説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置の電源オンのときの無駄な消費電力を節減することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置1の電源がオフにされる直前に最後に実行された処理を設定支援するための画面の識別情報を制御部11の不揮発性メモリに記憶しておき、画像形成装置1の電源がオンにされると、その不揮発性メモリに記憶されている画面の識別情報から該画面の処理を実行するのに必要な少なくとも1つの機能部を判定し、この機能部を起動している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、省電力化を図った画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置としては、複写、原稿読取り、プリント、及び画像データ通信等の複数種の処理を選択的に実行する複合機があり、オフィスでの利便性が高められている。
【0003】
このような複合機では、その消費電力が必然的に増大することから、その一方で省電力化が図られている。例えば、記録用紙の印字処理を実行する印字部の消費電力が大きいため、画像形成装置の待機時間を計時し、待機時間が一定時間を経過すると、印字部の消費電力を低減したり、待機時間がより長くなると、印字部の電源をオフにしたり、更には他の機能部の電源もオフにして、省電力モードを設定している。
【0004】
更に、特許文献1では、省電力モードからの復帰時に、操作部の操作により指示された処理を実行する機能部だけを起動して、消費電力を節減している。例えば、操作部の操作により原稿の読取りが指示されたならば、原稿スキャナだけを起動して、原稿の読取りに必要ではない印字部等を起動せず、消費電力を節減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−333059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の画像形成装置では、画像形成装置の電源がオンにされたときに、原稿スキャナ、印字部、通信部、モデム等の全ての機能部を起動していたため、電源オンのときの消費電力が無駄に増大していた。
【0007】
また、特許文献1でも、省電力モードからの復帰時に消費電力を節減するだけであって、画像形成装置の電源がオンにされたときには全ての機能部を起動しているため、電源オンのときの消費電力を節減するには及ばなかった。
【0008】
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、画像形成装置の電源オンのときの無駄な消費電力を節減することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、稼動及び非稼動を切替え設定される複数の機能部を備える画像形成装置であって、前記各機能部のうちの前記画像形成装置の電源がオフにされる直前に稼動された機能部を記憶する記憶手段と、前記画像形成装置の電源がオンにされると、前記記憶手段に記憶されている機能部を起動する制御手段とを備えている。
【0010】
例えば、画像形成装置の電源がオフにされる直前に原稿スキャナ(機能部)が稼動されていた場合は、原稿スキャナが記憶手段に記憶され、画像形成装置の電源オンのときに、この原稿スキャナが起動される。これにより、使用頻度が高いと推定される機能部が選択的に起動され、消費電力の増大を抑えることができる。
【0011】
また、前記制御手段は、前記画像形成装置の電源がオンにされると、前記記憶手段に記憶されている機能部を除く他の機能部の起動を禁止している。
【0012】
これにより、使用頻度が低いと推定される機能部が起動されず、無駄な消費電力を確実に節減することができる。
【0013】
更に、前記各機能部を選択的に稼動させるために操作される操作手段を備え、前記制御手段は、前記他の機能部の起動を禁止した後に、この他の機能部を起動させるために前記操作手段が操作されると、この他の機能部を起動している。
【0014】
これにより、画像形成装置の使い勝手が損なわれずに済む。
【0015】
また、前記各機能部は、記録用紙に対する印字処理を行う印字部を含んでいる。
【0016】
印字部は、画像等を記録用紙に印字するものであり、その消費電力が大きい。このため、印字部(機能部)が記憶手段に記憶されているときだけに印字部が起動されれば、消費電力の節減効果が大きくなる。
