説明

画像形成装置

【課題】胴内排出型画像形成装置において、胴内排紙部に後処理装置を着脱自在に構成し
た場合に、省スペース化とユーザビリティの両立を達成した画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像読取部と画像形成部とそれらの間に配置されたシートを排出するための
空間部とを備え、前記空間部に後処理装置を着脱可能にした画像形成装置において、該空
間部に対して上下に2つのシート排出口を設け、上方の第1のシート排出口には後処理装
置を装着可能に構成し、該後処理装置を装着された時には下方の第2のシート排出口を塞
ぐ構成とすることにより、前記空間部の高さを低くすることを可能にし、画像形成装置本
体上部に位置する画像読取装置へのユーザーのアクセス容易性を向上すると同時に、装置
の小型化に伴うコストダウンを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置で原稿から読み取った画像情報に基づいて、画像形成部で記録媒体に対して画像形成処理を行なう画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原稿の画像面から画像情報を読み取る画像読取部、および、画像情報に基づく画像形成処理を行なう画像形成部を備えた複写機やデジタル複合機等の画像形成装置では、画像形成済みの転写紙(シート)にパンチ孔の穿孔処理やステープル処理を行なう後処理装置を備えたものがある。従来の画像形成装置では、前記後処理装置を画像形成装置の側面に設置する構成が一般的であり、装置の占有面積が大きく広い設置スペースが必要であった。
【0003】
近年、省スペース化、画像形成速度の高速化に伴って、転写紙を装置側面に排出せずに画像読み取り手段の下のスペースに排出する、いわゆる胴内排紙(又は機内排紙)タイプの画像形成装置が主流となっている。
【0004】
このタイプの画像形成装置において、後処理装置の設置スペースを狭くするために、省スペース型の後処理装置を側面に付設し、装置の排紙部と後処理装置との間に中継搬送手段を設置して転写紙を受け渡す構成のものがある。(例えば特許文献1)
この構成では、省スペース型の後処理装置を側面に付設することで画像形成装置全体の設置スペースを小さくし、同時に、後処理を行なわないシートの排出口を確保するために、後処理装置への排出口とは別の排出口を前記胴内排紙部に設けている。
【0005】
また、後処理装置の設置スペースを狭くするための別の構成として、前記胴内排紙部に後処理装置を配置したものがある。(例えば特許文献2)
この構成では、後処理装置を画像形成装置床面積内に収納することができ、画像形成装置の設置スペースをより小さくすることができる。
【0006】
また、シートの両面に画像を形成する場合、前記胴内排紙部を利用してシートの反転経路を形成する構成のものがある。
【0007】
この構成では、従来必要としていた反転部の構成を装置側面に持つ必要が無くなり、さらなる小型化を実現することができる。
【0008】
あるいは、シートの反転経路を胴内後処理装置におけるシート受け入れ部とは別に設けた構成の画像形成装置も提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、胴内排紙部に後処理装置を着脱可能とした画像形成装置では、排出されたシートを排出空間部内に視認して取り出すための十分な間口の広さを確保することと、画像形成装置上部に配置された画像読取装置の高さを低く抑えることとを両立できないという点で、ユーザーのアクセス容易性の問題があった。
【0010】
すなわち、従来の胴内排紙部に後処理装置を着脱可能な構成の画像形成装置では、第一面印刷後にシートを反転するための搬送経路と第二面を印刷した後にシートを排出するための排出経路が同一経路で搬送される構成が一般的であった。図13はその一例を示す図である。
【0011】
この例の場合、後処理装置を装着しない場合に排出したシートを積載する排出トレイ41を別途装着する必要が生じるが、排出トレイ41上にシートを整然と積載するためには排出口30から所定の高低差で低く構成する必要が生じる。
【0012】
ところが、胴内後処理装置のシート受入口の高さは、後処理装置内部に具備するパンチ穴の穿孔装置やステープラなどの装置の構成上、ある一定の以上の高さが必要であり、一般的に排出口30から排紙トレイの理想的な高低差よりも大きい。
