説明

画像形成装置

【課題】第2現像ローラのスリーブ上に付着したトナーを安定かつ効果的に除去し得る画像形成装置を提供すること。
【解決手段】現像剤が供給部13bから剥離ローラ13fへと流れる流路R3を形成する流路形成手段を備え、流路形成手段は、クリーニングモード時に、第1現像ローラ13dの動作を停止した後供給部13bの現像剤を剥離ローラ13fに供給して剥離ローラ13fの剥離スリーブ131fに磁気ブラシを形成させることにより、磁気ブラシを第2現像ローラ13eの第2スリーブ131eに摺擦させて第2現像ローラ13eの第2スリーブ131eに付着するトナーを除去する画像形成装置100とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成処理の高速化に伴い、現像領域に設ける現像ローラを2本にして現像性を確保し得る画像形成装置が提案されている。なお、ここでいう現像性とは、適正な量のトナーを現像する性能をいう。
【0003】
現像領域に2本の現像ローラを有する1つの構成例として、現像剤は、現像剤を供給する供給部、現像剤の流量を規制する規制部、潜像担持体にトナー像を現像する第1現像ローラ及び第2現像ローラ、現像後に第2現像ローラに残った現像剤を回収する回収部、の各部を一方向に経由する流路を流れる。
【0004】
ここで、規制部は一般に、第1現像ローラには隣接して設置され、第1現像ローラから現像剤の供給を受ける第2現像ローラには設置されない。規制部を2箇所に設置すると現像装置を著しく大型化させてしまい、また、現像剤の劣化を促進させてしまう等の問題が生じるためである。
【0005】
規制部の設置により、第1現像ローラではローラ表面に付着したトナーが除去される利点がある。厳密には、規制部により形成される現像剤溜りが第1現像ローラの表面に回転可能に設けられたスリーブと摺擦することにより、スリーブ上に付着したトナーが除去される。
【0006】
一方、第2現像ローラには規制部が隣接して設置されないため現像剤溜りが形成されず、スリーブ上でトナー汚染が発生する。トナー汚染が進行すると下地カブリやスリーブ表面のトナー汚染による現像剤搬送量低下が発生し、現像性の低下に繋がる。
2本の現像ローラを設けて構成される画像形成装置では、第2現像ローラのスリーブ上のトナー汚染をいかにして解消するかが現像性確保の課題となる。
【0007】
特許文献1によれば、現像剤回収モード時に現像ローラ(第2現像ローラ)と搬送ローラ(回収部)との間で現像剤溜りを形成させ、現像剤溜りによってスリーブ上に付着したトナーを取り込んで除去する技術が開示されている(特許文献1参照)。
【0008】
また、特許文献2によれば、2本の現像ローラが設けられた現像装置において、トナー除去モード時に第2現像ローラのスリーブ上に付着したトナーを潜像担持体、又は第1現像ローラへ電気的に転移させる技術が開示されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2000−66508号公報
【特許文献2】特開2006−139227号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1の技術では、スリーブ上に付着したトナーの取り込み効果が次第に低下してしまう問題がある。現像ローラと搬送ローラとの間で形成させる現像剤溜りでは、取り込み可能なトナーの量に上限があるためである。
また、特許文献2の技術では、現像剤溜りのように物理的な除去方法ではなく電気的な除去方法であるため、トナーを効果的に除去できない場合がある。
【0010】
本発明の課題は、第2現像ローラのスリーブ上に付着したトナーを安定して効果的に除去し得る画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
潜像担持体の外周面に対向して隣接配置され、内部に複数の磁極が設けられた第1のローラ及び第2のローラと、前記第1のローラ及び前記第2のローラに現像剤を供給する供給部と、を備え、前記第1のローラ及び第2のローラの回転動作と磁気作用によって、前記潜像担持体の外周面と前記第1のローラ及び第2のローラとの対向面の隙間に前記現像剤を搬送する画像形成装置において、
前記第2のローラに対向して隣接配置され、ローラ上に磁気ブラシを形成可能とする第3のローラと、
