説明

画像形成装置

【課題】ジョブデータを保存する際にユーザボックスの保存容量が不足している場合であっても、過去のジョブデータを削除することなく保存できる。
【解決手段】ユーザ認証を必要とした画像形成装置1であり、ユーザ自身のユーザボックスにジョブデータを保存するのに必要な空き容量が不足している場合、ジョブデータ保存領域71a内からユーザボックスの使用状況とジョブデータを保存するのに必要な保存空き容量とに基づきジョブデータの保存に適した別ユーザのユーザボックスを検索し、当該検索した別ユーザのユーザボックスにジョブデータを保存する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被記録媒体に所望の画像を形成する画像形成装置に係り、特にジョブデータを保存するユーザボックスに新たなジョブデータを保存する容量が不足している場合でも過去のジョブデータを削除することなくジョブデータを保存することができる画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、被記録媒体(各種印刷用紙や転写材)に所望の画像を形成する例えばレーザプリンタ、孔版印刷装置、インクジェットプリンタ等の画像形成装置では、情報処理装置であるパーソナルコンピュータから送信される印刷に関するジョブデータを内蔵の記憶装置に保管し、そのジョブデータに基づいて画像形成が行われている。
【0003】
また、近年ではオフィス等では1台の画像形成装置を複数のユーザが共有できるように、画像形成装置と各ユーザが使用する認証済みのコンピュータとをネットワーク接続してシステム化されており、ユーザがコンピュータを介して指示したジョブデータに基づきジョブを実行して印刷を行っている。
【0004】
このような使用形態では、各ユーザ毎のジョブデータを記憶する所定の保存容量を有するユーザボックスが記憶装置に作成されており、ユーザが所望するジョブデータを画像形成装置に送信すると、この送信されたジョブデータを各自のユーザボックスに一旦保存した後、受け付けた順にジョブを実行している。また、印刷時や各ユーザボックスの閲覧・設定等は、予め設定されたユーザ情報(ユーザIDやパスワード)を入力してユーザ認証を行なうことでプライバシーの保護やセキュリティ性の向上を図っている。
【0005】
そして、この種の画像形成装置として、送信されたジョブデータが記憶装置(HDD)に格納しきれない場合にジョブの実行前にユーザに警告して画像の読み込み及び出力の制御を変えさせたり、記憶装置の残容量に応じて蓄積されている過去の情報を適宜削減することで新たに保存可能な領域を確保するというものが提案されている(例えば下記特許文献1を参照のこと)。
【特許文献1】特開2006−293833号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の画像形成装置では、新たなジョブデータの保存に際し、自身のユーザボックスの空き容量が不足している場合、ジョブデータを保存するのに必要な容量を確保するため、自動で過去のジョブデータを削除若しくは圧縮・加工処理が行われていた。このため、ユーザボックスに例えば定期的に印刷を行うためのジョブデータを保存させてあった場合でも、新たなジョブデータを受信すると、このジョブデータを保存させるため、不要なジョブデータのみならず保存しておきたいジョブデータまで削除若しくは圧縮・加工しまうという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、ユーザボックスの保存容量が不足している場合であっても、過去のジョブデータを削除することなくジョブデータの保存が可能な画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、請求項1記載の画像形成装置は、ユーザ毎のジョブデータを保存するユーザボックスが作成されたジョブデータ保存領域を有する記憶手段を備え、前記ジョブデータを保存する際に、前記ユーザ毎に設定されたユーザ情報と前記記憶手段に記憶された認証用情報との比較により前記ユーザの認証を行う制御部を備えた画像形成装置において、
前記ユーザ自身のユーザボックスに前記ジョブデータを保存するのに必要な空き容量が不足している場合に、前記ジョブデータ保存領域内から前記ユーザボックスの使用状況と前記ジョブデータを保存するのに必要な保存空き容量とに基づき前記ジョブデータの保存に適した別ユーザのユーザボックスを検索し、当該検索した別ユーザのユーザボックスに前記ジョブデータを保存することを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の画像形成装置は、請求項1記載の画像形成装置において、前記制御部は、前記ジョブデータ保存領域内から前記ユーザボックスの使用状況に基づき前記別ユーザのユーザボックスを検索し、当該ユーザボックスのボックス情報を出力するボックス検索手段と、
