説明

画像形成装置

【課題】本発明の目的は、ベルト部材に近接した着脱部材を画像形成装置本体から取り外し又は装着する際に、着脱部材のベルト部材への接触を、簡易な構成で未然に防止し、画像形成装置本体のユーザビリティを向上させることである。
【解決手段】画像形成装置本体に開閉可能に設けられた開閉体Kと、複数のローラに張架された中間転写ベルト28と、前記開閉体Kによって開放された開口を通して前記ベルト28に沿って前記装置本体に対して取り外し可能に装着される残留トナー容器Aと、を有する画像形成装置であって、前記ベルト28を保護する保護位置P2と、前記保護位置から退避した退避位置P1とに移動可能なシャッターSを設け、前記シャッターSは、前記容器Aを前記装置本体に装着する動作に連動して前記保護位置から前記退避位置に移動し、前記容器Aを前記装置本体から取り外す動作に連動して前記退避位置から前記保護位置に移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に画像を形成する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、感光体ドラムに形成されたトナー像を中間転写ベルトに転写し、中間転写ベルトに転写されたトナー像を記録媒体に一括転写する画像形成装置が知られている。このような画像形成装置において、転写後に中間転写ベルトに残留した残留トナーを除去するため、中間転写ベルトに対してゴム製或いは金属製のブレード等を当接して清掃する、クリーニング手段を設置しているものがある。またクリーニング手段により回収された残留トナーはスクリュー或いはコイル等のトナー搬送手段により搬送され、残留トナー容器に収容される。
【0003】
近年ではカラー印刷に対応した画像形成装置が急速に普及してきており、カラー印刷ではモノクロ印刷よりも一般的に使用するトナー量が多いため、各画像形成装置における残留トナー量も増大する傾向がある。その結果、残留トナー容器が大型化し、画像形成装置本体の大型化につながってしまうという問題があった。
【0004】
そこで、残留トナー容器及び画像形成装置本体の大型化を抑制し、且つ大容量の残留トナーを収容するため、下記のような構成が開示されている。
【0005】
即ち、特開2001−296779(以下、特許文献1と記す)には、扁平型の残留トナー容器を、中間転写ベルトと給送ユニットとの間の平面面積の広いデットスペースに配置する構成が開示されている。これにより、残留トナー容器を薄型に構成し、且つ大容量の残留トナーを収容することが可能となる。さらにクリーニング手段から残留トナー容器までの距離が近いため、トナーの搬送経路を比較的短く簡略化することが可能となる。
【0006】
また特許文献1には、残留トナー容器を画像形成装置本体に対して着脱可能に設置した構成が開示されている。この場合、残留トナー容器内に多量のトナーが収容された時には、残留トナー容器を画像形成装置本体から引き抜き、残留トナー容器内のトナーを別の容器に移して再装着したり、新しい残留トナー容器を装着する等、処置することができる。これにより、予め画像形成装置本体(又は残留トナー容器と一体化したユニット)に本体寿命分(又はユニット寿命分)の残留トナー容量を確保する必要が無く、画像形成装置本体(又はユニット)の大型化を抑制することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−296779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来技術では、中間転写ベルトに近接した扁平型の残留トナー容器を取り出したり、また装着する際に、残留トナー容器を中間転写ベルトに当ててしまい、中間転写ベルトに傷を付けてしまうおそれがある。中間転写ベルトに傷を付けてしまった場合、傷付いた箇所の記録媒体への転写性が悪化して画像不良となってしまうおそれがある。また、中間転写ベルトの平滑性が悪化して、クリーニング手段による残留トナーの回収性が低下してしまうおそれがある。また、中間転写ベルトが破れてしまうおそれがある。
【0009】
