説明

画像形成装置

【課題】省スペースで、情報保護シートを収納できる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】プリンタ1は、装置本体1Aと、装置本体に出し入れ可能に収納された給紙カセット20と、給紙カセット20から送り出されたシートに画像を形成する画像形成部10と、画像形成部で画像が形成されたシートを装置本体から排出する排出路77と、画像形成部で画像形成されたシートの内で情報保護シートを給紙カセットに搬入する搬入路78と、排出路と搬入路とを選択する切替部材62と、を備えている。切替部材は、画像形成がされたシートが情報保護シートであるとき、搬入路78を選択するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに画像を形成したとき、画像の情報を保護する必要のある情報保護シートである場合、情報保護シートを保護することのできる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式を用いた画像形成装置は、感光ドラムに形成した潜像を現像して可視画像化し、この可視画像化したトナー像をシートに静電気を用いて転写し、次いで、そのトナー像を熱によりシートに定着するようになっている。
【0003】
ところが、シートに形成した画像によっては、秘密を守る必要がある場合がある。そこで、秘密を守る必要のある画像を形成された情報保護シートを収納するカセットを着脱自在に備えたプリンタがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−220842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のプリンタは、カセットを外部に設けるため、スペースを必要とする課題があった。
【0006】
本発明は、省スペースで、情報保護シートを収納できる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成装置は、装置本体と、前記装置本体に出し入れ可能に収納されたシート積載手段と、前記シート積載手段から送り出されたシートに画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部で画像が形成されたシートを前記装置本体から排出する排出路と、を備え、さらに、前記画像形成部で画像形成されたシートの内で情報保護シートを前記シート積載手段に搬入する搬入路と、前記排出路と前記搬入路とを選択する選択手段と、を備え、前記選択手段は、画像形成されたシートが情報保護シートであるとき、前記搬入路を選択する、ことを特徴としている。
【0008】
本発明の画像形成装置は、装置本体と、前記装置本体に出し入れ可能に収納されたシート積載手段と、前記シート積載手段から送り出されたシートに画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部で画像を形成されたシートを前記装置本体から排出する排出路と、を備え、さらに、前記シート積載手段は、画像形成前のシートが積載される昇降部材と、前記昇降部材と前記シート積載手段の底部との間に形成されるシート収納部と、を有し、前記画像形成部で画像形成されたシートの内で情報保護シートを前記シート収納部に搬入する搬入路と、前記排出路と前記搬入路とを選択する選択手段と、を備え、前記選択手段は、画像形成されたシートが情報保護シートであるとき、前記搬入路を選択する、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の画像形成装置は、シート積載手段を情報保護シートの排出部として使用できるので、情報保護シートを保護して収納するケースを新たに設ける必要がなく、画像形成装置全体の大きさを変えることなく、情報保護シートを保護することができる。
【0010】
本発明の画像形成装置は、シートを給送しているシート積載手段に情報保護シートを収納できるので、シート積載手段が1つであっても、シートの給送と情報保護シートの収納とができて、画像形成装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態の画像形成装置としてのカラー電子写真プリンタのシート搬送方向に沿った断面図である。
【図2】シートの排出部を選択する切替部材とシートを搬送するローラとの動きを説明するためのフローチャートである。
【図3】図1の給紙カセットのシート給送方向に沿った断面図である。
【図4】給紙カセットに情報保護シートを排出するときの動作を説明するためのシート搬送方向に沿った断面図である。
【図5】給紙カセットに情報保護シートを排出するときの動作説明用のフローチャートである。
【図6】第2実施形態の画像形成装置におけるシートの排出部を選択する切替部材とシートを搬送するローラとの動きを説明するためのフローチャートである。
【図7】第2実施形態の画像形成装置における給紙カセットのシート給送方向に沿った断面図である。