該ボックス検索手段からのボックス情報に該当するユーザボックスの保存空き容量と、前記ジョブデータのデータ容量とを比較して前記ジョブデータが保存できるか否かの判別し、当該判別結果に基づく空き容量有無情報を出力する保存判別手段と、
該保存判別手段からの空き容量有無情報に基づき、前記ジョブデータの保存に適したユーザボックスに前記ジョブデータを保存するデータ処理手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の画像形成装置は、請求項1又は2記載の画像形成装置において、前記制御部は、前記別ユーザのユーザボックスに前記ユーザのジョブデータが保存されていることを、少なくとも前記別ユーザに対して通知することを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の画像形成装置は、請求項1〜3の何れかに記載の画像形成装置において、前記制御部は、削除期限を付けた状態で前記ジョブデータを前記ジョブデータの保存に適した別ユーザのユーザボックスに保存することを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の画像形成装置は、請求項4記載の画像形成装置において、さらに、前記ジョブデータを前記別ユーザのユーザボックスに所定の削除期限を付けた状態で保存したことを、当該ジョブデータのユーザに対して通知することを特徴とする。
【0013】
請求項6記載の画像形成装置は、請求項1〜5の何れかに記載の画像形成装置において、前記制御部は、前記別ユーザのユーザボックスに保存された前記ユーザのジョブデータを自身のユーザボックスに保存できるように前記ユーザのユーザボックスを整理し、前記別ユーザのユーザボックスに保存されているジョブデータを当該整理されたユーザボックスに移動することを特徴とする。
【0014】
請求項7記載の画像形成装置は、請求項1〜6の何れかに記載の画像形成装置において、前記制御部は、前記別ユーザのユーザボックスに対し、前記ジョブデータをパスワード付きで保存することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の画像形成装置によれば、自身のユーザボックスにジョブデータを保存する空き容量が不足している場合であっても、一時的に別ユーザのユーザボックスに保存することができるため、自身のユーザボックス内のジョブデータを削除することなくジョブデータを保存することができる。
【0016】
また、ジョブデータは、パスワードと削除期限を付して保存しているため、別ユーザにジョブデータが参照されることがなく、プライバシーを保護することができる。また、保存先となる別ユーザが自身のジョブデータを保存する場合でも、所定期間が過ぎればジョブデータが削除されるため、各ユーザの利便性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明に係る画像形成装置の装置構成を示す概略構成図であり、図2は同装置の機能ブロック図であり、図3は同装置における操作表示部に表示する表示例を示す説明図である。
また、図4は同装置にユーザPCからのジョブデータを保存する際の処理動作を説明するためのフローチャート図、図5はユーザPCからのジョブデータが自身のユーザボックスに保存されることを説明するための概念図であり、図6はユーザPCからのジョブデータが別ユーザのユーザボックスに保存されることを説明するための概念図であり、図7はユーザPCからのジョブデータが別ユーザのユーザボックスに保存されたことを各ユーザに通知することを説明するための概念図である。
また、図8は同装置でコピーした際のジョブデータを保存する際の処理動作を説明するためのフローチャート図であり、図9は同装置でコピーした際のジョブデータが別ユーザのユーザボックスに保存されたことを各ユーザに通知することを説明するための概念図である。
また、図10はユーザボックスを整理する際の処理動作を説明するためのフローチャート図である。
また、図11はジョブデータを移動をする際の処理動作を説明するためのフローチャート図であり、図12は別ユーザのユーザボックスから自身のユーザボックスにジョブデータが移動されることを説明するための概念図であり、図13は自身のユーザボックス内のジョブデータを選択削除することを説明するための概念図である。
【0018】
[画像形成装置の構成]