【0013】
そのため、別途装着する排出トレイ41は該排出口30の高さにあわせて嵩上げする必要が生じ、排出空間の高さ方向が狭くなるため、排出されたシートの視認性が悪くなると同時に、排出されたシートを取り出す際のユーザーのアクセス容易性が悪くなるという問題があった。
【0014】
また、スイッチバック反転経路を胴内後処理装置のシート受け入れ部とは別に設けた構成では、胴内後処理装置の受入口のさらに上方に別の排出口を設ける構成となるため、排出空間の高さ方向を広く取る必要があり、そうすると画像形成装置自体の高さが高くなるので、画像形成装置上部に配置される画像読取装置へのユーザーのアクセス容易性を悪くするという問題と、装置を大型化した分コストアップするという問題があった。
【0015】
本発明は、以上の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、胴内排出型画像形成装置において、胴内排紙部に後処理装置を着脱自在に構成した場合の課題を解決し、省スペース化とユーザビリティの両立を達成した画像形成装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するために、本発明は、原稿を読み取る画像読取部と、前記画像読取部により読み取られた画像をシートに形成する画像形成部と、前記画像読取部と前記画像形成部との間に配置され、前記画像形成部を通過したシートを排出するシート排出口と、
前記画像読取部と前記画像形成部との間に配置され、前記シート排出口から排出された用紙の後処理を行う後処理装置を装着した画像形成装置であって、
前記シート排出口は上下方向に2つ設けられており、該2つのシート排出口のうち、いずれか1のシート排出口が前記後処理装置の搬送経路に接続していることを主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、前記画像読取部と前記画像形成部との間に配置される空間部の高さを低くすることができるので、画像形成装置本体上部に位置する画像読取装置へのユーザーのアクセス容易性を向上すると同時に、装置の小型化に伴うコストダウンを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に関係する画像形成装置の模式外観図である。
【図2】本発明の実施形態に関係する画像形成装置の模式断面図である。
【図3】本発明の実施形態の後処理装置を装着した画像形成装置の模式外観図である。
【図4】本発明の実施形態の後処理装置を装着した画像形成装置の模式断面図である。
【図5】オプションの後処理装置を装着する状態説明図である。
【図6】本発明の実施形態の画像形成装置の後処理装置を装着しないときの模式断面図である。
【図7】本発明の実施形態の画像形成装置の後処理装置を装着したときの模式断面図である。
【図8】本発明の実施形態の分岐部材の構成図である。
【図9】本発明の実施形態の後処理装置を装着したときの分岐部材の構成図である。
【図10】本実施の形態における後処理装置を装着したときのシート搬送制御装置の配置図である。
【図11】本実施の形態におけるシート搬送制御装置の構成図である。
【図12】本実施の形態におけるシート搬送制御フロー図である。
【図13】従来技術の後処理装置を装着した画像形成装置の例である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施例を図とともに説明する。
本実施形態における画像形成装置は、上部に設けられた原稿を読み取る画像読取部2と、その下部に該画像読取部2により読み取られた画像をシート上に形成する画像形成部1とを備えている。画像読取部2の前面には、画像形成装置本体100の操作部8を備えており、操作部8上には、画像形成装置の動作状況を示す操作画面81を設けている。画像形成装置本体100の下部には、画像形成部1にシートを供給するための給紙搬送部5が配置されている。
【0020】
そして、画像読取部2と画像形成部1との間に空間が設けられ、排出空間部4を形成している。また、本実施形態における画像形成装置は、図における右側側面にシートの表裏を反転するための両面ユニット9を設けている。
【0021】
画像形成部1は従来周知の電子写真方式によるプリントエンジンにより構成され、レーザ書き込み装置(図示せず)、電子写真プロセス手段(図示せず)、定着装置11等を内蔵している。
