説明

画像形成装置

【課題】簡単な構成で感光体の水分を除去し、短時間で画像形成を可能とする画像形成装置を提供する。
【解決手段】感光体5は、回転可能であるとともに軸方向に移動可能であり、現像ローラー8aは、感光体5の表面に現像剤を供給するために軸方向に延びる現像剤供給領域Dを有し、帯電部4は、感光体5表面に接触し感光体を帯電させるために現像剤供給領域Dより軸方向に長く延びる帯電領域Cを有する。非画像形成時、帯電部4が帯電バイアス62の印加を停止し、現像ローラー8aが感光体5の表面に現像剤を供給し、感光体5が回転するとともに帯電領域Cと現像剤供給領域Dとの軸方向長さの差分Aより大きく移動する水分除去モードを実行可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機、プリンター、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式を用いた画像形成装置には、像担持体である感光体の表面を帯電させるために帯電部材が用いられている。帯電部材としては、感光体とコロナワイヤを非接触に配置し、コロナ放電により感光体の表面を帯電させるコロナ帯電方式と、帯電ローラー等の帯電部材を用いて感光体の表面に接触させる接触帯電方式とが知られている。
【0003】
接触帯電方式における帯電ローラーには、エピクロルヒドリンゴム等の導電性弾性材が広く用いられる。エピクロルヒドリンゴムは、吸水性が高いために、高湿環境下では、帯電ローラーに水分が吸着し、帯電ローラーの水分は、帯電ローラーに接触している感光体にも付着する。感光体に水分が付着すると抵抗が著しく低下するために、感光体を帯電させるために、帯電ローラーに帯電バイアスを印加すると、感光体が絶縁破壊されることがあり、その結果、出力画像には黒点等の画像不良が発生する。
【0004】
また、コロナ放電方式では、帯電部材による放電で生成された放電生成物が感光体の表面に付着しやすく、特に高湿環境下では、空気中の水分が放電生成物と反応しやすくなり、感光体表面の抵抗が低下する。このために、感光体の表面の電位が低下し、画像が不鮮明となるという問題があった。
【0005】
そこで、特許文献1では、感光体の内部に設けられるドラムヒーターと、感光体の表面温度を検知する温度センサーと、画像形成装置内の温度及び湿度を検知する環境センサーと、を備えて、環境センサーによって検知される温度及び湿度情報に基づいて水分量を算出し、算出した水分量の値が予め設定している設定値より大きい場合、温度センサーで検知する感光体の表面温度が所定温度に保持されるように、ドラムヒーターへの通電を制御している。これによって、感光体の表面に水分が吸着することを防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−316238号公報([0030]〜[0036]、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献では、感光体の表面を所定温度まで温度上昇させるために時間がかかって、画像形成を長時間待機させることになる。また、温度センサーと環境センサーとを感光体の近傍に配置するために、部品点数が多くなっており、配置のためのスペースが必要になり、コストが高くなるという不都合があった。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、簡単な構成で感光体の水分を除去し、短時間で画像形成を可能とする画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために第1の発明は、潜像を形成する感光体と、潜像を可視化像にするために前記感光体の表面に現像剤を供給する現像剤担持体と、帯電バイアスを印加することによって前記感光体を帯電させる帯電部と、を備えた画像形成装置において、前記感光体を回転させるとともに軸方向に往復移動させる駆動機構を有し、前記現像剤担持体は、前記感光体の表面に現像剤を供給するために軸方向に延びる所定幅の現像剤供給領域を有し、前記帯電部は、前記感光体表面に接触し感光体を帯電させるために前記現像剤供給領域より軸方向に長く延びる帯電領域を有し、非画像形成時、前記帯電部による前記帯電バイアスの印加を停止し、前記現像剤担持体により前記感光体の表面の前記現像剤供給領域に対向する領域に現像剤を供給し、前記駆動機構により前記感光体を回転させるとともに前記帯電領域と前記現像剤供給領域との軸方向長さの差分より大きく移動させる水分除去モードを実行可能としたことを特徴としている。