前記第2のローラ上に付着したトナーを除去するクリーニングモード時に、前記第1のローラの回転を停止させた後、前記供給部からの現像剤を前記第2のローラと前記第3のローラとの対向面の隙間に搬送し、当該搬送された現像剤によって形成された前記第3のローラ上の磁気ブラシを前記第2のローラ上に摺擦させることで前記第2のローラ上のトナーを除去する流路を形成する流路形成手段と、
を備える画像形成装置が提供される。
【0012】
また、本発明によれば、潜像担持体の外周面に対向して隣接配置され、内部に複数の磁極が設けられた第1のローラ及び第2のローラと、前記第1のローラ及び前記第2のローラに現像剤を供給する供給部と、を備え、前記第1のローラ及び第2のローラの回転動作と磁気作用によって、前記潜像担持体の外周面と前記第1のローラ及び第2のローラとの対向面の隙間に前記現像剤を搬送する画像形成装置において、
前記第2のローラ上に付着したトナーを除去するクリーニングモード時に、前記第1のローラの回転を所定期間停止させた後、前記第1のローラの回転を再開させるとともに前記供給部からの現像剤を前記第1のローラと前記第2のローラとの対向面の隙間に搬送し、当該搬送された現像剤によって形成された前記第1のローラ上の磁気ブラシを前記第2のローラ上に摺擦させることで前記第2のローラ上のトナーを除去する流路を形成する流路形成手段と、
を備える画像形成装置が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、現像領域に2本の現像ローラ及び剥離ローラを備えた画像形成装置において、第2現像ローラに付着したトナーを除去するクリーニングモード時に、現像剤が供給部から剥離ローラへ直接流れる流路を形成することができる。
形成した流路に現像剤を流して剥離ローラのスリーブ上に磁気ブラシを形成させることで、磁気ブラシを用いた物理的な除去方法により第2現像ローラのスリーブ上に付着したトナーを安定して効果的に除去することができる。
【0014】
また、本発明によれば、現像領域に2本の現像ローラ備えた画像形成装置において、第2現像ローラに付着したトナーを除去するクリーニングモード時に、現像剤が供給部から第1現像ローラにのみ流れる流路を形成することができる。
形成した流路に現像剤を流して第1現像ローラのスリーブ上に磁気ブラシを形成させることで、磁気ブラシを用いた物理的な除去方法により第2現像ローラのスリーブ上に付着したトナーを安定して効果的に除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
<第1実施形態>
図1に、画像形成装置100の概略断面図を示す。
画像形成装置100は、イエロー作像部Ye、マゼンダ作像部Ma、シアン作像部Cy、ブラック作像部Keを備え、各作像部Ye、Ma、Cy、Keは、中間転写体20の移動方向に沿って設けられる。
各作像部Ye、Ma、Cy、Keは、何れも同一の構成及び機能を有するため、以下、イエロー作像部Yeを例に挙げて構成及び機能を説明する。
【0016】
イエロー作像部Yeは、感光体10、帯電装置11、露光装置12、現像装置13、クリーニング装置14、一次転写ローラ15等を備えて構成される。各装置は、感光体10の回転方向に沿って感光体10の周囲に設置される。
【0017】
帯電装置11は感光体10の表面を均一に帯電し、露光装置12は帯電された感光体10を露光して潜像を形成する。
現像装置13は、露光装置12によって、感光体10に形成された潜像を現像する。なお、本実施形態における現像装置13の詳細な構成及び動作については、図2以降において後述する。
【0018】
クリーニング装置14は、中間転写体20に転写されずに感光体10の表面に残存するイエローのトナーを回収/除去する。
【0019】
一次転写ローラ15は、感光体10に形成されたイエローのトナー像を中間転写体20に転写する。
【0020】
中間転写体20はベルト形状であり、中間転写体20上に形成されたモノクロ/フルカラーのトナー像を二次転写ローラ16に搬送する。
二次転写ローラ16は、中間転写体20に転写されたトナー像を用紙Pに転写する。定着装置30は、転写後の用紙P上に形成されたトナー像を定着する。
【0021】
図2に、現像装置13の概略構成図を示す。
