説明

画像形成装置

【課題】本発明は、色ずれ補正に要する時間を増やすことなく光学センサ内の光源の光量が安定する時間を確保することができ、色ずれ補正動作による画像形成装置の生産性の低下を防止することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】トナーパターンを、Kトナーパッチの幅がKトナーパッチ以外のカラーパッチの幅よりも細く形成され、且つKトナーパッチと隣り合うカラーパッチとの間隔がカラーパッチ間の間隔よりも広くなるように形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー画像形成を行う複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置における色ずれ補正用パターンの形成技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カラー画像形成を行う複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置には、タンデム方式により複数の基本色(例えば、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラック)を重ね合わせてカラー画像を形成するものがある。このような画像形成装置では、複数の画像形成部により中間転写体に色ずれ補正用パターンを形成し、中間転写体または色ずれ補正用パターンを反射型光学センサにより読み取って色ずれ量を算出して色ずれ補正が行われている。光学センサには、例えば、正反射光および乱反射光を1つの受光部にて検出する方式のセンサが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−100481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の正反射光および乱反射光を1つの受光部にて検出する光学センサを用いて色ずれ補正用パターンを検出する場合、色ずれ補正用パターンの検出精度を上げるために光学センサ内の光源の光量が安定するまで時間を確保する必要がある。その結果、色ずれ補正に要する時間が増加する。そのため、紙間毎に色ずれ補正を行うなどの高い頻度で色ずれ補正を実施する場合には、色ずれ補正に要する時間が増加することから、画像形成装置の生産性が低下するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑み、色ずれ補正に要する時間を増やすことなく光学センサ内の光源の光量が安定する時間を確保することができ、色ずれ補正動作による画像形成装置の生産性の低下を防止することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、複数の画像形成手段を有する画像形成装置において、複数のトナーパッチで構成されたトナーパターンを中間転写体に形成するように前記複数の画像形成手段を制御する制御手段と、2つの光源と1つの受光素子を備え、前記2つの光源の発光を切り替えて前記中間転写体に光を照射してその反射光を前記受光素子で受光することで前記中間転写体に形成されたトナーパターンを検出する検出手段と、前記検出手段から出力された信号に基づいて色ずれ量を算出する色ずれ算出手段と、前記色ずれ算出手段により算出された色ずれ量に基づき、前記複数の画像形成手段によるトナー像の書き込みタイミングを補正する色ずれ補正手段と、前記光源の発光を切り替える切り替え手段とを備え、前記トナーパターンは、Kトナーパッチの幅がKトナーパッチ以外のカラーパッチの幅よりも細く形成され、且つKトナーパッチと隣り合うカラーパッチとの間隔がカラーパッチ間の間隔よりも広くなるように形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、色ずれ補正に要する時間を増やすことなく光学センサ内の光源の光量が安定する時間を確保することができ、色ずれ補正動作による画像形成装置の生産性の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置における画像形成部の概略構成を説明するための図である。
【図2】図1におけるパターン検知センサの概略構成を示す図である。
【図3】図1の画像形成装置における色ずれ補正部の概略構成を示すブロック図である。
