説明

画像形成装置

【課題】黒色現像装置における回収トナーの混合比率を高めても、グレーのハーフトーン画像に回収トナー色相の偏りに起因する色味があまり目立たないで済む画像形成装置を提供する。
【解決手段】測定画像形成モードを指令すると、所定濃度に対応させた露光条件で露光装置3Kにより露光されて黒色現像装置4Kにより現像されて定着装置により定着された黒色の測定用の定着画像が出力される。カラーセンサ60を用いて黒色の測定用の定着画像の色相を測定し、測定の結果、不足していると判断された色相のトナー像を形成して黒色トナー像に重ねて黒色画像を黒色化するように各色での露光を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回収した複数色の有彩色トナーを混合状態で黒色現像装置へ供給して再利用する画像形成装置、詳しくは記録材に定着された画像の黒色の純度を改善する制御に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の像担持体に現像色ごとの現像装置を配置して、形成した各色トナー像を転写媒体(記録材又は中間転写体)上で重ね合わせてフルカラー画像を出力するいわゆるタンデム型の画像形成装置が広く用いられている。1個の像担持体に現像色ごとの複数の現像装置を配置して、形成した各色トナー像を転写媒体上で重ね合わせてフルカラー画像を出力するいわゆる1ドラム型の画像形成装置も広く用いられている。
【0003】
トナー像を記録材に転写して熱定着させる画像形成装置では、記録材に転写されない転写残トナーが相当量発生する。特に、像担持体−中間転写体−記録材と2段階に転写を行う中間転写型では、現像装置に供給されるトナーの総量の20〜30%にも相当する大量の転写残トナーが発生する。
【0004】
このため、クリーニング装置で回収した各色の転写残トナーを混合状態で黒色現像装置に供給して、黒色トナーに混合して再利用する技術が実用化されている。黒色トナーであれば、全量の20%程度まで有彩色トナーが混合しても定着画像の段階ではあまり目立たないからである。
【0005】
特許文献1には、1個の像担持体にシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色現像装置に加えて回収トナー現像装置を付設した画像形成装置が示される。回収トナー現像装置では、像担持体のクリーニング装置で回収されたシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの回収トナーを混合してブラック画像の現像に用いている。シアン、マゼンタ、イエローを混合すると色相が黒色に近付くため擬似ブラックトナーとして利用できるからである。
【0006】
そして、回収トナー現像装置を用いて現像したカラーパッチの色相を像担持体上で測定し、測定した回収トナーの黒色に不足している色相の各色画像に修正を加える画像処理を行っている。不足している色相の画像を回収トナーの画像に重ねることで純度の高い黒色を形成するように、不足している色相の露光装置で用いる画像を修正している。
【0007】
特許文献2には、中間転写体に当接する4個の像担持体にシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色現像装置とクリーニング装置とを個別に配置した画像形成装置が示される。ここでは、4個の像担持体から回収した転写残トナーと、中間転写体から回収した転写残トナーとを混合状態で貯留して、黒色の純度を損なわないように混合比率を制御した供給量で黒色現像装置に供給している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−62712号公報
【特許文献2】特開2006−18050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、中間転写体を用いる画像形成装置ではトナー消費量の20〜30%にも相当する大量の転写残トナーが発生するため、黒色現像装置の黒色トナーに回収トナーを30%以上の高い混合比率で混合させることが望まれている。
【0010】
しかし、特許文献2に示される構成では、回収トナーの比率を30%にした状態で偏った色相の画像形成が継続すると、黒色の純度が低下して画像品質が低下することが判明した。
【0011】
そこで、特許文献1に示されるように、黒色現像装置を用いて形成した測定用トナー像の色相の測定結果に基いて、不足する色相のトナー像を形成し、回収トナーで現像されるトナー像に重ねて黒色化する制御が提案された。
【0012】
しかし、像担持体上のトナー像による色相の測定結果は、定着された画像における黒色の色相を十分に反映していないため、記録材に出力された最終画像に純度の高い黒色を再現できないことが判明した。
【0013】
特に、連続的に階調が変化するグレーのハーフトーン画像において回収トナー色相の偏りに起因する色味が目立ってしまうことが判明した。
【0014】
本発明は、黒色現像装置における回収トナーの混合比率を高めても、グレーのハーフトーン画像に回収トナー色相の偏りに起因する色味があまり目立たないで済む画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の画像形成装置は、複数の像担持体と、前記複数の像担持体に各色画像の静電像を形成する露光装置と、混色により黒色を形成可能な複数色の有彩色トナーを個別に用いて前記複数の像担持体にトナー像を現像する複数の現像装置と、トナー像を転写媒体へ転写した後の前記複数の像担持体から転写残トナーを回収する複数のクリーニング装置と、前記複数のクリーニング装置で回収された回収トナーを貯留する貯留手段と、前記貯留手段から供給された回収トナーを黒色トナーに混合して用いてトナー像を現像する黒色現像装置と、トナー像を転写された記録材を加熱加圧して定着画像を形成する定着装置とを備えたものである。そして、所定濃度に対応させた露光条件で前記露光装置により露光されて前記黒色現像装置により現像されて前記定着装置により定着された黒色の定着画像を出力させる測定画像形成モードと、前記測定画像形成モードで出力された黒色の定着画像の色相を測定する色相測定手段と、前記色相測定手段により測定された前記色相を黒色化するように前記露光装置で用いる前記各色画像を調整する画像処理手段とを備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明の画像形成装置では、測定画像形成モードで回収トナーを混合した黒色トナーを用いた定着画像を出力させ、定着画像の色調測定結果に基いて黒色から不足した色調を補うためのトナー像を形成する。
【0017】
このため、黒色現像装置における回収トナーの混合比率を高めても、グレーのハーフトーン画像に回収トナー色相の偏りに起因する色味があまり目立たないで済む。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】画像形成装置の構成の説明図である。
