画像形成装置
【課題】 光学系の走査線の傾きや歪みに対しては、高価な光学部品による補正や組み立て時の精密な微調整などが必要であり、コストが高いという課題があった。
また、前記光学系の傾きや歪みを検知して電気的に補正する際に特にフルカラー画像のハーフトーン領域などでは濃度段差やスジなどの補正の弊害が出る場合があった。
【解決手段】 光学系の傾きや歪みといった走査線のプロファイルに応じて画像データをオフセットする第1の補正後の画像データに対して、オフセットした位置の近傍を平滑化処理する第2の補正を行う場合に、高明度の色材に関してはハーフトーン領域に組織的構造を有さない疑似中間調処理を行うと共に第1の補正のみを行う。
また、前記光学系の傾きや歪みを検知して電気的に補正する際に特にフルカラー画像のハーフトーン領域などでは濃度段差やスジなどの補正の弊害が出る場合があった。
【解決手段】 光学系の傾きや歪みといった走査線のプロファイルに応じて画像データをオフセットする第1の補正後の画像データに対して、オフセットした位置の近傍を平滑化処理する第2の補正を行う場合に、高明度の色材に関してはハーフトーン領域に組織的構造を有さない疑似中間調処理を行うと共に第1の補正のみを行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式あるいは静電記録方式にて、少なくとも1色以上の各色成分トナー像を記録材上に転写して画像を得る画像形成装置に関するものであり、複写機やレーザビームプリンタなどに具現化し得る。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な構成の画像形成装置が利用されているが、ここでは主に図1に示すような画像形成装置を使って説明する。
【0003】
図1のような画像形成装置では、感光ドラム4が所定の角速度をもって回転駆動され、その感光ドラム表面を帯電器8によって一様に帯電する。次に画像データに応じてON/OFF制御された露光装置によってレーザビームを露光走査させることで感光体上に画像データに従った静電潜像が形成され、現像器3によって現像、可視化される。この可視化されたトナー像は、感光体ドラム4に所定の押圧力を持って圧接されながら回転駆動される中間転写体5上に転写される。その後、給紙ユニットから給紙された記録材6に転写し、定着器7による定着工程を経て機外に排出される。
【0004】
近年はこうした電子写真方式の画像形成装置はオフィスユースからグラフィックユースや印刷などをターゲットとした市場で広く利用されており、特にオフィスやSOHOといった市場では他の方式を採用する画像形成装置と比べて高速かつ記録材に依存しない画像形成が人気となっている。しかしながら、他の方式の画像形成装置に比べて電子写真方式の画像形成装置は装置自体が高価であるという課題がある。主な要因の一つが露光手段として多く用いられているレーザースキャナの組み立て時の調整が挙げられる。
【0005】
図4に代表的な露光手段であるレーザースキャナの模式図を示す。
【0006】
レーザLは、回転多面鏡モータ41上に設置された回転多面鏡42で反射されて、露光面で線速度一定になるような光学系f−θレンズ43を通り、反射ミラー44で反射され、感光ドラム4に到達する。
【0007】
こうしたレーザ光学系を用いた場合、たとえば機械精度や、組み立て設置時の組み付け誤差などの組み立て時の原因などにより感光ドラム4上に露光した走査線の書き出し位置がずれる、倍率が歪む、傾きや湾曲や歪曲といった歪みを持ってしまうということが課題として挙げられる。このうち、書き出し位置や倍率の補正は従来から誤差を検出して電気的に補正する方式が採られているが、走査線の傾きや歪みに対してはこういった電気的な補正が困難であるため、従来はこうした傾きや歪みが生じないように高価な光学部品による補正が行われている。このため高価な構成の装置が必要となり、さらには組み立て時にも精密な微調整による工数の増大につながり、結果として生産コストが高価になってしまうという課題になっていた。
【0008】
こうした課題に対して、以下のような提案がなされている。
【0009】
すなわち、主走査方向の少なくとも3カ所以上の複数の位置でレジストレーション検出手段を備え、前記複数個のレジストレーション検出手段の結果から主走査方向の傾き、湾曲などの歪みを算出し、算出された主走査方向の傾き、湾曲などの歪みを補正するように画像データを変更する。ここで副走査方向の1画素以下の補正に関しても同様にレジストレーション検出手段による検出結果より副走査方向の書き出し位置を検出し、検出された副走査書き出し位置を補正するように画像データを変更する。
【0010】
上記構成により変更された画像データを画像形成することにより高価な光学部品を使用したり精密な調整行程を経ることなく走査線の傾き、歪みなどの位置補正を行うことができ、安価で高画質な画像形成装置を提供できる。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−170755号公報(第13頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら上記特許文献1に示した構成の場合、主走査方向に設けられたレジストレーション検出手段によってレジストレーションパターンを検知して、その検出結果を元にして補正を行うため、主走査方向に少なくとも3カ所以上の複数のレジストレーション検出手段を設ける必要があり、装置自体としては大幅なコストアップとなってしまうという課題があった。
【0013】
さらにレジストレーションパターンの検出結果から走査線の傾き・歪みに応じて算出された主走査方向の補正位置を元に画像データに対して補正を行っているが、走査線の傾きと歪みの形状によっては主走査方向の補正位置に粗密が発生するため必ずしも補正が最適に行えないという課題があった。
【0014】
また、走査線の傾きや歪みに応じて算出された主走査方向の補正位置を元に画像データに対して補正を行っているが、ディザなどの組織構造を持った疑似中間調処理を行っている場合、補正位置で組織構造の位相ずれが発生するなどの課題があった。こうした位相ずれを補正するために位相をずらした箇所に同時に平滑化処理を行う技術も提案されているが、こうした補正を行った場合補正箇所近傍に、特にフルカラー画像において複数色で色重ねした場合に色ごとに補正位置が異なることによる位相差で濃度段差やモアレとなってしまうなどの弊害があった。
【課題を解決するための手段】
【0015】
像担持体と、帯電バイアスを印加することで前記像担持体の帯電を行う帯電手段と、前記像担持体の帯電処理面に静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像を現像剤により現像する現像手段と、前記像担持体上に現像されたトナー像を記録材担持体上の記録材に転写する転写手段と、前記記録材上に転写されたトナー像を定着させる定着手段を有する画像形成装置において、
前記露光手段は露光量を可変する露光量変調手段を有し、光ビームを偏向させて像担持体上を走査して前記像担持体上に静電潜像を形成する構成を持ち、
前記露光手段が有する像担持体上の走査線の傾き・湾曲などの歪み量に基づいて入力画像データの主走査方向に複数の位置で分割して走査線の傾き・湾曲などの歪みを補正する方向にオフセットさせる第1の補正手段と、
前記第1の補正手段によってオフセットした位置の近傍に前記露光量変調手段によって平滑化処理を行う第2の補正手段を有し、
画像形成に使用する色材のうち明度の高い色材の入力画像データに関しては組織的構造を有しない疑似中間調処理を行い、かつ前記第1の補正手段のみを行うことを特徴とする画像形成装置である。
【0016】
前記明度の高い色材は、前記色材の入力信号が最大値である時に形成されたトナー像の色度のうちL*が60以上であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
【0017】
前記組織的構造を有しない疑似中間調処理は、誤差拡散処理であることを特徴とする請求項1、2に記載の画像形成装置である。
【0018】
前記露光量変調手段は、あらかじめ設定されたパルス幅テーブルに従ってパルス幅を変調することによって露光量を可変することを特徴とする請求項1、2、3に記載の画像形成装置である。
【0019】
前記第2の補正手段である平滑化処理は、第1の補正手段によってオフセットされた位置の近傍画素にあらかじめ設定された前記パルス幅テーブルに従って前記露光量変調手段によって1画素未満のドットを形成することで補正を行うことを特徴とする請求項1、2、3、4に記載の画像形成装置である。
