説明

画像形成装置

【課題】複数備えられたトナー像形成ユニットを画像形成装置の所定の位置に係合させる保持側板を取り付ける際に、保持側板の姿勢や装填動作が不安定になることで、複数設けられた係合部分が挿入困難とするなどの問題の発生を解消する。
【解決手段】保持側板68に被ガイド部材83、84に、複写機本体100にガイド部材88を取り付ける。そして、ガイド部材88の断面を先端が最も幅寸法が小さく、装填動作の途中部分を最も大きく、最終的に固定される部分を途中の最大幅部分よりも小さくし、保持側板68の装填動作を容易にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリまたはそれらの複合機などの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリまたはそれらの複合機など、電子写真方式の画像形成装置では、画像形成装置本体(以下、単に本体というときもある。)内に一対の本体側板を対向して設け、それら一対の本体側板間に感光体等の像担持体とともに、その像担持体の周りに帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置、クリーニング装置、除電装置などを配置して構成したトナー像形成部ユニットを設けている。そして、像担持体が感光体であれば、その回転とともに、帯電、露光、現像を行って像担持体上に画像を形成し、その画像を、像担持体周りに搬送されてきた記録媒体に転写する。
【0003】
画像転写後の記録媒体は、定着装置に入れて転写画像を定着させる一方、画像転写後の像担持体表面をクリーニングとともに除電し、再度の画像形成に備える。
【0004】
この種の画像形成装置では、画像形成装置本体に対して取り付け、取り外し自在に複数設けられたトナー像形成部ユニットを、画像形成装置本体に対して位置決めて保持するための保持側板ガイド機構を有するものが知られている。
【0005】
保持側板ガイド機構としては、トナー像形成部ユニットを、ガイドレールを介して画像形成装置本体から引き出し、画像形成装置本体へ装填自在にしたものがある。ジャム処理や部品交換など、メンテナンス上の便宜のためである。このような機構では、画像形成装置本体には、トナー像形成部ユニットの引き出し方向手前側と、装填方向奥側とに一対のユニット側板を対向して備え、これらユニット側板間で画像形成装置本体内に設置するトナー像形成部ユニットや、その他のユニット、装置、部品等を支持するようになっている。
【0006】
このような保持側板ガイド機構の構成においては、当然ながら複数のトナー像形成部ユニット間の位置関係は非常に重要になる。複数のトナー像形成部ユニットの位置関係が正しくない場合は、画像にズレや歪みを生じてしまい得る。そのような観点から、トナー像形成部ユニットのメンテナンスができ、かつ高精度に位置決めがなされるような構成が望ましい、と考えられているためである。
【0007】
スライドレールを有するという構成は一例ではあるが、スライドレールを有するという構成のために、引き出し時、装填時ともに、スライドレールが占める領域を考慮することが必要である。そのため、限られた領域にトナー像形成部ユニットが隣接するような場合、像担持体周りのユニット、装置、機器、部材同士について、メンテナンス性と位置を精度良く保持させるため、保持側板を取り外し可能なものとする構成が知られている。
【0008】
このような保持側板を取り外し可能なものとする構成では、保持側板の取り付け精度とメンテナンスという二つの観点から、保持側板を一部品で形成してユニット、装置、機器、部材等を保持する構成が知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながらこのような構成では、保持側板で保持するユニット、装置等が大型化した場合、保持側板自体も大型化し、取り扱いが難しくなってくる。特に高精度の位置決めを行うということは複数点の非常に隙間の少ない嵌合する部位が存在することになる。これは、保持側板の姿勢や位置が側板の装填動作に影響を及ぼし、適切な状態でないと複数点の嵌合部分を同時に嵌合させることが難しくなってしまうという問題を生じさせる可能性がある。
【0010】
そこで本発明においては、保持側板を設置する際に、装填動作をガイドによって導くことにより概略の位置を決めて、装填動作の動作範囲を限られた範囲にすることで、嵌合部材が嵌合しやすい位置と、嵌合動作をスムーズに行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の画像形成装置は、画像形成装置本体に対して取り付け、取り外し自在にトナー像形成部ユニットを複数備え、該トナー像形成部ユニットを保持側板により画像形成装置本体に固定する画像形成装置において、前記保持側板を剛体によって構成し、前記画像形成装置本体に、前記保持側板を位置決めする位置決め嵌合部を設け、該位置決め嵌合部は、前記保持側板をガイド、位置決めするためのガイド部材を備え、該ガイド部材は前記保持側板の取り付け、取り外し方向と直交する方向における幅寸法が変化するものであり、前記保持側板には、前記ガイド部材の幅寸法変化に対応して開き、綴じ動作が可能な被ガイド部材を備え、前記ガイド部材の幅寸法を、前記トナー像搬送ユニットの前記画像形成装置本体に取り付け、取り外しする方向において取り外し方向先端側が最も幅寸法が小さく、前記取り付け、取り外し方向の途中部位に最も幅寸法が大きくした、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、装填動作の動作範囲を限られた範囲とし、嵌合部材が嵌合しやすく、また嵌合動作をスムーズに行える。