説明

画像形成装置

【課題】インライン方式の画像形成装置において、黒単色モード時などの、転写残トナーによる画像形成しない画像形成部の廃トナー容器パンクを抑制しつつ、画像形成しない画像形成部の帯電部材からの放電による感光体の劣化を抑える。
【解決手段】単色画像形成モードにおいては、形成した画像パターンにより、画像形成しない画像形成部に、中間転写体上に記録媒体への転写後残った印字部を含む領域は露光し非印字領域は露光しないパターンを露光して、二次転写残トナーを画像形成する画像形成部で回収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインライン(タンデム)方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の複写機、プリンターなどの画像形成装置においては、静電記録方式や電子写真記録方式等が多く用いられている。その中で、特にカラー画像形成装置においては中間転写方式が知られている。これは、順並びの複数の画像形成部(ユニット、ステーション)においてそれぞれ感光体(像担持体)上にトナー像を形成し、そのトナー像を一旦中間転写体上に順次重ね合わせるように一次転写してから、一括して転写材(記録材)に二次転写する方式である。
【0003】
上記のような中間転写方式は、各色のトナー像を感光体から直接に転写材に対して順次に転写する多重転写方式(直接転写方式)に対して、種々の転写材において安定した画像転写が可能であるという利点を有している。そして、各色の現像装置に対してそれぞれ感光体を備え、中間転写体に感光体を一列に当接させるいわゆるインライン方式のカラー画像形成装置が多く実用化されている。
【0004】
例えば、中間転写方式の4色フルカラーの画像形成装置においては、感光体上に形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナー像を、それぞれベルト状あるいはドラム状の中間転写体上に順次に重ね合わせて一次転写する。中間転写体上で重ね合わせた4色のトナー像を最後に一括して転写材に二次転写する。
【0005】
しかし、トナー像を中間転写体から転写材に二次転写する際の転写効率を100%にする事が出来ないため、トナー像を二次転写した後は、中間転写体上に微量のトナーが残る事になる。この二次転写残トナーは、中間転写体上でクリーニングブレードによって掻き取る、もしくは、転写同時クリーニングを用いて、感光体上のクリーニングブレードによって回収するといった手段を用いる(特許文献1)。
【0006】
上述したようなカラー画像形成装置において、例えばモノクロモードなど、画像形成の際に、複数配置された画像形成部のうち、全ての画像形成部で画像形成を行う必要がない画像形成モードがある。この際、画像形成に用いない画像形成部の感光体の劣化を抑制するために、非画像形成中に感光体と中間転写体を離間させる構成をとる方法がある。
【0007】
しかし、この構成とするには、感光体を中間転写体から離間させるための機構が必要となり、画像形成装置の大型化や、コストアップに繋がってしまう。また、モノクロモードからフルカラーモードに切り替わる際、像担持体の離間・当接の衝撃で、中間転写体に波打ちなどが生じ、画像形成時間の遅延や、画像不良の原因ともなり得る。そのため、モノクロモード時などに、画像形成に用いない感光体も中間転写体から離間しない構成が、小型化、コストダウン、画像品質の観点から有利である。
【0008】
モノクロモード時などに、感光体が離間しない構成では、中間転写体の駆動に合わせて画像形成を行わない画像形成部の感光体も駆動させる必要がある。これは、中間転写体のみ駆動し、感光体が固定されていれば、感光体の中間転写体当接部が偏摩耗してしまい、画像不良の原因となるためである。
【0009】
このため、感光体は、画像形成に使用されていなくとも、クリーニングブレードなどとの摩擦により削れてしまう。また、画像形成に用いない感光体の電位に関しても、適切に設定しておく必要がある。例えば、現像装置が感光体と当接していれば、カブリを防止するために、感光体と、現像装置の現像剤担持体との電位の関係を、画像形成時の非印字領域と同様の電位差にしておく必要がある。
【0010】
中間転写体から記録媒体に転写できずに残留した現像剤を、上流に配置された感光体が回収してしまうと、最上流の廃トナー容器において、回収したトナーが廃トナー容器の容量を超えあふれ出てしまう現象(以下パンクとする)が起きてしまう恐れがある。廃トナー容器がパンクすると、画像形成装置を汚したり、トナーが画像形成装置外に飛散したりと問題になる。そのため、転写装置と感光体との電位の関係を、中間転写体に残留した現像剤が、感光体側に回収されない様に電位を設定しておく必要がある。
【0011】
そのため、フルカラーモード以外のモード時に、画像形成に用いない感光体にも画像形成時と同様に帯電を行い、適切な電位設定を保つ構成が提案されている。しかし、このような構成にすると、画像形成に用いてられていないにも関わらず、感光体が帯電時の放電により劣化し、感光体の摩耗が進行してしまう。そこで、非画像形成時には、帯電電位の絶対値を下げ、放電を弱める構成が提案されている(特許文献2)。また、放電を行わずに、現像剤担持体および転写装置の電位を適切に設定することで、感光体の摩耗を抑制する構成が提案されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2009−116130公報
【特許文献2】特開2001−194871公報
【特許文献3】特開平11−84827公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
近年、画像形成装置本体の小型化などのため、一次転写部の離間構成はない場合が多く、そのためにモノクロモード中でも感光体が回転し、モノクロモードの頻度が増えると、画像形成に用いない他色の画像形成部の感光体は劣化しやすい。
【0014】
また同じ理由で、複数の画像形成部の帯電ローラに帯電バイアスを印加するための電源は共通化されることが多い。複数の画像形成部で1つの帯電バイアス電源を用いるような構成では、モノクロモードでも画像形成しない他色の画像形成部には帯電バイアスが印加されることになる。そのため電位を適切に設定しなければ帯電時の放電により感光体が劣化してしまう。
【0015】
また、複数の画像形成部が例えばイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4つであるとして、中間転写体の回転方向に対して上流から第1、第2、第3、第4のステーションとすると、ブラックの画像形成部は第4ステーションに配置される場合が多い。第4ステーションであればモノクロモードで印刷する際、中間転写体にトナー像が転写されてから、転写材に転写されるまでの距離が短い。それによって、画像形成の動作を画像形成装置が始めてから、最初の転写材が出力されるまでの時間が短縮されるためである。
【0016】
またモノクロモード中は、ブラックの画像形成しか行われていないため、中間転写体清掃装置を用いた二次転写残トナーの回収は、ブラックの画像形成部のみで行われることが多い。これは、モノクロモード時に他色の画像形成部でも二次転写残トナーの回収を行うと、ブラックのみで画像形成を行っているにも関わらず、他色の画像形成部のクリーニング装置に廃トナーが溜まることになるためである。
【0017】
特に画像形成部としてプロセスカートリッジを備えている場合、モノクロモードでブラックばかりを使用しているにも関わらず、他色のプロセスカートリッジ(例えば、イエローカートリッジ)を交換しなければいけなくなる等の事態が生じてしまう。
【0018】
近年、カラー画像形成装置の普及率もあがり、カラー画像形成装置でモノカラー(主にブラックのみ)のプリントを行う場合が多くなってきている。モノクロモードの頻度が多い場合、画像形成しないカートリッジで廃トナー容器のパンクが起きやすくなってしまうため、モノクロモード中に発生した二次転写残トナーはブラックカートリッジで回収することが望ましい。
【0019】
このためモノクロモード中の他色の画像形成部では、二次転写残トナーを回収しないように、一次転写バイアスとして、通常の画像形成時とは逆極性の一次転写バイアスを印加する制御がよく行われる。例えば負極性トナーを用いて、反転現像を行う画像形成装置においては、通常の画像形成時には正極性のバイアスを印加する。そしてモノカラーモード時には、二次転写残トナーを回収しないために、負極性のバイアスを印加する。これは中間転写体清掃装置において、二次転写残トナーが正極性に帯電されるためである。
【0020】
それに加えてモノクロモード中の他色の画像形成部では、感光体表面を画像形成に用いる露光装置により全面露光することで、感光体表面を除電し、弱負極性とさせる場合がある。ここで全面露光とは、ベタ黒画像に相当する露光のことである。これは先ほど述べたように、画像形成装置に帯電バイアス電源が1つしかない場合には、モノクロモード中でも他色の画像形成部では、感光体表面が負極性に帯電されてしまっているためである。他色の画像形成部において全面露光を行い、感光体表面を弱負極性とすることで、正極性の二次転写残トナーを出来るだけ回収しないようにしている。