現像装置13は、攪拌部13a、供給部13b、規制部13c、第1現像ローラ13d、第2現像ローラ13e、剥離ローラ13f、現像剤供給補助磁性体13g等を備えて構成される。また、制御部1は、第1現像ローラ13d、第2現像ローラ13e、及び剥離ローラ13fに供給される駆動電流を制御する。
【0022】
攪拌部13aは、スクリューを備えて構成され、非磁性トナーと磁性キャリアとをスクリューにより一定の比率で攪拌する。
供給部13bは、スクリューを備えて構成され、攪拌部13aから現像剤を受け取り、スクリューにより第1現像ローラ13dに現像剤を供給する。
【0023】
規制部13cは、供給部13bから第1現像ローラ13dに供給される現像剤の流量を規制する。なお、規制部13cは、現像剤の流量を規制することにより現像剤溜りLを形成する。形成された現像剤溜りLは、第1現像ローラ13dの第1スリーブ131dと摺擦され、第1スリーブ131d上に付着する現像剤を除去する。
【0024】
第1現像ローラ13dは、内部に固定された複数の磁極を有し、表面には第1スリーブ131dを回転可能に設けて構成される。
【0025】
図3Aに、第1現像ローラ13dの概略構成図を示す。
第1現像ローラ13dは、ローラの軸に張り合わせた複数の扇型の磁極を有し、表面に回転可能な第1スリーブ131dを設けて構成される。図示されている「N」及び「S」は極性を示す。また、同極性の番号違い(例えばN1とN2)は、磁束密度[mT]が異なることを示す。なお、磁極のない部分NMは、空隙であっても、非磁性部材を組み込むこととしてもよい。
表1に、第1現像ローラ13dの各磁極の磁束密度[mT]を示す。
【表1】

【0026】
第1現像ローラ13dは、固定された複数の磁極と第1スリーブ131dの回転動作によって、現像剤を搬送し、感光体10に形成された潜像を現像する。
また、第1現像ローラ13dは、現像剤を第2現像ローラ13eに供給する。
【0027】
第2現像ローラ13eは、磁極の配置及び各磁極の磁束密度[mT]が異なる他、第1現像ローラ13dと同様の構成である。
表2に、第2現像ローラ13eの各磁極の磁束密度[mT]を示す。
【表2】

【0028】
第2現像ローラ13eは、第1現像ローラ13dと対向して隣接配置され、現像剤を第1現像ローラ13dから受け取る。そして、第2現像ローラ13eは、受け取った現像剤を用いて感光体10に形成された潜像を現像する。
第1現像ローラ13d及び第2現像ローラ13eの現像処理により、感光体10の表面にトナー像が形成される。
【0029】
剥離ローラ13fは、内部に固定された複数の磁極及び複数の電磁石を有し、表面には剥離スリーブ131fを回転可能に設けて構成される。
【0030】
図3Bに、剥離ローラ13fの概略構成図を示す。
剥離ローラ13fは、ローラの軸に張り合わせた複数の扇形の磁極を有し、ローラの周囲には回転可能な剥離スリーブ131fを設けて構成される。また、剥離ローラ13fは内部に電磁石EN1及び電磁石ES1を有する。電磁石EN1及び電磁石ES1に駆動電流が供給されると、電磁石EN1はN極、電磁石ES1はS極の磁性体となる。
なお、本実施形態では、第2現像ローラ13eに付着したトナーを除去するクリーニングモード時においてのみ、電磁石EN1及び電磁石ES1に駆動電流が供給され、現像時には駆動電流は供給されない。
剥離ローラ13fは、第2現像ローラ13eと対向して隣接配置され、剥離スリーブ131fを回転して第2現像ローラ13eから現像剤を回収する。
【0031】
図4に、電磁石EN1の概略構成図を示す。
電磁石EN1は、磁性部材にコイルが巻かれて構成され、剥離ローラ13fの軸方向に延在して設けられる。
図4に示すように、コイルには反時計周りの向きに駆動電流が流れる。このとき、電磁石EN1はN極の磁性体となり、剥離ローラ13fの外方向に磁界を形成する。なお、電磁石ES1は、駆動電流の流れる向きが逆向き(時計回り)である他、図4に示す電磁石EN1と同様の構成である。駆動電流の流れる向きが時計回りの場合、S極の極性体となり、剥離ローラ13fの内方向に磁界が発生することとなる。
表3に、剥離ローラ13fの各磁極、及び電磁石の磁束密度[mT]を示す。
【表3】

【0032】
