説明

画像形成装置

【課題】光書込ユニットを保持したまま一体的に開閉される開閉部材を有する画像形成装置であっても、簡素かつ低コストな構成で、開閉部材の開動作に連動してレーザ光の光路を確実に遮断できる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】装置本体1aに対して開閉可能な上カバー40およびフレーム体60の回動に連動して書込動作位置と退避位置との間で移動可能に、フレーム体60に保持された光書込ユニット3を有するプリンタ1において、フレーム体60は、光書込ユニット3が書込動作位置にあるとき、光書込ユニット3の光出射口55から出射されるレーザ光が通過可能な開口65aが形成された遮蔽板65を有し、上カバー40およびフレーム体60が開動作されたとき、光書込ユニット3が書込動作位置から退避位置に移動することにより開口65aと光出射口55との位置が相対的にずれ、光出射口55が遮蔽板65によって遮蔽される構成を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に、光書込ユニットを有する複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、デジタル複写機やレーザプリンタ等の電子写真方式の画像形成装置は、光書込ユニットを有しており、一様に帯電させられた感光体ドラム等の潜像担持体に対して光書込ユニットがレーザ光を光走査することにより潜像を形成するようになっている。このような画像形成装置では、トナーカートリッジや感光体ドラム等の消耗品の交換や用紙詰まりが生じた際、装置の電源が入った状態で装置本体の開閉カバーを開き、消耗品の交換や用紙詰まりの原因となった用紙の除去が行われる。このとき、光書込ユニットからレーザ光が照射された状態で作業が行われると、作業者がレーザ光を直視する可能性がある。このため、一般に、このような画像形成装置においては、作業者の安全を確保するため、開閉カバーに連動して作動するインターロックスイッチなどを有している。開閉カバーが開放状態とされた際には、インターロックスイッチにより電源と光書込ユニットとの接続を電気回路上において遮断することでレーザ光が照射しないようになっている。
【0003】
また、開閉カバーの開放時におけるレーザ光の照射を防止する構成として、電気的な遮断以外に、レーザ光の光路を物理的に遮断して外部にレーザ光が出射しないようにした構成も提案されている。
【0004】
このようなレーザ光の光路を物理的に遮断する画像形成装置として、装置本体前面に設けられたフロントカバーの開閉に連動して、光書込ユニットの光出射口を遮蔽する遮光位置と光出射口から退避する退避位置との間で移動するシャッタ板を有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
この特許文献1に記載のシャッタ板は、コイルバネに圧接された係合突起が一端に形成され、かつ作動部材が他端に固定されている。そして、この画像形成装置では、フロントカバーが開くと、作動部材の作動が解除され、コイルバネにより係合突起を介してシャッタ板が遮光位置に移動する。また、フロントカバーの開状態時、プロセスユニットが取り外されると、規制部材が反時計回りに回転し、この規制部材の係合部がシャッタ板の係合突起に係止される。これにより、シャッタ板は、遮光位置に規制される。
【0006】
また、同様の構成を有する画像形成装置として、光書込ユニットからのレーザ光を遮断するよう遮蔽部材としての羽根が配置されたシャッタユニットを有し、プロセスカートリッジまたはトナー補給容器のいずれか一方が画像形成装置本体から取り出されると、シャッタユニットの羽根が連動機構により開位置から閉位置に移動してレーザ光の照射を遮蔽するよう構成されたものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
さらに、レーザ光が通過する開口が光通過性の防塵部材で覆われた画像形成装置であって、防塵部材を覆う遮蔽位置と防塵部材を露出させる露出位置との間でスライド移動自在な遮蔽部材と遮蔽部材が貼付されたステー部材とからなる遮蔽ユニットと、遮蔽ユニットのステー部材を移動させる駆動部とを備えたものが知られている(例えば、特許文献3参照)。遮蔽ユニットは、画像形成動作実行前に駆動部により遮蔽部材が露出位置にスライド移動させられ、画像形成動作終了時に駆動部により遮蔽部材が遮蔽位置にスライド移動させられるようになっている。これにより、画像形成動作終了後に、防塵部材にトナーや塵埃が付着するのを防止している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載の従来の画像形成装置にあっては、いずれもレーザ光を出射する光書込ユニットが画像形成装置本体に装着され、装着された光書込ユニットに対して、外装カバーなどの開閉部材の開閉あるいはプロセスカートリッジなどの着脱に連動して、シャッタ板やシャッタユニットの羽根がレーザ光の光路を遮断する構成であるため、光書込ユニットが開閉部材に保持されている画像形成装置であって、開閉部材の開閉に伴い光書込ユニットも画像形成装置本体に対して開閉部材とともに開閉する構成の画像形成装置に適用することに関してなんら考慮されていないという問題があった。
【0009】
また、特許文献3に記載の従来の画像形成装置にあっては、遮蔽ユニットを駆動するための駆動部が必要であり、その構成が複雑となり、画像形成装置の大型化および高コスト化を招来するという問題があった。
【0010】
本発明は、上述のような従来の問題を解決するためになされたもので、光書込ユニットを保持したまま一体的に開閉される開閉部材を有する画像形成装置であっても、簡素かつ低コストな構成で、開閉部材の開動作に連動してレーザ光の光路を確実に遮断することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る画像形成装置は、上記目的を達成するため、装置本体と、前記装置本体に対して開位置と閉位置との間で回動可能に支持された開閉部材と、前記開閉部材の回動に連動して、潜像を担持する像担持体の表面にレーザ光を照射することにより潜像を書き込む書込動作位置と前記潜像の書き込みを行わない退避位置との間で移動可能に前記開閉部材に保持された光書込ユニットと、を備え、前記光書込ユニットは、前記レーザ光を出射させる光出射口を有し、前記開閉部材は、前記光書込ユニットが前記書込動作位置にあるとき、前記光出射口から出射されるレーザ光が通過可能な開口が形成された遮蔽部材を有し、前記開閉部材が前記閉位置から前記開位置に回動したとき、前記開口に対して前記光出射口の位置が相対的にずれるよう前記光書込ユニットが前記書込動作位置から前記退避位置に移動することにより、前記光出射口が前記遮蔽部材によって遮蔽される構成を有する。
