説明

画像形成装置

【課題】キャリアへの過剰な電荷注入を低減すること。
【解決手段】像保持体(PRy)と、帯電装置(CRy)と、潜像形成装置(ROS)と、現像容器(V)と現像剤保持体(R0)とを有し潜像を可視像に現像する現像装置(Gy)と、像保持体(PRy)と現像剤保持体(R0)との間に電位差(V2−V3)を生じさせて、現像領域(Q2y)に、トナーが潜像に向かう電界を形成する電圧印加手段(E2)と、像保持体(PRy)の可視像を媒体(S)に転写する転写装置(T1y〜T1k+T2+B)と、凸部(12)と凹部(13)とを有する凹凸部(11)が外表面に設けられ、凸部(12)に対応する部分の体積抵抗率が凹部(13)に対応する部分の体積抵抗率に比べて大きく設定された前記現像剤保持体(R0)と、を備えた画像形成装置(U)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
像保持体の表面に形成された潜像を、現像剤で現像する現像装置に関して、以下の特許文献1〜3に記載の技術が知られている。
【0003】
特許文献1としての特開2005−173141号公報には、現像容器(V)に固定された磁石ロール(6)の周りを回転して、現像容器(V)内の現像剤を像担持体(PRy)に搬送する円筒状の現像スリーブ(7)が記載されている。特許文献1では、現像スリーブ(7)をアルミニウム製のスリーブ本体(7a)により構成し、前記スリーブ本体(7a)の外周面に対して、サンドブラスト加工により凹凸(7b)を形成すると共に、テトラヘデラル アモルファス カーボンの薄膜で被覆している。これにより、スリーブ本体(7a)上に、前記凹凸(7b)に応じた現像剤搬送用凹凸(7d)を有し且つ導電性と耐磨耗性とを有するコーティング層(7c)を形成し、現像スリーブ(7)の耐磨耗性を確保しつつ、現像剤の搬送性を確保している。
【0004】
特許文献2としての特開2010−2927号公報には、ゴム製の供給ローラ(43)から供給されたトナーを、感光体(2)に搬送する金属製の現像ローラ(44)が記載されている。特許文献2に記載の現像ローラ(44)の表面には、回転軸方向に対して斜めに溝が交差して、いわゆる、アヤ目状に形成された凹部(442)と、前記凹部(442)に囲まれた凸部(441)とが設けられている。特許文献2に記載の技術では、規制ブレード(46)を凸部(441)上にのみ接触させてトナーの層厚を規制することにより、凹部(442)に収容されたトナーについて劣化を低減している。また、特許文献2の現像ローラ(44)では、規制ブレード(46)の通過後に、静電力や気流により、トナーが凹部(442)から凸部(441)上に移動して、現像ローラ(44)表面にトナーによる絶縁性の層が形成されて、現像ローラ(44)の凸部(441)と感光体(2)との間の放電が低減される。
【0005】
特許文献3としての特開2010−197948号公報には、二成分現像剤を保持して回転する磁気ローラ(22)と、前記磁気ローラ(22)に対向して配置され、前記磁気ローラ(22)から二成分現像剤のうちのトナーが供給されて、感光体(1a)にトナーを搬送する現像ローラ(23)とを有する現像装置(3a)が記載されている。特許文献3の現像装置(3a)では、磁気ローラ(22)の回転スリーブ(22a)外周面上に回転軸方向に延びる多数の溝を形成して、磁気ローラ(22)から現像ローラ(23)にトナーを供給する際に、現像剤が回転スリーブ(22a)上を回転方向に滑ることを低減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−173141号公報(「0012」、「0052」〜「0053」)
【特許文献2】特開2010−2927号公報(「0062」、「0063」、「0067」)
【特許文献3】特開2010−197948号公報(「0060」、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、キャリアへの過剰な電荷注入を低減することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記技術的課題を解決するために、請求項1に記載の発明の画像形成装置は、
回転する像保持体と、
前記像保持体の外表面を帯電させる帯電装置と、
帯電された前記像保持体の外表面に潜像を形成する潜像形成装置と、
トナーとキャリアとを含む現像剤が収容された現像容器と、前記現像容器に収容された現像剤を外表面に保持して回転し且つ前記像保持体と対向する現像領域に向けて前記現像剤を搬送する現像剤保持体と、を有し、前記像保持体の潜像を可視像に現像する現像装置と、
前記現像剤保持体に電圧を印加する電圧印加手段であって、前記像保持体と前記現像剤保持体との間に電位差を生じさせて、前記現像領域に、トナーが前記現像剤保持体から前記像保持体の潜像に向かう電界を形成する前記電圧印加手段と、
前記像保持体の可視像を媒体に転写する転写装置と、
凸部と凹部とを有する凹凸部が外表面に設けられ、前記凸部に対応する部分の体積抵抗率が前記凹部に対応する部分の体積抵抗率に比べて大きく設定された前記現像剤保持体と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、
絶縁体で構成された絶縁層を有する前記凸部、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
現像剤が収容可能な前記凹部、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、凸部に対応する部分の体積抵抗率が凹部に対応する部分の体積抵抗率に比べて大きく設定されていない場合に比べて、キャリアへの過剰な電荷注入を低減することができる。
