説明

画像形成装置

【課題】転写部材をより効率良くクリーニングし、転写不良のない良好な画像を得る。
【解決手段】中間転写ベルト6上にクリーニング補助トナー像を形成させ、電源71により2次転写ローラ7にバイアスを印加させることで、中間転写ベルト6上で形成されたクリーニング補助トナー像を2次転写ローラ7に転写させた後で、2次転写ローラ7にクリーニングバイアスを印加して、2次転写ローラ7に付着したトナーを中間転写ベルト6に移動させ、中間転写ベルト6のクリーニング装置10によってクリーニングする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート等の記録材上に画像を形成する機能を備えた、例えば、複写機、プリンタなどの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式又は静電記録方式にて像担持体上に形成したトナー像を記録材に転写し、記録材に画像を得る画像形成装置が知られている。転写方式としてはコロナ転写方式やローラ転写方式が知られているが、装置の小型化、簡素化、オゾンの発生の防止の観点から、ローラ転写方式が現在は主流である。
このローラ転写方式は、像担持体に当接させた転写ローラ(転写部材)に転写バイアスを印加し転写電界を形成して、像担持体上に形成されたトナー像を、転写電界によって静電的に転写するものである。また、同時に、像担持体と転写ローラの間に形成された転写ニップ部で、記録材を挟持搬送するという記録材の搬送部材の役目も果たしている。
この転写ローラには、転写工程時においてはトナーを記録材に転写するためのトナーと逆極性の転写バイアスが印加されることで、トナーが記録材に静電的に転写される。
【0003】
また、転写工程が終了した後の後工程時や、転写開始前の前工程時等の転写動作をしていないタイミングにおいて、転写ローラに付着してしまったトナーをクリーニングするために、転写ローラにクリーニングバイアスを印加する工程が設けられている。
このクリーニングバイアスには、トナーと同極性の転写バイアスと逆極性のバイアスを交互に印加する交互バイアスが用いられることが多い。これにより、正規に帯電されたトナー、又は極性が反転している反転トナーの双方をクリーニングすることが可能となり、良好なクリーニング性が得られ、常に転写ローラをトナー等の付着の無い状態に維持することができる。
また、転写ローラは記録材に接触しながら該記録材を搬送する役割を持つため、少なからず、紙粉の付着が発生する場合がある。転写ローラに付着した紙粉は、転写バイアスの影響や、ローラとの摺擦によって帯電される場合が多い。この帯電された紙粉に関しては、上述した転写ローラに付着したトナーのクリーニングと同様にクリーニングバイアス印加によって同時にクリーニングすることが可能となる。また、このクリーニングバイアス印加により転写ローラへの紙粉の付着も防止する。なお、関連する従来例が開示された文献としては、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−29281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、装置の高速化、高寿命化が求められ、また多種多様な記録材の流通に伴い、あらゆる記録材における、良好な転写性、耐久性が装置に求められている。
この記録材の中で特に、再生紙や粗悪紙、タルク等の填料が多く含まれる記録材、紙粉の発生が多い紙などが大量に通紙されると、転写ローラに紙粉が大量に付着する場合が生じ、結果として転写性が阻害されてしまう場合があった。
先述したクリーニングバイアスによるクリーニング動作は、基本的には転写ローラに付着したトナーの回収を目的としており、紙粉のクリーニングも補助的に行うもののトナーの場合とは異なり、紙粉の帯電量のコントロールは困難である。したがって、転写ローラに紙粉が大量に付着した場合や、無極性の紙粉に関しては、クリーニングバイアスによる
クリーニングだけでは十分にクリーニングしきれない場合があった。
一方、この転写ローラへの紙粉の付着に関しては、トナーが付着した場合と異なって記録材を直接汚してしまうといった問題は生じない。このように、紙粉が転写ローラに付着した場合において、少量であれば画像上は特に大きな影響はなく、転写性に関しても特に問題はないため、紙粉のクリーニングに関しても、先述したクリーニングバイアスによるクリーニングで対応していたのが現状である。
【0006】
しかしながら、少量の紙粉の付着では問題とならなかった転写性に関して、上述したような再生紙や粗悪紙を大量に用いた場合においては、次のようなことが懸念される。
すなわち、上述したような再生紙や粗悪紙を大量に用いることで、転写ローラに紙粉が大量に付着、堆積した場合、従来のクリーニング方式では十分クリーニングされず、転写ローラの紙粉が大量に付着した領域において転写不良が生じることが懸念される。
特に、給送カセットや給送トレイから記録材が給送される際の給送部材である給送ローラの領域において紙粉が大量に発生することにより、給送ローラ部で発生した紙粉によって転写ローラが汚れてしまうことが懸念される。
給送ローラ部では、給送時における給送ローラと記録材の摺擦によって紙粉が発生する現象が起こるため、装置の高速化や、高耐久化に伴って給送性能を向上させた場合、摺擦による紙粉の発生がより増加する傾向がある。
また、特に、記録材が乾燥状態にある場合に、紙粉の発生が多くなる場合がある。このような場合には、紙粉が付着した領域において、結果として局所的に転写ローラの抵抗が高くなる傾向があり、転写ローラの長手方向(ローラの回転軸方向、通紙方向に対して垂直方向)に抵抗ムラが発生することで画像不良が発生することが懸念される。
