説明

画像形成装置

【課題】シート搬送部のローラ対で詰まった用紙を容易に取り除くことができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】画像形成装置1のシート搬送部80は、シートを搬送方向F1に搬送させる一対の回転ローラ101、105が接触状態を維持するように、一対の回転ローラ101、105を互いに接触させる方向に付勢するローラ付勢部110と、用紙Tが搬送方向F1に搬送するように、一対の回転ローラ101、105のうちの一方又は両方の回転ローラに所定の搬送回転方向ω1の回転力を付与するローラ駆動部120と、一対の回転ローラ101、105のうちの一方又は両方の回転ローラが搬送回転方向ω1と反対の回転方向である反搬送回転方向ω2に回転する反搬送回転が行われるのに伴って、ローラ付勢部110による付勢力に抗するように、一対の回転ローラ101、105を離間状態に変位させるローラ回転離間機構130と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コピー機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コピー機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置は、一般的に、像担持体(感光体ドラム)と、像担持体に形成された静電潜像をトナー画像に変換する現像器と、トナーを収容するトナー収容部(「トナーカートリッジ」などとも呼ばれる)と、像担持体に形成されたトナー画像をシートとしての用紙などに転写する転写部と、用紙に転写されたトナー画像を用紙に定着させる定着部と、用紙を転写部や定着部などに搬送するシート搬送部と、を備える。
【0003】
シート搬送部は、用紙をローラ対で挟み、そのローラ対の回転によって搬送路内に送る。ローラ対としては、例えば、レジストローラ対、給紙ローラ対、排出ローラ対、中間ローラ対、2次転写ローラと対向ローラ、感光体ドラムと1次転写ローラなどがある。
例えば、ローラ対がレジストローラ対の場合、用紙は、転写部の作動タイミングに合わせて転写部に向けて送り出される。
【0004】
搬送路上に配置されたローラ対の位置で用紙が詰まるJAM状態に画像形成装置がなると、画像形成装置の利用者は、その詰まった用紙をローラ対から取り除く用紙除去作業を行う。
例えば、JAM状態となった位置がレジストローラ対である場合、用紙除去作業は、レジストローラ対の挟持力を解除させてから用紙をレジストローラ対から取り除く作業を行うことになる。
このとき、レジストローラ対は用紙を強い力で挟んでいるので、利用者は、まず、レジストローラ対の挟む力を解除させて、次に、用紙をレジストローラ対から取り除き、そして、レジストローラ対の挟む力を復帰させることを行う。
【0005】
ここで、レジストローラ対の挟む力を解除させる解除機構としては、画像形成装置の内部に、解除レバーやカムなどで構成するリンク機構を配置し、その解除レバーやカムの動きに伴ってレジストローラ対を構成する一対の回転ローラの間を広げるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−25349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、一般に、用紙除去作業は、画像形成装置の利用者にとって馴染みのある作業ではないので、利用者は、除去工程を行わずに、解除工程を行ってしまうことがある。
また、画像形成装置が小型プリンタなどである場合は、筐体が小さいため、画像形成装置の内部に、解除レバーやカムなどで構成するリンク機構を配置する空間を設けにくい。
【0008】
本発明は、シート搬送部のローラ対で詰まったシートを容易に取り除くことができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、シートを所定の搬送方向に搬送させるシート搬送部と、シートに画像を形成する画像形成部と、を備え、前記シート搬送部は、互いに接触した接触状態又は離間した離間状態に変位可能に配置され、シートを前記搬送方向に搬送させる一対の回転ローラと、前記一対の回転ローラが前記接触状態を維持するように、前記一対の回転ローラを互いに接触させる方向に付勢するローラ付勢部と、前記シートが前記搬送方向に搬送するように、前記一対の回転ローラのうちの一方又は両方の回転ローラに所定の搬送回転方向の回転力を付与するローラ駆動部と、前記一対の回転ローラのうちの一方又は両方の回転ローラが前記搬送回転方向と反対の回転方向である反搬送回転方向に回転する反搬送回転が行われるのに伴って、前記ローラ付勢部による付勢力に抗するように、前記一対の回転ローラを前記離間状態に変位させるローラ回転離間機構と、を有する、画像形成装置に関する。
【0010】
前記ローラ回転離間機構は、前記一対の回転ローラのうちの一方の回転ローラの回転軸を中心とする前記反搬送回転があると、前記一方の回転ローラに対して相対的に回転不能になる一方の回転伝達部と、前記一対の回転ローラのうちの他方の回転ローラの回転軸を中心とする円筒側面形状を有し、前記反搬送回転があるとき、前記他方の回転ローラに対して相対的に回転不能であり、かつ、前記一方の回転伝達部の回転力が伝達するように一方の回転伝達部に接触する他方の回転伝達部と、を有し、前記一方の回転伝達部は、前記一方の回転ローラの前記反搬送回転に伴って前記他方の回転伝達部に接触する接触面を有し、前記一方の回転伝達部の前記接触面における所定の第1位置及び前記第1位置に対して前記一方の回転ローラの前記反搬送回転に伴って前記一方の回転伝達部と前記他方の回転伝達部とが互いに接触する接触位置が移動する方向である接触位置移動方向側に位置する所定の第2位置において、前記第2位置と前記一方の回転ローラの回転軸の中心との距離は、前記第1位置と前記一方の回転ローラの回転軸の中心との距離よりも大きいことが好ましい。
【0011】
前記一方の回転伝達部の前記接触面は、前記一方の回転ローラの前記反搬送回転に伴って前記接触面と前記一方の回転ローラの回転軸の中心との距離が徐々に大きくなるように形成されていることが好ましい。
【0012】
前記一方の回転伝達部は、前記一方の回転伝達部における前記接触位置移動方向と反対の方向側に隣接する位置に、前記接触状態において前記他方の回転伝達部に接触しない非接触状態となる非接触部を有することが好ましい。
【0013】
前記ローラ回転離間機構は、前記一方の回転ローラの回転軸に相対的に回転不能に取り付けられるインナー部と、前記インナー部が前記搬送回転方向に相対的に回転することを許容し、かつ、前記インナー部が前記反搬送回転方向に相対的に回転することを許容しないアウター部と、を有する一方向クラッチ軸受部を有し、前記一方の回転伝達部は、前記アウター部に相対的に回転不能に固定されていることが好ましい。
【0014】
前記ローラ回転離間機構は、前記一方の回転伝達部と前記他方の回転伝達部とが非接触状態になる位置に前記一方の回転伝達部の位置が維持するように、前記一方の回転伝達部に回転付勢力を付与する復帰付勢部を有することが好ましい。
【0015】
前記ローラ回転離間機構は、前記他方の回転伝達部に相対的に移動不能に固定される全周歯車部と、前記接触状態において前記全周歯車部に噛み合わない欠歯部、及び、前記離間状態において前記全周歯車部に噛み合う有歯部を有し、前記一方の回転伝達部に相対的に移動不能に固定される部分歯車部と、を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、シート搬送部のローラ対で詰まったシートを容易に取り除くことができる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態としてのプリンタ1における各構成要素の配置を説明するための正面図である。
【図2】図1に示すレジストローラ対80の各構成要素の配置を説明するための側面図である。
【図3】図2に示すレジストローラ対80のIII−III断面図である。
【図4】図2に示すローラ回転離間機構130の一方の回転伝達部140、一方向クラッチ軸受部170及び部分歯車部180を説明するための斜視図である。
【図5】図4に示すローラ回転離間機構130の一方の回転伝達部140、一方向クラッチ軸受部170及び部分歯車部180の正面図である。
【図6】図2に示すローラ回転離間機構130の他方の回転伝達部150及び全周歯車部190を説明するための斜視図である。
【図7】図2に示すレジストローラ対80のVII−VII断面図である。
【図8】図7に示すレジストローラ対80の間に用紙Tが挿入されている状態を示す図である。
【図9】図6に示すレジストローラ対80の間に用紙Tが挿入された状態から用紙Tを反搬送方向F2に移動させた状態を示すIII−III断面図である。
【図10】図9に示すレジストローラ対80の状態からさらに用紙Tを反搬送方向F2に移動させた状態を示すIII−III断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の画像形成装置の実施形態を説明する。
図1により、第1実施形態の画像形成装置としてのプリンタ1における全体構造を説明する。図1は、本発明の第1実施形態としてのプリンタ1における各構成要素の配置を説明するための正面図である。
【0019】
以下の説明において、プリンタ1の前側に立ったユーザから見て、左右方向を矢印Xの方向とし、前後(奥行き)方向を矢印Y(図2参照)の方向とし、上下方向を矢印Zの方向とする。
【0020】
図1に示すように、画像形成装置としてのプリンタ1は、装置本体Mと、所定の画像情報に基づいてシート(被転写材)としての用紙Tにトナー画像を形成する画像形成部GKと、用紙Tを画像形成部GKに給紙すると共にトナー画像が形成された用紙Tを排紙する給排紙部KHとを有する。
装置本体Mにおける外形は、筐体としてのケース体BDにより構成されている。
【0021】
図1に示すように、画像形成部GKは、像担持体(感光体)としての感光体ドラム2a、2b、2c、2dと、帯電部10a、10b、10c、10dと、露光ユニットとしてのレーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dと、現像器16a、16b、16c、16dと、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dと、トナー供給部6a、6b、6c、6dと、ドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dと、除電器12a、12b、12c、12dと、中間転写ベルト7と、1次転写ローラ37a、37b、37c、37dと、2次転写ローラ8と、対向ローラ18と、定着部9と、を備える。
