説明

画像形成装置

【課題】状態変化等に対応して、適切なガンマ補正曲線を用いることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】プリンタ100cは、画像処理を施す画像処理部128、第1ガンマ補正曲線を記憶している曲線記憶部121、プリンタ100cの状態情報を取得する情報取得部122、前記状態情報に基づいて、前記第1ガンマ補正曲線に対する補正量を算出する補正量算出部123、重み値を取得する重み値取得部127、重み値及び補正量を用いて、前記第1ガンマ補正曲線を補正する曲線生成部124、前記第2ガンマ補正曲線を用いて、前記多階調入力画像の各濃度を補正して多階調補正画像を生成するガンマ補正部125を備える。画像処理部128は、生成した前記多階調補正画像を基にして多階調出力画像を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、複写機、ファクシミリやこれらの複合機などの画像形成装置において用いられる階調補正処理などの画像処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタなどの画像形成装置に入力される入力画像の濃度又はこれに相当する入力信号の強度と、当該画像形成装置により当該入力画像を用いて実際に印字された出力画像の濃度との関係は、装置自身が物理的な階調特性を有するため、一般に非線形であり、入力画像をそのまま当該装置により印字した場合には、実際に印字された出力画像の濃度は、当初のねらいからはずれてしまう。
【0003】
そのため、入力画像に対して、装置の階調特性(以下、装置階調特性と呼ぶ。)を打ち消すような逆の特性による補正処理を行う。この補正処理をγ(ガンマ)補正処理と呼ぶ。入力画像に対してガンマ補正処理を施し、さらに補正画像に対して画像形成装置による印字などの画像処理を施すと、入力画像の濃度と出力画像の濃度とは、当初所望の関係となり、こうして、得られた出力画像は、入力画像の濃度を適切に反映したものとなる。
【0004】
特許文献1は、画像処理装置の経時変化に拘わらず同一のガンマ補正処理を施すと、経時変化に伴い出力画像の画質が劣化するという問題を指摘しており、この問題を解決するために、特許文献1により開示された技術では、複数のガンマ補正曲線(特許文献1ではガンマ補正プログラム)から、印刷部のステータスに応じて、適切なガンマ補正曲線を選択して用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09−247426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1により開示された技術によると、画像処理装置の経時変化に応じて、適切なガンマ補正曲線を選択して用いることができるものの、複数のガンマ補正曲線を記憶するために必要な記憶容量が増大するという問題がある。特に、写真や文字などの複数種の画像のそれぞれを適切に2値化するために、複数のディザを用いる場合には、各ディザについて、複数のガンマ補正曲線を記憶しておかなければならず、さらに、記憶容量が増大する。
【0007】
このような問題点を解決するために、本発明は、ガンマ補正曲線を記憶する記憶容量を増大させることなく、画像形成装置の状態変化等に対応して、適切なガンマ補正曲線を用いることができる画像形成装置及び制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、ディザを用いて画像処理を施す画像処理手段を備える画像形成装置であって、多階調入力画像の濃度と、前記画像処理手段により得られる多階調画像の濃度とが所望の関係となるように、多階調入力画像の濃度を補正するための第1ガンマ補正曲線を記憶している記憶手段と、当該画像形成装置の状態を示す状態情報を取得する情報取得手段と、取得した状態情報に基づいて、前記第1ガンマ補正曲線に対する補正量を算出する補正量算出手段と、前記ディザに応じた重み値を取得する重み値取得手段と、前記重み値を乗じた前記補正量を用いて、前記第1ガンマ補正曲線を補正して第2ガンマ補正曲線を生成する曲線生成手段と、前記第2ガンマ補正曲線を用いて、前記多階調入力画像の濃度を補正して多階調補正画像を生成するガンマ補正手段とを備え、前記画像処理手段は、生成した多階調補正画像を基にして多階調出力画像を生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この構成によると、ガンマ補正曲線を記憶する記憶容量が増大することがないという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】プリンタ100とコンピュータ200とから構成される印刷システム210の構成を示すブロック図である。
【図2】(a)ドット集合の一例を示す。(b)ドット集合の他の一例を示す。
【図3】プリンタ100の印刷部103の機構を示す。
【図4】多階調入力画像の濃度とガンマ補正後の多階調補正画像の濃度との関係、及び、多階調補正画像の濃度と出力画像の濃度との関係などを示す。
【図5】ディザAを示すディザテーブル151の一例である。
【図6】ディザBを示すディザテーブル152の一例である。
【図7】ディザA及びディザBをそれぞれ用いる場合の重み値テーブル142の一例である。
【図8】ディザA及びディザBをそれぞれ用いる場合の重み値曲線452及び453の一例を示すグラフである。
【図9】ディザAを用いる場合のガンマ補正後の多階調補正画像の濃度と、出力画像の濃度との関係を示す。
【図10】ディザBを用いる場合のガンマ補正後の多階調補正画像の濃度と、出力画像の濃度との関係を示す。
【図11】温度差と補正量との関係の一例を示すグラフである。
【図12】ディザAを用いる場合に形成された画像の一例を示す。
【図13】ディザBを用いる場合に形成された画像の一例を示す。
【図14】プリンタ100の動作を示すフローチャートである。図15へ続く。
【図15】プリンタ100の動作を示すフローチャートである。図14から続く。
【図16】変形例としてのプリンタ100aの温度及び絶対湿度と補正量との関係を示す対応テーブル141aの一例を示す。
【図17】変形例としてのプリンタ100bの累積印刷枚数と補正量との関係を示す対応テーブル141bの一例を示す。
【図18】変形例としてのプリンタ100cの画像補正部129cの構成を示すブロック図である。
【図19】変形例としてのプリンタ100dの画像補正部129dの構成を示すブロック図である。
【図20】プリンタ100dの印刷部103dの機構を示す。
【図21】プリンタ100dのY処理部133の構成を示すブロック図である。
【図22】プリンタ100dの動作を示すフローチャートである。
【図23】プリンタ100dのY処理の動作を示すフローチャートである。
【図24】変形例としてのプリンタ100eの画像補正部129eの構成を示すブロック図である。
【図25】プリンタ100eのY処理部133eの構成を示すブロック図である。
【図26】プリンタ100eの動作を示すフローチャートである。
【図27】プリンタ100eのY処理の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.実施の形態1
本発明に係る一の実施の形態としての印刷システム210について説明する。
印刷システム210は、図1に示すように、プリンタ100とコンピュータ200とから構成され、プリンタ100とコンピュータ200とは、相互に接続されている。
1.1 コンピュータ200
コンピュータ200は、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクユニット、ディスプレィユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムである。前記RAM又は前記ハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムに従って動作することにより、コンピュータ200は、その機能を達成する。
【0012】
コンピュータ200は、利用者の操作により、利用者が所望する画像を印刷するために、多階調入力画像及び画像属性をプリンタ100へ出力する。ここで、多階調入力画像は、横方向及び縦方向にそれぞれ複数個の画素が行列状に配列されて構成され、各画素は、一例として、256階調の画像データである。また、画像属性は、多階調入力画像に文字、図形、写真などのいずれが含まれているかを示す画像の種類、使用者が所望する画質、シャープさ、滑らかさなどを示す情報である。
【0013】
1.2 プリンタの特性
画像形成装置であるプリンタにおいて、プリンタに入力される画像の濃度情報、又はそれに相当する入力信号の強度と、実際に印字される画像濃度との関係は、装置自身の物理的特性などから非線形であるため、入力画像をそのまま印字した場合、印字画像の階調は狙いからずれてしまう。そのため、プリンタの物理的特性などに依存する装置階調特性を踏まえて、入力画像と出力画像の関係が狙いの階調特性になるように、入力画像に対してガンマ補正を実施する。その後、適切なディザを用いて、ガンマ補正された入力画像を2値化して2値化画像を生成する。この2値化においては、規則的にドットを配置することにより、疑似的に中間階調を再現する。
【0014】
上記の装置階調特性は、装置自身の物理的特性のみならず、プリンタの使用環境(例えば、温度や湿度)や累積印字枚数などに依存して変化する。その原因の一つとして、次のような現象が発生している。
プリンタが低温の環境下で使用された場合、感光体内の感度が低下し、これにより、複数のドットが連結して形成されるドット集合全体が縮小する。一例として、プリンタが通常温度及び低温の環境下でそれぞれ使用された場合に、同じ入力画像を用いて、形成されたドット集合651とドット集合652とを図2(a)に示す。なお、ドット集合651と652との比較を容易にするために、ドット集合651と652とを重ねて表示している。
【0015】
この図に示すように、低温の環境下で形成されたドット集合652が占める面積は、通常温度の環境下で形成されたドット集合651が占める面積と比較すると、小さくなっている。当該入力画像を用いて、低温の環境下で形成されたその他のドット集合においても、同様に縮小が発生し、その占める面積が小さくなる。出力画像内のドット集合の面積の総合計は、出力画像の濃度に相当するので、出力画像全体で、濃度が低下して見える。
【0016】
同じディザを用いて入力画像を2値化する場合、入力画像の濃度に応じて、形成されるドット集合の大きさや形状が異なる。また、同じ入力画像を2値化する場合であっても、異なるディザを用いると、形成されるドット集合の大きさや形状が異なる。そこで、ドット集合651の場合とは異なるディザ又は異なる入力画像を用いて形成された別のドット集合の一例を図2(b)に示す。
【0017】