【0021】
このように逆極性の一次転写バイアスと全面露光を行うことにより、モノクロモード中の他色の画像形成部に二次転写残トナーを殆ど回収させることなく、ブラックの画像形成部で二次転写残トナーを回収させることができる。そして画像形成しない画像形成部の廃トナーパンクを抑制することが可能である。
【0022】
しかしながらこのようなシステムにおいては、モノクロモード中の他色の画像形成部では、帯電バイアスが印加され続け、かつ全面露光により帯電前の感光体の電位が下げられている為、帯電装置による放電が繰り返されてしまう。帯電装置による放電によって、感光体が摩耗する現象は一般的に知られている。帯電バイアス電源が共通化されている場合、モノクロモード中の他色の画像形成部は、画像形成を行っていないにもかかわらず、帯電装置による感光体の摩耗が進行することになる。さらに、前述した正極性の二次転写残トナーを回収しないように他色の画像形成部の感光体を全面露光することで、帯電装置による放電が繰り返され感光体の摩耗が促進されてしまう。
【0023】
このようにモノクロモード時に画像形成しない他色の画像形成部の廃トナー容器のパンクを抑制するために全面露光すると、モノクロモードの頻度の増加に伴い、感光体の劣化が促進されてしまう。
【0024】
そこで本発明の目的は、インライン方式の画像形成装置において、単色画像形成モード中の画像形成しない画像形成部の像担持体の劣化を抑制しつつ、画像形成しない画像形成部の廃トナーパンクを回避できる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、現像剤像の転写を受ける循環して移動可能な中間転写体と、前記中間転写体の移動方向に沿って順に配設された複数の画像形成部であって、それぞれ、静電潜像が形成される回転可能な像担持体と、前記像担持体を帯電する帯電手段と、前記帯電手段で帯電された前記像担持体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記像担持体に形成された静電潜像を現像剤像として現像する現像手段と、前記像担持体に形成された現像剤像を前記像担持体と前記中間転写体と接している一次転写位置にて前記中間転写体に一次転写する一次転写手段と、前記像担持体から前記中間転写体へ現像剤像を転写した後に前記像担持体に残留する現像剤を除去する像担持体クリーニング手段と、を有し、像担持体間で異なる色の現像剤像が形成される前記複数の画像形成部と、前記中間転写体に形成された現像剤像を二次転写位置にて記録媒体に二次転写する二次転写手段と、前記中間転写体の移動方向に関して前記二次転写位置よりも下流側で、複数の画像形成部のうちの最上流側の画像形成部の一次転写位置よりも上流側にて前記中間転写体から前記記録媒体へ現像剤像を二次転写した後に前記中間転写体に残留する現像剤を正規の帯電極性とは逆極性に帯電させる現像剤帯電手段と、前記複数の画像形成部における画像形成動作により前記中間転写体に対して複数色の現像剤像を重ね合わせた多色の画像形成を行う多色画像形成モードと、前記複数の画像形成部のうちの1つの画像形成部の画像形成動作により前記中間転写体に対して単色の現像剤像の画像形成を行う単色画像形成モードと、を選択により実行する制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記単色画像形成モードを実行する場合に前記1つの画像形成部の像担持体に露光する第1の画像パターンに応じて第2の画像パターンを決定する露光域決定手段を備え、前記単色画像形成モードの実行の場合には、前記複数の画像形成部における像担持体を回転し、前記複数の画像形成部における帯電手段に帯電バイアスを印加し、前記1つの画像形成部の像担持体に前記第1の画像パターンを露光することにより形成された現像剤像が前記中間転写体の第1の領域に一次転写された後、前記二次転写位置にて前記記録媒体に二次転写されなかった現像剤像が残存する前記第1の領域が前記1つの画像形成部よりも上流側の画像形成部の一次転写位置を通過する時に当該一次転写位置が対向する前記上流側の画像形成部の像担持体の領域を第2の領域として、前記第2の領域が前記第1の領域と前記一次転写位置で接する前に前記第2の領域に前記露光域決定手段により決定した前記第2の画像パターンを露光することにより静電潜像を形成する中間転写体クリーニング対策シーケンスを実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
単色画像形成モード中の画像形成しない画像形成部の像担持体の摩耗を抑制しつつ、画像形成しない画像形成部の廃トナーパンクを回避できるため、単色画像形成モードにおける画像形成しない画像形成部の寿命を延ばすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施例の画像形成装置の概略構成図である。
【図2】図1における1つの画像形成部の拡大図である。
【図3】制御系統のブロック図である。
【図4】実施例のモノクロモードにおけるトナーの移動を示した模式図である。
【図5】実施例における第1の画像パターンの分割領域を示す図である。
【図6】実施例における第2の画像パターンの露光領域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に図面を参照して、本発明の実施の形態を例示する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施形態に限定する趣旨のものではない。
【0029】
[実施例]
(1)画像形成装置例の全体構成
図1は本実施例における画像形成装置100の要部の構成模式図である。図2は図1における1つの画像形成部の拡大図、図3は制御系統のブロック図である。装置100は、中間転写方式でインライン方式の電子写真カラーレーザービームプリンターであり、ホスト装置200から画像信号受信手段(IF)101を介して制御回路部(CPU:制御手段)102に入力する画像信号(電気的画像情報)が入力される。制御回路部102は入力された画像信号に基づいて記録材(転写材)Pに多色の画像形成を行う多色画像形成モードあるいは単色の画像形成を行う単色画像形成モードを実行する。
【0030】
ホスト装置200は画像読み取り装置(イメージリーダー)、パソコン(PC)、ネットワーク上の端末、相手方ファクシミリ、ワードプロセッサ等である。制御回路部102は、表示器などを含む操作部(コントロールパネル)103やホスト装置200との間で各種の電気的な情報の授受をする。そして、制御回路部102は装置100内の各機器の動作を監視及び制御し、装置100のプリント動作(画像形成動作)を所定の制御プログラムや参照テーブルに従って統括的に制御する。記録材Pはトナー像を形成することができる記録媒体であり、用紙・OHTシート・ラベル等のシート状の部材である。
【0031】
装置100には複数の画像形成部、本実施例においては、図面上、右側から左側に水平方向に順に第1乃至第4の4つの画像形成部(以下、ステーションと記す)S(Sa、Sb、Sc、Sd)が並設されており、並列処理により各色の現像剤像を形成する。各ステーションSはそれぞれの現像装置に収容させた現像剤(以下、トナーと記す)の色が本実施例においてはイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックと異なるだけで互いに同様の構成の電子写真画像形成機構である。
【0032】
本実施例では、各ステーションSa、Sb、Sc、Sdの構成及び動作は共通である部分が多い。従って、以下の説明において、特に区別を要しない場合は、いずれかの色用に設けられた要素であることを示すために符号に与えた添え字a(イエロー)、b(マゼンタ)、c(シアン)、d(ブラック)は省略して総括的に説明する。
【0033】
各ステーションSは、それぞれ上記のように異なる色のトナー像が形成される回転可能な像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(以下、ドラムと記す)1を有する。本実施例におけるドラム1はドラム基体の外周面に電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層(表面層:CT層)を積層してなるマイナス帯電性の積層型感光層を有する。
【0034】
各ステーションSのドラム1は制御回路部102により制御される駆動装置11(図3)により全てのドラム1が矢印の時計方向に所定の速度、本実施例では100mm/secの速度で回転駆動される。ドラム1の周囲には、ドラム1に作用する画像形成プロセス手段としての、帯電手段2、露光手段3、現像手段5、一次転写手段6、像担持体クリーニング手段7が配設されている。
【0035】
