説明

画像形成装置

【課題】外装カバーの開放に連動する1回路2接点のスイッチを用いて,該スイッチに接続された二つのモータを同時に停止させると共に,外装カバーの開放検知を迅速に行うことのできる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】安全スイッチ8は,直流電源装置7に続く直流電源供給経路を形成する正極側の電源ライン7a及び負極側のグランドライン7bに接続された接点8a及び接点8bのいずれか一方と,ステッピングモータ91及びDCモータ92の正極側に接続された接点8cとを接続するものである。具体的に,安全スイッチ8は,画像形成装置の外装カバーの閉鎖時は前記接点8a及び前記接点8cを接続することにより前記直流電源供給経路を確立し,前記外装カバーの開放時は前記接点8b及び前記接点8cを接続することによりステッピングモータ91及びDCモータ92の両端を短絡する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,外装カバーが開かれたときに感光体ドラムや中間転写ベルト等の駆動モータへの電源供給を機械的に遮断する安全スイッチを備えてなる画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に,プリンタ装置や複写機などの画像形成装置には,外装カバーが開かれたときに感光体ドラムや中間転写ベルト等の駆動モータへの電源供給を遮断する安全スイッチが設けられている。これにより,例えばユーザが駆動中の画像形成装置の外装カバーを開いたときには,画像形成部の感光体ドラムや中間転写ベルト,それらの駆動部が強制的に停止されるため,安全性を確保することができる。
ここで,例えばステッピングモータのようなパルス同期式のモータは電源供給の遮断により脱調して迅速に停止するが,例えばブラシレスモータのような非同期式のDCモータは電源供給を遮断しても慣性である程度回転し続けることになる。そのため,DCモータの回路上には該DCモータの慣性による回転によって回生電流(逆起電力)が発生する。そこで,例えば特許文献1では,このようにモータで発生する回生電流が他の負荷回路などに流れないように該回生電流を遮断するダイオードを備える構成が開示されている。
【0003】
一方,画像形成装置では,外装カバーの開放時に,制御部による画像形成処理を中断するなどの対応処理も必要となるため,制御部が外装カバーの開放を検知し得る構成が必要となる。ここで,前記安全スイッチとは別の検知スイッチを設けることも考えられるが,構成の簡素化やコスト低減の観点からはこれらを一つのスイッチで兼ねることが望ましい。
例えば特許文献2には,1回路2接点の安全スイッチを用いて,外装カバーの開放時に,モータ等の負荷の接続先を駆動電源から検知回路に切り換えることにより,該検知回路で外装カバーの開放を検知する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3293212号公報
【特許文献2】特開2004−148724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら,前記特許文献1に係る構成は,電源供給停止後のモータの慣性による回転を防止するものではない。そのため,例えば接触配置される感光体ドラム及び中間転写ベルトが,電源供給停止後の制動時間(回転停止するまでの所用時間)が異なる二つのモータによって個別に駆動される構成では,その二つのモータへの電源供給経路を一つの安全スイッチによって同時に遮断すると,いずれか一方のモータが先に停止して感光体ドラム及び中間転写ベルトが摺れて傷や摩耗が生じることが問題となる。
また,前記特許文献2に係る構成では,モータを駆動電源から遮断した後,そのモータが慣性で回転して回生電流が発生することが考えられる。この場合,モータの電圧低下に時間がかかるため,該モータの電圧が所定電圧以下になったことを検出する検知回路では,外装カバーの開放を迅速に検知することができないという問題が生じる。