説明

画像形成装置

【課題】トナー像を形成できる画像形成部を1又は2以上含む画像形成装置。
【解決手段】トナー像を中間転写ベルト7に1次転写し、さらに記録用紙供給部10Sから上昇してくる用紙Sに2次転写し、用紙Sをさらに上昇させ、定着装置9に通過させて2次転写トナー像を定着させ、排出トレイ13に排出することができ、用紙供給部10Sからの用紙上昇搬送路P2、P3を開閉可能の側面カバーC1及び定着装置9を含むエリアAを開閉可能の上面カバーC2を備えており、画像読み取り装置100を定着装置9上方に取り外し可能に後付け搭載した画像形成装置であって、装置100を搭載したままでも、カバーC2及びカバーC1を簡易に開閉できるとともにメインテナンス作業にも支障がない画像形成装置10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式や静電記録方式などによって静電潜像担持体に静電潜像を形成し、該潜像を現像してトナー像を形成できる画像形成部を1又は2以上含み、該画像形成部で形成されるトナー像を中間転写ベルトに1次転写し、該ベルト上の1次転写トナー像を記録紙、オーバーヘッドプロジェクタ用シート等の記録シート(以下、これらを「記録用紙」又は単に「用紙」と称する。)に2次転写し、定着させることができる画像形成装置に関する。
【0002】
この種の画像形成装置には種々のタイプのものがあるが、その中に、中間転写ベルト上のトナー像を記録用紙に2次転写し、定着させるにあたり、記録用紙供給部から供給されて上昇してくる記録用紙にベルト上のトナー像を2次転写し、該記録用紙をさらに上昇させ、定着装置に通過させて該2次転写トナー像を定着させ、前記中間転写ベルト上方の排出トレイに排出するものがある。
【0003】
このような画像形成装置であって、さらに、前記記録用紙供給部からの記録用紙上昇搬送路を開閉可能の、メインテナンス作業のための側面カバーを備えているとともに、前記定着装置を含むエリアを開閉可能の、メインテナンス作業のための上面カバーを備えているものがある。
【0004】
このような画像形成装置は、例えば外部コンピュータ等から画像情報を受信して画像をプリントするプリンタとして使用できるものであるが、さらに、前記定着装置を含むエリア及び排出トレイの上方に位置するように画像読み取り装置を取り外し可能に後付け搭載して、複写機機能、プリンタ機能或いはさらにファクシミリ機能等を有する複合機化(MFP化)できるものもある。
【0005】
このように複合機化可能の画像形成装置は例えば特開2007−271893号公報に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−271893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように複合機化可能の画像形成装置では、画像読み取り装置を搭載しても、側面カバー、上面カバーそれぞれの開閉に支障がない場合もあるであろうが、今日の画像形成装置の小型化、コンパクト化の要請からして、画像読み取り装置を搭載すると、側面カバーは開閉できても、上面カバーは画像読み取り装置を搭載したままでは、それが邪魔になって開閉できない場合もある。
【0008】
画像読み取り装置を搭載したままでは上面カバーを開閉できないときに、上面カバーを開いてジャム処理、部品の交換等のメインテナンスが必要になると、画像読み取り装置をいちいち取り外されなければならないことになる。それでは、メインテナンスに時間、手間がかかりすぎ、ひいては、画像生産性が低下することにもなる。
【0009】
