説明

画像形成装置

【課題】厚さや剛性の異なる記録媒体を用いた場合であっても、副作用が生じることなく、「後端転写ブレ」の発生が一様に抑止される、画像形成装置を提供する。
【解決手段】転写位置に向けて搬送される記録媒体Pを案内するガイド部材30と、記録媒体の厚さ又は剛性を検知する検知手段68と、を備える。このガイド部材30の先端部には、記録媒体Pに対するガイド条件がそれぞれ異なるように形成された複数のガイド先端部が設置されている。そして、検知手段68の検知結果に基いて、可変手段28によって、ガイド部材によって案内される記録媒体Pを幅方向に変位させて、複数のガイド先端部のうち記録媒体に接触するガイド先端部を可変する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の電子写真方式を用いた画像形成装置に関し、特に、中間転写ベルト、感光体ベルト、感光体ドラム等の像担持体に担持されたトナー像が転写される転写位置に向けて記録媒体を案内するガイド部材が設置された画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機やプリンタ等の画像形成装置において、中間転写ベルト、感光体ベルト、感光体ドラム等の像担持体と、2次転写ローラ、転写ローラ、ワイヤ転写器等の転写部材と、の間に転写位置を形成して、その転写位置に搬送される記録媒体上に像担持体上に担持されたトナー像を転写する技術が広く知られている(例えば、特許文献1〜4参照。)。
また、このような画像形成装置では、転写工程時に記録媒体が像担持体に充分に密着せずに「転写チリ」が生じる不具合を防止するために、転写位置に向かって搬送される記録媒体を案内するガイド部材(上ガイド部材、下ガイド部材)が設置されている。また、このようなガイド部材の先端部には、ポリエステルフィルム等の可撓性部材が貼着されている。
【0003】
一方、特許文献1〜4等には、ガイド部材と転写位置との間で湾曲しながら搬送される記録媒体の後端が、ガイド部材の先端部を通過した直後に、湾曲した記録媒体の復元力によって記録媒体の後端が大きく振れて、像担持体を叩打するように当接する不具合が開示されている。そして、このように記録媒体の後端が像担持体を叩打すると、「後端転写ブレ(記録媒体の後端に形成される画像がにじむ現象である。)」が生じることになる。
【0004】
他方、特許文献5、6等には、転写位置に向けて搬送される記録媒体を幅方向に変位(移動)させて、記録媒体上に転写される画像の横レジスト補正(主走査方向の位置ずれ補正)をおこなう技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の画像形成装置は、厚さ(紙厚)や剛性(コシ)の異なる記録媒体に対して、副作用を生じさせることなく、「後端転写ブレ」の発生を一様に抑止することができなかった。
【0006】
詳しくは、剛性が高い(厚い)記録媒体を用いる場合には、後端がガイド部材を離れるときに生じる復元力が比較的大きくなるため、像担持体を叩打する程度も大きくなって、「後端転写ブレ」が生じやすかった。
これに対して、剛性が低い(薄い)記録媒体を用いる場合には、後端がガイド部材を離れるときに生じる復元力が比較的小さくなるため、像担持体を叩打する程度も比較的小さくなって「後端転写ブレ」が生じにくくなる反面、ガイド部材と転写位置との間での湾曲の程度が大きくなるため、後端が像担持体に充分に密着しないで画像が傾いて転写される「後端転写不良」が生じやすかった。
【0007】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、厚さや剛性の異なる記録媒体を用いた場合であっても、副作用が生じることなく、「後端転写ブレ」の発生が一様に抑止される、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の請求項1記載の発明にかかる画像形成装置は、表面にトナー像を担持する像担持体と、前記像担持体に接触又は対向する転写位置にて前記像担持体上に担持されたトナー像を記録媒体上に転写する転写部材と、前記転写位置に向けて搬送される記録媒体の転写面に対向するように配設されて当該記録媒体を案内するガイド部材と、前記転写位置に向けて搬送される記録媒体の厚さ又は剛性を直接的又は間接的に検知する検知手段と、を備え、前記ガイド部材は、先端部において記録媒体の搬送方向に直交する幅方向に複数に分割されるとともに、記録媒体に対するガイド条件がそれぞれ異なるように形成された複数のガイド先端部を具備し、前記検知手段の検知結果に基いて、前記ガイド部材によって案内される記録媒体を前記ガイド部材に対して幅方向に相対的に変位させて、前記複数のガイド先端部のうち当該記録媒体に接触するガイド先端部を可変する可変手段をさらに備えたものである。
【0009】
また、請求項2記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項1に記載の発明において、前記複数のガイド先端部のうち、厚さ又は剛性が小さい記録媒体に適したガイド条件にて形成された第1ガイド先端部は、その幅方向の長さが、搬送可能な最大サイズの記録媒体の幅方向の長さよりも長くなるように形成され、前記第1ガイド先端部に比べて厚さ又は剛性が大きい記録媒体に適したガイド条件にて形成されたその他のガイド先端部は、前記第1ガイド先端部の幅方向の片側端部から前記ガイド条件の順に隣接するように並設され、前記可変手段は、前記検知手段によって検知された記録媒体の厚さ又は剛性が所定値以下である場合に、当該記録媒体が前記第1ガイド先端部のみに接触するように当該記録媒体の幅方向の相対的な位置を変位させて、前記検知手段によって検知された記録媒体の厚さ又は剛性が前記所定値を超える場合に、その検知結果に応じて対応する前記その他のガイド先端部に当該記録媒体の一部が接触するように当該記録媒体の幅方向の相対的な位置を変位させるものである。
【0010】
また、請求項3記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項2に記載の発明において、前記ガイド部材の位置に向けて搬送される記録媒体は、その幅方向のサイズに関わらず、前記第1ガイド先端部における前記その他のガイド先端部の側の端部の位置を基準位置として、当該基準位置に記録媒体の幅方向端部が合致するように搬送されるものである。
【0011】
また、請求項4記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項2又は請求項3に記載の発明において、前記その他のガイド先端部は、厚さ又は剛性が大きい記録媒体に適したガイド条件にて形成された第2ガイド先端部であって、前記可変手段は、厚さ又は剛性が大きい記録媒体が搬送されるときに、前記検知手段による検知結果の大きさに応じて当該記録媒体の幅方向の相対的な位置を変位させて、当該記録媒体が前記第2ガイド先端部に接触する幅方向の範囲を可変するものである。
【0012】
また、請求項5記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項1〜請求項4のいずれかに記載の発明において、記録媒体のおもて面に画像が転写・定着された後に当該記録媒体の裏面にトナー像を形成するための両面プリント手段を備え、前記可変手段は、記録媒体のおもて面に画像が形成されるときと、当該記録媒体の裏面に画像が形成されるときと、で前記ガイド部材によって案内される当該記録媒体を前記ガイド部材に対して幅方向に相対的に変位させて、前記複数のガイド先端部のうち当該記録媒体に接触するガイド先端部を可変するものである。
【0013】
また、請求項6記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項1〜請求項5のいずれかに記載の発明において、前記複数のガイド先端部は、ガイド部材本体に設置された可撓性部材であって、前記ガイド条件を、前記可撓性部材における、剛性、前記ガイド部材本体からの突出し量、前記ガイド部材本体からの突出し方向、その先端の前記幅方向に対する傾斜角度、のうち少なくとも1つとしたものである。
【0014】
また、請求項7記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項1〜請求項6のいずれかに記載の発明において、前記可変手段は、前記ガイド部材に対して記録媒体の搬送方向上流側の位置で、記録媒体を幅方向に変位させるものである。
【0015】
また、請求項8記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項7に記載の発明において、前記転写位置に向けて記録媒体を搬送するとともに、記録媒体を挟持した状態で幅方向に移動可能に構成されたレジストローラを備え、前記可変手段を、前記レジストローラとしたものである。
【0016】
また、請求項9記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項7又は請求項8に記載の発明において、前記可変手段は、記録媒体の横レジスト補正をもおこなうように制御されるものである。
【0017】
また、請求項10記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項1〜請求項6のいずれかに記載の発明において、前記可変手段は、前記ガイド部材を幅方向に変位させるものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、記録媒体に対するガイド条件がそれぞれ異なるように形成された複数のガイド先端部をガイド部材の先端部に設置して、複数のガイド先端部のうち記録媒体に接触するガイド先端部を記録媒体の厚さや剛性に応じて可変している。これにより、厚さや剛性の異なる記録媒体を用いた場合であっても、副作用が生じることなく、「後端転写ブレ」の発生が一様に抑止される、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の実施の形態1における画像形成装置を示す全体構成図である。
【図2】図1の画像形成装置における作像部を示す断面図である。
【図3】中間転写ベルト装置の近傍を示す図である。
【図4】ガイド部材の近傍を幅方向に示す上面図である。
【図5】剛性の低い記録媒体が通紙されたときの、ガイド部材の近傍の状態を示す上面図である。
【図6】剛性の高い記録媒体が通紙されたときの、ガイド部材の近傍の状態を示す上面図である。
【図7】別の形態のガイド部材を示す拡大図である。
【図8】さらに別の形態のガイド部材を幅方向に示す図である。
【図9】この発明の実施の形態2におけるガイド部材の近傍を幅方向に示す図である。
【図10】この発明の実施の形態3におけるガイド部材の近傍を幅方向に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0021】
実施の形態1.