【図8】給紙カセットに排出されたシートを取り出すときの動作を説明するための給紙カセットの断面図である。
【図9】給紙カセットにロック装置を備えた図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態の画像形成装置を図に基づいて説明する。
【0013】
(第1実施形態の画像形成装置)
図1は、第1実施形態の画像形成装置としてのカラー電子写真プリンタのシート搬送方向に沿った断面図である。以下、カラー電子写真プリンタを単に「プリンタ」という。シートPは、トナー像が形成されるものである。シートの具体例として、普通紙、普通紙の代用品である樹脂製のシート状のもの、厚紙、オーバーヘッドプロジェクター用などがある。
【0014】
図1に示すプリンタ1は、給紙カセット20から送り出されたシートにY(イエロ)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(ブラック)の各色の画像を形成する画像形成部10を備えている。感光ドラム11は、帯電器12によって予め帯電される。その後、感光ドラム11は、レーザスキャナ13によって、潜像を形成される。潜像は、現像器14によってトナー像になる。各色の感光ドラム11のトナー像は、一次転写ローラ17によって、中間転写ベルト31に順次転写される。転写後、感光ドラム11に残ったトナーは、不図示のクリーナによって除去される。この結果、感光ドラム11の表面は、清浄になり、次の画像形成に備えられる。
【0015】
一方、シートPは、給紙カセット20、又はマルチ給紙トレイ25から、1枚ずつ送り出されてレジストローラ対23に送り込まれる。シート積載手段としての給紙カセット20は、装置本体1Aに出し入れ可能に収納されている。レジストローラ対23は、シートPを一旦受け止めて、シートが斜行している場合、真っ直ぐに直す。そして、レジストローラ対23は、中間転写ベルト31上のトナー像と同期を取って、シートを中間転写ベルト31と二次転写ローラ35との間に送り込む。中間転写ベルト31上のカラーのトナー像は、二次転写ローラ35によってシートPに転写される。その後、シートのトナー像は、シートが定着器40によって加熱加圧されることでシートに定着される。
【0016】
片面のみにトナー像を形成されるシートは、プリンタ1の側面に設けられた排紙トレイ64、プリンタ1の上部に配置された排紙トレイ65、及び給紙カセット20のいずれかに選択的に排出される。シートPの排出部(排出先)や、シートのトナー像形成面を上向きにするか下向きにするかのシートPの排出向きについては、シートPの印刷設定時に、プリンタ1に備えられた操作パネル41やネットワークで接続された不図示の端末器から設定される。プリンタ1に備えられたコントローラ90は、切替部材61,62の位置を選択したり、搬送ローラ対63,69,67,66,101等の回転を制御したりする。さらに、コントローラ90は、図1に示すように、給紙カセット20が複数ある場合には、切替部材68の切り替えて、シートを排出する給紙カセット20を選択するようになっている。
【0017】
図2は、シートの排出部を選択する切替部材とシートを搬送するローラとの動きを説明するためのフローチャートである。本実施形態のプリンタ1は、給紙カセット20を排出部として選択するためには、操作パネル41や、ネットワークで接続された端末器から指定する必要がある。
【0018】
この場合、排出部として指定された給紙カセット20からのシートの給送は停止される。また、指定された給紙カセット20からシートを供給する場合には、操作パネル41や、端末器からの排出部としての指定を解除する必要がある。さらに、全ての給紙カセット20が排出部として選択された場合には、シートPの給紙はマルチ給紙トレイ25のみから行われる。また、本実施形態のプリンタ1は、マルチ給紙トレイ25を備えているが、マルチ給紙トレイ25を備えていないプリンタの場合には、給紙カセット20を全て排出部として指定することができないようになっている。その理由は、給紙カセット20からシートを供給しながら、シートに画像を形成することができなくなるからである。
【0019】
なお、情報保護シートが排出される給紙カセット20は、空になっているのが好ましい。また、情報保護シートが排出され給紙カセット20の動作は、図4に基づいて後述する。
【0020】
図2のフローチャートに基づいて本発明の制御の一例を説明する。シートに形成した画像が秘密を守る必要がないシートのとき、ユーザは、操作パネル41やネットワークで接続された端末器から、排出部として排紙トレイ64を選択する(ステップ102でnoの場合ステップ104:以下ステップをSと記す)。コントローラ90(図1)は、切替部材61,62を作動させて(S106,S108)、搬送路74,77と搬送ローラ対63とを選択する。シートは、搬送ローラ対69によって搬送路74と排出路77とを搬送され、搬送ローラ対63によって排紙トレイ64に、フェイスアップで(トナー像形成面を上にして)排出される(S110)。排出路77は、画像形成部10で画像が形成されたシートを装置本体1Aから排出する通路である。