そこで、本発明の目的は、ベルト部材に近接した着脱部材を画像形成装置本体から取り外し又は装着する際に、着脱部材のベルト部材への接触を、簡易な構成で未然に防止し、画像形成装置本体のユーザビリティを向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明は、画像形成装置本体に開閉可能に設けられた開閉体と、複数の張架部材に張架され、トナー画像を担持する無端状のベルト部材と、前記開閉体によって開放された開口を通して前記ベルト部材に沿って前記画像形成装置本体に対して取り外し可能に装着される着脱部材と、を有し、記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、前記ベルト部材を保護する保護位置と、前記保護位置から退避した退避位置とに移動可能な保護部材を設け、前記保護部材は、前記着脱部材を前記画像形成装置本体に装着する動作に連動して前記保護位置から前記退避位置に移動し、前記着脱部材を前記画像形成装置本体から取り外す動作に連動して前記退避位置から前記保護位置に移動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、着脱部材を画像形成装置本体から取り外し又は装着する際に、着脱部材のベルト部材への接触を、簡易な構成で未然に防止でき、画像形成装置本体のユーザビリティを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態に係る画像形成装置の構成概略図
【図2】第1及び第2実施形態に係る残留トナー容器の形状の一例を示す外観図
【図3】第1及び第2実施形態に係る中間転写ベルト及び残留トナー容器の斜視図
【図4】第1及び第3実施形態に係るシャッターの外観図
【図5】第1実施形態に係る画像形成装置のシャッターの開閉動作を示す模式図
【図6】比較例に係る画像形成装置の残留トナー容器の着脱動作を示す模式図
【図7】第1実施形態に係る残留トナー容器の着脱動作を示す模式図
【図8】第2実施形態に係る画像形成装置の構成概略図
【図9】第2実施形態に係るシャッターの外観図
【図10】第2実施形態に係る画像形成装置のシャッターの開閉動作を示す模式図
【図11】第2実施形態に係る画像形成装置のシャッターの開閉動作を示す模式図
【図12】第3実施形態に係る画像形成装置の構成概略図
【図13】第3実施形態に係るシャッターの開閉動作を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。従って、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0014】
〔第1実施形態〕
図1を用いて、第1実施形態に係る画像形成装置の概略構成について説明する。図1(a)は開閉体を閉じた状態の画像形成装置を示す模式断面図であり、図1(b)は開閉体を開いた状態の画像形成装置を示す模式断面図である。なお、ここでは、画像形成装置として、カラー画像形成装置を例示して説明する。
【0015】
カラー画像形成装置は、画像処理部が変換した露光時間に基づいて点灯させる露光光により静電潜像を形成し、この静電潜像を現像して単色トナー像を形成する。そして、この単色トナー像を重ね合わせて多色トナー像を形成し、この多色トナー像を記録媒体へ転写し、その記録媒体上の多色トナー像を定着させる。
【0016】
図1に示すカラー画像形成装置は、主に、現像色分並置した画像形成ステーション、中間転写ベルト28、給送手段、二次転写ローラ29、定着部40、排出ローラ対51,52、クリーニング手段30、残留トナー容器A等によって構成されている。以下、詳しく説明する。
【0017】
各画像形成ステーション(画像形成部)は、感光体ドラム(像担持体)と、これに作用するプロセス手段としての一次帯電手段、現像手段、露光手段を備えている。ここでは、各感光体ドラム22Y,22M,22C,22Kは、アルミシリンダの外周に有機光導伝層を塗布して構成し、駆動モータ(不図示)の駆動力が伝達されて、画像形成動作に応じて時計回り方向に回転する。
【0018】
一次帯電手段として、ステーション毎にイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の感光体ドラムを帯電させるための4個の注入帯電器23Y,23M,23C,23Kを備えている。各注入帯電器には帯電スリーブ23YS,23MS,23CS,23KSが設けられている。
【0019】
各感光体ドラム22Y,22M,22C,22Kへの露光光は、各スキャナ部(露光手段)24Y,24M,24C,24Kから送られ、各感光体ドラム22Y,22M,22C,22Kの表面を選択的に露光することにより、静電潜像が形成される。
【0020】
現像手段として、前記静電潜像を可視化するために、ステーション毎にイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の現像を行う4個の現像器26Y,26M,26C,26Kを備えている。各現像器には現像スリーブ26YS,26MS,26CS,26KSが設けられている。また各現像器にはトナーが収容されたトナーカートリッジ25Y,25M,25C,25Kが交換可能に接続されている。また電源(不図示)から、各現像スリーブ26YS,26MS,26CS,26KSと、それに対応する感光体ドラム22Y,22M,22C,22Kの間には現像バイアスが印加されている。各々の現像器は画像形成装置本体に対して着脱可能に取り付けられている。画像形成時において感光体ドラム22Y,22M,22C,22Kは時計回り方向に回転し、現像器26Y,26M,26C,26Kにより感光体ドラム22Y,22M,22C,22K上に形成された静電潜像に各色のトナー像が現像される。