【0010】
また、第2の発明では、上記の画像形成装置において、前記駆動機構は、前記水分除去モードの実行時のみ前記感光体を軸方向に往復移動させることを特徴としている。
【0011】
また、第3の発明では、上記の画像形成装置において、前記駆動機構は、前記感光体を回転可能で且つ軸方向に往復移動可能に支持する支持軸と、前記感光体に固定され駆動ギアと噛み合うギア部材と、該ギア部材と隣接して前記支持軸に固定若しくは回転可能に支持されるカム部材と、前記ギア部材と前記カム部材の対向する側面のうち一方の側面に設けられ円周方向において軸方向距離が連続して変化する環状のカム面と、他方の側面に設けられ前記カム面に当接するカムフォロアと、前記カム面とカムフォロアとが当接する方向に前記感光体を付勢する付勢部材と、前記カム部材を前記支持軸に対し固定された状態と回転可能な状態とに切り替える切り替え部材と、を有することを特徴としている。
【0012】
また、第4の発明では、上記の画像形成装置において、前記感光体は、有機感光体からなる感光層を有することを特徴としている。
【0013】
また、第5の発明では、上記の画像形成装置において、前記感光体は、アモルファスシリコンからなる感光層を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
第1の発明によれば、水分除去モードでは、感光体を回転させるとともに帯電領域と現像剤供給領域との軸方向長さの差分より大きく移動させることで、帯電部の帯電領域に対応する感光体の表面の帯電領域全般に亘って、現像剤が現像剤担持体から供給される。感光体表面に付着している水分はこの現像剤によって吸着され、水分を吸着した現像剤は、例えば、感光体の表面をクリーニングするクリーニング部材によって回収され、感光体の表面から水分が除去される。このように、簡単な構成で、感光体を回転させるだけの短い時間で感光体の水分を除去することができ、画像形成が可能な状態に迅速に切り替え可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す側面断面図
【図2】実施形態に係る画像形成部を示す平面図
【図3】実施形態に係る感光体の駆動機構を示す斜視図
【図4】実施形態に係る画像形成部の感光体を軸方向に移動させた状態を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は、この実施形態に限定されない。また発明の用途やここで示す用語等はこれに限定されるものではない。
【0017】
図1は、胴内排紙方式の画像形成装置を示す側面断面図である。画像形成装置100の下部には、カセットタイプの用紙給紙部10が配設されている。用紙給紙部10は上下2段の給紙カセット10a、10bを有し、給紙カセット10a、10bには印刷前の用紙が積載して収容されている。給紙カセット10a、10bに収容された用紙は、選択された給紙カセット10a(10b)から用紙ピックアップローラー10d(10e)により1枚ずつ繰り出され、繰り出された用紙は用紙搬送路11へと送り出される。
【0018】
画像形成装置100の右側面には、手差しトレー10cが配設されている。手差しトレー10cは、給紙カセット10a、10bと異なるサイズの用紙が載置可能である。手差しトレー10cに載置された用紙は用紙搬送路11へと送り出される。
【0019】
用紙搬送路11は用紙給紙部10の左方に配置されている。用紙給紙部10から送り出された用紙が、用紙搬送路11上方のレジストローラー12に搬送される。レジストローラー12は、用紙にトナー像を転写するタイミングと同期をとって、画像形成部3に向けて用紙を送り出す。
【0020】
画像形成装置100の上部には原稿読取装置6が配設され、原稿読取装置6の上面には、プラテン(原稿押さえ)24が開閉可能に設けられ、さらに、プラテン24上には原稿搬送装置27が付設されている。原稿のコピーを行う場合、原稿搬送装置27に載置された原稿が1枚ずつ分離されて原稿読取部に送り出され、原稿読取装置6によって原稿の画像データが読み取られる。