この図において、上記と同様に、プリンタが通常温度及び低温の環境下でそれぞれ使用された場合に、同じ入力画像を用いて、形成されたドット集合661とドット集合662とを示している。ここでも、ドット集合661と662との比較を容易にするために、ドット集合661と662とを重ねて表示している。
この図に示すように、低温の環境下で形成されたドット集合662が占める面積は、通常温度の環境下で形成されたドット集合661が占める面積と比較すると、小さくなっている。このため、出力画像全体で、濃度が低下して見える。
【0018】
図2(a)に示すドット集合652において、ドット集合651と652の差分653が消失したように見え、また、図2(b)に示すドット集合662においても、ドット集合661と662の差分663が消失したように見える。従って、差分653及び663が占める面積は、それぞれ、濃度の低下量に相当する。
ドット集合651の占める面積とドット集合661の占める面積とが同程度であるとすると、ドット集合651の濃度とドット集合661の濃度とは同程度であるといえる。一方、ドット集合661の形状は、ドット集合651の形状と比較すると、凹凸が多く、より複雑であるので、ドット集合661をその外部から仕切る境界の全長である境界長は、ドット集合651の境界長より長い。差分653及び663は、それぞれ、ドット集合651及び662の境界に内側から接する帯状の形状を有するので、差分653及び663の面積は、それぞれ、境界長に依存し、差分663が占める面積は、差分653が占める面積より大きい。上記のように、差分653及び663が占める面積は、それぞれ、濃度の低下量に相当するので、ドット集合662の濃度は、ドット集合652の濃度と比較して、低くなる。
【0019】
同じ入力画像を用いてドット集合662と同様の条件により形成されたその他のドット集合の濃度も、ドット集合652と同様の条件により形成されたその他のドット集合の濃度と比較して、低くなる。このため、出力画像全体で濃度が低下して見える。
以上説明したように、出力画像の濃度は、プリンタの温度、用いるディザ及び入力画像の濃度に応じて変化する。このため、ガンマ補正を行う場合に、プリンタの温度、用いるディザ及び入力画像の濃度を考慮する必要がある。
【0020】
1.3 プリンタ100の構成
プリンタ100は、コンピュータ200から多階調入力画像及び画像属性を受信し、受信した画像属性により、適切なディザの種類を選択する。また、内部の温度を計測し、計測した温度を用いて、ガンマ曲線の補正量を算出し、選択したディザに対応する重み値を選択し、重み値を乗じた補正量によりガンマ曲線を補正して新たなガンマ曲線を生成する。さらに、新たなガンマ曲線を用いて、受信した多階調入力画像の濃度を補正して多階調補正画像を生成し、選択されたディザを用いて、多階調補正画像を2値化して2値化画像を生成し、生成した2値化画像を印刷する。
【0021】
プリンタ100は、図1に示すように、温度センサ104、センサ制御部117、2値化部126、印刷制御部115、印刷部103、画像補正部129、ディザ選択部130、ディザ記憶部131及び通信部116から構成されている。画像補正部129は、曲線記憶部121、補正量算出部123、曲線生成部124、ガンマ補正部125及び重み値取得部127を含む。
【0022】
補正量算出部123、曲線生成部124、ガンマ補正部125、2値化部126、重み値取得部127及びディザ選択部130は、ROM、RAM及びプロセッサから構成され、ROMには、コンピュータプログラムが記憶されている。プロセッサがコンピュータプログラムに従って動作することにより、補正量算出部123、曲線生成部124、ガンマ補正部125、2値化部126、重み値取得部127及びディザ選択部130は、それぞれの機能を達成する。
【0023】
(1)印刷部103及び印刷制御部115
印刷部103は、図3に示すように、矢印a方向に回転駆動可能に設置された感光体ドラム2の周囲に帯電チャージャ3、露光部7、現像器4、転写チャージャ5、残留トナーのクリーナ6を配置した構成である。露光部7は、複数のLEDを適宜の間隔で直線状に配列して構成され、帯電チャージャ3によって所定の電位に均一に帯電された感光体ドラム2の表面に露光して、入力画像に応じた静電潜像を形成する。この静電潜像は現像器4で現像され、トナー画像とされる。記録用シートは、印刷部103の下部に設置した給紙カセット10から1枚ずつ繰り出され、タイミングローラ11を経て転写部へ搬送される。シートはここでトナー画像を転写され、定着器12で定着が施された後、排出ローラ13から印刷部103の上部に排出される。
【0024】
印刷制御部115は、印刷部103に対して、印刷のための画像情報などを出力し、印刷する制御を行う。
(2)温度センサ104及びセンサ制御部117
温度センサ104は、プリンタ100の内部に設けられている。温度センサ104は、プリンタ100の状態情報として、プリンタ100の内部の温度を計測し、計測した温度をセンサ制御部117へ出力する。
【0025】
センサ制御部117は、温度センサ104から、計測された温度を受信し、受信した温度を補正量算出部123へ出力する。
(3)通信部116
通信部116は、コンピュータ200と接続されており、コンピュータ200から多階調入力画像及び画像属性を受信し、受信した多階調入力画像をガンマ補正部125へ出力し、受信した画像属性をディザ選択部130へ出力する。
【0026】
(4)曲線記憶部121
曲線記憶部121は、RAM及びROMから構成されている。曲線記憶部121は、ROMにおいて、読出しのみが可能な状態で、予め第1ガンマ補正曲線361を記憶しており、RAMにおいて、書込み及び読出しが可能な状態で、第2ガンマ補正曲線362を記憶するための領域を備えている。
(第1ガンマ補正曲線361)
第1ガンマ補正曲線361は、多階調入力画像の濃度と、印刷部103により得られる多階調出力画像の濃度とが所望の関係となるように、多階調入力画像の濃度を補正するためのものである。言い換えると、第1ガンマ補正曲線361は、多階調入力画像に対して、印刷部103の装置階調特性を打ち消すような逆の特性を有する補正曲線である。なお、第1ガンマ補正曲線361は、印刷部103の装置階調特性を実測し、実測により得られた装置階調特性を打ち消すような逆の特性を持つように算出して得られたものである。
【0027】
第1ガンマ補正曲線361は、具体的には、一例として、256個の第1ガンマ補正値からなるデータテーブル(図示していない)であり、256個の第1ガンマ補正値は、階調値「0」、「1」、「2」、・・・、「255」に対応している。256個の第1ガンマ補正値は、それぞれ、階調値「0」、「1」、「2」、・・・、「255」をデータテーブル内のアドレスとして、参照できるように、データテーブル上に配置されている。各第1ガンマ補正値は、多階調入力画像において、対応する階調値についての補正量である。
【0028】
多階調入力画像の濃度と第1ガンマ補正曲線361による多階調補正画像の濃度との関係の一例を、図4のグラフ301に示す。ここで、曲線311は、第1ガンマ補正曲線361に対応している。なお、グラフ301において、横軸は、多階調入力画像の濃度を示し(一例として、0〜255の値をとる。)、縦軸は、多階調補正画像の濃度を示す(一例として、0〜255の値をとる。)。このグラフ301において、例えば、第1ガンマ補正曲線361による補正を施した結果、多階調入力画像において濃度がx1である画素について、ガンマ補正後の多階調補正画像において、その濃度は、x1’となり、多階調入力画像において濃度がx2である画素について、ガンマ補正後の多階調補正画像において、その濃度は、x2’となっている。
【0029】
また、多階調補正画像の濃度と、状態変化の無い印刷部103により印字された出力画像の濃度との関係の一例を、グラフ302に示す。ここで、グラフ302の曲線312は、状態変化の無い印刷部103の装置階調特性に対応している。グラフ302において、横軸は、多階調補正画像の濃度を示し、縦軸は、出力画像の濃度を示している(一例として、0〜255の値をとる。)。このグラフ302において、多階調補正画像において濃度がx1’である画素について、印刷部103により得られた出力画像において、その濃度は、y1となり、多階調補正画像において濃度がx2’である画素について、出力画像において、その濃度は、y2となっている。
【0030】
次に、グラフ301と302とを併せて考慮すると、多階調入力画像に対して、ガンマ補正を施し、印字処理を施した結果、多階調入力画像の濃度と、出力画像の濃度との関係は、グラフ303に示すように、比例関係にあることが分かる。なお、グラフ303において、横軸は、多階調入力画像の濃度を示し、縦軸は、出力画像の濃度を示している。このグラフ303において、多階調入力画像において濃度がx1である画素について、印刷部103により得られた出力画像において、その濃度は、y1となり、多階調入力画像において濃度がx2である画素について、出力画像において、その濃度は、y2となっている。
【0031】
グラフ303に示すように、多階調入力画像の濃度と出力画像の濃度とは、線形の関係にある。言い換えると、比例関係である。つまり、多階調入力画像に対して、ガンマ補正を施し、さらに、状態変化の無い印刷部103による画像処理を施した結果、出力画像の濃度は、多階調入力画像の濃度を忠実に反映したものとなっている。
次に、多階調補正画像の濃度と、温度が変化した環境におけるプリンタ100により印字された出力画像の濃度との関係の一例を、図4のグラフ322に示す。ここで、曲線332は、温度が変化した環境におけるプリンタ100の印刷部103の装置階調特性に対応し、曲線331は、温度が変化する前の環境(つまり、変化の無い状態)におけるプリンタ100の印刷部103の装置階調特性に対応している。グラフ322において、横軸は、多階調補正画像の濃度を示し、縦軸は、出力画像の濃度を示している。
【0032】
次に、グラフ301と322とを併せて考慮すると、多階調入力画像に対して、ガンマ補正を施し、温度が変化した環境におけるプリンタ100の印刷部103により印字処理を施した結果、多階調入力画像の濃度と、出力画像の濃度との関係は、グラフ323の曲線334に示すように、非線形の関係になることが分かる。なお、曲線333は、温度が変化する前の環境におけるプリンタ100の印刷部103により印字処理を施した結果、多階調入力画像の濃度と、出力画像の濃度との関係を示しており、線形の関係にある。グラフ323において、横軸は、多階調入力画像の濃度を示し、縦軸は、出力画像の濃度を示している。
【0033】
このようにして、多階調入力画像に対してガンマ補正処理を施し、さらに多階調補正画像に対して温度が変化した環境におけるプリンタ100の印刷部103により印字などの画像処理を施すと、多階調入力画像の濃度と得られた出力画像の濃度とは、当初所望の関係とはならず、得られた出力画像は、多階調入力画像の濃度を反映していないものとなる。