【0012】
この構成により、本発明は、開閉部材が閉位置から開位置に回動したとき、遮蔽部材の開口に対して光書込ユニットの光出射口の位置が相対的にずれるよう光書込ユニットが書込動作位置から退避位置に移動することにより、光出射口が遮蔽部材によって遮蔽されるようにしたので、光書込ユニットを保持したまま一体的に開閉される開閉部材を有する画像形成装置であっても、簡素かつ低コストな構成で、開閉部材の開動作に連動してレーザ光の光路を確実に遮断することができる。
【0013】
また、本発明に係る画像形成装置において、前記開閉部材は、前記装置本体に対して上下方向に回動可能に構成され、前記光書込ユニットは、前記開閉部材が前記閉位置から前記開位置に向って上方向に回動したとき、自重により前記書込動作位置から前記退避位置に移動する構成を有する。
【0014】
この構成により、本発明は、開閉部材が閉位置から開位置に向って上方向に回動したとき、光書込ユニットが自重により書込動作位置から退避位置に移動するようにしたので、光書込ユニットの自重を利用した簡易な構成で、開閉部材の開動作に連動して光書込ユニットを書込動作位置から退避位置に移動させることができる。
【0015】
また、本発明に係る画像形成装置において、前記装置本体は、前記書込動作位置にある前記光書込ユニットを支持する本体側支持部を有し、前記光書込ユニットは、前記書込動作位置に移動したとき、前記本体側支持部に支持されることにより前記開閉部材による支持が解除される構成を有する。
【0016】
この構成により、本発明は、書込動作位置に移動したとき、光書込ユニットが本体側支持部に支持されることにより開閉部材による支持が解除されるので、光書込ユニットを適切な書込動作位置に確実に保持することができる。
【0017】
また、本発明に係る画像形成装置において、前記開閉部材は、前記光書込ユニットを支持するよう回動支点から離隔する離隔方向に複数配置された支持部を有し、前記光書込ユニットは、前記支持部に支持される複数の支持突起を有し、その重心が前記回動支点と前記支持部のうち前記回動支点から前記離隔方向に最も離隔した第1支持部との間に位置する構成を有する。
【0018】
この構成により、本発明は、光書込ユニットの重心が、回動支点と回動支点から離隔方向に最も離隔した第1支持部との間に位置するので、開閉部材による光書込ユニットの保持を安定させることができる。
【0019】
また、本発明に係る画像形成装置において、前記第1支持部は、前記光書込ユニットを挟んで前記離隔方向と直交する方向に対向するよう前記開閉部材に一対設けられ、前記開閉部材の回動角度は、前記一対の第1支持部を結ぶ軸線に直交し、かつ前記重心を通る平面を第1平面としたとき、前記軸線と前記第1平面との交点と前記重心とを結ぶ線と水平線とのなす角度が90°未満となるよう設定されるのが好ましい。
【0020】
また、本発明に係る画像形成装置において、前記光書込ユニットは、前記複数の支持突起のうち、前記第1支持部に支持される一対の第1支持突起を有し、前記第1支持突起は、付勢部材により前記第1支持部に付勢されている構成を有する。
【0021】
この構成により、本発明は、第1支持突起が付勢部材により第1支持部に付勢されているので、開閉部材の開状態時において光書込ユニットを開閉部材に安定して保持させることができる。
【0022】
また、本発明に係る画像形成装置において、前記開閉部材の複数の支持部のうち、少なくともいずれか1つの第2支持部は、開口部で構成されるとともに前記開口部の底面の一部に凹部が形成され、前記光書込ユニットは、前記複数の支持突起のうち、前記第2支持部に支持される第2支持突起を有し、前記第2支持突起は、前記光書込ユニットが前記書込動作位置から前記退避位置に移動したとき、前記凹部に嵌合する構成を有する。
【0023】
この構成により、本発明は、光書込ユニットが書込動作位置から退避位置に移動したとき、光書込ユニットの第2支持突起が第2支持部の凹部に嵌合するようにしたので、光書込ユニットを簡易な構成により退避位置に保持することができる。
【0024】
また、本発明に係る画像形成装置において、前記開閉部材および前記遮蔽部材は、樹脂部材で構成され、前記遮蔽部材が前記開閉部材と一体成形されている構成を有する。
【0025】
この構成により、本発明は、遮蔽部材が開閉部材と一体成形された樹脂部材で構成されているので、部品点数の削減および組立工数の削減を図ることができる。
【0026】
また、本発明に係る画像形成装置において、前記開閉部材は、前記装置本体に対して開閉可能な上カバーと、前記上カバーと一体的に回動するとともに前記光書込ユニットを支持する一対のフレームとから構成され、前記遮蔽部材は、前記一対のフレーム同士を結合するステー部材である構成を有する。
【0027】
また、本発明に係る画像形成装置において、前記光書込ユニットは、レーザ光を射出する複数の光源と、前記複数の光源に対応する複数の光出射口とを有し、前記遮蔽部材は、前記複数の光出射口をそれぞれ遮蔽する構成を有する。
【0028】
また、本発明に係る画像形成装置において、前記遮蔽部材は、前記光書込ユニットの底板を構成するとともに、前記光書込ユニットを前記書込動作位置と前記退避位置との間でスライド可能に保持し、かつ前記開閉部材に係止されている構成を有する。
【発明の効果】
【0029】