現像剤供給補助磁性体13gは、供給部13bと剥離ローラ13fとの間に延在して設置される。また、現像剤供給補助磁性体13gは、S極が剥離ローラ13fの電磁石EN1と対面し、N極が供給部13bに対面するように設置される。つまり、現像剤供給補助磁性体13gは、現像剤が供給部13bから剥離ローラ13fへと流れ易くなるように、補助的な役割を担うため設置される。
【0033】
次に、図5A〜図5Cを参照して、現像時及びクリーニングモード時における現像装置13の動作と現像剤の流路について説明する。
まず、図5Aを参照して、現像時における動作と現像剤の流路について説明する。
制御部1は、現像時に第1現像ローラ13d、第2現像ローラ13e及び剥離ローラ13fに駆動電流を供給して、各ローラのスリーブを回転させる。
このとき、制御部1は現像剤が各ローラに流れる流路R1を形成する。
【0034】
次に、図5B、図5Cを参照して、クリーニングモード時における動作と現像剤の流路について説明する。
図5Bに示すように、制御部1は、クリーニングモード時に第1現像ローラ13dの駆動電流を停止して、第2現像ローラ13e及び剥離ローラ13fに駆動電流を供給する。
このとき、制御部1は現像剤が第2現像ローラ13eから剥離ローラ13fへと流れる流路R2を形成する。
【0035】
現像剤は、流路R2を流れて剥離ローラ13fにより回収される。しかし、第2スリーブ131e上には、融着して回収されないトナーが残る。
【0036】
図5Cに示すように、制御部1は、第2スリーブ131e及び剥離スリーブ131fを継続して回転させるとともに、剥離ローラ13fに組み込まれた電磁石EN1及び電磁石ES1のコイルに駆動電流を供給して磁界を形成する。
このとき、制御部1は、現像剤が供給部13bから現像剤供給補助磁性体13gを経由して、剥離ローラ13fへと流れる流路R3を形成する。
【0037】
剥離ローラ13fは、供給部13bから現像剤が供給されることにより、剥離スリーブ131f上に磁気ブラシを形成する。磁気ブラシは、第2スリーブ131eと摺擦することにより、第2スリーブ131e上に融着したトナーを除去する。
【0038】
図6に、画像形成装置100の性能評価テストの結果を示す。
性能評価テストでは、図6のサンプル画像TD1を10万枚の用紙に画像形成した後、50%の全面ハーフトーンの画像TD2を画像形成する。そして、画像形成したハーフトーンの画像TD2において、サンプル画像TD1の位置と他の位置との画像濃度差D(=TD10−TD2)を測定する。
比較対象として、サンプル画像TD1を10万枚の用紙に画像形成した後にクリーニングモードに移行してからハーフトーンの画像TD2を画像形成する実施例と、クリーニングモードに移行せずにハーフトーンの画像TD2を画像形成する比較例を用意した。
【0039】
性能評価テストの結果、実施例における画像濃度差Dは0.01となり、第2スリーブ131e上にトナーはほとんど付着していなかった。
一方、比較例における画像濃度差Dは0.05となり、サンプル画像TD1の部分以外の第2スリーブ131e上にトナーが付着していた。
【0040】
以上のように、第1実施形態によれば、クリーニングモード時に、現像剤が供給部13bから剥離ローラ13fへと流れる流路R3を形成することができる。流路R3に現像剤が流れることにより、剥離ローラ13fは、剥離スリーブ131f上に磁気ブラシを形成し、磁気ブラシを第2スリーブ131eに摺擦することができる。よって、第2スリーブ131eに付着するトナーを除去することができ、トナー汚染による画像不良を解消することができる。
【0041】
また、供給部13bから剥離ローラ13fへと現像剤を磁気的に誘導する現像剤供給補助磁性体13gと、剥離ローラ13fの内部に電磁石EN1及び電磁石ES1とを設け、制御部1が電磁石EN1及び電磁石ES1を駆動することにより流路R3を形成することができる。なお、現像剤供給補助磁性体13gは、電磁石であってもよく、電磁石の場合には制御部1がクリーニングモード時に駆動する。
【0042】
<第2実施形態>
第2実施形態について説明する。
図7に、第2実施形態における現像装置23を示す。
なお、第1実施形態と同一の構成及び動作を行うものについては同一の符号を付して図示し、説明は省略する。
【0043】
現像装置23は、回収部材23aを備える。