【0017】
更に、前記各機能部に係わる複数の画面を表示する表示手段を備え、前記記憶手段は、前記画像形成装置の電源がオフにされる直前に前記表示手段に表示された画面に係わる少なくとも1つの機能部が稼動されると、この画面の識別情報を記憶し、前記制御手段は、前記画像形成装置の電源がオンにされると、前記記憶手段に記憶されている識別情報の画面に係わる機能部を起動している。
【0018】
このため、画像形成装置の電源がオンにされたときに、その記憶した識別情報の画面に係わる機能部を起動すれば、画像形成装置の電源がオフにされる直前に稼動された機能部を起動することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の画像形成装置によれば、各機能部のうちの画像形成装置の電源がオフにされる直前に稼動された機能部を記憶手段に記憶しておき、制御手段は、画像形成装置の電源がオンにされると、記憶手段に記憶されている機能部を起動している。例えば、画像形成装置の電源がオフにされる直前に原稿スキャナ(機能部)が稼動されていた場合は、原稿スキャナが記憶手段に記憶され、画像形成装置の電源オンのときに、この原稿スキャナが起動される。これにより、使用頻度が高いと推定される機能部が選択的に起動され、消費電力の増大を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図2A】複写処理の内容を設定したり設定操作を支援するための画面を示す図である。
【図2B】画像データ送信処理の内容を設定したり設定操作を支援するための画面を示す図である。
【図2C】画像形成装置の電源オフのときの画面を示す図である。
【図3A】図1の画像形成装置における機能部を起動するための処理手順を示すフローチャートである。
【図3B】図3Aに引き続く処理手順を示すフローチャートである。
【図4】図1の画像形成装置におけるデータテーブルを概念的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態を示すブロック図である。本実施形態の画像形成装置1は、複写、原稿読取り、プリント、及び画像データ通信等の複数種の処理を選択的に実行することが可能な複合機であり、制御部11、原稿スキャナ部12、通信部13、モデム部14、印字部15、入力操作部16、表示部17、画像処理部19、画像メモリ20、及びプログラムメモリ21等を備えている。
【0023】
制御部11は、プログラムメモリ21から各種のプログラムを読み出して実行し、画像形成装置1全体を制御する。
【0024】
原稿スキャナ部12は、原稿を読取って、原稿画像を示す画像データを出力する。通信部13は、ネットワーク22を通じてパーソナルコンピュータ等の外部端末(図示せず)に接続され、この外部端末との間で画像データを送受する。モデム部14は、電話回線網23を通じて相手側のファクシミリ端末(図示せず)に接続され、この相手側のファクシミリ端末との間で画像データを送受する。画像メモリ20は、原稿スキャナ部12から出力された画像データ、通信部13やモデム部14により送受される画像データを一時的に蓄積する。画像処理部19は、画像メモリ20に一時的に蓄積された画像データに対して各種の画像処理を施す。
【0025】
印字部15は、例えば電子写真方式により画像等を記録用紙に印字するものであり、画像メモリ20内の画像データによって示される画像を静電潜像として感光体表面に形成し、トナーにより感光体表面の静電潜像を現像して、感光体表面にトナー像を形成し、トナー像を感光体から記録用紙に転写し、記録用紙を加熱及び加圧して、トナー像を記録用紙上に定着する。
【0026】
また、印字部15は、記録用紙を積載収容した給紙カセット及び記録用紙の搬送機構を有し、給紙カセットから記録用紙を引き出して搬送供給している。この記録用紙の搬送途中で、記録用紙へのトナー像の転写、記録用紙の加圧及び加熱等が行われる。
【0027】
この印字部15は、感光体、感光体を走査するレーザスキャナ、トナー像を感光体から記録用紙に転写する転写装置、記録用紙を加熱及び加圧する定着装置、記録用紙の搬送機構等を備えていることから、その消費電力が原稿スキャナ部12や通信部13等の他の機能部の消費電力と比較して大きい。これは、主に、定着装置のヒータの消費電力が大きいためである。
【0028】