本発明は上記したような事情に鑑みてなされたものであり、転写部材をより効率良くクリーニングし、転写不良のない良好な画像を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明にあっては、
像担持体と、
前記像担持体上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記像担持体との間でニップ部を形成する転写部材であって、前記トナー像形成手段により前記像担持体上に形成されたトナー像を、電圧印加手段により転写電圧が印加されることにより前記ニップ部で記録材に転写する転写部材と、
前記転写部材に付着したトナーが前記像担持体に移動するように前記電圧印加手段により前記転写部材に電圧を印加させることで、前記転写部材に付着したトナーを前記像担持体に移動させ前記像担持体のクリーニング手段によってクリーニングするクリーニング動作が行われるクリーニングモードを実行可能な制御手段と、
を有する画像形成装置において、
前記制御手段は、前記クリーニングモードの実行時において、前記トナー像形成手段により前記像担持体上にトナー像を形成させ、前記電圧印加手段により前記転写部材に転写電圧を印加させることで、前記像担持体上に形成されたトナー像を前記転写部材に転写させた後で、前記クリーニング動作を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、転写部材をより効率良くクリーニングし、転写不良のない良好な画像を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図
【図2】クリーニング実行時のバイアス印加のシーケンスを示す図
【図3】実施例1のクリーニング実行時の装置の状態を模式的に表した図
【図4】記録材搬送方向に対して垂直方向における構成部材の位置関係を示した図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0011】
図1は、本実施例に係る画像形成装置としてのタンデム型カラー画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
<画像形成装置の画像形成動作>
まず、本実施例の画像形成装置Aの画像形成動作について説明する。
所定の速度で回転する感光ドラム1(1a,1b,1c,1d)表面が、ローラ状の帯電手段2(2a,2b,2c,2d)により所定の電位に帯電処理される。所定の電位に帯電された感光ドラム1に対し、画像パターンに応じて露光装置3(3a,3b,3c,3d)により照射光Lが照射され、感光ドラム1の表面に静電潜像が形成される。感光ドラム1上に形成された静電潜像を可視化する現像装置4(4a,4b,4c,4d)によりトナー像が感光ドラム1上に形成される。
【0012】
感光ドラム1上に形成された各色トナー像は、1次転写ローラ5(5a,5b,5c,5d)により、像担持体としての中間転写ベルト(中間転写体)6上に、各色のトナー像が重なり合うようにタイミングを制御して転写(1次転写)される。このとき、1次転写ローラ5に所定のバイアスが印加されることにより1次転写がなされる。ここで、感光ドラム1、露光装置3、現像装置4、1次転写ローラ5は、トナー像形成手段を構成している。本実施例では、中間転写ベルト6の回転(移動)方向に沿って上記トナー像形成手段が複数設けられている。
中間転写ベルト6上(像担持体上)に形成されたカラー画像は、所定のタイミングで給送された記録材Sに対し、転写部材としての2次転写ローラ7により2次転写ニップ部T2で記録材S上に転写(2次転写)される。このとき、2次転写ローラ7に対して所定のバイアス(転写電圧)が印加されることにより2次転写がなされる。ここで、1次転写時、及び2次転写時に印加されるバイアスは、トナー像を静電的に転写する目的から、トナー像とは逆極性のバイアスが印加される。本実施形態ならびに後述する他の実施例では、トナーは、負極性に帯電するものが使用されている。ここで、2次転写ニップ部T2は、中間転写ベルト6と2次転写ローラ7との間で形成されるニップ部に相当する。
【0013】
記録材上に形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(黒)のトナー像は、加熱、加圧工程を行う定着装置8により記録材Sに対して定着され、カラー画像として機外に排出される。1次転写時に感光ドラム1上に残存(残留)したトナーは、感光ドラム1のクリーニング装置9(9a,9b,9c,9d)により回収され、次なる画像形成に備える。同様に、2次転写時に中間転写ベルト6上に残存したトナーは、中間転写ベルト6のクリーニング手段としてのクリーニング装置10により回収され、次なる画像形成に備える。
【0014】
<画像形成装置の全体構成について>
次に、各部の構成について、詳細に説明する。
感光ドラム1は、例えば直径30mmのアルミニウムシリンダの外周面に有機光導電体層(OPC感光体)が塗布され構成されたものである。感光ドラム1は、その両端部を支持部材によって回転自在に支持されており、一方の端部に駆動モータ(不図示)からの駆動力が伝達されることにより、図中反時計回りに回転駆動される。
帯電手段2は、ローラ状に形成された導電性ローラである。このローラが感光ドラム1表面に当接されると共に、このローラに電源(不図示)によって、負極性の帯電バイアスが印加されることにより、感光ドラム1表面が一様に帯電される。
【0015】
