説明

画像形成装置

【課題】本発明は、封筒の印刷において搬送ローラのアシスト速度を適正に調整し、騒音を防止するとともに、印刷時間の高速化を実現することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置1において、搬送経路に搬送される封筒の印刷部6への送出タイミングを調整するレジストローラと、レジストローラを駆動するレジストローラ駆動源211と、搬送経路のレジストローラの前段に配設され、レジストローラに封筒を送出する搬送ローラと、搬送ローラを駆動する搬送部駆動源321と、搬送経路に配設され、封筒の封筒情報を検出する封筒情報検出手段と、封筒情報に基づきレジストローラに封筒を搬送する搬送ローラの搬送速度の調整を行うアシスト速度制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に、封筒に印刷を行うことができる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
低価格で高速カラー印刷が可能なプリンタの普及が目覚ましい。プリンタは、パーソナルコンピュータ等の端末に接続され、この端末において製作された文字、イラスト、記号等の画像情報を取り込み、記録媒体に印刷を行う。また、スキャナやファクシミリと一体化された複合型のプリンタにおいては、スキャナユニットから取り込んだ画像情報の印刷を行うことができ、或いはファクシミリにより転送された画像情報の印刷を行うことができる。
【0003】
プリンタにおいては、普通紙、フォト紙、光沢紙、OHPフィルム等の記録媒体が印刷に使用されている。家庭用には、一般的にはがきサイズからA4版サイズまでの記録媒体に印刷を行うプリンタが使用されている。また、オフィス用には、例えばはがきサイズからA3版サイズまでの記録媒体に印刷を行うプリンタが使用されている。
【0004】
プリンタは、様々なサイズや種類(特に紙質)の記録媒体の印刷に対応するために、記録媒体の搬送経路にレジストローラを配設し、このレジストローラを用いて印刷部への送出タイミングを調整する機構を備えている。給紙部から給紙された記録媒体は、搬送経路に沿って搬送され、レジストローラにおいて一時的に保持される。一時的に保持されることによって、記録媒体の斜行修正が行われ、記録媒体に弛みを生成することができる。この記録媒体は、印刷部において印刷するタイミングにおいてレジストローラの駆動によって送出される。
【0005】
前述の通り、記録媒体には様々なサイズや種類がある。また、給紙部の給紙トレイが複数配設されている場合には、給紙トレイからレジストローラまでの搬送経路が複数存在し、それぞれ搬送距離や搬送途中の記録媒体の屈曲数が相違する。つまり、給紙部からレジストローラまでの搬送経路において、サイズ等によって記録媒体の搬送条件が異なる。
【0006】
レジストローラの記録媒体の搬送速度(送出速度)がレジストローラの前段(搬送方向上流側)の搬送ローラの搬送速度に比べて速くなった場合、搬送ローラが記録媒体を挟持した状態のまま記録媒体の搬送方向先端はレジストローラによって引っ張られる。いわゆるバックテンションが発生する。斜行修正、送出タイミングの調整等を目的としてレジストローラにおいて生成された記録媒体の弛みがレジストローラの駆動開始によって解消するとき、記録媒体を一気に張り詰めた際の騒音が発生する。バックテンションの発生は、騒音以外にも、記録媒体の搬送タイミングの遅延、印刷位置のずれ、ジャム等の搬送不良を誘発する要因になり、全体として印刷時間の高速化の妨げになる。
【0007】
下記特許文献1には、各種の印刷用紙に適度な弛みを形成させ、弛み解消時の騒音を防止することができ、かつ搬送経路中における用紙間隔を確保して、印刷速度の高速化を実現することができる印刷装置の給紙機構及び給紙方法が開示されている。この給紙機構はアシスト制御部を備え、アシスト制御部は給紙手段の動作速度又は動作加速度を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−215389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前述の特許文献1に開示された印刷装置の給紙機構及び給紙方法においては、以下の点について配慮がなされていなかった。
【0010】
印刷速度、印刷品質等の性能の向上に伴い、プリンタを用いて広告や宣伝に使用する大量の封筒(状袋)を印刷する要求が高まりつつある。通常のプリンタの印刷には1枚の記録媒体が使用されているが、封筒は部位によって記録媒体自体の枚数、厚みが異なる。封筒は、手紙、文章等を内包し、用紙を折り重ねて作成された方形形状を有し、この方形形状の3辺が封じられた本体(封筒本体)と、本体の残りの1辺に作成され手紙等を内包した後に折り返して綴じるフラップ(折り返し蓋)とを有する。このため、本体は、用紙を2枚に折り重ねた部分と、更に糊付けされた3枚の用紙を重ねた部分とを有し、本体の厚さは厚い。また、フラップは折り返していない場合(フラップを開いた場合)には1枚の用紙であり、フラップの厚さは薄い。フラップを折り返した場合(フラップを閉じた場合)には3枚の用紙を重ねた状態になり、フラップの厚さは厚くなる。
【0011】
封筒のフラップを搬送方向先端側として、フラップを開いた状態において、給紙部から搬送経路に沿ってレジストローラに封筒を搬送すると、レジストローラにおいて封筒の弛みが大きくなる。フラップは一枚の用紙であり、フラップの腰が弱い(弾性力が弱い或いは粘りが小さい)ので、封筒は弛みを生じ易い。弛みが生じたことによって搬送ローラに腰による反発力が生じるが、この反発力は腰が弱いので小さく、搬送ローラの封筒の搬送に伴う滑りが小さく、従って搬送ローラの封筒を搬送するときのアシスト速度が速くなる。
【0012】
逆に、封筒のフラップを搬送方向後端側とし、本体を搬送方向先端側として、給紙部から搬送経路に沿ってレジストローラに封筒を搬送すると、レジストローラにおいて封筒の弛みが小さくなる。本体は複数枚の用紙を折り重ね又部分に糊付けされており、本体の腰が強いので、封筒は弛みを生じ難い。弛みが生じたことによって生じる反発力は腰が強いので大きく、搬送ローラの封筒の搬送に伴う滑りが大きく、従って搬送ローラの封筒を搬送するときのアシスト速度が遅くなる。
【0013】
このように、封筒の厚さは部分的に異なり、封筒を印刷するときの搬送方向の向きによって搬送ローラのアシスト速度に違いが生じる。また、封筒のフラップを搬送方向先端側として搬送したとしても、フラップを開いた状態であるか、フラップを閉じた状態であるかによってもアシスト速度に違いが生じる。上記特許文献1においては、封筒の印刷について全く意図しておらず、封筒の印刷において、騒音を防止しつつ、搬送タイミングの遅延、印刷位置のずれ、ジャム等の搬送不良を防止しつつ、印刷時間の高速化を実現することができなかった。
【0014】
本発明は上記課題を解決するためになされたものである。従って、本発明は、封筒の印刷において搬送ローラのアシスト速度を適正に調整し、騒音を防止するとともに、印刷時間の高速化を実現することができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明に係る第1の特徴は、画像形成装置において、搬送経路に搬送される封筒の印刷部への送出タイミングを調整するレジストローラと、レジストローラを駆動するレジストローラ駆動源と、搬送経路のレジストローラの前段に配設され、レジストローラに封筒を送出する搬送ローラと、搬送ローラを駆動する搬送部駆動源と、搬送経路に配設され、封筒の搬送方向及び封筒のフラップ開閉の情報を含む封筒情報を検出する封筒情報検出手段と、封筒情報に基づき、レジストローラに封筒を搬送する搬送ローラの搬送速度(特にアシスト速度)の調整を行うアシスト速度制御手段とを備える。ここで、アシスト速度制御手段は、封筒情報に基づき、レジストローラと搬送ローラとの間に搬送される封筒に弛みを生成する搬送ローラの搬送速度の調整を行うことが好ましい。
【0016】
本発明の第2の特徴は、第1の特徴に係る画像形成装置において、封筒情報検出手段は、封筒の本体のサイズ、封筒のフラップのサイズ又は封筒の紙種のいずれかの情報を更に有する封筒情報を検出することである。
【0017】
本発明の第3の特徴は、第1の特徴又は第2の特徴に係る画像形成装置において、封筒情報検出手段は、封筒の本体のサイズ及びフラップのサイズを検出する封筒形状検出部と、本体の厚さ及びフラップの厚さを検出する媒体厚検出部とを備えることである。