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】電子写真式タンデム型間接転写カラー複写機の内部機構の全体概略構成図
【図2】その複写機に備えるタンデム作像手段周りの構成図
【図3】その複写機に備える構造体の斜視図
【図4】その複写機に備える保持側板の構成図(A)、ガイド部材と被ガイド部材の関係構成を示した図(B)
【図5】保持側板に設けられた被ガイド部材を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、電子写真式タンデム型間接転写カラー複写機(以下、単に複写機と言う。)の一例の内部機構の全体概略構成を示す。図中100は画像形成装置本体である複写機本体、200はそれを載せる給紙テーブル、300は複写機本体100上に取り付けるスキャナ、400はさらにその上に取り付ける自動原稿搬送装置(ADF)である。
【0015】
複写機本体100には、中央に、無端ベルト状の中間転写体10を駆動ローラ14と二つの従動ローラ15、16に掛け回して図中時計回りに回転搬送可能に設けてある。もちろん、別途に、中間転写体10の片寄りを調整するローラに掛け回すなど、4つ以上のローラに掛け回すようにしてもよい。なお中間転写体10は、図示の例ではほぼ水平に張り渡してあるが、水平ではなく、斜めに張り渡すようにしてもよい。
【0016】
また図示の例では、一方の従動ローラ15の図中左側に、画像転写後に中間転写体10上に残留する残留トナーを除去するベルトクリーニング装置17を設けてある。
【0017】
駆動ローラ14と従動ローラ15間に水平に張り渡した中間転写体10上には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの単色作像手段18を横に並べて配置してタンデム作像装置20を設けてある。タンデム作像装置20の上には、さらに露光装置21を設けてある。
【0018】
一方、中間転写体10の張り渡し領域の下方には、二次転写装置22を備えている。二次転写装置22は、図示の例では、二つのローラ23間に、無端ベルトである二次転写ベルト24を掛け渡して構成し、他方の従動ローラ16に押し当てて中間転写体10上の画像を記録媒体に転写する。
【0019】
二次転写装置22の横には、記録媒体上の転写画像を定着する定着装置25を設けてある。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26に加圧ローラ27を押し当てて構成する。そして、図示の例ではその一部を(全部でもよい)、中間転写体10の張り渡し領域の下方に入り込ませて備えている。この二次転写装置22には、画像転写後の記録媒体をこの定着装置25へと搬送する媒体搬送機能も備えている。もちろん、二次転写装置22として、非接触のチャージャを配置してもよい。ただし、そのような構成の場合は、この媒体搬送機能を併せて備えることは難しくなる。
【0020】
このような二次転写装置22および定着装置25の下には、中間転写体10の張り渡し方向と平行に、記録媒体の両面に画像を形成すべく記録媒体を反転する記録媒体反転装置28を備える。
【0021】
この複写機を用いて複写するときは、自動原稿搬送装置400の原稿台30上に原稿をセットするか、または自動原稿搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に直接原稿をセットし、自動原稿搬送装置400を閉じてそれで押さえる。そして、不図示のスタートスイッチを押すと、自動原稿搬送装置400に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス32上へと移動してから、スキャナ300を駆動して原稿内容を読み取る。コンタクトガラス32上に直接原稿をセットしたときは、そのまま原稿内容を読み取る。
【0022】
また、不図示のスタートスイッチを押すと、不図示の駆動モータで駆動ローラ14が回転駆動されて従動ローラ15、16が従動回転し、中間転写体10を回転搬送する。同時に、個々の単色作像手段18でそれぞれの像担持体40を回転させて各像担持体40上にそれぞれの色(イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック)の単色画像を形成する。そして、中間転写体10の搬送とともに、それらの単色画像を一次転写して順次重ね、中間転写体10上に合成カラー画像を形成する。