露光装置3は、レーザ光学ユニットであり、不図示の駆動回路によって画像信号に応じた照射光(レーザ光)Lが点灯制御され、帯電済みの感光ドラム1の表面が選択的に露光されることで、感光ドラム1上に静電潜像が形成される。
現像装置4a,4b,4c,4dは、中間転写ベルト6の回転方向上流側(図1の左側)から順にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の、負極性に帯電したトナーをそれぞれ収納した現像器でそれぞれ構成されている。
感光ドラム1上の静電潜像の現像時には、現像装置4を構成する現像ローラと、静電潜像が形成された感光ドラム1との間に現像バイアスが印加されることにより、静電潜像にトナーが付着することでトナー像として現像されるものである。
【0016】
1次転写ローラ5は、ローラ状に形成された導電性ローラであり、例えば、SUS(ステンレス鋼)などの金属からなる外径6mmシャフトの周囲に外径12mmとなるよう発泡性弾性ローラが構成されたものである。発泡性弾性ローラは10〜10Ωの抵抗を有している。1次転写ローラ5は中間転写ベルト6を挟んで感光ドラム1に加圧され、不図示の電源より正極性の1次転写バイアスが印加されることにより、1次転写ニップ部T1で感光ドラム1上のトナー像を中間転写ベルト6上に転写させるものである。
1次転写ニップ部T1は、中間転写ベルト6を挟んで1次転写ローラ5と感光ドラム1との間に形成されている。
【0017】
中間転写ベルト6は、10〜1014Ωcmの体積(固有)抵抗率を持たせた厚さ50〜150μm程度の無端状のフィルム状部材(ベルト部材)で構成されている。尚、前記体積抵抗率は、JIS法K6911に準拠した測定プローブを用い、ADVANTEST社製高抵抗計R8340にて、温度は25℃、相対湿度は50%で、50〜100Vを印加して得られた値である。
中間転写ベルト6の内周側には、中間転写ベルト6を回転させる駆動ローラ61、中間転写ベルト6の搬送性の安定のために適度なテンションを加えるための従動ローラ62,63が設けられている。従動ローラ62は、2次転写ローラ7の対向部材としての機能も有している。従動ローラ63は、クリーニング装置10の対向ローラとしての機能も有している。
【0018】
2次転写ローラ7は、1次転写ローラ5とほぼ同様の構成、物性を有するものであり、ここでは2次転写ローラ7として、外径16mmのものを用いている。この2次転写ローラ7については後に詳細を説明する。2次転写ローラ7は記録材Sを介して中間転写ベルト6に加圧され、電圧印加手段としての電源71より正極性の2次転写バイアスが印加されることにより中間転写ベルト6上のトナー像を記録材S上に転写させるものである。
また、従動ローラ62に支持(懸架)された中間転写ベルト6と、2次転写ローラ7とから形成される2次転写ニップ部T2に記録材Sを案内するための転写ガイド15が設けられている。記録材Sはこの転写ガイド15に導かれて2次転写ニップ部T2へ搬送される。
【0019】
クリーニング装置9は、例えばゴムからなる板状の部材を感光ドラム1表面に当接させた構成のものである。クリーニング装置9は、現像装置4によって感光ドラム1上に現像されたトナーが中間転写ベルト6に1次転写された後、転写されないで感光ドラム1表面に残ったいわゆる1次転写残トナーを除去するものである。
クリーニング装置10もクリーニング装置9と同様に、例えばゴムからなる板状の部材を従動ローラ63に対向するように中間転写ベルト6に当接させた構成としている。
クリーニング装置10は、2次転写ローラ7によって中間転写ベルト6上のトナーが記録材Sに2次転写された後、転写されないで中間転写ベルト6表面に残ったいわゆる2次転写残トナーを除去するものである。
【0020】
上記のような部材により構成される画像形成装置Aにおいて画像形成動作が行われる際には、まず、装置本体下部に装着されたカセット11に収納された記録材Sが、給送ローラ12によって1枚ずつ分離給送される。
その後、搬送ローラ対13により2次転写ニップ部T2へと搬送され、中間転写ベルト6上に形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックからなるトナー像が記録材Sに2次転写されることで、記録材S上にカラー画像が形成される。
そして、その記録材Sが、定着装置8において加熱ローラ81及び加圧ローラ82で形成される定着ニップ部を通過することで加熱、加圧されることで、記録材S上にトナー像が定着され、フルカラー画像が形成される。その後、フルカラー画像が形成された記録材Sは、排出ローラ対14で装置上部へ排出されることで一連の画像形成動作(工程)が終了することになる。
【0021】
以下に、本実施例の特徴について詳述する。
まず、クリーニングバイアスの印加により2次転写ローラ7をクリーニングするクリーニング動作について説明する。
上述したように2次転写部における基本動作として、2次転写ローラ7は、記録材Sを介して中間転写ベルト6に加圧され、電源71より正極性の2次転写バイアスが印加されることにより中間転写ベルト6上のトナー像を記録材S上に転写させる。ここで、ジャムや印字中に装置の急停止が発生した場合等に、2次転写ローラ7にトナーが付着してしまう場合があり、そのまま画像形成を実行すると記録材Sの裏面にトナーによる裏汚れが発生する場合がある。
したがって、2次転写ローラ7が汚れた時のために、次のようなクリーニング動作が行われるクリーニングモードが、画像形成装置に設けられた制御手段により実行可能となっている。それは、電源71よりトナーを再度中間転写ベルト6へ転写(転移、移動)させるバイアスを印加させ、2次転写ローラ7に付着したトナーを中間転写ベルト6上に再度転写させ、クリーニング装置10に回収させる動作である。ここで、電源71よりトナーを再度中間転写ベルト6へ転写させるバイアスとは、トナーと同極性のバイアスである負極性のバイアスである。