【0020】
前記走査線の傾き・湾曲などの歪み量は、主走査方向に少なくとも3カ所以上の計測点を元に一次以上の多項式近似によって算出することを特徴とする請求項1、2、3、4、5に記載に画像形成装置である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、光学系の走査線の傾きや歪みに対して、高価な光学部品による補正や組み立て時の精密な微調整などを行うことなく、安価で良好な画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】従来の技術の構成断面図。
【図2】実施例の構成断面図。
【図3】実施例における画像信号処理部に関するフローチャート。
【図4】従来の技術のレーザ光学系の模式図。
【図5】実施例のレーザ光学系の模式図
【図6】実施例のフロー図。
【図7】走査線プロファイルを示す模式図。
【図8】第1の補正データを算出するフロー図。
【図9】第1の補正を示す概略図。
【図10】第2の補正を示す概略図。
【図11】実施例で用いたパルス幅テーブルの図。
【図12】実施例の補正のイメージ図。
【図13】一般的な組織的構造を有する疑似中間調処理の図。
【図14】第1の補正と第2の補正による疑似中間調領域の図。
【図15】第1の補正による疑似中間調領域の図。
【図16】組織的な構造を有さない疑似中間調処理の図。
【図17】第1の補正による疑似中間調領域の図。
【図18】トナーの明度に対する中間調処理と粒状度の関係の図。
【図19】実施例の構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[実施例]
図2は本実施例における画像形成装置100を示す断面図である。
【0024】
まずリーダ部Aについて説明する。
【0025】
原稿台ガラス102上に置かれた原稿101は光源103によって照射された光学系104を介してCCDセンサ105に結像される。CCDセンサ105は3列に配置されたレッド、グリーン、ブルーのCCDラインセンサ群により、ラインセンサ毎にレッド、グリーン、ブルーの成分信号を生成する。これら読み取り光学系ユニットは矢印の方向に走査することにより原稿をライン毎の電気信号データ列に変換する。
【0026】
また原稿台ガラス102上には、原稿の位置を突き当てて、原稿の斜め置かれを防ぐ突き当て部材107と、その原稿台ガラス面にCCDセンサ105の白レベルを決定するためとCCDセンサ105のスラスト方向のシェーディングを行うための基準白色版106が配置してある。
【0027】
CCDセンサ105により得られた画像信号は、リーダ画像処理部108にて画像処理された後、プリンタ部Bに送られ、プリンタ制御部109で画像処理される。
【0028】
次に図3を用いて画像処理部108について説明する。
【0029】
CCD301により読み込まれた原稿画像の輝度信号は、A/D変換部302に入力されデジタル信号に変換される。このデジタル輝度信号はシェーディング部303に送られ、CCD個々の素子の感度に関するバラツキによる光量ムラがシェーディング補正される。シェーディング補正することにより、CCDの測定再現性が向上する。シェーディング部303で補正された輝度信号は、更にLOG変換部304によりLOG変換される。続いて、LOG変換された信号は、γLUT305に送られ、プリンタ装置が理想とする濃度特性と、γ特性に従って処理された出力画像濃度特性とが一致するように作成されたγ−LUT25によって画像信号を変換する。こうして変換された画像信号は、中間調処理部310により疑似中間調処理された後、プリンタ部311に送信され、画像形成される。
【0030】
次に再び図2に戻り、プリンタ部Bについて説明する。
【0031】
図2において、帯電手段8、現像手段3、感光ドラム4、クリーニング手段9からなるプロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20Kを並べたタンデム式の画像形成装置を示す。プロセスカートリッジ20Y〜20Kに含まれる帯電手段8Y、8M、8C、8Kはローラ帯電器であり、バイアスを印加することでそれぞれの感光ドラム4Y、4M、4C、4Kの表面を一様に負極性に帯電させる。
【0032】
画像データは、プリンタ画像処理部109に含まれるレーザドライバ及びレーザ光源110Y、110M、110C、110Kを介してレーザ光に変換され、そのレーザ光はポリゴンミラー1Y、1M、1C、1K及びミラー2Y、2M、2C、2Kにより反射され、一様に帯電された各感光ドラム4Y〜4K上に照射される。レーザ光の走査により潜像が形成された感光ドラム4Y〜4Kは、図中に示す矢印Aの方向に回転する。
【0033】
3Y、3M、3C、3Kは現像手段であり、20Y〜20Kの各プロセスカートリッジ毎にイエロートナー現像器3Y、マゼンタトナー現像器3M、シアントナー現像器3C、ブラックトナー現像器3Kから構成されている。尚、本実施例においては、現像剤は磁性キャリアと非磁性トナーとを含む二成分現像剤を採用している。
【0034】
ここで、プロセスカートリッジ20Yを例に取り、画像形成過程を具体的に説明する。
【0035】
プロセスカートリッジ20Yの感光ドラム4Yの表面が帯電器8Yによってそれぞれ一様に帯電される(たとえば本実施形態では−500V)。次に、第1色目の画像データに応じてON/OFF制御された露光手段による露光走査がなされ、第1色目の静電潜像(本実施形態にあっては約−150 V)がプロセスカートリッジ20Yの感光ドラム4Yに形成される。この第1色目の静電潜像は第1色目のイエロートナー(−極性)を内包したイエロー現像器3Yによって現像、可視像化される。そして、この可視像化された第1のトナー像は、感光ドラム4Yに所定の押圧力を持って圧接され、感光ドラム4Yの周速度と略等速の速度(本実施形態にあっては273mm/s )をもって矢印D方向へ回転駆動される中間転写体5とのニップ部において、中間転写体5上に一次転写される。
【0036】
一次転写工程の際に中間転写体5に転写されずに感光ドラム4Y上に残ったトナーは、感光ドラム4Yに圧接されたクリーニング手段9Yであるクリーニングブレードにより掻き取られ、廃トナー容器(不図示)に回収される。
【0037】
他のプロセスカートリッジ20M、20C、20Kにおいても上記と同様の工程が行われ、各プロセスカートリッジ毎に色の異なるトナーによるトナー像を中間転写体5上に順次転写、積層された後、給紙ユニットから給紙された記録材6に一括で二次転写し、定着器7による定着工程を経て機外に排出され、フルカラープリントとなる。
【0038】
次に図5を用いて、本実施例におけるレーザ光学系の概略を説明する。
【0039】
図5は、一般的な構成のレーザ光学系を用いて、感光ドラム4に露光している様子を示す図である。レーザLは、回転多面鏡モータ41上に設置された回転多面鏡42で反射されて、露光面で線速度一定になるような光学系f−θレンズ43を通り、反射ミラー44で反射され感光ドラム4に到達する。しかしながら、特になんの調整も行われないまま搭載されたレーザ光学系の走査線は固有の傾きや歪みなどを有しており、そのまま露光動作を行った場合、図5に示すように露光された走査線は固有の傾きや歪みの影響を持って感光ドラム4上を走査することになる。従来は露光走査線が感光ドラム4上でこうした傾きや歪みを生じないで走査させるために、レーザ光学系の組み立て時に高価な光学部品を用いたり、あるいは装置自体に精密な微調整を行ってきた。
【0040】
本実施例ではこうした高価な部品を用いたり精密な微調整を行うことなく、下記に示すような手法により、レーザ光学系が持つ固有の走査線の傾きや歪みをキャンセルし、安価でかつ良好な画質を得ることを実現している。
【0041】
本実施例においてレーザ光学系の傾きや歪みを補正する構成のフローを図6に示す。
【0042】
ステップ61でレーザ光学系の傾きや歪みのプロファイルを計測する。次にステップ62で計測された走査線のプロファイルデータを記憶する。ステップ63でプリンタ本体が前記記憶された走査線のプロファイルデータを読み出す。次にステップ64で読み込まれた走査線のプロファイルから第1の補正データを算出する。ステップ65で第1の補正データに従って入力がされた画像データの並べ替えを行う(第1の補正)。さらにステップ66で第1の補正データを元にステップ65で並べ替えを行った画像に対して平滑化処理を行う(第2の補正)。ステップ67でステップ66で作成された画像をプリンタに送信する。