【図2】画像形成部の構成の説明図である。
【図3】カラーセンサによるブラック色相測定用パッチ画像の検出の説明図である。
【図4】黒色定着画像の色相補正の制御に関する構成のブロック図である。
【図5】測定画像形成モードの制御のフローチャートである。
【図6】出力される記録材上の黒色パッチ画像の配置の説明図である。
【図7】黒色パッチ画像の濃度測定結果の一例の説明図である。
【図8】ブラック画像のイエロー補正テーブルの説明図である。
【図9】YMC補正テーブルを用いてブラック画像を補正する制御の説明図である。
【図10】画像形成時における画像処理部の画像処理の説明図である。
【図11】測定画像形成モードによる黒色画像の補正効果の説明図である。
【図12】実施例3におけるパッチ画像の配置の説明図である。
【図13】実施例4における測定画像形成モードの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明は、ブラックの色相測定用の定着画像が記録材に出力される限りにおいて、実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。
【0020】
従って、有彩色の回収トナーを黒色現像装置で再利用する画像形成装置であれば、タンデム型/1ドラム型、中間転写型/直接転型の区別無く実施できる。本実施形態では、トナー像の形成/転写に係る主要部のみを説明するが、本発明は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途で実施できる。
【0021】
なお、特許文献1、2に示される画像形成装置の一般的な事項については、図示を省略して重複する説明を省略する。
【0022】
<画像形成装置>
図1は画像形成装置の構成の説明図である。図2は画像形成部の構成の説明図である。
【0023】
図1に示すように、画像形成装置100は、中間転写ベルト10に沿って画像形成部PY、PM、PC、PKを配列したタンデム型中間転写方式のフルカラープリンタである。
【0024】
画像形成部PYでは、感光ドラム1Yにイエロートナー像が形成されて中間転写ベルト10に一次転写される。画像形成部PMでは、感光ドラム1Mにマゼンタトナー像が形成されて中間転写ベルト10のイエロートナー像に重ねて一次転写される。
【0025】
画像形成部PC、PKでは、それぞれ感光ドラム1C、1Kにシアントナー像、ブラックトナー像が形成されて同様に中間転写ベルト10に順次重ねて一次転写される。
【0026】
中間転写ベルト10に一次転写された四色のトナー像は、二次転写部T2へ搬送されて記録材Pへ一括二次転写される。四色のトナー像を二次転写された記録材Pは、定着装置20で加熱加圧を受けて表面にトナー像を定着された後に、画像形成装置100の外部へ排出される。
【0027】
中間転写体の一例である中間転写ベルト10は、テンションローラ11、駆動ローラ12、及び対向ローラ13に掛け渡して支持され、駆動ローラ12に駆動されて所定のプロセススピードで矢印R2方向に回転する。
【0028】
記録材カセット17から引き出された記録材Pは、分離ローラ16で1枚ずつに分離して、レジストローラ15へ送り出される。レジストローラ15は、停止状態で記録材Pを受け入れて待機させ、中間転写ベルト10のトナー像にタイミングを合わせて記録材Pを二次転写部T2へ送り込む。
【0029】
二次転写ローラ14は、対向ローラ13に支持された中間転写ベルト10に当接して二次転写部T2を形成する。二次転写ローラ14に電源D2から正極性の直流電圧が印加されることによって、負極性に帯電して中間転写ベルト10に担持されたトナー像が記録材Pへ二次転写される。
【0030】
画像形成部PY、PM、PC、PKは、静電像の現像に用いるトナーの色が個別にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックと異なる以外は、ほぼ同一に構成される。以下では、画像形成部PYについて説明し、他の画像形成部PM、PC、PKについては、説明中の符号末尾のYを、M、C、Kに読み替えて説明されるものとする。
【0031】
図2に示すように、画像形成部PYは、像担持体の一例である感光ドラム1Yの周囲に、帯電ローラ2Y、露光装置3Y、現像装置4Y、一次転写ローラ5Y、クリーニング装置6Yを配置している。
【0032】
感光ドラム1Yは、アルミニウムシリンダの外周面に、帯電極性が負極性の感光層が形成され、不図示の駆動モータから駆動力を伝達されることによって、所定のプロセススピードで矢印R1方向に回転する。帯電ローラ2Yは、感光ドラム1Yに当接して従動回転し、直流電圧に交流電圧を重畳した振動電圧を電源D3から印加されることによって、感光ドラム1Yの表面を一様な負極性の電位に帯電する。
【0033】
露光装置3Yは、イエローの分解色画像を展開した走査線画像データをON−OFF変調したレーザービームを回転ミラーで走査して、帯電した感光ドラム1Yの表面に画像の静電像を書き込む。
【0034】
一次転写ローラ5Yは、中間転写ベルト10を押圧して、感光ドラム1Yと中間転写ベルト10との間に一次転写部TYを形成する。電源DYから正極性の直流電圧が一次転写ローラ5Yに印加されることによって、感光ドラム1Yに担持された負極性のトナー像が、一次転写部TYを通過する中間転写ベルト10へ一次転写される。
【0035】
<現像装置>
現像装置4Yは、現像容器4e内で二成分現像剤を攪拌して帯電させ、帯電した二成分現像剤を、固定磁極4jの周囲で感光ドラム1Yとカウンタ方向に回転する現像スリーブ4sに担持させて感光ドラム1Yを摺擦する。負極性の直流電圧に交流電圧を重畳した振動電圧が電源D4から現像スリーブ4sへ印加されることによって、負極性に帯電したトナーが、現像スリーブ4sよりも相対的に正極性になった感光ドラム1Yの静電像へ移転して、静電像が反転現像される。二成分現像剤は、平均粒径5〜7μの粉砕樹脂トナーである非磁性トナーと酸化鉄を主成分とする平均粒径30〜50μの磁性キャリアとを、非磁性トナーが3〜5%の重量比になるように混合してある。
【0036】
現像装置4Yは、現像容器4e内の磁性キャリアと非磁性トナーとが常にほぼ一定の混合比率となるように、トナー補給装置7Yから刻々供給される補給トナー量を制御される。ビデオカウント方式によって1枚の画像形成ごとのトナー消費量を計算して、消費されたトナーとほぼ等しい量の補給トナーをトナー補給装置7Yから現像装置4Yに補給する。
【0037】