【0022】
給紙搬送部5は、シート搬送の最上流に位置し、本実施形態の画像形成装置では、装置下部に2段の給紙トレイ51が設置されている。
【0023】
画像読取部2では、その上面にコンタクトガラス(図示せず)が配置され、その下方にスキャナユニット(図示せず)が設置される。
【0024】
排出空間部4は、正面を除く二方の側面、すなわち図における右側と装置奥側が外装面によって取り囲まれ、さらに画像読取部2及び画像形成部1により上下を囲まれている。
【0025】
図1において右側の側壁をなす機内排出カバー61内には、図2に示すようにシート排出パスが設けられ、排出空間部4に対して、上方の第1のシート排出口64と、該第1のシート排出口64の鉛直下方に位置する第2のシート排出口62という、2つの排出口64,62を有している。
【0026】
また、排出空間部4の最下部に設けられた排出トレイ41は画像形成部1の上面に設けられており、前記第2のシート排出口62に対し低く構成され、かつシート排出方向から見て下流側に向かって徐々に高くなるように勾配がつけられ、画像形成済みシートが整然と積載されるように構成されている。
【0027】
画像形成部1で画像形成が行なわれたシートは、下方の第2のシート排出口62から排出トレイ41の上に排出される。該第2のシート排出口62には、電子写真プロセスによってシートに付着した電荷を除くために、除電ブラシが貼り付けてあり、シートが第2のシート排紙口62を通過する時には除電ブラシがシート表面を満遍なく触れるのでシートの電荷が取り除かれる。
【0028】
両面ユニット9は、片面に画像を形成されたシートを画像形成部1に再搬送する搬送パス91を設けたものである。片面に画像を形成されたシートは、第1のシート排出口64から補助トレイ42上に排出されるが、シートの後端が反転分岐部66に到達すると、搬送ローラ65を逆方向に回転させることにより、シートはスイッチバックして該両面ユニット9内の両面搬送経路91に搬送される。
【0029】
次に図3、図4を用いて、本実施形態における画像形成済みシートの後処理装置200の構成について説明する。
【0030】
後処理装置200は、画像形成済みのシートにパンチ孔を穿孔し、複数枚のシートを整合してステープル処理し、綴じられたシート束をスタックトレイ201に排出するという一連の処理を行なう後処理装置である。
【0031】
後処理装置200は、図4に示すように、パンチ孔穿孔部202、ステープル処理部203、大サイズのシートに対応して伸縮可能なスタックトレイ201等とから構成される。そして、該後処理装置内でシートが搬送される後処理装置内搬送経路210の下方に、パンチ(図示せず)やステープラ70が配置される。
【0032】
また、後処理装置200は、前記胴内排出型の画像形成装置100のオプション装備であり、排出空間部4に対して着脱可能となっており、排出空間部4内に装着されて、上方の排出口である前記第1のシート排出口64に連結される。これにより、上方の前記第1のシート排出口64が該後処理装置200の後処理装置内搬送経路210と対向すると共に、下方の第2のシート排出口62は塞がれる。
【0033】
このような構成により、前記第1のシート排出口64から排出されたシートは、後処理装置内搬送経路210を経て後処理装置200に搬送され、上記パンチ孔穿孔部202により必要に応じてパンチされた後、さらに後処理装置内搬送経路210を経てステープル処理部203に搬送される。該ステープル処理部203においてステープル処理が必要とされるシートは、前記後処理装置内搬送経路210に搬送されて図示しない機構により一旦スイッチバックされた後、ステープル処理部の下部に設けられたステープラ70によりステープル処理され、その後、上方の後処理装置排出口60からスタックトレイ201に排出される。ステープル処理が必要とされないシートは、前記後処理装置内搬送経路210を経て、スイッチバックせずにそのまま、後処理装置排出口60からスタックトレイ201に排出される。
【0034】
したがって、後処理装置排出口からスタックトレイ201までの高さを十分確保しつつ、後処理装置の機能を損なうことなくその高さを必要最小限に抑えることができるので、排出空間部4の高さを低くすることができ、排出されたシートの視認性を確保すると同時に、排出されたシートを取り出す際のユーザーのアクセス容易性も十分確保することができる。また、装置の小型化に伴うコストダウンを可能にする。