【0023】
一方、不図示のスタートスイッチを押した後、適宜のタイミングで給紙テーブル200の給紙ローラ42の1つが選択されて回転する。すると、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44の1つから記録媒体が繰り出される。記録媒体は、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に入れられ、搬送ローラ47で搬送され、複写機本体100内の給紙路48に導かれ、レジストローラ49に突き当って止まる。手差し給紙の場合は、給紙ローラ50を回転させて開いた手差しトレイ51上にセットした記録媒体を繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。
【0024】
そして、中間転写体10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させ、中間転写体10と二次転写装置22との間に記録媒体を送り込み、二次転写装置22で中間転写体10上の合成カラー画像を一括二次転写して記録媒体上にカラー画像を形成する。
【0025】
画像転写後の記録媒体は、二次転写装置22で搬送して定着装置25へと送り込む。定着装置25で熱と圧力とを加えて転写画像を定着させた後、切換爪55で切り換えて排出ローラ56により排出し、排紙トレイ57上にスタックする。記録媒体の両面に画像形成をする場合は、切換爪55で切り換えて記録媒体反転装置28に入れ、そこで反転させて再び転写位置へと導き、裏面にも画像を形成して後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出する。
【0026】
一方、画像転写後の中間転写体10は、ベルトクリーニング装置17で、画像転写後に中間転写体10上に残留する残留トナーを除去し、タンデム作像装置20による再度の画像形成に備える。
【0027】
上述したタンデム作像装置20の各単色作像手段18は、例えば図2に示すようなもので、ドラム状の像担持体40の周りに、帯電装置60、現像装置61、一次転写装置62、クリーニング装置63、除電装置64などを備えている。図中の番号の後尾に記載のY、M、C、Kはイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの色を示し、例えば単色作像手段は18Y、18C、18M、18Kである。図示の例では、ブラックの単色作像手段18Kを、中間転写体10の図中矢示する搬送方向、すなわち記録媒体の搬送方向で最下流側に位置させ、順に配置するということである。
【0028】
図示を省略するが、これら単色作像手段18を構成する部分の全部または一部でプロセスカートリッジユニットを形成し、複写機本体100に対して一括して着脱自在としてメンテナンス性を向上させることがある。
【0029】
また、単色作像手段18を構成する部分のうち、帯電装置60は、図示の例では帯電ローラを用い、像担持体40に接触して電圧を印加することによりその像担持体40の帯電を行う。一次転写装置62は、ローラ状とし、中間転写体10を挟んで像担持体40に押し当てて設ける。なお、一次転写装置はローラ状に限らず、非接触のチャージャであってもよい。除電装置64は、例えばランプであり、光を照射して像担持体40の表面電位を初期化する。
【0030】
そして、像担持体40の回転とともに、まず帯電装置60で像担持体40の表面を一様に帯電し、次いでスキャナ300の読み取内容に応じて上述した露光装置21からレーザやLED等による書き込み光Lを照射して像担持体40上に静電潜像を形成する。
【0031】
その後、現像装置61によりトナーを付着してその静電潜像を可視像化し、その可視像を一次転写装置62で中間転写体10上に転写する。画像転写後の像担持体40の表面は、クリーニング装置63で残留トナーを除去して清掃し、除電装置64で除電して再度の画像形成に備える。
【0032】
図3には、図1、図2で示した複写機内に備える構造体を示す。図中符号66が複写機本体100の構造体である本体筐体を、67が給紙テーブル200の構造体であるテーブル筐体を示す。本体筐体66の正面側には手前側の本体への保持側板68を、図示しない背面側には奥側の保持側板を対向させて設ける。そして、それらの間で、上述した駆動ローラ14、従動ローラ15、16、ベルトクリーニング装置17、タンデム作像装置20などを支持する。
【0033】
図中手前側、すなわち、後述するプロセスカートリッジユニットやその他のユニットの取り外し、取り付け方向で、取り外し方向先側に位置する保持側板68の下方は開放させてある。この開放部位には、例えば特許文献1に記載されているようなレジストローラ49、二次転写装置22、定着装置25などを具備した引き出し可能な引出しユニット70が配してある。