まず、本発明に係る画像形成装置の構成について、図1〜3を参照しながら説明する。
【0019】
図1、2に示すように、本例の画像形成装置1は、原稿読取部10、給紙部20、画像形成部30、排紙部40、通信部50、操作表示部60、制御部70を備え、各ユーザが使用するパーソナルコンピュータ(以下、ユーザPC80と略称する)と通信部50を介してネットワーク接続されている。また、ユーザのプライバシーの保護やセキュリティ性の向上を図るため、各ユーザ毎に認証用のユーザ情報(ユーザID及び/又はパスワード)が各ユーザ毎に設定され、ユーザ認証を行った後にジョブデータ(コピー時のスキャンデータも含む)の保存などが実施される仕様となっている。
【0020】
原稿読取部10は、透明なガラス等よりなる原稿台上に載置された原稿の画像や、原稿台に設けられた原稿自動送り装置(ADF:Auto Document Feeder)により1枚ずつ給紙される原稿に露光ランプによる光を原稿に照射し、その反射光をCCD(Charge Coupled Devices)等の撮像素子で受光することにより、原稿から画像を読み取り、読み取った画像に対応する画像データをジョブデータとして制御部70へ出力する。
【0021】
給紙部20は、装置本体の前面側から抜き差し可能で多数枚の用紙を積載して収納する給紙トレイ21、積載された用紙を1枚ずつ取り出し所定の給紙タイミングで搬送する給紙ローラ22を備え、印刷に際し、給紙ローラ22で取り出された用紙の搬送方向を搬送路に沿って規制しながら所定の給紙タイミングで画像形成部30に用紙を供給するユニットである。
【0022】
画像形成部30は、給紙部20から供給された用紙の斜行を補正し、先端を所定の印刷タイミングに合せて用紙を給紙するレジストローラ対31、例えば電子写真方式では感光体ドラムや現像装置、インクジェット方式ではインクジェットへッド、孔版印刷方式では印刷ドラムに該当し、給紙された用紙に所望の画像を印刷する画像形成手段32、周回する環状の搬送ベルト33aと搬送ベルト33aを所定方向に回動させる搬送ベルトローラ33bとが協働して用紙を搬送する搬送手段33を備え、給紙部20から供給された用紙を搬送手段33で搬送しながら画像形成手段32によって所望の画像を印刷するユニットである。
【0023】
排紙部40は、印刷が終了した用紙が排出される排紙トレイ41、印刷が終了した用紙を排紙トレイ41まで搬送する複数の排紙ローラ対42、排紙される用紙に干渉して載置位置を規制する排紙フェンス43を備え、画像形成部30において印刷が終了した用紙を搬送して排紙するユニットである。
【0024】
通信部50は、各種データの送受信を行う通信インタフェースで構成され、各ユーザが使用する認証済みのユーザPC80(図中ではユーザPC(A)〜(C)の3台であるがユーザ数に応じて任意に設置数が変更可能)との間でネットワーク(例えばEthernet(登録商標)など)を介して接続している。通信部50は、ネットワーク接続されたユーザPC80から送信されるジョブデータを受信し、この受信したジョブデータを制御部70に出力している。また、通信部50は、制御部70から出力されるユーザPC80に通知するための通知情報(ジョブデータ保存通知情報、別ユーザデータ保存通知情報、ジョブデータ保存不可通知情報)を、対応するユーザPC80にそれぞれ出力している。
【0025】
操作表示部60は、液晶ディスプレイなどの表示パネル61と、方向キー(上下左右)やテンキー、設定キーなどの操作キー62とで構成される。操作表示部60は、制御部70からの制御により、ユーザ情報入力欄やジョブデータの処理に関する内容(例えば図3(a)に示すようなジョブデータを保存する際の選択項目表示、図3(b)に示すようなジョブデータを別ユーザのユーザボックスに保存した際の通知表示、図3(c)に示すようなジョブデータを削除する際のジョブデータ一覧表示など)を表示し、この表示内容に基づきユーザがキー操作した際の操作情報を制御部70に出力している。
【0026】
図2に示すように、制御部70は、例えばCPUやROM、RAMなどで構成されたマイクロコンピュータであり、記憶手段71、認証手段72、ジョブデータ処理手段73、処理制御手段74を備えて構成される。
【0027】
記憶手段71は、例えば書き換え可能なROMやRAMなどの半導体メモリやHDDなどで構成され、各ユーザが入力するユーザ情報を認証するための認証用情報、印刷時における給紙・画像形成・排紙に係る各種制御情報、画像形成装置1の駆動に関する各種データなどを記憶している。また、記憶手段71は、ジョブデータを保存するためのユーザボックスが各ユーザ毎に作成されたジョブデータ保存領域71a(図中ではユーザPC80(A)〜(C)と対応してユーザボックスA〜Cが割り当てられる)を有し、各ユーザの所望のジョブデータが保存されている。
