説明

画像形成装置

【課題】 ユーザにエラーの発生を確実に認識させることができ、かつ、消費電力をより低減することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】 複合機1は、エラーを検知するエラー検知部10aと、検知されたエラーを報知するためのエラー情報を表示する表示装置15aと、ユーザの操作を受付ける操作パネル15と、表示されたエラー情報に対して、ユーザによるエラーの確認操作が受付けられた場合には、表示装置15aに対する電力供給が停止されるスーパースリープモード(省エネモード)への移行を許可し、ユーザによる確認操作が受付けられていないときには、スーパースリープモードへの移行を禁止する移行許否部10bと、移行許否部10bによる許否判断結果に基づいて電力供給モードをスーパースリープモードに移行させる電力制御部10cとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に、省エネルギー状態を取り得る画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、COの排出量削減などの観点から、電子機器の低消費電力化が社会的に求められている。例えばプリンタ(画像形成装置)においては、所定時間プリントジョブなどのジョブ要求がないときにプリンタコントローラ、プリンタエンジンなどへの通電を停止する省エネルギー状態(低消費電力状態)に移行することにより機器の省電力化を図ったものが知られている。
【0003】
ところで、プリンタでは、例えばトナーが無くなる等のエラーが発生したときに、ユーザにエラーの発生を報知するため、機器の表示パネルにその旨の表示(エラー表示)が行われる。ここで、トナーが無くなる等のエラーが発生したときに省エネルギー(以下、略して「省エネ」ともいう)状態に移行してしまうと、省エネ状態中は表示パネルへの通電が停止されてエラー表示も消えてしまうため、ユーザが、トナーが無くなる等のエラーの発生に気付くのが遅れてしまうおそれがある。
【0004】
このような問題に対処するために、下記特許文献1に記載されたファクシミリ装置では、「トナー切れが発生していること」「修理が必要な異常(要修理エラー)が発生していること」と言った所定の省エネモード移行禁止条件が成立しているときには省エネモードへ移行しないようにしている。また、下記特許文献2に記載の画像記録装置では、「トナーカートリッジが未装着」「用紙カセットが開状態」「用紙切れの状態」と言った省エネモード移行禁止動作が生じた場合に、省エネモードに移行しないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−257818号公報
【特許文献2】特開2001−103195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、エラーが解消されるまで(例えばトナーカートリッジが交換されるまで)には、比較的長い時間を要する場合がある。このような場合に、エラーが解消されるまで機器を省エネ状態にできないとすると、電力消費が増大してしまい、機器の低消費電力化の観点から好ましくない。
【0007】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、ユーザにエラーの発生を確実に認識させることができ、かつ、消費電力をより低減することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る画像形成装置は、エラーを検知するエラー検知手段と、エラー検知手段により検知されたエラーを報知するためのエラー情報を表示する表示手段と、ユーザの操作を受付ける操作手段と、表示手段に表示されたエラー情報に対する、ユーザによる確認操作が操作手段により受付けられた場合には、少なくとも表示手段に対する電力供給が停止される省エネルギーモードへの移行を許可し、ユーザによる確認操作が受付けられていないときには、省エネルギーモードへの移行を禁止する許否手段と、許否手段による許否判断結果に基づいて、電力供給モードを省エネルギーモードに移行させる制御手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る画像形成装置によれば、ユーザによりエラー情報が確認されて確認操作が為されるまでは省エネルギーモードに入ることなく、エラー情報が表示される。そのため、ユーザにエラーの発生を確実に認識させることができる。一方、ユーザがエラー情報、すなわちエラーの発生を確認した後は、エラーが解消されていなくても(例えばトナーカートリッジが交換されていなくても)、省エネルギーモードへの移行が許可される。そのため、より低消費電力化を図ることができる。その結果、ユーザにエラーの発生を確実に認識させることができ、かつ、消費電力をより低減することが可能となる。