【0035】
後処理装置200の画像形成装置100への装着方法は、まず排出空間部4に設置されている排出トレイ41および補助トレイ42を取り外す。
【0036】
次に後処理装置200を図5に示す矢印方向に排出空間部4へ向かって挿入する。このとき、機内奥側および右前支柱49に設けられた位置決め用穴(図示せず)に対して、後処理装置200の位置決めピン(図示せず)を合わせ、位置決めを行なう。そして、機内奥側および、画像形成装置左側面に設けられたネジ穴(図示せず)に対してネジ締めする。
【0037】
このように後処理装置200をシート排出方向に対し上流側に向かって挿入し、取り外す時には逆に反対方向に引き出すように構成すると、後処理装置内でのシートトラブルの際に該後処理装置をシート搬送方向と同じ方向に出し入れすることができるので、排出シートに対するダメージを防ぐことができる。したがって、排出トレイ41についても、該後処理装置200と同様な方向で着脱可能とすると、部品を共通化できる。
【0038】
ここで、図6を参照しながら、後処理装置200を装着しないときの画像形成装置100における複写動作について説明する。
【0039】
まず、画像読取部2上面のコンタクトガラス上に原稿を載置する。操作部8により複写枚数等を指定しスタートボタンを押す。すると、スキャナユニットによる原稿の読取が開始され、読み取られた原稿の画像情報は光電変換によってデジタル化されて画像処理される。
【0040】
その処理された信号に基づいて画像形成部1のレーザ書き込み装置が駆動され、感光体ドラム上に静電潜像が形成される。その潜像はトナー像として顕像化され、給紙ローラ52により給紙されたシートに転写され、シート上に転写されたトナー像は定着装置11により定着される。
【0041】
片面出力時は、画像形成済みのシートは分岐部材67の切り換えにより第2排出ローラ63へと搬送され、排出トレイ41に排出される。
【0042】
一方、両面出力時は、分岐部材67の切り換えにより第1排出ローラ65へと搬送され、補助トレイ42上に搬送される。そして、シートの後端が反転分岐部66を抜けると、第1排出ローラ65が停止した後、一定時間後に逆転を開始し、両面ユニット9内の搬送経路91へと搬送されていく。そして、再び画像形成部1に搬送された後、第2シート排出口62に搬送される。
【0043】
なお前記反転分岐部66は弁の形態をなしており、画像形成部1から第1排出ローラ65へと搬送される時には搬送ガイドの役割を果たしているが、シート後端が反転分岐部66を抜けると、スイッチバック反転後逆方向に搬送されても画像形成部1の方向へはシートが侵入しない構造になっている。
【0044】
両面出力枚数が多い場合には、片面画像形成されたシートと両面画像形成されたシートが交互に排出される、いわゆるインターリーフ給紙動作が行なわれるが、片面側のみ画像形成されたシートが第1排出ローラ65でスイッチバック反転動作をする間に、第2排出ローラ63にて両面画像形成されたシートが排出されるため、第1排出ローラ65がスイッチバック反転後に再びシート受け入れ方向に回転方向を変える時間に対して、次の片面画像形成済シートが第1排出ローラ65に突入するまでの時間的な余裕が十分確保できている。よって、スイッチバック反転時にシートの搬送速度を、画像形成時のシート搬送速度に対して速度を上げることなく、片面画像形成時のシート間隔で両面画像形成を行なうことが可能な構成となっている。
【0045】
しかしながら、本実施形態においては、制御の分岐を避ける目的で、後述する後処理装置200を装着した場合と同様に、片面画像形成されたシートが定着装置11を抜けた後、所定時間搬送した後に画像形成時の搬送速度よりも速い搬送速度に加速して搬送し、スイッチバック反転後に両面ユニット9内の搬送経路91へと搬送する搬送速度も上記加速した搬送速度で搬送している。
次に図7を参照しながら、後処理装置200を装着したときの画像形成装置100における複写動作について説明する。
【0046】
まず、画像読取部2上面のコンタクトガラス上に原稿を載置する。操作部8により複写枚数等を指定しスタートボタンを押す。すると、スキャナユニットによる原稿の読取が開始され、読み取られた原稿の画像情報は光電変換によってデジタル化されて画像処理される。