帯電手段2はドラム1の表面を所定の極性・電位に一様に帯電する手段である。本実施例においては帯電ローラである。帯電ローラ2は芯金上に導電性ゴム層を設けた導電性ローラであり、ドラム1に並行にして所定の圧力で接触させて配設されており、ドラム1の回転に従動して回転する。
【0036】
各ステーションSの帯電ローラ2には芯金に対して制御回路部102で制御される共有の帯電バイアス印加手段としての帯電バイアス電源21から所定のタイミングで所定の帯電バイアスが印加される。電源21がONであれば各ステーションSの全ての帯電ローラ2にマイナス極性で所定電位の帯電バイアスが印加される。これにより帯電ローラ2とドラム1との間で放電が発生して各ステーションSの全ての回転するドラム1の周面がマイナス極性の所定電位(暗電位)VDに一様に帯電される。
【0037】
露光手段3は帯電処理されたドラム1の表面を画像情報に応じて変調された光で走査露光する手段である。本例においては制御回路部102により制御されるレーザースキャナである。スキャナ3はホスト装置200から画像信号受信手段101を介して制御回路部102に入力した画像情報(電気デジタル画像信号)に応じて変調されたレーザービームLを出力してドラム1の帯電処理面を走査露光する。そうすると、ドラム表面の露光部の電位が明電位DLに減衰して、暗電位VDとの静電コントラストによりドラム面に画像露光に対応した静電潜像が形成される。
【0038】
現像手段5はドラム1の表面に形成された静電潜像を正規の帯電極性に帯電された現像剤(トナー)によって現像剤像(トナー像)として顕像化する手段である。本実施例においては、現像剤Tとして非磁性一成分ネガトナーを用いた接触現像方式の反転現像装置であり、負極性の静電潜像を反転現像するので、トナーの正規帯電極性は負である。
【0039】
この現像装置5は、トナーを担持してドラム1に接触して回転する現像剤担持部材としての現像ローラ51を有する。また、トナーに電荷を与え現像ローラ51にトナーを均一な薄層としてコートする現像剤規制部材52、トナーを収容した現像剤収容室(ホッパー部)53等を有する。
【0040】
現像ローラ51は弾性ゴム材等で構成され、制御回路部102により制御される駆動装置55により回転駆動されて周面にトナーが薄層としてコートされる。その現像ローラ51をドラム1に接触させ、制御回路部102により制御される現像バイアス電源54から所定のタイミングで所定の現像バイアスが印加される。これにより、ドラム1の明部電位DLの部分にトナーが付着して静電潜像がトナー像として反転現像される。
【0041】
第1のステーションSaの現像装置5aにはイエロートナーTaが収容されており、ドラム1aにはイエロートナー像が形成される。第2のステーションSbの現像装置5bにはマゼンタトナーTbが収容されており、ドラム1bにはマゼンタトナー像が形成される。第3のステーションScの現像装置5cにはシアントナーTcが収容されており、ドラム1cにはシアントナー像が形成される。第4のステーションSdの現像装置5dにはブラックトナーTdが収容されており、ドラム1dにはブラックトナー像が形成される。
【0042】
即ち、複数の画像形成部である第1〜第4のステーションSa〜Sdのドラム間(像担持体間)で異なる色のトナー像が形成される。
【0043】
一次転写手段6は本実施例においては導電性のローラ(一次転写ローラ)であり、後述する中間転写ユニット4の中間転写体としての中間転写ベルト41を介してドラム1の下面に対応して配置されている。そして、ベルト41をドラム1の下面に接触させて一次転写位置(一次転写ニップ部)N1を形成している。
【0044】
各一次転写ローラ6には制御回路部102により制御される各対応の複数の転写バイアス印加手段である一次転写バイアス電源61から所定のタイミングで所定の一次転写バイアスが印加される。一次転写バイアスによって、一次転写部N1には、正規の帯電極性(本実施例では負極性)に帯電したトナーをドラム1からベルト41へ向かわせる方向(極性)の電界が形成される。これにより、ドラム1上のトナー像がベルト41の面に一次転写される。
【0045】
一次転写バイアス電源61は後述するモノカラーモードにおいて、一次転写ローラ6に対する印加バイアスを、ベルト41上に残存する二次転写残トナーをドラム1に回収させないようにするための非回収バイアスに切り替えることも出来る電源である。
【0046】
像担持体クリーニング手段7は本実施例においてはブレードクリーニング装置であり、一次転写工程において、ベルト41に転写されずにドラム1上に残存したトナー(残トナー)をクリーニング部材としてのクリーニングブレード71で除去、回収する手段である。ブレード71は、所定の当接圧でドラム1に対して所定にカウンター当接している。ドラム1上の一次転写残トナー等はブレード71の先端部で掻き取られて除去されて廃トナー容器72に回収される。
【0047】
ここで、本実施例の装置100は各ステーションSにおけるドラム1、帯電ローラ2、現像装置5、クリーニング装置7を一括して装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジ8としている。プロセスカートリッジは、画像形成装置本体(装置本体)から着脱可能となっている。従って、プロセスカートリッジを交換することによって、残トナーなどが回収された廃トナー容器72も一緒に交換することができる。
【0048】
尚、プロセスカートリッジとは、電子写真感光体と、電子写真感光体に作用するプロセス手段としての帯電手段、現像手段及びクリーニング手段のうちの少なくとも1つと、を一体的にカートリッジ化して画像形成装置の本体に対して着脱可能としたものである。
【0049】
本実施例では、ベルト41の移動方向において上流から順に、それぞれイエロートナーTa、マゼンタトナーTb、シアントナーTc、ブラックトナーTdを内包したプロセスカートリッジ8a〜8dが第1〜第4のステーションSa〜Sdに順に装着されている。
【0050】
本実施例のカートリッジ8はドラム1、帯電ローラ2、クリーニング装置7を共通の枠体に組み付けてドラムユニットとし、このユニットに対して現像装置5が支軸56を中心に揺動可能な現像ユニットとして組み付けてある。カートリッジ8は装置本体の装着部に装着された状態において、ドラムユニットが装置本体側の押さえ機構(不図示)により装置本体に対して位置決め固定される。現像装置5には装置本体側のカム機構(現像装置シフト機構)111が対応する。カム機構111は制御回路部102により制御され、個々のステーションSの現像装置5に対して選択的に非作用状態と作用状態とに転換される。
【0051】
カム機構111が非作用状態に転換されているときは、現像装置5は付勢バネ(不図示)により支軸54を中心にドラムユニットに向って回動されて現像ローラ51が所定の押圧力でドラム1に対して当接した現像位置にシフトして保持される(図2の実線示)。現像ローラ51は現像装置5が現像位置にシフトしている状態において回転駆動され、また現像バイアスの印加がなされる。
【0052】
また、カム機構111が作用位置に転換されているときは、現像装置5は付勢バネに抗して支軸54を中心にドラムユニットから逃げ回動されて現像ローラ51がドラム1から離間した状態の非現像位置にシフトして保持される(図2の2点鎖線示)。現像ローラ51は現像装置5が非現像位置にシフトしている状態においては回転が停止され、また現像バイアスの印加はなされない。
【0053】
第1乃至第4の4つのステーションSa、Sb、Sc、Sdの下方部には中間転写ユニット4が配設されている。ユニット4は循環して移動可能で各ステーションSからトナー像の転写を受ける中間転写体としての可撓性を有するエンドレスの中間転写ベルト(無端ベルト状のフィルム)41を有する。
【0054】
ベルト41は複数の支持部材(ベルト張架部材)としての、駆動ローラ42とこれに並行に配設された二次転写対向ローラ43とテンションローラ44の3本のローラ間に懸回張設されている。駆動ローラ42は第4のステーションSdの側に配設されている。二次転写対向ローラ43は第1のステーションSaの側に配設されている。テンションローラ44はローラ42と43との間の下方に配設されている。
【0055】
駆動ローラ42が制御回路部102で制御される駆動装置45により駆動されることでベルト41は矢印の反時計方向に回転する。ベルト41はドラム1と略同じ周速(表面移動速度)100mm/secでドラム1の回転に順方向(矢印の反時計回り)に移動(回転)する。
【0056】
二次転写対向ローラ43とテンションローラ44はベルト41の回転に従動して回転する。各ステーションSの一次転写ローラ6はベルト41の内側に配設されており、ベルト41を挟んで対応するドラム1の下面に当接している。ベルト41とドラム1との接触部が一次転写位置N1である。一次転写ローラ6はベルト41の回転に従動して回転する。本実施例において第1乃至第4の4つのステーションSa、Sb、Sc、Sdで第1のステーションSaがベルト41の移動方向に関して最上流側であり、第4のステーションSdが最下流側である。