図1〜図8にて、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
まず、図1及び図2にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1は画像形成装置としてのプリンタを示す構成図であり、図2はその作像部を示す拡大図である。
図1に示すように、画像形成装置本体100の中央には、中間転写ベルト装置15が設置されている。また、中間転写ベルト装置15の中間転写ベルト8(像担持体)に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部6Y、6M、6C、6Kが並設されている。
【0022】
図2を参照して、イエローに対応した作像部6Yは、感光体ドラム1Yと、感光体ドラム21の周囲に配設された帯電部4Y、現像部5Y、クリーニング部2Y、除電部(不図示である。)等で構成されている。そして、感光体ドラム1Y上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)がおこなわれて、感光体ドラム1Y上にイエロー画像が形成されることになる。
【0023】
なお、他の3つの作像部6M、6C、6Kも、使用されるトナーの色が異なる以外は、イエローに対応した作像部6Yとほぼ同様の構成となっていて、それぞれのトナー色に対応した画像が形成される。以下、他の3つの作像部6M、6C、6Kの説明を適宜に省略して、イエローに対応した作像部6Yのみの説明をおこなうことにする。
【0024】
図2を参照して、感光体ドラム1Yは、不図示の駆動モータによって反時計方向に回転駆動される。そして、帯電部4Yの位置で、感光体ドラム1Yの表面が一様に帯電される(帯電工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、露光部7から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によってイエローに対応した静電潜像が形成される(露光工程である。)。
【0025】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、現像部5Yとの対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、イエローのトナー像が形成される(現像工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、像担持体としての中間転写ベルト8と1次転写ローラ9Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上のトナー像が中間転写ベルト8上に転写される(1次転写工程である。)。このとき、感光体ドラム1Y上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
【0026】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、クリーニング部2Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上に残存した未転写トナーがクリーニングブレード2aによってクリーニング部2Y内に回収される(クリーニング工程である。)。
最後に、感光体ドラム1Yの表面は、不図示の除電部との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1上の残留電位が除去される。
こうして、感光体ドラム1Y上でおこなわれる、一連の作像プロセスが終了する。
【0027】
なお、上述した作像プロセスは、他の作像部6M、6C、6Kでも、イエロー作像部6Yと同様におこなわれる。すなわち、作像部の上方に配設された露光部7から、画像情報に基いたレーザ光Lが、各作像部6M、6C、6Kの感光体ドラム1M、1C、1K上に向けて照射される。詳しくは、露光部7は、光源からレーザ光Lを発して、そのレーザ光Lを回転駆動されたポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学素子を介して感光体ドラム上に照射する。
その後、現像工程を経て各感光体ドラム上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト8上に重ねて転写する。こうして、像担持体としての中間転写ベルト8上にカラー画像が形成される。
【0028】
ここで、中間転写ベルト装置15は、図3を参照して、中間転写ベルト8(像担持体)、4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9K 、駆動ローラ12A、2次転写対向ローラ12B、テンションローラ12C、補正ローラ13、可動ローラ11、当接ローラ14、中間転写クリーニング部10、ガイド部材30(入口上ガイド板)、等で構成される。中間転写ベルト8は、複数のローラ部材11、12A〜12C、13、14によって張架・支持されるとともに、駆動ローラ12Aの回転駆動によって図3中の矢印方向に無端移動される。
【0029】
4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kは、それぞれ、中間転写ベルト8を感光体ドラム1Y 、1M 、1C 、1K との間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。そして、1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kに、トナーの極性とは逆の転写電圧(転写バイアス)が印加される。
そして、中間転写ベルト8は、矢印方向に走行して、1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム1Y 、1M 、1C 、1K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト8(像担持体)上に重ねて1次転写される。
【0030】
その後、各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト8(像担持体)は、転写部材としての2次転写ローラ19との対向位置に達する。この位置では、2次転写対向ローラ12Bが、2次転写ローラ19(転写部材)との間に中間転写ベルト8を挟み込んでニップ部(2次転写ニップ)を形成している。そして、中間転写ベルト8上に形成された4色のトナー像は、このニップ部(転写位置)に搬送された転写紙等の記録媒体P上に転写される(2次転写工程である。)。すなわち、転写部材としての2次転写ローラ19は、中間転写ベルト8(像担持体)に接触する転写位置(ニップ部)にて、中間転写ベルト8上に担持されたトナー像を記録媒体P上に転写する。このとき、中間転写ベルト8には、記録媒体Pに転写されなかった未転写トナーが残存する。
【0031】
その後、中間転写ベルト8は、中間転写クリーニング部10の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト8上の未転写トナーが除去される。
こうして、中間転写ベルト8上でおこなわれる、一連の転写プロセスが終了する。
なお、本実施の形態1では、転写部材として中間転写ベルト8(像担持体)に接触する2次転写ローラ19を用いた。これに対して、転写部材として中間転写ベルト8(像担持体)に対向するコロナ放電方式のワイヤ転写器等を用いることもできる。このような場合には、転写部材(ワイヤ転写器)は、中間転写ベルト8(像担持体)に対向する転写位置にて、中間転写ベルト8上に担持されたトナー像を記録媒体P上に転写することになる。
【0032】
ここで、図1を参照して、2次転写ニップの位置に搬送された記録媒体Pは、装置本体100の下方に配設された給紙部26(又は、側方に配設された給紙部)から、給紙ローラ27、レジストローラ28等を経由して搬送されたものである。
詳しくは、給紙部26には、転写紙等の記録媒体Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が図1中の反時計方向に回転駆動されると、一番上の記録媒体Pがレジストローラ28(レジストローラ対)のローラ間に向けて給送される(破線で示す搬送経路K1に沿った搬送である。)。