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,外装カバーの開放に連動する1回路2接点のスイッチを用いて,該スイッチに接続された二つのモータを同時に停止させると共に,外装カバーの開放検知を迅速に行うことのできる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は,トナー像を担持する像担持体及び該像担持体に接触して配置された中間転写体と,直流電圧を供給する直流電源装置に続く直流電源供給経路に並列接続され,前記像担持体及び前記中間転写体を個別に駆動させる第1のモータ及び第2のモータと,当該画像形成装置に設けられた外装カバーの開放及び閉鎖に連動して前記直流電源供給経路を遮断及び確立する電源遮断スイッチと,前記第1のモータ及び前記第2のモータの両端電圧が予め設定された閾値以下であることを条件に前記外装カバーの開放を検知するカバー開放検知手段とを備えてなる画像形成装置に適用されるものであって,前記電源遮断スイッチが,前記直流電源供給経路の正極側及び負極側に接続された第1の接点及び第2の接点のいずれか一方と,前記第1のモータ及び前記第2のモータの正極側に接続された第3の接点とを接続するものであって,前記外装カバーの閉鎖時は前記第1の接点及び前記第3の接点を接続することにより前記直流電源供給経路を確立し,前記外装カバーの開放時は前記第2の接点及び前記第3の接点を接続することにより前記第1のモータ及び前記第2のモータの両端を短絡するものであることを特徴とする画像形成装置として構成される。具体的には,前記第1のモータがステッピングモータであって,前記第2のモータがDCモータであることが考えられる。
これにより,前記外装カバーが開放された場合には,前記第1のモータ及び前記第2のモータの両端が短絡されることにより該第1のモータ及び第2のモータにブレーキが作用する。従って,前記第1のモータ及び前記第2のモータが,直流電源の供給停止からその回転の停止までに要する制動時間が異なるモータであっても,これらを迅速に停止させることができ,停止タイミングのずれを防止することができるため,前記像担持体及び前記中間転写体の摺れによる傷や摩耗を防止することができる。さらに,前記第1のモータ及び前記第2のモータの両端の短絡によって該両端電圧が前記閾値以下に迅速に低下することになるため,前記外装カバー開放検知手段による前記外装カバーの開放検知も迅速に行うことができる。
また,前記カバー開放検知手段によって前記外装カバーの開放が検知された後,予め設定された所定時間が経過したことを条件に,前記第1のモータ及び前記第2のモータの両端の短絡経路を遮断する短絡遮断手段を更に備えてなることが望ましい。これにより,前記第1のモータ及び前記第2のモータのブレーキを解除することができるため,例えば前記像担持体及び前記中間転写体の間に挟まった用紙などを容易に取り出すことができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば,前記外装カバーが開放された場合には,前記第1のモータ及び前記第2のモータの両端が短絡されることにより該第1のモータ及び第2のモータにブレーキが作用する。従って,前記第1のモータ及び前記第2のモータが,直流電源の供給停止からその回転の停止までに要する制動時間が異なるモータであっても,これらを迅速に停止させることができ,停止タイミングのずれを防止することができるため,前記像担持体及び前記中間転写体の摺れによる傷や摩耗を防止することができる。さらに,前記第1のモータ及び前記第2のモータの両端の短絡によって該両端電圧が前記閾値以下に迅速に低下することになるため,前記外装カバー開放検知手段による前記外装カバーの開放検知も迅速に行うことができる。
また,前記カバー開放検知手段によって前記外装カバーの開放が検知された後,予め設定された所定時間が経過したことを条件に,前記第1のモータ及び前記第2のモータの両端の短絡経路を遮断する短絡遮断手段を更に備えれば,前記第1のモータ及び前記第2のモータのブレーキを解除することができるため,例えば前記像担持体及び前記中間転写体の間に挟まった用紙などを容易に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態に係る複合機Xの概略構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施の形態に係る複合機Xにおける画像形成部5の概略構成を示す模式図。
【図3】本発明の実施の形態に係る複合機Xに設けられたモータ駆動制御回路Yの概略構成を示す回路図。
【図4】本発明の実施の形態に係る複合機Xに設けられたモータ駆動制御回路Yの変形例であるモータ駆動制御回路Zの概略構成を示す回路図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