請求項2に記載の発明によれば、凸部に絶縁層が設けられていない場合に比べて、凸部の電荷の移動を低減することができる。
請求項3に記載の発明によれば、凹部に現像剤を収容して搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は本発明の実施例1の画像形成装置の正断面図である。
【図2】図2は本発明の実施例1の画像形成装置の要部拡大図である。
【図3】図3は本発明の実施例1の現像装置の説明図である。
【図4】図4は本発明の実施例1の現像装置の正断面説明図であり、図3のIV−IV線断面図である。
【図5】図5は本発明の実施例1の現像スリーブの説明図であり、図5Aは現像スリーブの外表面の要部説明図、図5Bは現像スリーブの要部断面図である。
【図6】図6は像保持体と現像ロールとの説明図であり、図3の要部拡大図である。
【図7】図7は実施例1の帯電ロールに接続された電源回路と現像ロールに接続された電源回路と1次転写ロールに接続された電源回路との説明図である。
【図8】図8は本発明の実施例1の作用説明図であり、現像領域の拡大図である。
【図9】図9は本発明の実施例2の現像スリーブの要部断面図であり、実施例1の図5Bに対応する図である。
【図10】図10は本発明の実施例3の現像スリーブの要部断面図であり、実施例1の図5Bに対応する図である。
【図11】図11は本発明の実施例4の現像スリーブの外表面の要部説明図であり、実施例1の図5Aに対応する図である。
【図12】図12は本発明の実施例5の現像スリーブの要部断面図であり、実施例1の図5Bに対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(以下、実施例と記載する)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0014】
図1は本発明の実施例1の画像形成装置の正断面図である。
図1において、本発明の実施例1の画像形成装置の一例としての複写機Uは、自動原稿搬送装置U1と、これを支持し且つ上端に透明な原稿台PGを有する画像形成装置本体U2とを備えている。
前記自動原稿搬送装置U1は、複写しようとする複数の原稿Giが重ねて載置される原稿給紙部TG1と、原稿給紙部TG1から前記原稿台PG上の原稿読取位置を通過して搬送される原稿Giが排出される原稿排紙部TG2とを有している。
前記画像形成装置本体U2は、利用者が複写開始等の作動指令信号を入力操作する操作部UIと、露光光学系A等を有している。
【0015】
前記自動原稿搬送装置U2で原稿台PG上を搬送される原稿または手動で原稿台PG上に置かれた原稿からの反射光は、前記露光光学系Aを介して、固体撮像素子CCDで赤R、緑G、青Bの電気信号に変換される。
画像変換部IPSは、固体撮像素子CCDから入力される前記RGBの電気信号を黒K、イエローY、マゼンタM、シアンCの画像情報に変換して一時的に記憶し、前記画像情報を予め設定された時期に潜像形成用の画像情報として潜像形成装置駆動回路DLに出力する。
なお、原稿画像が単色画像、いわゆるモノクロの場合は、黒Kのみの画像情報が潜像形成装置駆動回路DLに入力される。
前記潜像形成装置駆動回路DLは、各色Y,M,C,Kの図示しない各潜像形成装置駆動回路を有し、入力された画像情報に応じた潜像形成装置駆動信号を予め設定されたの時期に、潜像形成装置ROSの各色の図示しない潜像書込光照射部に出力する。
【0016】
図2は本発明の実施例1の画像形成装置の要部拡大図である。
前記潜像形成装置ROSの上方に配置された可視像形成装置Uy,Um,Uc,Ukはそれぞれ、イエローY、マゼンタM、シアンC、および黒Kの各色の可視像の一例としてのトナー像を形成する装置である。
潜像形成装置ROSの図示しない各潜像形成光照射部からは、潜像書込光の一例として、Y,M,C,KのレーザビームLy,Lm,Lc,Lkが照射される。前記レーザビームLy,Lm,Lc,Lkは、それぞれ、回転する像保持体PRy,PRm,PRc,PRkに入射する。
前記Y色の可視像形成装置Uyは、像保持体PRy、帯電装置の一例としての帯電ロールCRy、現像装置Gy、一次転写器の一例としての1次転写ロールT1y、像保持体清掃器CLyを有しており、前記可視像形成装置Um,Uc,Ukはいずれも前記Yの可視像形成装置Uyと同様に構成されている。
【0017】
前記各像保持体PRy,PRm,PRc,PRkは、それぞれ、帯電ロールCRy,CRm,CRc,CRkにより一様に帯電された後、画像書込位置Q1y、Q1m,Q1c,Q1kにおいて、前記レーザビームLy,Lm,Lc,Lkにより、その表面に静電潜像が形成される。前記像保持体PRy,PRm,PRc,PRkの外表面の静電潜像は、現像領域Q2y,Q2m,Q2c,Q2kにおいて現像装置Gy,Gm,Gc,Gkによりトナー像に現像される。
現像されたトナー像は、中間転写体の一例としての中間転写ベルトBに接触する1次転写領域Q3y,Q3m,Q3c,Q3kに搬送される。前記1次転写領域Q3y,Q3m,Q3c,Q3kにおいて、中間転写ベルトBの裏面側に配置された1次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1kには、制御部Cにより制御される電源回路Eから予め設定された時期にトナーの帯電極性と逆極性の1次転写電圧が印加される。