表示部17は、例えば液晶表示装置である。入力操作部16は、利用者により操作されるキーやボタン、あるいは表示部17の画面に重ねられたタッチパネル等である。制御部11は、複写、原稿読取り、プリント、画像データ通信(送信又は受信)等の複数種の処理別に、処理の内容を設定したり設定操作を支援するための画面を表示部17に表示し、入力操作部16の入力操作に応答して処理の内容を設定する。例えば、複写処理のときには、図2Aに示すような複写処理の内容を設定したり設定操作を支援するための画面31が表示部17に表示され、また画像データ送信処理(画像データ受信処理とは別に設定される)のときには、図2Bに示すような画像データ送信処理の内容を設定したり設定操作を支援するための画面32が表示部17に表示される。尚、画像形成装置1の電源がオフにされて、画像形成装置1が停止状態になったときには、図2Cに示すように表示部17の画面33もオフとなる。
【0029】
複写、原稿読取り、プリント、及び画像データ送信等の各処理は、原稿スキャナ部12、通信部13、モデム部14、印字部15、画像処理部19、及び画像メモリ20等の各機能部のいずれか1つもしくは組合せにより実行される。例えば、複写処理は、原稿を読取る原稿スキャナ部12、原稿画像を記録用紙に印字する印字部15、画像処理部19、及び画像メモリ20等により実行される。従って、複写処理を実行するには、これらの機能部が起動されている必要がある。また、画像データ送信処理は、原稿スキャナ部12、通信部13、モデム部14、画像処理部19、及び画像メモリ20等により実行されるので、これらの機能部が起動されている必要がある。
【0030】
ところで、このような画像形成装置1は、複数の機能部を有する複合機であることから、その消費電力が大きく、このために省電力化が図られることが多い。例えば、印字部15の消費電力が大きいことから、画像形成装置1の待機時間を計時し、待機時間が一定時間を経過すると、印字部15等の消費電力を低減したり、待機時間がより長くなると、印字部15の電源をオフにしたり、更には他の機能部の電源もオフにして、省電力モードを設定している。
【0031】
しかしながら、従来は、そのような省電力モードを適用しても、画像形成装置1の電源がオンにされたときには、全ての機能部が起動されるので、無駄な消費電力が生じていた。
【0032】
そこで、本実施形態では、画像形成装置1の電源がオンにされると、使用頻度が高いと推定される機能部だけを選択的に起動して、更なる省電力化を行っている。この使用頻度が高いと推定される機能部は、画像形成装置1の電源がオフにされる直前に稼動されていた機能部であって、例えば原稿スキャナ部12、通信部13、モデム部14、印字部15、画像処理部19、画像メモリ20等である。
【0033】
尚、画像形成装置1の電源がオンにされると、必ず起動される機能部がデフォルト設定されている。このデフォルト設定の機能部としては、制御部11、入力操作部16、表示部17、及びプログラムメモリ21等がある。また、画像形成装置1の電源のオンオフは、手動による電源スイッチの操作によって行われても、あるいは予め設定されたタイムスケジュールに基づき自動的に行われても構わない。
【0034】
次に、そのような省電力化のための処理手順を説明する。まず、画像形成装置1の制御部11は、画像形成装置1の稼動中に表示部17の画面を監視しており、入力操作部16の操作により該画面で設定された処理が実行されると、この画面の識別情報を制御部11に内蔵の不揮発性メモリに記憶する。そして、入力操作部16の操作により画面が切り替わって、この切り替わった画面で設定された処理が実行されると、その度に、不揮発性メモリ内の画面の識別情報を更新する。これにより、画像形成装置1の電源がオフにされたときには、稼動中の画像形成装置1で最後に実行された処理を設定支援するための画面の識別情報が制御部11に内蔵の不揮発性メモリに記憶される。
【0035】
こうして稼動中の画像形成装置1で最後に実行された処理を設定支援するための画面の識別情報が不揮発性メモリに記憶された状態で、画像形成装置1の電源がオンにされると、先に述べた必要不可欠な機能部としてデフォルト設定された制御部11、入力操作部16、表示部17、及びプログラムメモリ21等が直ちに起動される。
【0036】
このとき、制御部11は、図3A及び図3Bのフローチャートの処理手順に対応するプログラムをプログラムメモリ21から読み出して実行する。以降の処理手順は、図3A及び図3Bのフローチャートを参照しつつ説明する。尚、図3A及び図3Bのフローチャートの処理手順では、説明を簡略化するために複写処理及び画像データ送信処理だけを取上げている。