【図4】(a)パターン検知センサの受光素子と中間転写ベルト上の色ずれ補正用パターンの状態を示す図、(b)図4(a)に示す状態と受光素子の出力信号の波形との関係を示す図である。
【図5】(a)中間転写ベルトのグロスが高い状態における正反射光と乱反射光のそれぞれにおける色ずれ補正用パターン読み取り時のセンサ出力の波形を示す図、(b)中間転写ベルトのグロスが低くなった状態における正反射光と乱反射光のそれぞれにおける色ずれ補正用パターン読み取り時のセンサ出力の波形を示す図である。
【図6】(a)乱反射光による受光素子のアナログ出力信号と、当該アナログ出力信号を第2閾値電圧にて2値化したデジタル信号の関係を示す図、(b)正反射光による受光素子のアナログ出力信号と、当該アナログ出力信号を第1閾値電圧にて2値化したデジタル信号の関係を示す図である
【図7】(a)従来の色ずれ補正用パターンの一例を示す図、(b)光学センサにより従来の色ずれ補正用パターンを読み取った場合のセンサ出力の信号波形の一例を示す図、(c)本実施形態における色ずれ補正用パターンの一例を示す図、(d)光学センサにより本実施形態の色ずれ補正用パターンを読み取った場合のセンサ出力の信号波形の一例を示す図である。
【図8】図7(d)に示す色ずれ補正用パターンをパターン検知センサ7で検出したときのセンサ出力信号のタイミングチャートを示す図である。
【図9】図1の画像形成装置における色ずれ補正処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置における画像形成部の概略構成を説明するための図である。
【0011】
図1において、画像形成装置100は、複数の画像形成部を備えるタンデム方式の画像形成装置である。画像形成装置100は、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の順で配置されたレーザ書き込み手段15a,15b,15c,15dと、感光体ドラム1a,1b,1c,1dと、現像器16a,16b,16c,16dを備える。レーザ書き込み手段15a〜15dによって感光体ドラム1a〜1dに潜像画像が形成される。形成された潜像画像は、現像器16a〜16dによって現像される。感光体ドラム1a〜1dに形成されたトナー像は、中間転写体である中間転写ベルト5上に順次重ねて転写されることで、カラートナー画像6が形成される。
【0012】
カラートナー画像6は、ベルト支持ローラ3と転写ローラ4の接合部(転写位置)で用紙上に転写され、搬送ベルト12によって図示しない定着部に送られる。そして、定着部により用紙上にトナー像が定着されて、装置外に排出される。
【0013】
パターン検知センサ7は、中間転写ベルト5の近傍に配置され、中間転写ベルト5上に形成されたトナーパターン(色ずれ補正パターン)を検出するための反射型光学センサである。色ずれ補正用パターンも、カラートナー画像6と同様の方法で中間転写ベルト5上に転写される。
【0014】
図2は、図1におけるパターン検知センサ7の概略構成を示す図である。
【0015】
図2において、パターン検知センサ7は、正反射光発光素子201と、乱反射光発光素子202と、受光素子204とを備える。正反射光発光素子201(第1発光素子)から中間転写ベルト5へ照射した光の正反射光が受光素子204に入射されるように入射角と反射角が等しくなる位置に正反射光発光素子201が配置されている。さらに、乱反射光発光素子202(第2発光素子)から照射した光の入射角と反射角が等しくならない位置に乱反射光発光素子202が配置されている。
【0016】
図3は、図1の画像形成装置100における色ずれ補正部の概略構成を示すブロック図である。
【0017】
パターン検知センサ7内の受光素子204は、A/Dコンバータ205を介してCPU109に接続されている。また、受光素子204は、コンパレータ203を介して、デジタル集積回路であるASIC101に接続されている。正反射光発光素子201と乱反射光発光素子202は、ASIC101内の光源切り替え部111に接続されている。
【0018】
ASIC101は、色ずれ補正用パターンの画像データを生成するパターン生成部102と、2値化された受光素子204からの出力信号を読み取り、一時的にデータを格納するパターン読み取り制御部103を備える。また、ASIC101は、読み取ったパターンデータに基づいて各色のずれ量を算出する色ずれ算出部104と、色ずれ算出部104で算出された色ずれ量に基づいて、トナー像の書き込みタイミングなどを補正する色ずれ補正部105とを備える。また、ASIC101は、色ずれ補正用パターンに照射する光源を正反射光発光素子201と乱反射光発光素子202のいずれかに切り替える光源切り替え部111を備える。さらに、正反射光に適応する第1閾値又は乱反射発光に適応する第2閾値をコンパレータ203に設定する閾値制御部112を備える。