前記各像保持体PRy〜PRk上のトナー像は前記1次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1kにより中間転写ベルトBに1次転写される。1次転写後の像保持体PRy,PRm,PRc,PRk表面の残留トナーは、像保持体清掃器の一例としての像保持体クリーナCLy,CLm,CLc,CLkにより清掃される。
【0018】
前記像保持体PRy〜PRkの上方には、上下移動可能且つ前方に引き出し可能な中間転写装置の一例としてのベルトモジュールBMが配置されている。前記ベルトモジュールBMは、前記中間転写ベルトBと、張力付与部材の一例としてのテンションロールRtと、蛇行防止部材の一例としてのウォーキングロールRwと、従動部材の一例としてのアイドラロールRfと、駆動部材の一例としての駆動ロール兼用の二次転写対向部材の一例としてのバックアップロールT2aと、前記1次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1kとを有している。前記テンションロールRt、ウォーキングロールRw、アイドラロールRf、駆動ロール兼用のバックアップロールT2aにより、中間転写体支持部材の一例としてのベルト支持ロールRt+Rw+Rf+T2が構成されている。そして、前記中間転写ベルトBは前記ベルト支持ロールRt+Rw+Rf+T2aにより回転移動可能に支持されている。したがって、前記駆動ロール兼用のバックアップロールT2aを回転駆動する駆動装置および前記ベルト支持ロールRt+Rw+Rf+T2a等により中間転写ベルト駆動装置が構成されている。
【0019】
前記バックアップロールT2aに接する中間転写ベルトBの表面に対向して二次転写部材の一例としての2次転写ロールT2bが配置されており、前記各ロールT2a,T2bにより、実施例1の2次転写装置T2が構成されている。また、2次転写ロールT2bおよび中間転写ベルトBの対向する領域には2次転写領域Q4が形成される。
前記1次転写領域Q3y,Q3m,Q3c,Q3kで一次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1kにより中間転写ベルトB上に順次重ねて転写されたトナー像は、前記2次転写領域Q4に搬送される。
前記1次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1k、中間転写ベルトB及び2次転写装置T2により、実施例1の転写装置T1y〜T1k+T2+Bが構成されている。
【0020】
前記潜像形成装置ROSの下方には、媒体給紙部の一例としての給紙トレイTR1〜TR3を前後方向に出入可能に支持する左右一対の案内部の一例としてのガイドレールGR、GRが3段設けられている。給紙トレイTR1〜TR3には、媒体の一例としての記録シートSが収容されている。前記記録シートSは、媒体取出し部材の一例としてのピックアップロールRpにより取り出され、捌き部材の一例としてのさばきロールRsにより1枚ずつ分離される。さばきロールRsにより分離された記録シートSは、複数の搬送部材の一例としてのシート搬送ロールRaにより、媒体搬送時期の調整部材の一例としてのレジロールRrに送られる。前記シート搬送ロールRaは、媒体案内部材、いわゆるシートガイドにより形成された搬送路SHに沿って複数設けられており、2次転写領域Q4のシート搬送方向上流側にはレジロールRrが配置されている。前記搬送路SH、シート搬送ロールRa、レジロールRr等によりシート搬送装置SH+Ra+Rrが構成されている。
【0021】
レジロールRrは、前記中間転写ベルトBに形成されたトナー像が2次転写領域Q4に搬送されるのに時期を合わせて、前記記録シートSを2次転写領域Q4に搬送する。記録シートSが前記2次転写領域Q4を通過する際、前記バックアップロールT2aは接地、すなわちアースされ、2次転写ロールT2bには前記制御部Cにより制御される電源回路Eから所定の時期にトナーの帯電極性と逆極性の2次転写電圧が印加される。このとき、前記中間転写ベルトB上のトナー像は、前記2次転写器T2により前記記録シートSに転写される。
2次転写後の前記中間転写ベルトBは、中間転写体清掃器の一例としてのベルトクリーナCLbにより清掃される。
【0022】
前記トナー像が2次転写された記録シートSは、定着装置Fに搬送される。前記定着装置Fは、加熱定着部材の一例としての加熱ロールFhおよび加圧定着部材の一例としての加圧ロールFpを有し、加熱ロールFhおよび加圧ロールFpの圧接領域である定着領域Q5を通過する際に、記録シートS表面の未定着トナー像が加熱定着される。トナー像が加熱定着された記録シートSは、媒体排出部材の一例としての排出ローラRhにより、媒体排出部の一例としての排紙トレイTRhに排出される。
なお、前記加熱ロールFh表面には、記録シートSの前記加熱ロールFhからの離型性を良くするための離型剤が離型剤塗布装置Faにより塗布されている。
【0023】
前記ベルトモジュールBMの上方にはY,M,C,Kの各現像剤を収容する現像剤補給容器の一例としてのトナーカートリッジKy,Km,Kc,Kkが配置されている。各トナーカートリッジKy,Km,Kc,Kkに収容された現像剤は、前記現像装置Gy,Gm,Gc,Gkの現像剤の消費に応じて、図示しない現像剤補給路から前記各現像装置Gy,Gm,Gc,Gkに補給される。
【0024】
図1において、前記画像形成装置Uは上側枠体UFと下側枠体LFとを有しており、上側枠体UFには、前記潜像形成装置ROSおよび潜像形成装置ROSよりも上方に配置された像保持体PRy,PRm,PRc,PRk、現像装置Gy,Gm,Gc,Gk、ベルトモジュールBM等が支持されている。
また、下側枠体LFには、前記給紙トレイTR1〜TR3を支持するガイドレールGRおよび前記各トレイTR1〜TR3から給紙を行うピックアップロールRp,さばきロールRs,シート搬送ロールRa等が支持されている。