本発明では、光書込ユニットを保持したまま一体的に開閉される開閉部材を有する画像形成装置であっても、簡素かつ低コストな構成で、開閉部材の開動作に連動してレーザ光の光路を確実に遮断することができる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るプリンタの概略構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るプロセスユニットを示す概略構成図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る光書込ユニットを示す概略構成図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る光書込ユニットを示す斜視図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る光書込ユニットの支持構造を示す斜視図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る光書込ユニットの支持構造を示す正面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る遮蔽板の取付構造を示す斜視図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る光書込ユニットの支持構造を示す側面図であって、(a)は、書込動作位置を示す図であり、(b)は、退避位置を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る光出射口および遮蔽板の一部拡大断面図であって、(a)は、書込動作位置を示す図であり、(b)は、退避位置を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る光書込ユニットの重心を通る平面を示す斜視図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る光書込ユニットの支持構造を示す図であって、光書込ユニットが退避位置にあるときの状態を示す側面図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る光書込ユニットに作用するモーメントを説明するための図である。
【図13】遮蔽板の取付構造の変形例を示す斜視図である。
【図14】遮蔽板の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0032】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明に係る画像形成装置の一実施の形態を示す図であり、画像形成装置を電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタという)に適用した例を示している。なお、本実施の形態においては、一般的な静電作像方法を用いて画像を形成するフルカラーのプリンタについて説明するが、これに限らず、例えばモノクロ画像を形成する画像形成装置に適用してもよい。
【0033】
まず、構成を説明する。
図1に示すように、画像形成装置としてのプリンタ1は、プロセスユニット2Y、2M、2C、2K(以下、単にプロセスユニット2ともいう)と、光書込ユニット3と、転写ユニット4と、給紙カセット5と、定着装置6と、を含んで構成されている。
【0034】
プロセスユニット2Y、2M、2C、2Kは、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、単にY、M、C、Kと記す)のトナー像を形成するためのプロセスユニットである。これら各プロセスユニット2Y、2M、2C、2Kは、画像形成物質として、互いに異なる色のY、M、C、Kトナーを用いるが、それ以外の構成は同一であり、寿命到達時に交換される。
【0035】
次いで、図2を参照して、プロセスユニット2Y、2M、2C、2Kの詳細な構成について、Kトナー像を形成するためのプロセスユニット2Kを例に説明する。
【0036】
図2に示すように、プロセスユニット2Kは、像担持体としてのドラム状の感光体10Kと、帯電装置11Kと、現像装置12Kと、ドラムクリーニング装置13Kと、図示しない除電装置と、を含んで構成されている。
【0037】
画像形成ユニットとしてのプロセスユニット2Kは、プリンタ1の装置本体1aに脱着可能であり、消耗部品として一度に交換可能になっている。
【0038】
感光体10Kは、図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転させられるようになっており、その表面が帯電装置11Kにより一様に帯電させられるようになっている。そして、一様に帯電させられた感光体10Kの表面には、レーザ光Lによって露光走査されることにより、K用の静電潜像が担持されるようになっている。帯電装置11Kは、感光体10Kの表面を一様に帯電させるようになっている。
【0039】
現像装置12Kは、図示しないKトナーを収容するホッパ部14Kと、現像部15Kとを有している。ホッパ部14K内には、図示しない駆動手段によって回転駆動されるアジテータ16Kと攪拌パドル17Kおよびトナー供給ローラ18Kなどが配設されている。ホッパ部14K内のKトナーは、アジテータ16Kや攪拌パドル17Kの回転駆動によって攪拌されながら、自重によってトナー供給ローラ18Kに向けて移動するようになっている。
【0040】
トナー供給ローラ18Kは、金属製の芯金と、これの表面に被服された発砲樹脂等からなるローラ部とを有しており、ホッパ部14K内のトナーをローラ部の表面に付着させながら回転するようになっている。
【0041】
現像部15K内には、感光体10Kやトナー供給ローラ18Kに当接しながら回転する現像ローラ19Kや現像ローラ19Kの表面に先端を当接させる薄層化ブレード20Kなどが配設されている。ホッパ部14K内のトナー供給ローラ18Kに付着したKトナーは、現像ローラ19Kとトナー供給ローラ18Kとの当接部で現像ローラ19Kの表面に供給されるようになっている。このように供給されたKトナーは、現像ローラ19Kの回転に伴ってローラと薄層化ブレード20Kとの当接位置を通過する際に、ローラ表面上での層厚が規制されるようになっている。そして、層厚規制後のKトナーは、現像ローラ19Kと感光体10Kとの当接部である現像領域において、感光体10K表面の静電潜像に付着するようになっている。このような付着により、K用の静電潜像がKトナー像に現像されるようになっている。
【0042】
ドラムクリーニング装置13Kは、転写工程を経た後の感光体10K表面に残留している転写残トナーを除去するようになっている。また、除電装置は、クリーニング後の感光体10Kの残留電荷を除電するようになっている。このような除電装置による除電により、感光体10Kの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。
【0043】
その他の色のプロセスユニット2Y、2M、2Cにおいても、同様にして感光体10Y、10M、10C上にそれぞれY、M、Cトナー像が形成されて、後述する転写ベルト21上に搬送される記録紙Pに重畳転写されるようになっている。
【0044】
