説明

画像形成装置

【課題】供給口の開口長さを抑制しながらも、トナーを均一な状態にすることが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】トナーカートリッジ30からトナーが供給される供給口202を備え、感光ドラム10に形成された静電画像を顕在化させてトナー画像を形成させるための現像器ユニット20と、を備えた画像形成装置であって、現像器ユニット20は、供給口202から供給されたトナーを攪拌及び感光ドラム10の方向へ搬送させるパドル21を備え、供給口202は、パドル21の回転軸21a方向の長さよりも短い開口長さL1有しており、パドル21がトナーをパドル21の回転軸方向に拡散させるフィン21eを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーカートリッジからトナーが供給される供給口を備え、感光ドラムに形成された静電画像を顕在化させてトナー画像を形成させるための現像器ユニット、を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置に設けられている現像器ユニットは、ユニット内に収容されているトナーが減少した後、トナーカートリッジからトナーを現像器ユニット内に補給するようにしている。例えば、下記特許文献1においては、側方に設けた供給口から現像器ユニット内にトナーを供給している。また、下記特許文献2においては、上方に設けた供給口から現像器ユニット内にトナーが供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−86505号公報
【特許文献2】特開2010−128250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現像器ユニット内には、補給されたトナーを攪拌して感光ドラムの方向へ搬送させるパドルが設けられている。パドルは回転軸周りに回転するように構成されているが、特許文献1では、供給口はパドルの全長にわたって開口長さが設定されているのではなく、パドルの回転軸方向の中央部にのみ供給口が設けられている。トナーが中央部からのみ供給されるため、軸方向にわたってトナーの量が均一にならずムラができる。すなわち、供給口の近傍ではトナーが多く存在するが、軸方向の両端部ではトナーの量が少なくなる。このようなトナーの偏在は、形成される画像濃度のムラとして現れ、画像品質を低下させる。
【0005】
一方、上記特許文献2の場合、供給口はパドルの軸方向長さのほぼ全長にわたって形成されている。供給口の開口長さを大きくすれば、トナーの偏在の問題が解消されるが、供給口を開閉するためのシャッター機構も大型化すると共に、ケーシングの強度の問題も生じる。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、供給口の開口長さを抑制しながらも、トナーを均一な状態にすることが可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明に係る画像形成装置は、トナーカートリッジからトナーが供給される供給口を備え、感光ドラムに形成された静電画像を顕在化させてトナー画像を形成させるための現像器ユニット、を備えた画像形成装置であって、
前記現像器ユニットは、供給口から供給されたトナーを攪拌及び前記感光ドラムの方向へ搬送させるパドルを備え、前記供給口は、前記パドルの回転軸方向の長さよりも短い開口長さ有しており、前記パドルがトナーを前記パドルの回転軸方向に拡散させるトナーガイド部を備えていることを特徴とするものである。
【0008】
かかる構成による画像形成装置の作用及び効果を説明する。この画像形成装置に設けられた現像器ユニットは、供給口は、パドルの回転軸方向の長さよりも短い開口長さに設定されている。供給口から供給されたトナーは、パドルの回転により、攪拌及び搬送される。ここで、パドルは、トナーをパドルの回転軸方向に拡散させるトナーガイド部を備えている。従って、供給口から供給されたトナーは、回転軸方向の両端部へも拡散されるので、トナーの偏在を解消することができる。その結果、供給口の開口長さを抑制しながらも、トナーを均一な状態にすることが可能になる。
【0009】
本発明において、前記トナーガイド部はフィンであることが好ましい。フィンの形態にすることで、パドルと一体的に形成することが可能になり、コストを抑制しながら新たな機能の付加を行うことができる。
【0010】
本発明に係る前記供給口は、上方に向けて開口されており、前記トナーカートリッジ内のトナーが供給口から落下することで現像器ユニット内に供給されることが好ましい。
【0011】
この構成によると、上方からトナーを落下させることでトナーを供給することができ、簡素な構成でトナーの補給を行うことができる。
【0012】
本発明に係る前記供給口は、前記回転軸方向の中央部に配置され、前記トナーガイド部により回転軸方向の両端部側へトナーを拡散することが好ましい。
【0013】
この構成によると、供給口は、回転軸方向の中央部に配置されており、トナーの拡散は、中央部から軸方向の両端部(一方の端部と他方の端部)へと行われる。一方の端部と他方の端部へのトナーの拡散は同程度になるので、均一になるようにトナーを拡散させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】画像形成装置の内部構成を概念的に示す断面図