【0033】
レジストローラ28に搬送された記録媒体Pは、回転駆動を停止したレジストローラ28のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト8上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ28が回転駆動されて、記録媒体Pがガイド部材30に案内されながらニップ部に向けて搬送される。こうして、記録媒体Pの転写面(おもて面)上に、所望のカラー画像が転写される。
なお、ガイド部材30やレジストローラ28の構成・動作については、後で図3〜図6等を用いて詳述する。
【0034】
その後、2次転写ローラ19(転写部材)によってニップ部(転写位置)でカラー画像が転写された記録媒体Pは、定着部20の位置に搬送される。そして、この位置で、定着ベルト及び圧力ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像が記録媒体P上に定着される。
その後、記録媒体Pは、排紙ローラ対によって装置外へと排出される。排紙ローラ対によって装置外に排出された記録媒体Pは、出力画像として、スタック部上に順次スタックされる。
こうして、画像形成装置における、片面プリントモード時の一連の画像形成プロセスが完了する。
【0035】
ここで、本実施の形態1における画像形成装置100には、記録媒体Pのおもて面に画像が転写・定着された後に、その記録媒体Pの裏面にトナー像を形成するための両面プリント手段が設置されている。
詳しくは、図1を参照して、本実施の形態1における画像形成装置100には、両面プリント用の搬送経路K2(図中、一点鎖線で示す搬送経路である。)や、記録媒体Pの表裏を反転して搬送するための反転機構(正逆反転ローラ29)等が設置されている。
そして、不図示の操作部の操作によって両面プリントモードが選択された場合、上述した画像形成プロセスを経ておもて面に画像(トナー像)が転写・定着された後の記録媒体Pは、定着部20から送出された後に、不図示の切替爪の動作によって、装置外に排出されることなく、垂直搬送経路から反転機構(正逆反転ローラ29)に向けて導かれる。その後、反転機構の位置に達した記録媒体P(おもて面に画像が形成された状態のものである。)は、正逆反転ローラ29の逆回転動作と切替爪(不図示である。)の動作とによって水平経路に導かれた後に、レジストローラ28の位置に向けて搬送される。そして、レジストローラ28の位置に搬送された記録媒体Pは、回転駆動を停止したレジストローラ28のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト8上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ28が回転駆動されて、記録媒体Pがガイド部材30に案内されながらニップ部(転写位置)に向けて搬送される。こうして、記録媒体Pの裏面を転写面として、記録媒体Pの裏面上に、所望のカラー画像が転写される。その後、裏面に画像が転写された記録媒体Pは、定着部20での定着工程を経て、装置外に排出される。これにより、記録媒体Pに対する両面プリントが完了する。
【0036】
次に、図2にて、作像部における現像部の構成・動作について、さらに詳しく説明する。
現像部5Yは、感光体ドラム1Yに対向する現像ローラ51Yと、現像ローラ51Yに対向するドクターブレード52Yと、現像剤収容部内に配設された2つの搬送スクリュ55Yと、現像剤収容部に開口を介して連通するトナー補給経路43Yと、現像剤中のトナー濃度を検知する濃度検知センサ56Yと、等で構成される。現像ローラ51Yは、内部に固設されたマグネットや、マグネットの周囲を回転するスリーブ等で構成される。現像剤収容部内には、キャリアとトナーとからなる2成分現像剤が収容されている。
【0037】
このように構成された現像部5Yは、次のように動作する。
現像ローラ51Yのスリーブは、図2の矢印方向に回転している。そして、マグネットにより形成された磁界によって現像ローラ51Y上に担持された現像剤は、スリーブの回転にともない現像ローラ51Y上を移動する。ここで、現像装置5Y内の現像剤は、現像剤中のトナーの割合(トナー濃度)が所定の範囲内になるように調整される。
その後、現像剤収容部内に補給されたトナーは、2つの搬送スクリュ55Yによって、現像剤とともに混合・撹拌されながら、隔絶された2つの現像剤収容部を循環する(図2の紙面垂直方向の移動である。)。そして、現像剤中のトナーは、キャリアとの摩擦帯電によりキャリアに吸着して、現像ローラ51Y上に形成された磁力によりキャリアとともに現像ローラ51Y上に担持される。
【0038】
現像ローラ51Y上に担持された現像剤は、図2中の矢印方向に搬送されて、ドクターブレード52Yの位置に達する。そして、現像ローラ51Y上の現像剤は、この位置で現像剤量が適量化された後に、感光体ドラム1Yとの対向位置(現像領域である。)まで搬送される。そして、現像領域に形成された電界によって、感光体ドラム1Y上に形成された潜像にトナーが吸着される。その後、現像ローラ51Y上に残った現像剤はスリーブの回転にともない現像剤収容部の上方に達して、この位置で現像ローラ51Yから離脱される。
【0039】
次に、図3〜図8にて、本実施の形態1における、中間転写ベルト装置15と、特徴的なガイド部材30(入口上ガイド板)及びレジストローラ28(可変手段)と、について詳述する。
図3は、中間転写ベルト装置15の近傍を示す図である。図4は、ガイド部材30の近傍を幅方向に示す上面図である。図5は、剛性(又は厚さ)が小さい記録媒体Pが通紙されたときの、ガイド部材30の近傍の状態を示す上面図である。図6は、剛性(又は厚さ)が大きい記録媒体Pが通紙されたときの、ガイド部材30の近傍の状態を示す上面図である。また、図7は別の形態のガイド部材30を示す拡大図であり、図8はさらに別の形態のガイド部材30を幅方向に示す図である。
【0040】
図3を参照して、中間転写ベルト装置15は、像担持体としての中間転写ベルト8、4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9K 、駆動ローラ12A、2次転写対向ローラ12B、テンションローラ12C、補正ローラ13、可動ローラ11、当接ローラ14、中間転写クリーニング部10、ガイド部材30(入口上ガイド板)、等で構成される。
【0041】
像担持体としての中間転写ベルト8は、その表面にトナー像を担持して図3の矢印方向(時計方向)に走行する無端状のベルト部材であって、各色のトナー像がそれぞれ形成される4つの感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kに対向するように配設されている。中間転写ベルト8は、主として、6つのローラ部材(駆動ローラ12A、2次転写対向ローラ12B、テンションローラ12C、可動ローラ11、補正ローラ13、当接ローラ14である。)によって張架・支持されている。
【0042】
本実施の形態1において、中間転写ベルト8は、PVDF(フッ化ビニルデン)、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、PI(ポリイミド)、PC(ポリカーボネート)、等を単層又は複数層に構成して、カーボンブラック等の導電性材料を分散させたものである。中間転写ベルト8は、体積抵抗率が107〜1012Ωcm、ベルト裏面側の表面抵抗率が108〜1012Ωcmの範囲となるように調整されている。また、中間転写ベルト8は、厚さが80〜100μmの範囲となるように設定されている。本実施の形態1では、中間転写ベルト8の厚さが90μmに設定されている。
なお、必要に応じて中間転写ベルト8の表面に離型層をコートすることもできる。その際、コートに用いる材料として、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、PTFE(ポリ四フッ化エチレン)、PVDF(フッ化ビニルデン)、PEA(パーフルオロアルコキシフッ素樹脂)、FEP(四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体)、PVF(フッ化ビニル)、等のフッ素樹脂を使用できるが、これに限定されるものではない。
また、中間転写ベルト8の製造方法としては、注型法、遠心成形法、等があり、必要に応じてその表面を研磨する工程がおこなわれる。