【0047】
その処理された信号に基づいて画像形成部1のレーザ書き込み装置が駆動され、感光体ドラム上に静電潜像が形成される。その潜像はトナー像として顕像かされ、給紙ローラ52により給紙されたシートに転写され、シート上に転写されたトナー像は定着装置11により定着される。
【0048】
分岐部材67は、後述するように、後処理装置200装着時には常に第2排出ローラ63側へ搬送する搬送経路を塞ぐ方向に付勢されており、画像形成されたシートは常に第1排出ローラ65へと搬送される。
【0049】
片面出力時は、第1排出ローラ65へと搬送されたシートは、必要に応じて後処理装置200でパンチ穴を穿孔され、複数枚を整合された後にステープル処理されてスタックトレイ201に排出される。
【0050】
両面出力時は、第1排出ローラ65へと搬送されたシートは、後処理装置200上に設けられたスイッチバック反転経路(図10中のA)に搬送される。そして、シートの後端が反転分岐部66を抜けると、第1排出ローラ65が停止し、所定時間後に逆転を開始して両面ユニット9内の搬送経路91へと搬送されていく。そして再び画像形成部1に搬送された後、排出口に搬送される。
【0051】
両面出力枚数が多い場合には、片面画像形成されたシートと両面画像形成されたシートが交互に排出される、いわゆるインターリーフ給紙動作が行なわれるが、片面側のみ画像形成されたシートが第1排出ローラ65でスイッチバック反転動作をする間に、両面画像形成されたシートが第1排出ローラ65に向かって搬送されるため、第1排出ローラ65がスイッチバック反転後に再びシート受け入れ方向に回転方向を変える時間に対して、次の片面画像形成済シートが第1排出ローラ65に突入するまでの時間的な余裕が少ない。
【0052】
したがって、本実施形態の画像形成装置では、画像形成されたシートの後端が定着装置11を抜けた後、所定時間搬送した後に画像形成時の搬送速度よりも速い搬送速度に加速して搬送し、スイッチバック反転後に両面ユニット9内の搬送経路91へと搬送する搬送速度も上記加速した搬送速度で搬送することにより、前記時間的余裕度を向上している。
【0053】
このようなシート搬送制御は、図10および図11に示される構成によって行われる。
【0054】
図10に示すように、シート検知センサSN1が、シート排出方向から見て定着装置11の下流直下に設けられており、シート検知センサSN2が、第1排出ローラ65から両面搬送経路91にかけての途中に設けられている。また、後処理装置200が装着されたことを検知する後処理装置検知センサが設けられるが、該センサは後処理装置200が画像形成装置本体と電気的に接続されたことを検知することで構成することもできるし、あるいは排出空間部に挿入されたことを機械的に検知することで構成することもできる。さらに、シート送りローラ68がシート検知センサSN1の下流であって、反転分岐部66の上流に設けられている。
【0055】
また、該後処理装置内の後処理装置内搬送経路210に面して、片面画像形成されたシートを前記スイッチバック反転経路Aに選択的にガイドするスイッチバック分岐爪69が該後処理装置200に設けられている。
【0056】
そして、図11に示すように、画像形成装置本体に設けられた制御部が、これらセンサからの出力信号を用いて、第1排出ローラ65およびシート送りローラ68の駆動モータを回転制御することで、シート搬送制御を行う。
【0057】
次に、図12に示すシート搬送制御フロー図を用いて、このような構成で行われるシート搬送制御を説明する。
【0058】
シートは、給紙搬送部5内に設けられたレジストローラ13に先端部を突き当てられて整合されたのち、該レジストローラ13が駆動することにより、画像形成部1への搬送が開始される。そして、該搬送開始後、シート先端が画像形成部1から排出されるまでに要する時間の経過後、第1排出ローラ65およびシート送りローラ68を画像形成速度と同一の定速度で駆動開始する。(スタート)
画像形成部1内に搬送されたシートは、画像形成に適切な搬送速度で画像形成部1内を搬送され、定着装置11を経て、片面への画像形成が行われる。
【0059】
片面画像形成が行われたシートの先端がシート検知センサSN1に検知された時点では、シートの後端はまだ画像形成部1内にある(ステップ1)。
【0060】