そこで本発明は、 静電潜像担持体に静電潜像を形成し、該潜像を現像してトナー像を形成できる画像形成部を1又は2以上含み、前記画像形成部で形成されるトナー像を中間転写ベルトに1次転写し、該ベルト上の1次転写トナー像を、記録用紙供給部から供給されて上昇してくる記録用紙に2次転写部材にて2次転写し、該記録用紙をさらに上昇させ、定着装置に通過させて該2次転写トナー像を定着させ、前記中間転写ベルト上方の排出トレイに排出することができ、前記記録用紙供給部からの記録用紙上昇搬送路を開閉可能のメインテナンス作業のための側面カバー及び前記定着装置を含むエリアを開閉可能のメインテナンス作業のための上面カバーを備えており、前記定着装置を含むエリア及び排出トレイの上方に位置するように画像読み取り装置を取り外し可能に後付け搭載した画像形成装置であって、画像読み取り装置を搭載したままでも、前記上面カバー及び側面カバーのいずれについても、簡易に開閉できるとともにメインテナンス作業にも支障がない画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は前記課題を解決するため、
静電潜像担持体に静電潜像を形成し、該潜像を現像してトナー像を形成できる画像形成部を1又は2以上含み、前記画像形成部で形成されるトナー像を中間転写ベルトに1次転写し、該ベルト上の1次転写トナー像を、記録用紙供給部から供給されて上昇してくる記録用紙に2次転写部材にて2次転写し、該記録用紙をさらに上昇させ、定着装置に通過させて該2次転写トナー像を定着させ、前記中間転写ベルト上方の排出トレイに排出することができ、前記記録用紙供給部からの記録用紙上昇搬送路を開閉可能のメインテナンス作業のための側面カバー及び前記定着装置を含むエリアを開閉可能のメインテナンス作業のための上面カバーを備えており、前記定着装置を含むエリア及び排出トレイの上方に位置するように画像読み取り装置を取り外し可能に後付け搭載した画像形成装置であり、前記側面カバーは該画像読み取り装置搭載の有無に拘らずカバー下端部を揺動中心部として下方へ揺動させて開き、上方へ揺動させて閉じることができ、前記上面カバーについては、前記側面カバーに取り外し可能に装着でき、該側面カバーに装着した状態で、前記画像読み取り装置を搭載したままで、該側面カバーの開閉に連動して前記定着装置を含むエリアを開閉でき、該側面カバー開状態で該側面カバーから取り外すこともできる上面カバーが採用される画像形成装置を提供する。
【0011】
本発明に係る画像形成装置によると、前記側面カバーは画像読み取り装置搭載の有無に拘らずカバー下端部を揺動中心部として下方へ揺動させて開き、上方へ揺動させて閉じることができるものであり、上面カバーについては、画像読み取り装置を搭載したままで、側面カバーに装着した状態で該側面カバーの開閉に連動して前記定着装置を含むエリアを開閉できるから、側面カバーについては画像読み取り装置を搭載しないときの側面カバーをそのまま利用できるのでそれだけ安価にすみ、その開閉も容易であるとともに側面カバーを開いてメインテナンスでき、また、上面カバーについては、該側面カバーとともに開閉できるので便利であるとともに上面カバーを開いてメインテナンスを行える。
【0012】
また、上面カバーを側面カバーに連動させて開いた状態では、もし上面カバーが側面カバーに装着されていなければメインテナンスできたが、上面カバーが側面カバーが付いているのでそれが邪魔になってメインナンスできない部品や部位については、上面カバーを側面カバーから取り外してメインテナンスできる。
【0013】
このように、本発明に係る画像形成装置によると、画像読み取り装置を搭載したままでも、前記上面カバー及び側面カバーのいずれについても、簡易に開閉できるとともに、場合によっては上面カバーを側面カバーから取り外してメインテナンス作業を行うことができるので、メインテナンス作業にも支障がない。
【0014】
前記メインテナンス作業対象として、例えば少なくとも前記中間転写ベルトを含む中間転写ユニットを挙げることができる。前記画像読み取り装置を搭載した状態のまま、中間転写ユニットの交換等のために中間転写ユニットを引き出し、押し込み装着できるようにするために、該中間転写ユニットを、前記側面カバーを前記上面カバーとともに開き、該開いた側面カバーから該上面カバーを取り外すことで、該開いた側面カバーの上方エリアへ引出し可能とし、逆に該上方エリアから押し込み装着可能としてもよい。
【0015】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記画像読み取り装置を取り外し、前記記録用紙上昇搬送路を開閉する側面カバーについては画像読み取り装置が搭載されているときの側面カバーをそのまま採用し、前記上面カバーについては、該側面カバーとは独立して開閉可能の上面カバーを採用して用いることができるものとすることができる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように本発明によると、