【0018】
本発明の第4の特徴は、第1の特徴乃至第3の特徴に係る画像形成装置において、アシスト速度制御手段は、封筒情報検出手段を用いて検出された封筒情報に基づき、搬送ローラの搬送速度を算出するアシスト速度算出部と、アシスト速度算出部において算出された搬送速度に基づき、搬送部駆動源の搬送ローラの駆動速度を調整するアシスト速度調整部とを備えたことである。
【0019】
本発明の第5の特徴は、第1の特徴乃至第4の特徴に係る画像形成装置において、アシスト速度制御手段は、封筒情報検出手段において、封筒のフラップが開状態及びフラップが封筒の搬送方向先端側であると検出したときの搬送速度に対して、封筒のフラップが閉状態及びフラップが封筒の搬送方向後端側であると検出したときの搬送速度を速く制御することである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の第1の特徴に係る画像形成装置によれば、封筒情報検出手段を用いて封筒の封筒情報を検出し、アシスト速度制御手段を用いて封筒情報に基づき搬送部駆動源を用いた搬送ローラの搬送速度(アシスト速度)の調整を行うことができる。従って、封筒の印刷において搬送ローラの搬送速度を適正に調整することができるので、バックテンションの発生を無くして騒音を防止することができる。更に、搬送タイミングの遅延、印刷位置のずれ、ジャム等の搬送不良を防止することができるので、印刷時間の高速化を実現することができる。
【0021】
本発明の第2の特徴に係る画像形成装置によれば、第1の特徴に係る画像形成装置において得られる効果に加えて、封筒情報検出手段を用いて封筒の本体のサイズ、封筒のフラップのサイズ、封筒の搬送方向及び封筒のフラップの開閉の各情報を有する封筒情報を検出することができるので、封筒の搬送形態に応じて搬送速度を適正に調整することができる。
【0022】
本発明の第3の特徴に係る画像形成装置によれば、第1の特徴又は第2の特徴に係る画像形成装置において得られる効果に加えて、封筒情報検出手段の封筒形状検出部を用いて封筒の本体のサイズ及びフラップのサイズを検出し、媒体厚検出部を用いて本体の厚さ及びフラップの厚さを検出することによって、封筒の本体のサイズ及び厚さ、フラップのサイズ及び厚さの封筒情報を得ることができるとともに、封筒の搬送方向及び封筒のフラップの開閉の封筒情報を抽出することができる。
【0023】
本発明の第4の特徴に係る画像形成装置によれば、第1の特徴乃至第3の特徴に係る画像形成装置において得られる効果に加えて、封筒情報検出手段を用いて検出された封筒情報に基づき、アシスト速度制御手段のアシスト速度算出部を用いて搬送ローラの搬送速度を算出し、この算出された搬送速度に基づき、アシスト速度調整部を用いて搬送部駆動源の搬送ローラの駆動速度を調整することができるので、封筒の搬送形態に応じて搬送速度を適正に調整することができる。
【0024】
本発明の第5の特徴に係る画像形成装置によれば、アシスト速度制御手段を用いて、封筒情報検出手段において、封筒のフラップが開状態及びフラップが封筒の搬送方向先端側であると検出したときの搬送速度を遅く制御し、封筒のフラップが閉状態及びフラップが封筒の搬送方向後端側であると検出したときの搬送速度を速く制御することができるので、封筒の搬送形態に応じて搬送速度を適正に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施例に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】一実施例に係る画像形成装置の給紙部及び給紙搬送部の拡大構成図である。
【図3】(A)は一実施例に係る画像形成装置を用いて印刷を行う長形封筒の表面図、(B)は長形封筒の裏面図、(C)は長形封筒の断面図である。
【図4】一実施例に係る画像形成装置のシステム構成図である。
【図5】(A)は一実施例に係る画像形成装置において記録媒体の模式的な断面図、(B)は媒体サイズ検出部において記録媒体のサイズの検出結果を示す図である。
【図6】(A)は一実施例に係る画像形成装置において封筒の模式的な断面図、(B)は封筒形状検出部において封筒の形状の検出結果を示す図である。
【図7】(A)は一実施例に係る画像形成装置において封筒の模式的な断面図、(B)は媒体厚検出部において封筒の厚さの検出結果を示す図、(C)は媒体搬送量検出部から出力される信号波形を示す図である。
【図8】(A)は一実施例に係る画像形成装置において給紙搬送部におけるフラップを搬送方向先端側とする封筒の搬送状態を示す模式的な断面図、(B)は給紙搬送部における本体を搬送方向先端側とする封筒の搬送状態を示す模式的な断面図、(C)は各種ローラの速度と搬送時間との関係を示す図である。
【図9】(A)は一実施例に係る画像形成装置において給紙搬送部及び反転搬送部におけるフラップを搬送方向先端側とする封筒の搬送状態を示す模式的な断面図、(B)は給紙搬送部及び反転搬送部における本体を搬送方向先端側とする封筒の搬送状態を示す模式的な断面図、(C)は各種ローラの速度と搬送時間との関係を示す図である。
【図10】一実施例に係る画像形成装置の封筒印刷方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、図面を参照して、本発明の一実施例を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なる。
【0027】
また、以下に示す実施例はこの発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0028】
(実施例)
本発明の一実施例は、画像形成装置としてインクジェットプリンタに本発明を適用した例を説明するものである。インクジェットプリンタは、ここではシアンインク、マゼンダインク、イエローインク、ブラックインクを用いてプリントを行うカラーインクジェットプリンタである。なお、本発明は、必ずしもカラーインクジェットプリンタにのみ適用されるのではなく、グレースケールを含むモノクロインクジェットプリンタにも適用可能である。
【0029】
[画像形成装置の構成]
図1に示すように、一実施例に係る画像形成装置1は、記録媒体100を供給する給紙部2と、給紙部2から供給された記録媒体100の搬送を行う搬送手段3と、搬送手段3により搬送が行われた記録媒体100に印刷を行う印刷部6と、印刷が行われた記録媒体100を排出する排紙部4及び5と、これらの各ユニットの動作の制御を司る制御部8とを備えている。
【0030】
給紙部2は、この配設個数や形態に限定されるものではないが、給紙トレイ21〜24を備えている。給紙トレイ21は、画像形成装置1の符号を付けていない筐体の左側側面にこの筐体から外側に突出し、着脱自在に配設されている。給紙トレイ22〜24は、筐体内部に積層した状態において配設されている。これらの給紙トレイ21〜24には未印刷(印刷前)の記録媒体100が格納されている。
【0031】
排紙部4は筐体の右側側面にこの筐体から外側に突出して配設された排紙トレイ(符号は省略する。)を備えている。この排紙部4は、フェイスアップ排紙部であって、印刷面を上向きにした状態において印刷済み(印刷後)の記録媒体100を収納する。また、排紙部5は、画像形成装置1の筐体の左側上部にこの筐体から外側に突出して配設された排紙トレイ(符号は省略する。)を備えている。排紙部5は、フェイスダウン排紙部であって、印刷面を下向きにした状態において印刷済み(印刷後)の記録媒体100を収納する。
【0032】
ここで、記録媒体100には、普通紙、フォト紙、インクジェット用紙、光沢紙、OHPフィルム等の記録媒体が一般的に使用される。更に、一実施例に係る画像形成装置1において、記録媒体100に封筒100Eが使用され、この封筒100Eの印刷を行うことができる。封筒100Eの種類並びにその形態は後述する。
【0033】
搬送手段(搬送機構)3は、給紙搬送部31と、印刷搬送部32と、上昇搬送部33と、水平搬送部34と、排紙搬送部35と、反転搬送部36とを備えている。
【0034】
給紙搬送部31は、図1及び図2に示すように、給紙部2の給紙トレイ21〜24のそれぞれから印刷搬送部32(ここではレジストローラ37)まで記録媒体100(又は封筒100E)を搬送する給紙経路RSと、給紙トレイ21〜24のそれぞれに格納された記録媒体100を給紙経路RSに供給する給紙ローラ201〜204と、給紙経路RSに沿って記録媒体100を搬送する搬送ローラ205と、給紙経路RSに沿って記録媒体100をレジストローラ37に向けて搬送する搬送ローラ206とを備えている。ここで、「供給する」とは、例えば給紙部2の給紙トレイ21から給紙経路RSに記録媒体100(又は封筒100E)を送出するという意味において使用される。また、「搬送する」とは、搬送経路RS中の例えば搬送ローラ206を中心としてその前段側から後段側に記録媒体100(又は封筒100E)を送出するという意味において使用される。