【0034】
このようなタンデム作像装置20は、前述するように複写機本体100に対して着脱可能な状態となっている。その理由は、メンテナンスを行う必要があるからであるが、その際にはこれらのタンデム作像ユニット20は複写機本体100の前方向に引き出して取り出す。逆に作像ユニット20を複写機本体100に設置する場合は装置前方向から、奥方向への装填動作が必要となる。
【0035】
このように複写機本体100の前側からユニットの抜き差しが必要なため複写機本体100の前面側は開口している。しかしながらタンデム作像ユニット20に備えた各々の像担持体40は、前述したような露光装置21からの書き込みをなされるものであり、複写機本体100に対する相対位置は精度良く設置しなければならない。そのため、タンデム作像ユニット20を装填した後に、各々位置決めして複写機本体100に対して保持するために、既述の保持側板68が設けてある。
【0036】
保持側板68は、タンデム作像ユニット20が含むドラム状の像担持体40の中心軸を基準として、タンデム作像ユニット20を複写機本体100に対してあるべき位置に保持する役目を担っている。すなわち、タンデム作像ユニット20を保持側板68が無い状態で複写機本体100に対して装填すると若干のガタを有した状態になるが、保持側板68を用いて装填するとガタが無い状態で位置決め設置できる。すなわち、保持側板68に設けたユニット位置決め用軸受け部80Y、80M、80C、80Kと、ドラム状像担持体40Y、40M、40C、40Kの中心軸と嵌合して、タンデム作像ユニット20を所定の位置に保持するようになっている。
【0037】
ドラム状像担持体40Y、40M、40C、40Kの中心軸については、装填されるその先端は、装填がスムーズになされるように円錐形状となっている。また、嵌合部分より径の小さな案内部分がその前段に備えられている形状でも、同じように装填をスムーズに行えるようになる。
【0038】
図4(A)は保持側板68の構成を示す模式図である。保持側板68には複写機本体100に位置決めするために設けた剛体の側板位置決め嵌合部81および従嵌合部82と、Y、M、C、Kの4色分の画像形成ユニットを位置決めするための、ユニット嵌合軸受け部80Y、80M、80C、80Kの4箇所を備えている。これに加えて、保持側板68を複写機本体100に設置するのに用いる被ガイド部83、84が、ユニット嵌合軸受け部80の並列方向でさらに外周側に設けてある。
【0039】
保持側板68は、それ自身が複写機本体100に設けた嵌合部と側板位置決め嵌合部81および従嵌合部82と嵌合することで複写機本体100の所定の位置に取り付けることができる。具体的には、例えば位置決めにかかわる嵌合部を2箇所とし、図示のように保持側板68の上側でかつ互いの高さが同じ位置になるように設ける。図示の例では、片側が丸軸と丸穴であり、もう一方は軸と長穴(水平方向に長い形状)としてある。
【0040】
すなわち、側板位置決め嵌合部81および従嵌合部82はガタの少ない嵌合状態となっている。前述したように、タンデム作像ユニット20をそのまま複写機本体100に対して取り付けると、ガタが生じるようになっているため、このガタが位置決めの余裕になり、保持側板68との嵌合時に側板位置決め嵌合部81および従嵌合部82が極端に斜めに装填されて装填されにくくなるといったことが無い。ただし、側板位置決め嵌合部81および従嵌合部82にかかわる二つの構成要素、すなわち複写機本体100と保持側板68については、両方とも剛体であり、二箇所設けた嵌合部は、ほぼ同時に嵌合させる必要があり、所定の姿勢での装填を行わないと、装填がしにくくなることがあり得る。したがって、保持側板68は複写機本体100に対して、側板位置決め嵌合部81および従嵌合部82がスムーズに嵌合するような設置動作にて設置が行われることが望ましい。
【0041】
そのため、図示のように被ガイド部83、84を保持側板68の外周近傍に設け、保持側板の位置を外周に近いところで案内することによって、保持側板68自体の装填動作にかかわる姿勢は安定しやすくしてある。保持側板68が大型化しても、装填の際のガイドのガタはほぼ一定程度にできる。そのため、被ガイド部83、84よりも保持側板68の内側に設けた側板位置決め嵌合部81および従嵌合部82や、ユニット位置決め用軸受け部80Y、80M、80C、80Kへは、嵌合に適した位置において嵌合動作が行われることになる。
【0042】
複写機本体100側に設けるガイドと、それによってガイドされる保持側板68に設けた被ガイド部83、84について図5および図6を参照して説明する。
【0043】
図5に示すように、保持側板68に設けた被ガイド部材83は、開動作が可能な対となったローラ85a、85bからなり、ローラ85a、85bにはバネ部材87a〜87dにより閉じる方向に負荷が掛けてある。また、ローラ85a、85bは、保持側板68の基材の一部であるローラ保持部68Tによって、開き動作をする方向がガイドされるようになっている。