静電潜像担持体に静電潜像を形成し、該潜像を現像してトナー像を形成できる画像形成部を1又は2以上含み、前記画像形成部で形成されるトナー像を中間転写ベルトに1次転写し、該ベルト上の1次転写トナー像を、記録用紙供給部から供給されて上昇してくる記録用紙に2次転写部材にて2次転写し、該記録用紙をさらに上昇させ、定着装置に通過させて該2次転写トナー像を定着させ、前記中間転写ベルト上方の排出トレイに排出することができ、前記記録用紙供給部からの記録用紙上昇搬送路を開閉可能のメインテナンス作業のための側面カバー及び前記定着装置を含むエリアを開閉可能のメインテナンス作業のための上面カバーを備えており、前記定着装置を含むエリア及び排出トレイの上方に位置するように画像読み取り装置を取り外し可能に後付け搭載した画像形成装置であって、画像読み取り装置を搭載したままでも、前記上面カバー及び側面カバーのいずれについても、簡易に開閉できるとともにメインテナンス作業にも支障がない画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る画像形成装置の1例の構成の概略を示す図である。
【図2】図1の画像形成装置において側面カバーを上面カバーとともに開いた状態を示す図である。
【図3】図1の画像形成装置において開いた側面カバーから上面カバーを取り外して中間転写ユニットを引き出すところを示す図である。
【図4】図1の画像形成装置における中間転写ユニット及び用紙搬送ガイドを位置決めする位置決め部材と、該位置決め部材における中間転写ユニット及び用紙搬送ガイドの位置決め状態を示す図である。
【図5】図4の位置決め状態から用紙搬送ガイドを退避位置へ下降させ、中間転写ユニットを引き抜いてしまった状態を示す図である。
【図6】図1の画像形成装置から画像読み取り装置を取り外した画像形成装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る画像形成装置の1例10の構成の概略を示している。画像形成装置10はタンデム型のフルカラー画像形成装置であり、複写機、プリンタ、ファクシミリ機などの機能を併せ持つ複合機である。
【0019】
この画像形成装置10は、プリンタの部分PRと、その上に後付け搭載された画像読み取り装置100とを含んでいる。プリンタPRは、駆動ローラ71とこれに対向するローラ72に巻き掛けられた無端の中間転写ベルト7を有している。ローラ71、72は一対のフレームF(図1には鎖線で示してある)に回転可能に支持されている。転写ベルト7は、図示省略のベルト駆動部により駆動される駆動ローラ71により図中反時計方向(図中矢印方向)CCWに回される。
【0020】
ローラ72には転写ベルト7上の2次転写残トナー等を清掃するクリーニング装置73が臨んでおり、駆動ローラ71には2次転写ローラ8が臨んでいる。クリーニング装置73は前記フレームFに支持されている。
【0021】
フレームF、これに支持されたローラ71、72、これらローラに巻が掛けられた中間転写ベルト7及びクリーニング装置73等は中間転写ユニットUを構成している。
【0022】
中間転写ユニットUは後述するように中間転写ユニットUの両外側に配置された一対の位置決め部材700によって画像形成のための正規位置に位置決めされ、また、その位置から後述するように引き出すこともできる。
【0023】
2次転写ローラ8は図示省略の押圧手段にて、正規位置のユニットUにおける駆動ローラ71に支持された中間転写ベルト7の部分に押圧され、中間転写ベルト7との間にニップ部を形成し、中間転写ベルト7の回転に従動して、或いは、後述するように該ニップ部に送り込まれる記録用紙(記録紙、オーバーヘッドプロジェクタ用シート等)の移動に従動して、或いは駆動されて回転することができる。2次転写ローラ8には、図示省略の電源から2次転写バイアスを印加することができる。
【0024】