【0021】
中間転写ベルト28は、複数のローラ(張架部材)に張架された無端状のベルト部材である。中間転写ベルト28は、各感光体ドラム22Y,22M,22C,22Kに形成されたトナー画像が重ねて転写される中間転写体である。中間転写ベルト28は、一次転写ローラ27Y,27M,27C,27Kの押圧力により感光体ドラム22Y,22M,22C,22Kに接触している。また電源(不図示)から、一次転写ローラ27Y,27M,27C,27Kと、それに対応する感光体ドラム22Y,22M,22C,22Kの間(一次転写部)には一次転写バイアスが印加されている。画像形成時において中間転写ベルト28及び一次転写ローラ27Y,27M,27C,27Kは感光体ドラム22Y,22M,22C,22Kに従動回転し、各感光体ドラム22Y,22M,22C,22K上のトナー画像を中間転写ベルト28上へ一次転写する。
【0022】
給送手段として、給送トレイ12、給送ローラ13がある。給送トレイ12に収容された記録媒体11は給送ローラ13により一枚ずつ給送され、レジストローラ対14に到達する。これはレジ前センサ15によって検知される。レジストローラ対14は、レジ前センサ15の検知情報に基づいて、中間転写ベルト28上の多色トナー画像が二次転写ローラ29に到達するタイミングに合わせて記録媒体11を搬送させる。ここで記録媒体11はレジストローラ対14から二次転写ローラ29に到達する。
【0023】
二次転写ローラ29は中間転写ベルト28と接触して、記録媒体11を狭持搬送し、記録媒体11に中間転写ベルト28上の多色トナー画像を二次転写(一括転写)する。このとき電源(不図示)から、二次転写ローラ29と中間転写ベルト28の間(二次転写部)には二次転写バイアスが印加されている。
【0024】
定着部40は、記録媒体11を搬送しながら、転写された多色トナー画像を溶融定着させるものであり、図1(a)に示すように記録媒体11を加熱する定着ローラ41と記録媒体11を定着ローラ41に圧接させるための加圧ローラ42を備えている。ここで加圧ローラ42は定着ローラ41に対して従動回転をしている。定着ローラ41と加圧ローラ42は中空状に形成され、内部にそれぞれヒータ43,44が内蔵されている。すなわち、多色トナー画像が転写された記録媒体11は定着ローラ41と加圧ローラ42により搬送されるとともに、熱および圧力を加えられ、トナーが表面に定着される。
【0025】
その後、記録媒体11は排出ローラ対51,52により画像形成装置外へ搬送され、排出トレイ53に排出されて画像形成動作を終了する。
【0026】
クリーニング手段30は、二次転写後に中間転写ベルト28上に残留したトナーをクリーニングするものである。クリーニング手段30は、二次転写部を通過した後に中間転写ベルト28上に残留した残留トナーをクリーニングブレード31により除去し、その残留トナーを後述するトナー搬送手段によって残留トナー容器Aへ搬送し、回収する。
【0027】
また残留トナー容器Aは規制部材Bにより規制されている。また中間転写ベルト28を保護するための保護部材としてのシャッターSは、着脱部材としての残留トナー容器Aの着脱動作と連動して開閉するよう構成されている。シャッターSは、中間転写ベルト28を保護する保護位置と、前記保護位置から退避した退避位置とに移動可能に設けられている。これらについては、後で詳細に説明する。
【0028】
また画像形成装置は、図1(a)及び図1(b)に示すようにヒンジ部Hを中心に、画像形成装置本体に対して二次転写ローラ29及び定着部40を含む開閉体Kが開閉可能に設けられている。ユーザーは図1(b)の状態において、二次転写部、定着部、及び搬送路において紙詰まり(JAM)が発生した場合のJAM紙の処理や残留トナー容器Aの着脱動作等を実施する。図1(b)に示すように、開閉体Kによって開放された開口10を通して、残留トナー容器Aの着脱操作等が行われる。
【0029】