【0044】
図4(B)は、複写機本体100側に設けるガイド部材88について被ガイド部材の設置動作にかかわる関係を示す。被ガイド部材83、84についての構成は前述したとおりであり、図4(B)では分かりやすいようにローラ85a、85bのみを記載している。
【0045】
ガイド部材88の断面変化、すなわち幅寸法の変化は、保持側板68の装填方向に平行でかつ重力方向に平行な中心面を基準に左右対称となっている。ガイド部材88は、剛体によって構成され、装填方向において取り外しされる方向(先端)が最も断面的に小さく、装填方向において側板位置決め嵌合部81および従嵌合部82が嵌合し始めてから嵌合し終わるまでの間に最も断面的に大きな箇所を有しており、嵌合部材83、84が完全に嵌合して複写機本体100に固定される箇所では断面的には最大部分より小さくなっている。換言すると、取り外し方向先端が最も幅狭で(図では尖頭状で幅寸法としてはほぼゼロ)、嵌合し始めてから嵌合し終わるまでの間は幅寸法が徐々に大きくなっていき、中途部位で幅が最大となり、その後は、被ガイド部材83、84が完全にガイド部材88と嵌合して複写機本体100に固定される箇所までは徐々に幅が小さくなるようにすぼまっていく。なお図示の例では、固定される箇所では、嵌合部材83、84の外形状に対応させて凹んだ円弧形状の外形を呈する。この形状は、いわゆる裾広がり形状で、最大幅の部分よりも外側へ広がる形状をなしているが、この部分は嵌合に寄与する部分ではない。
【0046】
ガイド部材88をこのような断面形状にすることによって、ローラ85a、85bが閉じようとする力から、ユニットの装填方向へ向く分力を生じさせることができる。ローラ85を設けてある保持側板68は、ローラ85が閉じた状態になるほうが状態が安定する。そのため、ガイド部88の最大幅部分を境に、断面形状が小さくなる方向、すなわち幅寸法が小さくなる方向へとローラ85が移動する。それによる力が保持側板68に働く。また、ユニットの装填方向へ向く分力は、側板位置決め嵌合部81および従嵌合部82が嵌合し始めてから在るほうが望ましいので、断面形状の変化(幅寸法の変化)は上述のとおりとしてある。
【0047】
ガイド部材88は、上述したように、被ガイド部材83、84が開動動作が可能な構成であることから、完全に保持側板68を位置決め固定するものではない。このため、別途設ける側板位置決め嵌合部81および従嵌合部82が保持側板68を複写機本体100に対して然るべき位置に設置する役割を問題なく果たすことができる。
【0048】
被ガイド部材83、84の開閉動作にかかわる負荷については、複写機本体100の設置時に、両被ガイド部材83、84のローラ85a、85bがガイド部材88を押す圧力が等しくなるようにする。また、保持側板68を装填動作開始時に、ガイド部材88に対してローラ85a、85bを接触させるときには、ローラ85a、85b同士の接触箇所が概ねガイド部材88の先端位置になるようにし、他の側板位置決め嵌合部81および従嵌合部82やユニット位置決め用軸受け部80Y、80M、80C、80Kが嵌合に適した位置になるように設計し、保持側板68を装填方向へ押し込む動作がスムーズになるように構成することが好ましい。
【0049】
上述のように、ローラ85a、85bの接触で形成される凹みも、保持側板68の装填動作のためのガイドとして機能することが可能である。
【0050】
ガイド部材88の成形であるが、図示のような中実な金属や樹脂部品として成形することがまず考えられる。しかし、図示したローラ85a、85bに挟まれる方向に水平方向な長い板金を折り曲げ成形することによってもガイド部材88としての外周形状をしっかりと形成できるし、このような成形でガイド部材88を製造したほうが安価である。もちろんその他の成形方法を採用することも可能である。
【0051】
以上のような機能を有した保持側板68を用いて、タンデム作像ユニット20を位置決めすることにより、複写機本体100に対して理想のユニット位置に固定することができると同時に、複写機のメンテナンス時に容易に保持側板68が取り付け取り外しすることが可能になり、素早いメンテナンスが可能となる。メンテナンスが容易になれば、例えば作業を急いでいるときにダウンタイムを短縮できるなどの利点がある。
【0052】
すなわち、上述したように、保持側板68を設置する際に、装填動作をガイドすることにより概略の位置を決めて、装填動作の動作範囲を限られた範囲にすることで嵌合部材83、84が嵌合しやすい位置を取りやすく、嵌合動作をスムーズに行えるようにすることができる。
【0053】
また、保持側板68を装填する際に被ガイド部材83、84とガイド部材88の装填動作の際の接触をスムーズにすることができ、また、ガイド動作が摺動を伴わないようにすることで、被ガイド部材83、84の劣化を防止できる。
【0054】
さらに、保持側板68を装填方向に対して確実に垂直に構えさせることができるので、装填動作開始位置に設置できる。
【0055】