(第2ガンマ補正曲線362)
第2ガンマ補正曲線362は、第1ガンマ補正曲線361と同様のデータ構造を有している。第2ガンマ補正曲線362は、具体的には、一例として、256個の第2ガンマ補正値からなるデータテーブル(図示していない)であり、256個の第2ガンマ補正値は、階調値「0」、「1」、「2」、・・・、「255」に対応している。256個の第2ガンマ補正値は、それぞれ、階調値「0」、「1」、「2」、・・・、「255」をデータテーブル内のアドレスとして、参照できるように、データテーブル上に配置されている。各第2ガンマ補正値は、対応する第1ガンマ補正値を補正して得られたものである。第2ガンマ補正曲線362の生成の詳細については、後述する。
【0034】
(5)ディザ記憶部131
ディザ記憶部131は、複数のディザA、B、・・・をそれぞれ示すディザテーブル151、152、・・・を記憶している。また、ディザテーブル151、152、・・・には、それぞれのディザテーブルを識別するディザ識別子が割り当てられている。さらに、ディザテーブル151、152、・・・には、それぞれのディザテーブルを用いるべき画像の種類が割り当てられている。
【0035】
ディザA、Bをそれぞれ示すディザテーブル151、152の一例を、図5及び図6に示す。ディザテーブル151、152のスクリーン線数は、一例としてそれぞれ、212lpi(line per inch)及び106lpiである。ディザテーブル151は、12行、12列、合計144個のディザ値がマトリックス状に配列されて構成されている。ディザテーブル152も、同様に、12行、12列、合計144個のディザ値がマトリックス状に配列されて構成されている。
【0036】
ディザテーブル151の144個のディザ値は、多階調入力画像のうちの12行、12列、合計144個の画素に適用され、ディザテーブル151の一つのディザ値が、対応する画素の濃度と比較される。対応する画素の濃度が、対応するディザ値より大きいと、その画素について、「1」(黒のドット)が配される。対応する画素の濃度が、ディザ値以下であると、その画素について、「0」が配される。言い換えると、見かけ上、白のドットが配される。ディザテーブル152についても同様である。
【0037】
図5及び図6において、「100」以下のディザ値に対して、ハッチングを施して示している。多階調入力画像の全ての画素の濃度が仮に「95」であるなら、この多階調入力画像に対して、それぞれ、ディザA及びディザBにより2値化を施すと、図5及び図6に示すように、ハッチングを施しているディザ値に対応する画素が、「1」(黒ドット)となり、その他の画素が「0」(白ドット)となる。
【0038】
ディザテーブル151のディザAを用いる場合と、ディザテーブル152のディザBを用いる場合とを比較すると、ディザAを用いる場合の方が、ディザBを用いる場合より、形成されるドット集合の配置が密である。このため、ディザAを用いる場合の方が、ディザBを用いる場合より、ドット集合の境界長の総合計長が長く、濃度の低下は、大きい。
また、同一のディザを用いる場合であっても、画像の中階調部分(例えば、階調値が「25」から「150」までの間)では、ドット集合が隣接するドット集合と連結され、凹凸が多くなり、ドット集合の形状が複雑化する。このため、ドット集合の境界長の総合計長が長くなるので、濃度が低下する。特に、中央階調付近(例えば、階調値が「50」から「100」までの間)では、ドット集合と隣接するドット集合との連結がさらに増え、ドット集合が最も複雑化した形状を有し、ドット集合の境界長の総合計長がさらに長いので、濃度が最も低下する。
【0039】
逆に、画像の低階調部分(例えば、階調値が「0」から「24」までの間)では、ディザにより形成されるドット集合が、他のドット集合と連結することなく、単純な形状を有し、ドット集合の境界長の総合計長が短いので、濃度の低下が少ない。
また、画像の高階調部分(例えば、階調値が「151」から「255」までの間)では、ほとんどのドット集合が隣接する他のドット集合と連結するため、ドット集合が存在しない部分が単純な形状を有し、ドット集合の境界長の総合計長が短いので、濃度の低下が少ない。
【0040】
(6)ディザ選択部130
ディザ選択部130は、コンピュータ200から、通信部116を経由して、画像属性を受信し、受信した画像属性を用いて、ディザ記憶部131に記憶されている複数のディザの中から、一つのディザを選択する。この選択は、一例として、次のようにして行う。
受信した画像属性が、画像の種類が文字や図形であることを示す場合には、ディザ選択部130は、文字や図形に適応したディザを選択する。また、受信した画像属性が、画像の種類が写真であることを示す場合には、ディザ選択部130は、写真に適応したディザを選択する。
【0041】
次に、ディザ選択部130は、選択したディザを識別するディザ識別子を2値化部126及び重み値取得部127へ出力する。
(7)重み値取得部127
重み値取得部127は、重み値テーブル142を記憶している。重み値テーブル142は、図7に一例として示すように、256個の重みデータを含んでいる。各重みデータは、入力画像濃度、ディザAの重み値及びディザBの重み値から構成されている。256個の重みデータは、入力画像の取り得る階調値「0」、「1」、「2」、・・・、「255」に対応している。入力画像濃度は、多階調入力画像の濃度である。多階調入力画像の濃度に対応するディザAの重み値は、ディザAを用いる場合に、第1ガンマ補正曲線の当該濃度に対応する補正量に乗じることにより用いられる値である。また、多階調入力画像の濃度に対応するディザBの重み値は、ディザBを用いる場合に、第1ガンマ補正曲線の当該濃度に対応する補正量に乗じることにより用いられる値である。
【0042】
また、ディザAの重み値は、ディザAのディザテーブルを識別するディザ識別子により識別され、ディザBの重み値は、ディザBのディザテーブルを識別するディザ識別子により識別されている。
上述したように、画像の濃度の低下は、全画像内の全てのドット集合の境界長の総合計長に依存する。同じ入力画像を2値化する場合であっても、異なるディザを用いると、形成されるドット集合の大きさや形状が異なる。このため、用いるディザに応じて、画像の濃度の低下量が異なる。また、入力画像の濃度に応じて、形成されるドット集合の大きさや形状が異なる。このため、入力画像の濃度に応じて、画像の濃度の低下量が異なる。
【0043】
従って、図7に示すように、用いるディザに応じて、また、入力画像の濃度に応じて、第1ガンマ補正曲線の補正量に乗じる重み値を設定している。
重み値テーブル142は、言い換えると、ディザAの重み付け関数及びディザBの重み付け関数を構成している。重み付け関数は、ディザパターンの構成により、また、ディザごとに異なる。誤差拡散法に代表されるようなディザパターンでは、濃度変化の程度は大きくなるので、重み値を大きくしている。また、階調性を重視するようなスクリーン法に代表されるようなディザパターンでは、ドット集合を集中して配置するため、濃度変化の程度が小さくなる傾向があり、重み値を小さくしている。
【0044】
入力画像濃度についての図7に示すディザAの重み値の変化を示す重み値曲線452と、入力画像濃度についての図7に示すディザBの重み値の変化を示す重み値曲線453とを図8に示す。この図において、横軸は、多階調入力画像の濃度(0〜255)を示し、縦軸は、重み値(0〜1.0)を示している。重み値曲線452及び453は、正方向に凸形状を有しており、濃度「0」及び「255」のとき、それぞれ、重み値が「0」の値をとる。
【0045】
以上説明したように、重み値テーブル142において、低濃度範囲(言い換えると、低階調範囲。例えば、階調値「0」から階調値「24」の範囲。)の重み値は、中濃度範囲(言い換えると、中階調範囲。例えば、階調値「25」から階調値「150」の範囲。)の重み値より、小さい。また、高濃度範囲(言い換えると、高階調範囲。例えば、階調値「151」から階調値「255」の範囲。)の重み値は、中濃度範囲の重み値より、小さい。また、中濃度範囲においても、中央濃度範囲(言い換えると、中央階調範囲。例えば、階調値「50」から階調値「100」の範囲。)においては、重み値は、最も大きい。
【0046】
ここで、ディザAの重み値による補正を考慮して得られた多階調補正画像の濃度と、ディザAを用いてプリンタ100により印字された出力画像の濃度との関係の一例を、図9のグラフ501の曲線511に示す。また、ディザAの重み値による補正を考慮しないで得られた多階調補正画像の濃度と、ディザAを用いてプリンタ100により印字された出力画像の濃度との関係の一例を、曲線512に示す。
【0047】
また、ディザBの重み値による補正を考慮して得られた多階調補正画像の濃度と、ディザBを用いてプリンタ100により印字された出力画像の濃度との関係の一例を、図10のグラフ521の曲線531に示す。また、ディザBの重み値による補正を考慮しないで得られた多階調補正画像の濃度と、ディザBを用いてプリンタ100により印字された出力画像の濃度との関係の一例を、曲線532に示す。
【0048】
重み値取得部127は、ディザ選択部130からディザ識別子を受け取り、受け取ったディザ識別子により識別されるディザの重み値を選択する。具体的には、受け取ったディザ識別子により、ディザAの重み値及びディザBの重み値のいずれか一方を選択する。
また、重み値取得部127は、選択した重み値のうち、濃度i(i=0〜255)に対応する重み値Y(i)を読み出し、読み出した重み値Y(i)を曲線生成部124へ出力する。
【0049】
(8)補正量算出部123
補正量算出部123は、一例として、対応テーブル141を記憶している。対応テーブル141は、状態情報(具体的には、温度差)と補正量との対応関係を示しており、複数の補正データから構成されている。各補正データは、温度差及び補正量を含む。温度差はプリンタ100の内部の温度と、基準値の温度(一例として、23度C)との差分であり、補正量は、第1ガンマ補正曲線361を補正するために用いられる値である。ここで、基準値は、設定値として保持されている第1ガンマ補正曲線361が設定された温度である。
【0050】
対応テーブル141は、対応テーブル141に示す各温度差の環境にプリンタ100を設置し、このプリンタ100により実際に印刷を行って得られた実測値により求められたものである。
対応テーブル141により示される温度差と補正量との対応関係を図11に、曲線402として図示する。この図において、横軸に温度差を示し、縦軸に補正量を示している。この図によると、温度が基準値より小さい場合、補正量は、正の値をとる。温度が基準値と等しい場合には、補正量は、0の値をとる。温度が基準値より大きい場合には、補正量は、負の値をとる。また、温度が基準値より大きい場合に、温度差が増大するにつれて、補正量は減少し、温度が基準値より小さい場合に、温度差が減少するにつれて、補正量は増大している。つまり、温度差の絶対値が増大するにつれて、補正量の絶対値は増大している。さらに、温度が基準値より大きい場合における補正量の第1変化量と、温度が基準値より小さい場合における補正量の第2変化量と比較すると、第2変化量は第1変化量より大きい。一般的に、低温環境における濃度低下側の変化が大きいため、温度差が負の場合の補正量が大きく、正の値に設定されている。