【0021】
シートには、シートに形成した画像が秘密を守る必要があるが確実に守る必要が無い程度のシートである場合がある。このようなとき、ユーザは、操作パネル41や、ネットワークで接続された端末器から、排出部として排紙トレイ65を選択する(S102でyes及びS112でyesの場合S114)。コントローラ90(図1)は、切替部材61を作動させて搬送路75を選択する(S116)。シートは、搬送ローラ対69,67,66によって排紙トレイ65に、フェイスダウンで(トナー像形成面を下にして)排出される(S118)。シートは、プリンタ1の外部に排出されるが、トナー像形成面が下になっているので、ある程度秘密を守ることができる。
【0022】
シートに形成した画像が秘密を守る必要のある情報保護シートのとき、ユーザは、操作パネル41や、ネットワークで接続された端末器から、排出部として給紙カセット20を選択する。すなわち、セキュリテイプリントのとき、排出部として給紙カセット20を選択する。(S102でyes及びS112でnoの場合S120、S122)。この場合、コントローラ90は、選択した給紙カセット20の他に、給紙カセット20があるか、或いはマルチ給紙トレイ25があるかを判断する(S124)。本実施形態のプリンタ1は、給紙カセット20を2つ備えているので、いずれか一方の給紙カセットを選択されても、他方の給紙カセットからシートを給送できるので、処理S126へ移行する。また、両方の給紙カセット20を選択されても、マルチ給紙トレイ25からシートを給送できるので、この場合も、処理S126へ移行する。ところが、両方の給紙カセット20が選択されて、マルチ給紙トレイ25が備えられていない場合、シートを給送することができない。このような場合、コントローラ90は、処理S140へ移行して、給紙カセット20に情報保護シートを排出することができないことを操作パネル41に表示する。
【0023】
処理S126へ移行した場合、コントローラ90は、ユーザによって、操作パネル41や、ネットワークで接続された端末器から入力されているシートの排出向きを判断する。ユーザが給紙カセット20にシートの画像形成面を下向き(フェイスダウン)にしてシートを排出することを選択している場合(S126でnoの場合S128)、コントローラ90は、切替部材61を作動させて搬送路74を選択する(S130)。さらに、コントローラ90は、切替部材62を作動させて搬送路76を選択する(S132)。そして、コントローラ90は、切替部材68を作動させてユーザによって選択された給紙カセット20を選択する。シートは、搬送ローラ対69によって搬送路74,76、搬入路78を搬送されて、搬送ローラ対101によって給紙カセット20に、画像形成面を下向きにして排出される(S134)。シートは、固定のガイド板102,108の案内によって、給紙カセット20に排出される。
【0024】
処理S126で、ユーザが給紙カセット20にシートの画像形成面を上向き(フェイアップ)にシートを排出するのを選択している場合(S126でyesの場合S142)、コントローラ90は切替部材61を作動させて搬送路75を選択する(S144)。シートは、搬送ローラ対69,67によって搬送路75を搬送される。シートの後端が搬送路75と搬送路76との合流点(反転ポイント)Rに到達すると(S146)、コントローラ90は、搬送ローラ対67を反転させる(S148)。そして、コントローラ90は、切替部材68を作動させて、ユーザが選択した給紙カセット20を選択する。情報保護シートは、搬送路75から搬送路73へスイッチバック搬送されて裏返しになる。その後、情報保護シートは、搬送路76、切替部材68及び搬入路78の案内と搬送ローラ対101の搬送とによって、ユーザが選択した給紙カセット20に画像形成面を上向きにして排出される(フェイアップに排出される)(S150)。
【0025】
搬入路78は、画像形成がされたシートの内、情報保護シートを給紙カセット20に搬入する通路である。また、切替部材62は、排出路77と搬入路78とを選択する選択手段である。切替部材62は、画像形成がされたシートが情報保護シートであるとき、コントローラ90の制御によって、搬入路78を選択するようになっている。
【0026】
シートの両面にトナー像を形成する場合、定着器40によってトナー像を片面に定着されたシートPは、切替部材61によって搬送路75へ案内されて搬送ローラ対67によって搬送される。シートPの後端が搬送路75と搬送路76との合流点(反転ポイント)Rに到達すると、搬送ローラ67が反転する。すると、シートは、搬送路75から搬送路73へスイッチバック搬送されて裏返しになり、切替部材62の案内によって両面搬送路70を搬送されて、再度レジストローラ対23に送り込まれる。その後、シートは、他方の面にもトナー像を形成されて、排紙トレイ64に排出される。
【0027】