【0043】
前記図6で示したフローに従って、ステップ61〜ステップ66の各項目について詳しく説明していく。
【0044】
(走査線プロファイルの計測)
ステップ61であらかじめ組み立て時に前記レーザ光学系のもつ固有の傾きや歪みといった走査線プロファイルの計測を行う。
【0045】
図7に示すように走査線を主走査方向にn分割(nは少なくとも3以上、ここでは例としてn=10)した際の各分割ポイントでの副走査方向位置をプロファイルポイントとする。プロファイルポイントデータは各レーザ光学系のユニットごとにn個ずつ得られる。
【0046】
(プロファイルポイントデータの保持)
ステップ61で計測されたプロファイルポイントデータはレーザ光学系ユニットにEPROMなどの記憶媒体を保持させてそこに記憶させる構成や、簡易な構成としてはバーコードなどのようにデータを暗号化させてレーザ光学系のユニット本体に添付する構成を取ることにより記憶・保持する。
【0047】
(プロファイルポイントデータの読み出し)
ステップ62における前者の構成の場合は、記憶されたプロファイルポイントデータは組み立て時にレーザ光学系ユニットのEPROMから画像形成装置本体へと読み出される。またステップ62の後者のような構成であれば、組み立て時に作業者が例えばバーコードリーダーのような暗号読み取り装置を用いて暗号化されたバーコードデータを読み取って画像形成装置本体へ反映させる構成とする。
【0048】
もし出荷後にサービスマンによってユーザ先でレーザ光学系ユニットの交換が行われた場合でも前者であればユニット交換後にユニットに保持されたEPROMから交換されたレーザ光学系ユニットに対応したプロファイルポイントデータが画像形成装置本体に読み込まれる構成であり、後者の構成であればサービスマンが交換するユニットに添付されているバーコードをバーコードリーダーで読み取る、もしくは数値を代入することによりやはり同様に交換されたレーザ光学系ユニットに対応したプロファイルポイントデータが画像形成装置本体に読み込まれる構成となっている。
【0049】
(第1の補正データの算出)
ステップ63でレーザ光学系ユニットから画像形成装置本体に読み出されたn個の走査線のプロファイルポイントデータに基づき、各点と理想座標からのずれ量から第1の補正量を算出する。
【0050】
ここで、図8を使って第1の補正データの算出フローについて説明する。
【0051】
図8(a)のステップ81において、まず図8(b)に示すようにn個のプロファイルポイントデータでn分割された走査線を主走査全域に渡って近似する。ここで本実施例において近似と自点と隣り合う点との二点間に対しての直線近似を用いた。次にステップ82においてステップ81で得られた主走査全域の近似点のうち主走査書き出し位置を基準点として設定する。ステップ83では基準点から主走査方向に近似点をチェックし、基準点との副走査方向の差分ΔVが1画素を超えた場合にはステップ84でその点(A点)の主走査位置をオフセットポイントとする。次にステップ86ではA+1点を新たな基準点として再設定する。上記ステップ83〜ステップ86までを主走査全域に渡って行うことにより、走査線の傾きや歪みを補正するための副走査方向1画素単位のオフセットを行うポイントの座標(X個)が得られる(図8(c))。こうして得られたX個のオフセットを行う第1の補正ポイントデータには座標情報と基準ラインからのオフセット量の情報が含まれ、これらを第1の補正データと呼ぶ。
【0052】
(第1の補正)
ここで第1の補正で用いる構成を図9を使って説明する。
【0053】
図9における(a)はラインバッファでありRAMにより構成される。本実施例では主走査方向幅297mm、600dpiの場合、約7000ドット分の補正データがRAMに書き込まれることになる。本実施例において補正データは例えば8ビットで構成され、符号付きの2進数で第1の補正のためのオフセット用ラインバッファ91を構成する。
【0054】
図9(b)に第1の補正のためのオフセット用ラインバッファ91を示す。
【0055】
図9(b)において、92は入力画像データであり、91は第1の補正のためのオフセット用ラインバッファである。まずステップ94で算出された第1の補正データの座標情報とオフセット量情報は第1の補正のためのオフセット用ラインバッファ91に読み込まれる。すなわち図9(b)に示すように第1の補正ポイントの座標Xnに対してオフセット量Ynが設定されており、その数字をオフセットした副走査ライン数を補正した位置の画像データを取り出して並べ替えることにより第1の補正を施した補正ビットマップデータ93を作成する。
【0056】
(第2の補正)
ステップ65の第1の補正で並べ替え処理された補正ビットマップデータに対して、第2の補正では平滑化処理を行う。
【0057】
図10に示すのは第2の補正で用いる構成図である。
【0058】
図10における(a)はラインバッファでありRAMにより構成される。本実施例では主走査方向幅297mm、600dpiの場合、約7000ドット分の補正データがRAMに書き込まれることになる。本実施例においては平滑化データは例えば8ビットで構成され、第2の補正のための平滑化用ラインバッファ101を構成する。
【0059】
図10(b)に第2の補正のフローを示す。
【0060】
図10(b)のステップ101で、まずステップ94で算出された第1の補正データの補正ポイントXnにおける主走査座標xのビットマップデータImg(x)と主走査方向1つ前の座標x−1のビットマップデータImg(x−1)を比較する。もしImg(x)<Img(x−1)であった場合は、ステップ102で次の補正ポイントXn+1と補正ポイントXnとの領域Xn+1−Xnを算出して平滑化領域Sとする。ステップ103で、もしImg(x)>Img(x−1)であった場合は、ステップ104で前の補正ポイントXn-1と補正ポイントXnとの領域Xn-1−Xnを算出して平滑化領域Sとする。
【0061】
次にステップ105において、補正ポイントに隣接する白データ領域(Img(x)=0)で、かつステップ102、104で得られた長さ|S|の区間に対して、1画素未満のドットを使って平滑化処理を行う。本実施例では1画素あたり16分割のPWMを使って画素を形成する構成を取っている。すなわちパルス幅に応じた16レベルの露光量を使って平滑化処理を行う構成とする。
【0062】
ここで、本実施例では入力画像信号値に対して、図11に示したようなあらかじめ設定されたパルス幅テーブルに従ってパルス幅を変調させる構成となっている。ステップ102、104で得られた平滑化区間Sの符号が正であった場合はパルス幅テーブルの正順で、平滑化区間Sの符号が負であった場合はパルス幅テーブルの逆順で1画素未満のドットを順に形成することで平滑化処理を実施する。
【0063】
なお、第2の補正で用いた第2の補正のための平滑化用ラインバッファ101の構成は第1の補正で用いた第1の補正のためのオフセット用ラインバッファ91と同様の構成であるので、本実施例では説明上別の構成で記載したが、実際には同一のラインバッファを用いることが可能である。
【0064】
ここまでの画像補正のイメージを図11に示す。
【0065】
図12において、(a)は第1の補正を行ったイメージ図で、(a)の画像に対して第2の補正を行うと(b)に示すイメージとなる。補正された(b)の画像データをレーザ露光すると(c)に示すようなイメージで潜像が形成され、この潜像に対して画像形成を行うと結果として(d)のような画像が得られる。なお、図中の黒塗り三角印は第1の補正を行ったオフセットポイントである。
【0066】
上記示したような第1の補正処理と第2の補正処理を順に行うことにより走査線の傾きや歪みなどのプロファイルを元に画像データを補正することが可能となる。
【0067】
しかしながら、複数のレーザ光学系を持つフルカラー画像形成装置などにおいては、各色の走査線の傾きや歪みが異なるため、上記示したような補正処理を行った場合、色ごとに第1の補正を行うオフセットポイントの分布が異なり、すなわち第2の補正である平滑化処理を行う領域も色ごとに異なり、色重ねする色数が増えるごとに補正領域の濃度段差や色モアレなどの弊害が発生する確率が高くなってしまう。
【0068】