図2は画像形成装置本体に対して着脱可能に構成された残留トナー容器Aの形状の一例を示す外観図である。残留トナー容器Aは上部へ向けられた開口部60から残留トナーを取り込み、内部に配置されたトナー搬送スクリュー61a,61b,61cにより残留トナーを内部へと搬送する。レール部62a,62bは残留トナー容器Aの着脱動作をスムーズに行うためのものであり、残留トナー容器Aの平面部Xから突き出した形状をなしている。ここでは、レール部62a,62bは平面部Xに対して3mm程度突き出した形状をなしている。63a,63bはユーザーが着脱動作を行うための保持部である。残留トナー容器Aは位置決め突起64a,64bが本体側の規制部材Bに突き当たることにより位置決めされる。65a,65bはシャッターSを開閉するための突出部であり、シャッターSとの関係については後述する。残留トナー検知窓66は残留トナー容器A内の残留トナー量を検知するためのものである。この残留トナー検知窓66を通して、本体側に設置された光源及び光検知手段を有する光学式残留トナーセンサ(不図示)により、残留トナー容器A内の残留トナー量を検知する。そして、前記光学式残留トナーセンサ(不図示)の検知結果を元に、オペレーションパネル(不図示)において、残留トナー容器Aの交換タイミングをユーザーに報知する。
【0030】
図3(a)は中間転写ベルト及び残留トナー容器の斜視図である。クリーニング手段30によって中間転写ベルト28上から除去された残留トナーは、トナー搬送手段を構成するトナー搬送スクリュー32及びトナー搬送連結部33により残留トナー容器Aへ搬送される。図3(b)はトナー搬送連結部33の内部を示しており、トナーは回動する搬送ベルト34により搬送される。搬送ベルト34の回動はベルト端35をトナー搬送スクリュー32の回動により回転させ、支持部材36により搬送ベルト34を支持することにより行われる。
【0031】
図4は中間転写ベルト28の保護部材としてのシャッターSの外観図である。シャッターSは両端部に第1の揺動アーム71a,71b及び第2の揺動アーム72a,72bを有し、各々の揺動アームを連結する連結部71c,72cがシャッターSの側面に構成されている。シャッターSは、残留トナー容器Aを、画像形成装置本体に装着する方向及び前記画像形成装置本体から取り外す方向に案内するガイド部Z1,Z2を有している。ガイド部Z1,Z2は、シャッターSの外側面Yに対して凹んでいる。ここではガイド部Z1,Z2は外側面Yに対して3mm程度凹んでいる。残留トナー容器Aのレール部62a,62bがシャッターSのガイド部Z1,Z2に沿って着脱動作を成される事により、より安定した着脱動作を可能にすることができる。
【0032】
図5(a)及び図5(b)はシャッターSの開閉動作を示す模式図である。残留トナー容器Aを画像形成装置本体に装着する場合(図5(a))及び残留トナー容器Aを画像形成装置本体から取り外す場合(図5(b))のシャッターSの開閉動作を説明する。まずシャッターSの揺動アーム71は画像形成装置本体に対して揺動中心C1で固定され、揺動中心C1を中心に回転する。また揺動アーム72は画像形成装置本体に対して揺動中心C2で固定され、揺動中心C2を中心に回転する。また揺動アーム71は揺動中心C1において回転バネ(付勢部材)による回転力(付勢力)を受け、図5における反時計回り方向に回動する。揺動アーム72は揺動アーム71の回転動作に連動して回転する。図5(a)に示すように、残留トナー容器Aが画像形成装置本体に対して装着され、位置決め突起64が規制部材Bの奥まで突き当たっている状態では、シャッターSは残留トナー容器Aの両端の突出部65により揺動アーム71が押圧される。従って揺動アーム71が揺動中心C1を時計回り方向に回動し、シャッターSが保護位置P2から退避した退避位置P1へ移動する。シャッターSは退避位置P1において二次転写部や紙搬送路への接触を避けることが可能である。また図5(b)に示すように残留トナー容器Aが規制部材Bから引き出された場合、前記突出部65による揺動アーム71の押圧が解除され、揺動アーム71は回転バネの回転力によって回転し、シャッターSは前記退避位置P1から中間転写ベルト28を保護する保護位置P2へ移動する。揺動アーム71は画像形成装置本体に設置されたシャッター回転規制部材Tにより回転を規制され、シャッターSは保護位置P2よりも中間転写ベルト28へ回転することを防止している。
【0033】
ここで、中間転写ベルト28を保護する保護位置P2は、開閉体Kによって開放された開口10から露出した中間転写ベルト28の露出部分である。また、前記保護位置P2は、二次転写ローラ29と対向する中間転写ベルト28の露出部分である。また、前記保護位置P2は、残留トナー容器Aを着脱する際に、その残留トナー容器Aから保護する中間転写ベルト28の露出部分である。
【0034】