【0057】
二次転写対向ローラ43のベルト懸回部には二次転写手段としての二次転写ローラ90が配設されている。この二次転写ローラ90は表層部が弾性材料で形成された導電性ローラであり、ローラ43に対してベルト41を挟んで所定の押圧力で当接されている。二次転写ローラ90とベルト41との接触部が二次転写位置(二次転写ニップ部)N2である。二次転写ローラ90はベルト41の回転に従動して回転する。また、二次転写ローラ90には制御回路部102で制御される二次転写バイアス電源91から所定の制御タイミングで所定の二次転写バイアスが印加される。
【0058】
また、ベルト41の移動方向に関して、二次転写ローラ90よりも下流側で複数のステーションSのうちの最上流側である第1のステーションSaの一次転写位置N1aよりも上流側に現像剤帯電手段(中間転写体清掃装置)80が配設されている。本実施例においてはこの帯電手段80はベルト41に当接させた、導電性のローラ(ベルトクリーニングローラ)である。
【0059】
このクリーニングローラ80はベルト41上の二次転写残トナー等をステーションSのドラム1に回収させるための前処理を施す手段である。より具体的には、ベルト41に付着しているトナーを正規の帯電極性(本実施例ではマイナス極性)とは逆極性(プラス極性)に帯電させる現像剤帯電手段である。クリーニングローラ80はベルト41の回転に従動して回転する。また、クリーニングローラ80には、制御回路部102で制御されるクリーニングバイアス電源81から所定の制御タイミングで所定のクリーニングバイアスが印加される。
【0060】
ユニット4の下方には記録材Pを積載して収容した記録材カセット104が装置本体に対して着脱可能に装着されている。カセット104に収容された記録材Pは、制御回路部102で制御される給紙ローラ105の回転により一枚ずつ分離給送されて縦方向のシートパス106に導入され、レジストローラ対107に給紙される。
【0061】
制御回路部102はレジストローラ対107を制御して記録材Pを二次転写位置N2に対してベルト41上のトナー像の位置と同期させた所定の制御タイミングにて送り出す。同時に、二次転写ローラ90に対して電源91から二次転写バイアスを印加する。二次転写位置N2には二次転写バイアスによって正規の帯電極性(本実施例では負極性)に帯電したトナーをベルト41から記録材Pへ向かわせる方向(極性)の電界が形成される。これにより、二次転写位置N2を挟持搬送される記録材Pの面に対してベルト41面に形成されているトナー像が順次に二次転写される。
【0062】
二次転写位置N2でトナー像の転写を受けた記録材Pはベルト41の表面から分離され、二次転写ローラ90の上方に配置されている定着装置108に導入される。定着装置108は内蔵ハロゲンランプヒータにより加熱される回転可能な定着ローラと、これに圧接されて定着ニップ部を形成する回転可能な加圧ローラとを含むものである。記録材Pは定着装置108の定着ニップ部を挟持搬送されて加熱・加圧を受ける。これにより、記録材上の未定着のトナー像が固着像として定着される。定着装置108を出た記録材Pは画像形成物として排出ローラ対109にて排出トレイ110に排出される。
【0063】
二次転写工程において、記録材Pに転写されずにベルト41上に残留したトナー(二次転写残トナー)は、ステーションSのドラム1に逆転写された後、そのステーションSのクリーニング装置7によって除去、回収される。典型的には、ベルト41上の二次転写残トナーは、中間転写体クリーニング手段(トナー帯電手段)としてのクリーニングローラ80により電荷が付与され、次回の一次転写時にドラム1に逆転写される。この時ドラム1に付着した残トナーは、像担持体クリーニング手段としてのクリーニング装置7によって除去、回収される。
【0064】
(2)多色画像形成モード(フルカラーモード)
ここでは、第1から第4のステーションのすべての色(複数色)のステーションSa、Sb、Sc、Sdを用いた4色フルカラーの画像形成物を出力するフルカラーモードを説明する。
【0065】
1)制御回路部102はホスト装置200あるいは操作部103からフルカラーモードのプリントリクエストを受け取ると、駆動装置11を起動させてすべてのステーションSのドラム1を回転駆動させる。また、駆動装置45を起動させてベルト41を回転駆動させる。
【0066】
2)また、制御回路部102は、電源21をONにしてすべてのステーションSの帯電ローラ2に対して所定の帯電バイアスを印加する。制御回路部102は、全てのカム機構111を作用状態から非作用状態に転換してすべてのステーションSの現像装置5を現像位置にシフトして現像ローラ51をドラム1に所定に当接させた状態にする。現像装置5は現像位置にシフトされるとともに回転駆動され、また電源54から所定の現像バイアスが印加される。
【0067】
3)この状態において、制御回路部102は、第1から第4のステーションSa、Sb、Sc、Sdのスキャナ3a、3b、3c、3dを順次に所定の制御タイミングでONにして画像露光を開始する。
【0068】
4)これにより、第1のステーションSaにおいては、ドラム1aにフルカラー画像のイエロー成分に対応する静電潜像が形成され、それが現像装置5aによりイエロートナー像として現像される。そして、そのトナー像が一次転写位置N1aにおいて移動するベルト41上に一次転写される。この転写は電源61aから所定の一次転写バイアスが印加された一次転写ローラ6aによりなされる。一次転写位置N1aでベルト41に転写されずにドラム1aに残留したトナーはクリーニング装置7aでドラム面から除去される。
【0069】
第2のステーションSbにおいては、ドラム1bにフルカラー画像のマゼンタ成分に対応する静電潜像が形成され、それが現像装置5bによりマゼンタトナー像として現像される。そして、そのトナー像が一次転写位置N1bにおいて移動するベルト41上に既に転写されているイエロートナー像に所定に重ね合わせられて転写される。この転写は電源61bから所定の一次転写バイアスが印加された一次転写ローラ6bによりなされる。一次転写位置N1bでベルト41に転写されずにドラム1bに残留したトナーはクリーニング装置7bでドラム面から除去される。
【0070】
第3のステーションScにおいては、ドラム1cにフルカラー画像のシアン成分に対応する静電潜像が形成され、それが現像装置5cによりシアントナー像として現像される。そして、そのトナー像が一次転写位置N1cにおいて移動するベルト41上に既に転写されているイエロートナー像+マゼンタトナー像に所定に重ね合わせられて転写される。この転写は電源61cから所定の一次転写バイアスが印加された一次転写ローラ6cによりなされる。一次転写位置N1cでベルト41に転写されずにドラム1cに残留したトナーはクリーニング装置7cでドラム面から除去される。
【0071】
第4のステーションSdにおいては、ドラム1dにフルカラー画像のブラック成分に対応する静電潜像が形成され、それが現像装置5dによりブラックトナー像として現像される。そして、そのトナー像が一次転写位置N1cにおいて移動するベルト41上に既に転写されているイエロートナー像+マゼンタトナー像+シアントナー像に所定に重ね合わせられて転写される。この転写は電源61dから所定の一次転写バイアスが印加された一次転写ローラ6dによりなされる。一次転写位置N1dでベルト41に転写されずにドラム1dに残留したトナーはクリーニング装置7dでドラム面から除去される。
【0072】
かくして、各ステーションの一次転写位置N1を順次に通過したベルト41上にはイエロートナー像+マゼンタトナー像+シアントナー像+ブラックトナー像の4色重ね合わせのフルカラーの未定着トナー像が合成形成される。
【0073】
5)そして、ベルト41上に合成形成されたフルカラーの未定着トナー像が引き続くベルト41の移動により二次転写位置N2に搬送される。そして前記のようにカセット104から給紙されレジストローラ対107により二次転写位置N2に所定の制御タイミングで導入された記録材Pに対して二次転写され、定着装置108を通ってフルカラー画像形成物としてトレイ110上に排出される。
【0074】
6)二次転写工程において、記録材Pに転写されずにベルト41上に残留したトナー(二次転写残トナー)は、中間転写体クリーニング手段(トナー帯電手段)としてのクリーニングローラ80により電荷が付与される。そしてステーションSのドラム1に逆転写された後、そのステーションSのクリーニング装置7によって除去、回収される。
【0075】
本実施例においては、フルカラーモード時も、次に説明するモノクロモード時も、クリーニングローラ80には電源81から周波数1000Hz、ピーク間電圧2000Vの矩形波と1.3kVの直流電圧との重畳電圧を印加する。これにより、二次転写されずにベルト41上に残留した残トナーには、正極性(ポジ)の電荷が付与される。
【0076】