【0025】
(現像装置)
図3は本発明の実施例1の現像装置の説明図である。
図4は本発明の実施例1の現像装置の正断面説明図であり、図3のIV−IV線断面図である。
なお、前記現像装置Gy,Gm,Gc,Gkは同様の構成をしているので、以下では、現像装置Gyに関して説明し、その他の現像装置Gm,Gc,Gkに関する説明は省略する。
【0026】
図3、図4において、前記現像領域Q2yで像保持体PRyに対向して配置された現像装置Gyは、トナーとキャリアとを含む現像剤が収容された現像容器Vを有している。実施例1の現像剤は、負極性、すなわち、マイナス極性に帯電するトナーと、正極性、すなわち、プラス極性に帯電する磁性キャリアとを含む2成分現像剤により構成されている。なお、実施例1では、一例として、トナーの平均粒径が5.8[μm]、キャリアの平均粒径が35[μm]の二成分現像剤が使用される。
前記現像容器Vは、現像容器本体1とその上端を塞ぐ蓋部材の一例としての現像容器カバーWとを有している。前記現像容器本体1の前端には、図4に示すように前方に突出する前方突出部3が一体成形されている。前記現像容器本体1の前壁1a、後壁1bには、現像装置Gyの長手方向に伸びる層厚規制部材SKの両端部がネジで固定されている。
【0027】
図3において、現像容器本体1はその内側に、現像剤保持体の一例としての現像ロールR0が収容される現像剤保持体の収容室の一例としての現像ロール室4と、前記現像ロール室4に隣接する第1攪拌室6と、前記第1攪拌室6に隣接する第2攪拌室7とを有している。前記現像容器カバーWは前記第2攪拌室7上に配置される上壁Waと、前記上壁Waの左端部から伸びて前記現像ロール室4を形成する現像剤保持体収容壁Wbと、前記上壁Waの右部から下方に伸びて前記現像容器本体1の内壁に嵌合する嵌合部Wcとを有している。そして、前記現像剤保持体収容壁Wbは弧状の頂壁Wb1及び平板状の傾斜壁Wb2とを有している。
【0028】
図4において、前記第1攪拌室6は現像容器本体1側の第1主攪拌室6aと、前方突出部3の左部3a側の排出室6bとを有している。また、前記第2攪拌室7は現像容器本体1側の第2主攪拌室7aと、前記前方突出部3の右部3b側の補給室7bとを有している。前記現像容器本体1の内側で前記第1攪拌室6と第2攪拌室7との間には、前記第1主攪拌室6aおよび第2主攪拌室7aの両端部以外の部分が仕切壁9によって仕切られている。即ち、前記第1主攪拌室6a及び第2主攪拌室7aはその前後方向両端部の前側流入部E1及び後側流入部E2において現像剤が流入可能に構成されている。
前記第1攪拌室6及び第2攪拌室7とによって、実施例1の循環攪拌室6+7が構成されている。
【0029】
図3、図4において、前記前側接続部材3の左部3aの下部には現像剤排出口3a1が設けられており、前記前側接続部材3の右部3bの上部には、図4に示すように、補給口3b1が設けられている。前記補給口3b1は、補給された新しい現像剤が補給後すぐに排出されないように、排出口3a1の現像剤搬送方向下流側に配置されている。また、実施例1では、前記補給口3b1からは、現像により消費されるトナーと劣化して少しずつ排出口3a1から排出されるキャリアとを含み、トナーの割合が、現像容器V内のトナーの割合よりも高い現像剤、いわゆる、高濃度トナーが補給される。したがって、実施例1の現像装置Gy〜Gkでは、画像形成動作に伴って劣化したキャリアが現像剤排出口3a1から排出されると共に、新たなキャリアを含む高濃度トナーが補給されることで、キャリアが少しずつ交換される。
【0030】
(現像ロール)
図3、図4において、前記現像ロールR0は、磁石部材の一例として、現像容器Vに固定支持された磁石ロール8と、現像剤保持体本体の一例として、前記磁石ロール8の外周に回転可能に支持され且つ現像領域Q2yで反重力方向である矢印Y1方向に回転する円筒状の現像スリーブ9とを有する。
前記磁石ロール8には、像保持体PRyに対向して配置された現像磁極S1と、前記現像磁極S1の現像スリーブ9の回転方向上流側に配置され且つ層厚規制部材SKと対向して配置された層厚規制磁極N2と、前記現像磁極S1の前記現像スリーブ9の回転方向下流側に配置された搬送磁極N1と、搬送磁極N1に対して前記現像スリーブ9の回転方向下流側に配置された現像剤剥離磁極の一例としてのピックオフ磁極S2、前記ピックオフ磁極S2と層厚規制磁極N2との間に配置された現像剤吸着磁極の一例としてのピックアップ磁極S3と、を有する。
【0031】
図5は本発明の実施例1の現像スリーブの説明図であり、図5Aは現像スリーブの外表面の要部説明図、図5Bは現像スリーブの要部断面図である。
図5において、現像スリーブ9の外表面には、凹凸部11が形成されている。実施例1の凹凸部11は、凹部の一例として、現像スリーブ9の軸方向に延びる凹状の溝部12を有する。前記溝部12は、現像スリーブ9の周方向に予め設定された間隔を空けて複数形成されている。そして、前記溝部12と溝部12との間の部分により、実施例1の凸部13が構成されている。
図5Bにおいて、前記凸部13の径方向外端13aと、前記溝部12の径方向内端12aとの差、すなわち、前記溝部12の深さH1は、予め設定された深さを有するように形成されている。なお、実施例1では、予め設定された深さの一例として、H1=100[μm]が設定されている。前記溝部12には現像剤が収容可能であり、現像スリーブ9上に現像剤が保持される際に、トナーと共にキャリアが、複数収容される。なお、前記深さH1の設定値として、H1=100[μm]を例示したが、前記深さH1の設定値はキャリア粒子の平均粒径以上の値が設定可能であり、35[μm]以上の値を設定可能である。