なお、図2を参照して、K用のプロセスユニットについて説明したが、Y、M、C用のプロセスユニット2Y、2M、2Cにおいても、同様のプロセスにより、感光体10Y、10M、10Cの表面にY、M、Cトナー像が形成される。
【0045】
図1に示すように、光書込ユニット3は、プロセスユニット2Y、2M、2C、2Kの鉛直方向上方に配設され、画像情報に基づいてレーザーダイオード等の半導体レーザから発したレーザ光Lにより、プロセスユニット2Y、2M、2C、2Kにおける感光体10Y、10M、10C、10Kを光走査するようになっている。このような光走査により、感光体10Y、10M、10C、10K上には、Y、M、C、K用の静電潜像が形成される。
【0046】
なお、光書込ユニット3は、図示しないポリゴンモータによって回転駆動したポリゴンミラー3aによって光源から発したレーザ光Lを主走査方向に偏向させながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体10Y、10M、10C、10Kに照射するものである。
【0047】
転写ユニット4は、プロセスユニット2Y、2M、2C、2Kの鉛直方向下方に配設され、無端状の転写ベルト21と、駆動ローラ22と、従動ローラ23と、4つの転写ローラ24Y、24M、24C、24Kと、ベルトクリーニング装置26とを含んで構成されている。
【0048】
転写ベルト21は、そのループ内側に配設された駆動ローラ22、従動ローラ23および4つの転写ローラ24Y、24M、24C、24Kによって張架されている。この転写ベルト21は、駆動ローラ22が図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動されることにより、同方向に無端移動するようになっている。
【0049】
4つの転写ローラ24Y、24M、24C、24Kは、感光体10Y、10M、10C、10Kとの間に、無端移動する転写ベルト21を挟み込んでいる。このような挟み込みにより、転写ベルト21の表面と感光体10Y、10M、10C、10Kとが当接するY、M、C、K用の転写ニップが形成される。
【0050】
また、転写ローラ24Y、24M、24C、24Kには、図示しない転写バイアス電源によってそれぞれ転写バイアスが印加されるようになっており、この転写バイアスの印加により、感光体10Y、10M、10C、10Kの静電潜像と転写ローラ24Y、24M、24C、24Kとの間に転写電界が形成される。なお、転写ローラ24Y、24M、24C、24Kに代えて、転写チャージャや転写ブラシ等を採用してもよい。
【0051】
給紙カセット5は、転写ユニット4の鉛直方向下方に配設され、記録紙Pを複数枚重ねた紙束の状態で収容するようになっている。また、給紙カセット5は、プリンタ1の装置本体1a(筺体)に対してスライド着脱可能に構成されている。
【0052】
この給紙カセット5に収容された紙束の最上位の記録紙Pには、給紙ローラ5aが当接しており、給紙ローラ5aは、所定のタイミングで図中反時計回りに回転することにより、記録紙Pを給紙路30に向けて送出するようになっている。
【0053】
給紙路30の下流末端付近には、レジストローラ対31が配設されており、このレジストローラ対31は、給紙カセット5から送出された記録紙Pをローラ間に挟み込むとすぐにローラの回転を停止させるようになっている。そして、レジストローラ対31は、感光体10Y、10M、10C、10Kのそれぞれに現像されたトナー像に同期させ得るタイミングで回転運動を再開することにより、挟み込んだ記録紙Pを転写ニップに向けて送出するようになっている。
【0054】
転写ニップに向けて送出された記録紙Pは、転写ベルト21により搬送されて、K用の転写ニップに進入すると、転写電界やニップ圧の作用により感光体10Kの表面に形成されたKトナー像が転写される。また、Kトナー像が転写された記録紙Pは、転写ベルト21の無端移動に伴いC、M、Y用の転写ニップを通過する。このとき、感光体10Y、10M、10C上のY、M、Cトナー像が、Kトナー像上に順次重畳転写される。これにより、記録紙P上には、記録紙Pの白色と相まってフルカラートナー像が画像形成される。このようにフルカラートナー像が表面に形成された記録紙Pは、定着装置6に搬送される。
【0055】
ところで、転写ニップを通過した後の転写ベルト21には、記録紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。このような転写残トナーは、転写ベルト21の表面に当接するベルトクリーニング装置26によって、ベルト表面からクリーニングされる。
【0056】
定着装置6は、図示しないハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ6aと、この定着ローラ6aに所定の圧力で当接しながら回転する加圧ローラ6bとを含んで構成されており、定着ローラ6aと加圧ローラ6bとにより定着ニップを形成するようになっている。
【0057】
ここで、定着装置6内に搬送された記録紙Pは、その未定着トナー像担持面を定着ローラ6aに密着させるようにして、定着ニップに挟まれる。そして、加熱や加圧の影響によってトナー像中のトナーが軟化せしめられて、フルカラー画像が定着される。
【0058】
また、定着装置6の上方には、排紙ローラ対34が配設されており、この排紙ローラ対34は、定着装置6から排出され、排紙路35を経由して搬送される記録紙Pを、機外へ排出し、後述する上カバー40の上面であるスタック部にスタックするようになっている。上カバー40は、装置本体1aに対して上下方向に開閉可能である。
【0059】
次いで、図3を参照して、光書込ユニット3の詳細について説明する。
図3に示すように、光書込ユニット3は、ハウジング50を有し、このハウジング50内には、図示しない4つの半導体レーザ等からなる光源と、図示しないコリメートレンズ、開口絞り、シリンドリカルレンズ等の入射光学系と、ポリゴンミラー3aと、ポリゴンモータ51と、fθレンズ52と、折り返しミラー53とが、それぞれ保持されている。
【0060】
ハウジング50の底面には、光源から出射された4本のレーザ光がそれぞれ被走査部材の各感光体10Y、10M、10C、10Kに照射されるよう、その光路上に4つの光出射口55が形成されている。この光出射口55は、レーザ光Lが主走査方向に光走査可能なように、主走査方向に長い形状とされている。また、ハウジング50の上部開口は、ハウジングカバー54により閉塞されている。
【0061】