【0019】
受光素子204は、中間転写ベルト5表面または中間転写ベルト5上に形成された色ずれ補正用パターンからの反射光を受光し、その光量を電圧変換して出力する。受光素子204が正反射光を受光して出力する電圧信号は、正反射光に対応した第1閾値電圧Vth1が設定されたコンパレータ203に入力される。一方、受光素子204が乱反射光を受光して出力する電圧信号は、乱反射光に対応した第2閾値電圧Vth2が設定されたコンパレータ203に入力される。
【0020】
また、受光素子204から出力される電圧信号(アナログ信号)は、A/Dコンバータ205にも入力され、A/Dコンバータ205にてデジタル信号へ変換され、ASIC101、CPU109に出力される。
【0021】
コンパレータ203は、前述のように、パターン検知センサ7から入力されたアナログ信号を、設定された第1閾値電圧Vth1または第2の閾値電圧Vth2によって2値化してデジタル信号として出力する。2値化されたデジタル信号は、ASIC101内のパターン読み取り制御部103に一時的に格納され、色ずれ算出部104、色ずれ補正部105で使用される。
【0022】
CPU109は、ROM110、ASIC101等に接続され、画像形成装置100全体を制御する。CPU109は、ROM110に格納されているプログラムデータを実行することにより各種の制御を行う。
【0023】
図4(a)は、パターン検知センサ7の受光素子204と中間転写ベルト5上の色ずれ補正用パターンの状態を示す図、図4(b)は図4(a)に示す状態と受光素子204の出力信号の波形との関係を示す図である。なお、図示例では、乱反射光発光素子202を用いて、受光素子204がパッチからの乱反射光を受光している場合について説明する。受光素子204が検出可能な面積に応じてレベルが変化する点については、正反射光発光素子201を使用する場合も同様である。
【0024】
図4(a)において、受光素子204に対して色ずれ補正用パターンが近づくにつれて、色ずれ補正用パターンからの乱反射光を受光素子204が検出可能な面積が多くなり、受光素子204の出力信号のレベルが増加する(図4(b)の状態(1)〜状態(2))。受光素子204全面で色ずれ補正用パターンからの乱反射光を検出できるときは受光素子の出力信号のレベルが最大となり(図4(b)の状態(3))、検出できる面積が小さくなるにつれて出力信号のレベルが減少する(図4(b)の状態(4)〜状態(5))。
【0025】
図5(a)は、中間転写ベルト5のグロスが高い状態における正反射光と乱反射光のそれぞれにおける色ずれ補正用パターン読み取り時のセンサ出力の波形を示す図である。本実施形態では、中間転写ベルトとして、黒色の光沢があるポリイミドシートを用いたものを想定している。
【0026】
波形501に示すように、YMCKの各トナーで形成された色ずれ補正用パターンからの正反射光より中間転写ベルト5からの正反射光の方が多いため、中間転写ベルト5の方がYMCKの色ずれ補正用パターンよりセンサ出力は高くなる。
【0027】
一方、波形502に示すように、中間転写ベルト5からの乱反射光は、YMCの各トナーで形成された色ずれ補正用パターンからの乱反射光より少なく、中間転写ベルト5の方がYMCの色ずれ補正用パターンよりセンサ出力は低くなる。そして、Kトナーで形成された色ずれ補正用パターンからの乱反射光も少ないことからセンサ出力は低くなり、中間転写ベルト5のセンサ出力とほぼ同等である。
【0028】
図5(b)は、中間転写ベルト5のグロスが低くなった状態における正反射光と乱反射光のそれぞれにおける色ずれ補正用パターン読み取り時のセンサ出力の波形を示す図である。
【0029】
波形503に示すように、グロスが低くなった状態における中間転写ベルト5からの正反射光は少ないため、グロスが低くなった状態における中間転写ベルト5のセンサ出力は低くなる。よって、グロスが低くなった状態における中間転写ベルト5のセンサ出力はYMCの各トナーで形成された色ずれ補正用パターンのセンサ出力と同等のレベルになる。Kトナーの色ずれ補正用パターンに対するセンサ出力は、グロスが低くなった状態における中間転写ベルト5表面の正反射光のセンサ出力よりも低い。