したがって、シート検知センサSN1でシート先端が検知されたのち、シートの後端が画像形成部を出るまでの所要時間、つまりシート長および画像形成速度により定められる時間の経過後(ステップ2)、シート送りローラ68および第1排出ローラ65をそれまでの画像形成速度よりも速い速度で回転駆動させ、シートを急速搬送する(ステップ3)。
【0061】
次に、シート検知センサSN1がシート後端を検知すると(ステップ4)、シートの後端が反転分岐部66を通過するまでの所定時間が経過した後、第1排出ローラ65は回転を一旦停止する。その後、第1排出ローラ65は画像形成速度よりも速い速度で逆回転を開始し、シートをスイッチバック反転させる。なお、シート送りローラ68は、第1排出ローラ65が回転を一旦停止した時点で、別の駆動源によって通常の搬送方向の画像形成速度での回転に移行する。(ステップ5)。
【0062】
さらに、シートの先端がシート検知スイッチSN2をONすると(ステップ6)、該シートの後端が第1排出ローラ65を経過するまでの所定時間が経過した後、該第1排出ローラ65の逆回転を停止し(ステップ7)、その後、該シートは両面画像形成のために、定速で両面搬送経路91内に搬送される。
【0063】
両面出力枚数が多い場合は、次のシートのレジストローラ13によるシート搬送開始のタイミングを、上記ステップ7の時点で、該次のシートの先端がシート送りローラ68と第1排出ローラ65との間に来るように設定している。
【0064】
このようなタイミングに設定すると、第1排出ローラ65がスイッチバック反転後に再びシート受け入れ方向に回転方向を変える時間に対して、次の片面画像形成済シートが第1排出ローラ65に突入するまでの時間的な余裕が得られると共に、装置全体として効率的に高速な両面印刷が行える。
【0065】
このようなタイミングで搬送されてきた該次のシートは、該シート送りローラ68により画像形成速度と同じ定速に搬送され、以下、先のシートと同様にステップ2以降での搬送制御が行われる。
【0066】
図8および図9は、前記第1排出ローラ65と前記第2排出ローラ63への搬送経路とに分岐する搬送経路上に回動可能に配置され、各々の排出口に選択的に搬送することを可能にする分岐部材の構成を示している。
【0067】
複数個の分岐部材67が、爪状に形成され、分岐部材軸24に嵌挿され固定されている。また、該分岐部材軸24の軸端部に分岐部材リンク23が装着されている。分岐部材軸24の該軸端部はD型に形成されており、分岐部材リンク23が分岐部材67に対し回動しないように構成されている。また、分岐部材リンク23は、ソレノイドリンク22を介してソレノイド20の駆動により回転するように構成されている。
【0068】
したがって、ソレノイド20のON/OFFにより、ソレノイドリンク22を回転させ、分岐部材リンク23の方向を制御することによって分岐部材67の向きを変えることができる。
【0069】
図8はソレノイドOFFの状態を示しており、ソレノイドリンク22は引張スプリング21によって図の矢印方向に引っ張られており、ソレノイドリンク22は図8から見て時計回りの方向に力を受けて停止している。分岐部材67は図示しないスプリングによって、常に時計回り方向に力を受けているが、ソレノイドリンク22の引張スプリング21による時計回りの回動モーメントよりも弱いために図8の位置で停止して、シートが第2排出ローラ63方向へ搬送されるように分岐部材67が向いている。
【0070】
図9は、本実施形態において後処理装置200が装着されたときの分岐部材67の状態を示している。前記後処理装置200が前記排出空間部4へ挿入されると、後処理用リンク部材25が図の矢印方向に押さえられ、この後処理用リンク部材25が回転することによりソレノイドリンク22が反時計回り方向に回転することで、分岐部材リンク23とのロックが外れ、分岐部材67が時計回り方向に回転して図の位置で停止することになる。この時、分岐部材67は第1排出ローラ65方向にシートが搬送される方向を向いており、ソレノイドをONしなくても常に前記方向に分岐部材67が向く構成になっている。
【0071】
なお、上記実施形態では、後処理装置200を装着しない場合、第1のシート排出口64をスイッチバック反転経路の排出口として用いているが、それに限ることなく、単なる排紙口として用いることもできる。その場合は補助トレイ42を排紙載置台として使用することもできるが、取り外して排出トレイ41のみを用いると排出口から一定の高低差があって良い。