【0010】
本発明に係る画像形成装置では、ユーザによる確認操作が受付けられて省エネルギーモードに移行した場合、その後、省エネルギーモードから復帰した際に、エラーが解消されていない場合には、表示手段が、エラー情報を再び表示することが好ましい。
【0011】
この場合、省エネルギーモードから復帰したときに、エラーが解消されていない場合には、再びエラー情報が表示される。そのため、省エネルギーモード中にエラー表示が消えていたために、例えば、ユーザがエラーの発生を忘れてしまったとしても、再度エラー情報が表示されることにより、ユーザにエラーを再認識させることができる。その結果、ユーザがエラー対応(例えば、トナーカートリッジの発注など)を忘れることを防止することが可能となる。
【0012】
本発明に係る画像形成装置は、省エネルギーモード中も稼働し、時刻を計時するとともに、予め設定された復帰時刻になったときに、省エネルギーモードからの復帰要求を出力する計時手段を備え、制御手段が、計時手段から出力された復帰要求を受けて、電力供給モードを省エネルギーモードから復帰させ、省エネルギーモードから復帰した際に、エラーが解消されていない場合には、表示手段が、エラー表示を再び表示することが好ましい。
【0013】
この場合、例えば、夜間(例えば22時〜8時までの間)省エネルギーモードにし、翌朝(この例では8時)、省エネルギーモードから復帰するように設定したときに、復帰時刻になったときにエラーが解消されていない場合、再度、エラー表示が行われる。そのため、省エネルギーモード中にエラー表示が消えていたために、ユーザがエラーの発生を忘れてしまったとしても、再度エラー情報が表示されることにより、ユーザにエラーを再認識させることができる。その結果、ユーザがエラー対応(例えば、トナーカートリッジの発注など)を忘れることを防止することが可能となる。また、この場合、設定された復帰時刻になったときにのみエラー情報を再表示するようにできるため、ユーザの煩わしさを低減することができる。
【0014】
本発明に係る画像形成装置では、表示手段が省エネルギーモードから復帰された場合、エラー表示が開始されてから所定時間経過したときには、ユーザによる確認操作が受付けられていなかったとしても、許否手段が、省エネルギーモードへの移行を許可することが好ましい。
【0015】
ところで、省エネルギーモードから復帰した際に、ユーザが不在の場合もあり得る。本発明に係る画像形成装置によれば、復帰要求を受けて省エネルギーモードから復帰された場合、エラー情報の表示が開始されてから所定時間経過したときには、ユーザによる確認操作が受付けられていなかったとしても、省エネルギーモードへの移行が許可される。よって、より省エネ効果を高めることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ユーザにエラーの発生を確実に認識させることができ、かつ、消費電力をより低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態に係る複合機の構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態に係る複合機が取り得る電力供給モードの状態遷移を示す図である。
【図3】実施形態に係る複合機による、エラー情報の表示画面の一例を示す図である。
【図4】実施形態に係る複合機による、エラー情報表示・エラー確認操作受付処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】実施形態に係る複合機による、スーパースリープモード移行・復帰処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。ここでは、実施形態に係る画像形成装置として複合機(MFP)を例にして説明する。なお、画像形成装置としては、プリンタ、コピー機、ファクシミリ装置、或いはこれらの機能を兼ね備えた複合機のいずれであってもよい。まず、図1を用いて、複合機1の全体構成について説明する。ここで、図1は、複合機1の構成を示すブロック図である。
【0019】
複合機1は、プリントデータを用紙に記録するプリント機能、原稿を読み取り画像データを生成するスキャナ機能、読み取り生成した画像データを用紙に記録するコピー機能、及び、ファクシミリ通信により画像データを送受信するFAX機能等を備えている。
【0020】