【0035】
印刷搬送部32は、給紙搬送部31から上昇搬送部33(ここではレジストローラ37から切換部325の前段)まで記録媒体100を搬送する搬送経路RCと、印刷部6のプリントヘッド61に対向して配設され搬送方向に移動する搬送ベルト321と、この搬送ベルト321を駆動する駆動ローラ322とを備えている。
【0036】
図1に示すように、印刷搬送部32の終端つまり切換部325と排紙部4との間には排紙搬送部38が配設されている。排紙搬送部38は、印刷部6において印刷され印刷搬送部32を搬送されてきた記録媒体100を切換部325を介して導く排紙経路RD1と、この排紙経路RD1に配設され排紙経路RD1に沿って記録媒体100を排紙トレイ(符号は省略する。)に搬送する排紙ローラ381とを備えている。一実施例に係る画像形成装置1において、この排紙搬送部38は搬送手段3に含まれる。
【0037】
上昇搬送部33は、印刷搬送部32から水平搬送部34まで記録媒体100を搬送する搬送経路RVと、搬送経路RVに沿って記録媒体100を搬送する搬送ローラ331及び332とを備えている。上昇搬送部33は、印刷搬送部32からその上に重複して配設された水平搬送部34まで垂直方向に記録媒体100を押し上げて搬送する。
【0038】
水平搬送部34は、上昇搬送部33から排紙搬送部35及び反転搬送部36(ここでは反転切換部361)まで記録媒体100を搬送する搬送経路RCと、搬送経路RCに沿って記録媒体100を搬送する搬送ローラ341とを備えている。
【0039】
排紙搬送部35は、水平搬送部34の終端つまり切換部361から排紙部5まで記録媒体100を搬送する排紙経路RD2と、排紙経路RD1に沿って排紙トレイまで記録媒体100を搬送する排紙ローラ351とを備えている。この排紙搬送部35は、一方の表面に印刷が行われた片面印刷済みの記録媒体100、並びに一方及び他方の表面に印刷が行われた両面印刷済みの記録媒体100を搬送する。
【0040】
図1及び図2に示すように、反転搬送部36は、記録媒体100の搬送方向の向きを反転させるスイッチバック部364と、水平搬送部34の終端の切換部361からスイッチバック部364を通して再度印刷搬送部32まで記録媒体100を搬送する反転搬送経路RRと、水平搬送部34から搬送される記録媒体100をスイッチバック部364に導きスイッチバック部364から搬送される記録媒体100を印刷搬送部32に導く反転切換部365と、反転搬送経路RRに沿って記録媒体100を搬送する搬送ローラ362、363及び366とを備えている。この反転搬送部36は、片面印刷済みの記録媒体100を搬送しながら反転し、両面印刷に際して印刷搬送部32まで記録媒体100を搬送する。
【0041】
図1に示すように、印刷部6においては、印刷搬送部32の搬送経路RC上にプリントヘッド61が配列されている。このプリントヘッド61は、図示を省略するが、搬送経路RC側にインク吐出ノズルを配列し、このインク吐出ノズルからインクを記録媒体100に向かって突出するインクジェット型プリントヘッドである。プリントヘッド61は、搬送経路RCに沿って各色のインクをそれぞれ吐出する複数個を配列し、搬送経路RCに交差する方向(ここでは直交する方向)に同色のインクをそれぞれ吐出する複数個を配列している。つまり、一実施例に係る画像形成装置1は、プリントヘッド61からブラックインク、シアンインク、マゼンダインク、イエローインクを吐出し、ライン単位において印刷を行う、ラインプリント方式を採用するカラーインクジェットプリンタである。
【0042】
必ずしもこの方式に限定されるものではないが、又その構成を詳細に図示していないが、一実施例に係る画像形成装置1は、プリントヘッド61にインクを供給し、印刷に使用されなかった余剰のインクを回収し、この回収されたインクを再び循環させるインク循環ユニット62を備えている。インク循環ユニット62は各色のインク毎に配設されており、ここでは4色分のインクを循環させるインク循環ユニット62が配設されている。プリントヘッド61の動作並びにインク循環ユニット62は制御部8によって制御を行っている。
【0043】
印刷部6において、搬送経路RCに沿って配設された搬送ベルト321は、終端のない巡回ベルトであり、プラテンプレート63の表面上を走行する。搬送ベルト321は、プラテンプレート63上に記録媒体100を搬送し(供給し)、印刷後にプラテンプレート4上から記録媒体100を搬送(排出)する。
【0044】
プラテンプレート63下つまり搬送経路RCを中心にプリントヘッド61とは反対側(図1中、下側の裏面)には吸引装置7が配設されている。吸引装置7は、印刷部6に搬送され印刷される記録媒体100を搬送ベルト3の図示しない穴を通してしてプラテンプレート63に吸着させる機能を有する。一実施例において、吸引装置7にはエア吸引ファンが使用される。また、一実施例において、吸引装置7は、画像形成装置1の筐体内部に内蔵されているが、画像形成装置1の筐体外部に外付け装置として設置し、吸引ダクトを用いてプラテンプレート63下に配管してもよい。吸引装置7は制御部8に接続され、この制御部8によって吸引装置7の吸引動作が制御されている。
【0045】
また、搬送手段3の給紙搬送部31において、給紙経路RSには各種検出部が配設されている。一実施例に係る画像形成装置1においては、給紙経路RSに、媒体サイズ検出部25、媒体厚検出部26及び封筒形状検出部27が配設されている。媒体サイズ検出部25は、記録媒体100のサイズを検出する機能を有し、例えば反射センサにより構成されている。媒体厚検出部26は、記録媒体100の厚さを検出する機能を有し、例えば透過センサにより構成されている。封筒形状検出部27は、封筒100Eの形状を検出する機能を有し、例えば高精度な検出を実現することができかつ小型サイズを有するコンタクトイメージセンサ(CIS)により構成されている。
【0046】
また、印刷部6の搬送ベルト321又はその駆動を行う駆動ローラ322には記録媒体搬送量検出部28が配設されている。一実施例に係る画像形成装置1において、記録媒体搬送量検出部28は搬送ベルト321の移動量又は駆動ローラ322の回転量に応じて一定の規則的なパルス(エンコーダパルス)を発生するエンコーダにより構成されている。この発生されたパルスは、記録媒体100のサイズ特に搬送方向の長さの検出に使用される。また、記録媒体100として封筒100Eが使用される場合、パルスは、封筒100Eのサイズ、特に搬送方向の長さ、本体の長さ(図3(A)及び図3(B)に示す符号101の長さL)、フラップの長さ(同図に示す符号102の長さLf)の検出に使用される。
【0047】
なお、一実施例に係る画像形成装置1は、ライン単位において印刷を行う方式だけに限定されるものではなく、ライン方向に走査して印刷を行うシリアル方式に適用してもよい。
【0048】
[画像形成装置の基本的な印刷動作]
前述の図1及び図2に示す画像形成装置1の印刷動作は以下の通りである。まず最初に、給紙部2の給紙トレイ21〜24のいずれかに格納された未印刷状態の記録媒体100は、搬送手段3の給紙搬送部31において給紙ローラ201〜204のいずれかを用いて給紙経路RSに導かれる。この記録媒体100は、搬送ローラ205及び206を用いて給紙経路RSに沿ってレジストローラ37に搬送される。この給紙経路RSの搬送中において、媒体サイズ検出部25を用いて記録媒体100のサイズが検出され、媒体厚検出部26を用いて記録媒体100の厚さが検出される。また、給紙トレイ21〜24のいずれかから封筒100Eが供給される場合、給紙経路RSの搬送中に、封筒形状検出部27を用いて封筒100Eの形状が検出される。後述するが、媒体サイズ検出部25を用いた記録媒体100のサイズ、媒体厚検出部26を用いた記録媒体100の厚さ、封筒形状検出部27を用いた封筒100Eの形状のそれぞれの検出には、搬送ベルト321又は駆動ローラ322に配設された媒体搬送量検出部28からのエンコーダパルスの出力が併用される。
【0049】