図6(a)及び図6(b)は中間転写ベルト28に前記シャッターが設置されていない比較例としての画像形成装置を示す。この場合、ユーザーが画像形成装置本体から残留トナー容器Aを引き出す際(図6(a))や、装着する際(図6(b))において、誤って残留トナー容器Aを中間転写ベルト28に接触させてしまう可能性があった。この接触箇所は時に中間転写ベルト28の転写性を部分的に悪化させ画質が落ちてしまう場合があった。また、中間転写ベルト28の平滑性が低下しクリーニング手段30によって満足に残留トナーが除去されずに記録媒体11を汚してしまう場合があった。また最悪の事態として中間転写ベルト28が破れてしまう場合などがあった。
【0035】
これに対し本実施形態のように中間転写ベルト28を保護するシャッターSを設けた構成では、図7(a)に示す残留トナー容器の取り出し時、及び図7(b)に示す装着時に、残留トナー容器Aが中間転写ベルト28に接触することを未然に防止できる。また残留トナー容器Aを画像形成装置本体に装着している場合にはシャッターSが退避位置P1に移動するため、画像形成動作の妨げになることを防止することができる。
【0036】
また本実施形態では中間転写ベルトに対し、残留トナー容器を下部に配置した構成を例示したが、残留トナー容器を上部に配置した構成としても良い。また本実施形態ではシャッターが着脱部材である残留トナー容器の装着時に同方向(下側)に退避し、シャッターが残留トナー容器の装着動作をガイドする構成を例示したが、シャッターが着脱部材と反対方向(上側)に退避する構成としても良い。
【0037】
上述したように、本実施形態によれば、中間転写ベルトを保護する揺動可能なシャッターを設け、揺動動作を残留トナー容器の着脱動作と連動する。これにより、残留トナー容器の装着時又は取り出し時の中間転写ベルトへの接触を簡易的な構成で未然に防止できる。また、画像形成装置のユーザビリティを向上させることができる。更に、シャッターに、残留トナー容器の凸部(レール部)に対応した凹部(ガイド部)を設けることにより、残留トナー容器がシャッターにガイドされ安定した脱着動作を行うことが可能となり、画像形成装置のユーザビリティを更に向上させることができる。
【0038】
〔第2実施形態〕
次に図8〜図11を用いて、第2実施形態に係る画像形成装置の構成について説明する。なお、画像形成装置全体の概略構成は前述した実施形態とほぼ同様であるため、前述した実施形態と同等の機能を有する部材には同一符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0039】
前述した第1実施形態では、中間転写ベルトの保護部材としてのシャッターの開閉を、着脱部材としての残留トナー容器の着脱動作に連動して行う構成を例示した。本実施例では前述した第1実施形態の機能に加えて、シャッターの開閉を開閉体の開閉動作に連動して行う構成を説明する。
【0040】
図8(a)及び図8(b)は本実施形態に係る画像形成装置の構成図である。本実施形態が第1実施形態と異なる点は、シャッターSの揺動アーム71の構成と、開閉体Kの両側面部に設けたシャッター開閉用突出部90である。これらにより、図8(b)に示すように開閉体Kを開いている状態では、シャッターSが中間転写ベルト28を保護する保護位置P2に移動する。また図8(a)に示すように開閉体Kが閉じている状態では、シャッターSが画像形成動作を実行可能な退避位置P1へ移動する。以下、詳しく説明する。
【0041】
図9(a)は本実施形態に係るシャッターSの外観図であり、図9(b)は図9(a)中のW部を拡大して示した要部拡大図である。揺動アーム71の先端部には、揺動アーム71に対して蝶番73により結合され、矢印で示す所定の可動域のみ移動可能に構成された可動部74が設けられている。この可動部74は、残留トナー容器Aの突出部65と係合する係合部であり、所定の可動域のみ移動可能に設けられている。
【0042】
次に図10及び図11を用いて、開閉体Kの開閉動作、及び残留トナー容器Aの脱着動作と連動して、シャッターSが保護位置P2及び退避位置P1を移動することを説明する。
【0043】
図10(a)〜図10(e)は、本実施形態における開閉体Kを開く動作、及び残留トナー容器Aを抜き出す動作と連動して、シャッターSが開閉する様子を示している。図10(a)に示すように開閉体Kが閉じた状態から、開閉体Kを開いていくと、開閉体Kの両側面部に設けたシャッター開閉用突出部90がシャッターSの揺動アーム71から離れていく。これにより前記突出部90による揺動アーム71の押圧が解除され、揺動アーム71の回転バネによる回転力によりシャッターSは画像形成動作を実行可能な退避位置P1から、中間転写ベルト28を保護する保護位置P2へ移動する(図10(b)〜図10(c))。次に図10(d)〜図10(e)に示すように残留トナー容器Aを中間転写ベルト28に沿って装置外に向けて抜き出す。このとき、シャッターSの揺動アーム71の可動部(先端部)74が残留トナー容器Aの突出部65に係合し、前記可動部74が前記突出部65によって残留トナー容器Aの抜き出し方向に向けて押される。揺動アーム71の可動部74は、図9(b)に示す所定の可動域で移動可能であり、即ち残留トナー容器Aの抜き出し方向に可動するように設けられている。このため、図10(d)の拡大図に示すように揺動アーム71の可動部(先端部)74は前記突出部65に押されて残留トナー容器Aの抜き出し方向に一時的に折れ曲がり、前記係合が解除されて残留トナー容器Aの抜き出し動作が可能になる。