【0051】
本発明では、このように、状態情報の変化に対して、連続的に補正量を変化させるため、ガンマ補正曲線により補正される画像の濃度の急激な変化がない。
補正量算出部123は、温度センサ104から、状態情報としての温度を受け取り、受け取った温度と基準値である温度との差分である温度差tを算出し、対応テーブル141を用いて、算出した温度差tに対応する補正量S(t)を算出する。
【0052】
補正量算出部123は、対応テーブル141に温度差tに対応する補正量S(t)が存在する場合には、その対応する補正量S(t)を対応テーブル141から読み出す。対応テーブル141に温度差tに対応する補正量S(t)が存在しない場合には、線形補間により、温度差tに対応する補正量S(t)を算出する。
次に、補正量算出部123は、算出した補正量S(t)を曲線生成部124へ出力する。
【0053】
(9)曲線生成部124
曲線生成部124は、濃度i(i=0〜255)について、曲線記憶部121に記憶されている第1ガンマ補正曲線361と、受け取った補正量S(t)と、受け取った重み値Y(i)とを用いて、次式により、第2ガンマ補正曲線362を算出し、算出した第2ガンマ補正曲線361を曲線記憶部121へ書き込む。
【0054】
第2ガンマ補正曲線の第2ガンマ補正値(i)
= 第1ガンマ補正曲線の第1ガンマ補正値(i)
+ 補正量S(t) × 重み値Y(i) (i=0〜255)
第2ガンマ補正曲線362の曲線記憶部121への書込みが終了すると、曲線生成部124は、ガンマ補正部125に対して、ガンマ補正をするように指示する。
【0055】
(10)ガンマ補正部125
ガンマ補正部125は、曲線生成部124の指示により、曲線記憶部121から第2ガンマ補正曲線362を読み出し、通信部116から受け取った多階調入力画像を、読み出した第2ガンマ補正曲線362を用いて、ガンマ補正をして、多階調補正画像を生成する。ガンマ補正は、次のようにして行う。
【0056】
ガンマ補正部125は、多階調入力画像を構成する全ての入力画素(j)(j=1〜Z)について、
(a)入力画素(j)の濃度Dを取得する。
(b)濃度Dにおける第2ガンマ補正曲線362の第2ガンマ補正値(D)を取得する。
【0057】
(c)補正画素(j)の濃度=入力画素(j)の濃度+第2ガンマ補正値(D)を算出する。
ここで、Zは、多階調入力画像を構成する全ての入力画素の数であり、多階調補正画像を構成する全ての入力画素の数である。また、補正画素(j)(j=1〜Z)は、多階調補正画像を構成する画素である。
【0058】
次に、ガンマ補正部125は、生成した多階調補正画像を2値化部126へ出力する。
(11)2値化部126
2値化部126は、ガンマ補正部125から多階調補正画像を受け取り、ディザ選択部130からディザ識別子を受け取る。次に、受け取ったディザ識別子により、ディザ記憶部131に記憶されているディザテーブルを特定し、特定したディザテーブルを読み出し読み出したディザテーブルを用いて、受け取った多階調補正画像に2値化処理を施して、2値化画像を生成し、生成した2値化画像を印刷制御部115へ出力する。
【0059】
一般的に、画像形成装置に入力された多階調画像を、画像形成装置の出力に適した2値化画像に変換する2値化処理が行われる。2値化処理の例としてディザ法があり、その中でも、誤差拡散法、スクリーンディザ法などの処理方法の違いにより、また、それぞれの処理方法おいてもパラメータを変更することにより、違った画像が生成される。入力される画像の種類(文字、図形、写真などの有無)や、使用者の狙いの画質、シャープさ、滑らかさなど、出力される画像の属性によって、適切なディザの種類、パラメータが選択され、それによる処理が行われた後の画像が印字される。文字、図面など線画像の再現が重視される場合、誤差拡散法などパターンの再現性に優れた処理が使用される。逆に写真などなめらかな階調性が要求される場合は、階調再現に優れるスクリーンディザ法が使用される。
【0060】
1.4 印字例
印刷部103により、ディザA及びディザBを用いて印刷して得られた印刷結果の部分的な拡大図を図12及び図13に示す。図12は、ディザAを用いた場合において形成された画像601を示し、図13は、ディザBを用いた場合において形成された画像602を示している。なお、図12及び図13においては、多階調入力画像の中間調(灰色)の部分について、ドット集合が視認できるように、模式的に表している。なお、これらの画像は、図5及び図6に示すディザテーブル151及び152を用いて、実際に形成されたものではないので注意を要する。
【0061】
画像601は、凹凸が多く複雑な形状のドット集合が複数配置されて形成されている。これに対して、画像602は、画像601に配置されたドット集合と比較すると、より単純な形状を有するドット集合が複数配置されて形成されている。
1.5 印刷システム210の動作
印刷システム210の動作について、特に、プリンタ100の動作を中心として、図14〜図15に示すフローチャートを用いて説明する。
【0062】
コンピュータ200は、利用者の操作により、利用者の所望の画像を印刷するために、多階調入力画像及び画像属性をプリンタ100へ出力し、通信部116は、コンピュータ200から多階調入力画像及び画像属性を受信し、受信した多階調入力画像をガンマ補正部125へ出力し、受信した画像属性をディザ選択部130へ出力する(ステップS101)。
【0063】
次に、ディザ選択部130は、受信した画像属性を用いて、ディザ記憶部131に記憶されている複数のディザの中から一つのディザを選択し、選択したディザを識別するディザ識別子を2値化部126及び重み値取得部127へ出力し(ステップS102)、温度センサ104は、状態情報として、プリンタ100の内部の温度を計測し、計測して得られた温度を、センサ制御部117を介して、補正量算出部123へ出力し(ステップS103)、重み値取得部127は、受け取ったディザ識別子により識別されるディザの重み値を選択し(ステップS104)、補正量算出部123は、対応テーブル141から受け取った温度に対応する補正量S(t)を算出し、算出した補正量S(t)を曲線生成部124へ出力する(ステップS105)。
【0064】
次に、画像補正部129は、濃度i(i=0〜255)について、ステップS107〜S108を繰り返すように、重み値取得部127及び曲線生成部124を制御する(ステップS106〜S109)。
重み値取得部127は、選択した重み値のうち、濃度iに対応する重み値Y(i)を算出し、算出した重み値Y(i)を曲線生成部124へ出力する(ステップS107)。
【0065】
曲線生成部124は、曲線記憶部121に記憶されている第1ガンマ補正曲線と、受け取った補正量S(t)と、受け取った重み値Y(i)とを用いて、次式により、第2ガンマ補正曲線を算出し、算出した第2ガンマ補正曲線を曲線記憶部121へ書き込む。
第2ガンマ補正曲線の第2ガンマ補正値(i)
= 第1ガンマ補正曲線の第1ガンマ補正値(i)
+ 補正量S(t) × 重み値Y(i) (ステップS108)。
【0066】
上記の繰返しが終了すると、ガンマ補正部125は、曲線記憶部121から第2ガンマ補正曲線を読み出し、受け取った多階調入力画像を、読み出した第2ガンマ補正曲線を用いて、補正して、多階調補正画像を生成し、生成した多階調補正画像を2値化部126へ出力し(ステップS110)、2値化部126は、多階調補正画像を受け取り、受け取ったディザ識別子により、ディザ記憶部131に記憶されているディザテーブルを特定し、特定したディザテーブルを用いて、受け取った多階調補正画像に2値化処理を施して、2値化画像を生成し、生成した2値化画像を印刷制御部115へ出力する(ステップS111)。
【0067】
次に、印刷部103は、印刷制御部115を介して、2値化画像を受け取り、受け取った2値化画像を印刷して出力する(ステップS112)。
1.6 まとめ
プリンタ100によると、プリンタ100の内部の温度の変化によって、多階調入力画像の中間調の濃度の補正量を推定し、その補正量に、階調毎の重み付け関数を乗じて得られた値により、ガンマ補正曲線を補正する。重み付け関数は、ディザの種類(例えば、誤差拡散法、スクリーニング法などの種類、又はその線数の違い)毎に設定する。これにより、複数のディザのそれぞれに対して、階調の全域で適切な補正ができる。また、プリンタ100の内部の温度の変化に応じて、多階調入力画像の中間調の濃度の補正量を推定するので、ガンマ補正曲線の急激な変化が発生せず、切り換え前後の画像の急激な変化を防止することができる。また、プリンタ100の内部の温度毎に、ガンマ補正曲線を記憶する必要がないので、ガンマ補正曲線を記憶するための記憶容量が増大することはない。
【0068】
多階調入力画像の濃度と、第2ガンマ補正曲線による補正後の多階調補正画像の濃度との関係の一例を、図4のグラフ341の曲線351に示す。ここで、曲線351は、第2ガンマ補正曲線に対応している。また、多階調入力画像の濃度と、第1ガンマ補正曲線による補正後の多階調補正画像の濃度との関係の一例を、曲線352に示す。曲線352は、第1ガンマ補正曲線に対応している。なお、グラフ341において、横軸は、多階調入力画像の濃度を示し、縦軸は、多階調補正画像の濃度を示す。
【0069】
次に、第2ガンマ補正曲線による補正後の多階調補正画像の濃度と、プリンタ100により印字された出力画像の濃度との関係の一例を、グラフ342の曲線354に示す。ここで、曲線354は、温度が変化した環境におけるプリンタ100の装置階調特性に対応している。また、第1ガンマ補正曲線による補正後の多階調補正画像の濃度とプリンタ100により印字された出力画像の濃度との関係の一例を、曲線353に示す。曲線353は、基準温度の環境におけるプリンタ100の装置階調特性に対応している。グラフ342において、横軸は、多階調補正画像の濃度を示し、縦軸は、出力画像の濃度を示している。
【0070】
次に、グラフ341と342とを併せて考慮すると、多階調入力画像に対して、第2ガンマ補正曲線によるガンマ補正を施し、印字処理を施した結果、多階調入力画像の濃度と、出力画像の濃度との関係は、グラフ343の曲線356に示すように、比例関係にあることが分かる。こうして、得られた出力画像は、入力画像の濃度を適切に反映したものとなる。なお、グラフ343において、横軸は、多階調入力画像の濃度を示し、縦軸は、出力画像の濃度を示している。
【0071】
以上説明したように、光電現象を用いて静電潜像を形成し、吸着した現像剤を紙に定着する印字機構を含むプリンタ100の内部の温度により、その装置階調特性が変化しても、出力画像の階調特性を狙い通りにしつつ、ガンマ補正曲線を記憶する記憶容量が増大することがないという優れた効果を奏する。
