の移動方向最上流側にある接地部材は移動可能に配置され、それ以外の接地部材は固定配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項12の画像形成装置において、
上記接地部材のうち中間転写体移動方向最上流側にある接地部材は、上記接離手段によって中間転写体移動方向最上流側にある上記一次転写手段と一体に移動することを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項13の画像形成装置において、
上記接地部材のうち中間転写体移動方向最上流側にある接地部材は、中間転写体移動方向最上流側にある上記一次転写手段を支持する支持部材に支持されるとともに、該支持部材の剛性を補強することを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
トナー像を担持する像担持体と、該像担持体に接触し所定の方向に移動する中間転写ベルトと、該像担持体上のトナー像を該中間転写体に転写する一次転写手段と、該中間転写体上のトナー像を記録媒体に転写する二次転写手段とを備える画像形成装置において、
上記中間転写体のトナー保持面の裏面に対し当接又は離間することが選択可能な状態で接地された接地部材を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
上記接地部材は上記中間転写体に当接して該中間転写体の電荷を除去することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2の画像形成装置において、
上記接地部材は上記一次転写手段によるトナー像転写時には上記中間転写体のトナー保持面の裏面から離間し、該一次転写手段によるトナー像転写終了後に該中間転写体のトナー保持面の裏面に当接することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1、2、又は3の画像形成装置において、
上記像担持体への連続作像枚数に応じて連続作像を一旦中断し、上記中間転写体に上記接地部材を接触させて該中間転写体を除電した後に、該中間転写体から該接地部材を離間させ、該像担持体への作像を再度開始させる制御部を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1、2、3又は4の画像形成装置において、
上記一次転写手段を上記像担持体に対し当接又は離間させる接離手段を備え、
上記接地部材は、該接離手段により該一次転写手段が該像担持体から離間されることによって上記中間転写体が該像担持体から離間した際に、該中間転写体のトナー保持面の裏面に当接するように固定配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1、2、3又は4の画像形成装置において、
上記接地部材は、移動可能に配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、5、又は6の画像形成装置において、
上記接地部材は、上記中間転写体のトナー保持面に最近接する接地された近接部材に該中間転写体を介して対向する位置に配置されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7の画像形成装置において、
上記中間転写体と上記接地部材との距離は、該中間転写体と上記近接部材との距離よりも常に小さいことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1、2、3、4、5、6、7又は8の画像形成装置において、
上記接地部材は、導電性を有する繊維部材がシート状部材表面に覆われて構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、又は9の画像形成装置において、
上記中間転写体は複数配置された像担持体上に形成されたトナー像が順次転写されて形成されるフルカラートナー像を搬送する中間転写ベルトであり、
上記接離手段は複数配置された一次転写手段のうち少なくとも1以上を該像担持体に対して当接又は離間させ、
上記接地部材は、複数配置された一次転写手段の間にそれぞれ配置されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項10の画像形成装置において、
複数配置された像担持体の全てを用いて作像を行う第一の画像形成モードと、中間転写体移動方向最上流側にある像担持体のみを用いないで作像を行う第二の画像形成モードと、中間転写体移動方向最下流側にある像担持体のみを用いて作像を行う第三の画像形成モードとを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項11の画像形成装置において、
上記複数配置された接地部材のうち上記中間転写体の移動方向最上流側にある接地部材は移動可能に配置され、それ以外の接地部材は固定配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項12の画像形成装置において、
上記接地部材のうち中間転写体移動方向最上流側にある接地部材は、上記接離手段によって中間転写体移動方向最上流側にある上記一次転写手段と一体に移動することを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項13の画像形成装置において、
上記接地部材のうち中間転写体移動方向最上流側にある接地部材は、中間転写体移動方向最上流側にある上記一次転写手段を支持する支持部材に支持されるとともに、該支持部材の剛性を補強することを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−217869(P2010−217869A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287754(P2009−287754)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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