ビデオカウント方式では、画像形成するフルカラー画像をYMCK4色に分解して形成したイエロー画像について、画像の1画素(1ドット)毎の256分割された濃度データの数値を画像1枚分(1ページ分)積算する。濃度データは、トナー無し=0、50%ハーフトーン=128、ベタ画像=256となるように線形に設定されている。画像1枚分のビデオカウント値は、予め準備された換算テーブルを用いて画像1枚分のトナー消費量に換算され、画像1枚分のトナー消費量に等しくトナー補給量が設定される。そして、次ページの画像成形時に、このようにして求めたトナー補給量に相当するイエロー補給トナーがトナー補給装置7Yによって補給容器8Yから取り出されて現像装置4Yへ補給される。
【0038】
また、現像装置4Yには、現像容器4e内の非磁性トナーと磁性キャリアとの混合比に応じて変化する透磁率を検知するために、インダクタンスセンサ4hが付設されている。現像容器4e内の二成分現像剤には、正常に現像を行うための非磁性トナーの重量比5〜10%に対応させて透磁率の上限値及び下限値が設定されている。そして、インダクタンスセンサ4hの出力から透磁率の上限値が検知されると、非磁性トナーの不足を補うべく、ビデオカウント値に応じたトナー量に加えて所定量の補給トナーがトナー補給装置7Yから現像装置4Yに補給される。また、透磁率の下限値が検知されると、非磁性トナーの過剰を解消すべく、ビデオカウント値によるトナー補給が一時的に禁止される。これにより、適正な非磁性トナーと磁性キャリアとの混合比(適正な透磁率)となるように、トナー補給装置7Yが制御されて、ビデオカウント方式の計算によるトナー補給量と実際のトナー消費量との誤差が補正される。
【0039】
このように、現像装置4Yは、ビデオカウント方式とインダクタンスセンサ方式との併用方式にてトナー消費量を検知して、補給トナーを現像装置4Yに補給する。ビデオカウント方式は、1枚毎(1ページ毎)に動作するが、インダクタンス方式は計算値と実際値に誤差が発生した時のみ動作する。このため、インダクタンス方式は、通常、数百枚〜数千枚程度毎に1回動作する頻度であり、ビデオカウント方式を補正する役割を担っている。
【0040】
なお、トナー補給制御自体は、当業者には周知のその他のトナー補給制御手段(ATR)によっても行うことができる。現像装置4Y内のトナー濃度は、その他のトナー濃度検知手段(光学センサ等)によって検知してもよい。画像の信号から別の手法を用いてトナーの消費量を求めてもよい。それらを組み合わせて適正な補給トナーの補給量を求めてもよい。二成分現像剤の総量に対するトナーの割合以外のパラメータを用いてもよい。いずれにせよ、画像形成に伴って消費されるトナー量に見合う量の補給トナー(少量のキャリアを同時に補給する場合もある)を適時現像装置4Yに補給できればよい。
【0041】
図1に示すように、同様に、マゼンタ、シアン、ブラック各色ごとに画像1枚分のビデオカウント値が算出され、各色ごとの換算テーブルにより、各色ごとのトナー補給量が算出される。そして、次ページの画像成形時には、マゼンタ、シアン、ブラック各色の補給トナー補給量が補給容器8M、8C、8Kから取り出され、トナー補給装置7M、7C、7Kによって現像装置4M、4C、4Kへ補給される。これにより、マゼンタ、シアン、ブラックの現像装置4M、4C、4Kについても、それぞれ磁性キャリアと非磁性トナーとが常にほぼ一定の混合比率範囲となるように制御される。このようにして、消費されたトナーとほぼ等しい量の補給トナーをトナー補給装置7Y、7M、7C、7Kから現像装置4Y、4M、4C、4Kへ補給しながら画像形成を行う。
【0042】
トナー補給装置7Y、7M、7C、7Kは、スクリューコンベアを回転させて、トナー消費量と同量の補給トナーを現像装置4Y、4M、4C、4Kに搬送するように動作を制御される。そのため、トナー補給装置7Y、7M、7C、7Kは、1回転当たりの搬送量が0.1gとなるように設計されている。そして、トナー補給装置7Y、7M、7C、7Kを回転させるモータも1/y回転の所定位置で正確に停止できるように、高精度(高性能)のモータを使用している。
【0043】
画像形成プロセスにおいて転写工程後に感光ドラム及び中間転写ベルトの表面に残留した転写残トナーは、ファーブラシ、クリーニングブレード等を備えたクリーニング手段によって除去されるのが一般的である。そして、クリーニング手段で回収されたトナーは、スクリューやオーガ、或いはベルト等を備えたパイプ状のトナー搬送手段により搬送されて、トナー廃棄手段としてのトナー廃棄容器に回収されるのが一般的である。この場合、トナー廃棄容器は、トナーで満たされると、操作者がそれを廃棄して、新しい空のトナー廃棄容器に置き換えている。
【0044】
しかし、近年、画像形成装置に対して、小型化、高機能化、カラー化、高速化が進められる一方、信頼性の向上、システム展開、メンテナンスフリー、低ランニングコスト、資源の有効利用、環境配慮等の要求が高まっている。特に、環境配慮、低ランニングコスト等の要請がある。
【0045】
このため、画像形成装置において転写残トナーをトナー廃棄容器に回収して廃棄すると、資源の有効利用、環境配慮、及び低ランニングコストが課題となる。転写残トナーは、モノクロ画像形成装置においては、その再利用が実用化されているが、フルカラー画像形成装置においては、複数色のトナーが混在したトナーの再利用は、画像の色味が変わる問題によって困難である。
【0046】
そこで、画像形成装置では、クリーニング装置6Y、6M、6C、6K及びベルトクリーニング装置19で回収した各色の転写残トナーを混合状態で黒色現像装置4Kに供給して、黒色のフレッシュ(補給用)トナーに混合して再利用する。黒色トナーであれば、全量の20%程度までであれば、有彩色トナーが混合しても定着画像の段階ではあまり目立たないからである。また、シアン、マゼンタ、イエローを混合すると加色混合によって黒色を形成可能であるため擬似ブラックトナーとして利用できるからである。
【0047】
<クリーニング装置>
図2に示すように、クリーニング装置6Yは、クリーニングブレード6eを感光ドラム1Yに摺擦して、転写媒体(中間転写ベルト)に接する一次転写部TYを通過して感光ドラム1Yの表面に残留した転写残トナーを掻き落として回収容器6fに回収する。回収容器6fに回収された転写残トナーは、搬送スクリュー6gによって中間転写ベルト10の外側位置まで搬送されて回収トナー搬送管41Yを通じて合流搬送装置42に合流させている。クリーニング装置6Yは、クリーニングブレード6eの代わりに又は併用して、ブラシ、静電ブラシ、ゴムローラ等を用いたものでもよい。
【0048】
<ベルトクリーニング装置>
ベルトクリーニング装置19は、テンションローラ11に内側面を支持された中間転写ベルト10にクリーニングブレード19eを摺擦させて、転写媒体(記録材)に接する二次転写部を通過して転写残トナーを回収容器19fに回収する。回収容器19fに回収された転写残トナーは、搬送スクリュー19gによって中間転写ベルト10の外側位置まで搬送されて回収トナー搬送装置43を通じて合流搬送装置42に合流させている。クリーニング装置19は、クリーニングブレード6eの代わりに又は併用して、ブラシ、静電ブラシ、ゴムローラ等を用いたものでもよい。