1.7 変形例(1)
実施の形態1の変形例としてのプリンタ100a(図示していない)について説明する。
【0072】
プリンタ100aは、プリンタ100と同様の構成を有している。ここでは、プリンタ100との相違点を中心として説明する。
(1)湿度センサ
プリンタ100aは、さらに、湿度センサ(図示していない)を備えている。湿度センサは、プリンタ100aの内部に設けられ、センサ制御部117に接続されている。湿度センサは、プリンタ100aの状態情報として、プリンタ100aの内部の絶対湿度を計測し、計測した絶対湿度をセンサ制御部117へ出力する。センサ制御部117は、温度センサ104及び湿度センサにより計測された温度及び絶対湿度を、プリンタ100aの状態情報として、補正量算出部123へ出力する。
【0073】
(2)補正量算出部123
補正量算出部123は、対応テーブル141に代えて、図16に示す対応テーブル141aを記憶している。
対応テーブル141aは、温度及び絶対湿度と補正量との対応関係を示している。対応テーブル141aは、図16に示すように、複数の補正データから構成されている。
【0074】
複数の補正データは、低温低湿の場合、通常環境の場合及び高温高湿の場合に分類されている。
低温低湿とは、温度については、10度Cであり、絶対湿度については、4.489g/m^3未満である場合である。また、通常環境とは、温度については、23度Cであり、絶対湿度については、4.489g/m^3以上、25.8g/m^3未満である場合である。さらに、高温高湿とは、温度については、30度Cであり、絶対湿度については、25.8g/m^3以上である場合である。
【0075】
それぞれの場合において、1個又は複数の補正データが対応しており、各補正データは、絶対湿度の範囲と補正量を含んでいる。
これらの温度及び絶対湿度は、それぞれ、プリンタ100aの内部の温度及び絶対湿度であり、補正量は、第1ガンマ補正曲線を補正する値である。
対応テーブル141aは、このテーブルに示す各温度及び絶対湿度の環境にプリンタ100aを設置し、このプリンタ100aにより印刷を行って得られた実測値により求められたものである。
【0076】
補正量算出部123は、温度センサ104及び湿度センサから、センサ制御部117を介して、状態情報としての温度及び絶対湿度を受け取り、対応テーブル141aを用いて、温度及び絶対湿度に対応する補正量S(t)を算出する。具体的には、補正量算出部123は、計測された温度が、低温低湿の場合、通常環境の場合及び高温高湿の場合のいずれの分類に属するかを判断する。属する分類が決定すると、次に、決定した分類において、計測された絶対湿度が、どの絶対湿度の範囲に含まれるかを判断する。計測された絶対湿度を含む範囲が決定すると、その範囲に対応する補正量を対応テーブル141aから読み出す。
【0077】
次に、補正量算出部123は、読み出した補正量S(t)を曲線生成部124へ出力する。
(3)まとめ
以上説明したように、プリンタ100の内部の温度及び絶対湿度により、その装置階調特性が変化しても、出力画像の階調特性を狙い通りにしつつ、ガンマ補正曲線を記憶する記憶容量が増大することがないという優れた効果を奏する。また、プリンタ100の内部の温度及び絶対湿度の変化に応じて、多階調入力画像の中間調の濃度の補正量を推定するので、ガンマ補正曲線の急激な変化が発生せず、切り換え前後の画像の急激な変化を防止することができる。
【0078】
1.8 変形例(2)
実施の形態1の変形例としてのプリンタ100b(図示していない)について説明する。
プリンタ100bは、プリンタ100と同様の構成を有している。ここでは、プリンタ100との相違点を中心として説明する。
【0079】
(1)累積印刷枚数記憶部及び印刷枚数読出部
プリンタ100bは、温度センサ104及びセンサ制御部117に代えて、累積印刷枚数記憶部(図示していない)及び印刷枚数読出部(図示していない)を備えている。累積印刷枚数記憶部は、プリンタ100bの電源が最後に投入された時点から、現時点までの間に、プリンタ100bにより、印刷された用紙の累積印刷枚数を累積して記憶している。印刷枚数読出部は、累積印刷枚数記憶部から累積印刷枚数を読み出し、読み出した累積印刷枚数をプリンタ100aの状態情報として、補正量算出部123へ出力する。
【0080】
(2)補正量算出部123
補正量算出部123は、対応テーブル141に代えて、図17に示す対応テーブル141bを記憶している。
対応テーブル141bは、累積印刷枚数と補正量との対応関係を示している。対応テーブル141bは、この図に示すように、複数の補正データから構成されている。各補正データは、累積印刷枚数の範囲及び補正量を含む。累積印刷枚数は、プリンタ100bの電源が投入された時点から、プリンタ100bにより、その日に、印刷された用紙の累積枚数であり、補正量は、第1ガンマ補正曲線を補正する値である。
【0081】
対応テーブル141bは、このプリンタ100bにより印刷を行って得られた実測値により求められたものである。
補正量算出部123は、印刷枚数読出部から、状態情報としての累積印刷枚数を取得し、取得した累積印刷枚数及び対応テーブル141bを用いて、累積印刷枚数に対応する補正量S(t)を算出する。具体的には、読み出した累積印刷枚数が対応テーブル141bのどの累積印刷枚数の範囲に含まれるかを判断する。累積印刷枚数の範囲が決定すると、その範囲に対応する補正量S(t)を対応テーブル141bから読み出す。
【0082】
次に、補正量算出部123は、読み出した補正量S(t)を曲線生成部124へ出力する。
(3)まとめ
以上説明したように、プリンタ100bの電源が最後に投入された時点から、現時点までの間に、プリンタ100bにより印刷された累積印字枚数により、その装置階調特性が変化しても、出力画像の階調特性を狙い通りにしつつ、ガンマ補正曲線を記憶する記憶容量が増大することがないという優れた効果を奏する。また、プリンタ100bによる累積印刷枚数に応じて、多階調入力画像の中間調の濃度の補正量を推定するので、ガンマ補正曲線の急激な変化が発生せず、切り換え前後の画像の急激な変化を防止することができる。
【0083】
1.9 変形例(3)
実施の形態1の変形例としてのプリンタ100c(図示していない)について説明する。
プリンタ100cは、図18に示すように、ディザを用いて画像処理を施す画像処理部128を備える画像形成装置である。プリンタ100cは、さらに、多階調入力画像の濃度と、前記画像処理手段により得られる多階調画像の濃度とが所望の関係となるように、多階調入力画像の濃度を補正するための第1ガンマ補正曲線を記憶している曲線記憶部121と、当該画像形成装置の状態を示す状態情報を取得する情報取得部122と、取得した状態情報に基づいて、前記第1ガンマ補正曲線に対する補正量を算出する補正量算出部123と、前記ディザに応じた重み値を取得する重み値取得部127と、前記重み値を乗じた補正量を用いて、前記第1ガンマ補正曲線を補正して第2ガンマ補正曲線を生成する曲線生成部124と、前記第2ガンマ補正曲線を用いて、前記多階調入力画像の濃度を補正して多階調補正画像を生成するガンマ補正部125とを備える。画像処理部128は、生成した前記多階調補正画像を基にして多階調出力画像を生成する。
【0084】
2.実施の形態2
本発明に係る別の実施の形態としての印刷システム210d(図示していない)について説明する。
2.1 印刷システム210d
印刷システム210dは、実施の形態1の印刷システム210と同様の構成を有しており、プリンタ100dとコンピュータ200とから構成され、プリンタ100dとコンピュータ200とは、相互に接続されている。実施の形態2のコンピュータ200は、実施の形態1のコンピュータ200と同一である。以下において、プリンタ100dについて、実施の形態1のプリンタ100との相違点を中心として説明する。
【0085】
プリンタ100dは、プリンタ100と同様の構成を有しており、図19に示すように、通信部116、温度センサ104、センサ制御部117、2値化部126、印刷制御部115、印刷部103d、画像補正部129d、ディザ選択部130、ディザ記憶部131及び色分解部132から構成されている。
通信部116は、コンピュータ200から多階調入力画像及び画像属性を受信し、受信した多階調入力画像を色分解部132へ出力し、受信した画像属性をディザ選択部130へ出力する。
【0086】
画像補正部129は、曲線記憶部121、補正量算出部123、Y処理部133、M処理部134、C処理部135及びK処理部136から構成されている。
補正量算出部123、Y処理部133、M処理部134、C処理部135、K処理部136、色分解部132及びディザ選択部130は、ROM、RAM及びプロセッサから構成され、ROMには、コンピュータプログラムが記憶されている。プロセッサがコンピュータプログラムに従って動作することにより、補正量算出部123、Y処理部133、M処理部134、C処理部135、K処理部136、色分解部132及びディザ選択部130は、その機能を達成する。
【0087】
(1)ディザ選択部130
ディザ選択部130は、選択したディザを識別するディザ識別子を、それぞれ、Y処理部133、M処理部134、C処理部135、K処理部136へ出力する。
(2)補正量算出部123
補正量算出部123は、算出した補正量S(t)を、それぞれ、Y処理部133、M処理部134、C処理部135及びK処理部136へ出力する。
【0088】
(3)色分解部132
色分解部132は、受信した多階調入力画像を印刷の基本色毎に色分解して、イエロー色用の多階調画像、マゼンタ色用の多階調画像、シアン色用の多階調画像及び黒色用の多階調画像を生成し、生成したイエロー色用の多階調画像、マゼンタ色用の多階調画像、シアン色用の多階調画像及び黒色用の多階調画像を、それぞれ、Y処理部133、M処理部134、C処理部135及びK処理部136へ出力する。
【0089】
(4)印刷部103d
印刷部103dは、図20に示すように、色毎に感光体ドラムを有する4組の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kと、無端状の中間転写ベルト21と、再給紙機構(ADU機構)を含む給紙搬送部(図示していない)と、トナー像を定着するための定着器22とを備えている。
【0090】
画像形成ユニット10Yは、感光体ドラム1Y、帯電器2Y、露光ユニット3Y、現像ユニット4Y及びクリーニング部8Yを有し、イエロー(Y)色の画像を形成する。