前述の入射光学系は、4つの光源から出射された4本のレーザ光Lをポリゴンミラー3aの反射面上に線状に結像するようになっている。
【0062】
ポリゴンミラー3aは、ポリゴンモータ51により一定角速度で回転駆動されるようになっている。ポリゴンミラー3aは、光源から出射されたレーザ光Lを主走査方向に偏向させるようになっている。
【0063】
fθレンズ52は、fθ特性を有し、ポリゴンミラー3aにより反射、偏向された光束によって、表面に結像され走査される被走査部材である感光体10Y、10M、10C、10K上でスポットを形成するようになっている。また、fθレンズ52は、感光体10Y、10M、10C、10K上におけるスポットの主走査方向の移動速度が一定になるように設計されている。fθレンズ52を通過した各レーザ光Lは、折り返しミラー53を介して感光体10Y、10M、10C、10K上に照射される。
【0064】
ここで、光書込ユニット3とその下方に位置するプロセスユニット2との間には、後述する遮蔽板65が設けられており、この遮蔽板65には、光書込ユニット3の光出射口55と対応するよう4つの開口65aが形成されている。図3で示されるように、光書込ユニット3が書込動作位置に位置している場合は、開口65aが光出射口55と鉛直方向に一致し、光書込ユニット3から出射されるレーザ光Lが開口65aを通過し、感光体10Y、10M、10C、10Kに向けて照射可能とされている。
【0065】
次いで、図4を参照して、光書込ユニット3のハウジング50について説明する。
図4に示すように、光書込ユニット3のハウジング50は、その側面に3つの支持突起50a、50b、50cを有している。この3つの支持突起50a、50b、50cのうち、支持突起50aと支持突起50bとは、図中矢印Aで示す主走査方向にその軸線が一致するように配置されている。すなわち、支持突起50aおよび支持突起50bは、同一軸線上に位置する。なお、支持突起50aおよび支持突起50bは、同一軸線上に位置してなくてもよい。本実施の形態における支持突起50aおよび支持突起50bは、本発明に係る第1支持突起を構成している。
【0066】
一方、支持突起50cは、ハウジング50の図中手前側の側面、すなわち支持突起50aが設けられた側面に設けられ、主走査方向と直交する矢印Bで示す方向に支持突起50aから所定距離だけ離隔した位置に配置されている。なお、本実施の形態では、支持突起50cをハウジング50の図中手前側の側面に設けたが、これに限らず、この側面と反対側の図中奥側の側面に設けてもよいし、これら両側面に一対の支持突起として設けてもよい。
【0067】
また、ハウジング50の底面には、後述するステー部材83に当接して、光書込ユニット3の上下方向の位置決めを行う位置決め用突起56が設けられている(図8(a)参照)。この位置決め用突起56は、ハウジング50の底面の主走査方向(図4中、矢印Aで示す方向)中央であって、支持突起50cが配置された側に配置されている。
【0068】
次いで、図5〜図8を参照して、光書込ユニット3の保持構造について説明する。なお、図5〜図7においては、説明の便宜上、上カバー40の図示を省略している。
【0069】
図5に示すように、光書込ユニット3は、一対の左フレーム60Lおよび右フレーム60Rからなるフレーム体60に、書込動作位置と退避位置との間で図中矢印Bで示す方向に移動可能に保持されるようになっている。ここで、書込動作位置とは、光書込ユニット3が感光体10Y、10M、10C、10Kの表面にレーザ光Lを照射することにより潜像を書き込み可能な位置(図3、図8(a)参照)をいう。すなわち、書込動作位置は、上カバー40が閉状態とされたときの光書込ユニット3が保持された位置である。これに対し、退避位置とは、潜像の書き込みを行わない、すなわち上カバー40が開状態とされたときの光書込ユニット3の位置(図8(b)参照)をいう。
【0070】
フレーム体60は、回動軸61を有しており、この回動軸61には左フレーム60Lおよび右フレーム60Rの一端が取り付けられている。また、フレーム体60には、光書込ユニット3を覆うように、図1に示す上カバー40が取り付けられている。そして、フレーム体60は、上カバー40の開閉とともに、回動軸61を支点に装置本体1aに対して上下方向に上カバー40と一体的に回動するようになっている(図1参照)。このように、上カバー40およびフレーム体60は、装置本体1aに対して開位置と閉位置との間で上下方向に回動可能に支持されている。本実施の形態における上カバー40およびフレーム体60は、本発明に係る開閉部材を構成している。
【0071】
さらに、フレーム体60は、回動軸61から離隔する方向(図中矢印Bで示す方向のうち、図中右下方向)に配置された3つの支持部60a〜60cを有しており、支持部60a、60cは、左フレーム60Lに設けられ、支持部60bは、右フレーム60Rに設けられている。また、支持部60a〜60cのうち、支持部60a、60bは、回動軸61から最も離隔した位置に配置される。
【0072】
支持部60aと支持部60bとは、図中矢印Bで示す方向と直交する図中矢印Aで示す主走査方向に、光書込ユニット3を挟んで互いに対向する位置に配置されている。支持部60aおよび支持部60bは、それぞれ開口部で構成され、光書込ユニット3の支持突起50aおよび支持突起50bをそれぞれ支持するようになっている。本実施の形態における支持部60aおよび支持部60bは、本発明に係る第1支持部を構成している。
【0073】
また、支持部60aおよび支持部60bの図中矢印Bで示す方向の幅Wは、光書込ユニット3の支持突起50aおよび支持部60bの幅W(図4参照)よりも大きく設定されている。これにより、光書込ユニット3の書込動作位置と退避位置との間の移動に応じた支持突起50aおよび支持部60bの図中矢印B方向の移動が許容される。
【0074】
また、支持部60a、60bに支持される支持突起50a、50bは、付勢部材としての圧縮コイルバネ63により、支持部60a、60bのそれぞれの底面70a、70bに押し当てられるよう付勢されている。圧縮コイルバネ63は、上部に位置する一端が上カバー40(図1参照)に係止されており、下部に位置する他端が支持突起50a、50bの上面にそれぞれ形成された図示しない係合突起に係止されている。
【0075】
また、図6に示すように、支持突起50a、50bは、支持部60a、60bに支持された状態で、左フレーム60Lおよび右フレーム60Rから外側にいくらか突出するような長さに設定されている。これにより、光書込ユニット3が書込動作位置に移動したとき、左フレーム60Lおよび右フレーム60Rから外側に突出した支持突起50a、50bが装置本体1aに設けられたガイドフレーム80の本体側支持部81に支持されるようになっている。