【0032】
図5Bにおいて、実施例1では、前記現像スリーブ9の径方向内部が導電体で構成されると共に、前記現像スリーブ9における凸部13の径方向外端13aの部分が、層状の絶縁体で構成される。これにより、現像スリーブ9の凹凸部11は、図5Bに示すように、径方向内部の導電層14と、前記凸部13の径方向外端13aの絶縁層16とで構成されて、前記溝部12の径方向内端12aに相当する底面12aや、前記溝部12の側面12bが、導電性を有する一方で、前記凸部13の径方向外端13aに相当する外周面13aは絶縁性を有する。したがって、現像スリーブ9の凹凸部11では、前記凸部13に対応する部分の体積抵抗率が前記溝部12に対応する部分の体積抵抗率に比べて大きく設定されている。前記現像スリーブ9の導電層14に保持されている現像剤に対して、電荷が注入されても、現像スリーブ9の径方向外端の部分である外周面13aには径方向に電荷が流れ難くなっているため、現像剤に対して電荷注入がされにくい。
【0033】
なお、実施例1では、導電層14の導電体の体積抵抗率に比べてキャリアの体積抵抗率の方が大きく設定されており、絶縁層13aの体積抵抗率は少なくともキャリアの体積抵抗率よりも大きく、好ましくは絶縁である。
【0034】
図6は像保持体と現像ロールとの説明図であり、図3の要部拡大図である。
図6において、前記現像ロールRaは、現像領域Q2yで、像保持体PRに対して予め設定された間隔を空けて配置される。実施例1では、前記現像スリーブ9と像保持体PRyが最接近する場合の間隔、すなわち、前記凸部13の径方向外端13aが現像領域Q2yを通過する場合の径方向外端13aと、像保持体PRy表面との間隔L1が、200[μm]となるように配置される。なお、前記間隔L1は200[μm]に限定されず、可視像形成装置Uyの構成に応じて、200[μm]〜350[μm]に設定可能である。
【0035】
図3、図6において、前記現像装置Gyでは、前記第1主攪拌室6aの現像剤は、前記ピックアップ磁極S3によって前記現像スリーブ9表面上に吸着されて、層厚規制磁極N2と層厚規制部材SKにより層厚が規制された状態で、現像領域Q2に搬送される。この際に、凸部13の外周面13aに保持された現像剤は回転する外周面13a上を滑り易いのに対して、溝部12に保持された現像剤は溝部12の側面12aに接触して滑らずに現像スリーブ9と共に回転して搬送され易い。
図4において、前記現像ロールR0のロール軸R0aの外周側には、現像スリーブ9の前後に対応して、現像スリーブ9を支持する外周軸R0bが回転自由に支持されており、図4に示すように、後端側の外周軸R0bには駆動伝達部材の一例としてのギアG0が固定支持されている。したがって、ギヤG0が回転すると、外周軸R0bがロール軸R0aの周りを回転して現像スリーブ9が磁石ロール8の外周を回転する。
【0036】
図3、図4において、前記第1攪拌室6及び第2攪拌室7には現像剤を攪拌しながら搬送する第1攪拌部材R1および第2攪拌部材R2が配置されている。図4において、前記第1攪拌部材R1は、前記現像ロールR0の軸方向に伸びる第1回転軸R1aと、前記回転軸R1aの外周に固着された攪拌搬送羽根R1bと逆搬送羽根R1cとを有している。
前記攪拌搬送羽根R1bは、現像剤を後側から前側の第1搬送方向Yaに搬送するために前記後側流入部E2から前側流入部E1にかけて設けられている。前記逆搬送羽根R1cは前記排出口3a1付近に設けられており、現像剤を攪拌搬送羽根R1bの搬送方向の逆方向に搬送することによって、現像剤を第1攪拌室6から第2攪拌室7に流入させている。前記回転軸R1aは前記前側接続部3の左部3aの前面壁と前記現像容器本体1の後面壁によって回転自由に支持されており、回転軸R1aの後端部、すなわち、図4の−X側端部にはギアG1が固定されている。
【0037】
また、前記第2攪拌部材R2も、第2回転軸R2aおよび攪拌搬送羽根R2bおよび逆搬送羽根R2cとを有している。前記攪拌搬送羽根R2bは現像剤を前側から後側の第2搬送方向Ybに搬送するために前記補給口3b1から後側流入部E2にかけて設けられている。図4において、前記逆搬送羽根R1cは前記後側流入部E2の後端側に設けられており、現像剤を攪拌搬送羽根R2bの搬送方向の逆方向に搬送することによって、現像剤を第2攪拌室7から第1攪拌室6に流入させている。前記第2回転軸R2aは前側接続部3の右部3bの前面壁と現像容器本体1の後面壁によって回転自由に支持され、後端部にギアG2が固着されている。
【0038】
図4において、前記ロール軸R0aのギアG0は、中間のギアG3を介して、第1回転軸R1aのギアG1と噛合っており、ギアG1は前記第2回転軸R2aのギアG2と噛合っている。前記ギアG0は、図示しない現像装置駆動源の一例としての現像装置用モータの回転力が伝達されており、前記モータによってギアG0が回転すると、ギアG1はギアG0と同方向に回転し、前記ギアG1とギアG2は互いに逆方向に回転する。即ち、前記ギアG1及びギアG2と一体に回転する第1攪拌部材R1及び第2攪拌部材R2は互いに逆方向に回転する。したがって、前記第1攪拌部材R1及び第2攪拌部材R2の回転によって、前記第1攪拌室6及び第2攪拌室7の中の現像剤は互いに逆方向に搬送され循環している。
前記現像容器V、現像ロールR0、第1攪拌部材R1および第2攪拌部材R2等によって現像装置Gyが構成されている。
【0039】
(電源回路)
図7は実施例1の帯電ロールに接続された電源回路と現像ロールに接続された電源回路と1次転写ロールに接続された電源回路との説明図である。