例えば、フルカラー画像のハーフトーン領域においては階調性や粒状性、安定性を重視するために図13(a)、(b)に示すようなディザなどの組織的な構造を有する疑似中間調処理が一般的に多く用いられているが、こうした領域に上記に示した第1の補正と第2の補正を行った場合、濃度域によっては図14に示すように第2の補正である平滑化処理によって濃度段差が発生するケースが考えられる。こうした濃度段差は単色よりもむしろフルカラー画像形成時に色重ねをした場合に色ごとに補正領域が異なることによって顕在化する。しかしながらこうした疑似中間調領域に対して第2の補正処理を行わない場合は、ディザの持つ組織的な構造の位相ずれが発生してしまうため階調性が不連続となって図15に示すようにスジ状に顕在化してしまう弊害もある。なお、図15において図中の黒塗り三角印は第1の補正によるオフセットポイントを示す。
【0069】
そこで本実施例では、上記第1の補正と第2の補正に加えて、少なくとも1色以上において組織構造を持たない疑似中間調処理を併用することを特徴としている。
【0070】
組織構造を持たない疑似中間調処理の例として図16に誤差拡散処理を示す。図16に示したように、誤差拡散処理においては不連続に発生する誤差を注目画素の隣接画素に分配するため、図13に示したディザ処理に比べて組織的な構造を有さないという特徴がある。そのため図17に示すように第1の補正を行った場合でもオフセットポイント(図中黒塗り三角印)において構造の位相ずれが発生ぜず、従って第2の補正を行う必要もなくなる。
【0071】
しかしながら先にも述べたように誤差拡散処理のような組織的な構造を有しない疑似中間調処理を用いた場合、ディザ処理のように近接画素と連続して組織的にドットが成長する構造ではないために、ドットの再現が不安定である場合はその影響を受けて階調表現が不安定になるなどの弊害がある。また不規則にドットが配置されているために特に低中濃度領域において粒状性が低化してしまうという課題がある。ここで色材の明度L*と粒状度の関係を示した本発明者の実験結果を示す。本発明者の実験によれば、最大信号を入力した場合に形成されるトナー像の明度L*が20であるトナーA、L*=50であるトナーB、L*=60であるトナーC、L*=70であるトナーDの四種類のトナーに対して、組織的構造を有するディザ処理と組織的構造を有さない誤差拡散処理の二種類の疑似中間調処理を行って粒状度を測定したところ、図18に示すような結果が得られた。図18において縦軸は粒状度を示す指標であり、上に行くほど粒状性が低く、下に行くほど粒状性が良いことを表している。これによれば、明度の低いトナーA、Bはディザ処理と誤差拡散処理との粒状度の差が大きく、組織的構造を有しない誤差拡散処理を用いた場合、粒状度が低下してしまうことがわかる。これに対して、明度の高いトナーC、Dではディザ処理、誤差拡散処理といった疑似中間調処理による粒状度の差はほとんどないことがわかる。
【0072】
これらのことから、本実施例では第1の補正と第2の補正による弊害を出来る限り押さえ、かつ通常の画像再現にも弊害をもたらさないために、明度の高い色材に関しては誤差拡散処理を用いて疑似中間調処理を行い、かつ第1の補正のみ行う構成とし、それ以外の色材に関しては通常のディザ処理を用いて疑似中間調処理を行い、かつ第1の補正と第2の補正を合わせて行う構成とする。ここでいう明度の高い色材とは、本発明者の実験から最大濃度の色度のうちL*が60以上の色とするのが望ましいと考えられる。例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色からなる一般的なフルカラー画像形成装置の場合、本実施例ではイエローのみを誤差拡散処理とする。
【0073】
図19に本実施例のブロック構成図を示す。
【0074】
図19において、入力画像信号191のうち、シアン、マゼンタ、ブラックの低明度色信号は(a)で示されるように中間調処理回路192においてディザ処理され、一方、高明度色信号であるイエローは(b)に示されるように中間調処理回路192において誤差拡散処理される。次に、低明度色信号(a)、高明度色信号(b)ともに第1の補正回路193にて、走査線プロファイルから算出されたオフセット量に従って第1の補正処理がなされる。第1の補正回路193では低明度色信号(a)、高明度色信号(b)とも同じように図8、9で示した第1の補正処理が行われる。その後、低明度色信号(a)は第2の補正回路194にて図10、11で示したようにステップ102、104で得られた長さ|S|の区間に対して第2の補正処理である平滑化処理が行われるが、高明度色信号(b)は第2の補正回路194を通らず第2補正を行わない。その後、第2の補正処理が行われた低明度色信号(a)と第2の補正処理が行われなかった高明度色信号(b)は再び合成されて出力画像信号195となり画像形成される。
【0075】
ここでは一般的なフルカラー画像形成装置でよく用いられるシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色の色材からなる画像形成装置を例にとって説明したが、近年さらに画質を控除させる目的で上記4色に加えて淡色のライトシアン、ライトマゼンタ、あるいはグレーなどの特殊色を加えて画像形成を行う高画質フルカラー画像形成装置が提案されている。本実施例はもちろんこうした場合においても応用することは容易に可能であり、この場合、前記イエローに加えて高明度であるライトシアンやライトマゼンタ、グレーなどの淡色を誤差拡散処理とする構成となる。
【0076】
以上示したように本実施例では、フルカラー画像形成時に色が重なった疑似中間調処理領域に対して第1の補正によって発生するオフセットポイントでのスジや第2補正を行うことによって発生する濃度段差を軽減するために、高明度色に対しては例えば誤差拡散処理のような組織的な構造を持たない疑似中間調処理を行い、かつ第1の補正処理のみを実施し第2の補正処理を実施しない構成とする。本構成によって高明度色の疑似中間調処理領域に関しては第1の補正によって発生するスジや第2の補正によって起こる濃度段差が発生しないためフルカラー画像形成時の画像不良を軽減することが可能となる。
【符号の説明】
【0077】
3 現像器
4 感光ドラム
5 中間転写体
6 記録材
7 定着器
8 帯電器
9 クリーナー
20 プロセスカートリッジ
41 回転多面鏡モータ
42 回転多面鏡
43 f−θレンズ
44 反射ミラー
91 オフセット用ラインバッファ
101 平滑化用ラインバッファ
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式あるいは静電記録方式にて、少なくとも1色以上の各色成分トナー像を記録材上に転写して画像を得る画像形成装置に関するものであり、複写機やレーザビームプリンタなどに具現化し得る。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な構成の画像形成装置が利用されているが、ここでは主に図1に示すような画像形成装置を使って説明する。
【0003】
図1のような画像形成装置では、感光ドラム4が所定の角速度をもって回転駆動され、その感光ドラム表面を帯電器8によって一様に帯電する。次に画像データに応じてON/OFF制御された露光装置によってレーザビームを露光走査させることで感光体上に画像データに従った静電潜像が形成され、現像器3によって現像、可視化される。この可視化されたトナー像は、感光体ドラム4に所定の押圧力を持って圧接されながら回転駆動される中間転写体5上に転写される。その後、給紙ユニットから給紙された記録材6に転写し、定着器7による定着工程を経て機外に排出される。
【0004】
近年はこうした電子写真方式の画像形成装置はオフィスユースからグラフィックユースや印刷などをターゲットとした市場で広く利用されており、特にオフィスやSOHOといった市場では他の方式を採用する画像形成装置と比べて高速かつ記録材に依存しない画像形成が人気となっている。しかしながら、他の方式の画像形成装置に比べて電子写真方式の画像形成装置は装置自体が高価であるという課題がある。主な要因の一つが露光手段として多く用いられているレーザースキャナの組み立て時の調整が挙げられる。
【0005】
図4に代表的な露光手段であるレーザースキャナの模式図を示す。
【0006】
レーザLは、回転多面鏡モータ41上に設置された回転多面鏡42で反射されて、露光面で線速度一定になるような光学系f−θレンズ43を通り、反射ミラー44で反射され、感光ドラム4に到達する。
【0007】