【0043】
1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kは、それぞれ、中間転写ベルト8を介して対応する感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kに対向している。詳しくは、イエロー用の1次転写ローラ9Yは中間転写ベルト8を介してイエロー用の感光体ドラム1Yに対向し、マゼンタ用の1次転写ローラ9Mは中間転写ベルト8を介してマゼンタ用の感光体ドラム1Mに対向し、シアン用の1次転写ローラ9Cは中間転写ベルト8を介してシアン用の感光体ドラム1Cに対向し、ブラック用(黒色用)の1次転写ローラ9Kは中間転写ベルト8を介してブラック用(黒色用)の感光体ドラム1Kに対向している。
【0044】
可動ローラ11は、4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kとともに保持部材(不図示である。)に保持されていて、中間転写ベルト8を感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kから離間させるように構成されている。
具体的に、可動ローラ11が4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kとともに図3の下方に移動することで、中間転写ベルト8が感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kから離間する(破線位置への移動である。)。このような中間転写ベルト8を感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kから離間させる動作は、中間転写ベルト8の磨耗劣化を軽減するためにおこなわれるものであって、非画像形成時等におこなわれる。また、図示は省略するが、モノクロ画像を形成するときには、可動ローラ11がカラー用の3つの1次転写ローラ9Y、9M、9Cとともに下方に移動することで、中間転写ベルト8をブラックの感光体ドラム1Kのみに当接させる。
【0045】
駆動ローラ12Aは、不図示のモータによって回転駆動される。これにより、中間転写ベルト8は所定の走行方向(図3の時計方向である。)に走行することになる。
2次転写対向ローラ12Bは、中間転写ベルト8を介して2次転写ローラ19(転写部材)に当接している。テンションローラ12Cは、中間転写ベルト8の外周面に当接している。2次転写対向ローラ12Bとテンションローラ12Cとの間に、中間転写クリーニング部10(クリーニングブレード)が設置されている。
補正ローラ13は、不図示の駆動機構によって、軸方向の片側端部側が図3の上下方向に揺動可能に構成されている。そして、中間転写ベルト8の幅方向(図3の紙面垂直方向である。)の変位を検知する検知センサ(不図示である。)の検知結果に基いて補正ローラ13が揺動されて、中間転写ベルト8の蛇行が補正される。
転写部材としての2次転写ローラ19は、2次転写対向ローラ12Bに対して中間転写ベルト8を介して圧接してニップ部(2次転写ニップ)を形成している。そして、この2次転写ローラ19によって、ニップ部を転写位置として、中間転写ベルト8に担持されたトナー像が記録媒体P上に転写されることになる。
【0046】
ここで、本実施の形態1における中間転写ベルト装置15には、ニップ部に対して上流側(中間転写ベルト8の走行方向上流側である。)の位置で中間転写ベルト8の内周面に当接して中間転写ベルト8を張架する当接ローラ14が設置されている。当接ローラ14は、ニップ部上流側近傍にて中間転写ベルト8が記録媒体Pの搬送経路に近づくように、中間転写ベルト8を張架している。
このような当接ローラ14を設けることで、レジストローラ28によってニップ部に向けて搬送される記録媒体Pの搬送軌跡に対して、中間転写ベルト8が沿うように配設されるために、ニップ部近傍において中間転写ベルト8に対する記録媒体Pの密着性を向上させることができる。したがって、2次転写工程において、「転写チリ」の発生が軽減されることになる。
【0047】
また、図3を参照して、本実施の形態1における画像形成装置100には、レジストローラ28の位置からニップ部(転写位置)まで搬送される記録媒体Pを案内するガイド部材30(入口上ガイド板)が、転写位置に向けて搬送される記録媒体Pの転写面に対向するように設置されている。このガイド部材30は、金属材料からなる板状のガイド部材本体31にポリエステルフィルム等の可撓性部材が貼着されたものであって、この可撓性部材がガイド部材本体31から突出してガイド先端部32A、32Bを形成している(図4を参照できる。)。
また、図3を参照して、2次転写ローラ19を保持するケース上には、レジストローラ28の位置からニップ部(転写位置)まで搬送される記録媒体Pをガイド部材30(入口上ガイド板)とともに案内する入口下ガイド板35が、転写位置に向けて搬送される記録媒体Pの非転写面(裏面)に対向するように設置されている。この入口下ガイド板35は、金属材料からなる板状のガイド板本体にポリエステルフィルム等の可撓性部材が貼着されたものであって、この可撓性部材がガイド板本体から突出している
そして、レジストローラ28によって送出された記録媒体Pは、そのおもて面(転写面である。)がガイド部材30のガイド先端部(可撓性部材)に摺接するとともに、その裏面(非転写面である。)が入口下ガイド板35に摺接しながら、ニップ部(転写位置)に向けて案内される。
【0048】
ここで、図4を参照して、本実施の形態1におけるガイド部材30(入口上ガイド板)は、その先端部(転写位置側の先端部である。)において幅方向(記録媒体Pの搬送方向に直交する方向であって、図3の紙面垂直方向である。)に2つに分割されたガイド先端部32A、32Bが設けられている。そして、これらのガイド先端部32A、32Bは、記録媒体Pに対するガイド条件(転写位置に向けて案内される記録媒体Pの状態を決定づける特性値である。)がそれぞれ異なるように形成されている。
詳しくは、第1ガイド先端部32Aは、その幅方向の長さが、搬送可能な最大サイズ(例えば、A3サイズである。)の記録媒体Pの幅方向の長さよりも長くなるように形成されている。そして、第1ガイド先端部32Aは、厚さや剛性が小さい記録媒体Pに適したガイド条件にて形成されている。これに対して、第2ガイド先端部32B(その他のガイド先端部)は、第1ガイド先端部32Aの幅方向の片側端部に隣接するように並設されている。そして、第2ガイド先端部32Bは、厚さや剛性が大きい記録媒体Pに適したガイド条件にて形成されている。
【0049】
具体的に、2つのガイド先端部32A、32Bは、それぞれ、ガイド部材本体31に別々に貼着されたポリエステルフィルム等からなる薄板状の可撓性部材である。そして、第1ガイド先端部32Aは、第2ガイド先端部32Bに比べて、その厚さが薄くて剛性が小さくなるように形成されている。さらに、図5を参照して、第1ガイド先端部32Aは、第2ガイド先端部32Bに比べて、ガイド部材本体31からの突出し量が小さくなるように形成されている(第1ガイド先端部32Aの突出し量Y1<第2ガイド先端部32Bの突出し量Y2である。)。ガイド先端部32A、32Bの剛性や突出し量は、それぞれ、転写位置に向けて案内される記録媒体Pの状態を決定づけるガイド条件である。そして、通紙される記録媒体Pの厚さや剛性に応じて、最適なガイド条件をもつガイド先端部によって記録媒体Pが転写位置に向けて案内されることになる。
【0050】
詳しくは、第2ガイド先端部32Bは突出し量Y2が大きく設定されているため、記録媒体Pの後端がガイド部材30(ガイド先端部32B)から離脱して中間転写ベルト8に達するまでの距離(又は、時間)を短くすることができる。そのため、記録媒体Pの後端が中間転写ベルト8を叩打する程度が小さくなって、「後端転写ブレ」が生じにくくなる。
また、第2ガイド先端部32Bは剛性が大きく設定されているため、記録媒体Pがガイド部材30(ガイド先端部32B)を通過するときに記録媒体Pのコシに負けずに、その姿勢をある程度維持することができる。そのため、記録媒体Pの後端がガイド部材30(ガイド先端部32B)から離脱して中間転写ベルト8に達するときに、ガイド先端部32Bが大きく揺れることなく中間転写ベルト8を叩打する程度が小さくなって、「後端転写ブレ」が生じにくくなる。