【0022】
給排紙部KHは、給紙カセット52と、手差し給紙部64と、用紙Tの搬送路Lと、レジストローラ対80と、複数のローラ又はローラ対と、排紙部50と、を備える。なお、搬送路Lは、後述するように、第1搬送路L1と、第2搬送路L2と、第3搬送路L3と、手差し搬送路Laと、戻り搬送路Lbとの集合体である。
【0023】
以下、画像形成部GK及び給排紙部KHの各構成について詳細に説明する。
まず、画像形成部GKについて説明する。
画像形成部GKにおいては、画像形成時に感光体ドラム2a、2b、2c、2dが回転すると順に、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に対して、それぞれ、帯電部10a、10b、10c、10dによる帯電、レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dによる露光、現像器16a、16b、16c、16dによる現像、中間転写ベルト7及び1次転写ローラ37a、37b、37c、37dによる1次転写、除電器12a、12b、12c、12dによる除電、及びドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dによるクリーニングが行われる。
また、画像形成部GKにおいては、中間転写ベルト7、2次転写ローラ8及び対向ローラ18による2次転写、並びに定着部9による定着が行われる。
【0024】
感光体ドラム2a、2b、2c、2dのそれぞれは、円筒形状の部材からなり、感光体又は像担持体として機能する。感光体ドラム2a、2b、2c、2dのそれぞれは、中間転写ベルト7の進行方向に対して直交する方向に延びる回転軸を中心に、図1に示した矢印の方向に回転可能に配置されている。感光体ドラム2a、2b、2c、2dのそれぞれにおける表面には、静電潜像が形成され得る。
【0025】
帯電部10a、10b、10c、10dは、それぞれ、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に対向して配置されている。帯電部10a、10b、10c、10dは、それぞれ、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面を一様に正(プラス極性)に帯電させる。
【0026】
レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dは、露光ユニットとして機能するものである。レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dは、それぞれ、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面から離間して配置されている。レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dのそれぞれは、不図示のレーザ光源、ポリゴンミラー、ポリゴンミラー駆動用モータなどを有して構成されている。
【0027】
レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dは、それぞれ、PC(パーソナルコンピュータ)などの外部機器から入力された画像情報に基づいて、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面を走査露光する。レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dのそれぞれにより走査露光されることで、感光体ドラム2a、2b、2c、2dのそれぞれの表面の露光された部分の電荷が除去される。これにより、感光体ドラム2a、2b、2c、2dのそれぞれの表面に静電潜像が形成される。
【0028】
現像器16a、16b、16c、16dは、それぞれ、感光体ドラム2a、2b、2c、2dに対応して設けられている。現像器16a、16b、16c、16dは、それぞれ、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に対向して配置されている。現像器16a、16b、16c、16dは、それぞれ、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に形成された静電潜像の帯電電荷が除去された箇所に各色のトナーを付着させて、カラーのトナー画像を感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に形成する。現像器16a、16b、16c、16dは、それぞれ、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの色に対応する。現像器16a、16b、16c、16dのそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に対向配置された現像ローラ、トナー攪拌用の攪拌ローラなどを有して構成されている。
【0029】
トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dは、それぞれ、現像器16a、16b、16c、16dに対応して設けられている。トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dは、それぞれ、現像器16a、16b、16c、16dに対して供給される各色のトナーを収容する。トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dは、それぞれ、イエローのトナー、シアンのトナー、マゼンタのトナー、ブラックのトナーを収容する。
【0030】
トナー供給部6a、6b、6c、6dは、それぞれ、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5d及び現像器16a、16b、16c、16dに対応して設けられている。トナー供給部6a、6b、6c、6dは、それぞれ、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dに収容された各色のトナーを、現像器16a、16b、16c、16dに対して供給する。トナー供給部6a、6b、6c、6dと現像器16a、16b、16c、16dとは、それぞれ、不図示のトナー搬送装置によって結ばれている。
【0031】
中間転写ベルト7には、感光体ドラム2a、2b、2c、2dに形成された各色のトナー画像が順次1次転写される。中間転写ベルト7は、従動ローラ35、駆動ローラとして機能する対向ローラ18、テンションローラ36などに掛け渡されている。テンションローラ36が中間転写ベルト7を内側から外側に付勢するため、中間転写ベルト7には所定の張力が与えられる。
【0032】
中間転写ベルト7を挟んで感光体ドラム2a、2b、2c、2dと反対の側には、それぞれ、1次転写ローラ37a、37b、37c、37dが対向して配置されている。
【0033】
中間転写ベルト7は、1次転写ローラ37a、37b、37c、37dのそれぞれと、感光体ドラム2a、2b、2c、2dのそれぞれとにより挟み込まれる。この挟み込まれた部分は、感光体ドラム2a、2b、2c、2dのそれぞれにおける表面に押し当てられる。感光体ドラム2a、2b、2c、2dと1次転写ローラ37a、37b、37c、37dとの間で、それぞれ、1次転写ニップN1a、N1b、N1c、N1dが形成されている。1次転写ニップN1a、N1b、N1c、N1dにおいて、それぞれ、感光体ドラム2a、2b、2c、2dに形成された各色のトナー画像が中間転写ベルト7に順次1次転写される。これにより、中間転写ベルト7には、フルカラーのトナー画像が形成される。
【0034】
1次転写ローラ37a、37b、37c、37dには、それぞれ、不図示の1次転写バイアス印加部により、感光体ドラム2a、2b、2c、2dに形成された各色のトナー画像を中間転写ベルト7に転写させるための1次転写バイアスが印加される。
【0035】
除電器12a、12b、12c、12dは、それぞれ、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に対向して配置されている。除電器12a、12b、12c、12dは、それぞれ、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に光を照射することにより、1次転写が行われた後の感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面を除電する(電荷を除去する)。
【0036】
ドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dは、それぞれ、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に対向して配置されている。ドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dは、それぞれ、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に1次転写後に残存したトナーや付着物を除去すると共に、除去されたトナーなどを所定の回収機構へ搬送して、回収させる。
【0037】
2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7に1次転写されたフルカラーのトナー画像を用紙Tに2次転写させる。2次転写ローラ8には、不図示の2次転写バイアス印加部により、中間転写ベルト7に形成されたフルカラーのトナー画像を用紙Tに転写させるための2次転写バイアスが印加される。
【0038】
2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7に対して当接したり離間したりする。具体的には、2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7に当接される当接位置と中間転写ベルト7から離間する離間位置とに移動可能に構成されている。詳細には、2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7の表面に1次転写されたフルカラーのトナー画像を用紙Tに2次転写させる場合には当接位置に配置され、他の場合には離間位置に配置される。
【0039】
中間転写ベルト7における2次転写ローラ8とは反対側には、対向ローラ18が配置されている。中間転写ベルト7は、2次転写ローラ8と対向ローラ18とによって挟み込まれる。そして、用紙Tは中間転写ベルト7の外面(トナー画像が1次転写された面)に押し当てられる。中間転写ベルト7と2次転写ローラ8との間に2次転写ニップN2が形成されている。2次転写ニップN2において、中間転写ベルト7に1次転写されたフルカラーのトナー画像が用紙Tに2次転写されている。