【図2】現像器ユニットとトナーカートリッジを連結した状態を示す外観斜視図
【図3】現像器ユニット20の外観構成を示す斜視図
【図4】現像器ユニット20の内部構成を示す斜視図
【図5】現像器ユニットの内部構成を示す断面図
【図6】パドルの構成を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る画像形成装置の好適な実施形態を図面を用いて説明する。図1に示す画像形成装置1は、電子写真方式の画像記録部を備えたプリンタを示しているが、これに画像読取部を付加して、複写装置、ファクシミリ装置、さらに、これらを組み合わせたいわゆる複合機として構成することもできる。図示の画像形成装置1は、下部に記録紙(普通紙)の供給部2、この供給部2の上部に電子写真方式の画像形成部7及び記録済み記録紙の排出部が設けられている。
【0016】
<画像形成装置の全体構成>
供給部2には、記録紙が積層された状態で収容されており、ピックアップローラ3とリタードローラ4により、記録紙が1枚ずつ給紙される。給紙された記録紙は搬送路6に導入され、搬送ローラ対5により、更に下流側に送り込まれる。搬送路6上に画像形成部7が配置され、この画像形成部7により、記録紙にトナー画像を形成して定着部8送り出す。定着部8を構成するヒートローラ8aと、プレスローラ8bによって、加熱及び加圧されて、記録紙上のトナー画像が定着される。そして、排出ローラ対9によって記録紙が排出トレイ10に排出されて、記録紙への画像形成処理が終了する。
【0017】
次に画像形成部7について説明する。画像形成部7には、感光ドラム10(像担持体に相当する)が設けられており、画像形成時には、反時計方向(矢印参照)に回転し、その回転方向に沿って、帯電器11、露光器12、現像装置20、転写ローラ13が配置される。感光ドラム10の表面は、帯電器11により帯電され、次いで露光器12によって画像露光されることで、感光ドラム10の表面に静電画像が形成される。次いで、現像装置20により、静電画像をトナーにより可視化させ、転写ローラ13と感光ドラム10のニップ位置に記録紙が到達するときに、転写ローラ13にバイアス電圧が印加され、感光ドラム10の外表面上のトナー画像が記録紙に電気的に引き寄せられる。これにより、記録紙に画像形成される。現像器ユニット20に隣接してトナーカートリッジ30が設けられる。
【0018】
<現像装置の構成>
次に、現像装置20の構成を説明する。図2は、現像器ユニット20とトナーカートリッジ30を連結した状態を示す外観斜視図である。図3は、現像器ユニット20の外観構成を示す斜視図である。図4は、現像器ユニット20の内部構成を示す斜視図である。図5は、現像器ユニットの内部構成を示す断面図である。図6は、パドルの構成を示す斜視図である。
【0019】
現像装置20は、ケーシング本体200の内部には現像剤としての非磁性一成分トナー(以下、単にトナーと略す)が収容される。ケーシング本体200の上側にケーシングカバー201が取り付けられる。トナーカートリッジ30は、内部に補給用のトナーが収容されており、現像器ユニット20と水平方向に隣接して配置される。
【0020】
図3に示すように、トナーカートリッジ30からのトナーが供給される供給口202が設けられており、その長手方向の開口長さL1は、全長L2の1/4〜1/2に設定することが好ましく、本実施形態では、ほぼ1/3に設定されている。また、供給口202は、長手方向の中央部に位置している。供給口202には、シャッター部材203が設けられており、通常はトナーカートリッジ30を装着する前は閉鎖されている。現像器ユニット20側に設けられたスライドレール204に沿って、トナーカートリッジ30を装着していくと、シャッター部材203が移動し、供給口202が開口する。
【0021】
図5に示すように、現像器ユニット20の内部には、第1パドル21、第2パドル22、供給ローラ23、現像ローラ24がいずれも回転自在に取り付けられている。供給ローラ23は、外表面がスポンジのような部材又はブラシのような部材で構成され、現像ローラ24の表面にトナーを供給する。現像ローラ24の外表面は、感光ドラム10の外表面と接触もしくはわずかな隙間により離間して配置されている。
【0022】
供給ローラ23は、図の時計方向に回転し、同じく時計方向に回転する現像ローラ24の表面にトナーを供給する。現像ローラ24の表面には可撓性を有するブレード25の先端が接触しており、現像ローラ24の表面のトナーが均一な厚みの薄膜になるように調整する。現像ローラ24の表面に形成されたトナーの薄膜により、感光ドラム10の表面に形成された静電画像を顕在化させてトナー画像を形成させる。トナー画像の形成に寄与しなかった残留トナーは、再び戻ってきて、回収される。なお、別途クリーナを設けて、感光ドラム10の表面に残留したトナーを除去する構成としてもよい。
【0023】
第1パドル21と第2パドル22は、基本的に同じ形状を有しているので、第1パドル21についてのみ説明する。なお、第1パドル21で十分にトナーを回転させることができるのであれば、第2パドル22には後述のフィンを設けなくてもよい。図6(a)は第1パドル21の外観斜視図であるが、(b)はフィンが形成された側から見た斜視図である。