【0028】
このジョブデータ保存領域71aは、制御部70の制御により、ユーザPC80若しくは操作表示部60からのユーザ情報を正当に認証した場合にのみ、そのユーザからのジョブデータをユーザ自身のユーザボックスに保存している。また、ユーザ自身のユーザボックスの保存容量が不足している場合は、制御部70によってジョブデータの保存に適したユーザボックスが検索される。そして、この検索された別ユーザのユーザボックスに対し、別ユーザによる参照防止とジョブデータの保存を一時的なものとするため、予め設定されたパスワード(例えばユーザ認証時に使用するユーザ情報と同一又はユーザが個別に設定したもの)と削除期限(一定期間が経過すると自動削除するための期限)を付してジョブデータを保存している。
【0029】
認証手段72は、ユーザPC80からの出力や操作表示部60からのキー操作で得られるユーザ情報と、記憶手段71に予め記憶された認証用情報とを照合してその正当性を判別し、正常に認証されたときのみ、認証したユーザを示すユーザ識別情報をジョブデータ処理手段73に出力する。
【0030】
ジョブデータ処理手段73は、保存判別手段73a、ボックス検索手段73b、データ処理手段73cを備えて構成され、ジョブデータの保存、ユーザボックスの整理に基づくジョブデータの移動・削除などを行っている。
【0031】
保存判別手段73aは、認証手段72からのユーザ識別情報に対応するユーザボックスの保存空き容量又はボックス検索手段73bからのボックス情報に対応するユーザボックスの保存空き容量と、ジョブデータのデータ容量とを比較してジョブデータがユーザボックスに保存できるか否かの判別を行い、その判別結果に基づく空き容量有無情報(空き容量有り情報、空き容量無し情報)をデータ処理手段73cに出力している。
また、保存判別手段73aは、ボックス検索手段73bからボックス検索終了情報を入力し、このボックス検索終了情報に該当するユーザボックスにジョブデータが保存できるか否かの判別を行う。そして、判別した結果、ジョブデータが保存できないと判別すると、ジョブデータ保存領域71a内にジョブデータが保存できるユーザボックスが無いことを示すジョブデータ保存不可情報をデータ処理手段73cに出力する。
【0032】
ボックス検索手段73bは、認証したユーザ自身のユーザボックスにジョブデータが保存できなかった場合に、後述するデータ処理手段73cからのボックス検索指令により各ユーザのユーザボックスの中から使用状況(使用日時や使用頻度)に基づきユーザボックスを検索し、この検索したユーザボックスのボックス情報(ユーザ名など)を保存判別手段73aに出力している。また、ボックス検索手段73bは、使用状況に基づき検索した結果、検索したユーザボックスがジョブデータ保存領域71a内の最後のユーザボックスとなった場合、ジョブデータ保存領域71a内の全てのユーザボックスを検索が終了したことを示すボックス検索終了情報を保存判別手段73aに出力する。
【0033】
なお、ユーザボックスの検索方法としては、ジョブデータ保存領域71a内の全てのユーザボックスが対象となり、例えば使用日時の古い順に検索する方法、使用頻度の少ない順に検索する方法又はこれらを組み合わせた方法などが挙げられる。また、ユーザボックスの検索は、一度検索に該当したユーザボックスを検索対象から外し、再度検索対象となっていないユーザボックスの中から使用状況に基づき、ジョブデータの保存に適したユーザボックスの検索を行う。
【0034】
データ処理手段73cは、所定のユーザボックスにジョブデータの保存又は保存に係る各種処理、別ユーザのユーザボックスに保存されたジョブデータを本来のユーザのユーザボックスに移動する処理、ユーザボックスの整理をする時に選択されたジョブデータを削除する処理などを行っている。
【0035】
ここで、データ処理手段73cが行うジョブデータの保存・移動・削除に関する処理内容についてそれぞれ説明する。
(ジョブデータの保存処理)
保存判別手段73aから空き容量有り情報を入力した場合は、この空き容量有り情報に対応するユーザボックス(認証したユーザ自身のユーザボックス又は別ユーザのユーザボックス)にジョブデータを保存する。また、別ユーザのユーザボックスにジョブデータを保存する場合は、パスワードと削除期限を付して保存するとともに、自身のユーザボックスに保存先のユーザボックスがどのユーザのものかを示す参照用付加情報を保存する。さらに、ユーザ認証したユーザに対して別ユーザのユーザボックスに削除期限付きで保存したことを示すジョブデータ保存通知情報と、保存先のユーザに対して別ユーザのジョブデータが保存されたことを示す別ユーザデータ保存通知情報を、処理制御手段74に出力する。