感光体ドラム1Yは、中間転写ベルト21の下側左部に近接して回転自在に設けられ、図示しない駆動機構によって、時計方向に回転される。感光体ドラム1Yの斜め右側下方に設けられた帯電器2Yは、感光体ドラム1Yの表面を所定の電位に帯電する。感光体ドラム1Yの左側下方に、複数のLEDを適宜の間隔で直線状に配列して構成された露光ユニット3Yは、事前に帯電された感光体ドラム1Yに対して、Y色用の画像データに基づき露光する。これにより、感光体ドラム1YにはY色用の静電潜像が形成される。露光ユニット3Yの左側上方に設けられた現像ユニット4Yが、感光体ドラム1Yに形成されたY色用の静電潜像を現像し、感光体ドラム1Yに形成されたY色のトナー像は、中間転写ベルト21に転写される(1次転写)。感光体ドラム1Yの右側に設けられたクリーニング部8Yは、前回の書込みで感光体ドラム1Yに残留したトナー剤を除去(クリーニング)する。
【0091】
画像形成ユニット10M〜10Kもまた画像形成ユニット10Yと同様の構成を備えている。
中間転写ベルト21は、1次転写ローラ7Y,7M,7C及び7Kによって転写されたトナー像を重合してカラートナー像(カラー画像)を形成する。中間転写ベルト21上に形成されたカラー画像は、2次転写ローラ7Aに向けて搬送される。2次転写ローラ7Aは中間転写ベルト21の右側に位置しており、中間転写ベルト21に形成されたカラートナー像を給紙部20から搬送されてきた用紙Pに一括して転写する(2次転写)。
【0092】
給紙部(図示していない)が、画像形成ユニット10M〜10Kの下方に設けられ、複数の給紙トレイ(図示していない)を有して構成される。各給紙トレイ内に収容された用紙Pは、各給紙トレイに設けられる送り出しローラ(図示していない)及び給紙ローラ(図示していない)により繰り出され、複数の搬送ローラ、複数のレジストローラ等を経て、2次転写ローラ7Aに搬送される。
【0093】
2次転写ローラ7Aの上方に設けられた定着器22は、カラー画像を転写された用紙Pを定着処理する。定着後の用紙Pは、排紙ローラ(図示していない)に挟持されて機外の排紙トレイ(図示していない)上に載置される。
(5)Y処理部133、M処理部134、C処理部135及びK処理部136
Y処理部133は、図21に示すように、重み値取得部127、曲線生成部124及びガンマ補正部125から構成されている。
【0094】
ガンマ補正部125は、色分解部132からイエロー色用の多階調画像を受け取り、曲線記憶部121から第2ガンマ補正曲線362を読み出し、受け取ったイエロー色用の多階調画像を、読み出した第2ガンマ補正曲線を用いて、補正して、イエロー色用の多階調補正画像を生成し、生成したイエロー色用の多階調補正画像を2値化部126へ出力する。
【0095】
M処理部134、C処理部135及びK処理部136は、それぞれ、Y処理部133と同一の構成を有している。M処理部134、C処理部135及びK処理部136は、それぞれ、マゼンタ色、シアン色及び黒色の処理を行う点においてのみ、Y処理部133と相違している。
Y処理部133、M処理部134、C処理部135及びK処理部136により、それぞれ生成されたイエロー色用の多階調補正画像、マゼンタ色用の多階調補正画像、シアン色用の多階調補正画像及び黒色用の多階調補正画像は、2値化部126へ出力される。
【0096】
(6)2値化部126
2値化部126は、Y処理部133のガンマ補正部125からイエロー色用の多階調補正画像を受け取り、ディザ選択部130からディザ識別子を受け取る。次に、受け取ったディザ識別子により、ディザ記憶部131に記憶されているディザテーブルを特定し、特定したディザテーブルを読み出し読み出したディザテーブルを用いて、受け取ったイエロー色用の多階調補正画像に2値化処理を施して、イエロー色の2値化画像を生成し、生成したイエロー色用の2値化画像を印刷制御部115へ出力する。
【0097】
2値化部126は、他の色用の多階調補正画像についても同様に、各色の2値化画像を生成し、印刷制御部115へ出力する。
こうして、イエロー色用の2値化画像、マゼンタ色用の2値化画像、シアン色用の2値化画像及び黒色用の2値化画像は、印刷制御部115を介して、それぞれ、印刷部103dの画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kへ出力される。
【0098】
(7)プリンタ100dの動作
プリンタ100dの動作について、図22に示すフローチャートを用いて説明する。
通信部116は、コンピュータ200から多階調入力画像及び画像属性を受信し、受信した多階調入力画像を色分解部132へ出力し、受信した画像属性をディザ選択部130へ出力する(ステップS201)。
【0099】
次に、ディザ選択部130は、受信した画像属性を用いて、ディザ記憶部131に記憶されている複数のディザの中から一つのディザを選択し、選択したディザを識別するディザ識別子を、それぞれ、Y処理部133、M処理部134、C処理部135及びK処理部136へ出力し(ステップS202)、温度センサ104は、状態情報として、プリンタ100の内部の温度を取得し、取得した温度を、センサ制御部117を介して、補正量算出部123へ出力する(ステップS203)。
【0100】
次に、補正量算出部123は、対応テーブル141から受け取った温度に対応する補正量S(t)を算出し、算出した補正量S(t)を、それぞれY処理部133、M処理部134、C処理部135及びK処理部136へ出力する(ステップS204)。
次に、色分解部132は、受信した多階調入力画像を印刷の基本色毎に色分解して、イエロー色用の多階調画像、マゼンタ色用の多階調画像、シアン色用の多階調画像及び黒色用の多階調画像を生成し、生成したイエロー色用の多階調画像、マゼンタ色用の多階調画像、シアン色用の多階調画像及び黒色用の多階調画像を、それぞれ、Y処理部133、M処理部134、C処理部135及びK処理部136へ出力する(ステップS205)。
【0101】
Y処理部133、M処理部134、C処理部135及びK処理部136は、それぞれ基本色毎の処理を行い(ステップS206、S208、S210、S212)、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kは、それぞれ、基本色毎の画像形成を行う(ステップS207、S209、S211、S213)。
中間転写ベルト21は、転写されたトナー像を重合してカラートナー像(カラー画像)を形成し(ステップS214)、定着器22は、カラー画像を転写された用紙に対して定着処理をする(ステップS215)。
【0102】
次に、Y処理部133の動作について、図23に示すフローチャートを用いて説明する。なお、M処理部134、C処理部135及びK処理部136の動作は、Y処理部133の動作と同様であるので、M処理部134、C処理部135及びK処理部136の動作についての説明を省略する。
重み値取得部127は、受け取ったディザ識別子により識別される重み値を選択する(ステップS251)。
【0103】
次に、画像補正部129は、階調i(i=0〜255)について、ステップS253〜S254を繰り返すように、重み値取得部127及び曲線生成部124を制御する(ステップS252〜S255)。
重み値取得部127は、選択した重み値のうち、濃度iに対応する重み値Y(i)を算出し、算出した重み値Y(i)を曲線生成部124へ出力する(ステップS253)。
【0104】
曲線生成部124は、曲線記憶部121に記憶されている第1ガンマ補正曲線と、受け取った補正量S(t)と、受け取った重み値Y(i)とを用いて、次式により、第2ガンマ補正曲線を算出し、算出した第2ガンマ補正曲線を曲線記憶部121へ書き込む。
第2ガンマ補正曲線の第2ガンマ補正値(i)
= 第1ガンマ補正曲線の第1ガンマ補正値(i)
+ 補正量S(t) × 重み値Y(i) (i=0〜255)
(ステップS254)。
【0105】
上記の繰返しが終了すると、ガンマ補正部125は、曲線記憶部121から第2ガンマ補正曲線を読み出し、受け取ったイエロー色用の多階調画像を、読み出した第2ガンマ補正曲線を用いて、補正して、イエロー色用の多階調補正画像を生成し、生成したイエロー色用の多階調補正画像を2値化部126へ出力し(ステップS256)、2値化部126は、イエロー色用の多階調補正画像を受け取り、受け取ったディザ識別子により、ディザ記憶部131に記憶されているディザテーブルを特定し、特定したディザテーブルを用いて、受け取ったイエロー色用の多階調補正画像に2値化処理を施して、イエロー色の2値化画像を生成し、生成したイエロー色用の2値化画像を印刷制御部115へ出力する(ステップS257)。
【0106】
(6)まとめ
以上説明したように、プリンタ100dが、複数の基本色毎に光電現象を用いて静電潜像を形成する印字機構及び定着する定着機を含むカラープリンタである場合においても、プリンタ100dの内部の温度により、その装置階調特性が変化しても、出力画像の階調特性を狙い通りにしつつ、ガンマ補正曲線を記憶する記憶容量が増大することがないという優れた効果を奏する。
【0107】
なお、上記に説明したように、図20には、水平方向のタンデム配置の中間転写方式の画像形成装置の一例を示しているが、本発明においては、この図の配置には限定されない。ロータリー配置型、直接転写方式など、他の方式の画像形成装置であってもよい。
2.2 変形例(1)
実施の形態2の変形例としてのプリンタ100e(図示していない)について説明する。
【0108】
プリンタ100eは、実施の形態2のプリンタ100dと同様の構成を有している。ここでは、プリンタ100dとの相違点を中心として説明する。
プリンタ100eは、プリンタ100dと同様の構成を有しており、図24に示すように、通信部116、画像補正部129e、2値化部126、印刷制御部115、印刷部103d、ディザ選択部130、ディザ記憶部131及び色分解部132から構成されている。画像補正部129eは、Y処理部133e、M処理部134e、C処理部135e及びK処理部136eから構成されている。
【0109】
通信部116、2値化部126、印刷制御部115、印刷部103d、色分解部132、ディザ選択部130及びディザ記憶部131は、それぞれ、プリンタ100dの通信部116、2値化部126、印刷制御部115、印刷部103d、色分解部132、ディザ選択部130及びディザ記憶部131と同一であるので、これらの説明は省略する。
Y処理部133eは、図25に示すように、温度センサ104、センサ制御部117、補正量算出部123、曲線記憶部121、重み値取得部127、曲線生成部124及びガンマ補正部125から構成されている。
【0110】
温度センサ104は、印刷部103dの画像形成ユニット10Yの温度を計測し、センサ制御部117を介して、計測した温度を補正量算出部123へ出力する。
補正量算出部123は、画像形成ユニット10Yの温度を受け取り、受け取った温度を用いて、補正量S(t)を算出する。
重み値取得部127は、受け取ったディザ識別子により識別される重み値を選択し、選択した重み値を用いて、濃度i(i=0〜255)に対応する重み値Y(i)を算出する。
【0111】
曲線生成部124は、第1ガンマ補正曲線361、補正量S(t)及び重み値Y(i)を用いて、次式により、第2ガンマ補正曲線362を算出する。