【0049】
<トナー回収装置>
図1に示すように、回収トナー搬送装置41Y、41M、41C、41K、43、合流搬送装置42、回収トナー供給装置51は、いずれもスクリューコンベアで構成される。スクリューコンベアは、円筒管材料の中心軸上に回転軸を配置し、回転軸に沿って搬送スクリューの搬送羽根をスパイラル状に設けて構成される。
【0050】
ここで、回収トナー搬送装置41Y、41M、41C、41K、43、合流搬送装置42は、貯留容器50に向かって回収トナーを十分に搬送できる機能を持つのみでよい。しかし、回収トナー供給装置51は、黒色現像装置4Kに対して精密に制御された量の回収トナーをトナー補給装置7Kに搬送するように動作を制御される。そのため、回収トナー供給装置51は、回収トナー搬送装置41Y、41M、41C、41Kよりもスクリューピッチ間隔を小さくし、例えば1回転当たりの搬送量が0.1gとなるように設計されている。そして、回収トナー供給装置51の回転軸を回転させるモータも1/y回転の所定位置で正確に停止できるように、高精度(高性能)のモータを使用している。
【0051】
クリーニング装置6Y、6M、6C、6Kが感光ドラム1Y、1M、1C、1Kから回収した各色の回収トナーは、合流搬送装置42を通じて図1に示す貯留容器50に集められる。ベルトクリーニング装置19が中間転写ベルト10から回収した回収トナーは、合流搬送装置42を通じて図1に示す貯留容器50に集められる。
【0052】
貯留容器50は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの回収トナーを一時的に貯留して攪拌混合した後に、回収トナー供給装置51を通じて黒色現像装置4Kへ供給する。貯留容器50は、トナーが飛散しないように密閉された一般的に使用される樹脂容器であり、回収トナーが全く消費されなくても、通常使用で数千枚(数千ページ)程度は回収トナーを貯留できる容量を持つ。
【0053】
貯留容器50を設けることで、黒色画像が少ないフルカラー画像が連続する場合のような回収トナー低消費時には、回収トナーを貯留して蓄え、次回の回収トナー高消費時に備えることができる。また、回収トナー低消費時に、大量の有彩色トナーが回収トナー搬送装置41Y、41M、41C及び合流搬送装置42に停滞して押し固められることを回避できる。また、画像面積が大きくて濃度が高いモノクロ画像が連続するような回収トナー高消費時でも、貯留容器50の回収トナーが枯渇して補給容器8Yのフレッシュトナーのみが消費される事態を回避できる。
【0054】
貯留容器50は、内部で攪拌羽根52を回転させて貯留容器50内の各色の回収トナーを均等に混ぜ合わせる。これにより、貯留容器50内の回収トナーの色相ムラ、明度ムラを解消して、貯留容器50から黒色現像装置4Kへ供給される回収トナーの色調を安定させ、精度の高い回収トナー再利用制御を行うことができる。
【0055】
ところで、黒色現像装置4K以外の現像装置4Y、4M、4Cで、その現像装置の固有色以外のトナーが少量でも供給されると、現像・定着された固有色の色味が大きく変化する。このため、黒色現像装置4K以外の現像装置4Y、4M、4Cにおいて、複数色のトナーが混在した回収トナーを再利用することは実用的ではない。
【0056】
そこで、本実施例では、回収トナーを黒色現像装置4Kのみで再利用することとし、黒色現像装置4Kでは、フレッシュトナーと回収トナーとを所定の割合で混合した補給トナーを用いて黒色画像を現像する。
【0057】
貯留容器50内の複数色のトナーが混在した回収トナーは、回収トナー供給装置51を通じてトナー補給装置7Kへ搬送され、ここで、補給容器8Yから取り出されるフレッシュトナーに所定比率で混合される。トナー補給装置7Kは、フレッシュトナーに対する回収トナーの混合比率を一定に保った状態で、回収トナーが混合されたフレッシュトナーを、上述したトナー補給制御で必要とされる補給量だけ黒色現像装置4Kに供給する。補給トナーは、現像装置4K内でもさらに攪拌されてフレッシュトナーと回収トナーとが充分に混合される。
【0058】
なお、現像装置4Kの構成が簡易な場合には、フレッシュトナーと回収トナーとを所定の割合で混合し、充分に攪拌した後に現像装置4Kに補給するサブホッパーを現像装置4Kに設けてもよい。
【0059】
ところで、貯留容器50に貯留された回収トナーは、通常、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色の回収トナーが同程度に混在しているが、使用初期等には、いずれかの色のトナーが混在していない場合もある。また、偏った色相の画像形成を大量に行った場合には、イエロー、マゼンタ、シアンの回収トナーのうち1色又は2色の回収トナーの割合が極端に高まる場合がある。このような場合、貯留容器50に貯留された偏った色相の回収トナーを混合して現像・転写・定着された記録材上の出力画像において黒色の純度が目立つ場合がある。
【0060】
そこで、本実施例では、測定画像形成モードを実行して、所定濃度に対応させた露光条件で露光装置3Kにより露光されて黒色現像装置4Kにより現像されて定着装置により定着された黒色の測定用の定着画像を出力させる。そして、色相測定手段(60)は、測定画像形成モードで出力された黒色の測定用の定着画像の色相を測定する。そして、画像処理手段(81)は、色相測定手段(60)により測定された黒色の色相を黒色化するように、露光装置3Y、3M、3Cで用いる各色画像を調整する。
【0061】
<カラーセンサ>
図3はカラーセンサによるブラック色相測定用パッチ画像の検出の説明図である。(a)は測定状態、(b)は受光面である。
【0062】
図1に示すように、記録材Pの搬送経路における定着装置20の下流側にカラーセンサ60が記録材Pの画像面へ向けて配置される。カラーセンサ60は、記録材P上に形成された定着後の黒色パッチ画像を撮影する。制御部71は、黒色パッチ画像の撮影画像からRGB出力値を測定して、露光装置3Y、3M、3Cで用いられる各色画像の画像処理にフィードバックする。
【0063】
図3の(a)に示すように、カラーセンサ60は、記録材Pに定着された黒色パッチ画像G1〜G8を、白色LED61で照明して撮像素子62により撮像する。白色LED61の照明光は、定着後の黒色パッチ画像が形成された記録材Pに対して、ほぼ斜め45度より入射する。撮像素子62は、ほぼ斜め45度で照明された黒色パッチ画像G1〜G8の0度方向への乱反射光強度をRGBオンチップフィルタ付き電荷蓄積型センサにより検知する。なお、白色LED61による照明光の入射角をほぼ0度にして、反射角45度の方向に撮像素子62を配置した構成を採用してもよい。
【0064】