複合機1は、3つの電力供給モード、すなわち、すべての構成要素に電力が供給され、すべての機能が実行可能なレディモード、スキャナ部20、プリンタ部21に対する電力供給が停止されるディープスリープモード、及び、例えば外部からの処理要求を待ち受けるネットワークボード(NWボード)22やNCU17の一部を除いて電力供給が停止されるスーパースリープモード(特許請求の範囲に記載の省エネルギーモードに相当)を取り得る複合機である。
【0021】
また、複合機1は、例えばトナーが無くなる等のエラーが発生したときに、ユーザにエラーの発生を報知するため、エラー情報を表示する。複合機1は、ユーザがエラー情報、すなわちエラーの発生を確認した後は、エラーが解消されていなくても(例えばトナーカートリッジが交換されていなくても)、スーパースリープモードへ移行する。一方、複合機1は、ユーザによりエラー情報が確認されて確認操作が為されるまではスーパースリープモードに入ることなく、エラー情報を継続して表示する。
【0022】
上述した各機能を実現するために複合機1は、CPU10、フラッシュROM11、メインメモリ12、SRAM13、及び、RTC(Real Time Clock)14を備えている。また、複合機1は、操作パネル15、モデム16、NCU17、統合チップセット18、SDRAM19、スキャナ部20、プリンタ部21、及び、ネットワークボード22などを備えている。なお、CPU10、フラッシュROM11、メインメモリ12、SRAM13、RTC14、操作パネル15、モデム16、及び統合チップセット18は、システムバス40を介して相互に通信可能に接続されている。また、統合チップセット18とネットワークボード22とは、ローカルバス41(例えばPCIバス)を介して接続されている。さらに、統合チップセット18と、スキャナ部20及びプリンタ部21それぞれとは、シリアルバス42を介して接続されている。以下、複合機1を構成する各構成要素について詳細に説明する。
【0023】
CPU10は、メインメモリ12にロードされ記憶されているプログラムに従って演算・処理を実行することにより、複合機1を統合的に制御するとともに、エラー検知部10a、移行許否部10b、電力制御部10cとしての機能を実現する。
【0024】
エラー検知部10aは、複合機1がレディモード、ディープスリープモードにあるときに、複合機1のエラーの検知を行う。すなわち、エラー検知部10aは、特許請求の範囲に記載のエラー検知手段として機能する。より具体的には、エラー検知部10aには、エラーを検知する複数のセンサ(詳細は後述する)が接続されており、該センサから入力される信号に基づいて、エラーの発生を検知する。ここで、複合機1のエラーとしては、例えば、トナー切れ、用紙切れ、紙詰り(用紙ジャム)、カバーオープン、用紙カセットオープンなどが挙げられる。なお、エラー検知部10aで検知されたエラーの情報は、移行許否部10b、操作パネル15(表示装置15a)、及びSRAM13に出力される。
【0025】
移行許否部10bは、エラー検知部10aによってエラーが検知されたときに、ユーザによるエラー確認操作が操作パネル15により受付けられた場合には、操作パネル15の表示装置15aに対する電力供給が停止されるスーパースリープモードへの移行を許可する。一方、移行許否部10bは、ユーザによるエラー確認操作が受付けられていないときには、スーパースリープモードへの移行を禁止する。ただし、スーパースリープモードから復帰した際には、移行許否部10bは、エラー表示が開始されてから所定時間(例えば10分)経過した場合、ユーザによるエラー確認操作が受付けられていなかったとしても、スーパースリープモードへの移行を許可する。すなわち、移行許否部10bは、特許請求の範囲に記載の許否手段として機能する。なお、移行許否部10bによる許否判断結果は、電力制御部10cに出力される。
【0026】
電力制御部10cは、主電源から出力される複数の電源ラインを選択的に断続し、上述した3つの電力供給モードを切替える。電力制御部10cは、移行許否部10bから入力される許否判断結果に基づいて、移行が許可された場合に、電力供給モードをディープスリープモードからスーパースリープモードに移行させる。一方、電力制御部10cは、移行許否部10bによって移行が禁止された場合には、移行が許可されるまで、スーパースリープモードへの移行を保留する。また、電力制御部10cは、RTC14から時刻指定によるスーパースリープモードへの移行要求を受け、かつ移行許否部10bにより移行が許可された場合に、電力供給モードをレディモード又はディープスリープモードからスーパースリープモードに移行させる。さらに、電力制御部10cは、RTC14から出力される復帰要求(割り込み要求信号)を受けて、電力供給モードをスーパースリープモードからレディモードに復帰させる。すなわち、電力制御部10cは、特許請求の範囲に記載の制御手段として機能する。