【0030】
一方、波形504に示すように、乱反射光では、図5(a)に示す波形502のようにグロスが高い状態と同様である。
【0031】
図6(a)は、乱反射光による受光素子204のアナログ出力信号と、当該アナログ出力信号を第2閾値電圧Vth2にて2値化したデジタル信号の関係を示す図である。図6(b)は、正反射光による受光素子204のアナログ出力信号と、当該アナログ出力信号を第1閾値電圧Vth1にて2値化したデジタル信号の関係を示す図である。
【0032】
乱反射光により受光素子204のアナログ出力信号は、図6(a)に示す三角波601になり、この三角波を第2閾値電圧Vth2を上回った場合を“1”、上回らない場合を“0”として2値化すると、図6(a)に示す矩形波602のデジタル信号になる。
【0033】
正反射光により受光素子204のアナログ出力信号は、図6(b)に示す三角波603になり、この三角波を第1閾値電圧Vth1を上回った場合を“0”、上回らない場合を“1”として2値化すると、図6(b)に示す矩形波604のデジタル信号になる。
【0034】
図7(a)は、従来の色ずれ補正用パターンの一例を示す図である。
【0035】
従来の色ずれ補正用パターンは、基準色に対する各色の相対的なずれ量を検出して補正するために、基準色のトナーパッチと基準色以外のトナーパッチ(以下、単に「パッチ」とする)を交互に間隔cを空けて形成される。図示例では、基準色をMとし、Mトナーパッチ(Mパッチ)、Yトナーパッチ(Yパッチ)、Mパッチ、Cトナーパッチ(Cパッチ)、Mパッチ、Kトナーパッチ(Kパッチ)、Mパッチの順に形成されている。各パッチ間は、間隔cに統一されている。
【0036】
図7(b)は、図7(a)に示す色ずれ補正用パターンをパターン検知センサ7にて検出したときの出力信号と、当該センサ出力をYMCパッチについては第2閾値で、Kパッチについては第1閾値で2値化した信号を示す図である。
【0037】
パターン検知センサ7は、乱反射光を受光素子204で受光してKトナーパッチ以外のYMCトナーパッチを検出する一方、Kパッチのみを正反射光で検出する。Kパッチ702を検出する場合、Mパッチ701とKパッチ702との間(以下、「MK間」と略す)では、光源を乱反射光発光素子202から正反射光発光素子201に切り替える。そして、Kパッチ702とMパッチ703との間(以下、「KM間」と略す)では、光源を正反射光発光素子201から乱反射光発光素子202に切り替える。光源の切り替えは、パターン検知センサ7による色ずれ補正用パターンの検出中に光源切り替え部111により行われる。
【0038】
図7(c)は、本実施形態における色ずれ補正用パターンの一例を示す図である。
【0039】
図示の色ずれ補正用パターンでは、図7(a)に示す色ずれ補正用パターンに対して、カラー(MYC)パッチの幅hよりもKパッチ704の幅gが細くなっている。なお、本実施形態におけるパッチの幅は、中間転写ベルト5の移動方向(図示の矢印方向)に対して垂直方向の幅とする。また、図示の色ずれ補正用パターンは、Kパッチ704の幅gが細くなっていることから、Kパッチ704と隣り合うMパッチ701,703との間隔a,bが、MYCのカラーパッチ間の間隔cよりも広くなっている。これは、上述したように、MK間とKM間では光源の切り替えが行われることから、光源の光量が安定するまでの時間を確保するために、カラーパッチ間の間隔cよりも長い間隔a,bが設定されている。
【0040】
図7(d)は、図7(c)に示す色ずれ補正用パターンをパターン検知センサ7にて検出したときの出力信号と、当該センサ出力をYMCパッチについては第2閾値で、Kパッチについては第1閾値で2値化した信号を示す図である。
【0041】
図示のように、正反射光によるKパッチの検出は、中間転写ベルト5のグロスが高い/低いにかかわらず、カラーパッチに比べて容易にできるため、Kパッチの幅gを細くしても容易に検出可能である。このように、基準色と等間隔にカラーパッチを形成する一方、Kパッチの幅を細く形成する。これにより、Kパッチと隣り合うMパッチとの間隔a,bをカラーパッチ間の間隔cより広くすることができ、光源切り替え時の光量の安定時間を確保することが可能となる。
【0042】
図8は、図7(c)に示す色ずれ補正用パターンを形成するときのタイミングチャートを示す図である。
【0043】