図3の(b)に示すように、撮像素子62は、電荷蓄積型(CCD)素子の受光部がRGBで独立した画素となっており、受光面にRGBオンチップフィルタ63を形成してある。撮像素子62の電荷蓄積型(CCD)素子は、フォトダイオードでも良い。RGBに対応させて独立した受光素子を記録材の搬送方向と直角な方向に3画素並べてセットにしたものを記録材の搬送方向に数セット並べてもよい。3画素並べたセットは、RGB3色が時差を持って発光する三原色LEDと、1個のRGBフィルタ無しフォトダイオードに置き換えてもよい。
【0065】
<制御手段>
図4は黒色定着画像の色相補正の制御に関する構成のブロック図である。以下に回収トナーを用いて現像した黒色定着画像の色味を黒色化する補正制御の内容を説明する。
【0066】
図4に示すように、画像形成装置100は、大きく分けてコントローラ部80とプリンタ部73とに分かれている。
【0067】
コントローラ部80は、入力インターフェス部84及び表示インターフェス部83に接続されている。入力インターフェス部84は、パソコンやネットワーク上の端末から送られる画像データや画像読取装置(フラットベッドスキャナ)で読み取った画像データをコントローラ部80の画像処理部81へ取り込む。表示インターフェス部83は、いわゆる操作パネルであって、タッチパネルを付設した液晶画面と複数の操作ボタンとを配置しており、プリント動作の設定状態や装置の運転状態を表示する。画像処理部81は、入力インターフェス部84を通じて入力される画像情報を記録部82に蓄積し、蓄積した画像情報に必要な画像処理を施して、プリンタ部73に転送する。記録部82は、画像処理に関する処理プログラム及び各種データを記録している。
【0068】
プリンタ部73は、画像形成部PY、PM、PC、PKを始めとする画像形成装置100内の各ユニットを統合的に作動させて記録材に画像形成を行う。制御部71は、図1に示すカラーセンサ60を用いて読み取った定着後の黒色パッチ画像のRGB信号と、コントローラ部80から送られてくる画像情報とに基づいて、画像形成部PY、PM、PC、PKとカラーセンサ60の動作を制御する。制御手段の一例である制御部71は、回収トナーを混合して現像された黒色定着画像の色味を相殺して黒色化するように画像形成部PY、PM、PCを制御する。
【0069】
ところで、フルカラー画像形成装置においてフルカラー画像のプリントが多い場合、転写残トナーの4色合計量が増大するため、回収トナーの色味が目立たない20%以下の混合比率では、回収トナーが過剰になる。しかし、黒色のフレッシュ(補給用)トナーに対して40%を超えた高い混合比率で回収トナーを混合すると、定着後の黒色画像に回収トナーの色味が出てくる可能性がある。特に、特定色に偏ったフルカラー画像が大量に連続形成された場合、回収トナーの加色混合による黒色化が不十分になり、偏った色相の回収トナーになって、偏った色相の色味が定着後の黒色画像に出てしまう。
【0070】
そこで、特許文献1を参照して、定期的に黒色パッチトナー像の色相を感光ドラム上で測定して黒色画像の色相調整を行うことが提案された。しかし、黒色パッチトナー像では定着後の黒色画像の色相を正確に見積もれないことが判明した。回収トナーで形成した感光ドラム上のパッチトナー像を色相測定する場合、感光ドラム上で4色混在した状態の回収トナーでは定着後に混色した状態の色相を十分に再現できないからである。特許文献2を参照して、黒色パッチトナー像の色相測定を、画像データのビデオカウントに基づく各色トナーの消費見込み量に置き換えることも提案されたが、時間経過とともに回収トナー色相との食い違いが大きくなることが判明した。
【0071】
また、回収トナーの黒色に不足する色相のトナー像を重ねて補正後の黒色パッチトナー像を形成した場合、記録材に転写・定着された黒色画像を十分に黒色化できていない場合がある。中間転写ベルトに近いトナー層ほど中間転写ベルトに転写残トナーとして残り易いため、最上層の回収トナーの黒色トナー層に比較して補正トナー像が十分に記録材に転写されないからである。
【0072】
中間転写ベルトに近いトナー層ほど中間転写ベルトに転写残トナーとして残り易いため、補正層が複数あるとき、中間転写ベルト上の補正各層のトナー量の比率と記録材に転写された補正各層のトナー量の比率とが食い違ってくるからである。このようにして、感光ドラム上で測定したトナー像と記録材に転写・定着されたトナー像とでは色味が変わってしまうので正確な色味補正ができない。
【0073】
そこで、実施例1では、記録材に転写・定着した黒色パッチ画像について色相測定を行って黒色画像の色相調整を行う。また、黒色画像の色相調整を行った後に、調整した条件でトナー像を形成して、記録材に転写・定着した黒色パッチ画像について色相測定を行って黒色画像の色相調整の適否を確認する。
【0074】
また、有彩色トナー像を重ね合わせる結果、黒色の最大濃度が適正値から外れる可能性があるので、最大濃度調整モードを併せて実行する。最大濃度調整モードでは、色相の調整結果に基いて形成した各色画像のトナー像を重ね合わせた黒色パッチ画像を記録材に転写して定着装置により定着する。そして、出力された定着画像を色相測定手段(60)により測定し、測定結果に基いて黒色画像の最大濃度が所定値になるように各色画像及び黒色画像を調整する。
【0075】
<実施例1>
図5は測定画像形成モードの制御のフローチャートである。図6は出力される記録材上の黒色パッチ画像の配置の説明図である。図7は黒色パッチ画像の濃度測定結果の一例の説明図である。図8はブラック画像のイエロー補正テーブルの説明図である。図9はYMC補正テーブルを用いてブラック画像を補正する制御の説明図である。図10は画像形成時における画像処理部の画像処理の説明図である。図11は測定画像形成モードによる黒色画像の補正効果の説明図である。
【0076】
図1を参照して図5に示すように、表示インターフェス部83にメンテナンス画面を表示して、画面上に表示された測定画像形成モードの開始ボタンを押すと、制御部71は、測定画像形成モードを開始する。
【0077】
制御部71は、画像形成部PKを制御して回収トナー含有状態の黒色パッチ画像のトナー像を形成し、記録材Pに二次転写して定着装置20により定着させる。記録材P上に形成された黒色パッチ画像は、定着直後に、カラーセンサ60によってRGB各色の輝度信号を読み取られる(S401)。RGB各色の輝度信号は、AD変換されて8ビット256階調のデジタル信号に変換されて制御部71に入力される。
【0078】
図6に示すように、A4サイズ縦送りの記録材P上に10mm間隔で長さ20mm、幅40mmの8個の黒色パッチ画像G1〜G8が8段階にそれぞれ濃度階調を異ならせて出力される。複数段階の階調で複数個の黒色パッチ画像が一列に配列した記録材が出力される。黒色パッチ画像G1〜G8の目標濃度は、画像形成部PKの露光装置3Kにおける濃度階調0〜255の中に等しい階調間隔で順番に定めた所定の8階調で形成されている。