【0027】
ここで、図2を参照しつつ、電力制御部10cにより切替えられる3つの電力供給モード、すなわち、レディモード、ディープスリープモード、及びスーパースリープモードについてより詳細に説明する。
【0028】
レディモードは、複合機1のすべての構成要素に主電源から電力が供給されるモードであり、プリント、コピー、FAXを含むすべての機能が利用可能なモードである。複合機1は、主電源がオンされると、初期化処理の後、レディモードとなる。一方、複合機1は、FAXの受信、PCプリントジョブの要求などが一定時間(例えば5分)継続してなかった場合に、レディモードからディープスリープモードに移行する。なお、レディモードでは、操作パネル15及び表示装置15aにも電力が供給される。
【0029】
ディープスリープモードは、スキャナ部20及びプリンタ部21に対する電力供給が停止されるモードである。ディープスリープモードでは、スキャナ部20及びプリンタ部21以外の構成要素に対しては電力が供給され、操作パネル15及び表示装置15aに対しても電力が供給される。ディープスリープモードでは、スキャナ部20及びプリンタ部21を使用しない機能、例えば、ネットワークパケットの解析を含むWeb機能などを利用することできる。複合機1は、例えば、FAXデータの受信及びPCプリントジョブの要求を受けた場合などに、ディープスリープモードからレディモードに移行する。一方、複合機1は、例えば、ジョブ要求及びネットワークパケットの受信などが一定時間(例えば5分)継続してなく、かつ、上述した移行許否部10bによりスーパースリープモードへの移行が許可されたときに、ディープスリープモードからスーパースリープモードに移行する。また、複合機1は、RTC14から時刻指定によるスーパースリープモードへの移行要求を受け、かつ、移行許否部10bにより移行が許可された場合に、ディープスリープモードからスーパースリープモードに移行する。
【0030】
スーパースリープモードでは、スキャナ部20及びプリンタ部21に加えて、操作パネル15(表示装置15a)、モデム16、統合チップセット18、SDRAM19などに対する主電源からの通電が停止される。また、スーパースリープモードでは、CPU10のクロックが停止される。さらに、ネットワークボード22では、特定のパケットを検出するPHY回路及びサブCPU以外に対する通電が停止され、NCU17では、呼出信号を検出する呼出信号検出回路以外に対する通電が停止される。
【0031】
複合機1は、ユーザによってレディモードに復帰するための操作が行われた場合(省エネモードキーが押された場合)にスーパースリープモードからレディモードに移行する。また、複合機1は、RTC14から出力される時刻指定による復帰要求(割り込み要求信号)を受けて、スーパースリープモードからレディモードに移行する。一方、ネットワークボード22のPHY回路及びサブCPUによって特定のパケットが検出された場合に、サブCPUからCPU10に対して復帰要求(割り込み要求信号)が出力され、複合機1が、スーパースリープモードからディープスリープモードに移行する。また、NCU17の呼出信号検出回路によって呼出信号が検出された場合にも、呼出信号検出回路からCPU10に対して復帰要求(割り込み要求信号)が出力され、複合機1が、スーパースリープモードからディープスリープモードに移行する。
【0032】
図1に戻って説明を続けると、フラッシュROM11は、CPU10に各処理を実行させるためのプログラム、データ等を記憶する不揮発性メモリである。フラッシュROM11には、図4,5に示される各処理(詳細は後述する)のプログラム等が記憶されている。フラッシュROM11に記憶されているプログラム等は、起動時にSDRAM等からなるメインメモリ12にロードされる。CPU10は、メインメモリ12にロードされたプログラムに従って各処理を実行する。
【0033】
SRAM13は、自機のエラー情報、エラー受付フラグ、スーパースリープモード移行/復帰時刻等の各種データを一時的に記憶する。レディモード、ディープスリープモード、スーパースリープモードでは、SRAM13に対して、主電源から電力が供給される。一方、主電源からの電力供給が停止される電源オフ時には、電池からSRAM13に対して電力が供給され、データがバックアップされる。
【0034】
RTC14は、常時稼働し、時刻を計時する。RTC14は、特許請求の範囲に記載の計時手段として機能する。RTC14には、レディモード、ディープスリープモード、スーパースリープモードでは、主電源から電力が供給される。一方、主電源からの電力供給が停止される電源オフ時には、電池からRTC14に対して電力が供給される。