こうしたレーザ光学系を用いた場合、たとえば機械精度や、組み立て設置時の組み付け誤差などの組み立て時の原因などにより感光ドラム4上に露光した走査線の書き出し位置がずれる、倍率が歪む、傾きや湾曲や歪曲といった歪みを持ってしまうということが課題として挙げられる。このうち、書き出し位置や倍率の補正は従来から誤差を検出して電気的に補正する方式が採られているが、走査線の傾きや歪みに対してはこういった電気的な補正が困難であるため、従来はこうした傾きや歪みが生じないように高価な光学部品による補正が行われている。このため高価な構成の装置が必要となり、さらには組み立て時にも精密な微調整による工数の増大につながり、結果として生産コストが高価になってしまうという課題になっていた。
【0008】
こうした課題に対して、以下のような提案がなされている。
【0009】
すなわち、主走査方向の少なくとも3カ所以上の複数の位置でレジストレーション検出手段を備え、前記複数個のレジストレーション検出手段の結果から主走査方向の傾き、湾曲などの歪みを算出し、算出された主走査方向の傾き、湾曲などの歪みを補正するように画像データを変更する。ここで副走査方向の1画素以下の補正に関しても同様にレジストレーション検出手段による検出結果より副走査方向の書き出し位置を検出し、検出された副走査書き出し位置を補正するように画像データを変更する。
【0010】
上記構成により変更された画像データを画像形成することにより高価な光学部品を使用したり精密な調整行程を経ることなく走査線の傾き、歪みなどの位置補正を行うことができ、安価で高画質な画像形成装置を提供できる。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−170755号公報(第13頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら上記特許文献1に示した構成の場合、主走査方向に設けられたレジストレーション検出手段によってレジストレーションパターンを検知して、その検出結果を元にして補正を行うため、主走査方向に少なくとも3カ所以上の複数のレジストレーション検出手段を設ける必要があり、装置自体としては大幅なコストアップとなってしまうという課題があった。
【0013】
さらにレジストレーションパターンの検出結果から走査線の傾き・歪みに応じて算出された主走査方向の補正位置を元に画像データに対して補正を行っているが、走査線の傾きと歪みの形状によっては主走査方向の補正位置に粗密が発生するため必ずしも補正が最適に行えないという課題があった。
【0014】
また、走査線の傾きや歪みに応じて算出された主走査方向の補正位置を元に画像データに対して補正を行っているが、ディザなどの組織構造を持った疑似中間調処理を行っている場合、補正位置で組織構造の位相ずれが発生するなどの課題があった。こうした位相ずれを補正するために位相をずらした箇所に同時に平滑化処理を行う技術も提案されているが、こうした補正を行った場合補正箇所近傍に、特にフルカラー画像において複数色で色重ねした場合に色ごとに補正位置が異なることによる位相差で濃度段差やモアレとなってしまうなどの弊害があった。
【課題を解決するための手段】
【0015】
像担持体と、帯電バイアスを印加することで前記像担持体の帯電を行う帯電手段と、前記像担持体の帯電処理面に静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像を現像剤により現像する現像手段と、前記像担持体上に現像されたトナー像を記録材担持体上の記録材に転写する転写手段と、前記記録材上に転写されたトナー像を定着させる定着手段を有する画像形成装置において、
前記露光手段は露光量を可変する露光量変調手段を有し、光ビームを偏向させて像担持体上を走査して前記像担持体上に静電潜像を形成する構成を持ち、
前記露光手段が有する像担持体上の走査線の傾き・湾曲などの歪み量に基づいて入力画像データの主走査方向に複数の位置で分割して走査線の傾き・湾曲などの歪みを補正する方向にオフセットさせる第1の補正手段と、
前記第1の補正手段によってオフセットした位置の近傍に前記露光量変調手段によって平滑化処理を行う第2の補正手段を有し、
画像形成に使用する色材のうち明度の高い色材の入力画像データに関しては組織的構造を有しない疑似中間調処理を行い、かつ前記第1の補正手段のみを行うことを特徴とする画像形成装置である。
【0016】
前記明度の高い色材は、前記色材の入力信号が最大値である時に形成されたトナー像の色度のうちL*が60以上であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
【0017】
前記組織的構造を有しない疑似中間調処理は、誤差拡散処理であることを特徴とする請求項1、2に記載の画像形成装置である。
【0018】
前記露光量変調手段は、あらかじめ設定されたパルス幅テーブルに従ってパルス幅を変調することによって露光量を可変することを特徴とする請求項1、2、3に記載の画像形成装置である。
【0019】
前記第2の補正手段である平滑化処理は、第1の補正手段によってオフセットされた位置の近傍画素にあらかじめ設定された前記パルス幅テーブルに従って前記露光量変調手段によって1画素未満のドットを形成することで補正を行うことを特徴とする請求項1、2、3、4に記載の画像形成装置である。
【0020】
前記走査線の傾き・湾曲などの歪み量は、主走査方向に少なくとも3カ所以上の計測点を元に一次以上の多項式近似によって算出することを特徴とする請求項1、2、3、4、5に記載に画像形成装置である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、光学系の走査線の傾きや歪みに対して、高価な光学部品による補正や組み立て時の精密な微調整などを行うことなく、安価で良好な画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】従来の技術の構成断面図。
【図2】実施例の構成断面図。
【図3】実施例における画像信号処理部に関するフローチャート。
【図4】従来の技術のレーザ光学系の模式図。
【図5】実施例のレーザ光学系の模式図
【図6】実施例のフロー図。
【図7】走査線プロファイルを示す模式図。
【図8】第1の補正データを算出するフロー図。
【図9】第1の補正を示す概略図。
【図10】第2の補正を示す概略図。
【図11】実施例で用いたパルス幅テーブルの図。
【図12】実施例の補正のイメージ図。
【図13】一般的な組織的構造を有する疑似中間調処理の図。
【図14】第1の補正と第2の補正による疑似中間調領域の図。
【図15】第1の補正による疑似中間調領域の図。
【図16】組織的な構造を有さない疑似中間調処理の図。
【図17】第1の補正による疑似中間調領域の図。
【図18】トナーの明度に対する中間調処理と粒状度の関係の図。
【図19】実施例の構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[実施例]
図2は本実施例における画像形成装置100を示す断面図である。
【0024】
まずリーダ部Aについて説明する。
【0025】
原稿台ガラス102上に置かれた原稿101は光源103によって照射された光学系104を介してCCDセンサ105に結像される。CCDセンサ105は3列に配置されたレッド、グリーン、ブルーのCCDラインセンサ群により、ラインセンサ毎にレッド、グリーン、ブルーの成分信号を生成する。これら読み取り光学系ユニットは矢印の方向に走査することにより原稿をライン毎の電気信号データ列に変換する。
【0026】
また原稿台ガラス102上には、原稿の位置を突き当てて、原稿の斜め置かれを防ぐ突き当て部材107と、その原稿台ガラス面にCCDセンサ105の白レベルを決定するためとCCDセンサ105のスラスト方向のシェーディングを行うための基準白色版106が配置してある。
【0027】
CCDセンサ105により得られた画像信号は、リーダ画像処理部108にて画像処理された後、プリンタ部Bに送られ、プリンタ制御部109で画像処理される。
【0028】
次に図3を用いて画像処理部108について説明する。
【0029】
CCD301により読み込まれた原稿画像の輝度信号は、A/D変換部302に入力されデジタル信号に変換される。このデジタル輝度信号はシェーディング部303に送られ、CCD個々の素子の感度に関するバラツキによる光量ムラがシェーディング補正される。シェーディング補正することにより、CCDの測定再現性が向上する。シェーディング部303で補正された輝度信号は、更にLOG変換部304によりLOG変換される。続いて、LOG変換された信号は、γLUT305に送られ、プリンタ装置が理想とする濃度特性と、γ特性に従って処理された出力画像濃度特性とが一致するように作成されたγ−LUT25によって画像信号を変換する。こうして変換された画像信号は、中間調処理部310により疑似中間調処理された後、プリンタ部311に送信され、画像形成される。