【0051】
これに対して、第1ガイド先端部32Aは突出し量Y1が小さく設定されているため、記録媒体Pの後端がガイド部材30(ガイド先端部32A)から離脱して中間転写ベルト8に達するまでの距離を比較的長くすることができる。そのため、ガイド部材30と転写位置との間での記録媒体Pの湾曲の程度が小さくなり、記録媒体Pの後端が中間転写ベルト8に充分に密着して、「後端転写不良」が生じにくくなる。
また、第1ガイド先端部32Aは剛性が小さく設定されているため、記録媒体Pがガイド部材30(ガイド先端部32A)を通過するときに記録媒体Pのコシに負やすくなる。そのため、ガイド部材30と転写位置との間での記録媒体Pの湾曲の程度が小さくなり、記録媒体Pの後端が中間転写ベルト8に充分に密着して、「後端転写不良」が生じにくくなる。
このように、第1ガイド先端部32Aと第2ガイド先端部32Bとは、それぞれに対応する記録媒体P(厚さや剛性が異なる記録媒体Pである。)に対して、その後端が最適な位置とタイミングとでガイド部材30から離間して、転写位置に向けて案内されるように形成されている。
【0052】
ここで、本実施の形態1における画像形成装置100には、レジストローラ28によって搬送される記録媒体Pの厚さ(又は剛性)を直接的又は間接的に検知する検知手段としての紙厚センサ68が設置されている。紙厚センサ68としては、紙厚を光学的に検知する公知のものを用いることができる。なお、検知手段としての紙厚センサ68の設置位置は、給紙部26からレジストローラ28の近傍までの搬送経路中であれば、いずれの位置でもよい。
【0053】
そして、本実施の形態1では、紙厚センサ68(検知手段)の検知結果に基いて、可変手段としても機能するレジストローラ28によってガイド部材30によって案内される記録媒体Pをガイド部材30に対して幅方向(図4の両矢印方向である。)に変位させて、2つのガイド先端部32A、32Bのうち記録媒体Pに接触するガイド先端部を可変している。
詳しくは、可変手段としてのレジストローラ28には、レジストローラ28を回転駆動させる駆動モータとは別に、レジストローラ28を図4の両矢印方向に移動するための駆動部60が接続されている。この駆動部60は、図示は省略するが、レジストローラ28を図5に示すホームポジションと図6に示すポジションとの間で数ミリ単位でステップ移動できるリンク機構(又はカム機構)を有している。そして、このレジストローラ28が、ガイド部材30に対して記録媒体Pの搬送方向上流側の位置で、記録媒体Pを挟持した状態で、記録媒体Pを幅方向に変位させる可変手段として機能する。
【0054】
具体的に、紙厚センサ68(検知手段)によって記録媒体Pの厚さ(又は剛性)が所定値以下であると検知された場合に、その記録媒体Pは厚さや剛性の小さな記録媒体Pに類似したものであるとして、レジストローラ28は、記録媒体Pが第1ガイド先端部32Aのみに接触するように記録媒体Pの幅方向の相対的な位置を変位させる。さらに具体的に、紙厚センサ68による検知結果が制御部65に送られて、制御部80にて記録媒体Pの厚さ(又は剛性)が所定値以下であると判断されると、制御部80によって駆動部60は制御されずに、レジストローラ28の幅方向の位置は、図5に示すホームポジションに維持される。
そして、この状態のレジストローラ28によって搬送された記録媒体Pは、図5に示すように、ガイド部材30の位置で第1ガイド先端部32Aにのみ接触しながら転写位置(2次転写ローラ19と中間転写ベルト8とのニップ部である。)に向けて搬送される。
これにより、厚さ(又は剛性)が比較的小さな記録媒体Pは、それに適したガイド条件を有する第1ガイド先端部32Aに導かれて、記録媒体Pの後端が中間転写ベルト8に充分に密着せずに生じる「後端転写不良」等の副作用がなく、「後端転写ブレ」の発生も抑止されることになる。
【0055】
これに対して、紙厚センサ68(検知手段)によって記録媒体Pの厚さ(又は剛性)が所定値を超えると検知された場合に、その記録媒体Pは厚さや剛性の大きな記録媒体Pに類似したものであるとして、レジストローラ28は、記録媒体Pの一部(図6の左側端部である。)が第2ガイド先端部32Bに接触するように記録媒体Pの幅方向の相対的な位置を変位させる。さらに具体的に、紙厚センサ68による検知結果が制御部65に送られて、制御部80にて記録媒体Pの厚さ(又は剛性)が所定値を超えると判断されると、制御部80によって駆動部60が制御されて、記録媒体Pを挟持した状態のレジストローラ28の幅方向の位置が、図6の破線で示すホームポジションから実線で示すポジションに変位される。
そして、この状態のレジストローラ28によって搬送された記録媒体Pは、図6に示すように、ガイド部材30の位置で第2ガイド先端部32Bと第1ガイド先端部32Aとに接触しながら転写位置に向けて搬送される。
これにより、厚さ(又は剛性)が比較的大きな記録媒体Pは、それに適したガイド条件を有する第2ガイド先端部32Bに導かれて、記録媒体Pの後端がガイド部材30(ガイド先端部32B)から離脱して中間転写ベルト8に達するときに、ガイド先端部32Bが大きく揺れることなく中間転写ベルト8を叩打する程度が小さくなって「後端転写ブレ」が生じにくくなる。さらには、記録媒体Pの後端が中間転写ベルト8に充分に密着して、良好な転写画像を得ることができる。
ここで、このときの記録媒体Pは、第2ガイド先端部32Bに加えて第1ガイド先端部32Aに接触しながら転写位置に向けて搬送されることになるが、第2ガイド先端部32Bのガイド条件に支配されることになる。すなわち、第2ガイド先端部32Bに接触するのが記録媒体Pの一部であっても、第1ガイド先端部32Aよりも剛性の高い第2ガイド先端部32Bに記録媒体Pが沿うように搬送され、第1ガイド先端部32Aよりも突出し量の大きな第2ガイド先端部32Bに記録媒体Pが沿うように搬送されることになる。また、これは、第2ガイド先端部32Bに接触するのが記録媒体Pの一部であっても、記録媒体Pの剛性(コシ)が強いために、支配的なガイド条件にてガイドされた記録媒体Pの一部に対して記録媒体Pの全体が追従しやすいことによる。
なお、第1ガイド先端部32Aと第2ガイド先端部32Bとのガイド条件が異なるために、記録媒体Pの後端がガイド部材30から離間するタイミングは、幅方向において、第1ガイド先端部32Aに接触する部分と第2ガイド先端部32Bに接触する部分とで異なることになる。このような場合には、記録媒体Pの後端が幅方向においてガイド部材30から同時に離間する場合に比べて、記録媒体Pの後端が中間転写ベルト8を叩打する勢いが低減される。これにより、記録媒体Pの後端部における画像乱れを抑えて、良好な転写画像を得ることができる。
また、第2ガイド先端部32Bと第1ガイド先端部32Aとは、一体化されることなく、それぞれが分割されているので、それぞれのガイド条件が干渉することがない。すなわち、第2ガイド先端部32Bと第1ガイド先端部32Aとは、それぞれ独立したガイド先端部として機能することになる。
【0056】
なお、図6に示すように、レジストローラ28(記録媒体P)の幅方向の位置を図5に示すホームポジションから変位する場合、当然に、各作像部6Y、6M、6C、6Kにおける感光体ドラム1Y上に画像を形成する幅方向の位置も、レジストローラ28(記録媒体P)の幅方向の変位量に合わせて変位することになる。具体的には、露光部7によって各作像部6Y、6M、6C、6Kにおける感光体ドラム1Y上に画像を形成する走査方向の書込み開始位置を変位させることになる。これにより、2次転写ニップ部(転写位置)において、幅方向に所定量変位した状態で搬送される記録媒体P上に、中間転写ベルト8上に担持された画像を所望位置に2次転写することができる。
なお、本実施の形態1では、記録媒体Pの厚さや剛性を紙厚センサ68によって検知したが、記録媒体Pの厚さや剛性を検知する検知手段の形態はこれに限定されることはない。例えば、給紙部26に記録媒体Pがセットされる際に、ユーザーによって装置本体100の操作パネル(不図示である。)に入力される記録媒体Pの情報に基づいて、記録媒体Pの厚さや剛性を間接的に検知することもできる。
【0057】
以上述べたように、本実施の形態1におけるレジストローラ28は、転写位置に向けて記録媒体Pをタイミングよく縦レジスト補正をおこないながら搬送する本来の機能に加えて、当接するガイド先端部32A、32Bを調整する可変手段としての機能も有する。