図1に示すように,本発明の実施の形態に係る複合機Xは,制御装置1,操作表示部2,画像読取部3,画像処理部4,画像形成部5,定着装置6,直流電源装置7などを備える電子写真方式の画像形成装置である。前記複合機Xは,本発明に係る画像形成装置の一例に過ぎず,その他プリンタ装置,複写機,ファクシミリ装置などの画像形成装置にも本発明が適用可能である。
前記制御装置1は,CPU及びROM,RAM等の周辺装置を有してなり,該CPUによってROMに格納された所定の制御プログラムに従った処理を実行することにより当該複合機Xを統括的に制御する。
前記直流電源装置7は,不図示のAC電源などから供給されるAC電圧を所定の直流電圧に変換し,その直流電圧を前記複合機Xにおける各種構成要素に供給する。例えば,前記直流電源装置7は,後述のステッピングモータ91及びDCモータ92に直流電圧を供給する駆動電源として用いられる。
【0010】
前記操作表示部2は,前記制御装置1からの指示に応じて各種の情報の表示を行う液晶ディスプレイや,前記制御装置1に対する処理要求などのユーザ操作を行うためのタッチパネルやキースイッチ(スタートキー等)などを有している。
前記画像読取部3は,原稿台やADF(自動搬送装置)にセットされた原稿から画像データを読み取るCCD等を有しており,原稿から読み取った原稿の画像データを前記画像処理部4に入力する。
前記画像処理部4は,前記画像読取部3によって読み取られた原稿の画像データに対して各種の画像処理を施すものであって,該画像処理部4で画像処理が施された後の画像データは前記画像形成部5に入力される。
前記画像形成部5は,前記画像処理部4で画像処理が施された後の画像データに基づいて用紙にトナー像(現像剤)を形成するものであって,前記定着装置6は,前記画像形成部5によってトナー像が形成された用紙にそのトナー像を溶融定着させる。
【0011】
ここで,図2を用いて,前記画像形成部5の詳細について説明する。
図2に示すように,前記画像形成部5は,並設された複数の感光体ドラム51に異なる色のトナー像を形成し,そのトナー像を走行中の中間転写ベルト61(中間転写体の一例)へ順次重ね合わせて転写するタンデム方式の画像形成部である。図2に示す例では,前記中間転写ベルト61の駆動方向(矢印R1方向)の下流側から順に,ブラック(Bk),イエロー(Y),シアン(C),マゼンタ(M)に対応する4つの画像形成ユニット50が一列に配置されている。
前記画像形成ユニット50各々は,トナー像を担持する感光体ドラム51(像担持体の一例),その感光体ドラム51の表面を帯電させる帯電装置52,帯電された感光体ドラム51の表面を露光して静電潜像を書き込む露光装置53,感光体ドラム51上の静電潜像をトナーにより現像する現像装置54,前記感光体ドラム51上のトナー像を前記中間転写ベルト61に転写する一次転写装置55などを備えている。
前記感光体ドラム51各々は,入力されたパルス信号に同期して回転するステッピングモータ91(第1のモータに相当,図3参照)に各種のギアを介して連結されており,該ステッピングモータ91によって回転駆動される。なお,前記感光体ドラム51の回転駆動には,前記中間転写ベルト61などの駆動に比べて要求されるトルクが小さくてよいため,後述のDCモータ92よりも安価なステッピングモータ91を用いている。また,前記感光体ドラム51の回転駆動には細かい制御分解能が要求されることもあるため,パルス同期式のステッピングモータ91を用いることが望ましい。
【0012】
一方,前記中間転写ベルト61は,ベルト駆動ローラ62及び二つのベルト従動ローラ63によって張架され,その表面が前記感光体ドラム51各々の表面と接触した状態で配置されている。そして,前記中間転写ベルト61は,前記ベルト駆動ローラ62の回転駆動によって,その表面が前記感光体ドラム51各々の表面に接しながら走行する。これにより,前記中間転写ベルト61の表面上には,前記感光体ドラム51各々からのトナー像が順次重ね合わせられることによりカラー画像が形成される。その後,前記中間転写ベルト61に転写されたトナー像は,不図示の二次転写装置によって用紙に転写される。
前記ベルト駆動ローラ62は,直流電源供給の有無及び前記制御装置1からの制御信号の有無に応じて駆動/停止する非同期式のDCモータ92(第2のモータに相当,図3参照)に各種のギア或いは減速機などを介して連結されており,該DCモータ92によって回転駆動される。なお,前記中間転写ベルト61の走行駆動には,前記感光体ドラム51などの駆動に比べて大きなトルクが要求されるため,前記ステッピングモータ91より高いトルクを発揮するDCモータ92を用いている。