【0021】
画像形成装置100の略中央部には、画像形成部3が配設されている。画像形成部3は、像担持体である感光体5を備え、更に、感光体5の周辺にその回転方向(図中のA方向)に沿って順に、帯電部4と、露光ユニット7と、現像部8と、転写ローラー13、及びクリーニング部18を備える。現像部8へのトナーの供給はトナーコンテナ9から行われる。クリーニング部18は、ブレードやブラシ或いは研磨ローラー等のクリーニング部材を有し、クリーニング部材によって感光体5の表面に残留するトナーを剥ぎ取り、回収する。
【0022】
感光体5の表面が帯電部4によって所定の極性および電位で一様に帯電されると、 露光ユニット7は、原稿読取装置6によって読み取られた原稿の画像データに基づいて、感光体5上に原稿画像の静電潜像を形成する。
【0023】
現像部8は、帯電したトナーを感光体5の表面に供給し、感光体5上の静電潜像を現像してトナー像を形成する。トナー像は転写ローラー13によって用紙上に転写される。トナー像が転写された用紙は、定着部14へと搬送される。用紙にトナー像が転写された後、感光体5の表面に残留するトナーがクリーニング部18によってクリーニングされて回収され、さらに図示しない除電装置によって感光体5の表面の残留電荷が除去される。
【0024】
定着部14は、熱源を内蔵する定着ローラー14aと加圧ローラー14bとを有し、トナー像を転写された用紙を定着ローラー14a及び加圧ローラー14bによって加圧加熱し、用紙上のトナー像を溶融定着させる。トナー像が定着された用紙は、排出ローラー20aによって胴内排紙部17aに排出される。
【0025】
トナー像が定着された用紙は、必要に応じて、経路切り替えガイド21によって搬送方向を切り替えられ、排出ローラー20bによってスタックトレー17b上に排出される。また、両面印刷を行う場合には、胴内排紙部17aに排出させる途中において、用紙の後端が切り替えガイド21を通過したタイミングで排出ローラー20aを逆回転させて、経路切り替えガイド21、22を用紙搬送路16側に切り替える。これによって、用紙は、用紙搬送路16を通って、用紙搬送路11からレジストローラー12に搬送される。その後、画像形成部3で用紙の裏面にもトナー像が転写されると、用紙は定着部14によって再度定着され排出される。
【0026】
図2は、上記画像形成装置100に設けられる画像形成部3を示す平面図である。画像形成部3は、帯電部4と、現像部8と、感光体5と、感光体5を回転及び往復移動させる駆動機構と、を備える。
【0027】
帯電部4は、表面がエピクロルヒドリンゴム等の導電性弾性材からなる帯電ローラー4aを備える。帯電ローラー4aは、回転可能に装置本体(図略)に支持され、また、軸方向に対して幅Cの範囲(帯電領域)で感光体5の表面に接触している。感光体5の回転駆動によって帯電ローラー4aが従動回転し、帯電バイアス62を帯電ローラー4aに印加すると、帯電領域Cに対応する感光体5の全周が均一に帯電する。
【0028】
現像部8は、現像剤担持体である現像ローラー8aと、図示しない撹拌スクリュー等を備える。撹拌スクリューは現像剤を撹拌して帯電させ、撹拌した現像剤を現像ローラー8aに供給する。
【0029】
現像ローラー8aはローラー軸8bを介して回転可能に支持され、ローラー軸8bの両端部には、一対のギャップコロ41が取り付けられる。一対のギャップコロ41が感光体5の両端部に当接して設けられることで、現像ローラー8aは、感光体5の表面に接近して対向し、この対向位置において、軸方向に対して幅Dの範囲(現像剤供給領域)で、感光体5の表面に現像剤を供給する。帯電領域Cは、現像剤供給領域Dより軸方向に長く延びて設けられる。尚、一対のギャップコロ41は後述する感光層5a以外の感光体5の表面に当接している。
【0030】
現像ローラー8aには、直流電圧に交流電圧を重畳した現像バイアス61を印加することが可能である。現像バイアス61が現像ローラー8aに印加されると、現像ローラー8aから現像剤供給領域Dに対応する範囲で感光体5の表面に現像剤が供給される。
【0031】
感光体5は、アルミニウム素管などからなる円筒状の金属基体の表面を感光層5aで被覆したものである。感光層5aは、アモルファスシリコンからなり、帯電領域Cに対応する領域で帯電し、また現像剤供給領域Dに対応する領域で現像剤が付着することが可能である。尚、感光層5aは有機感光層であってもよい。