【0040】
定着部9は、用紙Tに2次転写されたトナー画像を構成する各色のトナーを溶融及び加圧して、用紙Tに定着させる。定着部9は、ヒータにより加熱される加熱回転体9aと、加熱回転体9aに圧接される加圧回転体9bと、を備える。加熱回転体9aと加圧回転体9bとは、トナー画像が2次転写された用紙Tを挟み込んで加圧すると共に、搬送する。加熱回転体9aと加圧回転体9bとの間に挟まれた状態で用紙Tが搬送されることによって、用紙Tに転写されたトナーは、溶融及び加圧をされることで用紙Tに定着される。
【0041】
次に、給排紙部KHについて説明する。
図1に示すように、装置本体Mの下部には、用紙Tを収容する給紙カセット52が配置されている。給紙カセット52は、装置本体Mのケース体BDから水平方向に引き出し可能に構成されている。給紙カセット52には、用紙Tが載置される載置板60が配置されている。給紙カセット52には、用紙Tが載置板60の上に積層された状態で収容されている。載置板60に載置された用紙Tは、給紙カセット52の用紙送り出し側の端部(図1において右側の端部)に配置されているカセット給紙部51により搬送路Lに送り出されている。カセット給紙部51は、載置板60上の用紙Tを取り出すための前送りコロ61と、用紙Tを1枚ずつ搬送路Lに送り出すための給紙ローラ対81とからなる重送防止機構を備える。
【0042】
装置本体Mの右側面(図1において右側)には、手差し給紙部64が設けられる。手差し給紙部64は、給紙カセット52にセットされている用紙Tとは異なる大きさや種類の用紙Tを装置本体Mに供給することを主目的として設けられる。手差し給紙部64は、閉状態において装置本体Mの右側面の一部を構成する手差しトレイ65と、給紙コロ66とを備える。手差しトレイ65は、その下端が給紙コロ66の近傍に回動自在(開閉自在)に取り付けられる。開状態の手差しトレイ65には、用紙Tが載置されている。給紙コロ66は、開状態の手差しトレイ65に載置された用紙Tを手差し搬送路Laに給紙する。
【0043】
用紙Tを搬送する搬送路Lは、カセット給紙部51から2次転写ニップN2までの第1搬送路L1と、2次転写ニップN2から定着部9までの第2搬送路L2と、定着部9から排紙部50までの第3搬送路L3と、手差し給紙部64から供給される用紙を第1搬送路L1に合流させる手差し搬送路Laと、第3搬送路L3を下流側から上流側へ搬送する用紙を、表裏反転させて第1搬送路L1に戻す戻り搬送路Lbと、を備える。
【0044】
また、第1搬送路L1の途中には、第1合流部P1及び第2合流部P2が設けられている。第3搬送路L3の途中には、第1分岐部Q1が設けられている。
第1合流部P1は、手差し搬送路Laが第1搬送路L1に合流する合流部である。第2合流部P2は、戻り搬送路Lbが第1搬送路L1に合流する合流部である。
第1分岐部Q1は、戻し搬送路Lbが第3搬送路L3から分岐する分岐部である。
【0045】
第1搬送路L1の途中(詳細には、第2合流部P2と2次転写ニップN2との間)には、用紙Tを検出するための不図示の用紙検出センサと、用紙Tのスキュー(斜め給紙)補正や画像形成部GKにおけるトナー画像の形成とタイミングを合わせるためのレジストローラ対80とが配置されている。用紙検出センサは、用紙Tの搬送方向におけるレジストローラ対80の直前(搬送方向における上流側)に配置されている。レジストローラ対80は、用紙検出センサからの検出信号情報に基づいて上述の補正やタイミング調整をして用紙Tを搬送する。
レジストローラ対80の詳細については、後述する。
【0046】
第1搬送路L1における第1合流部P1と第2合流部P2との間には、中間ローラ対82が配置されている。中間ローラ対82は、給紙ローラ対81に関して用紙搬送方向の下流側に配置され、給紙ローラ対81より搬送されている用紙Tを挟持して、レジストローラ対80へ搬送する。
【0047】
戻し搬送路Lbは、用紙Tに両面印刷を行う際に、既に印刷されている面とは反対面(未印刷面)を中間転写ベルト7に対向させるために設けられた搬送路である。戻し搬送路Lbによって、第1分岐部Q1から排紙部50側に搬送された用紙Tを表裏反転させて第1搬送路L1に戻して、2次転写ローラ8の上流側に配置されたレジストローラ対80の上流側に搬送させることができる。戻し搬送路Lbにより表裏反転された用紙Tには、2次転写ニップN2において未印刷面に対してトナー画像が転写されている。
【0048】
第1分岐部Q1には、分岐部材58が設けられている。分岐部材58は、定着部9から搬出され第3搬送路L3を上流側から下流側に向けて搬送する用紙Tの搬送方向を、排紙部50に向かう方向に分岐すると共に、排紙部50から第3搬送路L3を下流側から上流側に向けて搬送する用紙Tの搬送方向を、戻し搬送路Lbに向かう方向に分岐する。
【0049】
第3搬送路L3における端部には、排紙部50が形成されている。排紙部50は、装置本体Mの上部に配置されている。排紙部50は、装置本体Mの左側面側(図1において左側)に向けて開口している。排紙部50は、用紙Tを装置本体Mの外部に排紙する。排紙部50は、排出ローラ対53を有している。排出ローラ対53によって、第3搬送路L3を上流側から下流側に搬送されている用紙Tを装置本体Mの外部に排紙すると共に、排紙部50において用紙Tの搬送方向を反転させて用紙Tを第3搬送路L3の上流側に向けて搬送することができる。
【0050】
排紙部50の開口側には、排紙集積部M1が形成されている。排紙集積部M1は、装置本体Mの上面(外面)に形成されている。排紙集積部M1は、装置本体Mの上面が下方に窪んで形成された部分である。排紙集積部M1の底面は、装置本体Mの上面の一部を構成する。排紙集積部M1には、所定のトナー画像が形成され排紙部50から排紙された用紙Tが積層して集積される。
なお、各搬送路の所定位置には用紙検出用のセンサ(不図示)が配置されている。
【0051】
次に、図1を参照して、第1実施形態のプリンタ1の動作について、簡単に説明する。
まず、給紙カセット52に収容された用紙Tに片面印刷を行う場合について説明する。
給紙カセット52に収容された用紙Tは、前送りコロ61及び給紙ローラ対81によって第1搬送路L1に送り出され、その後、第1合流部P1及び第1搬送路L1を介して、中間ローラ対82により、レジストローラ対80に搬送される。
レジストローラ対80においては、用紙Tのスキュー補正や、画像形成部GKにおけるトナー画像の形成とのタイミング調整が行われる。
【0052】
レジストローラ対80から排出された用紙Tは、搬送方向F1に搬送され、第1搬送路L1を介して中間転写ベルト7と2次転写ローラ8との間(2次転写ニップN2)に導入される。そして、用紙Tには、中間転写ベルト7と2次転写ローラ8との間において、トナー画像が転写される。
その後、用紙Tは、中間転写ベルト7と2次転写ローラ8との間から排出され、第2搬送路L2を介して、定着部9における加熱回転体9aと加圧回転体9bとの間の定着ニップに導入される。そして、定着ニップにおいてトナーが溶融し、トナーが用紙Tに定着される。
【0053】
次いで、用紙Tは、第3搬送路L3を通して排紙部50に搬送され、排出ローラ対53により排紙部50から排紙集積部M1に排出される。
このようにして、給紙カセット52に収容された用紙Tの片面印刷が完了する。
【0054】
手差しトレイ65に載置された用紙Tに片面印刷を行う場合には、手差しトレイ65に載置された用紙Tは、給紙コロ66によって手差し搬送路Laに送り出され、その後、第1合流部P1及び第1搬送路L1を介して、レジストローラ対80に搬送される。それ以降の動作は、前述した、給紙カセット52に収容された用紙Tの片面印刷の動作と同様であり、説明を省略する。
【0055】
次に、両面印刷を行う場合のプリンタ1の動作について説明する。
片面印刷の場合には、前述した通り、片面印刷がされた用紙Tが、排紙部50から排紙集積部M1に排出されて印刷動作が完了する。
これに対し、両面印刷を行う場合には、片面印刷がされた用紙Tが、戻し搬送路Lbを介して、片面印刷時とは表裏反転して、レジストローラ対80に再度搬送されることにより、用紙Tに両面印刷が施される。
【0056】
詳述すると、片面印刷がされた用紙Tが排出ローラ対53により排紙部50から排出されるまでは、前述した片面印刷の動作と同様である。而して、両面印刷の場合には、片面印刷がされた用紙Tが排出ローラ対53により保持されている状態において、排出ローラ対53の回転を停止させ、逆方向に回転させる。このように排出ローラ対53を逆方向に回転させると、排出ローラ対53に保持されている用紙Tは、第3搬送路L3を逆方向(排紙部50から第1分岐部Q1に向かう方向)に搬送される。
【0057】
前述したように、用紙Tが、第3搬送路L3を逆方向に搬送されると、分岐部材58により、用紙Tは、戻し搬送路Lbへ分岐され、その後、第2合流部P2を介して、第1搬送路L1に合流する。ここで、用紙Tは、片面印刷時とは表裏反転している。
【0058】
さらに、用紙Tは、レジストローラ対80により補正又は調整が行われ、第1搬送路L1を介して、2次転写ニップN2に導入される。用紙Tは、戻し搬送路Lbを経由することにより、未印刷面が中間転写ベルト7に対向するので、未印刷面にトナー画像が転写され、その結果、両面印刷が施される。
【0059】
<レジストローラ対80>
次に、図2から図10を参照して、用紙Tを所定の搬送方向に搬送させるシート搬送部の一種であるレジストローラ対80における全体構造及び動作について説明する。
図2は、図1に示すレジストローラ対80の各構成要素の配置を説明するための側面図である。図3は、図2に示すレジストローラ対80のIII−III断面図である。図4は、図2に示すローラ回転離間機構130の一方の回転伝達部140、一方向クラッチ軸受部170、部分歯車部180を説明するための斜視図である。図5は、図4に示すローラ回転離間機構130の一方の回転伝達部140、一方向クラッチ軸受部170、部分歯車部180の正面図である。図6は、図2に示すローラ回転離間機構130の他方の回転伝達部150、全周歯車部190を説明するための斜視図である。図7は、図2に示すレジストローラ対80のVII−VII断面図である。
【0060】
レジストローラ対80は、一対の回転ローラ101、105と、ローラ付勢部110と、ローラ駆動部120と、ローラ回転離間機構130と、を備える。
【0061】
<一対の回転ローラ101、105>
一対の回転ローラ101、105について説明する。