【0030】
次に再び図2に戻り、プリンタ部Bについて説明する。
【0031】
図2において、帯電手段8、現像手段3、感光ドラム4、クリーニング手段9からなるプロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20Kを並べたタンデム式の画像形成装置を示す。プロセスカートリッジ20Y〜20Kに含まれる帯電手段8Y、8M、8C、8Kはローラ帯電器であり、バイアスを印加することでそれぞれの感光ドラム4Y、4M、4C、4Kの表面を一様に負極性に帯電させる。
【0032】
画像データは、プリンタ画像処理部109に含まれるレーザドライバ及びレーザ光源110Y、110M、110C、110Kを介してレーザ光に変換され、そのレーザ光はポリゴンミラー1Y、1M、1C、1K及びミラー2Y、2M、2C、2Kにより反射され、一様に帯電された各感光ドラム4Y〜4K上に照射される。レーザ光の走査により潜像が形成された感光ドラム4Y〜4Kは、図中に示す矢印Aの方向に回転する。
【0033】
3Y、3M、3C、3Kは現像手段であり、20Y〜20Kの各プロセスカートリッジ毎にイエロートナー現像器3Y、マゼンタトナー現像器3M、シアントナー現像器3C、ブラックトナー現像器3Kから構成されている。尚、本実施例においては、現像剤は磁性キャリアと非磁性トナーとを含む二成分現像剤を採用している。
【0034】
ここで、プロセスカートリッジ20Yを例に取り、画像形成過程を具体的に説明する。
【0035】
プロセスカートリッジ20Yの感光ドラム4Yの表面が帯電器8Yによってそれぞれ一様に帯電される(たとえば本実施形態では−500V)。次に、第1色目の画像データに応じてON/OFF制御された露光手段による露光走査がなされ、第1色目の静電潜像(本実施形態にあっては約−150 V)がプロセスカートリッジ20Yの感光ドラム4Yに形成される。この第1色目の静電潜像は第1色目のイエロートナー(−極性)を内包したイエロー現像器3Yによって現像、可視像化される。そして、この可視像化された第1のトナー像は、感光ドラム4Yに所定の押圧力を持って圧接され、感光ドラム4Yの周速度と略等速の速度(本実施形態にあっては273mm/s )をもって矢印D方向へ回転駆動される中間転写体5とのニップ部において、中間転写体5上に一次転写される。
【0036】
一次転写工程の際に中間転写体5に転写されずに感光ドラム4Y上に残ったトナーは、感光ドラム4Yに圧接されたクリーニング手段9Yであるクリーニングブレードにより掻き取られ、廃トナー容器(不図示)に回収される。
【0037】
他のプロセスカートリッジ20M、20C、20Kにおいても上記と同様の工程が行われ、各プロセスカートリッジ毎に色の異なるトナーによるトナー像を中間転写体5上に順次転写、積層された後、給紙ユニットから給紙された記録材6に一括で二次転写し、定着器7による定着工程を経て機外に排出され、フルカラープリントとなる。
【0038】
次に図5を用いて、本実施例におけるレーザ光学系の概略を説明する。
【0039】
図5は、一般的な構成のレーザ光学系を用いて、感光ドラム4に露光している様子を示す図である。レーザLは、回転多面鏡モータ41上に設置された回転多面鏡42で反射されて、露光面で線速度一定になるような光学系f−θレンズ43を通り、反射ミラー44で反射され感光ドラム4に到達する。しかしながら、特になんの調整も行われないまま搭載されたレーザ光学系の走査線は固有の傾きや歪みなどを有しており、そのまま露光動作を行った場合、図5に示すように露光された走査線は固有の傾きや歪みの影響を持って感光ドラム4上を走査することになる。従来は露光走査線が感光ドラム4上でこうした傾きや歪みを生じないで走査させるために、レーザ光学系の組み立て時に高価な光学部品を用いたり、あるいは装置自体に精密な微調整を行ってきた。
【0040】
本実施例ではこうした高価な部品を用いたり精密な微調整を行うことなく、下記に示すような手法により、レーザ光学系が持つ固有の走査線の傾きや歪みをキャンセルし、安価でかつ良好な画質を得ることを実現している。
【0041】
本実施例においてレーザ光学系の傾きや歪みを補正する構成のフローを図6に示す。
【0042】
ステップ61でレーザ光学系の傾きや歪みのプロファイルを計測する。次にステップ62で計測された走査線のプロファイルデータを記憶する。ステップ63でプリンタ本体が前記記憶された走査線のプロファイルデータを読み出す。次にステップ64で読み込まれた走査線のプロファイルから第1の補正データを算出する。ステップ65で第1の補正データに従って入力がされた画像データの並べ替えを行う(第1の補正)。さらにステップ66で第1の補正データを元にステップ65で並べ替えを行った画像に対して平滑化処理を行う(第2の補正)。ステップ67でステップ66で作成された画像をプリンタに送信する。
【0043】
前記図6で示したフローに従って、ステップ61〜ステップ66の各項目について詳しく説明していく。
【0044】
(走査線プロファイルの計測)
ステップ61であらかじめ組み立て時に前記レーザ光学系のもつ固有の傾きや歪みといった走査線プロファイルの計測を行う。
【0045】
図7に示すように走査線を主走査方向にn分割(nは少なくとも3以上、ここでは例としてn=10)した際の各分割ポイントでの副走査方向位置をプロファイルポイントとする。プロファイルポイントデータは各レーザ光学系のユニットごとにn個ずつ得られる。
【0046】
(プロファイルポイントデータの保持)
ステップ61で計測されたプロファイルポイントデータはレーザ光学系ユニットにEPROMなどの記憶媒体を保持させてそこに記憶させる構成や、簡易な構成としてはバーコードなどのようにデータを暗号化させてレーザ光学系のユニット本体に添付する構成を取ることにより記憶・保持する。
【0047】
(プロファイルポイントデータの読み出し)
ステップ62における前者の構成の場合は、記憶されたプロファイルポイントデータは組み立て時にレーザ光学系ユニットのEPROMから画像形成装置本体へと読み出される。またステップ62の後者のような構成であれば、組み立て時に作業者が例えばバーコードリーダーのような暗号読み取り装置を用いて暗号化されたバーコードデータを読み取って画像形成装置本体へ反映させる構成とする。
【0048】
もし出荷後にサービスマンによってユーザ先でレーザ光学系ユニットの交換が行われた場合でも前者であればユニット交換後にユニットに保持されたEPROMから交換されたレーザ光学系ユニットに対応したプロファイルポイントデータが画像形成装置本体に読み込まれる構成であり、後者の構成であればサービスマンが交換するユニットに添付されているバーコードをバーコードリーダーで読み取る、もしくは数値を代入することによりやはり同様に交換されたレーザ光学系ユニットに対応したプロファイルポイントデータが画像形成装置本体に読み込まれる構成となっている。
【0049】
(第1の補正データの算出)
ステップ63でレーザ光学系ユニットから画像形成装置本体に読み出されたn個の走査線のプロファイルポイントデータに基づき、各点と理想座標からのずれ量から第1の補正量を算出する。
【0050】
ここで、図8を使って第1の補正データの算出フローについて説明する。
【0051】
図8(a)のステップ81において、まず図8(b)に示すようにn個のプロファイルポイントデータでn分割された走査線を主走査全域に渡って近似する。ここで本実施例において近似と自点と隣り合う点との二点間に対しての直線近似を用いた。次にステップ82においてステップ81で得られた主走査全域の近似点のうち主走査書き出し位置を基準点として設定する。ステップ83では基準点から主走査方向に近似点をチェックし、基準点との副走査方向の差分ΔVが1画素を超えた場合にはステップ84でその点(A点)の主走査位置をオフセットポイントとする。次にステップ86ではA+1点を新たな基準点として再設定する。上記ステップ83〜ステップ86までを主走査全域に渡って行うことにより、走査線の傾きや歪みを補正するための副走査方向1画素単位のオフセットを行うポイントの座標(X個)が得られる(図8(c))。こうして得られたX個のオフセットを行う第1の補正ポイントデータには座標情報と基準ラインからのオフセット量の情報が含まれ、これらを第1の補正データと呼ぶ。