【0079】
このように、濃度順の複数個の定着済み黒色パッチ画像が記録材上の記録として出力されることで、出力された黒色中間階調(ハーフトーン)の経時的な色相の変化を目視判断できる。各回の測定結果を並べて目視比較できるように、黒色パッチ画像G1〜G8は、毎回同じ階調で出力される。
【0080】
ただし、黒色パッチ画像G1〜G8の階調間隔は等しくする必要はなく、色相を目視判別しにくい高濃度、低濃度を避けた中間階調で階調間隔を狭くして、中間階調の出力個数を増やすほうが、色相差を視認し易いため望ましい。また、黒色パッチ画像は、特に8階調に限定されるものではなく、階調は多いほうが、中間階調(ハーフトーン)における精度の高い補正が可能となり望ましい。
【0081】
黒色パッチ画像G1〜G8のRGB各色の輝度データは、カラーセンサ60自体の読み取り特性を補正した後に、白地補正、対数変換等の演算を経た後に、輝度データ(RGB)から濃度データ(YMC)に変換される(S402)。
【0082】
制御部71は、図7に示すようにX軸を黒色の目標階調(露光階調)として、Y軸に、黒色パッチ画像G1〜G8のYMC濃度データをYMC各色ごとにプロットする(S403)。図7の(a)、(b)、(c)は、黒色パッチ画像の画像信号レベルに対するイエロー、マゼンタ、シアンの濃度階調のそれぞれの測定結果である。ここでは、回収トナー中にシアントナー、マゼンタトナーに比較してイエロートナーが少ない場合における測定画像形成モードの制御を説明する。しかし、シアントナー、マゼンタトナーが少ない場合には、シアントナー、マゼンタトナーに関して同様な制御が適用される。
【0083】
図7の(a)、(b)、(c)中、破線は、回収トナー含有状態の黒色パッチ画像G1〜G8から得られた各色濃度階調の中で、最も濃度が高いシアンの階調データを示している。これに対して、実線はイエロー、マゼンタ、シアンの各色の濃度階調を示している。図7の(a)に示すように、イエロー濃度は、シアン濃度に比較して濃度が低い方向へ大きく乖離している。このため、黒色の目標階調255の時の濃度は、理想的な値DYmaxよりも低いD0であった。これに対して、図7の(b)に示すように、マゼンタ濃度は、シアン濃度とほとんど同じである。図7の(a)、(b)、(c)に示す3つの測定結果から、回収トナーを混合して現像・定着された黒色は、イエローの補色である青味がかった黒色になっていることが分る。
【0084】
図8の(a)はイエローの露光の信号レベルとイエローの濃度階調との関係を示すテーブルであって、破線はYの目標階調(露光階調)に対する定着画像の濃度の関係を示している。制御部71には、図8の(a)に示すように、イエローの濃度階調とイエローの露光の信号レベル(目標階調又は露光階調)との関係を示すテーブルが予め記録されている。
【0085】
制御部71は、イエローの濃度階調において、図7の(a)に示すように、実線と破線との差分濃度を求める。そして、図7の(a)に示す差分濃度と図8の(a)に示すテーブルとから、図8の(a)に示すように、差分濃度を相殺するために必要な露光の信号レベル(目標階調、露光階調)を求める(S403)。
【0086】
図7の(a)に示すように、ブラックの最大信号の255では、イエロー濃度がD0であったので、理想のDYmaxとの差分(DYmax−D0)で図8の(a)の破線を参照して、対応するY信号レベルSY0を得る。これにより、図8の(b)に示すように、ブラックのK入力信号に対して、付加されるイエローのY出力信号の補正テーブルが形成される。この補正テーブルを用いてブラックのK入力信号に対応させたイエローのY出力信号でイエローの露光を行うことで、ブラックのK入力信号によって形成される回収トナーのトナー像を黒色化するためのイエロートナー像が形成される。
【0087】
同じ操作をマゼンタ、シアンの各色についても同様に行って、回収トナーを混合して現像・定着がされた黒色画像を黒色化するためのYMC補正テーブルを作成する。そして、ブラックの目標階調(露光階調)255に対して図8の(b)に示すように、Y信号レベルSY0が求められ、同様にM信号レベルSM0が求められ、C信号レベル0が求められたとする。
【0088】
図9に示すように、YMC補正テーブル72を用いて、ブラックの目標階調が255の画像部分に対して、Y信号レベルSY0、M信号レベルSM0、C信号レベル0で各色トナー像を形成して重ね合わせる。図9はYMC補正テーブルを概念的に示している。出力されたYMCの付加信号は、オリジナルのYMC画像信号に加算される。これにより、回収トナーを混合して現像された黒色トナー像の領域に不足する色相のトナー像が必要な量だけ重ね合わせられて、記録材に転写されて定着された後の黒色画像が黒色化される。
【0089】
制御部71は、YMC補正テーブルを用いて、再度、図6に示す補正後の黒色パッチ画像G1〜G8を作成する(S404)。補正後の黒色パッチ画像は、ブラックの階調のトナー像に補正テーブル72を用いたYMCトナー像が付加された黒色パッチ画像となっている。記録材Pに転写された黒色パッチ画像は、ブラックトナー像以外のYMCトナー像も含んでいる。しかし、定着後の黒色パッチ画像においては、すべてのトナー像が混色されて、回収トナー像の色味を持たない純粋な黒色の各階調の黒色パッチ画像G1〜G8となっている。ただし、黒色トナー像にイエロー、マゼンタのトナー像を重ねたため、黒色の目標階調255に対応する実際の最大濃度が適正な濃度より高くなっているため、適正な最大濃度に補正する必要がある。
【0090】
制御部71は、再度、図6に示す補正後の黒色パッチ画像G1〜G8を定着して、カラーセンサ60で読み取り、ブラックの最大濃度及び中間階調性を補正するためのDmax補正テーブルを作成する(S405)。
【0091】
制御部71は、一連の制御を通じて得られた調整結果として、YMC補正テーブルとDmax補正テーブルとを含むブラック色相補正データを、図4に示すコントローラ部80の記録部82に記録する(S406)。以後ブラックの画像信号に関しては、図4に示すコントローラ部80の画像処理部81において、YMC補正テーブルとDmax補正テーブルとを用いた一連の色相補正を行う。これにより、回収トナーの色相の偏りによる影響を解消して、純度が高く濃度階調が適正な黒色の定着画像を得ることが可能となる。
【0092】
図4を参照して図10に示すように、入力インターフェス部84を通じてコントローラ部80に、外部のパソコンからの電子ファイル、デジカメデータ、画像読取装置85で読み取った画像のRGBデータが取り込まれる(S801)。画像処理部81は、対数変換等の演算を含むRBG色分解処理を行って、これらのRGBデータをトナーと同じCMYKデータに変換する(S802)。画像処理部81は、RBGデータ以外のCMYKデータの場合は、この段階でRBG色分解されたCMYKデータと合流させ(S803)て、以後は同じ処理を行う。