図2に示すように、一対の回転ローラ101、105は、駆動回転ローラ(一方の回転ローラ)101と従動回転ローラ(他方の回転ローラ)105とによって構成されている。一対の回転ローラ101、105は、それぞれ、円柱形状のローラ軸部101a、105a(図8参照)とローラ軸部101a、105aの円柱側面に弾性体で形成された弾性体被覆部101b、105b(図8参照)とを有する。本実施形態では、駆動回転ローラ101の外径は、従動回転ローラ105の外径と同じ寸法である。なお、一方の回転ローラ101の外径は、従動回転ローラ105の外径と異なる寸法であってもよい。
一対の回転ローラ101、105には、それぞれ、前後(奥行き)方向である矢印Yの方向に延びる回転軸103、107が形成されている。回転軸103、107は、それぞれ、一対の回転ローラ101、105の長さよりも長い。回転軸103、107は、それぞれ、一対の回転ローラ101、105を相対的に回転不能に貫通している。
【0062】
駆動回転ローラ101の回転軸103の両端には、それぞれ、一対の回転軸受116、116が嵌合している。回転軸受116、116のそれぞれは、不図示のフレームを介して装置本体Mに取り付けられている。したがって、駆動回転ローラ101は、装置本体Mに対して回転可能に支持されている。
従動回転ローラ105の回転軸107の両端には、それぞれ、一対の回転軸受112、112が嵌合している。一対の回転軸受112は、それぞれ、装置本体Mに取り付けられている一対の直動機構(不図示)に取り付けられている。
したがって、一対の回転軸受112は、従動回転ローラ105が駆動回転ローラ101に接触した接触状態(図7参照)になる位置と離間した離間状態(図8参照)になる位置との間を、従動回転ローラ105が駆動回転ローラ101に対して平行になっている状態を維持しながら移動できるように、従動回転ローラ105を回転可能に支持している。換言すると、一対の回転軸受112は、一対の回転ローラ101、105が互いに離間した離間状態(図8参照)となる位置と、互いに接触した接触状態(図7参照)となる位置との間を平行移動することが可能なように、変位可能に支持している。
【0063】
図3に示すように、従動回転ローラ105が離間状態となる位置から接触状態となる位置に移動する方向を接触方向α1とし、その反対方向を離間方向α2とする。また、図8に示すように、接触状態における一対の回転ローラ101、105が用紙Tを挟んだ状態で互いに搬送回転方向ω1及び反搬送回転方向ω2に回転するときに用紙Tが搬送される方向を、それぞれ、搬送方向F1及び反搬送方向F2とする。
【0064】
<ローラ付勢部110>
ローラ付勢部110について説明する。
図2に示すように、ローラ付勢部110は、一対の圧縮コイルバネ111、111を有する。一対の圧縮コイルバネ111、111の一端は装置本体Mに固定されている。一対の圧縮コイルバネ111、111の他端は、それぞれ、離間状態にある一対の回転ローラ101、105を互いに接触させる接触方向α1に付勢する付勢力を付与するように、一対の回転軸受112に固定されている。つまり、一対の圧縮コイルバネ111、111は、常に付勢力を付与するように、一対の回転ローラ101、105が離間状態となる位置と接触状態となる位置との間のストローク距離よりも長いストローク長を有することが好ましい。
【0065】
<ローラ駆動部120>
ローラ駆動部120について説明する。
図2に示すように、ローラ駆動部120は、モータ121と、歯車124と、歯車126と、歯車127と、制御部128と、を備える。歯車124は、モータ121の出力軸122に相対的に回転不能に取り付けられている。歯車126は、歯車124に噛み合うように、駆動回転ローラ101の回転軸103に相対的に回転不能に取り付けられている。歯車127は、歯車126に噛み合うように、従動回転ローラ105の回転軸107に相対的に回転不能に取り付けられている。制御部128は、モータ121を作動させるための作動信号を出力するように構成されている。ローラ駆動部120は、不図示のフレームを介して装置本体Mに取り付けられている。
つまり、ローラ駆動部120は、制御部128からの制御信号に基づいて、モータ121が作動すると、モータ121の出力軸122から出力される回転力が、歯車124、126及び回転軸103を介して駆動回転ローラ101に搬送回転方向ω1(図7参照)の回転力として付与されるように構成されている。
【0066】
<ローラ回転離間機構130>
ローラ回転離間機構130について説明する。
まず、図3及び図9を参照して、ローラ回転離間機構130の構成の概略について、説明する。
ローラ回転離間機構130は、一方の回転伝達部140と、他方の回転伝達部150と、一方向クラッチ軸受部170と、復帰付勢部160と、全周歯車部190と、部分歯車部180と、を備える。一方の回転伝達部140と部分歯車部180とは別体で形成されている。他方の回転伝達部150と全周歯車部190とは別体で形成されている。
一方向クラッチ軸受部170は、概略、円筒形状を有し、駆動回転ローラ101の回転軸103に嵌合されている。一方の回転伝達部140及び部分歯車部180は、それぞれ、中央に貫通穴149、189(図3及び図4参照)を有する。一方の回転伝達部140と部分歯車部180とが互いに相対的に回転しないように、一方向クラッチ軸受部170が貫通穴149、189に嵌合している。
他方の回転伝達部150は、概略、円板形状を有し、その中心に従動回転ローラ105の回転軸107が挿通される孔159(図3参照)を有する。全周歯車部190は、平歯車のような形状を有し、その中心に従動回転ローラ105の回転軸107が挿通される孔194を有する。したがって、他方の回転伝達部150と全周歯車部190とが互いに回転しないように、従動回転ローラ105の回転軸107が孔159と孔194に嵌合している。
このような構成を有することにより、ローラ回転離間機構130は、駆動回転ローラ101が反搬送回転方向ω2に回転する反搬送回転が行われるのに伴って、ローラ付勢部110による付勢力に抗するように、かつ、一対の回転ローラ101、105を離間状態に変位させることができる。
次に、ローラ回転離間機構130の構成について、詳細に説明する。
【0067】
<一方の回転伝達部140>
一方の回転伝達部140について説明する。
図4に示すように、一方の回転伝達部140は、円周方向において、接触面142と非接触部144と回転伝達側面146を有する。
一方の回転伝達部140は、駆動回転ローラ101の回転軸103を中心とする反搬送回転方向ω2への反搬送回転があると、駆動回転ローラ101に対して相対的に回転不能になるよう構成されている。具体的は、一方の回転伝達部140は、駆動回転ローラ101の回転軸103に相対的に回転不能に取り付けられている一方向クラッチ軸受部170に相対的に回転不能に取り付けられている。接触面142は、駆動回転ローラ101の反搬送回転方向ω2への反搬送回転に伴って他方の回転伝達部150に接触する面である。
【0068】
ここで、図9に示すように、駆動回転ローラ101の反搬送回転に伴って、一方の回転伝達部140が反搬送回転方向ω2に回転し、一方の回転伝達部140と他方の回転伝達部150とが互いに接触する接触位置βが一方の回転伝達部140に対して移動する方向を「接触位置移動方向ω3」とする。
【0069】
図5に示すように、一方の回転伝達部140の接触面142は、接触面142における所定の第1位置及び第1位置に対して接触位置移動方向ω3側に位置する所定の第2位置において、第2位置と駆動回転ローラ101の回転軸103の中心C1との距離が、第1位置と駆動回転ローラ101の回転軸103の中心C1との距離よりも大きくなるような形状を有する。
例えば、第1位置を点po、第2位置を点paとすると、点poと中心C1との距離roよりも、点paと中心C1との距離raが大きい。同様に、第1位置を点pa、第2の位置を点pbとすると、点paと中心C1との距離raよりも、点pb中心C1との距離rbが大きい。第1位置を点pb、第2位置を点pcとすると、点pbと中心C1との距離rbよりも、点pcと中心C1との距離rcが大きい。
より具体的には、一方の回転伝達部140の接触面142は、駆動回転ローラ101の反搬送回転方向ω2への反搬送回転に伴って、接触面142上の接触位置βと駆動回転ローラ101の回転軸103の中心C1との距離が徐々に大きくなるような形状を有する。
【0070】
一方の回転伝達部140の非接触部144は、接触面142において、一方の回転伝達部140における接触位置移動方向ω3(図9参照)と反対の方向側に隣接する位置に形成されている。非接触部144は、駆動回転ローラ101の回転軸103の中心C1を中心とする円筒側面形状を有している。駆動回転ローラ101の回転軸103の中心C1と非接触部144との間の距離roは、接触状態において、駆動回転ローラ101の回転軸103の中心C1と従動回転ローラ105の回転軸107の中心C2との間の距離L0から他方の回転伝達部150の半径を引いた距離よりも、小さい。したがって、一方の回転伝達部140の非接触部144は、一対の回転ローラ101、105の状態が接触状態(図7参照)であっても、他方の回転伝達部150に接触しない非接触状態(図3参照)となる。
【0071】
一方の回転伝達部140の回転伝達側面146は、接触面142において、接触位置移動方向ω3側に隣接する位置に形成されている。回転伝達側面146は、駆動回転ローラ101の回転軸103の中心C1を中心とする円筒側面形状を有している。駆動回転ローラ101の回転軸103の中心C1から非接触部144までの距離rcは、離間状態(図10参照)において、駆動回転ローラ101の回転軸103の中心C1と従動回転ローラ105の回転軸107の中心C2との間の距離Lmから他方の回転伝達部150の半径を引いた距離と、等しい。したがって、一方の回転伝達部140の回転伝達側面146は、一対の回転ローラ101、105の状態が離間状態(図10参照)であっても、他方の回転伝達部150に接触する接触状態となる。
【0072】
<他方の回転伝達部150>
他方の回転伝達部150について説明する。
図6に示すように、他方の回転伝達部150は、従動回転ローラ105の回転軸107の中心C2(図3参照)を中心とする円筒側面152を有する。本実施形態では、他方の回転伝達部150の外径は、従動回転ローラ105の外径と同じ寸法に設定されている。なお、他方の回転伝達部150の外径は、従動回転ローラ105の外径と異なる寸法に設定されていてもよい。
他方の回転伝達部150は、反搬送回転方向ω2への反搬送回転があるとき、従動回転ローラ105に対して相対的に回転不能であるように形成されている。具体的には、他方の回転伝達部150は、従動回転ローラ105の回転軸107に相対的に回転不能に取り付けられている。円筒側面152は、一方の回転伝達部140に回転力が伝達するように、一方の回転伝達部140に接触する接触面として機能する。