また、通常画像形成時には、各ステーションSの一次転写ローラ6には正極性のバイアス電圧が印加される。したがって、フルカラーモード時には、クリーニングローラ80により正極性に帯電されたベルト41上の残トナーは第1のステーションSaの一次転写時にドラム1aに逆転写され、クリーニング装置7aに回収される。
【0077】
7)上記のような画像形成動作がプリントリクエストのプリントジョブで設定されているプリント枚数分実行されてプリントジョブの終了となる。
【0078】
制御回路部102はプリントジョブの終了時に、全てのカム機構111を非作用状態から作用状態に転換してすべてのステーションSの現像装置5を非現像位置にシフトして現像ローラ51をドラム1から離間させた状態にする。また、各部に対するバイアス印加をOFFにする。そして、駆動機構11及び55及び45をOFFにしてすべてのドラム1と現像ローラ51とベルト41の駆動を停止させる。制御回路部102はこの状態において次のプリントリクエストを受け取るまで装置100をスタンバイ状態に保持する。
【0079】
(3)単色画像形成モード(モノカラーモード)
モノカラーモードは第1から第4のステーションSa、Sb、Sc、Sdのうちの一つのみを用いて画像形成を行うモードである。ここでは、ブラックである第4のステーションSdのみを用いてモノクロ画像を形成するモノクロモードを説明する。
【0080】
ブラックのステーションはベルト41の移動方向に関して最下流側に位置させている。この位置であればモノクロモードで印刷する際、ベルト41にトナー像が一次転写されてから、二次転写位置N2において記録材Pに転写されるまでの距離が短い。よって、画像形成の動作を装置100が始めてから、最初の記録材が出力されるまでの時間が短縮される。
【0081】
1)制御回路部102はホスト装置200あるいは操作部103からモノクロモードのプリントリクエストを受け取ると、駆動装置11を起動させてすべてのステーションSのドラム1を回転駆動させる。また、駆動装置45を起動させてベルト41を回転駆動させる。
【0082】
2)また、制御回路部102は、電源21をONにしてすべてのステーションSの帯電ローラ2に対して所定の帯電バイアスを印加する。制御回路部102は、ブラックである第4のステーションSdのカム機構111dを作用状態から非作用状態に転換して現像装置5dを現像位置にシフトして現像ローラ51dをドラム1dに所定に当接させた状態にする。現像ローラ51dは現像装置5dが現像位置にシフトされるとともに回転駆動され、また電源54dから所定の現像バイアスが印加される。
【0083】
第1、第2、第3のステーションSa、Sb、Scのカム機構111a、111b、111cは作用状態に保持されたままとされる。即ち、第1、第2、第3のステーションSa、Sb、Scの現像装置5a、5b、5cは非現像位置に保持されて、現像ローラ5a、5b、5cがドラム1a、1b、1cから離間され、回転−停止、現像バイアス−非印加の状態にされている。
【0084】
モノクロモード時には、ブラックである第4のステーションSdの現像装置5d以外の他のステーションSa、Sb、Scの現像装置5a、5b、5cを非現像位置に保持し、現像ローラ5a、5b、5cの回転を停止する。これにより、画像形成に使用しないステーションの現像装置5a、5b、5cの寿命を温存でき、ブラックである第4のステーションSdのみの印字動作ができる。
【0085】
3)この状態において、制御回路部102は第4のステーションSdのスキャナ3dを所定の制御タイミングでONにして画像露光を開始する。これにより、第4のステーションSdのみにおいて、ドラム1dにブラック画像に対応する静電潜像が形成され、それが現像装置5dによりブラックトナー像として現像される。
【0086】
そして、そのトナー像が一次転写位置N1dにおいて移動するベルト41上に一次転写される。この転写は電源61dから所定の一次転写バイアスが印加された一次転写ローラ6dによりなされる。一次転写位置N1dでベルト41に転写されずにドラム1dに残留したトナーはクリーニング装置7dでドラム面から除去される。
【0087】
4)そして、ベルト41上に形成されたブラックの未定着トナー像が引き続くベルト41の移動により二次転写位置N2に搬送される。そして前記のようにカセット104から給紙されレジストローラ対107により二次転写位置N2に所定の制御タイミングで導入された記録材Pに対して二次転写され、定着装置108を通ってモノクロ画像形成物としてトレイ110上に排出される。
【0088】
5)クリーニングローラ80にはフルカラーモード時と同様に電源81から周波数1000Hz、ピーク間電圧2000Vの矩形波と1.3kVの直流電圧との重畳電圧を印加する。これにより、二次転写されずにベルト41上に残留した残トナーには、正極性の電荷が付与される。
【0089】
その残トナーは引き続くベルト41の移動により、次の(4)項で説明する制御により、第1、第2、第3のステーションSa、Sb、Scの一次転写位置N1a、N1b、N1cをドラム1a、1b、1cに逆転写されずに順次に通過する。そして、第4のステーションSdの一次転写位置N1dに至って、第4のステーションSdの一次転写時にドラム1dに逆転写され、クリーニング装置7dに回収される。
【0090】
6)上記のような画像形成動作がプリントリクエストのプリントジョブで設定されているプリント枚数分実行されてプリントジョブの終了となる。
【0091】
制御回路部102はプリントジョブの終了時に、第4のステーションSdのカム機構111dを非作用状態から作用状態に転換して現像装置5dを非現像位置にシフトして現像ローラ51dをドラム1dから離間させた状態にする。また、各部に対するバイアス印加をOFFにする。そして、駆動機構11及び55d及び45をOFFにしてすべてのドラム1と現像ローラ51dとベルト41の駆動を停止させる。制御回路部102はこの状態において次のプリントリクエストを受け取るまで装置100をスタンバイ状態に保持する。
【0092】
(4)モノクロモード時の中間転写体クリーニング対策シーケンス
モノクロモード時のベルト41上の二次転写残トナーはブラックである第4のステーションSdのクリーニング装置7dに回収することが、廃トナーパンクを抑制するために望ましい。
【0093】
そのために、モノクロモード時においては使用したブラックである第4のステーションSdのドラム1dに黒印字した画像パターンに基づいて、他の色のステーションSa、Sb、Scのドラム1a、1b、1cにはそれぞれ次のような露光パターンを露光する。即ち、クリーニングローラ80により正極性の電荷が付与され、引き続くベルト41の移動で搬送される二次転写残トナーを一次転写位置N1a、N1b、N1cにおいてそれぞれドラム1a、1b、1cに回収させないための露光パターンを露光する。
【0094】
つまり、ステーションSdにおける黒印字部を含む領域を露光するパターンをステーションSdよりも上流にあるステーションSa、Sb、Scのドラム1a、1b、1cに露光する。ここでの露光開始のタイミングは、フルカラーモードにおける画像露光開始時よりもベルト41が一周回転する時間遅くする。これにより、ベルト41上の二次転写残トナーをステーションSa、Sb、Scで回収せずに下流にあるブラックのステーションSdで回収する。
【0095】
ステーションSdのドラム1dに黒印字した画像パターンに基づいて、ステーションSa、Sb、Scのドラム1a、1b、1cに露光した後の露光部電位(明部電位VL)は−110Vとなる。ここで、ステーションSa、Sb、Scの一次転写バイアスを−400Vに設定して、ドラム1a、1b、1cの露光した領域においてドラム1a、1b、1cからベルト41に向かう正極性の電界を形成する。
【0096】
以下、このモノクロモードの画像形成中のベルト41をクリーニングするためのシーケンス(中間転写体クリーニング対策シーケンス)を詳細に説明する。
【0097】
1)まず、ホスト装置200から画像信号受信手段101を介して制御回路部102に対して、プリントするべきブラックの画像パターン(第1の画像パターン)に対応する画像信号が入力されてモノクロモードの実行が開始される。
【0098】
前述したように、ベルト41とすべてのドラム1a、1b、1c、1dが回転する。各ステーションSにおけるドラム1の回転駆動は共通の駆動源11から伝達され、同時に回転が行われる。各ステーションSの帯電ローラ2a、2b、2c、2dには−990Vの直流電圧が印加され、各ステーションSのドラム1が帯電される。各帯電ローラ2のバイアスは共通の高圧電源21から供給される。
【0099】
2)次に、ブラックである第4のステーションSdの現像装置5dがカム機構111dにより現像位置にシフトされて、現像ローラ51dがドラム1dに当接する。そして、現像ローラ51dが、−350Vの直流電圧が印加されながら回転駆動される。スキャナ3dによりドラム1dに対して第1の画像パターンに対応した露光がなされ、静電潜像が形成される。その潜像が現像装置5dによりブラックトナー像として現像される。
【0100】