ここで、本実施の形態1では、可変手段としてのレジストローラ28が、記録媒体Pの横レジスト補正(横ずれ補正)をもおこなうように制御される。具体的に、先に説明したように、駆動部60はレジストローラ28を幅方向に数ミリ単位でステップ移動できるように構成されている。したがって、記録媒体Pが幅方向にずれて搬送されてしまった場合に、その状態を不図示のフォトセンサで検知して、そのずれ量に応じてレジストローラ28の位置で横レジスト補正をおこなう。これにより、記録媒体P上の所望位置に画像を正確に形成することができる。
なお、図6に示すレジストローラ28(可変手段)による制御をおこなう場合には、第2ガイド先端部32Bに接触させるための所定の移動量に対して、横レジスト補正分の移動量を加減することで、同じように良好な横レジスト補正をおこなうことができる。
【0058】
また、本実施の形態1では、図5を参照して、ガイド部材30の位置に向けて搬送される記録媒体Pが、その幅方向のサイズに関わらず、第1ガイド先端部32Aにおける第2ガイド先端部32B(その他のガイド先端部)の側の端部の位置を基準位置Xとして、その基準位置Xに記録媒体Pの幅方向端部が合致するように搬送される。
すなわち、本実施の形態1では、記録媒体Pは、サイズに関わらず、センター基準ではなくて、原則的に端部基準で搬送される。具体的に、図5を参照して、サイズの異なる種々の記録媒体P、P´、P´´の左側端部がすべて基準位置Xに合致するように、給紙部からレジストローラ28の位置に向けて搬送される。同様に、各作像部6Y、6M、6C、6Kにおいて感光体ドラム1Y上に形成される画像も、原則的に端部基準で形成される。
そして、それらのサイズの異なる種々の記録媒体P、P´、P´´の厚さ(紙厚センサ68で検知される厚さである。)に基いて、いずれの記録媒体P、P´、P´´も、必要に応じて図6に示すように基準位置Xから幅方向に所定量だけ一様に変位されて、第2ガイド先端部32Bへの接触が可能になる。
このように、記録媒体Pを端部基準(基準位置Xである。)で搬送することで、種々のサイズの記録媒体P、P´、P´´に対して、上述した可変手段(レジストローラ28)を用いた制御を容易におこなうことができる。すなわち、図6に示す制御をおこなう場合に、端部基準で搬送された種々のサイズの記録媒体P、P´、P´´に対して、レジストローラ28を幅方向の移動量を可変することなく、常にレジストローラ28を幅方向に一定量だけ移動させればよいことになる。
【0059】
また、本実施の形態1において、両面プリントモードが選択された場合に、可変手段としてのレジストローラ28は、記録媒体Pのおもて面に画像が形成されるときと、記録媒体Pの裏面に画像が形成されるときと、でガイド部材30によって案内される記録媒体Pをガイド部材30に対して幅方向に変位させて、2つのガイド先端部32A、32Bのうち記録媒体Pに接触するガイド先端部を可変する。
具体的に、厚さ(又は、剛性)の大きな記録媒体Pを用いて両面プリントをおこなう場合、転写位置にて記録媒体Pのおもて面(最初に画像が形成される面である。)にトナー像を2次転写するときには、レジストローラ28(可変手段)を図6に示すように移動制御して、記録媒体Pの一部が第2ガイド先端部32Bに接触するように調整する。これに対して、転写位置にて記録媒体Pの裏面(おもて面に画像が形成された状態の第2の転写面である。)にトナー像を2次転写するときには、図5に示すようにレジストローラ28(可変手段)の移動制御はおこなわずに、記録媒体Pが第1ガイド先端部32Aのみに接触するように調整する。これは、記録媒体Pのコシが強くても、おもて面に画像が形成された後の記録媒体Pは、定着部20で熱を受けて搬送方向にカールした状態になってしまい、ガイド部材30から転写位置に至る搬送経路において薄紙と類似した挙動を示すからである。
このように構成・動作することにより、両面プリントモードが選択された場合であっても、記録媒体の両面のいずれに対しても、副作用が生じることなく、「後端転写ブレ」の発生を一様に抑止することができる。
【0060】
なお、本実施の形態1では、ガイド部材30の先端部に設置される複数のガイド先端部32A、32Bについて、それらの剛性や突出し量を変えることでガイド条件が異なるように形成した。
これに対して、図7に示すように、複数のガイド先端部32A、32B(可撓性部材)について、それらのガイド部材本体31からの突出し方向(突出し角度)を変えることでガイド条件が異なるように形成することもできる。具体的に、2つのガイド先端部32A、32Bの突出し方向(突出し角度)に差異を設けることで、それぞれのガイド先端部によって案内される記録媒体Pがガイド部材30から離間する位置やタイミングを異ならせることができる。したがって、記録媒体Pの厚さ(又は、剛性)に応じて、最適な突出し方向にて形成されたガイド先端部を選択して、これによって記録媒体Pが転写位置に案内されることで、本実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0061】
さらに、図8に示すように、複数のガイド先端部32A、32B(可撓性部材)について、それらの先端の幅方向に対する傾斜角度を変えることでガイド条件が異なるように形成することもできる。具体的に、2つのガイド先端部32A、32Bの傾斜角度に差異を設けることで、それぞれのガイド先端部によって案内される記録媒体Pがガイド部材30から離間する位置やタイミングを異ならせることができる。例えば、図8に示すように、第1ガイド先端部32Aの先端が幅方向に対して平行になるように形成して、第2ガイド先端部32Bの先端が幅方向に対して傾斜するように形成する。このように厚紙に対応する第2ガイド先端部32Bの先端を幅方向に対して傾斜させた場合には、第2ガイド先端部32Bに接触する記録媒体Pの後端が徐々に第2ガイド先端部32Bから離間することになるために、記録媒体Pの後端が中間転写ベルト8に叩打する力が極めて小さくなる。したがって、記録媒体Pの厚さ(又は、剛性)に応じて、最適な傾斜角度にて形成されたガイド先端部を選択して、これによって記録媒体Pが転写位置に案内されることになり、本実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
なお、複数のガイド先端部32A、32Bについてそれぞれ最適なガイド条件を構成するために、上述した剛性、突出し量、突出し方向、傾斜角度のうちいずれか1つを選択してもよいし、複数のものを選択して組み合わせてもよい。
【0062】
また、本実施の形態1において、厚さ(又は剛性)が大きい記録媒体Pが搬送されて、レジストローラ28(可変手段)によって記録媒体Pの幅方向の位置を変位させるときに、紙厚センサ68(検知手段)による検知結果の大きさに応じて、レジストローラ28(可変手段)によって、記録媒体Pが第2ガイド先端部32Bに接触する幅方向の範囲を可変することもできる。
具体的に、記録媒体Pの厚さ(又は、剛性)が大きいものの、その大きさが小程度である場合には、レジストローラ28(可変手段)による移動量を小さく設定して、記録媒体Pが第2ガイド先端部32Bに接触する幅方向の範囲を小さくする。これに対して、記録媒体Pの厚さ(又は、剛性)が大きく、その大きさも大程度である場合には、レジストローラ28(可変手段)による移動量を大きく設定して、記録媒体Pが第2ガイド先端部32Bに接触する幅方向の範囲を大きくする。すなわち、記録媒体Pの厚さ(又は、剛性)の大きさに応じて、記録媒体Pに接触する(記録媒体Pの搬送を拘束する)第2ガイド先端部32Bの範囲を調整する。
このように記録媒体Pに接触する第2ガイド先端部32Bの範囲を調整することで、記録媒体Pに対するガイド条件を微調整することができるため、厚さや剛性の異なる複数種類の記録媒体Pに対して、ガイド部材30によるキメの細かい搬送制御をおこなうことができる。
【0063】
以上説明したように、本実施の形態1では、記録媒体Pに対するガイド条件がそれぞれ異なるように形成された複数のガイド先端部32A、32Bをガイド部材30の先端部に設置して、複数のガイド先端部32A、32Bのうち記録媒体Pに接触するガイド先端部を記録媒体Pの厚さや剛性に応じて可変している。これにより、厚さや剛性の異なる記録媒体Pを用いた場合であっても、副作用が生じることなく、「後端転写ブレ」の発生を一様に抑止することができる。
【0064】
実施の形態2.