【0022】
2次転写ローラ7に付着したトナーが少量の場合には少なくとも2次転写ローラ7が1周する間、逆バイアスを印加することでクリーニング可能であるが、トナーが大量に付着した場合は2次転写ローラ7が複数回転する間、バイアスを印加することが望ましい。
また、クリーニング時に、より効率よくトナーをクリーニングする方法としては、負極性と正極性を交互に複数回バイアス印加させる方式が一般的である。本実施例において通常のクリーニングバイアス印加時には、2次転写ローラ7が1周する毎に負極性と正極性のバイアスを交互に印加して、負極性と正極性のバイアスをそれぞれ2次転写ローラ7の3周分ずつ印加する構成を採用している。このクリーニングバイアスは、任意のタイミングで実施してよいが、本実施例においては、電源投入時、ジャム後の立ち上げ時、所定枚数ごとに実施し、常に2次転写ローラ7をクリーニングし、トナー汚れの無い良好な状態を維持している。
【0023】
<紙粉汚れによる2次転写不良について>
近年、装置の高寿命化、高速化、メディアの多様化によって、従来までは問題とならなかった紙粉汚れによる2次転写不良という問題が発生することが懸念される。
通常、紙粉が付着した場合においても、上述したように、2次転写ローラにクリーニングバイアスを印加することで、ある程度は紙粉をクリーニングできる。紙粉も少なからず
帯電されている場合が多く、上述したクリーニングバイアスによって、一旦2次転写ローラに付着した紙粉もクリーニング可能である。また、紙粉は多少、転写ローラに付着したままであっても、トナーのように紙裏を汚すこともないため、従来、特に大きな問題とはならなかった。
【0024】
しかし、例えば、次のようなことが考えられる。
(1)装置の高寿命化に伴って総通紙枚数が増えるため、従来よりも紙粉の付着量が増え、転写ローラに堆積する紙粉量が多くなる場合が生じる。
(2)メディアの多様化によって、たとえば再生紙、粗悪紙、炭酸カルシウム等の填料の多い記録材を大量に通紙した場合、いわゆるオフィスで用いられる普通紙を通紙した場合と比較して従来よりも紙粉の付着量が増える場合が生じる。
(3)装置の高速化等に伴って、記録材の給送性能、搬送性能の向上を図るために、給送部材、搬送部材と記録材との摺擦力がアップし、結果としてより紙粉が発生し易くなる。
【0025】
このような理由から、従来よりも紙粉の発生する量は多くなる場合があり、結果として2次転写ローラへ紙粉が付着する量は多くなることが懸念される。このような場合において、上述したクリーニング動作では紙粉を十分にクリーニングできず、紙粉が転写ローラに堆積してしまうことが懸念される。
その中で、特に上記(3)に示したように給送部材で記録材を給送する際における、給送部材と記録材の摩擦によって発生する紙粉が、記録材の給送部材に対応する領域に特に付着してしまい、転写不良を発生させることが懸念される。
【0026】
これらは、通常のオフィスで利用する、いわゆる普通紙を用いた場合、特に問題は顕在化しなかった。しかし、再生紙や、填料の多い紙や、炭酸カルシウムを多く含むような紙を大量に通紙した場合、転写ローラの長手方向(ローラの回転軸方向、記録材搬送方向に対して垂直方向)のうち給送ローラに対応する部分が紙粉で特に汚れる場合があることが確認された。
このような紙粉が大量に転写ローラに付着した場合に、転写ローラのうち紙粉が付着した部分において、転写性が阻害され転写不良が発生する場合が見られた。これらの紙粉は、上述した通常のクリーニング動作では十分クリーニングされず、耐久(長時間の使用)を通して少しずつ堆積したものである。
【0027】
そこで本実施例においては、紙粉のより効率的なクリーニングのために、次のようなクリーニングモードを実行することを特徴としている。それは、クリーニング補助トナー像を中間転写ベルト6に形成し、クリーニング補助トナー像を回収する(転写させる)ための回収バイアス(転写電圧)を2次転写ローラ7に印加し、その後、2次転写ローラ7にクリーニングバイアスを印加するものである。このクリーニングモードによって、2次転写ローラ7からトナーと紙粉を同時に中間転写ベルト6上に吐き出させることができ、2次転写ローラ7をより効率よくクリーニングすることができる。
【0028】
図2に、制御手段によるクリーニング実行時のバイアス印加のシーケンスを示す。図2(a)は比較例として従来のクリーニング方式のバイアス印加のタイミングを示し、図2(b)は本実施例のクリーニングモード(クリーニング方式)におけるバイアス印加のタイミングを示している。
図2(a)の比較例のクリーニングバイアス印加時においては、2次転写ローラ7に、まずトナーの付着を防止する、負極性のバイアスを転写ローラ1周分印加する。
その後、トナーの帯電極性の反転した、いわゆる反転トナーをクリーニングするために正極性のバイアスを同様に転写ローラ1周分印加する。比較例のクリーニングバイアス印加時においては、このような交互バイアスを複数回実施することで、2次転写ローラ7上のトナーをクリーニングし、また、2次転写ローラ7に対してトナーの付着防止を行って
いる。
【0029】
比較例のクリーニングバイアスは交互バイアスを3回印加し、最後はトナーと同極性の負極性のバイアスを印加してクリーニングバイアスの印加を終了している。このクリーニングバイアスは2次転写ローラや中間転写ベルトの抵抗値、使用環境等から任意の値を設定すればよく、ここで用いたクリーニングバイアスは、23℃、50%の環境下において、おおよそ、V1=+1kV、V2=−1kVの交互バイアスを用いた。