【0076】
図5に示すように、支持部60cは、左フレーム60Lにおいて図中矢印Aで示す方向に、貫通した開口部で構成されており、光書込ユニット3の支持突起50cを支持するようになっている。支持部60cの図中矢印Bで示す方向の幅Wは、光書込ユニット3の支持突起50cの幅W(図4参照)よりも大きく設定されている。これにより、光書込ユニット3の書込動作位置と退避位置との間の移動に応じた支持突起50cの図中矢印B方向の移動が許容される。
【0077】
図7に示すように、フレーム体60は、遮蔽部材としての遮蔽板65を有し、この遮蔽板65は、ネジ等の締結部材66により左フレーム60Lおよび右フレーム60Rの底面に締結固定される。この締結固定により、遮蔽板65は、左フレーム60Lと右フレーム60Rとを結合するステー部材としての機能を有する。
【0078】
図8(a)、(b)に示すように、装置本体1a内には、プロセスユニット2を着脱可能に支持するガイドフレーム80が設けられている。本実施の形態に係るプリンタ1において、プロセスユニット2の交換時には、各プロセスユニット2Y、2M、2C、2K(図1参照)は、ガイドフレーム80のガイドに沿って着脱される。なお、図8(a)、(b)において、ガイドフレーム80は、図中手前側すなわち左フレーム60L側のみ示しているが、光書込ユニット3を挟んで反対側(図中奥側)すなわち右フレーム60R(図5参照)側にも同様に設けられている。
【0079】
また、ガイドフレーム80は、その上部に本体側支持部81が設けられており、この本体側支持部81には、図8(a)に示すように、書込動作位置にあるときの光書込ユニット3の支持突起50a、50bが支持されるようになっている。図8(a)に示す書込動作位置では、光書込ユニット3の支持突起50a、50bは、左フレーム60Lおよび右フレーム60Rによる保持が解除され、ガイドフレーム80の本体側支持部81に支持されることとなる。このとき、光書込ユニット3の位置決め用突起56が装置本体1aに設けられたステー部材83に当接し、光書込ユニット3の上下方向の位置決めがなされる。
【0080】
さらに、本体側支持部81は、底面81aに対して所定の角度で傾斜した案内面81bを有している。このため、上カバー40およびフレーム体60が図8(b)に示す開位置から図8(a)に示す閉位置に回動する際、退避位置にある光書込ユニット3の支持突起50a、50bが案内面81bで案内されることによって、光書込ユニット3が図中矢印Cで示す方向に移動するようになっている。これにより、光書込ユニット3は、退避位置から書込動作位置に移動するようになっている。
【0081】
次いで、図8、図9を参照して、開閉部材の開閉動作に伴うレーザ光の遮蔽動作について、説明する。
【0082】
図8(a)に示すように、上カバー40が装置本体1aに対して閉じられている状態(閉状態)では、光書込ユニット3の支持突起50a、50bが本体側支持部81に支持されている。これにより、光書込ユニット3は、書込動作位置に保持されている。したがって、図9(a)に示すように、光書込ユニット3のハウジング50の光出射口55と遮蔽板65の開口65aとは、その位置が鉛直方向に一致している。このため、レーザ光Lは、遮断されることなく、光出射口55および開口65aを通過して、下方に位置する感光体10Y、10M、10C、10K(図3参照)にそれぞれ照射される。
【0083】
この状態から、図8(b)に示すように、例えばプロセスユニット2の交換のために、上カバー40が装置本体1aに対して開状態とされると、上カバー40の開動作と一体となってフレーム体60が開位置に向けて上方に回動する。このとき、光書込ユニット3は、フレーム体60の回動角が大きくなるにつれて、自重により、書込動作位置から退避位置に向けて図中矢印Dで示す方向に移動する。同時に、図9(b)に示すように、光書込ユニット3のハウジング50の光出射口55は、遮蔽板65の開口65aに対して、相対的にその位置が矢印D方向に徐々にずれる。
【0084】
そして、自重で移動する光書込ユニット3は、支持突起50cが支持部60cの側面に当接し、それ以上の矢印D方向への移動が規制され、退避位置に保持される。このとき、光出射口55は、図9(b)に示すように、遮蔽板65により完全に遮蔽された状態となる。これにより、レーザ光Lは、遮蔽板65により遮断され、光書込ユニット3の外部に照射されないようになる。
【0085】
また、フレーム体60が上方へ回動することにより、本体側支持部81による光書込ユニット3の支持突起50a、50bの支持が解除される。この本体側支持部81による支持が解除されると、支持突起50a、50bは、圧縮コイルバネ63により付勢され、支持部60a、60bのそれぞれの底面70a、70bに押し当てられる。これにより、支持突起50a、50bは、支持部60a、60bにそれぞれ支持されることとなる。
【0086】
以上のように、本実施の形態では、上カバー40およびフレーム体60が閉位置から開位置に回動したとき、遮蔽板65の開口65aに対して光書込ユニット3の光出射口55の位置が相対的にずれるよう光書込ユニット3が書込動作位置から退避位置に移動することにより、光出射口55が遮蔽板65によって遮蔽されるようにしたので、光書込ユニット3を保持したまま一体的に開閉される上カバー40およびフレーム体60を有する画像形成装置であっても、簡素かつ低コストな構成で、上カバー40およびフレーム体60の開動作に連動してレーザ光の光路を確実に遮断することができる。
【0087】
また、本実施の形態では、光書込ユニット3の自重を利用することにより、簡易な構成で、上カバー40およびフレーム体60の開動作に連動して光書込ユニット3を書込動作位置から退避位置に移動させることができる。
【0088】
また、本実施の形態では、書込動作位置に移動したとき、光書込ユニット3が本体側支持部81に支持されることによりフレーム体60による支持が解除されるので、光書込ユニット3を適切な書込動作位置に確実に保持することができる。
【0089】
また、本実施の形態では、支持突起50a、50bが圧縮コイルバネ63により支持部60a、60bのそれぞれの底面70a、70bに押し当てられるよう付勢されているので、上カバー40およびフレーム体60の開状態時において光書込ユニット3をフレーム体60に安定して保持させることができる。