図3は、給紙カセット20のシート給送方向に沿った断面図である。給紙カセット20は、プリンタ1の装置本体1Aから引き出して、シート高さ調整板106に載置されたシートPを収納できるようになっている。シート位置規制板103a,103cは、給紙カセット20のケーシング20Aに収納されるシートPのサイズに合わせて位置を調整できるようにケーシング20Aに設けられている。
【0028】
シート位置規制板103aは、シート給送方向に沿ったシートの両側に位置する板状の部材であって、1対設けられている。1対のシート位置規制板103aは、給紙カセット20のケーシング20Aの底部に設けられた駆動歯車131の両側から噛合するラック132が各々形成されている。したがって、1対のシート位置規制板103aは、駆動歯車131の正転逆転によって、シート給送方向Fに対して交差する方向(シートの幅方向)に互いに接近離間する移動をして、シートの側端を整合できるようになっている。なお、片方のシート位置規制板103aは、ラック132のみ示して、他の部分は、省略してある。また、駆動歯車131とラック132は、シート位置規制板103cより下方に位置している。
【0029】
シート位置規制板103cは、シート給送方向に沿って、位置を調整できるようになっている。シート位置規制板103cは、給紙カセット20の後側板20aの後方にある不図示の駆動機構によって、シート給送方向の下流側と、上流側(矢印A)とに往復移動できるようになっている。シート位置規制板103cは、下流側に移動したとき、シートを下流側板20bとで、シートを挟持して、シート給送方向の整合を行なう。
【0030】
シート高さ調整板106に積載されたシートPは、最上位のシートが紙面検知センサ104と紙面検知フラグ105とに検知されて、シートを給送しやすい高さに保持されるようになっている。
【0031】
シートPを収納した給紙カセット20をプリンタ1の装置本体1Aに挿入すると、給紙カセット20の後側板20aの後方にある不図示の駆動装置によりシート高さ調整板106が上昇する。シート高さ調整板106は、最上位のシートが、紙面検知センサ104と紙面検知フラグ105とによって検知されると、上昇を停止する。
【0032】
シート高さ調整板106に積載されたシートPは、シートに画像が形成されるタイミングに合わせて、給紙ローラ107が最上位のシートに下降して接触し、回転することにより、最上位のシートから順に給紙カセット20から送り出される。送り出されたシートは、給送ローラ対130によってレジストローラ対23の方へ搬送される。
【0033】
図4は、給紙カセット20に情報保護シートを排出するときの動作を説明するためのシート搬送方向に沿った断面図である。図5は、その動作説明用のフローチャートである。給紙カセット20に情報保護シートを排出する際に、給紙カセット20は、空になっているのが好ましい。そして、1対のシート位置規制板103aは互いに離間して、間隔を広げた位置で待機しており、シート位置規制板103cは破線の位置から矢印A方向に移動して実線の位置に待機している。また、シート高さ調整板106は、給紙カセット20の後側板20aの後方にある不図示の駆動装置により最下降位置Bに下降している。
【0034】
搬送ローラ対101により給紙カセット20に排出された情報保護シートPは、シート高さ調整板106に積載される(S202)。積載された情報保護シートPの紙面高さは、紙面検知センサ104と紙面検知フラグ105によって検知される。そして、積載された情報保護シートの積載高さが所定の高さに達する(S204のyesの場合)。すると、コントローラ90(図1)は、ユーザによって操作パネル41やネットワークで接続された端末器から他の給紙カセット20にも情報保護シートPを排出するように設定されるかを判断する(S206)。コントローラ90は、他の給紙カセット20にも情報保護シートを排出するように設定されている場合、そのことを操作パネル41に表示して(S208)、切替部材68を切り替えて、給紙カセット20を切り替える(S210)。
【0035】
処理S206において、他の給紙カセット20に情報保護シートを排出するように設定されていないとき、コントローラ90は、シートに画像を形成するのを停止する(S212)。そして、コントローラ90は、操作パネル41に給紙カセット20が情報保護シートによって満載になっていることを表示する(S214)。
【0036】
したがって、本実施形態のプリンタ1は、給紙カセット20を情報保護シートPの排出部として使用できるので、情報保護シートを保護して収納するケースを新たに設ける必要がなく、プリンタ全体の大きさを変えることなく、情報を保護することができる。
【0037】
(第2実施形態の画像形成装置)
第2実施形態の画像形成装置としてのカラー電子写真プリンタ(以下、単に「プリンタ」という)を図6乃至図8に基づいて説明をする。第2実施形態のプリンタ201は、シートを給送している給紙カセット220に情報保護シートを排出できるようになっている。したがって、第2実施形態のプリンタは、第1実施形態のプリンタと比較した場合、給紙カセットの構造が異なっており、他の部分は同一である。このため、主に、異なっている部分の図示及び説明をし、他の部分の図示及び説明は省略する。