この比較例のクリーニングバイアスによって、2次転写ローラに付着した紙粉の多くはクリーニングすることが可能になる。一方で、このクリーニングバイアスでは紙紛の中でも、帯電量が小さい、又は無極性の紙粉に関しては十分にクリーニングしきれない場合があった。
【0030】
次に、本実施例におけるクリーニング工程(クリーニングモード)のクリーニングシーケンスを図2(b)を用いて説明する。
本実施例の特徴は、まず、クリーニング開始時に、紙粉を効率よく回収するためのクリーニング補助トナー像を、上述した帯電、露光、現像、転写からなる画像形成工程(トナー像形成動作)によって中間転写ベルト6上に形成する。このクリーニング補助トナー像の画像先端部が2次転写ニップ部T2に到着するタイミングで、2次転写ローラ7にトナー像を回収するための回収バイアス、ここでは正極性のバイアスV3を印加し、2次転写ローラ7上にトナー像を保持させる。
この2次転写ローラ7にトナー像を回収する際に印加するバイアスV3は、比較例のクリーニングバイアスについて説明したのと同様に、2次転写ローラ7や中間転写ベルト6の抵抗値、使用環境等から任意の値を設定すればよい。本実施例において用いたバイアスV3は、23℃、50%の環境下において、おおよそ、V3=+1.5kVとしている。そして、この2次転写ローラ7に回収したトナー像を、上述した図2(a)で説明したクリーニングバイアスを印加することによって、2次転写ローラ7から中間転写ベルト6に再転写させ、2次転写ローラ7のクリーニングを回収しクリーニング工程が終了となる。
【0031】
このような構成により、クリーニング補助トナー像が一旦2次転写ローラ7に転写される際に、2次転写ローラ7上に付着、堆積している紙粉上にクリーニング補助トナー像が転写されることになる。
したがって、トナーが転写バイアスによって2次転写ローラ7に転写される際に、2次転写ニップ部T2において、紙粉とトナーが接触、摺擦することになる。
このため、従来のクリーニング方式ではクリーニングしきれなかった、帯電量が小さい紙粉、又は無極性の紙粉に対しても、トナーとの接触、摺擦による摩擦帯電によってトナーと紙粉が静電的に吸着しやすくなり、また物理的な付着力によっても付着する。
このため、このクリーニング補助トナー像を、クリーニングバイアスでクリーニングする際に、紙紛とトナーが吸着して一緒にクリーニングされ易くなり、より効率的に2次転写ローラ7のクリーニングができるようになる。
【0032】
ここで、2次転写ローラ7の状態について補足する。
本実施例においては、2次転写ローラ7に発泡性弾性ローラを用いている。この発泡性弾性ローラとしては、発泡セル径がおおよそ50μm〜200μm程度、硬度がアスカーC硬度で30〜40°程度のローラを用いている。
このような発泡性弾性ローラを用いている場合、大量に紙粉が発生すると、ローラの表面の凹部、セル内部に入り込んでしまう場合があり、この場合、付着した紙粉を従来例のクリーニングバイアスでクリーニングすることが困難となってしまうことが懸念される。
しかし、本実施例のクリーニングモードでは、クリーニングバイアス印加前に、クリーニング補助トナーを2次転写ローラ7に転写させている。これにより、従来のクリーニング方式でクリーニングできなかった紙粉に対して、トナーを接触、付着させることができ
、このような紙粉をトナーと一緒にクリーニングすることが可能になる。
このように、転写ローラとして本実施例で用いた発泡性弾性ローラの場合、ローラ表面や凹部に付着して従来ではクリーニングできなかった紙粉のクリーニングの際に特に効果があることがわかるが、転写部材としては、これに限るものではない。例えば、ソリッド転写ローラや、表面にチューブ等を形成したチューブ転写ローラ、コート層を有するコートローラ、又は転写ベルト等の場合においても、同様に本実施例のクリーニングモードを用いることによって紙粉除去の効果は十分にあるといえる。
【0033】
図3は、図2(b)で示したクリーニングシーケンス実行時の装置の状態を模式的に表した図である。
図3(a)は、中間転写ベルト6上に形成されたクリーニング補助トナー像tcが、2次転写ニップ部T2に到達する前の状態を示しており、この状態では、2次転写ローラ7には負極性のバイアスが印加されている。図3(b)は、クリーニング補助トナー像tcが2次転写ローラ7に回収(転写)された状態を示している。この状態では、2次転写ローラ7上に付着した紙紛の上にトナーが覆い被さるように、トナーが転写された状態となっており、2次転写ローラ7にはトナーを回収するための正極性のバイアスが印加されている。図3(c)は、2次転写ローラ7にクリーニングバイアスが印加された状態を示し、クリーニング補助トナー像tc及び、クリーニング補助トナー像tcに吸着した紙紛が中間転写ベルト6に転写されている状態を示している。
【0034】
次に、クリーニング補助トナー像の画像形成について述べる。
図4は、画像形成装置Aにおいて、記録材搬送方向に対して垂直方向(長手方向、2次転写ローラ7の回転軸方向)における構成部材の位置関係を示した図である。ここで、本実施例の画像形成装置Aにおける給送ローラ12の長手方向の位置は、画像形成位置に対して中央部(以下、長手方向中央部)に配置され、また、同様に2次転写ローラ7、中間転写ベルト6も長手方向中央部に配置されている。
【0035】
給送ローラ12は、長手方向中央部において記録材に当接しながら2次転写ニップ部T2に向けて該記録材を給送するものであり、長手方向の長さ(幅)40mmのゴム材からなり、このゴムの摩擦力で記録材を給送する。