中間転写ベルト7及び2次転写ローラ8の上方には定着装置9が配置されており、下方にはタイミングローラ対11が配置されており、さらにその下方に、記録用紙Sの供給カセット10Sが配置されている。
【0025】
定着装置9はハロゲンランプヒータ等の熱源を備えた定着加熱ローラとこれに圧接される加圧ローラとを含むものである。
記録用紙収容カセット10Sに収容された記録用紙Sは、用紙供給ローラ101にて1枚ずつ引き出してタイミングローラ対11へ供給することができる。
【0026】
中間転写ベルト7を巻き掛けたローラ71、72の間には、転写ベルト7に沿って、ローラ72からローラ71に向けて、イエロー画像形成部Y、マゼンタ画像形成部M、シアン画像形成部C及びブラック画像形成部Kがこの順序で配置されている。
【0027】
Y、M、C、Kの各画像形成部は、静電潜像担持体としてドラム型の感光体1を備えており、該感光体の周囲に帯電器2、露光装置3、現像装置4及びクリーニング装置5がこの順序で配置されている。
【0028】
各画像形成部の感光体1にはベルト7を間にして1次転写ローラ6が対向配置されている。1次転写ローラ6は、図示省略の押圧手段にて感光体1の方向へ押圧され、ベルト7に接触して従動回転するとともにベルト7を感光体1に接触させることができる。
これら1次転写ローラ6も中間転写ユニットUに搭載されている。
【0029】
1次転写ローラ6には、感光体1上に形成されるトナー像をベルト7へ1次転写するための1次転写バイアスを図示省略の電源から印加できる。
【0030】
露光装置3は、図示省略のパーソナルコンピュータ、画像読取装置100等から提供される画像情報に応じて、レーザービームの点滅により感光体1にドット(点)露光で画像露光を施し、静電潜像を形成できるものである。
【0031】
画像読み取り装置100は、原稿画像の複写、原稿画像のファクシミリ送信、原稿画像の読み取りと記憶部への格納等のために画像を読み取るものであり、それ自体すでに知られているタイプのものである。
【0032】
各画像形成部における感光体1は、ここでは負帯電性の感光体であり、図示省略の感光体駆動モータにて図中時計方向回りに回転駆動できる。
【0033】
各画像形成部における帯電器2は、本例ではスコロトロン帯電器であり、所定のタイミングで図示省略の電源から帯電用の電圧が印加される。なお、帯電器2は帯電ローラを用いるもの等であってもよい。
【0034】
各画像形成部における現像装置4は、本例では、トナーを主体とする一成分現像剤を使用して感光体1上に形成される静電潜像を、図示省略の電源から現像バイアスが印加されるローラ形態の現像剤担持回転体(以下、「現像ローラ」という。)41(図2参照)で反転現像することができる。
【0035】
このプリンタによると、Y、M、C、Kの画像形成部のうち1又は2以上を用いて画像を形成することができる。
画像形成部Y、M、C及びKのすべてを用いてフルカラー画像を形成する場合を例にとると、先ず、イエロー画像形成部Yにおいてイエロートナー像を形成し、これを転写ベルト8に1次転写する。
【0036】
すなわち、イエロー画像形成部Yにおいて、感光体1が図中時計方向に回転駆動され、帯電器2にて表面が一様に所定電位に帯電され、該帯電域に露光装置3からイエロー画像に対応する画像露光が施され、感光体1上にイエロー画像に対応する静電潜像が形成される。
【0037】
この静電潜像はイエロートナーを有する現像装置4の現像バイアスが印加された現像ローラ41にて現像されて可視イエロートナー像となる。該イエロートナー像は1次転写ローラ6にて転写ベルト7上に1次転写される。このとき、1次転写ローラ6には図示省略の電源から1次転写バイアスが印加される。
【0038】
同様にして、マゼンタ画像形成部Mにおいてマゼンタトナー像が形成されて転写ベルト7に転写され、シアン画像形成部Cにおいてシアントナー像が形成されて転写ベルト7に転写され、ブラック画像形成部Kにおいてブラックトナー像が形成されて転写ベルト7に転写される。
【0039】
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像はこれらが中間転写ベルト7上に重ねて転写されるタイミングで形成される。