【0032】
ここで、帯電ローラー4aは、吸水性が高いエピクロルヒドリンゴムを用いているので、高湿環境下では、帯電ローラー4aに水分が吸着し、帯電ローラー4aの水分は、帯電ローラー4aに接触している感光層5aにも付着する。感光層5aに水分が付着すると感光層5aの抵抗が著しく低下するために、感光層5aを帯電させるために、帯電ローラー4aに帯電バイアス62を印加すると、感光層5aが絶縁破壊されることがあり、その結果、出力画像には黒点等の画像不良が発生する。
【0033】
また、感光層5aに供給された現像剤が感光体5の外部に飛散することを抑えるために、感光層5aが帯電領域Cより長い軸方向幅を有するように形成され、さらに、前述のように帯電領域Cが現像剤供給領域Dより軸方向に長く形成されている。
【0034】
このような画像形成部3の構成において、感光体5及び帯電ローラー4aの水分を除去するために、非画像形成時に、感光体5の表面に現像剤を供給し、感光体5を回転させるとともに軸方向に往復移動させる水分除去モードを実行可能としている。次に、感光体5を回転及び往復移動させる駆動機構と水分除去モードについて詳しく説明する。
【0035】
感光体5を回転及び往復移動させる駆動機構は、ギア部材51と、カム部材53と、駆動ギア55と、付勢部材57とを有する。
【0036】
感光体5は、装置本体に固着される支持軸5bに軸方向移動可能で且つ回転可能に嵌合している。感光体5の右側には、ギア部材51が感光体5に一体に取り付けられる。
【0037】
ギア部材51はギア部51aとカムフォロア51bを有する。ギア部51aは、ギア部材51の外周面に形成される平歯車である。カムフォロア51bは、ギア部材51の右側面から突出する突起であり、後述するカム面53bに当接する。
【0038】
カム部材53は、支持軸5bに一体に取り付けられ、カム面53bを有する。カム面53bは、ギア部材51のカムフォロア51bに対向するようにカム部材53の左側面に形成され、円周方向において軸方向距離が異なる(変位する)ように形成される。
【0039】
付勢部材57は、感光体5の側面を右方向に押圧するコイルスプリングからなり、環状のカムフォロア51bがカム面53bに当接する方向に付勢する。
【0040】
カム面53bとカムフォロア51bは、図3に示すように構成される。図3はカム面53bとカムフォロア51bを示す斜視図である。カム面53bは、カム部材53の左側面の周方向に180°離間して二つ形成される。各カム面53bは、カム面53bの周方向の単位角に対して常に所定量の軸方向距離が変わる(変位する)ように形成される。ギア部材51にはカム部材53のカム面53bに対向してカムフォロア51bが周方向に180°離間して二つ形成される。そして、カムフォロア51bとカム面53bとの当接位置に応じて、カムフォロア51bが軸方向に変位し、ギア部材51を取り付けた感光体5が一体に移動する。このように移動するときに、カム面53bとカムフォロア51bとを夫々二つ設けると、カムフォロア51bがカム面53bに安定して当接することになる。尚、カム面53bとカムフォロア51bとを夫々三つ以上設けるようにしてもよい。また、ギア部材51にカム面を形成し、カム部材53にカムフォロアを設けるようにしてもよい。
【0041】
図2に戻り、感光体5は、上記の構成により帯電領域Cと現像剤供給領域Dとの差分Aより大きく軸方向に往復移動することが可能となる。
【0042】
駆動ギア55は、装置本体(図略)に回転可能に支持され、ギア部材51のギア部51aに噛合する平歯車からなる。図示しないモーター等の駆動源によって駆動ギア55が回転駆動すると、駆動ギア55に噛合するギア部51aが回転し、ギア部材51が回転するとともに感光体5が回転する。ギア部材51の回転にともなって、カムフォロア51bのカム面53bに対する当接位置が変わり、その当接位置に応じて、付勢部材57の付勢力に抗して感光体5が回転しながら軸方向に移動し、図4に示す状態に至る。図4は、差分Aに対応する感光層5a上の領域(図3、4のクロスハッチング部)が現像ローラー8aの現像剤供給領域Dに対向した状態を示す平面図である。
【0043】