この給送ローラ12は、常に記録材に圧力をかけながら回転するため、摺擦によって記録材の表面が荒らされ、紙粉が剥離しやすい状態となる。
したがって、この剥離した紙粉が多く存在する給送ローラ12の長手位置(長手方向における位置)に対応する2次転写ローラ7の領域は非常に汚れ易くなっている。
このように、給送ローラ12の幅に対応する部分で紙粉汚れが顕著であることが多いため、本実施例においては特に、クリーニング補助トナー像tcを給送ローラ12の幅領域に対応する位置に形成する構成を採用した。つまり、クリーニングモード実行時に中間転写ベルト6上に形成するクリーニング補助トナー像tcの領域は、次のように設定されている。すなわち、クリーニング補助トナー像tcが2次転写ニップ部T2に送られると、2次転写ニップ部T2を記録材が通る際に該記録材のうち給送ローラ12が接触した部位が通る範囲を含むように設定されている。
本実施例では、給送ローラの幅d=40mmに対して、両端にマージンを持たせた幅D=44mmでクリーニング補助トナー像tcを形成している。また、現像剤としては、ブラックのトナーを用いて形成した。
【0036】
本実施例では、最も紙粉汚れ、紙粉の付着の多い給送ローラ12に対応する位置において、クリーニング補助トナー像tcを形成しているが、これに限るものではない。すなわち、紙粉汚れ、紙粉の付着が懸念される搬送ローラの長手位置に対応させて、クリーニング補助トナー像tcが形成されるものであればよい。
また、クリーニング補助トナー像tcが、2次転写ローラ7の長手方向の全幅で形成さ
れた場合であっても、クリーニング効果は上記同様に得られる。この場合、2次転写ローラ7の紙紛の付着、汚れが少ない領域においても常にクリーニング補助トナー像tcを形成してクリーニングを実施できるため、長手方向全域にわたって紙紛のクリーニング効果が得られ、耐久を通じて良好な状態を維持することが可能になる。
【0037】
一方で、長手方向全域でクリーニング補助トナー像tcを形成した場合、長手方向において部分的にクリーニング補助トナー像tcを形成した場合と比べてトナーの消費量は多くなってしまう。このため、必要以上にトナーを消費させないという観点から、本実施例では紙紛による汚れが顕著な給送ローラ12において、クリーニング補助トナー像tcを形成した。また、クリーニング補助トナー像tcの記録材搬送方向の長さXとしては、2次転写ローラ7の1周分以上の長さ(周長)があればよく、ここでは外径16mmの転写ローラを採用しているため、X=16π≒50.3mmと設定している。
【0038】
表1を用いて本実施例の効果を説明する。本実施例では、より厳しい実験条件とするために、紙粉汚れの比較的多い、炭酸カルシウム紙を、低温低湿環境下(温度及び湿度が15℃、10%)において放置した紙を用い、同様にこの低温低湿環境下において連続印字の耐久評価を実施している。その際に、比較例のクリーニング方式を実施した場合と、本実施例のクリーニング方式を実施した場合の効果の比較を表1に示している。
また表1において、本実施例のクリーニングモードに関しては、その実行の頻度とその効果をさらに比較している。画像評価に当たっても、より厳しい実験条件となるように、低温低湿環境下に長時間放置した乾燥紙を用いている。具体的には、紙種としては厚紙216gの放置紙を用い、画像評価パターンは2次色の200%印字での転写不良の発生の有無で比較している。
【0039】
【表1】

【0040】
この結果からわかるように、比較例のクリーニング方式の場合は転写ローラへの紙粉の付着、汚れが多く、画像形成枚数で150K枚(150000枚、以下、1000枚=1K枚として記す)から転写不良による画像不良の発生が見られた。特に、給送ローラ12に対応する領域において、濃度が薄くなる画像不良が顕在化し始めた。
【0041】
次に、本実施例のクリーニングモードを実施した場合について説明する。ここでは、本実施例のクリーニングモードを100枚毎、1K枚毎、10K枚毎に実施した場合において、それぞれの効果を説明する。
まず、100枚毎での実施の場合、2次転写ローラ7への紙粉の付着、汚れは、ほとんど見られず、画像不良も250K枚まで特に転写不良の画像不良の発生は見られなかった。
1K枚毎の実施では、2次転写ローラ7への紙粉の付着、汚れに関してはごく軽微に付着している状態であったが、転写不良の発生はなく良好で、250K枚あたりでごく軽微に発生を確認できるレベルであった。
10K枚毎に実施した場合も同様に、2次転写ローラ7への紙粉の付着、汚れに関しては1K枚毎の実施と比較して多少多く付着を確認できたものの、転写不良の発生はなく、おおむね良好で、200K枚あたりから、ごく軽微に発生を確認できるレベルであった。
【0042】
また、任意のタイミングで実行した場合、ここでは、比較例のクリーニング方式のみの実施時における画像不良が発生したタイミングにおいて、本実施例のクリーニングモードを実施した場合について説明する。その場合においても、クリーニングモードの実施の前後で画像不良のレベルは改善され、紙粉が付着したローラに対するクリーニング効果も確認された。
このように、2次転写ローラ7に紙粉が堆積する前に、定期的、又は任意のタイミングで、本実施例のクリーニングモードを実施することで、2次転写ローラ7の状態を、常に、紙粉等の付着、汚れ等のない良好な状態に維持することが可能になる。これにより、画像不良の発生等のない良好な画像形成が可能になる。
【0043】
本実施例では、2次転写ローラ7の紙粉の付着した領域に、クリーニング補助トナー像を一旦転写して保持させ、トナーと紙粉を静電的、物理的に付着させた後、クリーニングバイアスの印加によってトナー像と紙粉を同時にクリーニングするように構成している。