【0035】
ここで、スーパースリープモードへの移行時刻(例えば、22時など)が予め設定されている場合、該移行時刻になったときに、RTC14は、上述したCPU10(電力制御部10c)に対して、スーパースリープモードへの移行要求を出力する。一方、RTC14は、スーパースリープモード中も稼働し、時刻を計時するとともに、予め設定されたスーパースリープモードからの復帰時刻(例えば、8時など)になったときに、上述したCPU10(電力制御部10c)に対して、スーパースリープモードからの復帰要求(割り込み要求信号)を出力する。
【0036】
操作パネル15は、複合機1の動作状態及び/又は各種設定内容等を表示するLCD等の表示装置15aを有している。表示装置15aは、上述したエラー検知部10aによって検知されたエラーを報知するとともに、ユーザにエラーの確認操作を促すためのエラー情報を表示する。ここで、エラー情報の表示例を図3に示す。図3は、トナーが無くなった場合の表示例である。また、ユーザによるエラー確認操作が受付けられてスーパースリープモードに移行した後、RTC14からの復帰要求を受けてレディモード(又はディープスリープモード)に復帰した際、エラーが解消されていない場合に、表示装置15aは、エラー情報を再び表示する。すなわち、表示装置15aは、特許請求の範囲に記載の表示手段として機能する。
【0037】
操作パネル15には、複合機1の各機能を利用するために用いられる複数のキー、例えば、テンキー、短縮キー、スタートキー、ストップキー、及び各種のファンクションキーが設けられている。また、操作パネル15には、ユーザによるエラー確認操作を受付けるためのOKボタン100(図3参照)、スーパースリープモードへの移行/復帰を行うための省エネモードキー、及び、主電源のオン/オフを行う主電源スイッチ等が設けられている。すなわち、操作パネル15は、特許請求の範囲に記載の操作手段として機能する。ここで、図3の例では、操作パネル15の一部(OKボタン100)がタッチパネルで構成されている場合を示した。なお、OKボタン100が押された場合、ユーザによるエラー確認操作が受付けられたこと示す情報が、上述したCPU10(移行許否部10b)に出力される。
【0038】
モデム(変復調器)16は、ファクシミリデータの変復調を行なう。NCU(Network Control Unit)17は、モデム16と接続されており、モデム16と公衆交換電話網(PSTN)51との接続を制御する。また、NCU17は、送信先のファクシミリ番号に対応した呼出信号の送出、及びその着信を検出する機能を備えている。
【0039】
統合チップセット18は、画像処理などを専門に実行する専用LSI、及びDMA転送などを実行するメモリコントローラ等を含んでいる。統合チップセット18は、スキャナ部20及びプリンタ部21等とシリアルバス42を介して接続されており、例えば、スキャナ部20で読み取られた画像データに対して、所定の画像処理を施した後に、プリンタ部21に出力する。
【0040】
また、統合チップセット18には、SDRAM19が接続されている。SDRAM19は、揮発性のメモリである、DDR(Double Data Rate)SDRAM等で構成されており、コーデックで符号化圧縮された画像データ、FAX受信された画像データ、及び、外部のパーソナルコンピュータ等から受信されて符号化圧縮された画像データ等を記憶する。SDRAM19には、レディモード、ディープスリープモードでは、主電源から電力が供給される。一方、主電源オフ時及びスーパースリープモードでは、電力供給が停止される。
【0041】
スキャナ部20は、光源及びCCD等によって構成されており、紙文書等の原稿を設定された副走査線密度に応じてライン毎に読み取り、画像データを生成する。読み取られて生成された画像データは、統合チップセット18を介してプリンタ部21、又はSDRAM19へ出力される。
【0042】
プリンタ部21は、電子写真方式のプリンタであり、帯電、露光、現像、転写、定着といった画像形成プロセスを実行することにより、画像データを用紙にプリントアウトする。例えば、プリンタ部21は、外部のPCから受信されたPCプリントデータ、スキャナ部20により読み取られ生成された画像データ、及びFAXで受信された画像データなどを用紙にプリントアウトする。
【0043】