一方、保存判別手段73aから空き容量無し情報を入力した場合は、ジョブデータがユーザ自身のユーザボックスやボックス検索手段73bで検索したユーザボックスに保存できないため、ジョブデータが保存できるユーザボックスを検索するべく、ボックス検索手段73bにボックス検索指令を出力する。なお、保存判別手段73aからジョブデータ保存不可情報を入力すると、ジョブデータの保存に適したユーザボックスが無いと判断し、保存不可を示すジョブデータ保存不可通知情報を処理制御手段74に出力する。
【0036】
(ジョブデータの移動処理)
別ユーザのユーザボックスにジョブデータが一時的に保存されている場合、このジョブデータを自身のジョブデータに移動するため、後述する「ジョブデータの削除処理」に基づきジョブデータを移動するための保存容量を確保した後、別ユーザのユーザボックス内のジョブデータを自身のユーザボックスに移動する。そして、自身のユーザボックスに保存されている参照用付加情報を削除する。
【0037】
(ジョブデータの削除処理)
別ユーザのユーザボックスに一時的に保存されたジョブデータの保存期間が過ぎた場合、別ユーザのユーザボックスから該当するジョブデータを削除する。また、前述した「ジョブデータの移動処理」に際し、自身のユーザボックス内を整理してジョブデータを保存する容量を確保するため、ユーザにより操作表示部60で不要なジョブデータが選択されると、この選択されたジョブデータの操作情報を操作表示部60から入力し、この入力した操作情報に基づき選択されたジョブデータをユーザボックス内から削除する。
【0038】
処理制御手段74は、原稿を読み取る際の原稿読取部10に係る制御、被記録媒体を画像形成部30に搬送する際の給紙部20に係る制御、印刷をする際の画像形成部30に係る制御、印刷後の被記録媒体を排紙する際の排紙部40に係る制御、各ユーザPC80との間において各種情報を通信する際の通信部50に係る制御、操作表示部60における表示/通知内容の表示制御やキー操作に伴う各部の制御など、画像形成装置1を構成する各部の駆動制御を行っている。
【0039】
[画像形成装置の処理動作]
次に、上述した画像形成装置1における処理動作について、図4〜13を参照しながら説明する。ここでは、ユーザ認証するユーザ(ユーザPC80やユーザボックスを含む)をユーザA、検索した結果ジョブデータの保存が可能である別ユーザ(ユーザPC80やユーザボックスを含む)をユーザBとし、ユーザPC80からジョブデータを保存する際の処理動作、コピー時に読み込んだジョブデータを保存する際の処理動作、ジョブデータを整理する際の処理動作、ジョブデータを移動する際の処理動作についてそれぞれ説明する。
【0040】
<印刷時のジョブデータ保存処理>
図4に示すように、ユーザPC80からジョブデータの保存を行う場合、まずユーザAのPCであるユーザPC(A)80からジョブデータを送信する(ST1)。次に、自身のユーザボックスAにジョブーデータを保存するため、ユーザ認証を行う(ST2)。ユーザ認証後、自身のユーザボックスAにジョブデータが保存できるか否かを判別する(ST3)。
【0041】
このとき、ジョブデータが保存できた場合は(ST3−Yes)、図5に示すように自身のユーザボックスAにジョブデータを保存して(ST4)、処理を終了する。
一方、ジョブデータが保存できなかった場合は(ST3−No)、別ユーザのユーザボックスに一時的に保存するため、使用状況に基づきユーザボックスを検索する(ST5)。そして、検索したユーザボックスにジョブデータを保存するだけの空き容量があるか否かを判別する(ST6)。
【0042】
このとき、検索したユーザボックスにジョブデータを保存する空き容量があった場合は(ST6−Yes)、図6に示すようにパスワードと削除期限を付して別ユーザのユーザボックスに保存するとともに、自身のユーザボックスAに保存先のボックス情報がどのボックスかを示す参照用付加情報を保存する(ST7)。そして、図7に示すように、ユーザAのユーザPC(A)80に対して別ユーザであるユーザBのユーザボックスBに削除期限付きで保存したことを通知するとともに、保存先のユーザBのユーザPC(B)80に対して別ユーザのジョブデータが保存されたことを通知し(ST8)、処理を終了する。
一方、検索したユーザボックスにジョブデータを保存する空き容量がなかった場合は(ST6−No)、該当したユーザボックスを検索対象から外し(ST9)、ジョブデータ保存領域71aに作成された全てのユーザボックスを検索したか否かを判別する(ST10)。