また、ガイド部材88は装填方向での断面形状は、先端が最も幅が狭く、中段が最も幅が広く、根元に行くにしたがってって狭くなる、いわゆる剣先型となっているため、被ガイド部材83、84に備えられている閉方向への力は、いったん中段の幅が広くなる領域を越えると装填方向への分力が生じ、これが装填動作をスムーズにするように働く。なお当然ながら、側板位置決め嵌合部81と従嵌合部82は、嵌合最終段階となる部分でガタが最小となる構成とするため、装填の最終段階において上述のような分力が働くことは保持側板68の装填を容易にする。
【0056】
また被ガイド部材83、84を一対のローラで構成することで、被ガイド部材83、84の閉方向への力がガイド部材88との摩擦力となりにくくなる。そのため、効率よく保持側板68の装填方向への分力とすることができ、そのことから、摩擦によるガイド部材88、被ガイド部材83、84の摺動劣化を生じにくくすることができる。
【0057】
さらに、ガイド部材88の先端と被ガイド部材83、84の当接位置が線接触するような状態になり、それが保持側板68の両端で行われる。そのため、大型化した保持側板であっても、装填前の位置から装填完了の位置までの動作を安定にすることが可能になる。また、嵌合部分が多い場合でも装填前後方向への確実な動作が保証され、そのため保持側板の装填が容易になる。
【0058】
本発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
【符号の説明】
【0059】
68:保持側板
70:像担持体
81:側板位置決め嵌合部
82:従嵌合部
83、84:被ガイド部材
85(85a、85b):ローラ
88:ガイド部材
100:複写機本体(画像形成装置本体)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0060】
【特許文献1】特開2006-145892号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体に対して取り付け、取り外し自在にトナー像形成部ユニットを複数備え、該トナー像形成部ユニットを保持側板により画像形成装置本体に固定する画像形成装置において、
前記保持側板を剛体によって構成し、
前記画像形成装置本体に、前記保持側板を位置決めする位置決め嵌合部を設け、
該位置決め嵌合部は、前記保持側板をガイド、位置決めするためのガイド部材を備え、
該ガイド部材は前記保持側板の取り付け、取り外し方向と直交する方向における幅寸法が変化するものであり、
前記保持側板には、前記ガイド部材の幅寸法変化に対応して開き、綴じ動作が可能な被ガイド部材を備え、
前記ガイド部材の幅寸法を、
前記トナー像搬送ユニットの前記画像形成装置本体に取り付け、取り外しする方向において取り外し方向先端側が最も幅寸法が小さく、
前記取り付け、取り外し方向の途中部位に最も幅寸法が大きくした、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記被ガイド部材は、回転自在な一対のローラと、
これらローラ同士が圧接する方向へ押し付ける手段とからなる、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像形成装置において、
前記ガイド部材の幅寸法変化が、前記保持側板の取り付け、取り外し方向での前記ガイド部材の断面的な変化によるものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置において、
前記ガイド部材の断面的な変化は、前記複数のトナー像形成部ユニットを並列させている方向において平行で、前記複数のトナー像形成部ユニットを前記画像形成装置本体へ装填する方向において非平行な側面で生じさせるものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置において、
前記ガイド部材の側面の形状は、前記複数のトナー像形成部ユニットの装填方向でほぼ一定の高さであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置本体は、前記トナー像形成部ユニットを取り外す方向先側に位置する前記保持側板の下方を開放し、前記トナー像形成部ユニットとは異なる引き出し可能なユニットを配してあることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記ガイド部材は、金属の板を曲げ加工して形成したものであることを特徴とする画像形成装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−24993(P2013−24993A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158272(P2011−158272)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】