レジストローラ37は、給紙経路RSに対して垂直方向に配設された一対のローラを備えており、搬送された記録媒体100の供給方向先端の位置合わせ、斜行修正等を行う機能を有する。レジストローラ37に搬送された記録媒体100(又は封筒100E)はここで一旦停止した後、所定のタイミングにおいて印刷搬送部32に搬送される。つまり、レジストローラ37は、記録媒体100の印刷搬送部32への送出タイミングを調整する。
【0050】
印刷搬送部32においては、印刷条件によって定められた移動速度において搬送ベルト321の移動が行われ、この搬送ベルト321の移動に従い搬送経路RCに沿って記録媒体100が搬送される。搬送ベルト321の移動又は駆動ローラ322の回転に伴い、媒体搬送量検出部28は規則的なエンコーダパルスを出力する。プラテンプレート63上に記録媒体100が搬送されると、印刷部6のプリントヘッド61は各色のインクを吐出し、カラー印刷、モノクロ印刷又はグレースケール印刷が行われる。
【0051】
印刷済みの記録媒体100は、搬送経路RCに沿って搬送され、排紙部4に排紙する場合には切換部325を用いて排紙搬送部38に搬送される。排紙搬送部38に搬送された記録媒体100は排紙部4の排紙トレイに格納される。
【0052】
排紙部5に排紙する場合には、印刷済み記録媒体100は上昇搬送部33に搬送され、引き続き水平搬送部34に搬送される。ここで、片面印刷であって直接排紙部5に排紙する場合には切換部361を用いて排紙搬送部35に搬送される。排紙搬送部35に搬送された記録媒体100は排紙部5の排紙トレイに格納される。両面印刷の場合には、水平搬送部34から切換部361を用いて記録媒体100は反転搬送部36に搬送される。反転搬送部36において、記録媒体100は反転搬送経路RRを通してスイッチバック部364に搬送され、この記録媒体100はスイッチバック部364から搬送方向を反転させかつ表裏を反転させて再度レジストローラ37まで搬送される。片面印刷の場合と同様に、この記録媒体100は、レジストローラ37によって送出タイミングを調整して印刷搬送部32に搬送されて印刷を行った後、上昇搬送部33、水平搬送部34、排紙搬送部35を順次搬送され、排紙部5の排紙トレイに格納される。
【0053】
[封筒の種類及び構成]
前述の記録媒体100として使用される封筒100Eには様々な種類がある。図3(A)、図3(B)及び図3(C)に示す封筒100Eは多用されている長形封筒100E1である。
【0054】
長形封筒100E1は、手紙、文章等を内包し、用紙を折り重ねて作成された長方形形状を有し、この長方形形状の3辺が封じられた本体(封筒本体)101と、本体101の残りの1辺に作成され手紙等を内包した後に折り返して綴じるフラップ(折り返し蓋)102とを有する。本体101は、1枚(又は内袋を含めて複数毎)の用紙を2枚に折り重ねた部分と、更に糊付けされた3枚の用紙を重ねた部分1011及び1012とを有する。用紙を重ねた部分1011は、センタ貼りの場合、本体101の中央部に位置しているが、サイド貼りとして3辺のうちの対向する2辺のいずれかに位置してもよい。また、用紙を重ねた部分1012は、本体101のフラップ102と対向する1辺(天に対して地)に位置し、フラップ102と同様の形状を有し、予め糊付けされている。
【0055】
図3(A)に示す長形封筒100E1の本体101及びフラップ102は表面である。この本体101の表面には住所、会社名、氏名等の宛先を表示する表面画像1013が印刷される。図3(B)に示す長形封筒100E1の本体101及びフラップ102は裏面である。この本体101の裏面には住所、会社名、氏名等の送付元を表示する裏面画像1014が印刷される。図3(C)に示す長形封筒100E1の本体101及びフラップ102は断面である。
【0056】
一実施例に係る画像形成装置1においては、裏面画像1014のうち、折り返されたフラップ102に重複しない裏面画像の一部1014Aは本体101の裏面に印刷され、フラップ102の折り返された表面には裏面画像の他の一部1014Bが印刷される。裏面画像の他の一部1014Bは本体101の表面に表面画像1013を印刷するときに併せて印刷される。また、予め本体101にフラップ102が折り返され、裏面画像の他の一部1014Bは本体101の裏面に裏面画像の一部1014Aを印刷するときに併せて印刷される。
【0057】
なお、一実施例に係る画像形成装置1が印刷の対象としている封筒100Eは長形封筒100E1に限定されるものではない。封筒100Eには、少なくとも角形封筒及び洋形封筒が含まれる。また、封筒100Eには、例えば本体101の表面側に透明フィルムの窓を配設した窓付きの封筒が含まれる。
【0058】
[画像形成装置のシステム構成]
図4に示すように、一実施例に係る画像形成装置1の制御部8は、制御用IC(制御用中央演算処理ユニット)80と、画像情報格納部81と、封筒形状情報取得部82とを備えている。制御用IC80は、封筒形状確定手段801と、アシスト速度算出部802と、アシスト速度調整部803とを更に備えている。制御部8のこれらの制御用IC80等は相互に接続され、制御用IC80は画像情報格納部81、封筒形状情報取得部82のそれぞれの制御を司る。制御部8は、インターフェイス部83、操作部84のそれぞれに接続され、このインターフェイス部83、操作部84のそれぞれの制御を司る。
【0059】
制御部8の画像情報格納部81は、封筒情報格納部810と、画像情報展開部811と、封筒画像情報展開部812とを備えている。封筒情報格納部810は、更に封筒形状情報格納部8101と、封筒印刷画像情報格納部8102とを備えている。
【0060】
制御部8の制御用IC80には、更に給紙搬送部31に配設された各種検出部である媒体サイズ検出部25、媒体厚検出部26、封筒形状検出部27、媒体搬送量検出部28のそれぞれが接続されている。また、制御用IC80には駆動回路220が接続され、この駆動回路220は給紙搬送部駆動源210、レジストローラ駆動源211、排紙搬送部駆動源212のそれぞれが接続されている。また、制御用IC80には、ベルト駆動源230、搬送部駆動源231、反転搬送部駆動源232がそれぞれ接続されている。
【0061】
更に、制御用IC80には印刷部6、吸引装置7のそれぞれが接続されている。印刷部6は、更にヘッド駆動部610と、ヘッドギャップ調整部611と、インク循環ユニット62とを備え、これらのヘッド駆動部610等は制御用IC80に接続されている。
【0062】
インターフェイス部83は、画像形成装置1の外部に設置された図示しない外部端末に有線若しくは無線LAN、電話回線、ケーブル等の通信経路を通して接続され、外部端末から送信される画像情報を受信する機能を有する。外部端末は例えばパーソナルコンピュータである。また、インターフェイス部83は、図示しない内蔵スキャナを用いて取り込んだ画像情報や内蔵ファクシミリを通じて送信された画像情報を受信する機能を有する。また、インターフェイス部83は、内蔵スキャナを用いて取り込んだ画像情報や印刷ジョブの処理状態に関する情報を外部端末や外部ファクシミリに送信する機能を有する。更に、インターフェイス部83は、図示しないが、USBメモリ、カードメモリ等の可搬性メモリのスロットを備え、可搬性メモリに記憶された画像情報を取り込む機能を有する。
【0063】
操作部84は、その詳細な構成を省略してあるが、ユーザにおいて画像形成装置1の起動、停止、終了、印刷、画像取り込み、画像送受信等の操作を行う、電源スイッチ、操作パネル等を配設している。操作部84においては、印刷に際して、記録媒体100の種類、サイズ、カラー印刷、モノクロ印刷、グレースケール印刷等の印刷条件の設定を行うことができる。更に、操作部84においては、封筒100Eの印刷に際して、封筒100Eの種類、サイズ、カラー印刷、モノクロ印刷、グレースケール印刷等の印刷条件の設定を行うことができる。
【0064】
画像情報格納部81はインターフェイス部83を通して受信又は取り込まれた画像を格納する機能を有する。この画像情報格納部81には記録媒体100に印刷される画像情報が格納される。画像情報格納部81の封筒情報格納部810には封筒100Eに印刷される画像情報が格納される。
【0065】
封筒情報格納部810の封筒形状情報格納部8101は各種の封筒100Eの形状情報を格納する。ここで、封筒100Eの形状情報とは、少なくとも種類及びサイズの情報である。例えば、図3(A)乃至図3(C)に示す長形封筒100E1はJIS規格化されており、その形状情報には、種類「長4」、この種類の本体101の縦寸法(天地寸法)L「205mm」、幅寸法(巾寸法)W「90mm」に関する情報が含まれている。更に、一実施例に係る画像形成装置1においては、形状情報にフラップ102の縦寸法Lf例えば「20mm」に関する情報が含まれている。封筒100Eの形状情報は各種類毎に対応する情報として格納される。