図7(d)に示すように、基準となるMパッチとそれ以外のカラーパッチを交互に間隔cを空けて形成するために、CPU109は色ずれ補正時の任意タイミングで、パターン生成部102によりMパッチ生成用の画像データを画像形成部に送信する。続いて、Yパッチ、Mパッチ、Cパッチ、Mパッチの画像データをそれぞれ時間tを空けて、順次画像形成部に送信する。なお、時間tは、各感光体ドラム1a〜1d間の距離Xと中間転写ベルト5の速度Yにより算出することができ、時間t=X/Yとなる。
【0044】
CPU109は、パターン生成部102により3つ目のMパッチ801の画像データを画像形成部に送信した後、時間taを空けてKパッチ802の画像データを画像形成部に送信する。ここで、Yパッチ、Cパッチ形成時のタイミングに対して、Kパッチ802のパッチ形成開始タイミングを時間eだけ遅らせ、パッチ形成終了タイミングを時間fだけ早くすることにより、Kパッチ802の幅を短くする。そして、Kパッチが形成された後、時間tbを空けてMパッチ803の画像データを画像形成部に送信する。
【0045】
したがって、光量安定時間ta,tbは以下のようになる。
【0046】
光量安定時間ta=時間t+時間e
光量安定時間tb=時間t+時間f
次に、画像形成装置100における色ずれ補正処理の流れを図9を用いて説明する。
【0047】
図9は、画像形成装置100における色ずれ補正処理の流れを示すフローチャートである。本処理は、主にCPU109がROM110に保存された制御プログラムを実行することにより、ASIC101等を制御して実行される処理である。
【0048】
CPU109は、プリント待機状態(ステップS600)において、プリントジョブを受信(または受付)したか否かを判定し(ステップS601)、プリントジョブを受信(または受付)したと判定した場合にはプリント動作を開始する(ステップS602)。
【0049】
次に、CPU109は、カウントしたプリント枚数が所定値を超えたか否かを判定する(ステップS603)。カウントしたプリント枚数とは、ステップS602でプリントを開始してからカウントしたプリント枚数とするが、これに限定されるものではない。
【0050】
ステップS603において、プリント枚数が所定値を超えていないと判定した場合、CPU109は、プリントジョブが終了か否かを判定し(ステップS611)、終了していないと判定した場合はステップS602へ戻る。一方、終了したと判定した場合には、ステップS612へ進む。
【0051】
ステップS612では、CPU109は、電源がOFFされたか否かを判定し、電源がOFFされていないと判定した場合はステップS600に戻る一方、電源がOFFされたと判定した場合は、本処理を終了する。
【0052】
ステップS603において、プリント枚数が所定値を超えたと判定した場合は、ステップS604〜ステップS610の色ずれ補正動作が実行される。
【0053】
CPU109は、まずパターン生成部102を制御して、中間転写ベルト5上に色ずれ補正用パターンを形成させる(ステップS604)。
【0054】
次に、CPU109は、光源切り替え部111を制御して乱反射光発光素子202を発光させると共に、パターン読み取り制御部103を制御して、パターン検知センサ7により中間転写ベルト上の色ずれ補正用パターンを検出させる(ステップS605)。このとき、色ずれ補正用パターンのうちYMCのカラーパッチをパターン検知センサ7により検出させる。乱反射光を受光した受光素子204から出力されるアナログ信号は、閾値制御部112からコンパレータ203に設定された第2閾値電圧Vth2に基づいて、コンパレータ203により2値化され、パターン読み取り制御部103に一時的に格納される。
【0055】
次に、CPU109は、光源切り替え部111を制御して光源を乱反射光発光素子202から正反射光発光素子201に切り替える(ステップS606)。切り替えるタイミングは、図8のMパッチの信号波形の直後(立ち下がり)となる。
【0056】
次に、CPU109は、パターン読み取り制御部103を制御して、パターン検知センサ7により中間転写ベルト上の色ずれ補正用パターンを検出させる(ステップS607)。このとき、色ずれ補正用パターンのうちKパッチのみをパターン検知センサにより検出させる。正反射光を受光した受光素子204から出力されるアナログ信号は、閾値制御部112からコンパレータ203に設定された第1閾値電圧Vth1に基づいて、コンパレータ203により2値化され、パターン読み取り制御部103に一時的に格納される。