以下では、帯電ロールCRy〜CRkに接続された電源回路E1と、現像ロールR0に接続された電源回路E2と、1次転写ロールT1y〜T1kに接続された電源回路E3との説明をするが、各色Y〜Kの電源回路E1〜E3は同様に構成されるため、Y色の電源回路E1〜E3についてのみ説明し、その他の色M〜Kの電源回路E1〜E3についての説明は省略する。
図7において、帯電ロールCRyには、像保持体PRy表面を帯電させるための帯電電圧V1を印加する帯電用電源回路E1が接続されている。帯電ロールCRyは像保持体PRyの表面を帯電電位V1に一様に帯電する。
【0040】
図7において、帯電電位V1に帯電された像保持体PRyの外表面には、潜像形成装置ROSからレーザビームLyが照射されて、照射された部分に潜像電位V2の静電潜像が形成される。
現像装置Gyにおける現像ロールR0の現像スリーブ9には、電圧印加手段の一例としての現像用電源回路E2が接続されている。前記現像用電源回路E2は、現像スリーブ9に現像電圧V3を印加して、前記像保持体PRyと現像スリーブ9との間に電位差V2−V3を生じさせて、現像領域Q2yに、トナーが前記現像スリーブ9から前記像保持体PRyの潜像に向かう電界を形成する。
なお、実施例1の各電圧V1〜V3は、V1<V3<V2を満たすように設定されている。したがって、実施例1では、前記像保持体PRyの潜像と現像ロールR0との間の電位差V2−V3が正となる一方で、前記像保持体PRyの潜像以外の部分と現像ロールR0との間の電位差V1−V3が負となる。これにより、マイナス極性を帯びたトナーは、現像ロールR0から前記像保持体PRyの潜像に向かって移動する。
1次転写ロールT1yには、前記像保持体PRy上のトナーを中間転写ベルトBに転写するための1次転写電圧V4が印加されている。なお、前記2次転写装置T2には、図示しない電源回路から、中間転写ベルトB上に転写されたトナーを記録シートSに転写する2次転写電圧が印加されている。
【0041】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1の複写機Uでは、画像形成動作の一例としてのジョブが実行されると、帯電ロールCRy〜CRkが像保持体PRy〜PRkを帯電し、潜像形成装置ROSが像保持体PRy〜PRkに静電潜像を形成する。前記静電潜像は、現像領域Q2y〜Q2kにおいて、現像装置Gy〜Gkの現像ロールR0でトナー像に現像される。そして、前記トナー像は、転写装置T1y〜T1k+T2+Bを介して、記録シートSに転写される。
【0042】
図8は本発明の実施例1の作用説明図であり、現像領域の拡大図である。
このとき、実施例1の現像装置Gy〜Gkでは、現像容器Vに収容された現像剤が、磁石ロール8から磁力を受けて、回転する現像スリーブ9の外表面に吸着、保持され、現像領域Q2y〜Q2kに向けて搬送される。
図8において、実施例1の現像スリーブ9では、現像スリーブ9の回転に伴って、溝部12に収容されて保持された現像剤は、側面12bに接触して現像スリーブ9と共に搬送されると共に、凸部13の外周面13aに保持された現像剤は回転する外周面13a上を滑り易い。そして、現像スリーブ9上の現像剤は、現像領域Q2y〜Q2kに近づくと、現像磁極S1の磁力線に沿って穂立ちした状態となる。穂立ちした現像剤は、像保持体PRy〜PRkと現像スリーブ9との間隔が狭くなるに連れて、像保持体PRy〜PRkの表面に接触して崩され、像保持体PRy〜PRkと現像スリーブ9との間の空間を満たす。したがって、現像領域Q2y〜Q2kでは、溝部12だけでなく凸部13の表面にも現像剤が付着した状態で搬送される。
【0043】
また、実施例1の現像装置Gy〜Gkでは、現像スリーブ9に現像電圧V3が印加されており、像保持体PRy〜PRkと現像スリーブ9との間には、電位差V1−V3,V2−V3が生じて電界が形成されている。ここで、現像領域Q2y〜Q2kに近づくほど、像保持体PRy〜PRkと現像スリーブ9との間の間隔が狭くなっており、像保持体PRy〜PRkと現像スリーブ9との間の電界は、現像領域Q2y〜Q2kに近づくほど、強くなる。
現像領域Q2y〜Q2kでは、現像剤のうち、非磁性でマイナス極性を帯びたトナーが、像保持体PRy〜PRkの潜像と現像スリーブ9との間に生じた電位差V2−V3に基づく現像電界から力を受けて、前記潜像に向かって移動し、潜像がトナー像に現像される。
【0044】
現像剤が現像領域Q2y〜Q2kに搬送される際には、図5、図8に示すように、現像スリーブ9上の現像剤に対して、導電層14から負電荷が流れて電荷注入が行われる。この電荷注入は、電界の強さが強いほど速度が速くなり、短期間で、多量の電荷が注入され易くなる。したがって、現像領域Q2y〜Q2kに近づくほど、現像スリーブ9上の現像剤に対して、長期間の電荷注入が行われると共に、強い電界の中で電荷注入が行われて、より多量の負電荷が注入され易い。
現像剤に多量の負電荷が注入されると、トナーだけでなく、プラス極性に帯電していたキャリアが大きなマイナス極性を帯びてしまい、トナーと同様に電界から力を受けて、像保持体PRy〜PRk上に移動し、いわゆる、BCO:Beads Carry Overが発生して、記録シートS上の画質が悪化してしまう場合があった。
【0045】
また、実施例1の現像スリーブ9の外表面には、凹凸部11が設けられており、現像領域Q2y〜Q2kにおける現像スリーブ9と像保持体PRy〜PRkとの間隔が溝部12と凸部13とで異なる。すなわち、溝部12が現像領域Q2y〜Q2kを通過する場合には、像保持体PRy〜PRkの外表面と現像スリーブ9との間隔が、L1+H1であるのに対して、凸部13が現像領域Q2y〜Q2kを通過する場合には、像保持体PRy〜PRkの外表面と現像スリーブ9との間における間隔は、溝部12の場合の間隔に比べてH1だけ狭くて、L1になる。