【0038】
図6は、シートの排出部を選択する切替部材とシートを搬送するローラとの動きを説明するためのフローチャートである。図7は、給紙カセットのシート給送方向に沿った断面図である。図8は、給紙カセットに排出されたシートを取り出すときの動作を説明するための給紙カセットの断面図である。
【0039】
図7において、シート積載手段としての給紙カセット220は、装置本体1A(図1)に出し入れ可能に収納されている。シート高さ調整板206は、シート高さ調整板206に載置されたシートの上面が紙面検知センサ104と紙面検知フラグ105により検知される高さまで、給紙カセット220の後側板220aの後方にある駆動により昇降するようになっている。すなわち、検知手段としての紙面検知センサ104は、画像形成前のシートが所定の高さに上昇したことを検知するようになっている。このため、給紙カセット220に収納されているシートの上面は、シートの積載枚数に関係なく、常に、同じ高さ位置に保持されている。
【0040】
調整板高さ検知センサ114は、シート高さ調整板206の位置を検知して、シート高さ調整板206の高さをコントローラ90(図1)に伝達するようになっている。シート位置規制板103aは、図3に示すシート位置規制板103aと同様にシート給送方向に沿ったシートの両側に位置する板状の部材である。シート位置規制板103bは、シート高さ調整板206に軸206aによって起倒自在に設けられており、シート高さ調整板206とともに昇降するようになっている。上昇したときのシート高さ調整板206とケーシング220Aの底部220Aaとの間の空間は、排出された情報保護シートを収納するシート収納部119になっている。
【0041】
すなわち、給紙カセット220は、画像形成前のシートが積載される昇降部材としてのシート高さ調整板206と、シート高さ調整板206と給紙カセット220の底部220Aaとの間に形成されるシート収納部119と、を有している。
【0042】
搬送ローラ対101によって排出された情報保護シートPAは、排出ガイド板110,116に沿ってシート高さ調整板206の下のシート収納部119に積載される。排紙センサ113は、シート収納部119に収納される情報保護シートの枚数をカウントする。コントローラ90(図1)は、調整板高さ検知センサ114によるシート高さ調整板206の検知高さと、排紙センサ113による情報保護シートのカウント排出枚数とにより、給紙カセット220内への情報保護シートの排出可能か否かを判断する。コントローラ90は、情報保護シートの排出ができなくなったとき、画像形成動作を停止させる。
【0043】
シート収納部119が満載になると、コントローラ90は、別の排出部への排出、或いはシートPの印刷停止等の排出制限を行う。なお、コントローラ90が、カウンタとしての排紙センサ113が情報保護シートを排出可能の限度である所定枚数カウントしたとき、画像形成動作を停止させるようになっていてもよい。排出ガイド板110,116は、シート高さ調整板206の昇降位置により、シート高さ調整板206上の軸110a、給紙カセット220に設けられた軸116aを中心にして角度を変更することで、排出されるシートPの給紙カセットへの排出を補助する。
【0044】
なお、搬入路78,排出ガイド板110,116は、画像形成されたシートの内、情報保護シートをシート収納部119に搬入する搬入路を形成している。なお、排出ガイド板110,116は、情報保護シートPAの自重によって、底部220Aaに積載されるため、必ずしも必要としない。
【0045】
また、シートの給送をする給紙カセットに情報保護シートが排出させる場合には、給紙カセットの収納されるシートPの枚数が、同じであるため、調整板高さ検知センサ114及び排紙センサ113は必ずしも必要としない。
【0046】
シート収納部119が満載になると、ユーザは、給紙カセット220をプリンタ1の装置本体1Aから引き出す。そして、シート高さ調整板206を、回転軸112を中心にして、矢印E方向に回転させて、給紙カセット220を開くと、情報保護シートを取り出すことができる。
【0047】
図6は、シートの排出部を選択する切替部材とシートを搬送するローラとの動きを説明するためのフローチャートであり、図2に示すフローチャートとほぼ同一であるので、その説明は省略する。但し、本実施形態の給紙カセットは、シートの給送と情報保護シートの収納とを同時に行えるようになっている。このため、図2のS124における、選択した給紙カセットの他に、給紙カセットがあるか、或いはマルチ給紙トレイ25があるかを判断する必要が無い。したがって、図6のフローチャートにおいては、図2のS124,140を記載していない。また、図2における給紙カセットの符号「20」は、図6においては、「220」に変更してある。
【0048】
以上のように、本実施形態のプリンタは、給紙カセット220を情報保護シートPの排出部として使用できるので、情報保護シートを保護して収納するケースを新たに設ける必要がなく、プリンタ全体の大きさを変えることなく、情報を保護することができる。