画像形成を行わない他の色のステーションSa、Sb、Scでは最初は露光されず、現像装置5a、5b、5cは非現像位置に保持されて現像ローラ51a、51b、51cがドラム1a、1b、1cから離間された状態にある。
【0101】
3)その後の現像されたブラックトナー像の移動については、図4の模式図を用いて説明する。ブラックである第4のステーションSdの一次転写ローラ6dには電源61dにより所定の一次転写バイアスが印加される。これにより、図4の(A)のように、一次転写位置N1dにおいてドラム1d側の第1の画像パターンであるブラックトナー像がベルト41上に順次に一次転写される。
【0102】
ここでドラム1dからベルト41に転写された第1の画像パターンのブラックトナー像のベルト41上の領域を第1の領域とする。
【0103】
4)そして、ベルト41上のブラックトナー像が、図4の(B)のように、二次転写位置N2において二次転写ローラ90に電源91から印加される二次転写バイアスにより記録材Pに対して二次転写される。
【0104】
そして、二次転写されずにベルト41上に残ったトナー像が、図4の(C)のように、電源81から所定のクリーニングバイアスが印加されるクリーニングローラ80によってポジ(トナーの正規帯電極性である負極性から正極性)に帯電される。ここで、クリーニングローラ80でポジ化した後でも二次転写残トナー像はベルト41上において第1の領域にある。
【0105】
5)このベルト41上の第1の領域が次に第1のステーションSaの一次転写位置N1aを通過する時において、この第1のステーションSaのドラム1a上の一次転写位置N1aを通過する領域を第2の領域とする。
【0106】
ベルト41上のポジに帯電された二次転写残トナー像を、ブラックである第4のステーションSdで回収するために、第1のステーションSaのドラム1aには、一次転写位置N1aにおいて第1の領域と接する第2の領域に対して第2の画像パターンを露光する。
【0107】
ここでの第2の画像パターンは、制御回路部102の露光域決定手段としての露光域決定機能部102Aにより、ホスト装置200から画像信号受信手段101を介して制御回路部102に入力された第1の画像パターンに基づいて演算されて決定される。
【0108】
ステーションSd以外のステーションSa、Sb、Scでベルト41上の二次転写残トナーを回収しないためには次のことが必要である。すなわち、ベルト41の第1の領域内の二次転写残トナーのある領域が一次転写位置N1a、N1b、N1cにおいて接するドラム1a、1b、1cの領域の電位を、露光により下げておき弱負極性とすることが必要である。一方、第1の領域内の二次転写残トナーがない領域においては露光する必要がないため、一次転写位置N1a、N1b、N1cにおいて接するドラム1a、1b、1cの電位を下げずにドラム1a、1b、1cの帯電による劣化を抑制する。
【0109】
ここでベルト41上の第1の領域内の二次転写残トナーがある領域は、ブラックである第4のステーションSdのドラム1dを第1の画像パターンで露光した印字部に該当する。そして、第1の領域内の二次転写残トナーがない領域は、ドラム1dを第1の画像パターンで露光しない非印字部に該当する。
【0110】
よって、ステーションSd以外のステーションSa、Sb、Scのドラム1a、1b、1cの第2の領域には、ベルト41上の第1の領域と一次転写位置N1a、N1b、N1cで接する前に、第2の画像パターンを露光する。第2の画像パターンは第1の画像パターンの印字領域を露光するような画像パターンである。
【0111】
この露光域の決定方法については後に詳述するが、ステーションSd以外のステーションSa、Sb、Scのドラム1a、1b、1cに露光する第2の画像パターンの露光しない領域を増やすことで、当該ドラム1a、1b、1cの劣化を抑制できる。すなわち、第2の領域内の第2の画像パターンの露光する領域は、露光域決定機能部102Aにおいて、一次転写位置N1a、N1b、N1cにて第1の領域内の第1の画像パターンの印字部が接する部分を含むことができると判断した最小領域とすることが好ましい。
【0112】
そのため、ステーションSd以外のステーションSa、Sb、Scのドラム1a、1b、1cに対して上記のような第2の画像パターンの露光をするのである。これにより、第1のステーションSaにおいては、図4の(D)のように、二次転写位置N1aでベルト41上の二次転写残トナー像のある領域に対応してドラム1aからベルト41に向かう正極性の電界が形成される。ここで、一次転写ローラ6aには電源61aから、ベルト41上の二次転写残トナーをドラム1aに回収させないようにするための非回収バイアスとして−400Vのバイアスが印加される。
【0113】
これにより、ベルト41上のポジに帯電したトナーが第1のステーションSaで回収されずに、二次転写位置N1aを通過して下流の第2のステーションSb側に送られる。
【0114】
6)第2のステーションSbにおいても、第1のステーションSaと同様に、ベルト41の第1の領域が一次転写位置N1bを通過する時において、ドラム1b上の一次転写位置N1bを通過する領域を第2の領域として第2の画像パターンを露光する。一次転写ローラ6bには電源61bから、ベルト41上の二次転写残トナーをドラム1bに回収させないようにするための非回収バイアスとして−400Vのバイアスが印加される。
【0115】
7)また、第3のステーションScにおいても、第1のステーションSaと同様に、ベルト41の第1の領域が一次転写位置N1cを通過する時において、ドラム1c上の一次転写位置N1cを通過する領域を第2の領域として第2の画像パターンを露光する。一次転写ローラ6cには電源61cから、ベルト41上の二次転写残トナーをドラム1cに回収させないようにするための非回収バイアスとして−400Vのバイアスが印加される。
【0116】
8)そうすることで、図4の(E)、(F)に示すように、ベルト41の第1の領域上の二次転写残トナー像は一次転写位置N1bとN1cを順次に通過して最下流の第4のステーションSd側に送られる。第4のステーションSdの一次転写ローラ6dには電源61dから、画像形成中と同じ800Vの一次転写バイアスが印加される。
【0117】
これにより、図4の(G)のように、一次転写位置N1dにおいてベルト41からドラム1dに向かう負極性の電界がかかることで、ベルト41上のポジに帯電された二次転写残トナーがブラックのステーションSdのドラム1dに逆転写される。そして、クリーニング装置7dのクリーニングブレード71dでドラム1dから掻き取られることにより、廃トナー容器72dに回収される。
【0118】
この動作において、ブラックのステーションSdは画像形成中でもよいため、連続ジョブ中に行うことができる。連続ジョブが終了するまで、ブラックの画像信号に従って後述する方法で決定した第2の画像パターンをステーションSd以外のステーションSa、Sb、Scのドラム1a、1b、1cに露光するこの動作が繰り返される。
【0119】
9)そして、ジョブが終了したら、ステーションSdの現像装置5dをカム機構111dにより非現像位置にシフトさせて現像ローラ51dをドラム1dから離間させ、現像ローラ51dの回転を停止させる。また、現像バイアス、転写バイアス、クリーニングバイアス、帯電バイアスの印加の停止、ベルト41およびドラム1の回転を停止させる。これにより、装置100はこの状態において次のプリントリクエストが入力するまでスタンバイ状態に保持される。
【0120】
(5)第2の画像パターンの決定方法
次に第2の画像パターンの決定方法について詳細に述べる。モノクロモード中は画像形成に使用されるブラックの第4のステーションSd以外の第1、第2、第3のステーションSa、Sb、Scの帯電ローラ2a、2b、2cにも帯電バイアスが印加されている。即ち、ステーションSa、Sb、Scのドラム1a、1b、1cも所定の暗電位VDに帯電処理される。そして、そのドラム1a、1b、1cの露光した領域ではドラム電位が明電位VLに下がり、再び帯電ローラ2a、2b、2cまで回転した時に帯電バイアスとの差が放電開始電圧を超え、放電が起こり、ドラム1a、1b、1cが削れやすい。
【0121】
そのため、なるべく第2の画像パターンの露光領域は減らす必要がある。本実施例では、制御回路部102の露光域決定機能部102Aは、ホスト装置200から画像信号受信手段101を介して制御回路部102に対して入力した、プリントするべきブ第1の画像パターン(ブラックの画像パターン)の画像信号を複数の領域に分割する。その分割したそれぞれの領域において黒印字部を含むかどうかを判断する。そして、印字部を含むと判断した領域のみを露光するよう第2の画像パターンを決定する。
【0122】
ここで、第2の画像パターンは第1の画像パターンと同一の画像パターンであっても良いが、位置ずれなどの影響を受けずによりブラックのステーションSdでベルト41上の二次転写残トナーを確実に回収するために、少し広い領域を露光するとよい。分割する領域は主走査方向に10mmごとx=1〜nの領域番号を付し、画像形成方向(副走査方向)に2mmごとy=1〜mの領域番号を付して、(x、y)で表されるn×m個の領域に分割する。