また,前記中間転写ベルト61,前記ベルト駆動ローラ62及び前記ベルト従動ローラ63に換えて,前記感光体ドラム51各々が周方向に順に配置された中間転写ローラ(中間転写体の一例)を用いることも他の実施例として考えられる。この場合には,前記中間転写ローラを回転駆動するためのモータが第2のモータに相当する。
【0013】
そして,前記複合機Xは,前記画像形成部5の前記感光体ドラム51各々及び前記中間転写ベルト61を駆動するための前記ステッピングモータ91及び前記DCモータ92を制御するモータ駆動制御回路Yを備えている。以下,図3を参照しつつ,前記モータ駆動制御回路Yについて説明する。
図3に示すように,前記モータ駆動制御回路Yは,前記制御装置1,前記直流電源装置7,前記ステッピングモータ91,前記DCモータ92,分圧回路93,及び安全スイッチ8(電源遮断スイッチの一例)などを含んでいる。
前記モータ駆動制御回路Yにおいて,前記ステッピングモータ91及び前記DCモータ92の両端は,これらのモータ各々に直流電圧を供給する直流電源装置7の正極及び負極に続く電源ライン7a及びグランドライン7bに並列接続されている。前記モータ駆動制御回路Yでは,前記電源ライン7a及び前記グランドライン7bによって,前記直流電源装置7から前記ステッピングモータ91及び前記DCモータ92への直流電源供給経路が形成されている。さらに,前記露光装置53に設けられるレーザダイオードなどの他の負荷が前記ステッピングモータ91及び前記DCモータ92に並列接続される構成であってもよい。
【0014】
前述したように,前記ステッピングモータ91及び前記DCモータ92は,前記感光体ドラム51及び前記中間転写ベルト61を個別に駆動させるものである。前記ステッピングモータ91は,前記直流電源装置7からの直流電源が供給されている状態で前記制御装置1からパルス信号が入力されることにより,該パルス信号に同期して回転駆動し,前記感光体ドラム51を回転駆動させる。一方,前記DCモータ92は,前記直流電源装置7からの直流電源が供給されている状態で前記制御装置1から制御信号が入力されることで回転駆動し,前記ベルト駆動ローラ62を回転駆動させることにより前記中間転写ベルト61を走行駆動させる。
ここで,通常のモータ起動時/停止時には,前記DCモータ92の慣性に合わせて前記ステッピングモータ91をスローアップ/スローダウンすることにより,前記ステッピングモータ91及び前記DCモータ92の回転のズレを防止することができる。
しかし,前記複合機Xの外装カバーが開かれた場合などに,強制的に前記ステッピングモータ91及び前記DCモータ92への電源供給を遮断すると,前記ステッピングモータ91は前記直流電源装置7からの直流電源供給の停止後すぐに脱調して停止するが,前記DCモータ92は前記直流電源装置7からの電源供給の停止後も慣性である程度回転することになる。そのため,前記ステッピングモータ91及び前記DCモータ92への直流電源の供給を同時に遮断するだけでは,それらの回転が停止するまでの制動時間にずれが生じる。そこで,本発明の実施の形態に係る前記複合機Xでは,前記安全スイッチ8によって係る問題を解決している。
【0015】
前記安全スイッチ8は,前記複合機Xに設けられた外装カバーの開放及び閉鎖に連動して,前記直流電源装置7と前記ステッピングモータ91及び前記DCモータ92との間に形成された前記直流電源供給経路を遮断及び確立する。なお,前記安全スイッチ8は,前記外装カバーに接触したか否かに応じて接続状態が変化するマイクロスイッチなどである。前記外装カバーは,主に前記複合機Xのメンテナンスのために該複合機Xの筐体に開閉自在に設けられたものであって,例えば前記画像形成部5における紙詰まり時などにその詰まった用紙を除去するためにユーザによって開閉されるものである。
具体的に,前記安全スイッチ8は,前記直流電源装置7の正極側に続く電源ライン7aに接続された接点8a(第1の接点)と,前記直流電源装置7の負極側に続くグランドライン7bに接続された接点8b(第2の接点)とのいずれか一方を,前記ステッピングモータ91及び前記DCモータ92の正極側に接続された接点8c(第3の接点)に接続する1回路2接点型の切換スイッチである。
【0016】
一方,前記分圧回路93は,前記ステッピングモータ91及び前記DCモータ92の両端に並列接続されている。前記分圧回路93は,直列接続された二つの抵抗を有しており,該抵抗の中点の電位を前記制御装置1に入力する。
これにより,前記制御装置1は,前記分圧回路93からの入力電圧によって,前記ステッピングモータ91及び前記DCモータ92の両端電圧が予め設定された閾値以下であるか否かを判断し,前記外装カバーの開放及び閉鎖を検知する。