【0037】
制御部11は、画像形成装置1の電源オンで起動されると、この制御部11の不揮発性メモリを参照して、画像形成装置1で最後に実行された処理を設定支援するための画面の識別情報を取得し、この画面で設定されて最後に実行された処理が複写処理であるか否かを判定する(ステップS101)。例えば、図2Aの画面31の識別情報を取得した場合は、この画面31で設定されて最後に実行された処理が複写処理であると判定する。
【0038】
制御部11は、最後に実行された処理が複写処理であると判定すると(ステップS101で「Yes」)、この複写処理を設定支援するための図2Aの画面31を表示部17に表示する(ステップS102)。そして、制御部11は、画像形成装置1の電源オンのときにデフォルト設定の機能部として起動されなかった他の機能部の全てを起動する。すなわち、画像データ送信処理を実行するのに必要な原稿スキャナ部12、通信部13、モデム部14、画像処理部19、及び画像メモリ20を起動し(ステップS103)、画像データ送信処理の実行には必要でなくても複写処理を実行するのに必要な残りの印字部15を起動する(ステップS104)。この場合は、画像形成装置1の各機能部の全てが起動される。
【0039】
制御部11は、画像形成装置1の各機能部の全てが起動されると、これらの機能部の全ての初期化が終了するのを待機し(ステップS105で「No」)、この待機中に入力操作部16の操作により画像データ送信処理への変更が指示されたか否かを判定する(ステップS106)。そして、制御部11は、画像データ送信処理への変更が指示されないまま(ステップS106で「No」)、各機能部の全ての初期化が終了すると(ステップS105で「Yes」)、入力操作部16の操作により複写処理の開始が指示されるのを待機し(ステップS107で「No」)、この待機中に入力操作部16の操作により画像データ送信処理への変更が指示されたか否かを判定する(ステップS108)。更に、制御部11は、画像データ送信処理への変更が指示されないまま(ステップS108で「No」)、複写処理の開始が指示されると(ステップS107で「Yes」)、複写処理を実行して、この複写処理が終了するのを待機し(ステップS109で「No」)、この複写処理が終了すると(ステップS109で「Yes」)、ステップS107に戻って、次の複写処理開始の指示を待機する。
【0040】
一方、制御部11は、先に述べたように画像形成装置1の電源オンで起動されときに、この制御部11の不揮発性メモリから最後に実行された処理を設定支援するための画面の識別情報を読み出して、この画面で設定されて最後に実行された処理が複写処理でないと判定すると(ステップS101で「No」)、つまり最後に実行された処理が画像データ送信処理であると判定すると、この画像データ送信処理を設定支援するための図2Bの画面32を表示部17に表示する(ステップS110)。そして、制御部11は、画像データ送信処理を実行するのに必要な原稿スキャナ部12、通信部13、モデム部14、画像処理部19、及び画像メモリ20を判定して、これらの機能部を起動させる(ステップS111)。このとき、複写処理を実行するのに必要な印字部15が起動されることはない。
【0041】
ここで、制御部11の不揮発性メモリには、表示部17の画面の識別情報と、この画面で設定される処理を実行するのに必要な少なくとも1つの機能部の識別子とを対応付けたデータテーブルが予め記憶されており、このデータテーブルを参照することにより画面で設定されて最後に実行された処理を実行するのに必要な少なくとも1つの機能部を判定することができる。例えば、図4に示すようなデータテーブル34が記憶されている。このデータテーブル34では、図2Aの画面31の識別情報に対応して複写処理を実行するのに必要な原稿スキャナ部12、印字部15、画像処理部19、及び画像メモリ20等の各機能部の識別子が記憶され、また図2Bの画面32の識別情報に対応して画像データ送信処理を実行するのに必要な原稿スキャナ部12、通信部13、モデム部14、画像処理部19、及び画像メモリ20等の各機能部の識別子が記憶されている。
【0042】
従って、制御部11は、データテーブル34を参照して、画像データ送信処理を実行するのに必要な各機能部、及び複写処理を実行するのに必要な各機能部を判定して、これらの機能部を起動させることができる。