【0043】
このとき、全てのユーザボックスを検索した場合は(ST10−Yes)、ジョブデータが保存できるユーザボックスが無いため保存できない旨をユーザAに通知し(ST11)、処理を終了する。
一方、全てのユーザボックスを検索していない場合は(ST10−No)、まだ検索していないユーザボックスの中から使用状況に基づきユーザボックスを検索するため、再度ST5へ戻る。
【0044】
<コピー時のジョブデータ保存処理>
図8に示すように、コピー時にジョブデータを保存する場合、まずユーザAはコピー時のスキャンデータであるジョブデータを自身のユーザボックスAに保存するためユーザ認証を行い(ST11)、ジョブデータの保存指示を行う(ST12)。そして、この指示に基づき、自身のユーザボックスAにジョブデータが保存できるか否かを判別する(ST13)。
【0045】
このとき、ジョブデータが保存できた場合は(ST13−Yes)、図5に示すように自身のユーザボックスAにジョブデータを保存して(ST14)、処理を終了する。
一方、ジョブデータが保存できなかった場合は(ST13−No)、ユーザ入力に基づき別ユーザのユーザボックスに保存するか否かを判別する(ST15)。
【0046】
このとき、ジョブデータを別ユーザのユーザボックスに保存する場合は(ST15−Yes)、使用状況に基づきユーザボックスを検索する(ST16)。
一方、ジョブデータを別ユーザのユーザボックスに保存しない場合は(ST15−No)、次にユーザ入力に基づき自身のユーザボックスAのデータ整理を行うか否かを判別する(ST17)。
【0047】
このとき、自身のユーザボックスAのデータ整理を行う場合は(ST17−Yes)、後述する「ジョブデータの整理処理」(図10を参照)へ移動する。
一方、自身のユーザボックスAのデータ整理を行わない場合は(ST17−No)、ジョブデータを保存しないため処理を終了する。
【0048】
ST16において別ユーザのユーザボックスを検索すると、この検索したユーザボックスにジョブデータを保存するだけの空き容量があるか否かを判別する(ST18)。
【0049】
このとき、ユーザボックスにジョブデータを保存する空き容量があった場合は(ST18−Yes)、図6に示すようにパスワードと削除期限を付して別ユーザのユーザボックスに保存するとともに、自身のユーザボックスAに保存先のボックス情報がどのボックスかを示す参照用付加情報を保存する(ST19)。そして、図9に示すように、ユーザAに対して別ユーザのユーザボックスBに削除期限付きで保存したことを表示パネル61に表示するとともに、保存先のユーザBのユーザPC(B)80に対して別ユーザのジョブデータが保存されたことを通知し(ST20)、処理を終了する。
一方、検索したユーザボックスにジョブデータを保存する空き容量がなかった場合は(ST18−No)、該当したユーザボックスを検索対象から外し(ST21)、ジョブデータ保存領域71aに作成された全てのユーザボックスを検索したか否かを判別する(ST22)。
【0050】
このとき、全てのユーザボックスを検索した場合は(ST22−Yes)、ジョブデータが保存できるユーザボックスが無いので、次にユーザ入力に基づき自身のユーザボックスAのデータ整理を行うか否かを判別するため、ST17へ戻る。
一方、全てのユーザボックスを検索していない場合は(ST22−No)、まだ検索していないユーザボックスの中から使用状況に基づきユーザボックスを検索するため、再度ST16へ戻る。
【0051】
<ジョブデータ整理処理>
図10に示すように、ジョブデータの整理を行う場合(ST17においてジョブデータの整理が選択されたとき)、まずユーザボックスAに保存されているジョブデータ一覧を操作表示部60の表示パネル61に表示する(ST31)。ユーザは、この一覧の中から不要なジョブデータを選択して削除する(ST32)。そして、ジョブデータを保存するのに必要な空き容量が確保されたか否かの判別を行う(ST33)。
【0052】
このとき、保存に必要な空き容量が確保された場合は(ST33−Yes)、自身のユーザボックスAにジョブデータを保存し(ST34)、処理を終了する。
一方、保存に必要な空き容量が確保されなかった場合は(ST33−No)、ジョブデータが保存できる空き容量を確保するため、再度ST32へ戻る。
【0053】
<ジョブデータ移動処理>
図11に示すように、ジョブデータの移動を行う場合、まずユーザ認証を行う(ST41)。次に、別ユーザであるユーザBのユーザボックスBに保存されているジョブデータを移動できる空き容量が、自身のユーザボックスAにあるか否かの判別を行う(ST42)。
【0054】