【0123】
図5に第1の画像パターンとその分割領域を示す。それぞれのx、yの組み合わせに対して、第1の画像パターンの(x、y)が黒印字部を含む場合、第2の画像パターンにおける(x、y)領域は全て露光する。このように判断された、分割した領域を再度結合して、図6に示すような第2の画像パターンが得られる。
【0124】
このようにして得られる第2の画像パターンをモノクロモードの実行中の画像形成に使用されていないステーションSa、Sb、Scのドラム1a、1b、1cに対して前述のタイミングで露光する。これにより、二次転写位置N2で記録材Pに転写されずにベルト41上に残ったブラックの二次転写残トナー像をステーションSa、Sb、Scでは回収せずに、またドラム1a、1b、1cの露光部における放電を極力抑えることができる。
【0125】
したがって、モノクロモードで画像形成をしないステーションSa、Sb、Scの廃トナーパンクを抑制しつつ、ドラム1a、1b、1cの削れを抑制できる。またそれに伴うプロセスカートリッジの劣化を抑制できる。
【0126】
なお、画像の分割方法や第2の画像パターンの決定方法はこれに限るものではない。例えば薄い画像を印字した場合など、印字トナー量が少なく二次転写トナーの量も少ない領域では、ドラム1a、1b、1cの劣化をより抑制するために露光しないと判断しても良い。
【0127】
また、第2の画像パターンの決定時に、他のパラメータを用いてベルト41上の二次転写トナーの量が多い場合と少ない場合とを判断しても良い。例えば、温度・湿度センサや二次転写電流値センサの値から二次転写残トナーの量を予測し、二次転写残トナーの量が少ないと考えられるならば、ドラム1a、1b、1cの劣化をより抑制するために露光しない領域とすることも可能である。
【0128】
即ち、露光域決定機能部102Aは、前記第1の領域において二次転写後残存する現像剤量が少ないと判断される分割領域がある場合に、その分割領域の露光をしないもしくは露光を弱める領域とすることも可能である。
【0129】
ここで従来例として、モノクロモード中に画像形成に使用されていないステーションSa、Sb、Scで廃トナーパンクを抑制するためドラム1a、1b、1cに全面露光する場合と比較する。本実施例における画像形成しないステーションSa、Sb、Scのドラム1a、1b、1cの膜厚削れ量とトナー回収量の違いを表1に示す。
【0130】
【表1】

【0131】
従来例は、本実施例における第2の画像パターンを、第1の画像パターンに関わらず全領域を露光するベタ黒パターンとした場合に相当する。ここでは一般的な印字率が低印字率であることを考慮し、ブラックの画像領域内の印字した領域が2%だった場合を考える。また以下においては、モノクロモード中の画像形成しない第1、第2、第3のステーションSa、Sb、Scについて述べるが、各ステーションでは同じ動作を行うため、ある画像形成しないステーションでの動作として説明する。
【0132】
まず従来例では、一次転写位置で対向する位置に二次転写残ブラックトナーが送られるドラムの領域でかつ、露光する領域が、全面露光する画像領域内の2%を占める。そして一次転写位置で対向する位置に二次転写残ブラックトナーがないドラムの領域でかつ、露光する領域が、全面露光する画像領域内の98%を占めることとなる。
【0133】
前者の領域をA1、後者の領域をA2とする。帯電バイアス−990Vが印加されることにより、ドラムの表面の電位は−480Vに帯電される。そして全面露光するために、一次転写位置に到達する前に、領域A1と領域A2は共にドラム表面の電位が−110Vに下がる。ポジ帯電した二次転写残ブラックトナーをドラムに逆転写回収させずに通過させるために、一次転写バイアスは−400V印加される。ドラムからベルトに向かう正極性の電位差として、露光後のドラム表面の電位を一次転写バイアスから引いた差を一次転写コントラストとすると、−290Vとなる。
【0134】
領域A1ではドラムからベルトに向かう負極性の電界がかかることにより、トナー回収はされない。領域A2では領域A1と同じ電界がかかることと、二次転写残トナーがないことから、トナー回収はされない。つまりブラックの二次転写残トナーは全て回収せずに済んでいる。
【0135】
次に本実施例では、一次転写位置で対向する位置に二次転写残ブラックトナーが送られるドラムの領域でかつ、露光する領域が、第2の画像パターンを露光する画像領域内の2%を占める。この領域をB1とする。
【0136】
そして、一次転写位置で対向する位置に二次転写残ブラックトナーがないドラムの領域でかつ、露光する領域が、第2の画像パターンを露光する画像領域内の10%を占める。この領域をB2とする。領域B2は前述の露光域決定方法で第1の画像パターンの露光領域より広い領域を露光することによりできる領域である。
【0137】
そして、残りの一次転写位置で対向する位置に二次転写残ブラックトナーがないドラムの領域でかつ、露光しない領域が、第2の画像パターンを露光する画像領域内の88%を占めることとなる。この領域をB3とする。
【0138】
従来例と同様に帯電バイアスの−990Vが印加されることにより、ドラムの表面の電位は−480Vに帯電される。そして一次転写位置に到達する前に、領域B1と領域B2は共にドラム表面の電位が−110Vに下がる。ただし従来例と異なり、二次転写残トナー像に合わせて第2の画像パターンを露光するために、ブラック印字部を含む領域でない領域B3は露光されず、一次転写位置に到達する前の領域B3の感光ドラム表面の電位は−480Vとなる。一次転写バイアスは従来例同様−400V印加される。
【0139】
よって一次転写コントラストは領域B1とB2では−290Vとなり、領域B3では80Vとなる。一次転写位置において領域B1では、従来例の領域A1と同様にトナーは回収されない。また領域B2でも従来例の領域A2と同様にトナーは回収されない。領域B3では、ベルトからドラムに向かって負極性の電界がかかるが、二次転写残トナーがないためにトナー回収はされない。つまり従来例同様にブラックの二次転写残トナーは全て回収せずに済んでいる。
【0140】
ここまで従来例と本実施例は共にトナー回収せずに廃トナーパンクを回避できることを述べた。次にドラムの膜厚削れ量の違いについて説明する。従来例の領域A1でも領域A2でも、一次転写位置を通過した後、再帯電されるとき、ドラムの電位と帯電バイアスの差が放電開始電圧を超えているため、帯電ローラとドラムの間で放電が発生する。
【0141】
本実施例でも、領域B1と領域B2は露光してドラムの電位を下げているために、放電は発生する。この放電により従来例の領域A1、A2、および本実施例の領域B1、B2のドラムの膜厚削れ量が大きいのに対し、領域B3の膜厚削れ量は小さい。これは露光でドラムの電位を下げない分、帯電ローラとドラムの間での放電を抑制できるからである。
【0142】
したがって、本実施例では従来例に比べて、露光しない領域B3がある分、感光ドラムの摩耗を抑制できる。特にブラックの印字画像が低印字率の場合は、領域B3の全画像領域に対する面積率は広い範囲となるため、本実施例は従来例に比べて、画像領域内の広い範囲において感光ドラムの摩耗を抑制できることになる。
【0143】
ここまで従来例と本実施例を1枚画像印字した時において比較したが、同様の画像を多数印字していったときには、従来例より本実施例の方が、平均的にドラムの削れ量が小さくなる。モノクロモードで2%の印字領域を持つ画像を、1枚印字するごとに主走査方向で画像内の印字率が変わるよう画像パターンの印字領域をずらしながら、複数枚画像形成したときのドラムの膜厚削れ量と廃トナー回収量を調べた結果を表2に示す。
【0144】
【表2】

【0145】
このとき5枚連続して印字するごとに動作の停止が入るようにした。またブラックのプロセスカートリッジ8dは6本使っているが、他色のプロセスカートリッジ8a、8b、8cは交換していない。またこの結果は第1のステーションSaの結果であるが、同じく画像形成しない第2、第3のステーションSb、Scでも同様の結果が得られた。
【0146】
廃トナー容器は30gまでパンク等の問題なく廃トナーを回収することができる。この廃トナーを回収可能な容量から、回収した廃トナー量を引いた値を、廃トナー回収可能残量としている。
【0147】
ドラムの表面膜厚は、ドラムの露光領域における表面膜厚を回転方向および主走査方向で平均的に測定した値である。従来例および本実施例で用いるドラムの、初期の表面膜厚は18μmであった。
【0148】
まずモノクロモードのみで20k枚まで画像形成した場合の画像形成しないステーションSa、Sb、Scの廃トナー量を比較する。モノクロモードで20k枚画像形成した時の第1のステーションSaの一次転写位置N1aに送られる二次転写残トナーの総量は、90g程度ある。しかし、本実施例は従来例と同じく、第1、第2、第3のステーションSa、Sb、Scの廃トナー回収量は2gで、ブラックである第4のステーションSdに二次転写残トナーを送り回収させることができている。廃トナー回収可能残量は28gあるため、このようにモノクロモードで多数画像印字してもほとんど廃トナーパンクを起こす恐れはない。