【0073】
<一方向クラッチ軸受部170>
一方向クラッチ軸受部170について説明する。
図4に示すように、一方向クラッチ軸受部170は、インナー部172とアウター部174とを備える。
インナー部172は、軸受孔176を有し、軸受孔176を介して、駆動回転ローラ101の回転軸103に相対的に回転不能に取り付けられる。
アウター部174は、不図示のクラッチ機構を有する。クラッチ機構は、アウター部174に対して、インナー部172が搬送回転方向ω1に相対的に回転することを許容し、かつ、インナー部172が反搬送回転方向ω2に相対的に回転することを許容しないように構成されている。換言すると、クラッチ機構は、インナー部172に対して、アウター部174が反搬送回転方向ω2に相対的に回転することを許容し、かつ、アウター部174が搬送回転方向ω1に相対的に回転することを許容しないように構成されている。
アウター部174には、一方の回転伝達部140が相対的に回転不能に固定されている。したがって、一方向クラッチ軸受部170は、駆動回転ローラ101の回転軸103を中心とする反搬送回転方向ω2への反搬送回転があると、駆動回転ローラ101と一方の回転伝達部140との間を相対的に回転不能になるように、構成されている。
【0074】
<復帰付勢部160>
復帰付勢部160について説明する。
図2及び図3に示すように、復帰付勢部160は、フック架け部164と、引っ張りバネ162と、を備える。
フック架け部164は、一方の回転伝達部140から矢印Yの方向に延びる柱形状を形成している。したがって、フック架け部164は、一方の回転伝達部140の回転に伴って駆動回転ローラ101の回転軸103の中心の周りを回転する。
引っ張りバネ162が引っ張られた状態で、引っ張りバネ162の一端162aは装置本体Mに架けられ、引っ張りバネ162の他端162bはフック架け部164に架けられている。
【0075】
図3に示すように、フック架け部164は、一方の回転伝達部140と他方の回転伝達部150とが非接触状態になる位置に一方の回転伝達部140が回転したときにおいて、引っ張りバネ162の一端162aが装置本体Mに架けられた位置に最も接近する位置に形成されている。
引っ張りバネ162の自然長は、一方の回転伝達部140と他方の回転伝達部150とが非接触状態になる位置に一方の回転伝達部140が回転したときにおいて、フック架け部164の位置と、引っ張りバネ162の一端が装置本体Mに架けられている位置との間の距離よりも短い。つまり、引っ張りバネ162には、縮まろうとする引っ張り力が常に作用する。
したがって、復帰付勢部160は、一方の回転伝達部140と他方の回転伝達部150とが非接触状態になる位置に一方の回転伝達部140の位置が維持するように、一方の回転伝達部140に回転付勢力を付与する構造を有する。
【0076】
<全周歯車部190>
全周歯車部190について説明する。
図6に示すように、全周歯車部190は、円板部196と、複数の歯192と、を備える。複数の歯192は、円板部196の側面の全周に形成されている。円板部196は、中心に、従動回転ローラ105の回転軸107が挿通される孔194を有する。複数の歯192で形成される歯先円の直径は、他方の回転伝達部150の円筒側面152の外径と同じに設定されている。全周歯車部190は、矢印Yの方向において、従動回転ローラ105に隣接するように形成されている。
【0077】
<部分歯車部180>
部分歯車部180について説明する。
図4及び図5に示すように、部分歯車部180は、円板部184と、欠歯部186と、有歯部188と、を備える。欠歯部186と、有歯部188とは、互いに隣接するように並ぶように、円板部184に形成されている。
円板部184は、中心軸が矢印Y方向に延びる、概略円板形状を有する。
円板部184は、半径が大きい大径部分と、半径が小さい小径部分とで構成されている。大径部分の半径は、一方の回転伝達部140の非接触部144において、駆動回転ローラ101の回転軸103の中心C1からの距離が最も長くなる位置pcまでの距離rcと同じに設定されている。小径部分の半径は、一方の回転伝達部140の非接触部144において、駆動回転ローラ101の回転軸103の中心C1からの距離が最も短くなる位置poまでの距離roと同じに設定されている。
円板部184は、一方の回転伝達部140に相対的に移動不能に固定されている。
【0078】
欠歯部186は、駆動回転ローラ101と他方の回転ローラ105とが互いに接触した状態において全周歯車部190に噛み合わないように、円板部184の小径部分の周囲に形成された部位である。
図4に示すように、欠歯部186は、矢印Yの方向において、非接触部144と隣接するように、形成されている。
【0079】
図4に示すように、有歯部188は、欠歯部186の接触位置移動方向ω3側に隣接するように、円板部184の小径部分の周囲に設けられている。有歯部188は、複数の歯182によって構成されている。
図9に示すように、有歯部188は、円周方向において、一方の回転伝達部140の接触面142と同じ範囲に形成されている。有歯部188は、一対の回転ローラ101、105が互いに接触状態となる位置から離間状態となる位置までの間において、全周歯車部190に噛み合うように構成されている。すなわち、部分歯車部180の歯182と全周歯車部190の歯192は、部分歯車部180と全周歯車部190との間の距離が、用紙Tの厚さtnよりも長い距離tmだけ広がっても、互いに噛合うことができる高さを有することが好ましい。
【0080】
なお、ケース体BDには、第1搬送路L1において、レジストローラ対80の反搬送方向F2側の近傍を開口する不図示の蓋が形成されている。この蓋は、利用者がJAM状態となった用紙Tのうちのレジストローラ対80より反搬送方向F2側の部分を容易に引き出せるように、かつ、容易に開閉できるように、ケース体BDに形成されている。
【0081】
<レジストローラ対80の正常時の動作>
次に、レジストローラ対80の正常時の動作について説明する。
図7に示すように、一対の回転ローラ101、105は、互いに接触状態となる位置に配置される。このときの駆動回転ローラ101の回転軸103の中心C1と従動回転ローラ105の回転軸107の中心C2との間は、距離L0である。
また、図3に示すように、一方の回転伝達部140は、復帰付勢部160によって、非接触部144が回転伝達部150の円筒側面152に接触しないような位置を維持し、また、有歯部188も、復帰付勢部160によって、全周歯車部190に噛み合わないような位置を維持する。したがって、他方の回転伝達部150の回転力は、一方の回転伝達部140には伝達しない。
【0082】
図7に示すように、利用者の操作により用紙Tに画像を形成する旨の信号をプリンタ1の制御部128が受信すると、制御部128は、前送りコロ61、給紙ローラ対81及び中間ローラ対82(図1参照)を適宜のタイミングで作動させ、用紙Tをレジストローラ対80の反搬送方向F2側から搬送方向F1に向けて搬送させる。このとき制御部は、用紙Tのスキュー(斜め給紙)補正などを行うため、レジストローラ対80の一対の回転ローラ101、105が回転しない停止状態を維持するように、ローラ駆動部120を作動させない。
【0083】
そして、制御部128は、用紙検出センサからの検出信号情報に基づいて、所定のタイミングで、レジストローラ対80の駆動回転ローラ101を搬送回転方向ω1への搬送回転をさせるように、ローラ駆動部120を作動させる。このとき、駆動回転ローラ101は従動回転ローラ105に接触しているので、従動回転ローラ105も駆動回転ローラ101と共に搬送回転方向ω1への搬送回転をする。
駆動回転ローラ101が搬送回転方向ω1に回転すると、駆動回転ローラ101の回転軸103及び一方向クラッチ軸受部170のインナー部172も搬送回転方向ω1に回転する。しかし、一方向クラッチ軸受部170において、アウター部174は、復帰付勢部160によって装置本体Mに対して回転しないように構成されており、不図示のクラッチ機構は、インナー部172がアウター部174に対して搬送回転方向ω1に相対的に回転することを許容しており、一方の回転伝達部140と他方の回転伝達部150とは、回転伝達が可能に接触していない。これらのことから、アウター部174及び一方の回転伝達部140は、装置本体Mに対して相対的に回転しない。したがって、一方の回転伝達部140の回転に伴う一対の回転ローラ101、105の離間は、行われない。
【0084】
そして、図8に示すように、搬送回転方向ω1に回転している一対の回転ローラ101、105に接触した用紙Tは、一対の回転ローラ101、105の間に入り込む。このとき、従動回転ローラ105は、ローラ付勢部110による付勢力に抗するように、離間方向α2に、用紙Tの厚さtnだけ移動する。つまり、このときの駆動回転ローラ101の回転軸103の中心C1と従動回転ローラ105の回転軸107の中心C2との間の距離は、距離L0よりも厚さtnだけ長い距離Lnになる。
したがって、用紙Tは、ローラ付勢部110による付勢力で挟まれた状態で搬送方向F1に搬送される。
【0085】
<レジストローラ対80に用紙Tが詰まったJAM状態からの用紙除去作業>
(用紙除去作業の前段階)
まず、図8に示すように、用紙Tがレジストローラ対80の一対の回転ローラ101、105の間にあるときに、用紙Tが詰まったJAM状態となると、制御部128は、ローラ駆動部120の作動を停止させ、駆動回転ローラ101の回転を停止させると共に、不図示の報知装置により利用者にレジストローラ対80で用紙TがJAM状態になった旨の報知をする。
【0086】
次に、利用者は、JAM状態となった用紙Tをプリンタ1から取り除くために、レジストローラ対80の近傍にあるケース体BDの蓋をあける。ここで、蓋は、第1搬送路L1において、レジストローラ対80の反搬送方向F2側の近傍のケース体BDに形成されている。このため、利用者は、JAM状態となった用紙Tのうちのレジストローラ対80より反搬送方向F2側の部分を容易に引き出せる。つまり、利用者は、一対の回転ローラ101、105に挟まれた用紙Tを取り除くために、JAM状態となった用紙Tのうちの反搬送方向F2側を引っ張ることになる。
【0087】
(用紙除去作業)
(1a)まず、一対の回転伝達部140、150が互いに接触しない非接触状態(図3参照)から、一対の回転伝達部140、150が互いに接触する接触状態(図9参照)になるまでの、一対の回転伝達部140、150及び復帰付勢部160の状態を説明する。
【0088】