したがって、凹凸部を有する現像スリーブでは、現像領域Q2y〜Q2kに生じる電界の大きさについて、像保持体と凹部との間の電界に比べて、像保持体と凸部との間の電界の方が大きくなる。よって、凹凸部を有する現像スリーブでは、凸部上に保持された現像剤に対し、凹部上に保持された現像剤に比べて、より大きな量の電荷注入が行われBCOが生じ易い。特に、像保持体PRy〜PRkと現像スリーブとの間の間隔L1が小さいほど、凹部と凸部における電界の大きさの違いは顕著となり易い。
【0046】
すなわち、従来のように、凸部に対応する部分の体積抵抗率が、凹部に対応する部分の体積抵抗率に比べて大きく構成されていない場合には、現像スリーブを電荷が流れる場合に、凸部から凸部上の現像剤に電荷が注入され易くて、現像領域を通過する際に、特に強い電界の下で過剰な電荷注入が行われてしまう場合があった。
これに対して、実施例1では、凸部13の外周面13aに絶縁層16が設けられており、凸部13に対応する部分の体積抵抗率が溝部12に対応する部分の体積抵抗率に比べて大きく構成されている。したがって、実施例1の現像スリーブ9では、体積抵抗率の小さい導電層14では電荷が流れて、溝部12上の現像剤に電荷注入が行われる一方で、体積抵抗率の大きい絶縁層16では電荷が遮断されて、凸部13内から凸部13の外周面13a上の現像剤に電荷が注入され難くなっている。
【0047】
すなわち、実施例1の現像スリーブ9では、凸部13上の現像剤に対しては電荷注入が行われ難くなって、現像領域Q2y〜Q2kを通過する際に、間隔が狭くて、特に強い電界の下でのキャリアへの過剰な電荷注入が低減されている。したがって、実施例1では、従来の構成に比べて、凸部13での過剰な電荷注入が低減されており、キャリアが像保持体PRy〜PRkに移動することが低減されている。
【実施例2】
【0048】
図9は本発明の実施例2の現像スリーブの要部断面図であり、実施例1の図5Bに対応する図である。
次に本発明の実施例2の説明をするが、この実施例2の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この実施例は下記の点で、前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成される。
図9において、実施例2の現像スリーブ9には、実施例1の溝部12に替えて、凹部の一例として、断面U字状に構成されたU溝12′が形成されている。
【0049】
(実施例2の作用)
前記構成を備えた実施例2の複写機Uでは、現像スリーブ9に、断面U字状のU溝12′が構成されている点以外は、実施例1と同様に構成されている。したがって、実施例2でも、実施例1と同様に、従来の構成に比べて、凸部13′での過剰な電荷注入が低減されて、キャリアが像保持体PRy〜PRkに移動することが低減されている。
【実施例3】
【0050】
図10は本発明の実施例3の現像スリーブの要部断面図であり、実施例1の図5Bに対応する図である。
次に本発明の実施例3の説明をするが、この実施例3の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この実施例は下記の点で、前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成される。
図10において、実施例3の現像スリーブ9では、実施例1の溝部12に替えて、凹部の一例として、断面V字状に構成されたV溝12″が形成されている。前記V溝12″では、断面方向において傾斜した両方の側面12b″が径方向内端12a″で交差する。
【0051】
(実施例3の作用)
前記構成を備えた実施例3の複写機Uでは、現像スリーブ9に、断面V字状のV溝12″が構成されている点以外は、実施例1と同様に構成されている。したがって、実施例3でも、実施例1と同様に、従来の構成に比べて、凸部13でのキャリアに対する過剰な電荷注入が低減されて、キャリアが像保持体PRy〜PRkに移動することが低減されている。
【実施例4】
【0052】
図11は本発明の実施例4の現像スリーブの外表面の要部説明図であり、実施例1の図5Aに対応する図である。
次に本発明の実施例4の説明をするが、この実施例4の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この実施例は下記の点で、前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成される。
【0053】
図11において、実施例4の現像スリーブ9の外表面には、実施例1の凹凸部11に替えて、凹凸部21が形成されている。実施例4の凹凸部21は、凹部の一例として、現像スリーブ9の軸方向に対して斜めに交差する凹状の溝部22を有する。前記溝部22は、いわゆる、あやめ状に形成されている。そして、前記溝部22と溝部22との間の部分により、実施例4の凸部23が構成されている。
【0054】
(実施例4の作用)
前記構成を備えた実施例4の複写機Uでは、現像スリーブ9に、あやめ状の溝部22が形成されている点以外は、実施例1と同様に構成されている。したがって、実施例4でも、実施例1と同様に、従来の構成に比べて、凸部23でのキャリアに対する過剰な電荷注入が低減されて、キャリアが像保持体PRy〜PRkに移動することが低減されている。
【実施例5】
【0055】
図12は本発明の実施例5の現像スリーブの要部断面図であり、実施例1の図5Bに対応する図である。