かくして転写ベルト7上に形成された多重トナー像は転写ベルト7の回動により2次転写ローラ8へ向け移動する。
【0040】
一方、記録用紙Sが記録用紙収容カセット10Sから媒体用紙ローラ101にて引き出され、用紙上昇搬送路(記録用紙案内路)P1にてタイミングローラ対11へ供給され、待機している。
【0041】
このようにタイミングローラ対11のところで待機する記録用紙Sは、中間転写ベルト7にて送られてくる多重トナー像に合わせて、転写ベルト7と2次転写ローラ8とのニップ部に用紙上昇搬送路(記録用紙案内路)P2にて供給される。該多重トナー像は図示省略の電源から2次転写バイアスが印加された2次転写ローラ8にて記録用紙S上に2次転写される。
【0042】
その後記録用紙Sは用紙上昇搬送路(記録用紙案内路)P3にて定着装置9に通され、そこで多重トナー像が加熱加圧下に記録用紙Sに定着される。記録用紙Sはひき続き、搬送路(記録用紙案内路)P4から排出ローラ対12にて排出トレイ13に排出される。
【0043】
トナー像のベルト7への1次転写において感光体1上に残留する転写残トナー等はクリーニング装置5で清掃され、2次転写によりベルト7上に残留する2次転写残トナー等はクリーニング装置73で清掃される。これら清掃除去されたトナーはそれぞれ図示省略の搬送手段にて廃棄容器へ送られる。
【0044】
プリンタ部分PRについてさらに説明すると、前記用紙搬送路(記録用紙案内路)P1、P2、P3及びP4のうち、本例では用紙上昇搬送路P2とP3を、ジャム処理、消耗品(ここでは特に中間転写ユニットU)の点検、交換等のために開閉するための側面カバーC1が設けられている。
【0045】
定着装置9を含む領域Aを上方から覆い、また、その領域を開閉できる上面カバーC2も設けられており、カバーC2はカバーC1の上端部に取り外し可能に装着されている。それとは限定されないが、本例では、上面カバーC2に複数本の突起部c21が突設されており、側面カバーC1の上端面に、該突起部c21が抜き取り可能に嵌合できる穴c11が形成されている。
【0046】
側面カバーC1は、用紙上昇搬送路P2を形成するための案内部分p21、2次転写ローラ8及び用紙上昇搬送路P3を形成するための案内部分p31等を含んでいる。
図1のように側面カバーC1が閉じられている状態では、案内部分p21はプリンタ本体側の用紙搬送ガイドGとともに搬送路P2を形成し、案内部分p31はプリンタ本体側の用紙案内部分p32とともに搬送路P3を形成する。
【0047】
側面カバーC1は、該カバー下端部をプリンタ本体部へ回動可能に連結するヒンジ部分sを中心に、揺動下降させて開き、揺動上昇させて閉じることができる。図1のように画像読み取り装置100がプリンタPRに搭載されたままでも、上面カバーC2は画像読み取り装置100に衝突することなく、側面カバーC1の開閉に連動して開閉可能である。
【0048】
図2は側面カバーC1を、それに上面カバーC2を装着したまま開いた状態を示しており、図3はそのように開いた側面カバーC1から上面カバーC1を取り外し(それにより上面カバーC1も開く)ことにより、中間転写ユニットUを画像形成のための正規位置から引出し、又は該位置へ押し込み装着できる状態を示している。
【0049】
中間転写ユニットUは既述のとおり中間転写ユニットUの両外側に配置された一対の位置決め部材700によって画像形成のための正規位置に位置決めされ、また、その位置から引き出すこともできるのであるが、位置決め部材700は側面カバーC1に近い方の部分702が下方へ一体的に屈曲しており、その部分702に用紙搬送ガイドGが支持されている。すなわち、用紙搬送ガイドGは中間転写ユニットUの両外側に位置する、対をなす位置決め部材700の間に配置され、該部材700の一部でもある用紙搬送ガイドGの支持部分702に支持されている。
【0050】
位置決め部材700に関連する事項についてさらに説明すると、図4及び図5に示すように、各位置決め部材700は中間転写ユニットUを画像形成のための正規位置(図1、図4示す位置)に位置決めできるとともに、その位置から引き出すように、或いはその位置へ押し込み装着できるように案内する溝状の中間転写ユニット案内部701を有している。