【0149】
フルカラーモードで多数画像形成して廃トナーがある程度たまっている状態であったとしても、モノクロモードで画像形成することによる廃トナー回収量に与える影響は小さく、廃トナーパンクを回避できる。よって本実施例は従来例と同じく、モノクロモードの頻度が増加した時に、廃トナーパンクを回避できる。
【0150】
次にモノクロモードのみで20k枚まで画像形成した場合の画像形成しないステーションSa、Sb、Scのドラム1a、1b、1cの表面膜厚を比較する。表面膜厚は初期の表面膜厚から摩耗し、従来例で12.1μmとなるのに対し、本実施例では13.2μmあり、本実施例では摩耗を抑制できている。初期の表面膜厚から削れた量を比較すると、従来例では5.9μmに対し、本実施例の膜厚削れ量は4.8μmである。
【0151】
本実施例では前述のように低印字の画像パターンでは広い範囲で露光をせずに摩耗を抑制できるため、本実施例の膜厚削れ量は従来例と同じ枚数モノクロモードで画像形成しても従来例に対し小さくなる。
【0152】
次に本実施例で膜厚削れ量が、従来例で20k枚モノクロモードで画像印字したときと同じになるまで、モノクロモードで画像印字した場合を述べる。本実施例で第1のステーションSaのドラム1aの膜厚削れ量が5.9μmとなるのはおよそ24k枚画像印字した時となった。このときの廃トナー回収量は、2.5gしかなく、廃トナー回収可能残量はまだ27.5gある。
【0153】
また、従来例で20k枚画像印字した時と、本実施例で24k枚印字した時を比較すると、摩耗した表面膜厚が同じであるが、画像印字した枚数が本実施例の方が多い。このように本実施例ではドラムの摩耗を抑えることによって、画像印字可能枚数を増やすことができる。つまりドラムの劣化速度を落として、画像形成しない画像形成ステーションの寿命を延ばすことができる。
【0154】
以上説明したように、モノクロモードにおいて、画像形成しない上流側のステーションで全面露光するよりも、ベルト上の二次転写残トナーの回収はさせないまま画像形成しないステーションのドラムの劣化を抑えることができる。
【0155】
また、モノクロモードにおいて、ベルト上の二次転写残トナーを画像形成するブラックの第4のステーションSdで回収させる。これにより、画像形成しない上流側のステーションで露光せずに二次転写残トナーを回収するより、他色の廃トナー容器のパンクの発生を抑制できる。
【0156】
ドラムの摩耗を抑制しつつ、廃トナーパンクを回避できるため、モノクロモードにおける画像形成しないステーションあるいはカートリッジの寿命を延ばすことができる。特に近年カラー画像形成装置でもモノクロモードが多く使われるため、モノクロモードの頻度が増加したときの画像形成しないステーションあるいはカートリッジの寿命を延ばすことが可能である。
【0157】
[その他の事項]
(1)実施例においては、単色画像形成モードにおいて画像形成動作させる画像形成部をベルト41の移動方向に関して最下流部の画像形成部(第4のステーションSd)としているがこれに限られない。単色画像形成モードにおいて画像形成動作させる画像形成部は複数の画像形成部の何れか1つとすることができる。
【0158】
ここで、単色画像形成モードにおいて画像形成動作させる画像形成部がベルト41の移動方向に関して最上流部の画像形成部である場合には、それよりも下流側の画像形成部は像担持体を回転し、帯電手段に帯電バイアスを印加する。第2の画像パターンの露光はしない。
【0159】
単色画像形成モードにおいて画像形成動作させる画像形成部がベルト41の移動方向に関して最上流部と最下流部の画像形成部の中間の画像形成部である場合には、それよりも上流側の画像形成部は中間転写体クリーニング対策シーケンスを実行する。そして、それよりも下流側の画像形成部は像担持体を回転し、帯電手段に帯電バイアスを印加する。第2の画像パターンの露光はしない。
【0160】
(2)複数の画像形成部は実施例の4つに限られない。2つ、3つ、5つ以上とすることができる。異なる色のトナーには透明トナーや白色トナーも含むものとする。
【0161】
(3)中間転写体は実施例のエンドレスのベルト体に限られない。回転するドラム体にすることもできる。
【符号の説明】
【0162】
100・・画像形成装置、Sa,Sb,Sc,Sd・・複数の画像形成部、1・・像担持体、2・・帯電手段、3・・露光手段、5・・現像手段、6・・一次転写手段、7・・像担持体クリーニング手段、41・・中間転写体、N1・・一次転写位置、P・・記録媒体、90・・二次転写手段、N2・・二次転写位置、80・・現像剤帯電手段、102・・制御手段、102A・・露光域決定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤像の転写を受ける循環して移動可能な中間転写体と、
前記中間転写体の移動方向に沿って順に配設された複数の画像形成部であって、それぞれ、静電潜像が形成される回転可能な像担持体と、前記像担持体を帯電する帯電手段と、前記帯電手段で帯電された前記像担持体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記像担持体に形成された静電潜像を現像剤像として現像する現像手段と、前記像担持体に形成された現像剤像を前記像担持体と前記中間転写体と接している一次転写位置にて前記中間転写体に一次転写する一次転写手段と、前記像担持体から前記中間転写体へ現像剤像を転写した後に前記像担持体に残留する現像剤を除去する像担持体クリーニング手段と、を有し、像担持体間で異なる色の現像剤像が形成される前記複数の画像形成部と、
前記中間転写体に形成された現像剤像を二次転写位置にて記録媒体に二次転写する二次転写手段と、
前記中間転写体の移動方向に関して前記二次転写位置よりも下流側で、複数の画像形成部のうちの最上流側の画像形成部の一次転写位置よりも上流側にて前記中間転写体から前記記録媒体へ現像剤像を二次転写した後に前記中間転写体に残留する現像剤を正規の帯電極性とは逆極性に帯電させる現像剤帯電手段と、
前記複数の画像形成部における画像形成動作により前記中間転写体に対して複数色の現像剤像を重ね合わせた多色の画像形成を行う多色画像形成モードと、前記複数の画像形成部のうちの1つの画像形成部の画像形成動作により前記中間転写体に対して単色の現像剤像の画像形成を行う単色画像形成モードと、を選択により実行する制御手段と、
を有し、前記制御手段は、前記単色画像形成モードを実行する場合に前記1つの画像形成部の像担持体に露光する第1の画像パターンに応じて第2の画像パターンを決定する露光域決定手段を備え、前記単色画像形成モードの実行の場合には、前記複数の画像形成部における像担持体を回転し、前記複数の画像形成部における帯電手段に帯電バイアスを印加し、前記1つの画像形成部の像担持体に前記第1の画像パターンを露光することにより形成された現像剤像が前記中間転写体の第1の領域に一次転写された後、前記二次転写位置にて前記記録媒体に二次転写されなかった現像剤像が残存する前記第1の領域が前記1つの画像形成部よりも上流側の画像形成部の一次転写位置を通過する時に当該一次転写位置が対向する前記上流側の画像形成部の像担持体の領域を第2の領域として、前記第2の領域が前記第1の領域と前記一次転写位置で接する前に前記第2の領域に前記露光域決定手段により決定した前記第2の画像パターンを露光することにより静電潜像を形成する中間転写体クリーニング対策シーケンスを実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第2の画像パターンの露光領域は、前記露光域決定手段において、前記第2の領域内で前記一次転写位置にて前記第1の領域内の前記第1の画像パターンの露光領域が接する部分を含むことができると判断した最小領域とすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記露光域決定手段は、前記第1の領域において二次転写後残存する現像剤量が少ないと判断される前記第1の画像パターンの分割領域がある場合に、前記第2の画像パターンにおいてその分割領域の露光をしないもしくは露光を弱めることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記1つの画像形成部が、前記複数の画像形成部のうちの前記中間転写体の移動方向に関して最下流の画像形成部であって、ブラックの画像を形成する画像形成部であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−29727(P2013−29727A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166700(P2011−166700)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】