【0090】
(第2の実施の形態)
次に、図10〜図12を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る光書込ユニットの支持構造について説明する。
【0091】
なお、本実施の形態においては、本発明の第1の実施の形態とは、特に、フレーム体の支持部の構成が一部異なるが、他の構成は、略同様に構成されている。したがって、特に相違点についてのみ詳述する。すなわち、本実施の形態においては、フレーム体160の支持部160c以外の構成については、符号が異なるものの第1の実施の形態と略同様の構成であるため、その説明を省略する。
【0092】
図10に示すように、フレーム体160の回動軸161の軸線をl、左フレーム160Lの支持部160aと右フレーム160Rの支持部160bとを結ぶ軸線、詳しくは、支持部160aの底面170aと光書込ユニット3の支持突起50aとが接触する点と支持部160bの底面170bと光書込ユニット3の支持突起50bとが接触する点とを結ぶ線を軸線lとしたとき、図中に示された平面Sは、光書込ユニット3の重心Gを通り、上記軸線lおよび軸線lに直交する仮想平面である。本実施の形態における支持部160aおよび支持部160bは、本発明に係る第1支持部を構成し、フレーム体160および上カバー40(図1参照)が本発明に係る開閉部材を構成している。また、本実施の形態における平面Sは、本発明における第1平面に対応する。
【0093】
ここで、平面Sと軸線lとの交点をQ、平面Sと軸線lとの交点をQとすると、光書込ユニット3の重心Gは、交点Qと交点Qとの間に位置するように設定されている。すなわち、光書込ユニット3の重心Gは、回動軸161の回動支点と一対の支持部160a、160bとの間に位置する。
【0094】
また、図11に示すように、重心Gと交点Qとを結ぶ線をl、重心Gを通る水平線Xと線lとのなす角度をθ、光書込ユニット3の重力をFとしたとき、交点Qを支点として図中、反時計回り方向にモーメントMが生ずる。
【0095】
具体的には、図12に示すように、線lの長さをLとしたとき、交点Qから重力Fの作用線に対して引かれた垂線の長さは、Lcosθとなり、上記モーメントMは、Fcosθで表される。
【0096】
したがって、本実施の形態においては、水平線Xと線lとのなす角度θが90°未満となるようフレーム体160(上カバー40(図1参照))の回動角度を設定している。これにより、上カバー40およびフレーム体160が上方に開動作されたとき、光書込ユニット3の支持突起50cには、図11に示すように、光書込ユニット3の自重により矢印Eで示す方向に回転させる力が生ずる。したがって、光書込ユニット3がフレーム体160に安定して保持されることとなる。
【0097】
また、本実施の形態において、フレーム体160の支持部160cの底面には、凹部160dが形成されている。このため、光書込ユニット3が退避位置に移動した際には、上記矢印E方向に作用する力により支持突起50cが凹部160dに嵌合するようになっている。これにより、付勢バネなどによる付勢力を必要とせず、簡易的なロック機構として機能する。本実施の形態における支持部160cは、本発明に係る第2支持部を構成し、支持突起50cは、本発明に係る第2支持突起を構成している。なお、上記凹部160dは、第1の実施の形態におけるフレーム体60の支持部60cに設けることも可能である。
【0098】
一方で、上カバー40およびフレーム体160が閉動作されると、位置決め用突起56がステー部材83に当接し、光書込ユニット3が僅かに上方に押し上げられる。これにより、支持突起50cと凹部160dとの嵌合が解除される。同時に、光書込ユニット3は、支持突起50a、50bが案内面81bに沿って本体側支持部81に支持されることにより、退避位置から書込動作位置に移動して保持される。
【0099】
以上のように、本実施の形態では、上記第1の実施の形態における効果に加えて、光書込ユニット3の重心Gが、回動軸161の回動支点と一対の支持部160a、160bとの間に位置するので、フレーム体160による光書込ユニット3の保持を安定させることができる。
【0100】
また、本実施の形態では、光書込ユニット3が書込動作位置から退避位置に移動したとき、支持突起50cが凹部160dに嵌合するようにしたので、光書込ユニット3を簡易な構成により退避位置に保持することができる。
【0101】
なお、上述の各実施の形態においては、左フレーム60L(160L)と右フレーム60R(160R)に対して、遮蔽板65をネジ等の締結部材66により締結固定するようにしたが、これに限らず、例えば図13に示すように、左フレーム260Lおよび右フレーム260Rと遮蔽板265とを同一の樹脂材料により一体形成したフレーム体260として構成してもよい。この場合、部品点数の削減および組立工数の削減を図ることができる。
【0102】
また、上述の各実施の形態においては、光書込ユニット3とは別に遮蔽板65を設けて、ハウジング50の光出射口55を遮蔽する構成としたが、これに限らず、レーザ光Lの光路を遮断する構成であれば他の構成のものであってもよく、例えば図14に示すように、遮蔽板365が光書込ユニット303のハウジング350の底板を構成するものであってもよい。
【0103】
具体的には、ハウジング350は、その底面部側が開口されており、左右側面の下方にハウジング外方に突出したスライド部350dが形成されている。また、遮蔽板365は、上記スライド部350dをスライド可能に保持する略コの字状の保持部365bと、図示しないフレーム体に係止される係止部365cとを有している。このため、光書込ユニット303は、係止部365cを介してフレーム体に固定された遮蔽板365に対して、ハウジング350が書込動作位置と退避位置との間で移動可能とされる。
【0104】
また、遮蔽板365には、上述の各実施の形態と同様、4つの開口365aが形成されている。本構成においては、これら開口365aが上述の各実施の形態における光出射口55に相当することとなる。
【0105】
これにより、光書込ユニット303は、退避位置において、開口365aに対してハウジング350が相対的にずれることで、レーザ光の光路が遮蔽板365に遮断される。したがって、本構成であっても上述の各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