利用者は、JAM状態となった用紙Tにおける反搬送方向F2側の部分を掴み、用紙Tを引き抜くようにして、反搬送方向F2に移動させる。このとき、従動回転ローラ105は、ローラ付勢部110によって駆動回転ローラ101に付勢されているので、用紙Tの反搬送方向F2への移動に伴って、一対の回転ローラ101、105は、反搬送回転方向ω2への反搬送回転をする。つまり、駆動回転ローラ101は、反搬送方向F2への用紙Tの引っ張り力によって、反搬送回転方向ω2に反搬送回転をする。なお、一対の回転ローラ101、105の外径が互いに同一にされている場合には、一対の回転ローラ101、105の回転速度は略等しくなる。
そして、反搬送回転方向ω2への駆動回転ローラ101の反搬送回転に伴って、一方向クラッチ軸受部170のインナー部172は、アウター部174に対して反搬送回転方向ω2に反搬送回転をする。このとき、一方向クラッチ軸受部170において、不図示のクラッチ機構は、インナー部172がアウター部174に対して反搬送回転方向ω2に相対的に回転することを許容しない。このため、アウター部174(一方の回転伝達部140)は、一方の回転ローラ101に伴って、反搬送回転方向ω2に回転する。
一方の回転伝達部140は、非接触部144が円筒側面152から遠ざかるように反搬送回転方向ω2に回転移動すると共に接触面142が円筒側面152に接近するように、反搬送回転方向ω2に回転移動する。
また、他方の回転伝達部150が従動回転ローラ105の回転軸107に相対的に回転不能に取り付けられているので、他方の回転伝達部150は従動回転ローラ105の回転に伴って回転する。
【0089】
そして、接触面142は、駆動回転ローラ101の反搬送回転方向ω2への回転に伴って接触面142と駆動回転ローラ101の回転軸103の中心C1との距離が徐々に大きくなるように形成されている。そのため、やがて、図9に示すように、接触面142は円筒側面152に接触する。このとき、この一方の回転伝達部140と他方の回転伝達部150とは、互いに接触位置βで接触する。
【0090】
また、復帰付勢部160のフック架け部164は、一方の回転伝達部140の回転に伴って、引っ張りバネ162の一端162aが装置本体Mに架けられた位置から、次第に離れる。このため、復帰付勢部160の引っ張りバネ162は、一方の回転伝達部140と他方の回転伝達部150とが非接触状態になるように、搬送回転方向ω1への回転付勢力を、一方の回転伝達部140の回転角度に応じて、一方の回転伝達部140に付与する。
【0091】
(2a)次に、一対の回転伝達部140、150が互いに接触する接触状態(図9参照)から、一対の回転伝達部140、150が離間方向α2に移動して、一対の回転ローラ101、105の挟む力が解除になる状態(図10参照)までの、一対の回転伝達部140、150及び復帰付勢部160の状態を説明する。
【0092】
利用者は、さらに、用紙Tを引き抜くようにして、反搬送方向F2に移動させると、駆動回転ローラ101(一方の回転伝達部140)は、反搬送回転方向ω2に反搬送回転をする。
一方の回転伝達部140の接触面142と他方の回転伝達部150の円筒側面152とが接触位置βで接触しているので、一方の回転伝達部140の回転力は、接触位置βにおける摩擦力を介して、他方の回転伝達部150に伝達される。
【0093】
さらに、一方の回転伝達部140の接触面142は、駆動回転ローラ101の反搬送回転方向ω2への反搬送回転に伴って、接触面142上の接触位置βと駆動回転ローラ101の回転軸103の中心C1との間の距離が徐々に大きくなるような形状を有する。
このため、駆動回転ローラ101の反搬送回転方向ω2への反搬送回転に伴って、接触面142上の接触位置βは接触位置移動方向ω3に移動する。これにより、従動回転ローラ105が離間方向α2に移動するので、駆動回転ローラ101の回転軸103の中心C1と従動回転ローラ105の回転軸107の中心C2との間の距離は、距離tmだけ広くなり、距離Ln(図9参照)から距離Lm(図10参照)となる。つまり、ローラ回転離間機構130は、ローラ付勢部110による付勢力に抗するように、一対の回転ローラ101、105を、用紙Tの厚さtnよりも広い距離tmだけ広げた離間状態に変位させる。
【0094】
また、復帰付勢部160のフック架け部164は、一方の回転伝達部140の回転に伴って、引っ張りバネ162の一端162aが装置本体Mに架けられた位置から、さらに離れる。このため、復帰付勢部160の引っ張りバネ162においては、一方の回転伝達部140に付与する搬送回転方向ω1への回転付勢力は、さらに増す。
【0095】
これにより、一対の回転ローラ101、105が用紙Tを挟む力はほとんど作用しないので、利用者は、一対の回転ローラ101、105に挟まった用紙Tを反搬送方向F2に容易に引き出すことができる。
【0096】
(3a)そして、一対の回転伝達部140、150が離間方向α2に移動して、一対の回転ローラ101、105の挟む力が解除になった状態(図10)から、一対の回転伝達部140、150が互いに接触しない非接触状態(図3参照)になるまでの、一対の回転伝達部140、150及び復帰付勢部160の状態を説明する。
【0097】
利用者は、一対の回転ローラ101、105に挟まった用紙Tを反搬送方向F2に取り除き、レジストローラ対80の近傍にあるケース体BDの蓋を閉じる。
図7に示すように、一対の回転ローラ101、105に挟まった用紙Tが反搬送方向F2に取り除かれると、反搬送方向F2への用紙Tの引っ張り力が駆動回転ローラ101に伝達されなくなる。また、駆動回転ローラ101を反搬送回転方向ω2に回転させる回転力は、生じなくなる。
【0098】
そして、利用者が、JAM状態となった用紙Tを一対の回転ローラ101、105の間から取り除き、レジストローラ対80の近傍にあるケース体BDの蓋を閉めると、制御部128は、不図示の報知装置により利用者に用紙TのJAM状態が解除になった旨の報知をする。
また、プリンタ1の回転制御部(不図示)は、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面を安定化させるためのエージング状態になるように、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの回転駆動部を制御する。ここで、エージング状態とは、現像器からトナーが実質的に供給されない状態で、感光体ドラム2a、2b、2c、2dを一定時間だけ回転駆動をすることをいう。
制御部128は、このエージング状態が実行されている間、モータ121を作動させ、一対の回転ローラ101、105を搬送回転方向ω1に回転させる。これにより、駆動回転ローラ101は、ローラ駆動部121の回転力によって、一方の回転伝達部140と他方の回転伝達部150とが非接触状態になる位置(図3参照)に向けて、搬送回転方向ω1に回転する。
【0099】
すると、図9に示すように、接触面142上の接触位置βは、一方の回転伝達部140が搬送回転方向ω1に回転するのに伴って、接触位置移動方向ω3と反対の方向に移動するので、従動回転ローラ105は接近方向(接触方向)α1に移動する。このため、駆動回転ローラ101の回転軸103の中心C1と従動回転ローラ105の回転軸107の中心C2との間の距離は、距離Lmから距離Ln(図8参照)、距離L0(図3参照)と、次第に狭くなる。そして、図7に示すように、駆動回転ローラ101と従動回転ローラ105とは、互いに接近する接近状態となり、その後、互いに接触する接触状態になる。
【0100】
また、図3に示すように、一方の回転伝達部140は、エージング状態における一対の回転ローラ101、105を搬送回転方向ω1に回転させる回転力によって、一方の回転伝達部140と他方の回転伝達部150とが非接触状態になる位置に、回転される。このとき、復帰付勢部160の引っ張りバネ162は、一方の回転伝達部140に、回転付勢力(引っ張り力)を付与している。これにより、非接触部144が回転伝達部150の円筒側面152に接触しないような位置を維持し、また、有歯部188も、復帰付勢部160によって、全周歯車部190に噛み合わないような位置を維持する。
【0101】
また、他方の回転伝達部150においては円筒側面152と一方の回転伝達部140の接触面142とが接触しているので、一方の回転伝達部140の搬送回転方向ω1への回転力は、円筒側面152と接触面142との摩擦を介して、他方の回転伝達部150に伝達される。よって、他方の回転伝達部150は、搬送回転方向ω1に回転する。
【0102】
このように、一方の回転伝達部140は、エージング状態における一対の回転ローラ101、105を搬送回転方向ω1に回転させる回転力によって、一方の回転伝達部140と他方の回転伝達部150とが非接触状態になる位置に回転する。
【0103】
以上のように、利用者がJAM状態となった用紙Tを反搬送方向F2に引っ張るだけで、一対の回転ローラ101、105の用紙Tを挟む力は次第に解除され、利用者は、JAM状態となった用紙Tを容易に一対の回転ローラ101、105から取り除くことができる。
また、一対の回転ローラ101、105から用紙Tが取り除かれると、一方の回転伝達部140は、エージング状態における一対の回転ローラ101、105を搬送回転方向ω1に回転させる回転力によって、一方の回転伝達部140と他方の回転伝達部150とが非接触状態になる位置に回転する。
【0104】
したがって、利用者が用紙Tを反搬送方向F2に引っ張るだけで、ローラ回転離間機構130は、一対の回転ローラ101、105の挟む力の解除を行う。また、制御部128は、エージング状態における一対の回転ローラ101、105を搬送回転方向ω1に回転させる回転力によって、一対の回転ローラ101、105の挟む力の復帰と、一方の回転伝達部140と他方の回転伝達部150とが非接触状態になる位置へ復帰させる一方の回転伝達部140の回転と、を行わせる。
【0105】
(1b)次に、部分歯車部180と全周歯車部190とが互いに接触しない非接触状態(図3参照)から、部分歯車部180と全周歯車部190とが互いに接触する接触状態(図9参照)になるまでの、部分歯車部180と全周歯車部190との状態を説明する。なお、復帰付勢部160、一対の回転ローラ101、105及び一方向クラッチ軸受部170の状態は、(1a)から(3a)と同じなので、説明を省略する。
【0106】
部分歯車部180が一方の回転伝達部140に相対的に移動不能に取り付けられているので、部分歯車部180は、一方の回転伝達部140の回転と共に回転する。また、全周歯車部190が他方の回転伝達部150に相対的に移動不能に取り付けられているので、全周歯車部190は、他方の回転伝達部150の回転と共に回転する。
したがって、欠歯部186が反搬送回転方向ω2に回転移動し、代わりに有歯部188が全周歯車部190に噛合う位置に回転移動することにより、部分歯車部180と全周歯車部190とは噛合う。