図9にて、この発明の実施の形態2について詳細に説明する。
図9は、実施の形態2における画像形成装置のガイド部材30の近傍を幅方向に示す図であって、前記実施の形態1における図5に相当する図である。本実施の形態2における画像形成装置は、ガイド部材30自体が可変手段として機能している点が、レジストローラ28が可変手段として機能している前記実施の形態1のものとは相違する。
【0065】
本実施の形態2における画像形成装置も、前記実施の形態1のものと同様に、ニップ部(2次転写ニップ)の上流側にガイド部材30(入口上ガイド部材)が設置されている。そして、このガイド部材30の先端部には、ガイド条件が異なる2つのガイド先端部32A、32B(可撓性部材)が分割して別々に貼着されている。また、記録媒体Pの搬送経路中には、検知手段としての紙厚センサ68が設置されている。
【0066】
ここで、本実施の形態2では、図9に示すように、ガイド部材30によって案内される記録媒体Pをガイド部材30に対して幅方向に相対的に変位させる可変手段として、ガイド部材30を幅方向に移動する駆動部60が設置されている。この駆動部60は、図示は省略するが、ガイド部材30を図9の両矢印方向に数ミリ単位でステップ移動できるリンク機構(又はカム機構)を有している。そして、このガイド部材30が、記録媒体Pの厚さや剛性に応じて移動することになる。
具体的に、厚さや剛性の小さな記録媒体Pが通紙された場合には、ガイド部材30はホームポジション(図9の位置である。)にあり、記録媒体Pが第1ガイド先端部32Aにのみ接触した状態で転写位置に向けて案内される。これに対して、厚さや剛性の大きな記録媒体Pが通紙された場合には、ガイド部材30はホームポジション(図9の位置である。)から図9の右側に移動して、記録媒体Pの一部が第2ガイド先端部32Bに接触した状態で転写位置に向けて案内される。
【0067】
以上説明したように、本実施の形態2でも、前記実施の形態1と同様に、記録媒体Pに対するガイド条件がそれぞれ異なるように形成された複数のガイド先端部32A、32Bをガイド部材30の先端部に設置して、複数のガイド先端部32A、32Bのうち記録媒体Pに接触するガイド先端部を記録媒体Pの厚さや剛性に応じて可変している。これにより、厚さや剛性の異なる記録媒体Pを用いた場合であっても、副作用が生じることなく、「後端転写ブレ」の発生を一様に抑止することができる。
【0068】
実施の形態3.
図10にて、この発明の実施の形態3について詳細に説明する。
図10は、実施の形態3における画像形成装置のガイド部材30の近傍を幅方向に示す図であって、前記実施の形態1における図4に相当する図である。本実施の形態3における画像形成装置は、ガイド部材30に3つのガイド先端部32A〜32Cが設置されている点が、ガイド部材30に2つのガイド先端部32A、32Bが設置されている前記実施の形態1のものとは相違する。
【0069】
本実施の形態3おける画像形成装置も、前記実施の形態1のものと同様に、ニップ部(2次転写ニップ)の上流側にガイド部材30(入口上ガイド部材)が設置されている。
また、前記実施の形態1のものと同様に、記録媒体Pの搬送経路中には、検知手段としての紙厚センサ68が設置されている。さらに、ガイド部材30によって案内される記録媒体Pをガイド部材30に対して幅方向に相対的に変位させる可変手段として、レジストローラ28を幅方向に移動する駆動部60が設置されている。
【0070】
ここで、図10に示すように、本実施の形態3おけるガイド部材30の先端部には、前記実施の形態1のものとは異なり、ガイド条件が異なる3つのガイド先端部32A〜32C(可撓性部材)が分割して別々に貼着されている。
これらの3つのガイド先端部32A〜32Cのうち、第1ガイド先端部32Aは、厚さや剛性が小さい記録媒体(例えば、薄紙である。)に適したガイド条件にて形成されている。また、第1ガイド先端部32Aは、その幅方向の長さが、搬送可能な最大サイズの記録媒体Pの幅方向の長さよりも長くなるように形成されている。
また、3つのガイド先端部32A〜32Cのうち、第2ガイド先端部32Bは、厚さや剛性が中程度の記録媒体(例えば、普通紙である。)に適したガイド条件にて形成されている。そして、第2ガイド先端部32Bは、第1ガイド先端部32Aの幅方向の片側端部に隣接するように並設されている。
また、3つのガイド先端部32A〜32Cのうち、第3ガイド先端部32Cは、厚さや剛性が大きい記録媒体(例えば、厚紙である。)に適したガイド条件にて形成されている。そして、第3ガイド先端部32Cは、第1ガイド先端部32Aとの間に第2ガイド先端部32Bを挟むように、第2ガイド先端部32Bの幅方向の片側端部に隣接するように並設されている。
すなわち、第1ガイド先端部32Aに比べて厚さや剛性が大きい記録媒体Pに適したガイド条件にて形成されたその他のガイド先端部32B、32Cは、第1ガイド先端部32Aの幅方向の片側端部からガイド条件の順に隣接するように並設されている。
【0071】
そして、紙厚センサ68によって検知された記録媒体Pの厚さ(又は剛性)が所定値以下である場合(薄紙であることが検知された場合)、可変手段としてのレジストローラ28によって、記録媒体Pが第1ガイド先端部32Aのみに接触するように記録媒体Pの幅方向の位置が変位させる。
また、紙厚センサ68によって検知された記録媒体Pの厚さ(又は剛性)が所定値を超える場合、その他の2つのガイド先端部32B、32Cのうち、その検知結果に応じて対応するガイド先端部に記録媒体Pの一部が接触するように、可変手段としてのレジストローラ28によって記録媒体Pの幅方向の位置が変位させる。具体的に、紙厚センサ68によって検知された記録媒体Pの厚さ(又は剛性)が中程度である場合(普通紙であることが検知された場合)、可変手段としてのレジストローラ28によって、記録媒体Pの一部が第2ガイド先端部32Bに接触するように(記録媒体Pが第1ガイド先端部32Aと第2ガイド先端部32Bとに接触するように)、記録媒体Pの幅方向の位置が変位させる。これに対して、紙厚センサ68によって検知された記録媒体Pの厚さ(又は剛性)が大きい場合(厚紙であることが検知された場合)、可変手段としてのレジストローラ28によって、記録媒体Pの一部が第3ガイド先端部32Cに接触するように(記録媒体Pがすべてのガイド先端部32A〜32Cに接触するように)、記録媒体Pの幅方向の位置が変位させる。
【0072】
以上説明したように、本実施の形態3でも、前記各実施の形態と同様に、記録媒体Pに対するガイド条件がそれぞれ異なるように形成された複数のガイド先端部32A〜32Cをガイド部材30の先端部に設置して、複数のガイド先端部32A〜32Cのうち記録媒体Pに接触するガイド先端部を記録媒体Pの厚さや剛性に応じて可変している。これにより、厚さや剛性の異なる記録媒体Pを用いた場合であっても、副作用が生じることなく、「後端転写ブレ」の発生を一様に抑止することができる。
【0073】