【0093】
画像処理部81は、記録部82に格納されたICCプロファイルをもとに、オリジナルのCMYKデータをダイレクトマッピング処理して、プリンタ固有の特性を考慮したCMYKデータにダイレクトに色変換する(S804)。画像処理部81は、プリント画像のCMYKデータの出力γ-LUT補正処理を行って、電子写真特性を考慮した階調補正を行う(S805)。
【0094】
画像処理部81は、補正されたブラックの画像データ(Kデータ)に対して、記録部82に記録されているYMC補正テーブルとDmax補正テーブルとを用いた色相補正であるK色味補正処理を行う(S806)。K色味補正処理によって、回収トナーの色味を打ち消すためのKデータに応じたCMYデータが作成され、KデータのDmax制御が反映される。
【0095】
画像処理が終わった画像のYMCKデータは、プリンタ部73に転送され、CMYKの各画像形成部PY、PM、PC、PKの露光装置でレーザを制御して画像形成が実行される。
【0096】
図1を参照して図11に示すように、イエローの少ない色相の画像の連続画像形成を行って記録材に定着された画像の黒色部分でYMC濃度を測定する実験を行った。連続画像形成の開始後、貯留容器50の回収トナーは、次第にマゼンタトナー、シアントナーに比較してイエロートナーが少なくなり、イエロートナーの少ない回収トナーが黒色現像装置4Kで使用されるようになる。その結果、定着画像の黒色においてイエローの補色の青が目立ってきた。そこで、2500枚で連続画像形成を中断して、測定画像形成モードを実行し、それ以降はイエロートナー像を黒色トナー像に重ね合わせる画像形成を行わせた。
【0097】
図11において、X軸はプリント枚数であり、Y軸はプリントの途中で定期的に測定した目標階調(露光階調)255の黒色パッチ画像(定着後)のYMC濃度である。太い実線はシアン濃度D(C)、細い実線はマゼンタ濃度D(M)、破線はイエロー濃度D(Y)である。連続画像形成には様々な画像パターンを使用し、実使用環境に近い条件を再現した。プリント枚数が進むにつれ、黒色部分に青味がかかり、2500枚程度で違和感の感じるレベルとなった。そのため、表示インターフェス部83にメンテナンス画面を表示して、画面上に表示された測定画像形成モードの開始ボタンを押すことにより黒色の色味補正を行った。そして、YMC補正テーブルを用いた黒色の色味補正を行うと同時に、Dmax補正テーブルを用いた黒色の最大濃度と階調の補正も行うことにより、補正後にほぼ完全な黒色の自然なハーフトーン画像を得ることができた。
【0098】
このようにして、クリーニング装置で回収した複数色の転写残トナーが混在した回収トナーを黒色現像装置にて再利用することで、簡単、かつ、効率よく、トナー、トナー廃棄容器の廃棄をゼロ又は極力少なくすることができる。同時に、回収トナーの再利用による黒色画像の色味変化を防止し、本来の黒色に補正することが可能である。
【0099】
<実施例2>
実施例1では、ユーザーが黒色の色味の変化に気付いた時に手動で黒色の色相補正を行わせた。これに対して、実施例2では、実際の出力画像の色味の変化を間欠的に判断して、自動的に黒色の色相補正を実行する。
【0100】
図1に示すように、画像形成装置100は、フルカラーモードとブラック単色モードとを切り替えて画像形成を行う。フルカラーモードの動作については図1、図2を参照して説明したとおりである。一方、ブラック単色モードは、モノクロ画像に適用される画像形成モードであって、画像形成部PKのみを用いて、モノクロ画像の画像形成を行う。
【0101】
実施例2では、ブラック単色モードが開始されると、制御部71は、カラーセンサ60を用いて出力されるモノクロ画像のRGB輝度を測定する。そして、モノクロ画像の輝度データ(RGB)は、カラーセンサ60の読み取り特性を補正され、白地補正等の演算を経た後に、濃度データ(YMC)に変換される。
【0102】
制御部71は、同一の黒色画像部分で測定されたYMC濃度のうちの最大値と最小値との比率が所定割合を超えている場合に、黒色の色味が許容限度を越えたと判断して、連続画像形成を中断し、上述した測定画像形成モードを実行する。
【0103】
なお、同一の黒色画像部分で測定されたYMC濃度の最大値と最小値との比率が所定割合を超えている場合に、連続画像形成を中断して、表示インターフェイス部(83:図4)に黒色の色相補正を促す文章を表示してもよい。また、連続画像形成1000枚ごとのタイミングで自動的に上述した測定画像形成モードを実行してもよい。
【0104】
<実施例3>
図12は実施例3におけるパッチ画像の配置の説明図である。
【0105】
実施例1では黒色パッチ画像のみを出力して行う測定画像形成モードを説明した。これに対して実施例3では、黒色の色相補正に際して、ブラック以外のイエロー、マゼンタ、シアンの色味補正、Dmax制御などの通常の画像補正を同時に行う。
【0106】
図12に示すように、実施例3では、記録紙P上のパッチ画像も黒色のみではなくイエロー、マゼンタ、シアンのパッチ画像を同時に作成する。そして、記録材Pに一列に配置して定着された各色パッチ画像をカラーセンサ60で検出して、ブラックの色相補正と同時に、イエロー、マゼンタ、シアンの濃度の自動階調補正を行う。
【0107】
<実施例4>
図13は実施例4における測定画像形成モードの説明図である。
【0108】
実施例1では定着装置20の下流側に配置したカラーセンサ60を用いて黒色パッチ画像を測定したが、実施例4では、画像形成装置に付設された画像読取装置(フラットベッドスキャナ)を用いて黒色パッチ画像を測定する。
【0109】
図13に示すように、実施例4では、画像形成装置に元々付設されたリーダー部(画像読取装置85)を用いて画像補正を行う。画像読取装置85は、自動原稿給送装置を備えたフラットベッドスキャナで構成され、ラインセンサで読み取った原稿画像をRGB輝度データで出力する。そして、表示インターフェース部83にメンテナンス画面を開いて試験画像出力ボタンを操作すると、黒色パッチ画像が転写・定着された記録材が出力される。その後、黒色パッチ画像が形成された記録材を画像読取装置85にセットして補正画像読み込みボタンを操作すると、画像読取装置85が黒色パッチ画像を読み取って、実施例1と同様の一連の制御を行って黒色画像が色相調整される。
【産業上の利用可能性】
【0110】
トナー像を転写・定着して画像を形成するフルカラー画像形成装置。
【符号の説明】
【0111】
1Y、1M、1C、1K 像担持体(感光ドラム)
2Y、2M、2C、2K 帯電ローラ
3Y、3M、3C、3K 露光装置
4Y、4M、4C、4K 現像装置
5Y、5M、5C、5K 一次転写ローラ
6Y、6M、6C、6K クリーニング装置
7Y、7M、7C、7K トナー補給装置