【0107】
(2b)次に、部分歯車部180と全周歯車部190との状態について、部分歯車部180と全周歯車部190とが互いに接触する接触状態(図9参照)から、部分歯車部180と全周歯車部190とが離間方向α2に距離tmだけ移動して、一対の回転ローラ101、105の挟む力が解除になる状態(図10参照)までを説明する。
【0108】
部分歯車部180が反搬送回転方向ω2に回転すると、一方の回転伝達部140の反搬送回転方向ω2への回転に伴って、他方の回転伝達部150(全周歯車部190)は、距離tmだけ離間方向α2へ移動する。したがって、部分歯車部180の歯182と全周歯車部190の歯192との噛合いは、距離tmだけ少なくなる。しかし、部分歯車部180と全周歯車部190との間の距離が用紙Tの厚さtnよりも長い距離tmだけ広がっても、部分歯車部180の歯182と全周歯車部190の歯192とは互いに噛合うことができる歯の高さを有するので、部分歯車部180からの回転力は、全周歯車部190に確実に伝達される。
【0109】
(3b)そして、部分歯車部180と全周歯車部190との状態について、一対の回転ローラ101、105が離間方向α2に移動して、一対の回転ローラ101、105の挟む力が解除になった状態(図10)から部分歯車部180と全周歯車部190とが互いに接触しない非接触状態(図3参照)になるまでを説明する。
【0110】
図7に示すように、一対の回転ローラ101、105に挟まった用紙Tが反搬送方向F2に取り除かれると、部分歯車部180及び全周歯車部190は、エージング状態における一対の回転ローラ101、105を搬送回転方向ω1に回転させる回転力によって、部分歯車部180と全周歯車部190とが噛合わない状態になる位置(図3参照)に向けて、搬送回転方向ω1に回転する。
【0111】
このように、部分歯車部180は、エージング状態における一対の回転ローラ101、105を搬送回転方向ω1に回転させる回転力によって、部分歯車部180と全周歯車部190とが噛合わない状態になる位置に回転する。また、部分歯車部180と全周歯車部190とが噛合わない状態になる位置に回転された部分歯車部180は、復帰付勢力部160の引っ張りバネ162による回転付勢力(引っ張り力)によって、部分歯車部180と全周歯車部190とが噛合わない状態になる位置を維持する。
【0112】
以上のように、部分歯車部180は、全周歯車部190を介して、一対の回転伝達部140、150を反搬送回転方向ω2に回転力を伝達することができる。
【0113】
<プリンタ1の組立工場におけるレジストローラ対80の状態の説明>
工場においてプリンタ1が組み立てられてから、利用者の元に届けられて、プリンタ1の使用が開始されるまでの使用待機期間においては、一対の回転ローラ101、105は回転されないので、一対の回転ローラ101、105は、互いに接触するよう、ローラ付勢部110による付勢力を受けている。
一対の回転ローラ101、105のローラ軸部101a、105aは、ゴムのような弾性体被覆部101b、105bで覆われているので、一対の回転ローラ101、105が互いに接触している円柱側面の部分の弾性体被覆部101b、105bが弾性変形する恐れがある。
そこで、プリンタ1のレジストローラ対80においては、図10に示すように、一方の回転伝達部140を反搬送回転方向ω2に回転させ、一対の回転伝達部140、150、部分歯車部180及び全周歯車部190のうちのいずれかを装置本体Mに仮固定する。これにより、一対の回転ローラ101、105が互いに離間方向α2に離間した離間状態が維持される。
このようにすることで、一対の回転ローラ101、105が互いに非接触となるので、円柱側面の部分の弾性体が弾性変形する恐れはない。
【0114】
工場から出荷されたプリンタ1が利用者の元に届けられ、一対の回転ローラ101、105が搬送回転方向ω1に回転する回転力によって、一対の回転伝達部140、150、部分歯車部180及び全周歯車部190のうちのいずれかにされていた仮固定は解除される。これにより、図3に示すように、一方の回転伝達部140は、復帰付勢部160によって、非接触部144が回転伝達部150の円筒側面152に接触しないような位置を維持する。また、有歯部188も、復帰付勢部160によって、全周歯車部190に噛み合わないような位置を維持する。
以上のように、一対の回転ローラ101、105を非接触状態にしてプリンタ1を出荷することにより、プリンタ1の輸送中や倉庫に保管されている状態でも、ローラ付勢部110による付勢力が一対の回転ローラ101、105の円柱側面に作用しない。そのため、対の回転ローラ101、105の円柱側面の弾性体の変形を防止することができる。
【0115】
本実施形態のプリンタ1によれば、例えば、次のような効果が奏される。
本実施形態のプリンタ1によれば、シート搬送部としてのレジストローラ対80は、互いに接触した接触状態又は離間した離間状態に変位可能に配置され、用紙Tを搬送方向F1に搬送させる一対の回転ローラ101、105と、一対の回転ローラ101、105が接触状態を維持するように、一対の回転ローラ101、105を互いに接触させる方向に付勢するローラ付勢部110と、用紙Tが搬送方向F1に搬送するように、一対の回転ローラ101、105のうちの一方又は両方の回転ローラに所定の搬送回転方向ω1の回転力を付与するローラ駆動部120と、一対の回転ローラ101、105のうちの一方又は両方の回転ローラが搬送回転方向ω1と反対の回転方向である反搬送回転方向ω2に回転する反搬送回転が行われるのに伴って、ローラ付勢部110による付勢力を抗するように、一対の回転ローラ101、105を離間状態に変位させるローラ回転離間機構130と、を有する。
このため、利用者が、一対の回転ローラ101、105に挟まれた用紙Tを反搬送方向F2に引き抜くだけで、ローラ回転離間機構130は、駆動回転ローラ(一方の回転ローラ)101が反搬送回転方向ω2に回転するのに伴って、ローラ付勢部110による付勢力に抗するように、一対の回転ローラ101、105を互いに離間方向α2に離間させる。そのため、一対の回転ローラ101、105に挟まった用紙Tを反搬送方向F2に容易に引き出すことができる。
【0116】
また、本実施形態のプリンタ1によれば、ローラ回転離間機構130は、一対の回転ローラ101、105のうちの駆動回転ローラ(一方の回転ローラ)101の回転軸103を中心とする反搬送回転があると、駆動回転ローラ(一方の回転ローラ)101に対して相対的に回転不能になる一方の回転伝達部140と、一対の回転ローラ101、105のうちの従動回転ローラ105の回転軸107を中心とする円筒側面形状を有し、反搬送回転があるとき、従動回転ローラ105に対して相対的に回転不能であり、かつ、一方の回転伝達部140に回転力が伝達するように一方の回転伝達部140に接触する他方の回転伝達部150と、を有し、一方の回転伝達部140は、駆動回転ローラ(一方の回転ローラ)101の反搬送回転に伴って他方の回転伝達部150に接触する接触面142を有し、一方の回転伝達部140の接触面142における所定の第1位置及び第1位置に対して接触位置移動方向ω3側に位置する所定の第2位置において、第2位置と駆動回転ローラ(一方の回転ローラ)101の回転軸103の中心C1との距離は、第1位置と駆動回転ローラ(一方の回転ローラ)101の回転軸103の中心C1との距離よりも大きくなるような形状を有する。
このため、一方の回転伝達部140が反搬送回転方向ω2への反搬送回転をするに伴って、接触位置βと駆動回転ローラ(一方の回転ローラ)101の回転軸103の中心C1との距離が大きくなる。よって、駆動回転ローラ(一方の回転ローラ)101が反搬送回転方向ω2に回転しながら、一対の回転ローラ101、105の互いの間隔が広がる。
【0117】
また、本実施形態のプリンタ1によれば、一方の回転伝達部140の接触面142は、駆動回転ローラ(一方の回転ローラ)101の反搬送回転に伴って接触面142と駆動回転ローラ(一方の回転ローラ)101の回転軸103の中心C1との距離が徐々に大きくなるように形成されている。
このため、一方の回転伝達部140が反搬送回転方向ω2への反搬送回転をするに伴って、接触位置βと駆動回転ローラ(一方の回転ローラ)101の回転軸103の中心C1との距離が、徐々に、大きくなる。よって、一対の回転ローラ101、105が用紙Tを挟む力が徐々に解除される。利用者が反搬送方向F2に用紙Tを引っ張っている最中に、急に、一対の回転ローラ101、105から用紙Tが抜けることを防止することができる。
【0118】
また、本実施形態のプリンタ1によれば、一方の回転伝達部140は、一方の回転伝達部140における接触位置移動方向ω3と反対の方向側に隣接する位置に、接触状態において他方の回転伝達部150に接触しない非接触状態となる非接触部144を有する。
このため、用紙Tの搬送が順調に行われているときには、駆動回転ローラ(一方の回転ローラ)101は搬送回転方向ω1に回転する。このときには、一方の回転伝達部140は、非接触部144によって、他方の回転伝達部150に接触しない非接触状態となる。
他方、一対の回転ローラ101、105の間に挟まれた用紙Tを取り除く際には、用紙Tを引っ張る方向は反搬送方向F2である。そのため、駆動回転ローラ(一方の回転ローラ)101は反搬送回転方向ω2に回転し、ひいては、一方の回転伝達部140は反搬送回転方向ω2に回転する。
【0119】
また、本実施形態のプリンタ1によれば、ローラ回転離間機構130は、駆動回転ローラ101の回転軸103に相対的に回転不能に取り付けられるインナー部172と、インナー部172が搬送回転方向ω1に相対的に回転することを許容し、かつ、インナー部172が反搬送回転方向ω2に相対的に回転することを許容しないアウター部174と、を有する一方向クラッチ軸受部170を有し、一方の回転伝達部140は、アウター部174に相対的に回転不能に固定されている。
このため、用紙Tの搬送が順調に行われているときには、駆動回転ローラ101は搬送回転方向ω1に回転する。このときは、アウター部174は、インナー部172に対して空回りする。
他方、一対の回転ローラ101、105の間に挟まれた用紙Tを取り除く際には、用紙Tを引っ張る方向が反搬送方向F2であるから、駆動回転ローラ101は反搬送回転方向ω2に回転する。このとき、アウター部174は、インナー部172に対して空回りせず、アウター部174とインナー部172とは、一体的に回転し、ひいては、一方の回転伝達部140は反搬送回転方向ω2に回転する。
【0120】
また、本実施形態のプリンタ1によれば、ローラ回転離間機構130は、一方の回転伝達部140と他方の回転伝達部150とが非接触状態になる位置に一方の回転伝達部140の位置が維持するように、一方の回転伝達部140に回転付勢力を付与する復帰付勢部160を有する。