次に本発明の実施例5の説明をするが、この実施例5の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この実施例は下記の点で、前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成される。
【0056】
図12において、実施例5の現像スリーブ9の外表面には、実施例1の凹凸部11に替えて、凹凸部31が形成されている。実施例5の凹凸部31は、凸部の一例として、現像スリーブ9の軸方向に延びた絶縁体で構成された絶縁凸部32を有する。前記絶縁凸部32は、現像スリーブ9の周方向に予め設定された間隔を空けて複数形成されている。そして、前記絶縁凸部32と絶縁凸部32との間の部分により、実施例1の凹部33が構成されている。
【0057】
(実施例5の作用)
前記構成を備えた実施例5の複写機Uでは、絶縁凸部32が設けられており、凸部全体が絶縁体で構成されている。よって、実施例5の現像スリーブ9では、絶縁凸部32に電荷は流れ難くなっている。したがって、実施例5でも、実施例1と同様に、従来の構成に比べて、絶縁凸部32でのキャリアに対する過剰な電荷注入が低減されて、キャリアが像保持体PRy〜PRkに移動することが低減されている。
【0058】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H04)を下記に例示する。
(H01)前記各実施例において、画像形成装置の一例として複写機Uを例示したが、これに限定されず、プリンタ、FAX、あるいはこれら複数の機能を備えた複合機等に適用可能である。
【0059】
(H02)前記実施例1〜4において、凸部13,23の外周面13a,23aに絶縁層16が一層のみ設けられた構成を例示したが、これに限定されない。例えば、凸部13,23に絶縁層16が複数形成され、凸部13,23が多層構造を有する構成も可能である。また、絶縁層16は外周面13a,23aを構成していることが望ましいが、凸部13の径方向の途中部分に層状に設けられた構成も可能である。
(H03)前記実施例1〜5において、現像スリーブ9は、導電層14と、凸部13,23、32の絶縁層16とを有する構成が望ましいが、これに限定されず、凸部13,23、32に対応する部分の体積抵抗率が凹部12〜12″,22、33に対応する部分の体積抵抗率に比べて大きく設定された構成であれば良い。したがって、例えば、絶縁層に替えて、導電層に比べて体積抵抗率が大きく且つ絶縁層に比べて体積抵抗率が小さい高抵抗層を凸部に設ける構成などが可能である。
【0060】
(H04)前記実施例1〜4において、凹凸部11〜11″,21,31については、軸方向に平行な凹部12〜12″,33と、前記凹部12〜12″,33に挟まれた凸部13,32とによる構成や、軸方向に斜めに形成された凹部22と、前記凹部22に挟まれた凸部23とによる構成を例示したが、これに限定されない。
例えば、実施例4の図11において、凹部と凸部との位置を逆に形成して、凸部を現像スリーブの軸方向に斜めに設けたりするなど、複数の凹部を点在、散在、離散的に設ける構成が可能である。また、凹部や凸部の一方のみを点在、散在、離散的に設ける構成だけでなく、例えば、予め設定された割合で不規則的に凹凸を設けたりする構成が可能である。
【符号の説明】
【0061】
11…凹凸部、
12,12′,12″,22,33…凹部、
13,23,32…凸部、
16…絶縁層、
CRy,CRm,CRc,CRk…帯電装置、
E2…電圧印加手段、
PRy,PRm,PRc,PRk…像保持体、
Q2y,Q2m,Q2c,Q2k…現像領域、
R0…現像剤保持体、
ROS…潜像形成装置、
S…媒体、
T1y〜T1k+T2+B…転写装置、
U…画像形成装置、
V…現像容器、
V2−V3…電位差。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転する像保持体と、
前記像保持体の外表面を帯電させる帯電装置と、
帯電された前記像保持体の外表面に潜像を形成する潜像形成装置と、
トナーとキャリアとを含む現像剤が収容された現像容器と、前記現像容器に収容された現像剤を外表面に保持して回転し且つ前記像保持体と対向する現像領域に向けて前記現像剤を搬送する現像剤保持体と、を有し、前記像保持体の潜像を可視像に現像する現像装置と、
前記現像剤保持体に電圧を印加する電圧印加手段であって、前記像保持体と前記現像剤保持体との間に電位差を生じさせて、前記現像領域に、トナーが前記現像剤保持体から前記像保持体の潜像に向かう電界を形成する前記電圧印加手段と、
前記像保持体の可視像を媒体に転写する転写装置と、
凸部と凹部とを有する凹凸部が外表面に設けられ、前記凸部に対応する部分の体積抵抗率が前記凹部に対応する部分の体積抵抗率に比べて大きく設定された前記現像剤保持体と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
絶縁体で構成された絶縁層を有する前記凸部、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
現像剤が収容可能な前記凹部、
を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−203370(P2012−203370A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70955(P2011−70955)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】