【0072】
また、上記実施形態では、後処理装置200を装着した場合、該後処理装置200の上面に設けたスイッチバック反転経路Aをスイッチバック反転経路として用いたが、後処理装置内搬送経路210をスイッチバック反転経路として利用することもできる。
【0073】
このように、本発明は、原稿を読み取る画像読取部と、前記画像読取部により読み取られた画像をシートに形成する画像形成部と、前記画像読取部と前記画像形成部との間に配置され、前記画像形成部を通過したシートを排出するシート排出口と、前記画像読取部と前記画像形成部との間に配置され、前記シート排出口から排出された用紙の後処理を行う後処理装置を装着した画像形成装置であって、前記シート排出口は上下方向に2つ設けられており、該2つのシート排出口のうち、いずれか1のシート排出口が前記後処理装置の搬送経路に接続していることを特徴とする画像形成装置とすることにより、画像形成装置本体上部に位置する画像読取装置へのユーザーのアクセス容易性を向上すると同時に、装置の小型化に伴うコストダウンを可能にする。
【0074】
また、画像形成装置本体の一側面に、シートの表裏を反転する両面ユニットを備え、前記第1のシート排出口は片面に画像が形成されたシートを前記両面ユニットの両面搬送経路に搬送するためのスイッチバック反転経路として機能するよう構成することにより、反転経路を装置面積内に収めることを可能にし、装置の小型化とそれに伴うコストダウンを可能にする。
【0075】
また、前記後処理装置を装着しないときは、前記第1のシート排出口はスイッチバック反転経路として、前記第2のシート排出口は前記画像形成部を通過したシートが前記空間部へ排出される排出口として機能し、前記後処理装置を装着したときは、前記第1のシート排出口はシートが排出される排出口として、およびスイッチバック反転経路の両方の機能で使用する構成とすることにより、後処理装置を装着した場合としない場合とで前記空間部を各々効率的に使用することができる。
【0076】
また、前記後処理装置を装着しないときは、前記第2のシート排出口に対して低く構成され、シート排出方向に対して下流側に向かって徐々に高く構成された排出トレイを具備し、前記後処理装置を装着するときは、前記排出トレイを取り外して前記後処理装置を具備する構成とすることにより、後処理装置を装着しない場合に画像形成済みシートの取り出し間口として前記空間部の高さ方向の幅を狭めることなくシートの整合積載を可能にし、ユーザビリティを向上することができる。
【0077】
また、前記排出トレイおよび前記後処理装置の着脱は、シート排出方向に対して平行に行われる構成とすることにより、シート排出の際のトラブル解決時における当該シートに対するダメージを低減することができる。
【0078】
また、前記第1のシート排出口と前記第2のシート排出口とに分岐する搬送経路上に、回動可能な分岐部材を設置して各々のシート排出口に選択的に搬送することを可能にするとともに、前記後処理装置を装着したときは、前記分岐部材が常に前記第1のシート排出口へシートを案内可能に付勢される構成とすることにより、分岐部材を回動させるデバイスの駆動電力分のエネルギー消費量をおさえることを可能にし、同時に分岐部材を回動させるデバイスの故障による不具合発生リスクを低減することができる。
【0079】
また、前記後処理装置を装着したときは、スイッチバック反転前およびスイッチバック反転後のシート搬送速度が画像形成する時のシート搬送速度よりも速い速度であるように構成することにより、画像形成部でのシート間隔を広げることなくスイッチバック反転時の前後シート間隔を広げることを可能にし、両面印刷時の生産性の低下を抑えることができる。
【0080】
さらに、前記後処理装置の装着の有無に関らず、スイッチバック反転前およびスイッチバック反転後のシート搬送速度が画像形成する時のシート搬送速度よりも速い速度であるように構成することにより、後処理装置の有無に関らず同一の制御で動作する構成となることから、システムの分岐を減らすことによって、システム組み合わせ検証不足による不具合発生リスクを低減することができる。
【符号の説明】
【0081】
1 画像形成部
2 画像読取部
4 排出空間部
5 給紙搬送部
8 操作部
9 両面ユニット
11 定着装置
13 レジストローラ
14 重送検知ユニット
20 ソレノイド
21 引張スプリング
22 ソレノイドリンク