【0052】
(第1の補正)
ここで第1の補正で用いる構成を図9を使って説明する。
【0053】
図9における(a)はラインバッファでありRAMにより構成される。本実施例では主走査方向幅297mm、600dpiの場合、約7000ドット分の補正データがRAMに書き込まれることになる。本実施例において補正データは例えば8ビットで構成され、符号付きの2進数で第1の補正のためのオフセット用ラインバッファ91を構成する。
【0054】
図9(b)に第1の補正のためのオフセット用ラインバッファ91を示す。
【0055】
図9(b)において、92は入力画像データであり、91は第1の補正のためのオフセット用ラインバッファである。まずステップ94で算出された第1の補正データの座標情報とオフセット量情報は第1の補正のためのオフセット用ラインバッファ91に読み込まれる。すなわち図9(b)に示すように第1の補正ポイントの座標Xnに対してオフセット量Ynが設定されており、その数字をオフセットした副走査ライン数を補正した位置の画像データを取り出して並べ替えることにより第1の補正を施した補正ビットマップデータ93を作成する。
【0056】
(第2の補正)
ステップ65の第1の補正で並べ替え処理された補正ビットマップデータに対して、第2の補正では平滑化処理を行う。
【0057】
図10に示すのは第2の補正で用いる構成図である。
【0058】
図10における(a)はラインバッファでありRAMにより構成される。本実施例では主走査方向幅297mm、600dpiの場合、約7000ドット分の補正データがRAMに書き込まれることになる。本実施例においては平滑化データは例えば8ビットで構成され、第2の補正のための平滑化用ラインバッファ101を構成する。
【0059】
図10(b)に第2の補正のフローを示す。
【0060】
図10(b)のステップ101で、まずステップ94で算出された第1の補正データの補正ポイントXnにおける主走査座標xのビットマップデータImg(x)と主走査方向1つ前の座標x−1のビットマップデータImg(x−1)を比較する。もしImg(x)<Img(x−1)であった場合は、ステップ102で次の補正ポイントXn+1と補正ポイントXnとの領域Xn+1−Xnを算出して平滑化領域Sとする。ステップ103で、もしImg(x)>Img(x−1)であった場合は、ステップ104で前の補正ポイントXn-1と補正ポイントXnとの領域Xn-1−Xnを算出して平滑化領域Sとする。
【0061】
次にステップ105において、補正ポイントに隣接する白データ領域(Img(x)=0)で、かつステップ102、104で得られた長さ|S|の区間に対して、1画素未満のドットを使って平滑化処理を行う。本実施例では1画素あたり16分割のPWMを使って画素を形成する構成を取っている。すなわちパルス幅に応じた16レベルの露光量を使って平滑化処理を行う構成とする。
【0062】
ここで、本実施例では入力画像信号値に対して、図11に示したようなあらかじめ設定されたパルス幅テーブルに従ってパルス幅を変調させる構成となっている。ステップ102、104で得られた平滑化区間Sの符号が正であった場合はパルス幅テーブルの正順で、平滑化区間Sの符号が負であった場合はパルス幅テーブルの逆順で1画素未満のドットを順に形成することで平滑化処理を実施する。
【0063】
なお、第2の補正で用いた第2の補正のための平滑化用ラインバッファ101の構成は第1の補正で用いた第1の補正のためのオフセット用ラインバッファ91と同様の構成であるので、本実施例では説明上別の構成で記載したが、実際には同一のラインバッファを用いることが可能である。
【0064】
ここまでの画像補正のイメージを図11に示す。
【0065】
図12において、(a)は第1の補正を行ったイメージ図で、(a)の画像に対して第2の補正を行うと(b)に示すイメージとなる。補正された(b)の画像データをレーザ露光すると(c)に示すようなイメージで潜像が形成され、この潜像に対して画像形成を行うと結果として(d)のような画像が得られる。なお、図中の黒塗り三角印は第1の補正を行ったオフセットポイントである。
【0066】
上記示したような第1の補正処理と第2の補正処理を順に行うことにより走査線の傾きや歪みなどのプロファイルを元に画像データを補正することが可能となる。
【0067】
しかしながら、複数のレーザ光学系を持つフルカラー画像形成装置などにおいては、各色の走査線の傾きや歪みが異なるため、上記示したような補正処理を行った場合、色ごとに第1の補正を行うオフセットポイントの分布が異なり、すなわち第2の補正である平滑化処理を行う領域も色ごとに異なり、色重ねする色数が増えるごとに補正領域の濃度段差や色モアレなどの弊害が発生する確率が高くなってしまう。
【0068】
例えば、フルカラー画像のハーフトーン領域においては階調性や粒状性、安定性を重視するために図13(a)、(b)に示すようなディザなどの組織的な構造を有する疑似中間調処理が一般的に多く用いられているが、こうした領域に上記に示した第1の補正と第2の補正を行った場合、濃度域によっては図14に示すように第2の補正である平滑化処理によって濃度段差が発生するケースが考えられる。こうした濃度段差は単色よりもむしろフルカラー画像形成時に色重ねをした場合に色ごとに補正領域が異なることによって顕在化する。しかしながらこうした疑似中間調領域に対して第2の補正処理を行わない場合は、ディザの持つ組織的な構造の位相ずれが発生してしまうため階調性が不連続となって図15に示すようにスジ状に顕在化してしまう弊害もある。なお、図15において図中の黒塗り三角印は第1の補正によるオフセットポイントを示す。
【0069】
そこで本実施例では、上記第1の補正と第2の補正に加えて、少なくとも1色以上において組織構造を持たない疑似中間調処理を併用することを特徴としている。
【0070】
組織構造を持たない疑似中間調処理の例として図16に誤差拡散処理を示す。図16に示したように、誤差拡散処理においては不連続に発生する誤差を注目画素の隣接画素に分配するため、図13に示したディザ処理に比べて組織的な構造を有さないという特徴がある。そのため図17に示すように第1の補正を行った場合でもオフセットポイント(図中黒塗り三角印)において構造の位相ずれが発生ぜず、従って第2の補正を行う必要もなくなる。
【0071】
しかしながら先にも述べたように誤差拡散処理のような組織的な構造を有しない疑似中間調処理を用いた場合、ディザ処理のように近接画素と連続して組織的にドットが成長する構造ではないために、ドットの再現が不安定である場合はその影響を受けて階調表現が不安定になるなどの弊害がある。また不規則にドットが配置されているために特に低中濃度領域において粒状性が低化してしまうという課題がある。ここで色材の明度L*と粒状度の関係を示した本発明者の実験結果を示す。本発明者の実験によれば、最大信号を入力した場合に形成されるトナー像の明度L*が20であるトナーA、L*=50であるトナーB、L*=60であるトナーC、L*=70であるトナーDの四種類のトナーに対して、組織的構造を有するディザ処理と組織的構造を有さない誤差拡散処理の二種類の疑似中間調処理を行って粒状度を測定したところ、図18に示すような結果が得られた。図18において縦軸は粒状度を示す指標であり、上に行くほど粒状性が低く、下に行くほど粒状性が良いことを表している。これによれば、明度の低いトナーA、Bはディザ処理と誤差拡散処理との粒状度の差が大きく、組織的構造を有しない誤差拡散処理を用いた場合、粒状度が低下してしまうことがわかる。これに対して、明度の高いトナーC、Dではディザ処理、誤差拡散処理といった疑似中間調処理による粒状度の差はほとんどないことがわかる。
【0072】
これらのことから、本実施例では第1の補正と第2の補正による弊害を出来る限り押さえ、かつ通常の画像再現にも弊害をもたらさないために、明度の高い色材に関しては誤差拡散処理を用いて疑似中間調処理を行い、かつ第1の補正のみ行う構成とし、それ以外の色材に関しては通常のディザ処理を用いて疑似中間調処理を行い、かつ第1の補正と第2の補正を合わせて行う構成とする。ここでいう明度の高い色材とは、本発明者の実験から最大濃度の色度のうちL*が60以上の色とするのが望ましいと考えられる。例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色からなる一般的なフルカラー画像形成装置の場合、本実施例ではイエローのみを誤差拡散処理とする。
【0073】
図19に本実施例のブロック構成図を示す。