【0051】
図4に示すように、中間転写ユニットUのローラ71、72の、フレームFに回転可能に支持されたシャフト71s、72sと中心軸線を同じくするピン部材71p、72pがフレームFの外側へ突出して溝状案内部701に嵌まって案内されることができる。このようにして中間転写ユニットUを該案内部701に案内させつつ正規位置へ押し込み装着でき、或いは図3に示すように正規位置から引き出すことができるようになっている。
【0052】
ユニットUが正規位置に配置されると、ローラ71のシャフト71sに対応するピン部材71pが、位置決め部材700の外面に固定されたストッパstに当接し、スプリングsp1でその位置にセットされる。このようにしてユニットUは正規位置に配置され、そこに安定的に保持される。スプリングsp1も部材700に設けられており、ユニット装着時にはピン部材71pに押されて上昇し、ピン部材を押さえ付ける。ユニット引出し時には、ピン部材71pに押されて上昇したのち下降する。
【0053】
ストッパst及びスプリングsp1はユニットUの着脱を妨げないように配置され、部材700に固定されている。また、中間転写ユニットUの着脱はフレームFに設けた把手74(図3参照)を持って行い易くしてある。
【0054】
図4及び図5に示すように、用紙搬送ガイドGには、その両側面のそれぞれに上下のピンGp1、Gp2を突設してあり、上ピンGp1は部材700の部分702の上側溝gr1に昇降可能に嵌まっており、下ピンGp2は部材700の部分702の下側溝gr2に昇降可能に嵌まっている。
【0055】
用紙搬送ガイドGは、図4に示すように、手動で持ち上げられて上ピンGp1が上側溝gr1の上限に達するとともに、そこにスプリングsp2で押圧されることで、画像形成のための(換言すれば記録用紙案内のための)正規位置に配置され、側面カバーC1が閉じられた状態で用紙搬送路P2を形成する。
【0056】
図3に示すように、中間転写ユニットUのフレームFのカバーC1側の端部の下面には、横から見ると三角形状の用紙搬送ガイド駆動部材75が設けられており、中間転写ユニットUを引き出すとき、該駆動部材75の斜面が用紙搬送ガイドGを押し下げることで、図5に示すように、用紙搬送ガイドGはスプリングsp2に抗して押し下げられ、中間転写ユニットUの着脱に支障のない退避位置へ下降せしめられる。この位置からの正規位置への上昇は手動で行う。
【0057】
用紙搬送ガイドGは、正規位置に配置されると中間転写ユニットUに近い位置をとる。また、本例では用紙搬送ガイドGには濃度センサSEが搭載してあり、該センサSEも中間転写ベルト7に近く位置する。しかし、中間転写ユニットUが引出し又は装着されるときには、センサSEも用紙搬送ガイドGとともに退避位置へ下降するので、中間転写ユニットUとの衝突等によるセンサSEの損傷をそれだけ抑制できる。
【0058】
なお、濃度センサSEは、画像濃度調整のためや、色ずれ補正のために中間転写ベルト7上に形成されるトナーパターンやトナーパッチ等のトナー像の濃度を検出したり、濃度検出から該トナー像の位置を検出したりすることに利用されるもので、それ自体既に知られているものである。
【0059】
以上説明した画像形成装置10によると、側面カバーC1は画像読み取り装置100搭載の有無に拘らずカバー下端部のヒンジsを揺動中心部として下方へ揺動させて開き、上方へ揺動させて閉じることができ、上面カバーC2については、画像読み取り装置100を搭載したままで、側面カバーC1に装着した状態で側面カバーC1の開閉に連動して定着装置9を含むエリアAを開閉できる。
【0060】
従って、側面カバーC1については画像読み取り装置100を搭載しないときの側面カバーC1をそのまま利用でき、それだけ安価にすみ、その開閉も容易であるとともに側面カバーC1を開いてメインテナンスできる。上面カバーC2については、側面カバーC1とともにエリアAを簡単に開閉できるので便利であるとともに上面カバーC2を開いてエリアAのメインテナンスを行える。
【0061】