このため、一対の回転ローラ101、105に挟まれていた用紙Tが取り除かれると、まず、一対の回転ローラ101、105を搬送回転方向ω1に回転させる回転力によって、一方の回転伝達部140と他方の回転伝達部150とが非接触状態になる位置に回転し、次に、非接触状態になる位置に回転した一方の回転伝達部140は、復帰付勢部160の復帰力により、一方の回転伝達部140と他方の回転伝達部150とが非接触状態になる位置を維持する。
【0121】
また、本実施形態のプリンタ1によれば、ローラ回転離間機構130は、他方の回転伝達部150に相対的に移動不能に固定される全周歯車部190と、接触状態において全周歯車部190に噛み合わない欠歯部186、及び、離間状態において全周歯車部190に噛み合う有歯部188を有し、一方の回転伝達部140に相対的に移動不能に固定される部分歯車部180と、を有する。
このため、一方の回転伝達部140の回転力を確実に他方の回転伝達部150に伝達させることができる。
【0122】
<その他の実施形態>
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されていることなく、種々の形態を採用することができる。ローラ駆動部120は、前記実施形態においては駆動回転ローラ101を搬送回転方向ω1に回転させているが、これに制限されず、従動回転ローラ105も同時に回転させてもよい。
【0123】
前記実施形態においては、他方の回転伝達部150は、反搬送回転方向ω2への反搬送回転があるとき、従動回転ローラ105に対して相対的に回転不能であるように形成されているが、これに限定されない。例えば、他方の回転伝達部150は、搬送回転方向ω1への回転があったときは、従動回転ローラ105に対して、相対的に回転可能に組み付けられ、かつ、反搬送回転方向ω2への回転があったときは、従動回転ローラ105に対して、相対的に回転不能に組み付けられていてもよい。
【0124】
前記実施形態においては、ローラ付勢部110は一対の圧縮コイルバネ111を有し、復帰付勢部160は引っ張りバネ162を有しているが、これらに制限されず、いずれの付勢部においても、例えば、圧縮コイルバネ、引っ張りバネ、空気バネ、磁石の反発力など他の付勢機構を用いてもよい。
【0125】
前記実施形態においては、一方の回転伝達部140の接触面142は、駆動回転ローラ101の反搬送回転方向ω2への反搬送回転に伴って、接触面142上の接触位置βと駆動回転ローラ101の回転軸103の中心C1との距離が徐々に大きくなるような形状を有しているが、これに限定されない。例えば、駆動回転ローラ101の反搬送回転方向ω2への反搬送回転に伴うことにより、接触面142上の接触位置βと駆動回転ローラ101の回転軸103の中心C1との距離が増加する割合は、一定であったり、徐々に大きくなったり、徐々に小さくなったり、又は、それらの組み合わせであったりしてもよい。さらに、それらの増加する割合の組み合わせには、増加しないことも含まれていてもよい。具体的には、一方の回転伝達部140の接触面142は、駆動回転ローラ101の反搬送回転方向ω2への反搬送回転に伴って、接触面142上の接触位置βと駆動回転ローラ101の回転軸103の中心C1との距離が階段状に大きくなるような形状を有してもよい。
【0126】
前記実施形態においては、一方の回転伝達部140と部分歯車部180とが別体に形成されており、また、他方の回転伝達部150と全周歯車部190とが別体に形成されているとしたが、これに限定されない。例えば、一方の回転伝達部140と部分歯車部180とが一体に形成されていてもよい。他方の回転伝達部150と全周歯車部190とが一体に形成されていてもよい。
【0127】
シート搬送部の一例としてレジストローラ対80を例示して説明したが、用紙をローラ対で挟み、そのローラ対の回転によって搬送路内に送る機構であれば制限はなく、その機構にも、ローラ回転離間機構130を適用できる。シート搬送部の他の例としては、例えば、レジストローラ対、給紙ローラ対、排出ローラ対、中間ローラ対、2次転写ローラと対向ローラ、感光体ドラムと1次転写ローラなどを挙げることができる。
【0128】
また、上記実施形態は、いわゆる間接転写方式の画像形成装置であり、転写ニップは、中間転写ベルトと2次転写ローラとの間に2次転写ニップN2として形成されているが、これに制限されない。例えば、直接転写方式の画像形成装置の場合には、転写ニップは、例えば、感光体ドラムと転写ローラとの間に形成される。
本発明の画像形成装置の種類は、特に限定がなく、コピー機、プリンタ、ファクシミリ、又はこれらの複合機などであってもよい。
シートは、用紙に制限されず、例えば、フィルムシートであってもよい。
【符号の説明】
【0129】
1……プリンタ(画像形成装置)、80……レジストローラ対(シート搬送部)、101……駆動回転ローラ(一方の回転ローラ)、103……一方の回転ローラの回転軸、105……従動回転ローラ(他方の回転ローラ)、107……他方の回転ローラの回転軸、110……ローラ付勢部、111……圧縮コイルバネ、120……ローラ駆動部、130……ローラ回転離間機構、140……一方の回転伝達部、142……接触面、144……非接触部、146……回転伝達側面、150……他方の回転伝達部、152……円筒側面、160……復帰付勢部、162……引っ張りバネ、162a……引っ張りバネの一端、162b……引っ張りバネの他端、164……フック架け部、170……一方向クラッチ軸受部、172……インナー部、174……アウター部、180……部分歯車部、192……部分歯車部の複数の歯、184……部分歯車部の円板部、186……部分歯車部の欠歯部、188……部分歯車部の有歯部、190……全周歯車部、192……全周歯車部の複数の歯、196……全周歯車部の円板部、α1……接近方向(接触方向)、α2……離間方向、β……接触位置、ω1……搬送回転方向、ω2……反搬送回転方向、ω3……接触位置移動方向、C1……一方の回転ローラの回転軸の中心、C2……他方の回転ローラの回転軸の中心、F1……搬送方向、F2……反搬送方向、GK……画像形成部、T……用紙(シート)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを所定の搬送方向に搬送させるシート搬送部と、
シートに画像を形成する画像形成部と、を備え、
前記シート搬送部は、
互いに接触した接触状態又は離間した離間状態に変位可能に配置され、シートを前記搬送方向に搬送させる一対の回転ローラと、
前記一対の回転ローラが前記接触状態を維持するように、前記一対の回転ローラを互いに接触させる方向に付勢するローラ付勢部と、
前記シートが前記搬送方向に搬送するように、前記一対の回転ローラのうちの一方又は両方の回転ローラに所定の搬送回転方向の回転力を付与するローラ駆動部と、
前記一対の回転ローラのうちの一方又は両方の回転ローラが前記搬送回転方向と反対の回転方向である反搬送回転方向に回転する反搬送回転が行われるのに伴って、前記ローラ付勢部による付勢力に抗するように、前記一対の回転ローラを前記離間状態に変位させるローラ回転離間機構と、を有する、画像形成装置。
【請求項2】
前記ローラ回転離間機構は、
前記一対の回転ローラのうちの一方の回転ローラの回転軸を中心とする前記反搬送回転があると、前記一方の回転ローラに対して相対的に回転不能になる一方の回転伝達部と、
前記一対の回転ローラのうちの他方の回転ローラの回転軸を中心とする円筒側面形状を有し、前記反搬送回転があるとき、前記他方の回転ローラに対して相対的に回転不能であり、かつ、前記一方の回転伝達部の回転力が伝達するように一方の回転伝達部に接触する他方の回転伝達部と、を有し、
前記一方の回転伝達部は、前記一方の回転ローラの前記反搬送回転に伴って前記他方の回転伝達部に接触する接触面を有し、
前記一方の回転伝達部の前記接触面における所定の第1位置及び前記第1位置に対して前記一方の回転ローラの前記反搬送回転に伴って前記一方の回転伝達部と前記他方の回転伝達部とが互いに接触する接触位置が移動する方向である接触位置移動方向側に位置する所定の第2位置において、前記第2位置と前記一方の回転ローラの回転軸の中心との距離は、前記第1位置と前記一方の回転ローラの回転軸の中心との距離よりも大きい、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記一方の回転伝達部の前記接触面は、前記一方の回転ローラの前記反搬送回転に伴って前記接触面と前記一方の回転ローラの回転軸の中心との距離が徐々に大きくなるように形成されている、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記一方の回転伝達部は、前記一方の回転伝達部における前記接触位置移動方向と反対の方向側に隣接する位置に、前記接触状態において前記他方の回転伝達部に接触しない非接触状態となる非接触部を有する、請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ローラ回転離間機構は、
前記一方の回転ローラの回転軸に相対的に回転不能に取り付けられるインナー部と、前記インナー部が前記搬送回転方向に相対的に回転することを許容し、かつ、前記インナー部が前記反搬送回転方向に相対的に回転することを許容しないアウター部と、を有する一方向クラッチ軸受部を有し、
前記一方の回転伝達部は、前記アウター部に相対的に回転不能に固定されている、請求項2から4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ローラ回転離間機構は、前記一方の回転伝達部と前記他方の回転伝達部とが非接触状態になる位置に前記一方の回転伝達部の位置が維持するように、前記一方の回転伝達部に回転付勢力を付与する復帰付勢部を有する、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記ローラ回転離間機構は、
前記他方の回転伝達部に相対的に移動不能に固定される全周歯車部と、
前記接触状態において前記全周歯車部に噛み合わない欠歯部、及び、前記離間状態において前記全周歯車部に噛み合う有歯部を有し、前記一方の回転伝達部に相対的に移動不能に固定される部分歯車部と、を備える、請求項2から6のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−30915(P2012−30915A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170912(P2010−170912)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】