なお、前記各実施の形態では、像担持体として中間転写ベルト8を用いて、転写部材として2次転写ローラ19を用いて、双方の部材が接触する転写位置の上流側にガイド部材30が設置された画像形成装置100に対して、本発明を適用した。これに対して、像担持体として感光体ドラムや感光体ベルトを用いて、転写部材として転写ローラやワイヤ転写器を用いて、双方の部材が接触又は対向する転写位置の上流側にガイド部材が設置された画像形成装置100に対しても、本発明を適用することができる。このような場合にも、ガイド部材30のガイド先端部を前記各実施の形態と同様に構成して、前記各実施の形態と同様に可変手段による制御をおこなうことで、前記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、前記各実施の形態では、記録媒体Pがニップ部(転写位置)に向けて略水平方向に搬送される画像形成装置に対して本発明を適用した。これに対して、記録媒体Pがニップ部に向けて略垂直方向に搬送される画像形成装置に対しても本発明を適用することができる。このような場合にも、ガイド部材30のガイド先端部を前記各実施の形態と同様に構成して、前記各実施の形態と同様に可変手段による制御をおこなうことで、前記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0074】
また、本発明が前記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、前記各実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は前記各実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0075】
1Y、1M、1C、1K 感光体ドラム、
8 中間転写ベルト(像担持体)、
15 中間転写ベルト装置、
19 2次転写ローラ(転写部材)、
28 レジストローラ(可変手段)、
30 ガイド部材(入口上ガイド板)、
31 ガイド部材本体、
32A 第1ガイド先端部、
32B 第2ガイド先端部、
32C 第3ガイド先端部、
35 入口下ガイド板、
68 紙厚センサ(検知手段)、
100 画像形成装置本体(装置本体)、 P 記録媒体、 X 基準位置。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0076】
【特許文献1】特開2008−58593号公報
【特許文献2】特許第3601747号公報
【特許文献3】特開平5−289545号公報
【特許文献4】特許第4038328号公報
【特許文献6】特開2008−24507号公報
【特許文献7】特開2008−297076号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にトナー像を担持する像担持体と、
前記像担持体に接触又は対向する転写位置にて前記像担持体上に担持されたトナー像を記録媒体上に転写する転写部材と、
前記転写位置に向けて搬送される記録媒体の転写面に対向するように配設されて当該記録媒体を案内するガイド部材と、
前記転写位置に向けて搬送される記録媒体の厚さ又は剛性を直接的又は間接的に検知する検知手段と、
を備え、
前記ガイド部材は、先端部において記録媒体の搬送方向に直交する幅方向に複数に分割されるとともに、記録媒体に対するガイド条件がそれぞれ異なるように形成された複数のガイド先端部を具備し、
前記検知手段の検知結果に基いて、前記ガイド部材によって案内される記録媒体を前記ガイド部材に対して幅方向に相対的に変位させて、前記複数のガイド先端部のうち当該記録媒体に接触するガイド先端部を可変する可変手段をさらに備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記複数のガイド先端部のうち、
厚さ又は剛性が小さい記録媒体に適したガイド条件にて形成された第1ガイド先端部は、その幅方向の長さが、搬送可能な最大サイズの記録媒体の幅方向の長さよりも長くなるように形成され、
前記第1ガイド先端部に比べて厚さ又は剛性が大きい記録媒体に適したガイド条件にて形成されたその他のガイド先端部は、前記第1ガイド先端部の幅方向の片側端部から前記ガイド条件の順に隣接するように並設され、
前記可変手段は、
前記検知手段によって検知された記録媒体の厚さ又は剛性が所定値以下である場合に、当該記録媒体が前記第1ガイド先端部のみに接触するように当該記録媒体の幅方向の相対的な位置を変位させて、
前記検知手段によって検知された記録媒体の厚さ又は剛性が前記所定値を超える場合に、その検知結果に応じて対応する前記その他のガイド先端部に当該記録媒体の一部が接触するように当該記録媒体の幅方向の相対的な位置を変位させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ガイド部材の位置に向けて搬送される記録媒体は、その幅方向のサイズに関わらず、前記第1ガイド先端部における前記その他のガイド先端部の側の端部の位置を基準位置として、当該基準位置に記録媒体の幅方向端部が合致するように搬送されることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記その他のガイド先端部は、厚さ又は剛性が大きい記録媒体に適したガイド条件にて形成された第2ガイド先端部であって、
前記可変手段は、厚さ又は剛性が大きい記録媒体が搬送されるときに、前記検知手段による検知結果の大きさに応じて当該記録媒体の幅方向の相対的な位置を変位させて、当該記録媒体が前記第2ガイド先端部に接触する幅方向の範囲を可変することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
記録媒体のおもて面に画像が転写・定着された後に当該記録媒体の裏面にトナー像を形成するための両面プリント手段を備え、
前記可変手段は、記録媒体のおもて面に画像が形成されるときと、当該記録媒体の裏面に画像が形成されるときと、で前記ガイド部材によって案内される当該記録媒体を前記ガイド部材に対して幅方向に相対的に変位させて、前記複数のガイド先端部のうち当該記録媒体に接触するガイド先端部を可変することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載する画像形成装置。
【請求項6】
前記複数のガイド先端部は、ガイド部材本体に設置された可撓性部材であって、
前記ガイド条件は、前記可撓性部材における、剛性、前記ガイド部材本体からの突出し量、前記ガイド部材本体からの突出し方向、その先端の前記幅方向に対する傾斜角度、のうち少なくとも1つであることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載する画像形成装置。
【請求項7】
前記可変手段は、前記ガイド部材に対して記録媒体の搬送方向上流側の位置で、記録媒体を幅方向に変位させることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載する画像形成装置。
【請求項8】
前記転写位置に向けて記録媒体を搬送するとともに、記録媒体を挟持した状態で幅方向に移動可能に構成されたレジストローラを備え、
前記可変手段は、前記レジストローラであることを特徴とする請求項7に記載する画像形成装置。
【請求項9】
前記可変手段は、記録媒体の横レジスト補正をもおこなうように制御されることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記可変手段は、前記ガイド部材を幅方向に変位させることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載する画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−133529(P2011−133529A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−290319(P2009−290319)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】