8Y、8M、8C、8K 補給容器
10 中間転写ベルト
19 ベルトクリーニング装置
41Y、41M、41C、41K 43 回収トナー搬送装置
42 合流搬送装置
50 貯留容器
51 回収トナー補給装置
60 カラーセンサ
71 制御部
81 画像処理部
85 画像読取装置
P 記録材
G1〜G8 黒色パッチ画像
PY、PM、PC、PK 画像形成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の像担持体と、前記複数の像担持体に各色画像の静電像を形成する露光装置と、混色により黒色を形成可能な複数色の有彩色トナーを個別に用いて前記複数の像担持体にトナー像を現像する複数の現像装置と、トナー像を転写媒体へ転写した後の前記複数の像担持体から転写残トナーを回収する複数のクリーニング装置と、前記複数のクリーニング装置で回収された回収トナーを貯留する貯留手段と、前記貯留手段から供給された回収トナーを黒色トナーに混合して用いてトナー像を現像する黒色現像装置と、トナー像を転写された記録材を加熱加圧して定着画像を形成する定着装置とを備えた画像形成装置において、
所定濃度に対応させた露光条件で前記露光装置により露光されて前記黒色現像装置により現像されて前記定着装置により定着された黒色の定着画像を出力させる測定画像形成モードと、
前記測定画像形成モードで出力された黒色の定着画像の色相を測定する色相測定手段と、
前記色相測定手段により測定された前記色相を黒色化するように前記露光装置で用いる前記各色画像を調整する画像処理手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
1個の像担持体と、前記像担持体に各色画像の静電像を形成する露光装置と、混色により黒色を形成可能な複数色の有彩色トナーを個別に用いて前記像担持体にトナー像を現像する複数の現像装置と、トナー像を転写媒体へ転写した後の前記像担持体から転写残トナーを回収するクリーニング装置と、前記クリーニング装置で回収された回収トナーを貯留する貯留手段と、前記貯留手段から供給された回収トナーを黒色トナーに混合して用いてトナー像を現像する黒色現像装置と、トナー像を転写された記録材を加熱加圧して定着画像を形成する定着装置とを備えた画像形成装置において、
所定濃度に対応させた露光条件で前記露光装置により露光されて前記黒色現像装置により現像されて前記定着装置により定着された黒色の定着画像を出力させる測定画像形成モードと、
前記測定画像形成モードで出力された黒色の定着画像の色相を測定する色相測定手段と、
前記色相測定手段により測定された前記色相を黒色化するように前記露光装置で用いる前記各色画像を調整する画像処理手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
中間転写体と、複数の像担持体に各色画像の静電像を形成する露光装置と、混色により黒色を形成可能な複数色の有彩色トナーを個別に用いて前記複数の像担持体にトナー像を現像する複数の現像装置と、前記複数の像担持体に形成されたトナー像を前記中間転写体へ転写する転写手段と、トナー像を記録材へ転写した後の前記中間転写体から転写残トナーを回収するクリーニング装置と、前記クリーニング装置で回収された回収トナーを貯留する貯留手段と、前記貯留手段から供給された回収トナーを黒色トナーに混合して用いてトナー像を現像する黒色現像装置と、トナー像を転写された記録材を加熱加圧して定着画像を形成する定着装置とを備えた画像形成装置において、
所定濃度に対応させた露光条件で前記露光装置により露光されて前記黒色現像装置により現像されて前記定着装置により定着された黒色の定着画像を出力させる測定画像形成モードと、
前記測定画像形成モードで出力された黒色の定着画像の色相を測定する色相測定手段と、
前記色相測定手段により測定された前記色相を黒色化するように前記露光装置で用いる前記各色画像を調整する画像処理手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
中間転写体と、1個の像担持体に各色画像の静電像を形成する露光装置と、混色により黒色を形成可能な複数色の有彩色トナーを個別に用いて前記像担持体にトナー像を現像する複数の現像装置と、前記像担持体に形成されたトナー像を前記中間転写体へ転写する転写手段と、トナー像を記録材へ転写した後の前記中間転写体から転写残トナーを回収するクリーニング装置と、前記クリーニング装置で回収された回収トナーを貯留する貯留手段と、前記貯留手段から供給された回収トナーを黒色トナーに混合して用いてトナー像を現像する黒色現像装置と、トナー像を転写された記録材を加熱加圧して定着画像を形成する定着装置とを備えた画像形成装置において、
所定濃度に対応させた露光条件で前記露光装置により露光されて前記黒色現像装置により現像されて前記定着装置により定着された黒色の定着画像を出力させる測定画像形成モードと、
前記測定画像形成モードで出力された黒色の定着画像の色相を測定する色相測定手段と、
前記色相測定手段により測定された前記色相を黒色化するように前記露光装置で用いる前記各色画像を調整する画像処理手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記測定画像形成モードは、複数段階の中間階調の濃度に対応させた複数段階の露光条件を用いた複数個の定着画像を1枚の記録材上に出力させ、
前記画像処理手段は、前記複数個の定着画像の測定結果に基いて黒色画像に重ね合わせる各色画像の中間階調を調整することを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記定着装置の下流側に前記色相測定手段が配置され、
前記測定画像形成モードは、複数個の定着画像を1枚の記録材上に一列に配列して出力し、複数個の定着画像を前記色相測定手段により測定し、測定結果に基いて黒色画像に重ね合わせる各色画像の中間階調を調整するまでの一連の制御を実行することを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
調整結果に基いて形成した各色画像のトナー像を重ね合わせた黒色パッチ画像を記録材に転写して前記定着装置により定着し、出力された定着画像を前記色相測定手段により測定し、測定結果に基いて黒色画像の最大濃度が所定値になるように各色画像及び黒色画像を調整する最大濃度調整モードを有することを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−230880(P2010−230880A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−77021(P2009−77021)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】