これにより、トナー像と紙粉を同時に効率よくクリーニングすることが可能となり、紙粉の付着、堆積による画像不良の発生を防止することが可能となる。また、本実施例のクリーニング方式を採用した場合の方が、従来のクリーニング方式を採用した場合よりも、2次転写ローラ7に付着した紙粉に対するクリーニング性能が高く、紙粉の堆積及び、紙粉の堆積による画像不良の発生を抑えることが可能である。
【0044】
なお、本実施例では、中間転写ベルト6に複数のトナーからなるトナー像を形成するカラー画像形成装置の場合において説明してきたが、本発明は、これに限らず、モノカラーの画像形成装置においても好適に適用することができる。すなわち、転写ローラの紙粉の付着、汚れ防止のために、像担持体としての感光ドラムにクリーニング補助トナー像を形成し、直接転写ローラに転写した後、クリーニングバイアスを印加するクリーニング動作を実施するクリーニング方式を採用してもよい。この場合においても上記同様の効果が得られる。
【実施例2】
【0045】
以下、実施例2について説明する。なお、本実施例においては、実施例1に対して異なる構成部分について述べることとし、実施例1と同様の構成部分については、その説明を省略する。
【0046】
実施例1で説明したクリーニング方式においては、クリーニング補助トナー像を2次転写ローラ7に一旦転写した後に、クリーニングバイアスの印加によって2次転写ローラ7をクリーニングする工程を有する。
このため、2次転写ローラ7に付着したトナー自体が十分クリーニングされなかった場合には、記録材の裏面にトナーが付着し、いわゆる裏汚れといった不具合が発生してしまうことが懸念される。
このように、2次転写ローラ7への紙粉の付着、汚れに対するクリーニングの効果に関しては、どの色のトナーを用いても同じ効果が得られるものの、トナーの色によっては、裏汚れといった記録材の裏面に目に見える汚れが発生してしまうことが懸念される。
【0047】
そこで、本実施例においては、クリーニング補助トナー像を、イエロートナーを用いて形成している。
これにより、2次転写ローラ7のトナーのクリーニングが不十分な場合が生じ、記録材の裏面にトナーが付着してしまったとしても、イエロートナーをクリーニング補助トナー
像として用いることで、記録材の裏面に目に見える汚れが発生することを防止できる。
記録材の裏面に目に見える汚れが発生することを防止するには、黒以外のトナーを用いてクリーニング補助トナー像を形成すればよいが、より効果を高めるためには、本実施例のようにイエロートナーでクリーニング補助トナー像を形成することが望ましい。
【0048】
表2は、強制的に2次転写ローラ7にトナーを付着させた後の画像形成時における裏汚れを比較した結果を表している。ここでは、ブラックトナーとイエロートナーを用いた場合において、実施例1で説明したクリーニングモードを実施した後の裏汚れの発生の状況を比較説明する。
強制的にトナーを大量に付着させた状態で比較するために、クリーニング補助トナー像の大きさは次のように設定している。クリーニング補助トナー像の画像幅Dは、長手方向の全幅(LTR幅に相当する216mm)に設定し、記録材搬送方向の長さXは効果を比較し易いように、100mm、200mm、300mmの3水準に設定している。
【0049】
【表2】

【0050】
この結果から次のようなことがわかる。クリーニング補助トナー像をブラックトナーで形成した場合は、トナー量が多くなるにしたがって裏汚れの発生する可能性が高くなると言える。しかし、クリーニング補助トナー像をブラックトナー以外で、より望ましくはイエロートナーで形成した場合においては、視認できるような裏汚れの発生はなく、常に良好な状態を維持することができる。
以上説明したように、本実施例のようにクリーニング補助トナー像をイエロートナーで形成することで裏汚れ等の心配のない、常に良好なクリーニング状態を維持することが可能になる。
【実施例3】
【0051】
以下に、実施例3について説明する。なお、本実施例においては、実施例1に対して異なる構成部分について述べることとし、実施例1と同様の構成部分については、その説明を省略する。
【0052】
本実施例においては、クリーニング補助トナー像を形成する際に、複数色のトナーの残量をそれぞれ検知し、その検知結果からトナー残量の最も多いトナーを用いることを特徴としている。
例えば、ある一定の色のみでクリーニング補助トナー像を形成する構成の場合、実施頻度が高い場合はトナーの消費が一定色のみ早くなってしまうといった問題が発生してしまうことが懸念される。また、トナー残量が少なくなった状態において、実施例1で説明したクリーニングモードを実施してしまうと、トナーが無くなってしまい、画像形成ができない状態になってしまうことが懸念される。
そのため、トナーの消費状態を検知し、トナーの残量に応じて使用するトナーを決定することで一定色のみの消費を抑え、画像形成が常に可能な状態を維持することができる。
【0053】
本実施例においては、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色トナーが格納された現像装置4(4a,4b,4c,4d)内の各トナー収容部に、不図示のトナー残量検知用の光学センサが配置されている。これにより、各現像装置内のトナーの残量を検知す
ることが可能になっている。ここで、現像装置4には、透明の光学窓部が設けられており、その光学窓部を透過するセンサの光量に応じてトナーの残量を検出することができる。本実施例では、このセンサの検知結果に基づいて、使用するトナーを決定している。すなわち、複数のトナー収容部のうちトナーの残量が最も多いトナー収容部に収容されたトナーをクリーニング補助トナー像として用いることとしている。