回収部材23aは、第2現像ローラ13eから現像剤を回収する。なお、回収部材23aは、電磁石EN1及び電磁石ES1を有さない剥離ローラ13f及び現像剤供給補助磁性体13gに置き換え可能である。
【0044】
また、現像装置23は、第2現像ローラ13eの内部に電磁石E3を有する。図7に示すように、電磁石E3は、第1現像ローラ13dの磁極N3と対面し、かつ、隣接する位置に配置される。
【0045】
電磁石E3の極性及び磁束密度[mT]は現像時とクリーニングモード時とで異なり、現像時の極性はS極、クリーニングモード時の極性はN極となる。
制御部1は、電磁石E3のコイルに流れる駆動電流の向きを現像時とクリーニングモード時とで逆向きとなるように切り替えて、極性の切り替えを行う。なお、本実施形態では、電磁石E3の磁束密度[mT]を現像時では85[mT]、クリーニングモード時では60[mT]とした。
表4に、第2現像ローラ13eの各磁極、及び電磁石の磁束密度[mT]を示す。なお、第1現像ローラの各磁極と磁束密度[mT]は、表1と同様である。
【表4】

【0046】
図8A〜図8Cを参照して、現像時及びクリーニングモード時における現像装置23の動作と現像剤の流路について説明する。
まず、図8Aを参照して、現像時における動作と現像剤の流路について説明する。
制御部1は、現像時に第1現像ローラ13d、第2現像ローラ13eに駆動電流を供給して、各ローラのスリーブを回転させる。このとき、制御部1は現像剤が各ローラを流れる流路R4を形成する。
【0047】
次に、図8B、図8Cを参照して、クリーニングモード時における動作と現像剤の流路について説明する。
図8Bに示すように、制御部1は、クリーニングモード時に第1現像ローラ13dの駆動電流を停止して、第2現像ローラ13eにのみ駆動電流を供給して第2スリーブ131eを回転させる。
このとき、制御部1は現像剤が第2現像ローラ13eから回収部材23aへと流れる流路R5を形成する。
【0048】
現像剤は、流路R5を流れて回収部材23aにより回収される。しかし、第2スリーブ131e上には、融着して回収されないトナーが残る。
【0049】
図8Cに示すように、制御部1は、第2スリーブ131eを継続して回転させるとともに、第2現像ローラ13eに組み込まれた電磁石E3のコイルに駆動電流を供給し、第1現像ローラ13dの磁極N3と電磁石E3との間で反発磁界を形成する。
このとき、制御部1は現像剤が第1現像ローラ13dから、第2現像ローラ13eを流れずに供給部13bへと流れる流路R6を形成する。
【0050】
第1現像ローラ13dは、現像剤が供給されることにより、第1スリーブ131d上に磁気ブラシを形成する。磁気ブラシは、第2スリーブ131eと摺擦することにより、第2スリーブ131e上に融着したトナーを除去する。
【0051】
以上のように、第2実施形態によれば、クリーニングモード時に、現像剤が供給部13bから第1現像ローラ13dにのみ流れる流路R6を形成することができる。流路R6の形成により、第1現像ローラ13dは、第1スリーブ131d上に磁気ブラシを形成し、磁気ブラシを第2スリーブ131eに摺擦することができる。よって、第2スリーブ131eに付着するトナーを除去することができ、トナー汚染による画像不良を解消することができる。
【0052】
また、第2現像ローラ13eの内部に、第1現像ローラの内部の磁極と対向して近接配置された電磁石E3を設け、制御部1が電磁石E3を駆動して極性をN極に切り替えることにより流路R6を形成することができる。
【0053】
<第3実施形態>
第3実施形態について説明する。
図9に、第3実施形態における現像装置33を示す。
なお、第1実施形態及び第2実施形態と同一の構成及び動作を行うものについては同一の符号を付して図示し、説明は省略する。
【0054】
現像装置33は、回転モータ2を備える。
また、第1現像ローラ13dは、第2現像ローラ13eの磁極N3と対向して隣接配置された磁極S3を有し、磁極S3に隣接する位置に磁極N2を有する。つまり、第1現像ローラ13dは、後述する回転モータ2の回転動作によって、現像時とクリーニングモード時とで磁極S3と磁極N2とを切り替え可能に有する。
【0055】
回転モータ2は、制御部1の制御により第1現像ローラ13dに駆動電流を供給し、第1現像ローラ13dを所定の角度分だけ回転させる。