【0044】
また図11(a)〜図11(f)は、本実施形態における残留トナー容器Aの装着動作、及び開閉体Kの閉じる動作と連動して、シャッターSが開閉する様子を示している。図11(a)に示すように残留トナー容器Aを規制部材Bの奥側へ挿入していくと、シャッターSの揺動アーム71の可動部(先端部)74が残留トナー容器Aの突出部65によって残留トナー容器Aの装着方向に押圧される。このとき、揺動アーム71の可動部74は、図9(b)に示す所定の可動域外である非可動域に向けて押されるため、揺動アーム71の可動部(先端部)74は折れ曲がらず、真っ直ぐに伸びている状態を維持する。これにより、図11(b)に示すようにシャッターSが一旦退避位置P2へ移動する。前記突出部65が前記可動部74に係合し、前記可動部74を前記可動域外に押している間は、シャッターSは退避位置に移動している。その後、残留トナー容器Aの位置決め突起64が規制部材Bに突き当たるまで残留トナー容器Aを奥へ挿入する。すると、シャッターSの揺動アーム71の可動部(先端部)74が残留トナー容器Aの突出部65に対して届かなくなり、前記可動部(先端部)74が前記突出部65を乗り越える。これにより前記突出部65と前記揺動アーム71との係合が解除され、揺動アーム及びシャッターSは揺動中心C1を中心に回転バネの回転力により回動され、再び保護位置P2へ移動する(図11(c))。このように前記揺動アーム71の可動部74が前記突出部65を乗り越えて前記係合が解除された時点で、シャッターSは回転バネの回転力により前記保護位置P2に移動する。その後、図11(d)〜図11(f)に示すように、開閉体Kを閉めていくと、開閉体Kの両側面部に設けたシャッター開閉用突出部90がシャッターSの揺動アーム71に係合し、前記突出部90が前記揺動アーム71を押圧する。これにより、シャッターSは画像形成動作を実行可能な退避位置P1へ移動する(図11(f))。
【0045】
上述したように構成にすることで、中間転写ベルトの保護部材としてのシャッターの開閉を、着脱部材としての残留トナー容器の着脱動作だけでなく、開閉体の開閉動作と連動することが可能となる。従って、ユーザーが例えば二次転写部や定着部における紙詰まりを除去するため開閉体を開く場合においても、開閉体を開いた状態ではシャッターが保護位置に移動している。このため、本実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果に加えて更に、開閉体を開いた状態においてもユーザーが誤って中間転写ベルトを触れてしまうことを防止できる。
【0046】
〔第3実施形態〕
次に図12及び図13を用いて、第3実施形態に係る画像形成装置の構成について説明する。なお、ここでは、画像形成装置として、モノクロ画像形成装置を例示して説明する。また、前述した実施形態と同等の機能を有する部材には同一符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0047】
本実施形態では、中間転写ベルトの保護部材としてのシャッターの開閉を、着脱部材としてのカートリッジの着脱動作に連動して行う構成を説明する。ここでは、カートリッジとして、未使用のトナー(ここではブラック(K)のトナー)や、感光体ドラム22K及びこれに作用するプロセス手段としての一次帯電手段23K、現像手段26Kを一体に有するプロセスカートリッジを例示している。
【0048】
図12は本実施形態に係る画像形成装置の構成図である。本実施形態が前述した第1実施形態と異なる点は、シャッターSを揺動する着脱部材として前述した感光体ドラムを含むカートリッジCRGを用いている点である。また本実施形態ではカートリッジをブラック(K)のみとした構成を例示している。
【0049】
前述した第1実施形態と同様に、開閉体Kが開いた状態においてカートリッジCRGの着脱動作を実施可能な構成となっている。図13(a)及び図13(b)に示すように、カートリッジCRGは、シャッターSを移動させるための突出部100を有している。カートリッジCRGを規制部材Dに沿わせるように画像形成装置本体への着脱動作を行うと、揺動アーム71はカートリッジCRGの着脱時に前記突出部100の着脱動作と連動して回動する。それに連動してシャッターSは画像形成動作が実行可能な退避位置P1と中間転写ベルト28を保護する保護位置P2へ移動する。