【0066】
封筒情報格納部810の封筒印刷画像情報格納部8102には、前述の図3(A)及び図3(B)に示す長形封筒100E1の本体101の表面に印刷される表面画像1013、本体101の裏面に印刷される裏面画像1014の双方の画像情報が格納される。
【0067】
画像情報展開部811は、画像情報格納部81に格納された記録媒体100に印刷する画像情報(ここでは、封筒100Eに印刷する画像情報は除く。)に基づき生成された印刷情報を格納する。この画像情報展開部811において、印刷情報の生成とは、例えば画像情報格納部81に格納された画像情報の画素毎に画素値を対応づけたビットマップ情報に展開し印刷情報を生成することである。画像情報展開部811は、回路構成を含み、内部において印刷情報の生成を実行することもできるが、一実施例においては制御用IC80を利用し、この制御用IC80内部の図示しない記憶装置又は画像情報展開部811内に格納されたプログラムに基づき生成された印刷情報を格納する。
【0068】
封筒画像情報展開部812は、基本的には画像情報展開部811と同様の構成並びに機能を有し、封筒情報格納部810の封筒印刷画像情報格納部8102に格納された封筒100Eに印刷する画像情報つまり表面画像1013及び裏面画像1014に基づき生成された封筒印刷情報を格納する。封筒画像情報展開部812において、封筒印刷情報の生成とは、前述の印刷情報の生成と同様に、例えば封筒印刷画像情報格納部8102に格納された画像情報の画素毎に画素値を対応づけたビットマップ情報に展開し封筒印刷情報を生成することである。封筒画像情報展開部812は、回路構成を含み、内部において封筒印刷情報の生成を実行することもできるが、一実施例においては制御用IC80を利用し、この制御用IC80内部の図示しない記憶装置又は封筒画像情報展開部812内に格納されたプログラムに基づき生成された封筒印刷情報を格納する。
【0069】
封筒情報格納部810、画像情報展開部811及び封筒画像情報展開部812を備えた画像情報格納部81は一実施例において記憶装置であり、この記憶装置は例えば大容量を有するハードディスクにより構築されている。記憶装置は、1つのハードディスクを用い封筒情報格納部810、画像情報展開部811、封筒画像情報展開部812のそれぞれを領域として適宜割り当ててもよいし、複数のハードディスクにそれぞれを別々に割り当ててもよい。また、記憶装置は、不揮発性メモリに置き換えてもよいし、複数のハードディスクの場合にはその一部を不揮発性メモリに置き換えてもよい。
【0070】
搬送手段3の給紙搬送部31に配設された媒体サイズ検出部25、媒体厚検出部26、封筒形状検出部27及び媒体搬送量検出部28は制御部8の制御用IC80に接続されている。
【0071】
媒体サイズ検出部25は主に記録媒体100のサイズの検出に使用される。図5(A)及び図5(B)に示すように、媒体サイズ検出部25は、給紙経路RSに搬送される記録媒体100の反射光量の違い及び媒体サイズ検出部25の通過のときの搬送量に基づき記録媒体100の長さ寸法を検出する。また、媒体サイズ検出部25は、搬送方向と交差する方向にセンサを配列した場合には、給紙経路RSに搬送される記録媒体100の幅方向の反射光量の違いに基づき、記録媒体100の幅寸法を検出する。反射光量の違いは電圧の違いとして検出信号を生成し、この検出信号は制御用IC80に出力される。
【0072】
封筒形状検出部27は主に封筒100Eの形状の検出に使用される。封筒形状検出部27は、図6(A)及び図6(B)に示すように、給紙経路RSに搬送される封筒100Eの反射光量(又は透過光量)の違いを検出して封筒100Eの形状を検出する。反射光量(又は透過光量)の違いは電圧の違いとして検出信号を生成し、この検出信号は制御用IC80に出力される。
【0073】
媒体厚検出部26は、記録媒体100の厚さの検出に使用されるとともに、封筒100Eの厚さの検出に使用される。媒体厚検出部26は、図7(A)及び図7(B)に示すように、給紙経路RSに搬送される記録媒体100や封筒100Eの透過光量を検出して記録媒体100や封筒100Eの厚さを検出する。封筒100Eにおいては、フラップ102は1枚の用紙であるので透過光量が大であり、本体101は2枚の用紙であるので透過光量は中であり、用紙を重ねた部分1012は3枚の用紙であるので透過光量は小である。従って、媒体厚検出部26においては、透過光量の違いに基づき、フラップ102、本体101、用紙を重ねた部分1012のそれぞれの厚さを検出することができる。透過光量の違いは電圧の違いとして検出信号を生成し、この検出信号は制御用IC80に出力される。
【0074】
媒体搬送量検出部28には例えばエンコーダが使用され、この媒体搬送量検出部28は、搬送ベルト321の移動又は駆動ローラ322の回転に応じて、図7(C)に示すように、一定間隔(同一ピッチ)を有するパルス波形のエンコーダパルスを生成する。媒体搬送量検出部28から出力されるエンコーダパルスはここでは媒体厚検出部26の封筒100Eの厚さの検出に併用され、封筒100Eの搬送方向において封筒100Eの厚さの変化の時間帯をエンコーダパルス数を用いて計測される。なお、媒体搬送量検出部28の検出出力は媒体サイズ検出部25の検出出力、封筒形状検出部27の検出出力の少なくともいずれか一方と併用し、搬送方向において記録媒体100のサイズの検出に、又は封筒100Eの形状の検出に使用することができる。
【0075】
前述の図4に示す封筒形状情報取得部82は、媒体厚検出部26の出力結果、封筒形状検出部27の出力結果、媒体搬送量検出部28の出力結果に基づき封筒100Eの形状情報を取得する。なお、封筒100Eの形状情報は媒体サイズ検出部25の出力結果に基づき取得することができる。封筒形状情報取得部82においては、特に、媒体厚検出部26の出力結果及び媒体搬送量検出部28の出力結果に基づき、封筒100Eの本体101のサイズ(長さL)及びフラップ102のサイズ(長さLf)の情報、並びに封筒100Eの搬送方向の向きの情報(フラップ102が搬送方向先端側か後端側かの情報)を取得し格納することができる。同一種類、同一形状の多量の封筒100Eの印刷を開始する前には、予め、印刷は行わずに、給紙部2から印刷部6を通して排紙部4又は5まで搬送手段3を用いて1枚(又は数枚の)封筒100Eの通紙が行われ、この通紙の際に封筒100Eの形状情報が取得される。
【0076】
駆動回路220は、制御部8詳細には制御用IC80からの制御信号に基づき、給紙搬送部駆動源210、レジストローラ駆動源211、排紙搬送部駆動源212の駆動を行う。給紙搬送部駆動源210は給紙搬送部31の給紙ローラ201〜204の駆動を行う。レジストローラ駆動源211はレジストローラ37の駆動を行う。排紙搬送部駆動源212は排紙搬送部38の排紙ローラ381、排紙搬送部35の排紙ローラ351の駆動を行う。給紙搬送部駆動源210、レジストローラ駆動源211、排紙搬送部駆動源212のそれぞれには例えばDCモータが使用されている。
【0077】
また、制御用IC80からの制御信号に基づき、ベルト駆動源230、搬送部駆動源231、反転搬送部駆動源232の駆動が行われる。ベルト駆動源230は駆動ローラ322を駆動し、駆動ローラ322は搬送ベルト321を駆動する。搬送部駆動源231は上昇搬送部33の搬送ローラ341、342、水平搬送部34の搬送ローラ351等の駆動を行う。反転搬送部駆動源232は反転搬送部36の搬送ローラ362、363、366の駆動を行う。ベルト駆動源230、搬送部駆動源231のそれぞれには例えばDCブラシレスモータが使用されている。反転搬送部駆動源232には例えばステッピングモータが使用されている。
【0078】
制御部8において制御用IC80の封筒形状確定手段801は、封筒形状情報取得部82に各種検出部の検出結果に基づき取得し格納された封筒情報と、封筒形状情報格納部8101に既存値として予め格納した封筒情報とを比較し、印刷の実行を行う封筒100Eの形状を確定する。この封筒100Eの形状の確定とは、封筒100Eの本体101の長さL、幅W、フラップ102の長さLf、封筒100Eの搬送方向の向き、フラップ102の開閉状態等に関する封筒情報が確定されるという意味である。
【0079】