プリンタ部21には、エラーを検知する複数のセンサ(図示省略)が取り付けられている。ここで、エラーを検知するセンサとしては、例えば、トナー切れを検知するトナー切れセンサ、紙詰まり(用紙ジャム)を検知するジャムセンサ、用紙切れを検知する用紙切れセンサ、本体カバーが開いていることを検知するカバーセンサ、及び用紙カセットが引き出されていることを検知するカセットセンサなどが挙げられる。上述したように、これらのセンサはCPU10に接続されており、各センサの検出信号はCPU10へ出力される。
【0044】
ネットワークボード22は、各種通信プロトコルの送受信制御処理、及び各種通信プロトコル上のデータ解析処理及びデータ作成処理を行なうネットワークインターフェースである。ネットワークボード22は、ローカルバス41を介して統合チップセット18と接続されている。なお、スーパースリープモード時であっても、例えばLAN50からのパケットデータなどを待ち受けるために、ネットワークボード22のPHY回路、サブCPU等には電力が供給される。
【0045】
次に、図4,5を用いて、複合機1の動作について説明する。ここで、図4は、複合機1による、エラー情報表示・エラー確認操作受付処理の処理手順を示すフローチャートである。また、図5は、複合機1による、スーパースリープモード移行・復帰処理の処理手順を示すフローチャートである。まず、図4を参照しつつ、複合機1による、エラー情報表示・エラー確認操作受付処理について説明する。なお、本処理は、CPU10によって、所定のタイミングで実行される。
【0046】
ステップS100では、エラー検知部10aによってエラー(例えばトナー切れなど)が検知されたか否かについての判断が行われる。ここで、エラーが検知されていない場合には、エラーが検知される間で、本ステップが繰り返して実行される。一方、エラーが検知されたときには、ステップS102に処理が移行する。
【0047】
ステップS102では、ユーザによるエラー確認操作が受付けられたことを示すエラー受付フラグがオンであるか否かについての判断が行われる。ここで、エラー受付フラグがオンの場合、すなわち、既に、ユーザによるエラー確認操作が受付けられている場合には、上述したステップS100に処理が移行し、ステップS100,S102の処理が再度実行される。一方、エラー受付フラグがオフの場合、すなわち、ユーザによるエラー確認操作がまだ受付けられていないときには、ステップS104に処理が移行する。
【0048】
ステップS104では、スーパースリープモードからの復帰が、予め設定された時刻(例えば、8:00など)になったことによる時刻指定復帰であるか否かについての判断が行われる。ここで、時刻指定復帰である場合には、ステップS112に処理が移行する。一方、時刻指定復帰ではないときには、ステップS106に処理が移行する。
【0049】
ステップS106では、検知されたエラーを報知するとともにユーザにエラーの確認操作を促すためのエラー情報が、操作パネル15の表示装置15aに表示される(図3参照)。続いて、ステップS108では、ユーザによるエラー確認操作が受付けられたか否か、すなわち、図3に示されたOKボタン100が押されたか否かについての判断が行われる。ここで、ユーザによるエラー確認操作が受付けられた場合、すなわちOKボタン100が押された場合には、ステップS110において、エラー確認操作が受付けられたことを示すエラー受付フラグがオンされる。その後、上述したステップS100に処理が移行し、ステップS100以降の処理が再度実行される。一方、ユーザによるエラー確認操作が受付けられていないとき、すなわちOKボタン100が押されていないときには、エラー確認操作が受付けられるまで、本ステップが繰り返して実行される。
【0050】
一方、ステップS104において、時刻指定復帰であると判断された場合には、ステップS112において、検知されたエラーを報知するとともにユーザにエラーの確認操作を促すためのエラー情報が、操作パネル15の表示装置15aに表示される。
【0051】
続いて、ステップS114では、エラー情報が表示されてから所定時間(例えば10分)が経過したか否かについての判断が行われる。ここで、所定時間が経過した場合には、ステップS110に処理が移行する。一方、まだ所定時間が経過していないときには、ステップS116に処理が移行する。
【0052】
ステップS116では、ユーザによるエラー確認操作が受付けられたか否か、すなわち、図3に示されたOKボタン100が押されたか否かについての判断が行われる。ここで、ユーザによるエラー確認操作が受付けられた場合、すなわちOKボタン100が押された場合には、ステップS110に処理が移行する。一方、エラー確認操作が受付けられていないとき、すなわちOKボタン100が押されていないときには、ステップS114に処理が移行し、所定時間が経過するか又はエラー確認操作が受付けられるまで、ステップS114,S116が繰り返して実行される。