第2ガンマ補正曲線の第2ガンマ補正値(i)
= 第1ガンマ補正曲線の第1ガンマ補正値(i)
+ 補正量S(t) × 重み値Y(i)
ガンマ補正部125は、色分解部132からイエロー色用の多階調画像を受け取り、曲線記憶部121から第2ガンマ補正曲線362を読み出し、受け取ったイエロー色用の多階調画像を、読み出した第2ガンマ補正曲線を用いて、補正して、イエロー色用の多階調補正画像を生成し、生成したイエロー色用の多階調補正画像を2値化部126へ出力する。
【0112】
2値化部126は、ガンマ補正部125からイエロー色用の多階調補正画像を受け取り、ディザ選択部130からディザ識別子を受け取る。次に、受け取ったディザ識別子により、ディザ記憶部131に記憶されているディザテーブルを特定し、特定したディザテーブルを読み出し読み出したディザテーブルを用いて、受け取ったイエロー色用の多階調補正画像に2値化処理を施して、イエロー色の2値化画像を生成し、生成したイエロー色用の2値化画像を印刷制御部115へ出力する。
【0113】
M処理部134e、C処理部135e及びK処理部136eは、それぞれ、Y処理部133eと同様の構成を有している。
(2)プリンタ100eの動作
プリンタ100eの動作について、図26に示すフローチャートを用いて説明する。
通信部116は、コンピュータ200から多階調入力画像及び画像属性を受信し、受信した多階調入力画像を色分解部132へ出力し、受信した画像属性をディザ選択部130へ出力する(ステップS201)。次に、ディザ選択部130は、受信した画像属性を用いて、ディザ記憶部131に記憶されている複数のディザの中から一つのディザを選択し、選択したディザを識別するディザ識別子を、それぞれ、Y処理部133、M処理部134、C処理部135及びK処理部136へ出力する(ステップS202)。
【0114】
次に、色分解部132は、受信した多階調入力画像を印刷の基本色毎に色分解して、イエロー色用の多階調画像、マゼンタ色用の多階調画像、シアン色用の多階調画像及び黒色用の多階調画像を生成し、生成したイエロー色用の多階調画像、マゼンタ色用の多階調画像、シアン色用の多階調画像及び黒色用の多階調画像を、それぞれ、Y処理部133、M処理部134、C処理部135及びK処理部136へ出力する(ステップS205)。
【0115】
Y処理部133、M処理部134、C処理部135及びK処理部136は、それぞれ基本色毎の処理を行い(ステップS206、S208、S210、S212)、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kは、それぞれ、基本色毎の画像形成を行う(ステップS207、S209、S211、S213)。
中間転写ベルト21は、転写されたトナー像を重合してカラートナー像(カラー画像)を形成し(ステップS214)、定着器22は、カラー画像を転写された用紙に対して定着処理をする(ステップS215)。
【0116】
次に、Y処理部133の動作について、図27に示すフローチャートを用いて説明する。なお、M処理部134、C処理部135及びK処理部136の動作は、Y処理部133の動作と同様であるので、M処理部134、C処理部135及びK処理部136の動作についての説明を省略する。
温度センサ104は、状態情報として、画像形成ユニット10Yの温度を取得し、取得した温度を補正量算出部123へ出力する(ステップS250)。重み値取得部127は、受け取ったディザ識別子により識別される重み値を選択する(ステップS251)。次に、補正量算出部123は、対応テーブル141から受け取った温度に対応する補正量S
(t)を算出し、算出した補正量S(t)を、それぞれY処理部133、M処理部134、C処理部135及びK処理部136へ出力する(ステップS204)。
【0117】
次に、画像補正部129は、階調i(i=0〜255)について、ステップS253〜S254を繰り返すように、重み値取得部127及び曲線生成部124を制御する(ステップS252〜S255)。
重み値取得部127は、選択した重み値を用いて、階調iに対応する重み値Y(i)を算出し、算出した重み値Y(i)を曲線生成部124へ出力する(ステップS253)。
【0118】
曲線生成部124は、曲線記憶部121に記憶されている第1ガンマ補正曲線と、受け取った補正量S(t)と、受け取った重み値Y(i)とを用いて、次式により、第2ガンマ補正曲線を算出し、算出した第2ガンマ補正曲線を曲線記憶部121へ書き込む。
第2ガンマ補正曲線の第2ガンマ補正値(i)
= 第1ガンマ補正曲線の第1ガンマ補正値(i)
+ 補正量S(t) × 重み値Y(i) (ステップS254)。
【0119】
上記の繰返しが終了すると、ガンマ補正部125は、第2ガンマ補正曲線を曲線記憶部121から読み出し、受け取ったイエロー色用の多階調画像を、読み出した第2ガンマ補正曲線を用いて、補正して、イエロー色用の多階調補正画像を生成し、生成したイエロー色用の多階調補正画像を2値化部126へ出力し(ステップS256)、2値化部126は、イエロー色用の多階調補正画像を受け取り、受け取ったディザ識別子により、ディザ記憶部131に記憶されているディザテーブルを特定し、特定したディザテーブルを用いて、受け取ったイエロー色用の多階調補正画像に2値化処理を施して、イエロー色の2値化画像を生成し、生成したイエロー色用の2値化画像を印刷制御部115へ出力する(ステップS257)。
【0120】
(3)上記において、Y処理部133eは、曲線記憶部121を有するとしているが、これには限定されない。Y処理部133eではなく、画像補正部129eが曲線記憶部121を有するとしてもよい。M処理部134e、C処理部135e及びK処理部136eについても、同様である。
これにより、第1ガンマ補正曲線361を記憶する容量を少なくすることができる。
【0121】
(4)まとめ
以上説明したように、プリンタ100eが、複数の基本色毎に光電現象を用いて静電潜像を形成する印字機構及び現像剤を紙に定着する定着機を含み、基本色毎の印字機構の温度を計測するカラープリンタである場合においても、プリンタ100eの基本色毎の印字機構の温度により、各印字機構の装置階調特性が変化しても、出力画像の階調特性を狙い通りにしつつ、ガンマ補正曲線を記憶する記憶容量が増大することがないという優れた効果を奏する。
【0122】
3.まとめ
本発明は、ディザを用いて画像処理を施す画像処理手段を備える画像形成装置であって、多階調入力画像の濃度と、前記画像処理手段により得られる多階調画像の濃度とが所望の関係となるように、多階調入力画像の濃度を補正するための第1ガンマ補正曲線を記憶している記憶手段と、当該画像形成装置の状態を示す状態情報を取得する情報取得手段と、取得した状態情報に基づいて、前記第1ガンマ補正曲線に対する補正量を算出する補正量算出手段と、前記ディザに応じた重み値を取得する重み値取得手段と、前記重み値を乗じた前記補正量を用いて、前記第1ガンマ補正曲線を補正して第2ガンマ補正曲線を生成する曲線生成手段と、前記第2ガンマ補正曲線を用いて、前記多階調入力画像の濃度を補正して多階調補正画像を生成するガンマ補正手段とを備え、前記画像処理手段は、生成した多階調補正画像を基にして多階調出力画像を生成することを特徴とする。
【0123】
ここで、情報取得手段は、一例として、実施の形態1に記載の温度センサ104及びセンサ制御部117に相当し、画像処理手段は、一例として、実施の形態1に記載の2値化部126、印刷制御部115及び印刷部103に相当する。この構成によると、ガンマ補正曲線を記憶する記憶容量が増大することがないという優れた効果を奏する。
ここで、前記補正量算出手段は、状態情報と補正量との対応関係を記憶しており、前記対応関係を用いて、取得した前記状態情報に対応する前記補正量を算出してもよい。
【0124】
この構成によると、状態情報と補正量との対応関係から取得した状態情報に対応する前記補正量を算出するので、適切な補正量を取得することができる。
ここで、前記情報取得手段は、当該画像形成装置の温度を測定する温度センサを含み、温度を測定することにより、前記状態情報としての温度を取得し、前記補正量算出手段は、温度と補正量との前記対応関係を記憶しており、前記対応関係を用いて、測定した前記温度に対応する前記補正量を算出してもよい。
【0125】
この構成によると、温度と補正量との対応関係から計測した温度に対応する前記補正量を算出するので、適切な補正量を取得することができる。
ここで、前記補正量算出手段が記憶している前記対応関係は、温度が基準値より低い場合、補正量は正の値であり、温度が基準値に等しい場合、補正量は0であり、温度が基準値より高い場合、補正量は負の値であり、温度と基準値との差が増大するにつれて、補正量の絶対値が増大する関係であるとしてもよい。
【0126】
この構成によると、温度特性に依存した適切な補正量を取得することができる。
ここで、前記情報取得手段は、当該画像形成装置の温度を測定する温度センサ及び当該画像形成装置の内部の湿度を測定する湿度センサを含み、温度及び湿度を測定することにより、前記状態情報としての温度及び湿度を取得し、前記補正量算出手段は、温度及び湿度と補正量との前記対応関係を記憶しており、前記対応関係を用いて、測定した前記温度及び湿度に対応する前記補正量を算出してもよい。
【0127】
この構成によると、温度及び湿度と補正量との対応関係から計測した温度及び湿度に対応する前記補正量を算出するので、適切な補正量を取得することができる。
ここで、前記情報取得手段は、前記状態情報として、当該画像形成装置における累積印字枚数を取得し、前記補正量算出手段は、累積印字枚数と補正量との前記対応関係を記憶しており、前記対応関係を用いて、取得した前記累積印字枚数に対応する前記補正量を算出してもよい。
【0128】
この構成によると、累積印字枚数と補正量との対応関係から取得した累積印字枚数に対応する前記補正量を算出するので、適切な補正量を取得することができる。
ここで、前記重み値取得手段は、複数のディザのそれぞれについて、重み値を記憶しており、前記多階調入力画像に対して選択されたディザについての重み値を選択して取得してもよい。
【0129】
この構成によると、複数のディザについての重み値から、選択されたディザについての重み値を選択して取得するので、選択したディザを用いた場合において、取得した重み値を用いて、補正量を適切に補正することができる。
ここで、前記曲線生成手段は、算出された補正量に前記重み値を乗じて得た値を、前記第1ガンマ補正曲線に加算することにより、前記第2ガンマ補正曲線を生成してもよい。
【0130】
この構成によると、選択したディザを用いた場合において、適切な第2ガンマ補正曲線を生成することができる。
ここで、前記画像形成装置は、複数の基本色毎に、前記補正量算出手段、前記曲線生成手段及び前記ガンマ補正手段により、補正量の算出、新たなガンマ補正曲線の生成及び補正画像の生成を行うとしてもよい。