【0043】
また、制御部11の不揮発性メモリに記憶された画面の識別情報は、画面で設定されて最後に実行された処理を実行するのに必要な少なくとも1つの機能部を導き出すために用いられることから、この機能部を示唆しているといえる。
【0044】
制御部11は、画像データ送信処理を実行するのに必要な各機能部が起動されると、これらの機能部の初期化が終了するのを待機し(ステップS112で「No」)、この待機中に入力操作部16の操作により複写処理への変更が指示されたか否かを判定する(ステップS113)。そして、制御部11は、複写処理への変更が指示されないまま(ステップS113で「No」)、画像データ送信処理を実行するのに必要な各機能部の初期化が終了すると(ステップS112で「Yes」)、入力操作部16の操作により画像データ送信処理の開始が指示されるのを待機し(ステップS114で「No」)、この待機中に入力操作部16の操作により複写処理への変更が指示されたか否かを判定する(ステップS115)。更に、制御部11は、複写処理への変更が指示されないまま(ステップS115で「No」)、画像データ送信処理の開始が指示されると(ステップS114で「Yes」)、画像データ送信処理を実行して、この画像データ送信処理が終了するのを待機し(ステップS115で「No」)、この画像データ送信処理が終了すると(ステップS115で「Yes」)、ステップS114に戻って、次の画像データ送信開始の指示を待機する。
【0045】
次に、画像形成装置1の各機能部の全ての初期化が終了するのを待機しているときに(ステップS105で「No」)、入力操作部16の操作により画像データ送信処理への変更が指示されたとすると(ステップS106で「Yes」)、図2Aの画面31の代わりに、画像データ送信処理を設定支援するための図2Bの画面32が表示部17に表示され(ステップS117)、この後にステップS112へと移行する。
【0046】
あるいは、入力操作部16の操作により複写処理の開始が指示されるのを待機しているときに(ステップS107で「No」)、入力操作部16の操作により画像データ送信処理への変更が指示されたとすると(ステップS108で「Yes」)、図2Aの画面31の代わりに、画像データ送信処理を設定支援するための図2Bの画面32が表示部17に表示され(ステップS117)、この後にステップS114へと移行する。
【0047】
このような場合は、ステップS103で画像データ送信処理を実行するのに必要な各機能部を起動した後であるから、これらの機能部を起動する必要がない。
【0048】
また、画像データ送信処理を実行するのに必要な各機能部の初期化が終了するのを待機しているときに(ステップS112で「No」)、入力操作部16の操作により複写処理への変更が指示されたり(ステップS113で「Yes」)、あるいは入力操作部16の操作により画像データ送信処理の開始が指示されるのを待機しているときに(ステップS114で「No」)、入力操作部16の操作により複写処理への変更が指示されたとすると(ステップS115で「Yes」)、図2Bの画面32の代わりに、複写処理を設定支援するための図2Aの画面32が表示部17に表示される(ステップS118)。そして、制御部11は、図4のデータテーブル34を参照して、複写処理を実行するのに必要な各機能部を判定して、これらの機能部が既に起動されているか否かを判定する(ステップS119)。このとき、ステップS103又はS111で画像データ送信処理を実行するのに必要な各機能部を起動した後であるから、画像データ送信処理に必要でなくても複写処理に必要な残りの印字部15が起動されているか否かを判定することになる。そして、印字部15が起動されていなければ(ステップS119で「No」)、印字部15を起動し(ステップS120)、また印字部15が起動されていれば(ステップS119で「Yes」)、ステップS120を省略して、ステップS105へと移行する。
【0049】
このように本実施形態では、画像形成装置1の電源オフの直前に最後に実行された処理を設定支援するための画面の識別情報を制御部11の不揮発性メモリに記憶しておき、画像形成装置1の電源がオンにされると、その不揮発性メモリに記憶されている画面の識別情報から該画面の処理を実行するのに必要な少なくとも1つの機能部を判定し、この機能部を起動している。例えば、画像形成装置1の電源オフの直前に最後に実行された画像データ送信処理を設定支援するための画面の識別情報を不揮発性メモリに記憶し、画像形成装置1の電源がオンにされると、その不揮発性メモリに記憶されている画面の識別情報から画像データ送信処理を実行するのに必要な各機能部を判定し、これらの機能部を起動している。また、画像データ送信処理を実行するのに必要ではない印字部15を起動しない。このため、印字部15の大きな消費電力を節減することができる。