【0053】
ステップS114において所定時間が経過したと判断された場合、又は、ステップS116においてエラー確認操作が受付けられたと判断された場合には、ステップS110において、エラー確認操作が受付けられたことを示すエラー受付フラグがオンされる。その後、上述したステップS100に処理が移行し、ステップS100以降の処理が再度実行される。
【0054】
次に、図5を参照しつつ、複合機1による、スーパースリープモード移行・復帰処理について説明する。なお、本処理は、CPU10によって、所定のタイミングで実行される。
【0055】
ステップS200では、スーパースリープモードへの移行指示があるか否かについての判断が行われる。ここで、スーパースリープモードへの移行指示がある場合には、ステップS202に処理が移行する。一方、スーパースリープモードへの移行指示がないときには、スーパースリープモードへの移行指示があるまで、本ステップが繰り返して実行される。
【0056】
ステップS202では、スーパースリープモードへ移行が可能であるか否か、すなわち、エラーが検知されているか否かについての判断が行われる。ここで、スーパースリープモードへ移行が可能である場合、すなわちエラーが検知されていない場合には、ステップS206に処理が移行する。一方、スーパースリープモードへ移行が可能ではないとき、すなわち、エラーが検知されているときには、ステップS204に処理が移行する。
【0057】
ステップS204では、エラー確認操作が受付けられたことを示すエラー受付フラグがオンであるか否かについての判断が行われる。ここで、エラー受付フラグがオンの場合には、ステップS206に処理が移行する。一方、エラー受付フラグがオフのときには、ステップS200に処理が移行し、上述したステップS200以降の処理が再度実行される。
【0058】
エラーが検知されていない場合、又は、エラーは検知されているがエラー受付フラグがオンのときには、ステップS206において、電力供給モードが、スーパースリープモードへ移行される。なお、スーパースリープモードでは、表示装置15aに対する通電が停止され、エラー情報の表示が消える。
【0059】
続くステップS208では、スーパースリープモードからの復帰要求があるか否かについての判断が行われる。ここで、スーパースリープモードからの復帰要求がある場合には、ステップS210に処理が移行する。一方、スーパースリープモードからの復帰要求がないときには、復帰要求があるまで、本ステップが繰り返して実行される。
【0060】
ステップS210では、スーパースリープモードからの復帰が、予め設定された時刻になったことによる時刻指定復帰であるか否かについての判断が行われる。ここで、時刻指定復帰である場合には、ステップS212においてエラー受付フラグがオフされた後、ステップS200に処理が移行する。一方、時刻指定復帰ではないときには、エラー受付フラグがオフされることなく、ステップS200に処理が移行する。そして、上述したステップS200以降の処理が再度実行される。
【0061】
以上、詳細に説明したように、本実施形態によれば、ユーザによりエラー情報が認識されて確認操作が為されるまで、すなわちOKボタン100が押されるまではスーパースリープモードに入ることなく、エラー情報が表示される。そのため、ユーザにエラーの発生を確実に認識させることができる。一方、ユーザがエラー情報、すなわちエラーの発生を確認した後は、エラーが解消されていなくても(例えばトナーカートリッジが交換されていなくても)、スーパースリープモードへの移行が許可される。そのため、より低消費電力化を図ることができる。その結果、ユーザにエラーの発生を確実に認識させることができ、かつ、消費電力をより低減することが可能となる。
【0062】
本実施形態によれば、例えば、夜間(例えば22時〜8時までの間)、スーパースリープモードにし、翌朝(この例では8時)、スーパースリープモードから復帰するように設定された場合に、復帰時刻になった際にエラーが解消されていないとき、再度、エラー表示が行われる。そのため、スーパースリープモード中にエラー表示が消えていたために、例えば、ユーザがエラーの発生を忘れてしまったとしても、再度エラー情報が表示されることにより、ユーザにエラーを再認識させることができる。その結果、ユーザがエラー対応(例えば、トナーカートリッジの発注など)を忘れることを防止することが可能となる。また、設定された復帰時刻になったときにのみエラー情報を再表示するようにできるため、ユーザの煩わしさを低減することができる。
【0063】