上面カバーC2を側面カバーC1に連動させて開いた状態では、もし上面カバーC2が側面カバーC1に装着されていなければメインテナンスできたが、上面カバーC2が側面カバーに付いているのでそれが邪魔になってメインナンスできない部品や部位(例えば中間転写ユニットU)については、上面カバーC2を側面カバーC1から取り外し、換言すれば、そのような部品や部位(例えば中間転写ユニットU)に対して開いて、広くなった側面カバーC1の上方空間を利用してメインテナンスできるので支障ない。
【0062】
また、画像読み取り装置100を取り外し、プリンタ部分PRだけとして用いる場合には、図6に示すように、記録用紙上昇搬送路を開閉する側面カバーについては画像読み取り装置100が搭載されているときの側面カバーC1をそのまま採用し、上面カバーについては、該側面カバーC1とは独立して開閉可能の上面カバーC3を採用して用いることができる。
【0063】
さらに言えば、画像読み取り装置100から切り離してプリンタPRを独立して製作し、但し、画像読み取り装置100を後付け搭載可能に製作しておけば、メインテナンス作業用の開閉カバーとして、側面カバーC1及び上面カバーC3を採用してプリンタPRとして販売でき、MFP化等のために画像読み取り装置100を後付け搭載するときには、側面カバーC1はそのまま用い、上面カバーについてはカバーC2を採用して簡単安価に対応できる。
【0064】
また、以上説明した図1の画像形成装置10、特にプリンタ部分PRによると、或いは図6の画像形成装置(プリンタ)PRによると、メインテナンス等において中間転写ユニットUを引出し、又は押し込み装着しなければならないときには、カバーC1を開き(図1の装置ではカバーC2もカバーC1から外し開いて)、中間転写ユニットU及び用紙搬送ガイドGの双方に対して一体的に設けられた位置決め部材700の中間転写ユニット案内部701に中間転写ユニットUを案内させて、引出し、又は押し込み装着できる。このとき、一体的に設けられた位置決め部材700の用紙搬送ガイド支持部702に用紙搬送ガイドGを支持させた状態で該用紙搬送ガイドGを、中間転写ユニットUの引出し等操作に邪魔にならないように、退避位置へ退避させておくことができ、中間転写ユニットUをその正規位置に装着してのち、用紙搬送ガイドGをその正規位置へ位置決めすることができる。
【0065】
このように画像形成装置10(プリンタPR)では、中間転写ユニットUと用紙搬送ガイドGのそれぞれに対して別々に画像形成装置本体に設けられた位置決め部材を用いて中間転写ユニット及び用紙搬送ガイドを位置決めする場合に比べると、両者の相互位置関係を精度よく保って、それぞれを精度よく簡単に位置決めできる。
【0066】
また、画像形成装置10(プリンタPR)では、カバーを開いた状態で、中間転写ユニットUを正規位置から引き出すとともに該引き出し動作により中間転写ユニットのフレームFの駆動部材75で用紙搬送ガイドGを記録用紙案内のための正規位置から前記退避位置へ駆動することができるので、それだけ中間転写ユニットUのメインテナンス等において、両者を衝突させ、傷つけてしまうおそれは少なく、それだけ安全に中間転写ユニットUを引き出せる。
【0067】
また、中間転写ユニットUを正規位置へ装着するとき、用紙搬送ガイドGを退避位置へ退避させたままの状態で中間転写ユニットUの装着操作を行うことで、それだけ安全に装着できる。
【0068】
以上説明した画像形成装置10やプリンタPRはタンデム型のカラー画像形成装置であったが、本発明は例えば所謂サイクル型のカラー画像形成装置にも適用できる。
サイクル型のカラー画像形成装置とは、例えば、感光体のごとき静電潜像担持体上に露光装置で静電潜像を形成し、該静電潜像を、静電潜像現像域に移動可能の複数の現像装置のうち該静電潜像に応じた担当色トナーを保持した現像装置で現像してトナー像を形成し、該トナー像を中間転写ベルトに1次転写することで、該中間転写ベルト上にモノクロトナー像又は2色以上のトナー像からなる多重トナー像を形成し、該中間転写ベルト上のトナー像を記録シートへ2次転写し、定着させることができるものである。