【0074】
図19において、入力画像信号191のうち、シアン、マゼンタ、ブラックの低明度色信号は(a)で示されるように中間調処理回路192においてディザ処理され、一方、高明度色信号であるイエローは(b)に示されるように中間調処理回路192において誤差拡散処理される。次に、低明度色信号(a)、高明度色信号(b)ともに第1の補正回路193にて、走査線プロファイルから算出されたオフセット量に従って第1の補正処理がなされる。第1の補正回路193では低明度色信号(a)、高明度色信号(b)とも同じように図8、9で示した第1の補正処理が行われる。その後、低明度色信号(a)は第2の補正回路194にて図10、11で示したようにステップ102、104で得られた長さ|S|の区間に対して第2の補正処理である平滑化処理が行われるが、高明度色信号(b)は第2の補正回路194を通らず第2補正を行わない。その後、第2の補正処理が行われた低明度色信号(a)と第2の補正処理が行われなかった高明度色信号(b)は再び合成されて出力画像信号195となり画像形成される。
【0075】
ここでは一般的なフルカラー画像形成装置でよく用いられるシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色の色材からなる画像形成装置を例にとって説明したが、近年さらに画質を控除させる目的で上記4色に加えて淡色のライトシアン、ライトマゼンタ、あるいはグレーなどの特殊色を加えて画像形成を行う高画質フルカラー画像形成装置が提案されている。本実施例はもちろんこうした場合においても応用することは容易に可能であり、この場合、前記イエローに加えて高明度であるライトシアンやライトマゼンタ、グレーなどの淡色を誤差拡散処理とする構成となる。
【0076】
以上示したように本実施例では、フルカラー画像形成時に色が重なった疑似中間調処理領域に対して第1の補正によって発生するオフセットポイントでのスジや第2補正を行うことによって発生する濃度段差を軽減するために、高明度色に対しては例えば誤差拡散処理のような組織的な構造を持たない疑似中間調処理を行い、かつ第1の補正処理のみを実施し第2の補正処理を実施しない構成とする。本構成によって高明度色の疑似中間調処理領域に関しては第1の補正によって発生するスジや第2の補正によって起こる濃度段差が発生しないためフルカラー画像形成時の画像不良を軽減することが可能となる。
【符号の説明】
【0077】
3 現像器
4 感光ドラム
5 中間転写体
6 記録材
7 定着器
8 帯電器
9 クリーナー
20 プロセスカートリッジ
41 回転多面鏡モータ
42 回転多面鏡
43 f−θレンズ
44 反射ミラー
91 オフセット用ラインバッファ
101 平滑化用ラインバッファ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、帯電バイアスを印加することで前記像担持体の帯電を行う帯電手段と、前記像担持体の帯電処理面に静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像を現像剤により現像する現像手段と、前記像担持体上に現像されたトナー像を記録材担持体上の記録材に転写する転写手段と、前記記録材上に転写されたトナー像を定着させる定着手段を有する画像形成装置において、
前記露光手段は露光量を可変する露光量変調手段を有し、光ビームを偏向させて像担持体上を走査して前記像担持体上に静電潜像を形成する構成を持ち、
前記露光手段が有する像担持体上の走査線の歪み量に基づいて入力画像データの主走査方向に複数の位置で分割して走査線の歪みを補正する方向にオフセットさせる第1の補正手段と、
前記第1の補正手段によってオフセットした位置の近傍に前記露光量変調手段によって平滑化処理を行う第2の補正手段を有し、
画像形成に使用する色材のうち明度の高い色材の入力画像データに関しては組織的構造を有しない疑似中間調処理を行い、かつ前記第1の補正手段のみを行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記明度の高い色材は、前記色材の入力信号が最大値である時に形成されたトナー像の色度のうちL*が60以上であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記組織的構造を有しない疑似中間調処理は、誤差拡散処理であることを特徴とする請求項1、2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記露光量変調手段は、あらかじめ設定されたパルス幅テーブルに従ってパルス幅を変調することによって露光量を可変することを特徴とする請求項1、2、3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第2の補正手段である平滑化処理は、第1の補正手段によってオフセットされた位置の近傍画素にあらかじめ設定された前記パルス幅テーブルに従って前記露光量変調手段によって1画素未満のドットを形成することで補正を行うことを特徴とする請求項1、2、3、4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記走査線の歪み量は、主走査方向に少なくとも3カ所以上の計測点を元に一次以上の多項式近似によって算出することを特徴とする請求項1、2、3、4、5に記載の画像形成装置。
【請求項1】
像担持体と、帯電バイアスを印加することで前記像担持体の帯電を行う帯電手段と、前記像担持体の帯電処理面に静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像を現像剤により現像する現像手段と、前記像担持体上に現像されたトナー像を記録材担持体上の記録材に転写する転写手段と、前記記録材上に転写されたトナー像を定着させる定着手段を有する画像形成装置において、
前記露光手段は露光量を可変する露光量変調手段を有し、光ビームを偏向させて像担持体上を走査して前記像担持体上に静電潜像を形成する構成を持ち、
前記露光手段が有する像担持体上の走査線の歪み量に基づいて入力画像データの主走査方向に複数の位置で分割して走査線の歪みを補正する方向にオフセットさせる第1の補正手段と、
前記第1の補正手段によってオフセットした位置の近傍に前記露光量変調手段によって平滑化処理を行う第2の補正手段を有し、
画像形成に使用する色材のうち明度の高い色材の入力画像データに関しては組織的構造を有しない疑似中間調処理を行い、かつ前記第1の補正手段のみを行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記明度の高い色材は、前記色材の入力信号が最大値である時に形成されたトナー像の色度のうちL*が60以上であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記組織的構造を有しない疑似中間調処理は、誤差拡散処理であることを特徴とする請求項1、2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記露光量変調手段は、あらかじめ設定されたパルス幅テーブルに従ってパルス幅を変調することによって露光量を可変することを特徴とする請求項1、2、3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第2の補正手段である平滑化処理は、第1の補正手段によってオフセットされた位置の近傍画素にあらかじめ設定された前記パルス幅テーブルに従って前記露光量変調手段によって1画素未満のドットを形成することで補正を行うことを特徴とする請求項1、2、3、4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記走査線の歪み量は、主走査方向に少なくとも3カ所以上の計測点を元に一次以上の多項式近似によって算出することを特徴とする請求項1、2、3、4、5に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−7981(P2011−7981A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150567(P2009−150567)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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