制御用IC80のアシスト速度算出部802及びアシスト速度調整部803、並びにレジストローラ37、レジストローラ駆動源211、搬送ローラ206、366、給紙搬送部駆動源210及び封筒情報検出手段はアシスト速度制御手段を構築する。アシスト速度制御手段は封筒情報に基づき給紙搬送部駆動源210を用いた搬送ローラ206や366のアシスト速度(請求項に係る搬送速度)の調整を行う機能を有する。ここで、封筒情報検出手段は本発明の請求項並びに特徴に係る封筒情報検出手段である。また、アシスト速度制御手段は本発明の請求項並びに特徴に係るアシスト速度制御手段である。
【0080】
封筒情報検出手段は、一実施例に係る画像形成装置1において、少なくとも、封筒100Eのサイズ(特に、本体101の長さL、フラップ102の長さLfが含まれる。)、封筒100Eの搬送方向の向き及び封筒100Eのフラップ102の開閉状態の各種の封筒情報を検出するために必要な構成を備える。ここでは、少なくとも、封筒100Eの各部の厚さを検出する媒体厚検出部26、封筒100Eの搬送方向の長さを検出する媒体搬送量検出部28、既存値の封筒情報を格納する封筒形状情報格納部8101、封筒情報を取得し格納する封筒形状情報取得部82、封筒情報を確定する封筒形状確定手段801を備え、封筒情報検出手段が構築されている。封筒情報検出手段においては、搬送ローラ206、366のアシスト速度の調整を行うために、最低限、封筒100Eの搬送方向の情報とフラップ102の開閉の情報とを含む封筒情報が検出される。
【0081】
アシスト速度制御手段のアシスト速度算出部802は封筒情報検出手段を用いて検出された封筒情報に基づき搬送ローラ206又は366のアシスト速度を算出する。ここで、アシスト速度とは、給紙経路RSにおいてレジストローラ37と搬送ローラ206又は366との間に搬送される封筒100Eに弛みを生成し、レジストローラ37の封筒100Eの送出タイミング後にも一定の弛みを継続させる搬送ローラ206又は366の搬送速度という意味において使用されている。
【0082】
図8(A)には、給紙部2の給紙トレイ21から給紙搬送部31の給紙経路RSに封筒100Eのフラップ102を搬送方向先端側としてかつフラップ102を開状態として給紙し、レジストローラ37において封筒100Eの搬送方向先端側に弛みを生成した状態が示されている。この場合、レジストローラ37に封筒100Eのフラップ102の先端が当接して一旦先端部分の搬送が停止されるが、搬送ローラ(一次給紙ローラ)206は封筒100Eの搬送方向後端側の搬送を継続中であるので、レジストローラ37と搬送ローラ206との間に封筒100Eの弛みが生じる。フラップ102は本体101に対して折り重ねた用紙枚数が少なく、封筒100Eの弛みの機械的な剛性(腰の強さ)が弱いので、搬送ローラ206側(搬送方向と反対側)への弛みの反動による反発力F1が小さい。従って、封筒100Eと搬送ローラ206との滑りが小さく、搬送ローラ206の封筒100Eのアシスト速度は速くなる。
【0083】
図8(C)には各種ローラの回転速度(アシスト速度)と搬送時間との関係が示されている。縦軸はローラの回転速度を示し、横軸は搬送時間を示す。レジストローラ37は一旦停止した封筒100Eを所定の送出タイミングにおいて印刷搬送部32に送出する。このため、搬送ローラ206を用いて継続的に搬送される封筒100Eを搬送しつつ、生じた弛みを吸収するために、レジストローラ37の搬送速度(加速度)は搬送ローラ206の搬送速度(加速度)に比べて速く、レジストローラ37は一気に一定の搬送速度まで達する。一定の搬送速度はレジストローラ37が封筒100Eを印刷搬送部32に送り切るまで継続される。上記の通り、図8(A)に示すフラップ102を搬送方向先端側とする封筒100Eの搬送においては、反発力F1に起因して搬送ローラ206のアシスト速度が速くなるので、アシスト速度算出部802は、搬送ローラ206のアシスト速度を遅くし、適正なアシスト速度に調整する補正値を算出する。適正なアシスト速度とは、封筒100Eの搬送方向に関係なく、封筒100Eの搬送速度が一定になる速度である。
【0084】
一方、図8(B)には、給紙部2の給紙トレイ21から給紙搬送部31の給紙経路RSに封筒100Eのフラップ102を搬送方向後端側として(本体101の用紙を重ねた部分1012を搬送方向先端側として)かつフラップ102を開状態として給紙し、レジストローラ37において封筒100Eの搬送方向先端側に弛みを生成した状態が示されている。この場合、レジストローラ37に封筒100Eの本体101の用紙を重ねた部分1012の先端が当接して一旦先端部分の搬送が停止されるが、搬送ローラ206は封筒100Eの搬送方向後端側の搬送を継続中であるので、レジストローラ37と搬送ローラ206との間に封筒100Eの弛みが生じる。本体101はフラップ102に対して折り重ねた用紙枚数が多く、封筒100Eの弛みの機械的な剛性が強いので、搬送ローラ206側への弛みの反動による反発力F2が大きい。従って、封筒100Eと搬送ローラ206との滑りが大きく、搬送ローラ206の封筒100Eのアシスト速度は遅くなる。
【0085】
図8(C)において、上記の通り、図8(B)に示す本体101を搬送方向先端側とする封筒100Eの搬送においては、反発力F2に起因して搬送ローラ206のアシスト速度が遅くなるので、アシスト速度算出部802は、搬送ローラ206のアシスト速度を速くし、適正なアシスト速度に調整する補正値を算出する。なお、封筒100Eのフラップ102を搬送方向先端側としてかつフラップ102を閉状態として封筒100Eを搬送した場合、アシスト速度算出部802は、搬送ローラ206のアシスト速度を速くし、適正なアシスト速度に調整する補正値を算出する。
【0086】
搬送ローラ206を適正なアシスト速度に調整することによって、レジストローラ37の封筒100Eの送出のときに弛みを一気に張り詰めた際に生じる騒音の発生を低減することができる。更に、このときに生じる封筒100Eにかかるバックテンションの発生を低減することができるので、封筒100Eの搬送タイミングの遅延、印刷位置のずれ、ジャム等の搬送不良を誘発する要因がなくなる。
【0087】
また、図9(A)には、給紙部2の給紙トレイ22〜24のいずれかから給紙搬送部31の給紙経路RSに、或いは反転搬送部36から給紙経路RSに封筒100Eのフラップ102を搬送方向先端側としてかつフラップ102を開状態として給紙し、レジストローラ37において封筒100Eの搬送方向先端側に弛みを生成した状態が示されている。この場合、レジストローラ37に封筒100Eのフラップ102の先端が当接して一旦先端部分の搬送が停止されるが、搬送ローラ206或いは366は封筒100Eの搬送方向後端側の搬送を継続中であるので、レジストローラ37と搬送ローラ206或いは366との間に封筒100Eの弛みが生じる。図8(A)に示す搬送状態と同様に、フラップ102は本体101に対して折り重ねた用紙枚数が少なく、封筒100Eの弛みの機械的な剛性が弱いので、搬送ローラ206或いは366側への弛みの反動による反発力F1が小さい。従って、封筒100Eと搬送ローラ206或いは366との滑りが小さく、搬送ローラ206或いは366の封筒100Eのアシスト速度は速くなる。
【0088】
図9(C)には図8(C)と同様に各種ローラの回転速度と搬送時間との関係が示されている。上記の通り、図9(A)に示すフラップ102を搬送方向先端側とする封筒100Eの搬送においては、反発力F1に起因して搬送ローラ206のアシスト速度が速くなるので、アシスト速度算出部802は、搬送ローラ206或いは366のアシスト速度を遅くし、適正なアシスト速度に調整する補正値を算出する。搬送ローラ206或いは366のアシスト速度は上昇後に一定の搬送速度になる時間帯があるが、これは搬送ローラ206或いは366からレジストローラ37から印刷搬送部32に封筒100Eを送り切るまでの時間帯である。
【0089】
一方、図9(B)には、給紙部2の給紙トレイ22〜24のいずれかから給紙搬送部31の給紙経路RSに、或いは反転搬送部36から給紙経路RSに封筒100Eのフラップ102を搬送方向後端側としてかつフラップ102を開状態として給紙し、レジストローラ37において封筒100Eの搬送方向先端側に弛みを生成した状態が示されている。この場合、レジストローラ37に封筒100Eの本体101の用紙を重ねた部分1012の先端が当接して一旦先端部分の搬送が停止されるが、搬送ローラ206或いは366は封筒100Eの搬送方向後端側の搬送を継続中であるので、レジストローラ37と搬送ローラ206或いは366との間に封筒100Eの弛みが生じる。本体101はフラップ102に対して折り重ねた用紙枚数が多く、封筒100Eの弛みの機械的な剛性が強いので、搬送ローラ206或いは366側への弛みの反動による反発力F2が大きい。従って、封筒100Eと搬送ローラ206或いは366との滑りが大きく、搬送ローラ206或いは366の封筒100Eのアシスト速度は遅くなる。