【0049】
また、本実施形態のプリンタは、シートを給送している給紙カセット220に情報保護シートを収納できるので、給紙カセットが1つであっても、シートの給送と情報保護シートの収納とができて、プリンタの小型化を図ることができる。
【0050】
なお、以上説明した給紙カセット20,220に、図9に示す、ロック手段としてのロック装置120を設けて、情報保護シートを収納した給紙カセットを装置本体1Aから取り出されるのを阻止するようにすると、確実に情報を保護することができる。
【0051】
ロック装置120は、ロックアーム121と、ロックアーム駆動ギア対122と、駆動モータ123とを備えている。ユーザによって情報保護シートを排出する給紙カセットが選択されると、その給紙カセットのロック装置120の駆動モータ123がコントローラ90(図1)によって始動する。駆動モータ123は、ロックアーム駆動ギア対122を回転させて、ロックアーム121を矢印D方向へ移動させて、給紙カセットに形成してあるロック孔124に挿入させる。ロックアーム121とロック孔124との係合によって、給紙カセットが引き出せないようになる。
【0052】
ロックは、装置本体1Aに備えられた操作パネル41、あるいは本体にネットワークを介して接続されたパソコンにより、ロック解除信号をコントローラ90に送ることによって、解除される。これによって、給紙カセットを引き出して、情報保保護シートを取り出すことができる。
【0053】
このように、ロック装置を装置本体1A内に設けることによって、省スペースでシートの情報を確実に保護することができる。第2実施形態においては、画像形成するシートと、情報保護シートとの両方を保護することができる。
【符号の説明】
【0054】
P:シート、PA:情報保護シート、F:シート給送方向、1:プリンタ(画像形成装置)、1A:装置本体、10:画像形成部、20:給紙カセット(シート積載手段)、62:切替部材(選択手段)、77:排出路、78:搬入路、104:紙面検知センサ(検知手段)、110:排出ガイド板(搬入路)、113:排紙センサ(カウンタ)、116:排出ガイド板(搬入路)、119:シート収納部、120:ロック装置(ロック手段)、201:プリンタ(画像形成装置)、220:給紙カセット(シート積載手段)、220Aa:底部、206:シート高さ調整板(昇降部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
前記装置本体に出し入れ可能に収納されたシート積載手段と、
前記シート積載手段から送り出されたシートに画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部で画像が形成されたシートを前記装置本体から排出する排出路と、を備えた画像形成装置において、
前記画像形成部で画像形成されたシートの内で情報保護シートを前記シート積載手段に搬入する搬入路と、
前記排出路と前記搬入路とを選択する選択手段と、を備え、
前記選択手段は、画像形成されたシートが情報保護シートであるとき、前記搬入路を選択する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
装置本体と、
前記装置本体に出し入れ可能に収納されたシート積載手段と、
前記シート積載手段から送り出されたシートに画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部で画像を形成されたシートを前記装置本体から排出する排出路と、を備えた画像形成装置において、
前記シート積載手段は、画像形成前のシートが積載される昇降部材と、前記昇降部材と前記シート積載手段の底部との間に形成されるシート収納部と、を有し、
前記画像形成部で画像形成されたシートの内で情報保護シートを前記シート収納部に搬入する搬入路と、
前記排出路と前記搬入路とを選択する選択手段と、を備え、
前記選択手段は、画像形成されたシートが情報保護シートであるとき、前記搬入路を選択する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記シート収納部に収納される情報保護シートの枚数をカウントするカウンタを備え、
前記カウンタが情報保護シートを排出可能の限度である所定枚数をカウントしたとき、前記画像形成部の画像形成動作を停止する、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
シート積載手段が装置本体から取り出されるのを阻止するロック手段を備えた、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−42085(P2011−42085A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−191155(P2009−191155)
【出願日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】