【0024】
第1パドル21は、回転軸21aを備えており、回転軸21aを中心に半径方向にリブ21bが数か所伸びている。リブ21bの長手方向の両端部には、それぞれ支持円盤21dが設けられ、支持円盤21dの外側に回転軸21aが設けられる。また、第1パドル21の円周部にはフィルム26を取り付けるための取り付けリブ21cが長手方向に形成されている。フィルム26は樹脂シートとであり、第1パドル21が回転することにより、このフィルム26によりトナーを感光ドラム10の方向に送り出すように動作する。
【0025】
さらに、取り付けリブ21cの中央部には、フィン21e(羽根)が形成されている。フィン21eは、中央部から両端部に向けて2本形成されており、図6に示すように、矢印A方向に第1パドル21が回転することにより、矢印B方向にトナーが拡散される。これにより、中央部の供給口202から供給されたトナーを第1パドル21の軸方向両端部へと拡散させ、均一にトナーを分散させることができる。
【0026】
第1パドル21の回転軸21a、リブ21b、取り付けリブ21c、支持円盤21d、フィン21eが樹脂による一体成型により形成される。なお、フィン21eは、図示のように2枚ではなく、より多くの枚数を設けた構造にしてもよい。
【0027】
図4に示すように、第2パドル22の回転軸22aはケーシング本体200から露出しており、不図示の駆動機構と連結される。また、第2パドル22の回転に連動して、第1パドル21、供給ローラ23、現像ローラ24も回転するように、ケーシング本体200内にギヤによる連結機構(不図示)が設けられている。
【0028】
第1パドル21の軸方向の端部に、スクレーパ27が設けられており、透明の被検出部28をクリーニングする機能を有する。トナーセンサは、ケーシング本体200の外部に設けられ、トナーの有無を検出するためのセンサである。スクレーパ27は、第1パドル21と一体的に回転し、被検出部28をクリーニングすることで、トナーセンサによる正確なトナーの検出が行えるようにしている。
【0029】
図5に示すように、第1パドル21のフィン21eの部分の半径をr、第1パドル21が取り付けられる部分のケーシング本体200の内壁面の半径をRとした場合、
0.6R≦r≦0.8R と設定することが好ましい。R−rがあまり大きすぎると、トナーの搬送力が低下し、R−rが小さすぎると、トナーへのダメージが大きくなり、第1パドル21の回転力が重たくなる。
【0030】
図示はしないが、トナーカートリッジ30の内部には、トナーを攪拌して搬送するための機構が設けられており、供給口202からトナーを適宜のタイミングで供給する。第1パドル21と第2パドル22を回転させると、図4に示すように、矢印Cの方向へトナーを搬送すると共に、矢印Dの方向にトナーを拡散させる。これにより、トナーの偏在を解消させ、均一な状態にすることができる。
【0031】
<別実施形態>
本実施形態では、トナーカートリッジ30を現像器ユニット20の水平方向に隣接して配置しているが、これに限定されるものではなく、現像器ユニット20の上方に配置してもよい。
【0032】
本実施形態では、トナーガイド部であるフィンをパドルと一体成型しているが、フィンを別部品として、パドル本体に結合するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 画像形成装置
10 感光ドラム
20 現像器ユニット
21 第1パドル
21a 回転軸
21e フィン
22 第2パドル
23 供給ローラ
24 現像ローラ
26 フィルム
30 トナーカートリッジ
202 供給口
L1 開口長さ
L2 全長

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーカートリッジからトナーが供給される供給口を備え、感光ドラムに形成された静電画像を顕在化させてトナー画像を形成させるための現像器ユニット、を備えた画像形成装置であって、
前記現像器ユニットは、供給口から供給されたトナーを攪拌及び前記感光ドラムの方向へ搬送させるパドルを備え、
前記供給口は、前記パドルの回転軸方向の長さよりも短い開口長さ有しており、
前記パドルがトナーを前記パドルの回転軸方向に拡散させるトナーガイド部を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記トナーガイド部はフィンであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記供給口は、上方に向けて開口されており、前記トナーカートリッジ内のトナーが供給口から落下することで現像器ユニット内に供給されることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記供給口は、前記回転軸方向の中央部に配置され、前記トナーガイド部により回転軸方向の両端部側へトナーを拡散することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−113278(P2012−113278A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128202(P2011−128202)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】