さらに駆動ギア55が回転駆動すると、感光体5は、図4の状態から右側に移動し図2の状態に戻る。このように感光体5が回転するとともに軸方向に往復移動するので、帯電領域Cが現像剤供給領域Dより軸方向に長く形成されていても、帯電領域Cに対応する、差分Aの対応領域(図4のクロスハッチング部)を含んだ感光層5aの帯電領域Cの全般に亘って、現像ローラー8aから現像剤を供給することが可能となる。
【0044】
画像形成装置100の電源投入、またはスリープモードから復帰した非画像形成時に、帯電ローラー4aに帯電バイアス62を印加することを停止する一方、現像ローラー8aが現像剤を担持した状態で、現像ローラー8aを回転させ、現像バイアス61を印加すると、現像ローラー8aから現像剤供給領域Dに対応する範囲で感光体5の感光層5aに現像剤が供給される。感光体5の駆動機構によって、感光体5が回転及び軸方向に往復移動することで、差分Aに対応する領域にも現像剤が供給され、帯電領域Cに対応する感光層5aの領域に現像剤が付着する。感光層5aに付着している水分はこの現像剤によって吸着される。また、帯電ローラー4aは、感光体5の回転に対して従動回転し、感光層5aに接触することで、帯電ローラー4aの水分はこの現像剤によって吸着される。水分を吸着した現像剤は、クリーニング部18によって剥ぎ取られ回収される。
【0045】
上述したような水分除去モードを、電源投入時またはスリープモードからの復帰時に、装置内部または外部の温湿度条件に応じて実行することで、感光体5、及び帯電ローラー4aに付着した水分を短時間で完全に除去することができ、感光層5a表面のリークに起因する黒点や黒筋の発生、像流れ等を効果的に防止することができる。
【0046】
上記実施形態によれば、感光体5は、回転可能であるとともに軸方向に移動可能であり、現像ローラー8aは、感光体5の表面に現像剤を供給するために軸方向に延びる現像剤供給領域Dを有し、帯電部4は、感光体5表面に接触し感光体5を帯電させるために現像剤供給領域Dより軸方向に長く延びる帯電領域Cを有する。非画像形成時、帯電部4が帯電バイアス62の印加を停止し、現像ローラー8aが感光体5の表面に現像剤を供給し、感光体5が回転するとともに帯電領域Cと現像剤供給領域Dとの軸方向長さの差分Aより大きく移動する水分除去モードを実行可能である。
【0047】
この構成によると、水分除去モードの実行時、感光体5を回転させるとともに帯電領域Cと現像剤供給領域Dとの軸方向長さの差分Aより大きく移動させることで、帯電領域Cに対応する感光体5の表面の帯電領域の全般に亘って、現像剤が現像ローラー8aから供給される。感光体5の表面に付着している水分はこの現像剤によって吸着され、水分を吸着した現像剤は、感光体5の表面をクリーニングするクリーニング部18によって回収され、感光体5の表面から水分が除去される。このように、簡単な構成で、感光体5を回転させるだけの短い時間で感光体5の水分を除去することができ、画像形成が可能な状態に迅速に切り替え可能となる。
【0048】
また、上記実施形態によれば、帯電部4は、感光体5の表面に接触する帯電ローラー4aを備える。
【0049】
この構成によると、帯電ローラー4aは、感光体5の回転に対して従動回転し、感光体5の表面に接触することで、帯電ローラー4aの水分は感光体5の表面に付着した現像剤によって吸着される。水分を吸着した現像剤は、クリーニング部18によって回収され、感光体5の表面とともに帯電ローラー4aから水分が除去される。
【0050】
また、上記実施形態によれば、感光体5は、有機感光体からなる感光層5aを有する。
【0051】
有機感光体からなる感光層5aに付着している水分は現像剤によって吸着され、水分を吸着した現像剤は、クリーニング部18によって回収され、感光層5aから水分が除去される。
【0052】
また、上記実施形態によれば、感光体5は、アモルファスシリコンからなる感光層5aを有する。
【0053】
アモルファスシリコンからなる感光層5aは水分を吸着しやすい構造を有するが、感光層5aに付着している水分は現像剤によって吸着され、水分を吸着した現像剤は、クリーニング部18によって回収され、感光層5aから水分が除去される。
【0054】