第1現像ローラ13dは、所定の角度分だけ回転することで、回転前の磁極の位置に、極性の異なる磁極を配置することができる。例えば、図9に示すように、第1現像ローラ13dは、所定の角度分だけ回転することにより、回転前の磁極S3の位置に磁極N2を配置する。
表5に、第1現像ローラ13d及び第2現像ローラ13eの各磁極の磁束密度[mT]を示す。
【表5】

【0056】
図10A〜図10Cを参照して、現像時及びクリーニングモード時における現像装置33の動作と現像剤の流路について説明する。
まず、図10Aを参照して、現像時における動作と現像剤の流路について説明する。
制御部1は、現像時に第1現像ローラ13d、第2現像ローラ13eに駆動電流を供給して、各ローラのスリーブを回転させる。
このとき、制御部1は現像剤が各ローラを流れる流路R7を形成する。
【0057】
次に、図10B、図10Cを参照して、クリーニングモード時における動作と現像剤の流路について説明する。
図10Bに示すように、制御部1は、クリーニングモード時に第1現像ローラ13dの駆動電流を停止して、第2現像ローラ13eにのみ駆動電流を供給して第2スリーブ131eを回転させる。
このとき、制御部1は現像剤が第2現像ローラ13eから回収部材23aへと流れる流路R8を形成する。
【0058】
現像剤は、流路R8を流れて回収部材23aにより回収される。しかし、第2スリーブ131e上には、融着して回収されないトナーが残る。
【0059】
図10Cに示すように、制御部1は、第2スリーブ131eを継続して回転させるとともに、回転モータ2を駆動して第1現像ローラ13dに駆動電流を供給し、第1現像ローラを所定の角度分だけ回転させる。そして、制御部1は、第1現像ローラ13dの磁極N2と第2現像ローラ13eの磁極N3との間で反発磁界を形成する。
このとき、制御部1は現像剤が第1現像ローラ13dから、第2現像ローラ13eを流れずに供給部13bへと流れる流路9を形成する。
【0060】
第1現像ローラ13dは、現像剤が供給されることにより、第1スリーブ131d上に磁気ブラシを形成する。磁気ブラシは、第2スリーブ131eと摺擦することにより、第2スリーブ131e上に融着したトナーを除去する。
【0061】
以上のように、第3実施形態によれば、クリーニングモード時に、現像剤が供給部13bから第1現像ローラ13dにのみ流れる流路R9を形成することができる。流路R9の形成により、第1現像ローラ13dは、第1スリーブ131d上に磁気ブラシを形成し、磁気ブラシを第2スリーブ131eに摺擦することができる。よって、第2スリーブ131eに付着するトナーを除去することができ、トナー汚染による画像不良を解消することができる。
【0062】
また、第1現像ローラ13dの内部に設けられた磁極の位置を回転移動させる回転モータ2を制御部1が駆動して、第2現像ローラ13eと対向して隣接配置された磁極S3の位置に磁極N2を配置することにより流路R9を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】画像形成装置の概略構成図である。
【図2】現像装置の概略構成図である。
【図3A】第1現像ローラの概略構成図である。
【図3B】剥離ローラの概略構成図である。
【図4】電磁石の概略構成図である。
【図5A】現像時における動作と現像剤の流路を示す図である。
【図5B】クリーニングモード時における動作と現像剤の流路を示す図である。
【図5C】クリーニングモード時における動作と現像剤の流路を示す図である。
【図6】性能評価テストを示す図である。
【図7】現像装置の概略構成図である。
【図8A】現像時における動作と現像剤の流路を示す図である。
【図8B】クリーニングモード時における動作と現像剤の流路を示す図である。
【図8C】クリーニングモード時における動作と現像剤の流路を示す図である。
【図9】現像装置の概略構成図である。
【図10A】現像時における動作と現像剤の流路を示す図である。
【図10B】クリーニングモード時における動作と現像剤の流路を示す図である。
【図10C】クリーニングモード時における動作と現像剤の流路を示す図である。
【符号の説明】
【0064】
1 制御部
2 回転モータ
100 画像形成装置