【0050】
また、印字部15を起動しなくても、入力操作部16の操作により複写処理への変更が指示されたときには印字部15を起動しているので、画像形成装置1の使い勝手が損なわれることはない。
【0051】
更に、電源オンのときに起動させなかった機能部であっても、入力操作部16の操作により処理の変更が指示され、この処理の変更により必要となったときには、この機能部を起動させているので、画像形成装置1の使い勝手が損なわれずに済む。
【0052】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範疇の設計変更等が施されたものであっても、本発明の範囲に含まれる。
【0053】
例えば、上記実施形態では、複写処理と画像データ送信処理を例示しているが、他の処理を設定するための画面があって、この他の処理が画像形成装置1の電源オフの直前に最後に実行された場合は、その画面の識別情報を記憶しておき、画像形成装置1の電源がオンにされたときに、その記憶しておいた画面の識別情報から該他の処理を実行するのに必要な機能部を判定して起動してもよい。
【0054】
また、画像形成装置1の電源オフの直前に最後に実行された処理を設定支援するための画面の識別情報を記憶しているが、この代わりに、画像形成装置1の電源オフの直前に稼動していた機能部の識別子を記憶しておき、画像形成装置1の電源がオンにされると、その不揮発性メモリに記憶されている識別子の機能部を起動しても構わない。
【符号の説明】
【0055】
1 画像形成装置
11 制御部
12 原稿スキャナ部
13 通信部
14 モデム部
15 印字部
16 入力操作部
17 表示部
19 画像処理部
20 画像メモリ
21 プログラムメモリ
22 ネットワーク
23 電話回線網
31、32 画面
34 データテーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
稼動及び非稼動を切替え設定される複数の機能部を備える画像形成装置であって、
前記各機能部のうちの前記画像形成装置の電源がオフにされる直前に稼動された機能部を記憶する記憶手段と、
前記画像形成装置の電源がオンにされると、前記記憶手段に記憶されている機能部を起動する制御手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記制御手段は、前記画像形成装置の電源がオンにされると、前記記憶手段に記憶されている機能部を除く他の機能部の起動を禁止することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置であって、
前記各機能部を選択的に稼動させるために操作される操作手段を備え、
前記制御手段は、前記他の機能部の起動を禁止した後に、この他の機能部を起動させるために前記操作手段が操作されると、この他の機能部を起動することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の画像形成装置であって、
前記各機能部は、記録用紙に対する印字処理を行う印字部を含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の画像形成装置であって、
前記各機能部に係わる複数の画面を表示する表示手段を備え、
前記記憶手段は、前記画像形成装置の電源がオフにされる直前に前記表示手段に表示された画面に係わる少なくとも1つの機能部が稼動されると、この画面の識別情報を記憶し、
前記制御手段は、前記画像形成装置の電源がオンにされると、前記記憶手段に記憶されている識別情報の画面に係わる機能部を起動することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−109595(P2011−109595A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265205(P2009−265205)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】