具体的に,前記制御装置1は,前記分圧回路93からの前記入力電圧が予め設定された検知電圧以下である場合に,前記ステッピングモータ91及び前記DCモータ92の両端電圧が前記閾値以下であり,前記外装カバーが開放状態であることを検知する。ここに,係る検知を行うときの前記制御装置1がカバー開放検知手段に相当する。
【0017】
以下,このように構成された前記複合機Xの前記外装カバーの開閉時における前記モータ駆動制御回路Yの動作を説明する。
前記複合機Xの前記外装カバーの閉鎖時,前記安全スイッチ8は,前記接点8a及び前記接点8cを接続することにより,前記直流電源装置7と前記ステッピングモータ91及び前記DCモータ92との間に形成された前記直流電源供給経路を確立する。
従って,前記外装カバーの閉鎖時には,前記制御装置1によって前記直流電源装置7が制御されて前記ステッピングモータ91及び前記DCモータ92に直流電源が供給され,前記制御装置1から前記ステッピングモータ91へのパルス信号の入力がなされることにより,前記ステッピングモータ91及び前記DCモータ92が回転駆動する。
【0018】
一方,前記外装カバーの開放時,前記安全スイッチ8は,前記接点8b及び前記接点8cを接続することにより,前記直流電源供給経路を遮断すると共に前記ステッピングモータ91及び前記DCモータ92の両端を短絡させる。
そのため,前記ステッピングモータ91及び前記DCモータ92の回転駆動中に前記外装カバーが開放された場合には,前記ステッピングモータ91及び前記DCモータ92への直流電源の供給が停止されると共に,前記ステッピングモータ91及び前記DCモータ92各々に短絡ブレーキが作用し,該ステッピングモータ91及びDCモータ92が迅速に停止する。従って,前記ステッピングモータ91及び前記DCモータ92各々がほぼ同時に停止することとなり,前記ステッピングモータ91及び前記DCモータ92の制動時間のずれが防止されるため,前記感光体ドラム51及び前記中間転写ベルト61の摺れによる傷や摩耗が防止される。
さらに,前記ステッピングモータ91及び前記DCモータ92の両端が前記グランドライン7bに接続されることにより該両端の電位が0となるため,前記分圧回路93から前記制御装置1への入力電圧が迅速に低下することになる。従って,前記制御装置1は,前記分圧回路93からの入力電圧によって前記外装カバーの開放検知を迅速に行うことができる。
なお,本実施の形態では,前記感光体ドラム51及び前記中間転写ベルト61の駆動用モータとして,異種類の前記ステッピングモータ91及び前記DCモータ92を用いる場合を例に挙げて説明したが,これらに換えて同種類のモータを用いる場合でも,その制動時間が異なる場合には本発明を適用することで同様の効果を得ることができる。例えば,トルク容量が異なる同種類の二つのDCモータ或いは二つのステッピングモータを用いることが考えられる。
【実施例】
【0019】
ここに,図4は,前記モータ駆動制御回路Yの他の例を示すモータ駆動制御回路Zの概略構成を示す回路図である。なお,前記モータ駆動制御回路Yと同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
当該モータ駆動制御回路Zは,前記安全スイッチ8の接点8bと前記グランドライン7bとの間にトランジスタ94を備えている点で前記モータ駆動制御回路Yと異なる。そして,前記トランジスタ94は,ベース端子が前記制御装置1,コレクタ端子が前記安全スイッチ8の接点8b,エミッタ端子が前記電源ライン11bに接続されている。
一方,前記制御装置1は,前記外装カバーの開放を検知していない場合,即ち前記外装カバーの閉鎖時には,前記トランジスタ94のベース端子にベース電流を入力することにより,該トランジスタ94のコレクタ−エミッタ間を導通させる。しかし,前記制御装置1は,前記分圧回路93からの入力電圧によって前記外装カバーの開放を検知すると,その後,予め設定された所定時間が経過したことを条件に,前記トランジスタ94のベース端子へのベース電流の入力を停止することにより,該トランジスタ94のコレクタ−エミッタ間の導通を遮断し,前記ステッピングモータ91及び前記DCモータ92の両端の短絡経路を遮断する。ここに,係る処理を実行するときの前記制御装置1が短絡遮断手段に相当する。
なお,前記所定時間は,例えば前記ステッピングモータ91や前記DCモータ92にブレーキが作用してその回転が停止するまでに要する制動時間と同程度の時間である。