【0050】
詳しくは、図13(a)及び図13(b)はシャッターSの開閉動作を示す模式図である。図13(a)に示すように、カートリッジCRGが画像形成装置本体に対して装着され、位置決め突起(不図示)が規制部材Dの奥まで突き当たっている状態では、シャッターSはカートリッジCRGの突出部100により揺動アーム71が押圧される。従って揺動アーム71が揺動中心C1を時計回り方向に回動し、シャッターSが保護位置P2から退避した退避位置P1へ移動する。シャッターSは退避位置P1において二次転写部や紙搬送路への接触を避けることが可能である。また図13(b)に示すようにカートリッジCRGが規制部材Dから引き出された場合、前記突出部100による揺動アーム71の押圧が解除され、揺動アーム71は回転バネの回転力によって回転し、シャッターSは前記退避位置P1から中間転写ベルト28を保護する保護位置P2へ移動する。揺動アーム71は画像形成装置本体に設置されたシャッター回転規制部材Tにより回転を規制され、シャッターSは保護位置P2よりも中間転写ベルト28へ回転することを防止している。
【0051】
上述したように構成にすることで、着脱部材としてカートリッジを用いる場合においても、その着脱動作と連動してシャッターを開閉することが可能となる。従って、前述した第1実施形態と同様に、カートリッジの装着時又は取り出し時の中間転写ベルトへの接触を簡易的な構成で未然に防止できる。また、画像形成装置のユーザビリティを向上させることができる。
【0052】
本実施例ではカートリッジを中間転写ベルトの下側に配置したが、上側に配置しても良い。また実施例2の様にシャッターの動作が着脱部材であるカートリッジだけでなく、開閉体と連動する構成としても良い。
【0053】
また本実施形態では中間転写ベルトに対し、カートリッジを下側に配置した構成を例示したが、カートリッジを上側に配置した構成としても良い。また、前述した第2実施形態のように、シャッターの開閉動作が着脱部材であるカートリッジだけでなく、開閉体と連動する構成としても良い。
【0054】
〔他の実施形態〕
前述した実施形態では、画像形成ステーションを4つ使用した構成、或いは、1つのカートリッジが着脱可能な構成を例示したが、この個数はこれらに限定されるものではなく、必要に応じて適宜設定すれば良い。
【0055】
また前述した実施形態では、着脱部材として残留トナー容器、カートリッジを例示したが、これに限定されるものではない。開閉体によって開放された開口を通して、ベルト部材に沿って着脱される部材が有する画像形成装置であれば、本発明は有効である。
【0056】
また前述した実施形態では、画像形成装置本体に対して着脱自在なカートリッジとして、感光体ドラムと、該感光体ドラムに作用するプロセス手段としての帯電手段,現像手段を一体に有するプロセスカートリッジを例示したが、これに限定されるものではない。例えば、感光体ドラムの他に、帯電手段、現像手段、クリーニング手段のうち、いずれか1つを一体に有するプロセスカートリッジであっても良い。或いは、未使用のトナーが収容されたトナーカートリッジであっても良い。或いは、感光体ドラムを含まず、未使用のトナーや現像手段を有する現像カートリッジであっても良い。
【0057】
また前述した実施形態では、画像形成装置としてプリンタを例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば複写機、ファクシミリ装置等の他の画像形成装置や、或いはこれらの機能を組み合わせた複合機等の他の画像形成装置であっても良い。また、複数の張架部材に張架された無端状のベルト部材は、中間転写体に限らず、例えば、無端状のベルト部材で構成された感光体などであっても良い。このような画像形成装置に本発明を適用することにより同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0058】
A …残留トナー容器
CRG …カートリッジ
H …ヒンジ部
K …開閉体
P1 …退避位置
P2 …保護位置
S …シャッター
Z1,Z2 …ガイド部
11 …記録媒体
22(22Y,22M,22C,22K) …感光体ドラム
28 …中間転写ベルト
29 …二次転写ローラ
30 …クリーニング手段
64(64a,64b) …位置決め突起
65(65a,65b) …突出部
71(71a,71b) …第1の揺動アーム
72(72a,72b) …第2の揺動アーム
73 …蝶番
74 …可動部
90 …シャッター開閉用突出部