23 分岐部材リンク
24 分岐部材軸
25 後処理用リンク部材
41 排出トレイ
42 補助トレイ
49 右前支柱
51 給紙トレイ
52 給紙ローラ
60 後処理装置排出口
61 機内排出カバー
62 第2のシート排出口
63 第2排出ローラ
64 第1のシート排出口
65 第1排出ローラ
66 反転分岐部
67 分岐部材
68 シート搬送ローラ
69 スイッチバック分岐
70 ステープラ
81 操作画面
91 両面搬送経路
100 画像形成装置
200 後処理装置
201 スタックトレイ
202 パンチ孔穿孔部
203 ステープル処理部
210 後処理装置内搬送経路
A スイッチバック反転経路
S 積載シート
SN1、2 シート検知センサ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0082】
【特許文献1】特開2000−327170号公報
【特許文献2】特開2002−308520号公報
【特許文献3】特許第3679701号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部により読み取られた画像をシートに形成する画像形成部と、
前記画像読取部と前記画像形成部との間に配置され、前記画像形成部を通過したシートを排出するシート排出口と、
前記画像読取部と前記画像形成部との間に配置され、前記シート排出口から排出された用紙の後処理を行う後処理装置を装着した画像形成装置であって、
前記シート排出口は上下方向に2つ設けられており、該2つのシート排出口のうち、いずれか1のシート排出口が前記後処理装置の搬送経路に接続していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置であって、
前記2つのシート排出口のうち、前記後処理装置の搬送経路に接続しないシート排出口を塞ぐことを特徴とする画像形成装置
【請求項3】
請求項2記載の画像形成装置であって、
前記後処理装置の搬送経路に接続しないシート排出口を前記後処理装置によって塞ぐことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置であって、
前記画像形成装置本体の一側面に、シートの表裏を反転する両面ユニットを備え、該両面ユニットの搬送経路は、前記2つのシート排出口のうちいずれか1のシート排出口に接続されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置であって、
前記両面ユニットの搬送経路に接続されるシート排出口は、前記後処理装置の搬送経路に接続されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置であって、
前記後処理装置の搬送経路を、片面に画像が形成されたシートを前記両面ユニットの搬送経路に搬送するためのスイッチバック反転経路とすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の画像形成装置であって、
前記後処理装置は、画像形成装置に着脱可能に構成されていること特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7に記載の画像形成装置であって、
前記後処理装置は、シート排出方向に対して平行に着脱可能であること特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の画像形成装置であって、
スイッチバック反転前およびスイッチバック反転後のシート搬送速度が画像形成する時のシート搬送速度よりも速い速度であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−35692(P2013−35692A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−214220(P2012−214220)
【出願日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【分割の表示】特願2011−281260(P2011−281260)の分割
【原出願日】平成19年12月10日(2007.12.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】