10 感光体
13 現像装置
13a 攪拌部
13b 供給部
13c 規制部
13d 第1現像ローラ
131d 第1スリーブ
13e 第2現像ローラ
131e 第2スリーブ
13f 剥離ローラ
131f 剥離スリーブ
13g 現像剤供給補助磁性体
20 中間転写体
30 定着装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像担持体の外周面に対向して隣接配置され、内部に複数の磁極が設けられた第1のローラ及び第2のローラと、前記第1のローラ及び前記第2のローラに現像剤を供給する供給部と、を備え、前記第1のローラ及び第2のローラの回転動作と磁気作用によって、前記潜像担持体の外周面と前記第1のローラ及び第2のローラとの対向面の隙間に前記現像剤を搬送する画像形成装置において、
前記第2のローラに対向して隣接配置され、ローラ上に磁気ブラシを形成可能とする第3のローラと、
前記第2のローラ上に付着したトナーを除去するクリーニングモード時に、前記第1のローラの回転を停止させた後、前記供給部からの現像剤を前記第3のローラに搬送し、当該搬送された現像剤によって形成された前記第3のローラ上の磁気ブラシを前記第2のローラ上に摺擦させることで前記第2のローラ上のトナーを除去する流路を形成する流路形成手段と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記流路形成手段は、
前記供給部からの現像剤を前記第3のローラへと磁気的に誘導する誘導部材と、
前記第3のローラの内部において前記誘導部材と近接する位置に設けられ、駆動時に、前記誘導部材により誘導された現像剤を前記第2のローラと前記第3のローラとの対向面の隙間に磁気的に搬送する電磁石と、
前記クリーニングモード時に、前記第1のローラの回転を停止させ、かつ前記電磁石を駆動させる制御部と、
を備える請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
潜像担持体の外周面に対向して隣接配置され、内部に複数の磁極が設けられた第1のローラ及び第2のローラと、前記第1のローラ及び前記第2のローラに現像剤を供給する供給部と、を備え、前記第1のローラ及び第2のローラの回転動作と磁気作用によって、前記潜像担持体の外周面と前記第1のローラ及び第2のローラとの対向面の隙間に前記現像剤を搬送する画像形成装置において、
前記第2のローラ上に付着したトナーを除去するクリーニングモード時に、前記第1のローラの回転を所定期間停止させた後、前記第1のローラの回転を再開させるとともに前記供給部からの現像剤を前記第1のローラと前記第2のローラとの対向面の隙間に搬送し、当該搬送された現像剤によって形成された前記第1のローラ上の磁気ブラシを前記第2のローラ上に摺擦させることで前記第2のローラ上のトナーを除去する流路を形成する流路形成手段と、
を備える画像形成装置。
【請求項4】
前記流路形成手段は、
前記第2のローラの内部において前記第1のローラと近接する位置に設けられ、駆動時に、極性を切り替えることにより前記現像剤を前記第1のローラと前記第2のローラとの対向面の隙間に磁気的に搬送する電磁石と、
前記クリーニングモード時に、前記第1のローラの回転を所定期間停止させた後、前記第1のローラの回転を再開させるとともに前記電磁石を駆動させる制御部と、
を備える請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記流路形成手段は、
前記第1のローラの内部に設けられた磁極の位置を所定の角度だけ回転移動させるモータと、
前記クリーニングモード時に、前記第1のローラの回転を所定期間停止させた後、前記第1のローラの回転を再開させるとともに前記モータを駆動させる制御部と、
を備える請求項3に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【公開番号】特開2010−91941(P2010−91941A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−264047(P2008−264047)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】