【0090】
図9(C)において、上記の通り、図9(B)に示す本体101を搬送方向先端側とする封筒100Eの搬送においては、反発力F2に起因して搬送ローラ206のアシスト速度が遅くなるので、アシスト速度算出部802は、搬送ローラ206のアシスト速度を速くし、適正なアシスト速度に調整する補正値を算出する。
【0091】
アシスト速度算出部802において、補正値は、封筒情報の封筒100Eのサイズ、封筒100Eの搬送方向の向き、封筒100Eのフラップの開閉状態、必要に応じて封筒100Eの紙種(剛性度(堅さ)、摩擦係数等)等を示す各種情報に、実験値や経験値に基づき算出した係数を乗算して算出する。また、アシスト速度算出部802は、予め算出した補正値を封筒情報に対応させたテーブルとして格納し、該当する封筒情報に応じて補正値を取り出すようにしてもよい。
【0092】
アシスト速度算出部802において算出された補正値はアシスト速度調整部803に出力される。このアシスト速度調整部803は、駆動回路220の駆動制御を行い、この駆動回路220及び搬送部駆動源231を通して搬送ローラ206のアシスト速度の調整を補正値に従って行う。また、このアシスト速度調整部803は、駆動回路220の駆動制御を行い、この駆動回路220及び反転搬送部駆動源232を通して搬送ローラ366のアシスト速度の調整を補正値に従って行う。
【0093】
印刷部6のヘッド駆動部610は、制御用IC80に接続され、この制御用IC80の制御信号に基づきプリントヘッド61の図示しない圧電素子に印加する電圧を調整し、インクの吐出の制御を行う。インク循環ユニット62は制御用IC80に接続されている。制御用IC80は、例えば、インク循環ユニット62のインク循環ポンプを制御しインクの循環の制御を行い、又循環されるインクの温度を検出してこの検出結果に基づき温度調整器を制御してインク温度の制御を行う。
【0094】
印刷部6のヘッドギャップ調整部611は、媒体厚検出部26の検出結果に基づき、プリントヘッド61のノズル面と記録媒体100の表面との間のヘッドギャップを適正値に調整する。特に、封筒100Eにおいては、本体101、フラップ102、用紙を重ねた部分1012のそれぞれの厚さが異なるので、一定のヘッドギャップを確保するために、ヘッドギャップ調整部611によってヘッドギャップが調整される。一実施例に係る画像形成装置1において、ヘッドギャップ調整部611は、その機構の詳細を省略しているが、駆動源を用いてプラテンプレート63を上下方向(プリントヘッド61に近づき又は遠ざかる方向)に移動することよって、ヘッドギャップを調整している。
【0095】
吸引装置7は制御用IC80に接続され、この制御用IC80の制御によって吸引装置7の稼働の制御が行われる。吸引装置7は、図示しないが、プラテンプレート63に配設された吸引孔並びに搬送ベルト321に配設された穴を通して、記録媒体100や封筒100Eを搬送ベルト321の表面に吸着させる。従って、記録媒体100や封筒100Eとプリントヘッド61との干渉を防止することができ、かつヘッドギャップを適正に確保することができる。
【0096】
[画像形成装置の封筒印刷方法]
図10に示すように、一実施例に係る画像形成装置1の封筒100Eの印刷方法(アシスト速度補正方法)は以下の通りである。
【0097】
まず最初に、例えば外部端末(例えばパーソナルコンピュータ)を用いて封筒100Eの本体101の表面に印刷される表面画像1013及び本体101の裏面に印刷される裏面画像1014が生成される(S1)。この画像情報は画像形成装置1の制御部8の画像情報格納部81、更に詳細には封筒印刷画像情報格納部8102(図4参照。)に格納される(S2)。
【0098】
次に、封筒100Eの印刷に際して、封筒100Eの形状、厚み等を含む既存値の封筒情報が封筒情報格納部810の封筒形状情報格納部8101に格納済みか否か判定される(S3)。既存値の封筒情報が格納されていない場合には、封筒情報が格納され(S31)、再度、ステップS3に戻る。
【0099】
封筒形状情報格納部8101に既存値の封筒情報が格納されている場合、封筒印刷画像情報格納部8102に格納された画像情報の展開が終了しているか否かが判定される(S4)。画像情報の展開とは、封筒100Eの本体101の表面に印刷される表面画像1013が印刷情報として展開され、本体101の裏面及びフラップ102の表面に印刷される裏面画像1014が印刷情報に展開されていることを意味する。この印刷情報は封筒画像情報展開部812に格納されている。画像情報が展開されていない場合は前段のステップに戻り、画像情報の展開が行われる。
【0100】
画像情報の展開が終了している場合には、封筒100Eの形状(サイズ)、封筒100Eの搬送方向の向き、封筒100Eのフラップ102の開閉状態等を検知するための搬送動作(通紙動作)が必要であるか不必要であるかが判定される(S5)。通紙動作が必要であると判定されると、画像形成装置1の給紙部2の例えば給紙トレイ21から搬送手段3の給紙搬送部31に封筒100Eが供給され、通紙動作(給紙動作)が開始される(S6)。
【0101】
給紙搬送部31において搬送される記録媒体100としての封筒100Eが媒体検出部25、媒体厚検出部26及び封筒形状検出部27を通過したか否かが検知される(S7)。封筒形状検出部27において封筒100Eの形状が検出され、媒体厚検出部26において封筒100Eの各領域の厚さが検出され、封筒情報が検出される(S8)。この封筒情報の検出においては、媒体搬送量検出部28の検出出力が併用される。封筒情報の検出結果は封筒形状情報取得部82に格納される(S9)。制御用IC80に配設された封筒形状確定手段801において封筒形状情報格納部8101に予め格納された既存値の封筒情報と封筒形状情報取得部82に取得され格納された封筒情報とが照合され、双方が一致している場合に封筒100Eの形状、封筒100Eの搬送方向、封筒100Eのフラップ102の開閉状態の各情報が少なくとも確定される(S10)。
【0102】
封筒100Eの封筒情報が確定されると、まず最初に封筒100Eの搬送方向の向きが確定されるので、印刷を開始する封筒100Eの搬送方向先端側がフラップ102であるか否かが判定される(S11)。引き続き、封筒100Eの搬送方向先端側がフラップ102である場合には、封筒100Eのフラップ102が開状態にあるのか閉状態にあるのかが判定される(S12)。封筒100Eのフラップ102が開状態にあると判定されると、レジストローラ37によって弛みを生成したときの反発力F1が小さく(腰が弱く)、搬送ローラ206と封筒100Eとの滑りが少なく、アシスト速度が速くなるので、アシスト速度算出部802は前述の図8(C)に示す搬送ローラ206のアシスト速度が低速となる補正値を算出する(S13)。
【0103】
通紙動作が終了し、封筒100Eの印刷を開始するために、給紙部2の搬送トレイ21から給紙ローラ201を用いて給紙搬送部31の給紙経路RSに封筒100Eが給紙され、搬送ローラ206を用いてレジストローラ37まで封筒100Eが搬送される。封筒100Eの搬送方向先端側がレジストローラ37に当接して一旦停止し、封筒100Eに弛みが生成される。この後、レジストローラ37が所定の送出タイミングにおいて駆動し(S15)、アシスト速度算出部802において算出された補正値に基づきアシスト速度調整部803は駆動回路220、搬送部駆動源231のそれぞれを介して低速のアシスト速度であって適正なアシスト速度において搬送ローラ206の駆動を行う(S16)。搬送ローラ206が適正なアシスト速度に調整されているので、レジストローラ37の封筒100Eの送出のときに弛みを一気に張り詰めた際に生じる騒音の発生を防止することができる。更に、このときに生じる封筒100Eにかかるバックテンションの発生を防止することができる。
【0104】
アシスト動作が終了すると(S17)、搬送ローラ206による搬送動作が終了する(S18)。印刷搬送部32に搬送された封筒100Eには印刷部6において印刷が開始される(S19)。印刷が終了した封筒100Eは排紙部4又は5の排紙トレイに排紙される(S20)。
【0105】