以上のように、本発明に係る画像形成装置は、光書込ユニットを保持したまま一体的に開閉される開閉部材を有する画像形成装置であっても、簡素かつ低コストな構成で、開閉部材の開動作に連動してレーザ光の光路を確実に遮断することができるという効果を有し、光書込ユニットを有する複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置として有用である。
【符号の説明】
【0107】
1 プリンタ(画像形成装置)
1a 装置本体
3、303 光書込ユニット
10Y、10M、10C、10K 感光体(像担持体)
40 上カバー(開閉部材)
50、350 ハウジング
50a、50b 支持突起(第1支持突起)
50c 支持突起(第2支持突起)
55 光出射口
60、160、260 フレーム体(開閉部材)
60a、60b、160a、160b 支持部(第1支持部)
60c、160c 支持部(第2支持部)
60L、160L、260L 左フレーム(フレーム)
60R、160R、260R 右フレーム(フレーム)
63 圧縮コイルバネ(付勢部材)
65、265、365 遮蔽板
65a、365a 開口
81 本体側支持部
160d 凹部
G 重心
、Q 交点
S 平面(第1平面)
X 水平線
、l 軸線
【先行技術文献】
【特許文献】
【0108】
【特許文献1】特開2006−119457号公報
【特許文献2】特開2003−036008号公報
【特許文献3】特許第4316911号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
前記装置本体に対して開位置と閉位置との間で回動可能に支持された開閉部材と、
前記開閉部材の回動に連動して、潜像を担持する像担持体の表面にレーザ光を照射することにより潜像を書き込む書込動作位置と前記潜像の書き込みを行わない退避位置との間で移動可能に前記開閉部材に保持された光書込ユニットと、を備え、
前記光書込ユニットは、前記レーザ光を出射させる光出射口を有し、
前記開閉部材は、前記光書込ユニットが前記書込動作位置にあるとき、前記光出射口から出射されるレーザ光が通過可能な開口が形成された遮蔽部材を有し、
前記開閉部材が前記閉位置から前記開位置に回動したとき、前記開口に対して前記光出射口の位置が相対的にずれるよう前記光書込ユニットが前記書込動作位置から前記退避位置に移動することにより、前記光出射口が前記遮蔽部材によって遮蔽されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記開閉部材は、前記装置本体に対して上下方向に回動可能に構成され、
前記光書込ユニットは、前記開閉部材が前記閉位置から前記開位置に向って上方向に回動したとき、自重により前記書込動作位置から前記退避位置に移動することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記装置本体は、前記書込動作位置にある前記光書込ユニットを支持する本体側支持部を有し、
前記光書込ユニットは、前記書込動作位置に移動したとき、前記本体側支持部に支持されることにより前記開閉部材による支持が解除されることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記開閉部材は、前記光書込ユニットを支持するよう回動支点から離隔する離隔方向に複数配置された支持部を有し、
前記光書込ユニットは、前記支持部に支持される複数の支持突起を有し、その重心が前記回動支点と前記支持部のうち前記回動支点から前記離隔方向に最も離隔した第1支持部との間に位置することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1支持部は、前記光書込ユニットを挟んで前記離隔方向と直交する方向に対向するよう前記開閉部材に一対設けられ、
前記開閉部材の回動角度は、前記一対の第1支持部を結ぶ軸線に直交し、かつ前記重心を通る平面を第1平面としたとき、前記軸線と前記第1平面との交点と前記重心とを結ぶ線と水平線とのなす角度が90°未満となるよう設定されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記光書込ユニットは、前記複数の支持突起のうち、前記第1支持部に支持される一対の第1支持突起を有し、
前記第1支持突起は、付勢部材により前記第1支持部に付勢されていることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記開閉部材の複数の支持部のうち、少なくともいずれか1つの第2支持部は、開口部で構成されるとともに前記開口部の底面の一部に凹部が形成され、
前記光書込ユニットは、前記複数の支持突起のうち、前記第2支持部に支持される第2支持突起を有し、
前記第2支持突起は、前記光書込ユニットが前記書込動作位置から前記退避位置に移動したとき、前記凹部に嵌合することを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記開閉部材および前記遮蔽部材は、樹脂部材で構成され、前記遮蔽部材が前記開閉部材と一体成形されていることを特徴とする請求項1〜7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記開閉部材は、前記装置本体に対して開閉可能な上カバーと、前記上カバーと一体的に回動するとともに前記光書込ユニットを支持する一対のフレームとから構成され、
前記遮蔽部材は、前記一対のフレーム同士を結合するステー部材であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記光書込ユニットは、レーザ光を射出する複数の光源と、前記複数の光源に対応する複数の光出射口とを有し、
前記遮蔽部材は、前記複数の光出射口をそれぞれ遮蔽することを特徴する請求項1〜9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記遮蔽部材は、前記光書込ユニットの底板を構成するとともに、前記光書込ユニットを前記書込動作位置と前記退避位置との間でスライド可能に保持し、かつ前記開閉部材に係止されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−22132(P2012−22132A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159679(P2010−159679)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】