100 …突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体に開閉可能に設けられた開閉体と、
複数の張架部材に張架され、トナー画像を担持する無端状のベルト部材と、
前記開閉体によって開放された開口を通して前記ベルト部材に沿って前記画像形成装置本体に対して取り外し可能に装着される着脱部材と、
を有し、記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
前記ベルト部材を保護する保護位置と、前記保護位置から退避した退避位置とに移動可能な保護部材を設け、
前記保護部材は、前記着脱部材を前記画像形成装置本体に装着する動作に連動して前記保護位置から前記退避位置に移動し、前記着脱部材を前記画像形成装置本体から取り外す動作に連動して前記退避位置から前記保護位置に移動することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記着脱部材は前記保護部材を移動させるための突出部を有し、
前記着脱部材を前記画像形成装置本体に装着する動作により、前記突出部が前記保護位置にある前記保護部材を押圧して前記退避位置に移動し、
前記着脱部材を前記画像形成装置本体から取り外す動作により、前記突出部が前記退避位置にある前記保護部材の押圧を解除して前記保護部材が付勢部材の付勢力により前記保護位置に移動することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
画像形成装置本体に開閉可能に設けられた開閉体と、
複数の張架部材に張架され、トナー画像を担持する無端状のベルト部材と、
前記開閉体によって開放された開口を通して前記ベルト部材に沿って前記画像形成装置本体に対して取り外し可能に装着される着脱部材と、
を有し、記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
前記ベルト部材を保護する保護位置と、前記保護位置から退避した退避位置とに移動可能な保護部材を設け、
前記保護部材は、前記開閉体を閉じる動作に連動して前記保護位置から前記退避位置に移動し、前記開閉体を開く動作に連動して前記退避位置から前記保護位置に移動することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記開閉体は前記保護部材を移動させるための係合部を有し、
前記開閉体を閉じる動作により、前記係合部が前記保護位置にある前記保護部材を押圧して前記退避位置に移動し、
前記開閉体を開く動作により、前記係合部が前記退避位置にある前記保護部材の係合を解除して前記保護部材が付勢部材の付勢力により前記保護位置に移動することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記着脱部材は前記保護部材を移動させるための突出部を有し、
前記保護部材は、前記突出部と係合し、所定の可動域のみ移動可能な係合部を有し、
前記着脱部材を前記画像形成装置本体に装着する動作により、前記突出部が前記係合部に係合し、前記係合部を前記可動域外に押している間は前記保護部材を前記退避位置に移動し、前記係合部が前記突出部を乗り越えて前記係合が解除された時点で前記保護部材は付勢部材の付勢力により前記保護位置に移動し、
前記開閉体を開いた後、前記着脱部材を前記画像形成装置本体から取り外す動作により、前記突出部が前記係合部に係合し、前記係合部が前記突出部に押されて前記可動域で移動して前記係合が解除され、前記着脱部材が取り出し可能になることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記保護部材は、前記着脱部材を、前記画像形成装置本体に装着する方向及び前記画像形成装置本体から取り外す方向に案内するガイド部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記ベルト部材は、像担持体に形成されたトナー画像が転写される中間転写体であり、
前記着脱部材は、クリーニング手段により前記中間転写体から回収されたトナーを収容する残留トナー容器であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記着脱部材は、トナーを有するカートリッジであることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−128475(P2011−128475A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−288574(P2009−288574)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】