一方、ステップS11において印刷を開始する封筒100Eの搬送方向先端側が本体101である場合、ステップS12において閉状態にある場合、レジストローラ37によって弛みを生成したときの反発力F2が大きく(腰が強く)、搬送ローラ206と封筒100Eとの滑りが大きく、アシスト速度が遅くなるので、アシスト速度算出部802は前述の図8(C)に示す搬送ローラ206のアシスト速度が高速となる補正値を算出する(S14)。この後、ステップS15以降の処理が行われる。この場合においても、搬送ローラ206が適正なアシスト速度に調整されているので、レジストローラ37の封筒100Eの送出のときに弛みを一気に張り詰めた際に生じる騒音の発生を防止することができる。更に、このときに生じる封筒100Eにかかるバックテンションの発生を防止することができる。つまり、封筒100Eの搬送方向の向きやフラップ102の開閉状態に関係なく(ユーザは気にすることなく)、アシスト速度を適正に調整することができる。
【0106】
また、封筒100Eが給紙部2の給紙トレイ22〜24から給紙される場合、両面印刷によって反転搬送部36から再度給紙される場合にも同様である。
【0107】
[実施例の特徴]
前述の一実施例に係る画像形成装置1においては、封筒情報検出手段を用いて封筒100Eの封筒情報を検出し、アシスト速度制御手段を用いて封筒情報に基づき搬送部駆動源231を用いた搬送ローラ206或いは反転搬送部駆動源232のアシスト速度の調整を行うことができる。従って、封筒100Eの印刷において搬送ローラ206或いは366のアシスト速度を適正に調整することができるので、バックテンションの発生を無くして騒音を防止することができる。更に、搬送タイミングの遅延、印刷位置のずれ、ジャム等の搬送不良を防止することができるので、印刷時間の高速化を実現することができる。
【0108】
また、一実施例に係る画像形成装置1においては、封筒情報検出手段を用いて封筒100Eの本体101のサイズ、封筒100Eのフラップ102のサイズ、封筒100Eの搬送方向及び封筒100Eのフラップの開閉状態の各情報を有する封筒情報を検出することができるので、封筒100Eの搬送形態に応じてアシスト速度を適正に調整することができる。
【0109】
また、一実施例に係る画像形成装置1においては、封筒情報検出手段の封筒形状検出部27を用いて封筒100Eの本体101のサイズ及びフラップ102のサイズを検出し、媒体厚検出部26を用いて本体101の厚さ及びフラップ102の厚さを検出することによって、封筒100Eの本体101のサイズ及び厚さ、フラップ102のサイズ及び厚さの封筒情報を得ることができるとともに、封筒100Eの搬送方向及び封筒100Eのフラップ102の開閉状態の封筒情報を抽出することができる。
【0110】
また、一実施例に係る画像形成装置1においては、封筒情報検出手段を用いて検出された封筒情報に基づき、アシスト速度制御手段のアシスト速度算出部802を用いて搬送ローラ206或いは366のアシスト速度を算出し、この算出されたアシスト速度に基づき、アシスト速度調整部803を用いて搬送部駆動源231の搬送ローラ206或いは反転搬送部駆動源232の搬送ローラ336の駆動速度を調整することができるので、封筒100Eの搬送形態に応じてアシスト速度を適正に調整することができる。
【0111】
更に、一実施例に係る画像形成装置1においては、アシスト速度制御手段を用いて、封筒情報検出手段において、封筒100Eのフラップ102が開状態及びフラップ102が封筒100Eの搬送方向先端側であると検出したときのアシスト速度を遅く制御し、封筒100Eのフラップ102が閉状態及びフラップ102が封筒100Eの搬送方向後端側であると検出したときのアシスト速度を速く制御することができるので、封筒100Eの搬送形態に応じてアシスト速度を適正に調整することができる。
【0112】
(その他の実施例)
上記のように、本発明を一実施例によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものでない。本発明は様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術に適用することができる。例えば、本発明は、インクジェットプリンタに限定されるものではなく、レーザプリンタ等、封筒を印刷可能な画像形成装置に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明は、封筒の印刷において搬送ローラのアシスト速度を適正に調整し、騒音を防止するとともに、印刷時間の高速化を実現することができる画像形成装置に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0114】
1…画像形成装置、100…記録媒体、100E…封筒、101…本体、102…フラップ、1013…表面画像、1014…裏面画像、103…折り返し領域、2…給紙部、21〜24…給紙トレイ、25…媒体サイズ検出部、26…媒体厚検出部、27…封筒形状検出部、28…記録媒体搬送量検出部、220…駆動回路、210…給紙搬送部駆動源、211…レジストローラ駆動源、212…排紙搬送部駆動源、230…ベルト駆動源、231…搬送部駆動源、232…反転搬送部駆動源、3…搬送手段、31…給紙搬送部、32…印刷搬送部、33…上昇搬送部、34…水平搬送部、35…排紙搬送部、36…反転搬送部、4、5…排紙部、6…印刷部、61…プリントヘッド、610…ヘッドギャップ駆動部、611…ヘッドギャップ調整部、6101…インク吐出タイミング調整部、62…インク循環ユニット、63…プラテンプレート、7…吸引装置、8…制御部、80…制御用IC、801…封筒形状確定手段、802…アシスト速度算出部、803…アシスト速度調整部、81…画像情報格納部、810…封筒情報格納部、8101…封筒形状情報格納部、8102…封筒印刷画像情報格納部、811…画像情報展開部、812…封筒画像情報展開部、82…封筒形状情報取得部、83…インターフェイス部、84…操作部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送経路に搬送される封筒の印刷部への送出タイミングを調整するレジストローラと、
前記レジストローラを駆動するレジストローラ駆動源と、
前記搬送経路の前記レジストローラの前段に配設され、前記レジストローラに前記封筒を送出する搬送ローラと、
前記搬送ローラを駆動する搬送部駆動源と、
前記搬送経路に配設され、前記封筒の搬送方向及び前記封筒のフラップ開閉の情報を含む封筒情報を検出する封筒情報検出手段と、
前記封筒情報に基づき、前記レジストローラに前記封筒を搬送する前記搬送ローラの搬送速度の調整を行うアシスト速度制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記封筒情報検出手段は、前記封筒の本体のサイズ、前記封筒のフラップのサイズ、又は前記封筒の紙種のいずれかの情報を更に有する前記封筒情報を検出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記封筒情報検出手段は、前記封筒の前記本体のサイズ及び前記フラップのサイズを検出する封筒形状検出部と、前記本体の厚さ及び前記フラップの厚さを検出する媒体厚検出部とを備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記アシスト速度制御手段は、前記封筒情報検出手段を用いて検出された前記封筒情報に基づき、前記搬送ローラの搬送速度を算出するアシスト速度算出部と、前記アシスト速度算出部において算出された搬送速度に基づき、前記搬送部駆動源の搬送ローラの駆動速度を調整するアシスト速度調整部とを備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記アシスト速度制御手段は、前記封筒情報検出手段において、前記封筒の前記フラップが開状態及び前記フラップが前記封筒の搬送方向先端側であると検出したときの前記搬送速度に対して、前記封筒の前記フラップが閉状態及び前記フラップが前記封筒の搬送方向後端側であると検出したときの前記搬送速度を速く制御することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−218835(P2012−218835A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83698(P2011−83698)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】