尚、上記実施形態では、カム部材53が支持軸5bに一体に取り付けられる構成を示したが、本発明はこれに限らず、カム部材53を支持軸5bに対して固定または回転可能であるように、カム部材53と支持軸5bとの間に切り替え部材を設けて、切り替え部材を切り替えることによって、水分除去モード時、カム部材53を支持軸5bに固定し、画像形成時に支持軸5bに対して回転する構成にしてもよい。この構成によれば、水分除去モード時には、上記実施形態のように、駆動ギア55が回転するとギア部材51とともに感光体5が回転及び軸方向に往復移動する。一方、画像形成時には、ギア部材51が付勢部材57の付勢力によってカム部材53に当接しているために、駆動ギア55が回転すると、ギア部材51とカム部材53とが一体となって回転し、ギア部材51及び感光体5が軸方向に移動することがない。従って、水分除去モード時、水分除去のために感光体5を比較的に大きく往復移動させても、画像形成時には、感光体5は軸方向に移動しないので画像を劣化させることはない。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機、プリンター、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0056】
4 帯電部
4a 帯電ローラー(帯電部材)
5 感光体
5a 感光層
8 現像部
8a 現像ローラー(現像剤担持体)
51 ギア部材
51a ギア部
51b カムフォロア
53 カム部材
53b カム面
55 駆動ギア
57 付勢部材
61 現像バイアス
62 帯電バイアス
100 画像形成装置
C 帯電領域
D 現像剤供給領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像を形成する感光体と、潜像を可視化像にするために前記感光体の表面に現像剤を供給する現像剤担持体と、帯電バイアスを印加することによって前記感光体を帯電させる帯電部と、を備えた画像形成装置において、
前記感光体を回転させるとともに軸方向に往復移動させる駆動機構を有し、
前記現像剤担持体は、前記感光体の表面に現像剤を供給するために軸方向に延びる所定幅の現像剤供給領域を有し、
前記帯電部は、前記感光体表面に接触し感光体を帯電させるために前記現像剤供給領域より軸方向に長く延びる帯電領域を有し、
非画像形成時、前記帯電部による前記帯電バイアスの印加を停止し、前記現像剤担持体により前記感光体の表面の前記現像剤供給領域に対向する領域に現像剤を供給し、前記駆動機構により前記感光体を回転させるとともに前記帯電領域と前記現像剤供給領域との軸方向長さの差分より大きく移動させる水分除去モードを実行可能としたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記駆動機構は、前記水分除去モードの実行時のみ前記感光体を軸方向に往復移動させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記駆動機構は、前記感光体を回転可能で且つ軸方向に往復移動可能に支持する支持軸と、前記感光体に固定され駆動ギアと噛み合うギア部材と、該ギア部材と隣接して前記支持軸に固定若しくは回転可能に支持されるカム部材と、前記ギア部材と前記カム部材の対向する側面のうち一方の側面に設けられ円周方向において軸方向距離が連続して変化する環状のカム面と、他方の側面に設けられ前記カム面に当接するカムフォロアと、前記カム面とカムフォロアとが当接する方向に前記感光体を付勢する付勢部材と、前記カム部材を前記支持軸に対し固定された状態と回転可能な状態とに切り替える切り替え部材と、を有することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記感光体は、有機感光体からなる感光層を有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記感光体は、アモルファスシリコンからなる感光層を有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−168479(P2012−168479A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31496(P2011−31496)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】