【0054】
トナーの残量を検知して、残量の多いトナーを用いるメリットは、もう一つある。この点について以下に説明する。
残量の多いトナーは、まだ比較的新しいトナーであるため、トナーの帯電量の安定性が高く、劣化が少ない状態にある。
一方、残量の少ないトナーは、ある期間、使用されたトナーであり、比較的劣化が進んでいる場合が多い。具体的には、トナーの帯電量の安定性は低く、正規に帯電しているトナーの中には帯電量が小さいものや、逆にチャージアップしているトナー、無極性のトナーといったものが混在する傾向がある。このため、残量の少ないトナーは、一般的に帯電特性、帯電分布が広く、画像形成には不利な状態となっている傾向がある。
【0055】
したがって、クリーニング補助トナー像を形成した際にも、このトナー像の電荷の安定性はトナー残量の多い、トナー使用初期の状態の方がよく、耐久後においては、このトナー像の電荷の安定性は低くなっていると言える。クリーニングの効率においても、耐久後と比較して、トナーの新しい使用初期のほうが効率がよいと言える。
【0056】
表3は、トナーの消費状態に対するクリーニング実行後の画像評価結果を表している。表3では、低温低湿環境下において、給送ローラ12の給送圧を高めて2次転写ローラ7を紙粉で強制的に汚した状態で、実施例1で説明したクリーニングモードを実施した場合の、クリーニング性の効果を比較している。
【0057】
【表3】

【0058】
この結果から次のようなことがわかる。新品トナーを使用した場合と耐久中盤の状態のトナーを使用した場合には、紙粉汚れレベルは比較的良く、画像弊害も見られなかった。これに対して、耐久末期のトナーを使用した場合は、画像評価結果としてはあまり差は見られず、転写不良の発生は見られなかったものの、2次転写ローラ7の紙粉の付着状態、汚れのレベルには差が見られた。すなわち、耐久末期のトナーを使用した場合には、新品トナー及び耐久中盤トナーを用いた場合と比較して紙粉の付着が多く見られた。
【0059】
以上説明したように、本実施例においては、クリーニング補助トナー像を形成する際に、複数色のトナーの残量をそれぞれ検知し、その検知結果からトナー残量の多い比較的新しいトナーを用いることとしている。このことで、一定色のみのトナーの消費を回避することができ、また、劣化の少ないトナーを使用することになるため、クリーニングの効率を高めることが可能になる。
【符号の説明】
【0060】
1…感光ドラム、3…露光装置、4…現像装置、5…1次転写ローラ、6…中間転写ベル
ト、7…2次転写ローラ、10…クリーニング装置、71…電源、S…記録材、T2…2次転写ニップ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、
前記像担持体上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記像担持体との間でニップ部を形成する転写部材であって、前記トナー像形成手段により前記像担持体上に形成されたトナー像を、電圧印加手段により転写電圧が印加されることにより前記ニップ部で記録材に転写する転写部材と、
前記転写部材に付着したトナーが前記像担持体に移動するように前記電圧印加手段により前記転写部材に電圧を印加させることで、前記転写部材に付着したトナーを前記像担持体に移動させ前記像担持体のクリーニング手段によってクリーニングするクリーニング動作が行われるクリーニングモードを実行可能な制御手段と、
を有する画像形成装置において、
前記制御手段は、前記クリーニングモードの実行時において、前記トナー像形成手段により前記像担持体上にトナー像を形成させ、前記電圧印加手段により前記転写部材に転写電圧を印加させることで、前記像担持体上に形成されたトナー像を前記転写部材に転写させた後で、前記クリーニング動作を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
記録材を前記ニップ部に向けて給送する給送ローラを備えており、
前記クリーニングモード実行時に前記像担持体上に形成するトナー像の領域は、該トナー像が前記ニップ部に送られると、該ニップ部を記録材が通る際に該記録材のうち前記給送ローラが接触した部位が通る範囲を含むように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記像担持体は、無端状のベルト部材であり、
前記トナー像形成手段は、黒を含む複数色のトナーそれぞれに対応して複数設けられており、
前記クリーニングモードの実行時に前記トナー像形成手段により形成されるトナー像には、黒以外の色のトナーが用いられることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記像担持体は、無端状のベルト部材であり、
前記トナー像形成手段、及び、前記トナー像形成手段によりトナー像が形成される際に用いられるトナーを収容するトナー収容部がそれぞれ複数設けられており、
前記クリーニングモードの実行時に前記トナー像形成手段により形成されるトナー像には、複数の前記トナー収容部のうちトナーの残量が最も多いトナー収容部に収容されたトナーが用いられることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−123251(P2012−123251A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274700(P2010−274700)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】