このとき、自身のユーザボックスAに空き容量があった場合は(ST42−Yes)、図12に示すように自身のユーザボックスAに保存されている参照用付加情報を削除した後(ST43)、ジョブデータを自身のユーザボックスAに移動して(ST44)、処理を終了する。
一方、自身のユーザボックスAに空き容量がなかった場合は(ST42−No)、図13に示すようにジョブデータを保存する空き容量を確保するため不要なジョブデータを選択削除し(ST45)、再度ST42へ戻る。
【0055】
このように、上述した画像形成装置1は、ユーザ認証した後、自身のユーザボックスに保存する際に、ユーザ自身のユーザボックスにジョブデータが保存できない場合は、ジョブデータ保存領域71a内の全てのユーザボックスの中から使用状況と保存空き容量とに基づきジョブデータの保存に適したユーザボックスを検索する。そして、ジョブデータの保存に適したユーザボックスが検索されると、このユーザボックスにパスワードと削除期限を付して保存する。
【0056】
これにより、自身のユーザボックスにジョブデータを保存する空き容量が不足している場合であっても、一時的に別ユーザのユーザボックスに保存することができるため、自身のユーザボックス内のジョブデータを削除することなくジョブデータを保存することができる。
【0057】
また、ジョブデータは、予め設定されたパスワードと削除期限を付して保存しているため、別ユーザにジョブデータが参照される心配がなく、プライバシーを保護することができる。また、保存先となる別ユーザが自身のユーザボックスにジョブデータを保存する場合でも、所定期間が過ぎれば別ユーザのジョブデータが削除されるため、各ユーザの利便性を確保することができる。
【0058】
さらに、自身のユーザボックスの保存空き容量が不足して別ユーザのユーザボックスから自身のユーザボックスにジョブデータを移動できない場合やジョブデータ保存領域71a内の全てのユーザボックスに保存できない場合は、操作表示部60から自身のユーザボックス内の不要なジョブデータを選択削除してボックス内を整理することができるため、必要なジョブデータが削除されることがない。
【0059】
ところで、上述した形態において、別ユーザのユーザボックスに保存する際のボックス検索動作について、各ユーザの使用状況を確認した後、そのユーザボックスに保存空き容量があるか否かの判別を行う例で説明したが、別ユーザのユーザボックスに一時的に保存してユーザボックスを整理する時間的猶予を与えることができればよい。一例としては、ジョブデータを保存する空き容量があるユーザボックスを検索し、該当するボックスがあれば一時的に保存するという処理でもよい。この際、保存先のユーザの使用状況と保存したデータ容量とを鑑みて削除期限を通常よりも短く設定するような処理を行うことで、保存先のユーザの利便性に支障がないように画像形成装置1を運用することができる。
【0060】
また、上記形態では、自身のユーザボックスに保存されたジョブデータの整理を行う際に、操作表示部60に保存されたジョブデータを一覧表示し、その一覧からユーザが任意にジョブデータを選択して削除した後に別ユーザのユーザボックスに保存されたジョブデータを移動する処理について説明したが、ジョブデータの削除には使用日時よりもデータの重要度が重要であるため、例えば予め規定した重要度を各ジョブデータに設定しておくことで、保存容量が不足した場合に重要度の低い順に削除することができ、ユーザが操作することなくユーザボックスの整理を自動で行うことができる。
【0061】
以上、本願発明における最良の形態について説明したが、この形態による記述及び図面により本発明が限定されることはない。すなわち、この形態に基づいて当業者等によりなされる他の形態、実施例及び運用技術等はすべて本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明に係る画像形成装置の装置構成を示す概略構成図である。
【図2】同装置の機能ブロック図である。
【図3】同装置における操作表示部に表示する表示例を示す説明図である。
【図4】同装置にユーザPCからのジョブデータを保存する際の処理動作を説明するためのフローチャート図である。
【図5】ユーザPCからのジョブデータが自身のユーザボックスに保存されることを説明するための概念図である。
【図6】ユーザPCからのジョブデータが別ユーザのユーザボックスに保存されることを説明するための概念図である。
【図7】ユーザPCからのジョブデータが別ユーザのユーザボックスに保存されたことを各ユーザに通知することを説明するための概念図である。
【図8】同装置でコピーした際のジョブデータを保存する際の処理動作を説明するためのフローチャート図である。