その後,前記制御装置1は,前記外装カバーの閉鎖を条件に前記トランジスタ94のベース端子へのベース電流の入力を再開する。
【0020】
このように構成された前記モータ駆動制御回路Zでは,前記外装カバーの開放時には,前記安全スイッチ8によって前記接点8b及び前記接点8cが接続されることにより,前記トランジスタ94のコレクタ−エミッタ間を通じて前記ステッピングモータ91及び前記DCモータ92の両端を接続する短絡経路が確立する。これにより,前記ステッピングモータ91及び前記DCモータ92は短絡ブレーキによって迅速に停止される。この点は,前記モータ駆動制御回路Yと同様である。
しかし,その後,前記所定時間が経過すると,前記制御装置1から前記トランジスタ94のベース端子へのベース電流の入力が停止されることにより,該トランジスタ94のコレクタ−エミッタ間の導通が遮断され,前記ステッピングモータ91及び前記DCモータ92の両端を接続する短絡経路が遮断される。そのため,前記ステッピングモータ91及び前記DCモータ92のブレーキは解除される。
従って,前記モータ駆動制御回路Zを有する前記複合機Xでは,例えばユーザが前記外装カバーを開放した場合,前記ステッピングモータ91及び前記DCモータ92が短絡ブレーキによって迅速に停止した後は,そのブレーキが解除されるため,ユーザは,前記DCモータ92や前記ステッピングモータ91によって駆動される前記感光体ドラム51及び前記中間転写ベルト61などのローラ対の間に挟まった用紙などを容易に抜き出すことが可能となる。
なお,ここでは,前記ステッピングモータ91及び前記DCモータ92の短絡経路を遮断するための電子部品としてトランジスタ94を用いているが,これに限らず例えばFETや継電器,その他のスイッチなどを用いることが考えられる。
【符号の説明】
【0021】
1…制御装置
2…操作表示部
3…画像読取部
4…画像処理部
5…画像形成部
51…感光体ドラム
52…帯電装置
53…露光装置
54…現像装置
55…一次転写装置
61…中間転写ベルト
62…ベルト駆動ローラ
63…ベルト従動ローラ
6…定着装置
7…直流電源装置
7a…電源ライン
7b…グランドライン
8…安全スイッチ
8a,8b,8c…接点
91…ステッピングモータ
92…DCモータ
93…分圧回路
94…トランジスタ
X…複合機(画像形成装置の一例)
Y,Z…モータ駆動制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する像担持体及び該像担持体に接触して配置された中間転写体と,直流電圧を供給する直流電源装置に続く直流電源供給経路に並列接続され,前記像担持体及び前記中間転写体を個別に駆動させる第1のモータ及び第2のモータと,当該画像形成装置に設けられた外装カバーの開放及び閉鎖に連動して前記直流電源供給経路を遮断及び確立する電源遮断スイッチと,前記第1のモータ及び前記第2のモータの両端電圧が予め設定された閾値以下であることを条件に前記外装カバーの開放を検知するカバー開放検知手段とを備えてなる画像形成装置であって,
前記電源遮断スイッチが,前記直流電源供給経路の正極側及び負極側に接続された第1の接点及び第2の接点のいずれか一方と,前記第1のモータ及び前記第2のモータの正極側に接続された第3の接点とを接続するものであって,前記外装カバーの閉鎖時は前記第1の接点及び前記第3の接点を接続することにより前記直流電源供給経路を確立し,前記外装カバーの開放時は前記第2の接点及び前記第3の接点を接続することにより前記第1のモータ及び前記第2のモータの両端を短絡するものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1のモータがステッピングモータであって,前記第2のモータがDCモータである請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記カバー開放検知手段によって前記外装カバーの開放が検知された後,予め設定された所定時間が経過したことを条件に,前記第1のモータ及び前記第2のモータの両端の短絡経路を遮断する短絡遮断手段を更に備えてなる請求項1又は2のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−231036(P2010−231036A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−79234(P2009−79234)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】