ところで、予め設定された時刻(例えば8時)になり、スーパースリープモードから自動的に復帰した際に、ユーザが不在の場合もあり得る。本実施形態によれば、RTC14からの復帰要求を受けてスーパースリープモードから復帰された場合、エラー情報の表示が開始されてから所定時間経過したときには、ユーザによる確認操作が受付けられていなかったとしても、スーパースリープモードへの移行が許可される。よって、より省エネ効果を高めることができる。
【0064】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、複合機1が、3つの電力供給モード(レディモード、ディープスリープモード、スーパースリープモード)を取り得る構成としたが、取り得る電力供給モードは、上述した3つには限られない。また、各電力供給モードにおいて電力が供給される対象は、上記実施形態には限られない。
【0065】
上記実施形態では、時刻指定復帰時にのみエラー情報を再表示する構成としたが、スーパースリープモードに移行した際にエラー受付フラグを無条件にオフすることにより、スーパースリープモードから復帰する度に(通常復帰時に)エラー情報を再表示する構成としてもよい。このようにすれば、エラーが解消されていない場合には、スーパースリープモードから復帰する度に、再びエラー情報が表示される。そのため、スーパースリープモードから復帰する度に、ユーザにエラーの発生を報知することができる。よって、ユーザがエラー対応(例えば、トナーカートリッジの発注など)を忘れることを確実に防止することが可能となる。
【0066】
なお、スーパースリープモードに移行した際にエラー受付フラグをオフしないことにより、ユーザによりエラー情報が1度確認された場合には、再度表示しない構成としてもよい。この場合には、ユーザに与える煩わしさを低減することができる。
【符号の説明】
【0067】
1 複合機
10 CPU
10a エラー検知部
10b 移行許否部
10c 電力制御部
11 フラッシュROM
12 メインメモリ
13 SRAM
14 RTC
15 操作パネル
15a 表示装置
16 モデム
17 NCU
18 統合チップセット
19 SDRAM
20 スキャナ部
21 プリンタ部
22 ネットワークボード
40 システムバス
41 ローカルバス
42 シリアルバス
100 OKボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エラーを検知するエラー検知手段と、
前記エラー検知手段により検知されたエラーを報知するためのエラー情報を表示する表示手段と、
ユーザの操作を受付ける操作手段と、
前記表示手段に表示されたエラー情報に対する、ユーザによる確認操作が前記操作手段により受付けられた場合には、少なくとも前記表示手段に対する電力供給が停止される省エネルギーモードへの移行を許可し、ユーザによる確認操作が受付けられていないときには、省エネルギーモードへの移行を禁止する許否手段と、
前記許否手段による許否判断結果に基づいて、電力供給モードを省エネルギーモードに移行させる制御手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記表示手段は、ユーザによる確認操作が受付けられて省エネルギーモードに移行した場合、その後、省エネルギーモードから復帰した際に、エラーが解消されていない場合には、前記エラー情報を再び表示することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
省エネルギーモード中も稼働し、時刻を計時するとともに、予め設定された復帰時刻になったときに、省エネルギーモードからの復帰要求を出力する計時手段を備え、
前記制御手段は、前記計時手段から出力された復帰要求を受けて、電力供給モードを省エネルギーモードから復帰させ、
前記表示手段は、省エネルギーモードから復帰した際に、エラーが解消されていない場合には、前記エラー表示を再び表示することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記許否手段は、前記表示手段が省エネルギーモードから復帰された場合、前記エラー表示が開始されてから所定時間経過したときには、ユーザによる確認操作が受付けられていなかったとしても、省エネルギーモードへの移行を許可することを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−101388(P2012−101388A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249881(P2010−249881)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】