【図9】同装置でコピーした際のジョブデータが別ユーザのユーザボックスに保存されたことを各ユーザに通知することを説明するための概念図である。
【図10】ユーザボックスを整理する際の処理動作を説明するためのフローチャート図である。
【図11】ジョブデータを移動をする際の処理動作を説明するためのフローチャート図である。
【図12】別ユーザのユーザボックスから自身のユーザボックスにジョブデータが移動されることを説明するための概念図である。
【図13】自身のユーザボックス内のジョブデータを選択削除することを説明するための概念図である。
【符号の説明】
【0063】
1…画像形成装置
10…原稿読取部
20…給紙部
21…給紙トレイ
22…給紙ローラ
30…画像形成部
31…レジストローラ対
32…画像形成手段
33…搬送手段(33a…搬送ベルト、33b…搬送ベルトローラ)
40…排紙部
41…排紙トレイ
42…排紙ローラ対
43…排紙フェンス
50…通信部
60…操作表示部
61…表示パネル
62…操作キー
70…制御部
71…記憶手段(71a…ジョブデータ保存領域)
72…認証手段
73…ジョブデータ処理手段(73a…保存判別手段、73b…ボックス検索手段、73c…データ処理手段)
74…処理制御手段
80…ユーザPC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ毎のジョブデータを保存するユーザボックスが作成されたジョブデータ保存領域を有する記憶手段を備え、前記ジョブデータを保存する際に、前記ユーザ毎に設定されたユーザ情報と前記記憶手段に記憶された認証用情報との比較により前記ユーザの認証を行う制御部を備えた画像形成装置において、
前記ユーザ自身のユーザボックスに前記ジョブデータを保存するのに必要な空き容量が不足している場合に、前記ジョブデータ保存領域内から前記ユーザボックスの使用状況と前記ジョブデータを保存するのに必要な保存空き容量とに基づき前記ジョブデータの保存に適した別ユーザのユーザボックスを検索し、当該検索した別ユーザのユーザボックスに前記ジョブデータを保存することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記ジョブデータ保存領域内から前記ユーザボックスの使用状況に基づき前記別ユーザのユーザボックスを検索し、当該ユーザボックスのボックス情報を出力するボックス検索手段と、
該ボックス検索手段からのボックス情報に該当するユーザボックスの保存空き容量と、前記ジョブデータのデータ容量とを比較して前記ジョブデータが保存できるか否かの判別し、当該判別結果に基づく空き容量有無情報を出力する保存判別手段と、
該保存判別手段からの空き容量有無情報に基づき、前記ジョブデータの保存に適したユーザボックスに前記ジョブデータを保存するデータ処理手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記別ユーザのユーザボックスに前記ユーザのジョブデータが保存されていることを、少なくとも前記別ユーザに対して通知することを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、削除期限を付けた状態で前記ジョブデータを前記ジョブデータの保存に適した別ユーザのユーザボックスに保存することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
さらに、前記ジョブデータを前記別ユーザのユーザボックスに所定の削除期限を付けた状態で保存したことを、当該ジョブデータのユーザに対して通知することを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記別ユーザのユーザボックスに保存された前記ユーザのジョブデータを自身のユーザボックスに保存できるように前記ユーザのユーザボックスを整理し、前記別ユーザのユーザボックスに保存されているジョブデータを当該整理されたユーザボックスに移動することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記別ユーザのユーザボックスに対し、前記ジョブデータをパスワード付きで保存することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−94872(P2010−94872A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−266521(P2008−266521)
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】