【0131】
この構成によると、カラープリンタの場合であっても、ガンマ補正曲線を記憶する記憶容量が増大することがないという優れた効果を奏する。
また、本発明は、ディザを用いて画像処理を施す画像処理手段、及び多階調入力画像の濃度と、前記画像処理手段により得られる多階調画像の濃度とが所望の関係となるように、多階調入力画像の濃度を補正するための第1ガンマ補正曲線を記憶している記憶手段を備える画像形成装置において用いられる制御方法であって、当該画像形成装置の状態を示す状態情報を取得する情報取得ステップと、取得した状態情報に基づいて、前記第1ガンマ補正曲線に対する補正量を算出する補正量算出ステップと、前記ディザに応じた重み値を取得する重み値取得ステップと、前記重み値を乗じた前記補正量を用いて、前記第1ガンマ補正曲線を補正して第2ガンマ補正曲線を生成する曲線生成ステップと、前記第2ガンマ補正曲線を用いて、前記多階調入力画像の濃度を補正して多階調補正画像を生成するガンマ補正ステップとを含み、前記画像処理手段は、生成した多階調補正画像を基にして多階調出力画像を生成することを特徴とする制御方法。
【0132】
4.その他の変形例
なお、本発明を上記の実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記の実施の形態に限定されないのはもちろんである。以下のような場合も本発明に含まれる。
(1)本発明は、複数の画像処理手段を持つ画像形成装置であって、装置のステータス変化を取得する手段を持ち、ステータス変化による画像の変化に対する補正量を算出する手段を持ち、その補正量を各画像処理方法が持つ固有の係数に応じて、画像処理方法ごとに変化させることを特徴とする。
【0133】
また、算出される補正量が濃度変化に対する補正であり、画像処理方法が持つ固有の係数が、階調ごとに補正量の重み付けを変更させることを特徴とする。
また、本発明に係る画像形成装置は、複数の画像処理手段を持つ画像形成装置であって、画像の濃度を変化させるような装置のステータス変化を取得する手段を持ち、ステータス変化によってガンマ補正曲線に対する補正量を算出し、その補正量を各画像処理方法が持つ固有の係数に応じて、画像処理方法ごと、濃度ごとに変化させることを特徴とする。
【0134】
取得するステータス情報の例としては、印字時の温度、湿度、印字枚数などがある。
ガンマ補正曲線が印字中のあるタイミングで更新されるような処理を持つ場合、それが更新された条件と印字時のステータスの変化分から補正量を算出しても良い。
画像処理方法が持つ固有の係数の実施例として、上記補正量に対する階調ごとの重み付け係数がある。補正量と重み付け係数を掛け合わせることで、ガンマ補正曲線への補正量が決定される。
【0135】
上記の画像形成装置により、複数のディザを持つような場合に、多大なメモリ容量を必要とせず、中間階調が変化した場合でも、それぞれに適正なガンマ補正処理を行うことが出来る。
また、ステータスの変化に応じて、適時補正処理が入るため、補正前後の画像の急激な変化を防止することが出来る。
【0136】
なお、濃度の変化は、装置環境の変化、印字による劣化などに起因するトナー帯電量の変化、感光体感度の変化により、発生すると考えられる。
(2)上記の各実施の形態及び変形例において、各印刷システムは、プリンタとコンピュータとから構成されている。しかし、本発明は、この構成に限定されない。プリンタに代えて、複写機、ファクシミリやこれらの複合機などを用いるとしてもよい。
【0137】
(3)実施の形態1の変形例(1)及び(2)を実施の形態2及びその各変形例に適用するとしてもよい。
(4)本発明は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよい。ここで、コンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
【0138】
また、本発明は、前記コンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD―ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu−ray Disc)、半導体メモリなど、に記録したものとしてもよい。
また、本発明は、マイクロプロセッサとメモリとを備えたコンピュータシステムであって、前記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、前記マイクロプロセッサは、前記コンピュータプログラムに従って動作するとしてもよい。
【0139】
(5)上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0140】
本発明は、プリンタ、複写機、ファクシミリやこれらの複合機などの画像形成装置において好適に用いることができ、ガンマ補正曲線を記憶する記憶容量を増大させることなく、画像形成装置の状態変化等に対応して、適切なガンマ補正曲線を用いることができる。
【符号の説明】
【0141】
100 プリンタ
103 印刷部
104 温度センサ
115 印刷制御部
116 通信部
117 センサ制御部
121 曲線記憶部
122 情報取得部
123 補正量算出部
124 曲線生成部
125 ガンマ補正部
126 2値化部
127 重み値取得部
128 画像処理部
129 画像補正部
130 ディザ選択部
131 ディザ記憶部
132 色分解部
133 Y処理部
134 M処理部
135 C処理部
136 K処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディザを用いて画像処理を施す画像処理手段を備える画像形成装置であって、
多階調入力画像の濃度と、前記画像処理手段により得られる多階調画像の濃度とが所望の関係となるように、多階調入力画像の濃度を補正するための第1ガンマ補正曲線を記憶している記憶手段と、
当該画像形成装置の状態を示す状態情報を取得する情報取得手段と、
取得した状態情報に基づいて、前記第1ガンマ補正曲線に対する補正量を算出する補正量算出手段と、
前記ディザに応じた重み値を取得する重み値取得手段と、
前記重み値を乗じた前記補正量を用いて、前記第1ガンマ補正曲線を補正して第2ガンマ補正曲線を生成する曲線生成手段と、
前記第2ガンマ補正曲線を用いて、前記多階調入力画像の濃度を補正して多階調補正画像を生成するガンマ補正手段とを備え、
前記画像処理手段は、生成した多階調補正画像を基にして多階調出力画像を生成する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記補正量算出手段は、状態情報と補正量との対応関係を記憶しており、前記対応関係を用いて、取得した前記状態情報に対応する前記補正量を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記情報取得手段は、当該画像形成装置の温度を測定する温度センサを含み、温度を測定することにより、前記状態情報としての温度を取得し、
前記補正量算出手段は、温度と補正量との前記対応関係を記憶しており、前記対応関係を用いて、測定した前記温度に対応する前記補正量を算出する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記補正量算出手段が記憶している前記対応関係は、温度が基準値より低い場合、補正量は正の値であり、温度が基準値に等しい場合、補正量は0であり、温度が基準値より高い場合、補正量は負の値であり、温度と基準値との差が増大するにつれて、補正量の絶対値が増大する関係である
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記情報取得手段は、当該画像形成装置の温度を測定する温度センサ及び当該画像形成装置の内部の湿度を測定する湿度センサを含み、温度及び湿度を測定することにより、前記状態情報としての温度及び湿度を取得し、
前記補正量算出手段は、温度及び湿度と補正量との前記対応関係を記憶しており、前記対応関係を用いて、測定した前記温度及び湿度に対応する前記補正量を算出する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記情報取得手段は、前記状態情報として、当該画像形成装置における累積印字枚数を取得し、
前記補正量算出手段は、累積印字枚数と補正量との前記対応関係を記憶しており、前記対応関係を用いて、取得した前記累積印字枚数に対応する前記補正量を算出する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記重み値取得手段は、複数のディザのそれぞれについて、重み値を記憶しており、前記多階調入力画像に対して選択されたディザについての重み値を選択して取得する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記曲線生成手段は、算出された補正量に前記重み値を乗じて得た値を、前記第1ガンマ補正曲線に加算することにより、前記第2ガンマ補正曲線を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記画像形成装置は、複数の基本色毎に、前記補正量算出手段、前記曲線生成手段及び前記ガンマ補正手段により、補正量の算出、新たなガンマ補正曲線の生成及び補正画像の生成を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
ディザを用いて画像処理を施す画像処理手段、及び多階調入力画像の濃度と、前記画像処理手段により得られる多階調画像の濃度とが所望の関係となるように、多階調入力画像の濃度を補正するための第1ガンマ補正曲線を記憶している記憶手段を備える画像形成装置において用いられる制御方法であって、
当該画像形成装置の状態を示す状態情報を取得する情報取得ステップと、
取得した状態情報に基づいて、前記第1ガンマ補正曲線に対する補正量を算出する補正量算出ステップと、
前記ディザに応じた重み値を取得する重み値取得ステップと、
前記重み値を乗じた前記補正量を用いて、前記第1ガンマ補正曲線を補正して第2ガンマ補正曲線を生成する曲線生成ステップと、
前記第2ガンマ補正曲線を用いて、前記多階調入力画像の濃度を補正して多階調補正画像を生成するガンマ補正ステップとを含み、
前記画像処理手段は、生成した多階調補正画像を基にして多階調出力画像を生成する
ことを特徴とする制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2012−15704(P2012−15704A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−148877(P2010−148877)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】