このような画像形成装置も、感光体等を共通にする複数の画像形成部を備えたものとみることができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、画像読み取り装置を後付け搭載した画像形成装置であって、記録用紙供給部からの記録用紙上昇搬送路を開閉可能のメインテナンス作業のための側面カバー及び定着装置を含むエリアを開閉可能のメインテナンス作業のための上面カバーを備えており、画像読み取り装置を搭載したままでも、上面カバー及び側面カバーのいずれについても、簡易に開閉できるとともにメインテナンス作業にも支障がない画像形成装置を提供することに利用できる。
【符号の説明】
【0070】
10 画像形成装置
100 画像読み取り装置
PR プリンタ(プリンタ部分)
Y イエロー画像形成部
M マゼンタ画像形成部
C シアン画像形成部
K ブラック画像形成部
1 感光体
2 帯電器
3 露光装置
4 現像装置
41 現像ローラ
5 感光体クリーニング装置
6 1次転写ローラ
7 中間転写ベルト
73 ベルトクリーニング装置
U 中間転写ユニット
G 用紙搬送ガイド
P1、P2、P3、P4 記録用紙の上昇搬送路(案内路)
C1 側面カバー
s カバーC1下端部のヒンジ部分
C2、C3 上面カバー
A 定着装置を含むエリア
700 位置決め部材
701 中間転写ユニット案内部
702 用紙搬送ガイド支持部(位置決め部材の一部)
8 2次転写ローラ
9 定着装置
10S 記録用紙供給部
101 記録用紙供給ローラ
13 排出トレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像担持体に静電潜像を形成し、該潜像を現像してトナー像を形成できる画像形成部を1又は2以上含み、前記画像形成部で形成されるトナー像を中間転写ベルトに1次転写し、該ベルト上の1次転写トナー像を、記録用紙供給部から供給されて上昇してくる記録用紙に2次転写部材にて2次転写し、該記録用紙をさらに上昇させ、定着装置に通過させて該2次転写トナー像を定着させ、前記中間転写ベルト上方の排出トレイに排出することができ、前記記録用紙供給部からの記録用紙上昇搬送路を開閉可能のメインテナンス作業のための側面カバー及び前記定着装置を含むエリアを開閉可能のメインテナンス作業のための上面カバーを備えており、前記定着装置を含むエリア及び排出トレイの上方に位置するように画像読み取り装置を取り外し可能に後付け搭載した画像形成装置であり、前記側面カバーは該画像読み取り装置搭載の有無に拘らずカバー下端部を揺動中心部として下方へ揺動させて開き、上方へ揺動させて閉じることができ、前記上面カバーについては、前記側面カバーに取り外し可能に装着でき、該側面カバーに装着した状態で、前記画像読み取り装置を搭載したままで、該側面カバーの開閉に連動して前記定着装置を含むエリアを開閉でき、該側面カバー開状態で該側面カバーから取り外すこともできる上面カバーが採用されることを特徴とする画像形成装置を提供する。
【請求項2】
前記メインテナンス作業対象は少なくとも前記中間転写ベルトを含む中間転写ユニットであり、前記画像読み取り装置を搭載した状態では、該中間転写ユニットは、前記側面カバーを前記上面カバーとともに開き、該開いた側面カバーから該上面カバーを取り外すことで、該開いた側面カバーの上方エリアへ引出し可能であり、逆に該上方エリアから押し込み装着可能である請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像読み取り装置が搭載されていない状態では、前記記録用紙上昇搬送路を開閉する側面カバーについては画像読み取り装置が搭載されているときの側面カバーが採用されるが、前記上面カバーについては、該側面カバーとは独立して開閉可能の上面カバーが採用される請求項1又は2記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−158510(P2011−158510A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−17750(P2010−17750)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】