【0057】
次に、CPU109は、色ずれ算出部104を制御して、パターン読み取り制御部103に格納された信号(パターンデータ)に基づいて、各色間の相対的な色ずれ量を算出させる(ステップS608)。次に、CPU109は、色ずれ補正部105を制御して、ステップS608で算出された色ずれ量に基づいて、画像の書き込みタイミングを補正して(ステップS609)、色ずれ補正を行う。色ずれ補正が終了した後、CPU109は、カウントしたプリント枚数をクリアして(ステップS610)、ステップS611へ進む。
【0058】
本実施形態によれば、トナーパターンを、Kトナーパッチの幅がKトナーパッチ以外のカラーパッチの幅よりも細く形成され、且つKトナーパッチと隣り合うカラーパッチとの間隔がカラーパッチ間の間隔よりも広くなるように形成する。これにより、色ずれ補正に要する時間を増やすことなく光学センサ内の光源の光量が安定する時間を確保することができる。その結果、色ずれ補正動作による画像形成装置の生産性の低下を防止することができる。
【0059】
本実施形態では、中間転写ベルト5上に色ずれ補正用パターンを形成して、色ずれ補正を行う方法について説明した。これ以外に、連続紙に色ずれ補正用パターンを形成する方法や、用紙搬送ベルトで搬送される用紙に色ずれ補正用パターンを形成する方法であっても本発明を適用することができる。
【0060】
また、本実施形態では、電子写真プロセスを利用して印刷を行う画像形成装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばインクジェット方式の印刷装置にも適用することができる。
【0061】
さらに、本実施形態では、正反射光発光素子201と乱反射光発光素子202により色ずれ補正用パターンを検知する構成としたが、色ずれ補正用パターンの濃度を検知する構成であってもよい。つまり、YMCパッチの濃度検知には、乱反射光発光素子202に入射される光量により、Kパッチの濃度検知には、正反射光発光素子201に入射される光量により行うことで、濃度検知を行うことが可能となる。
【0062】
本実施形態では、図6(a)、図6(b)に示すように、2つの光源を発光させて検出された光量における信号波形を、2つの閾値に基づいてコンパレートすることでパルス信号を発生させ、パルスの中心位置を算出することでオートレジを行う構成とした。これに限らず、前述の信号波形のピーク値を検知してパルス信号を発生させオートレジを行ってもよい。
【0063】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0064】
102 パターン生成部
103 パターン読み取り制御部
104 色ずれ算出部
105 色ずれ補正部
111 光源切り替え部
112 閾値制御部
201 正反射光発光素子
202 乱反射光発光素子
203 コンパレータ
204 受光素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画像形成手段を有する画像形成装置において、
複数のトナーパッチで構成されたトナーパターンを中間転写体に形成するように前記複数の画像形成手段を制御する制御手段と、
2つの光源と1つの受光素子を備え、前記2つの光源の発光を切り替えて前記中間転写体に光を照射してその反射光を前記受光素子で受光することで前記中間転写体に形成されたトナーパターンを検出する検出手段と、
前記検出手段から出力された信号に基づいて色ずれ量を算出する色ずれ算出手段と、
前記色ずれ算出手段により算出された色ずれ量に基づき、前記複数の画像形成手段によるトナー像の書き込みタイミングを補正する色ずれ補正手段と、
前記光源の発光を切り替える切り替え手段とを備え、
前記トナーパターンは、Kトナーパッチの幅がKトナーパッチ以外のカラーパッチの幅よりも細く形成され、且つKトナーパッチと隣り合うカラーパッチとの間隔がカラーパッチ間の間隔よりも広くなるように形成されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記切り替え手段は、前記検出手段による前記トナーパターンの検出中に前記光源の発光を切り替えることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記検出手段は、前記トナーパターンが形成された中間転写体に正反射光を照射するための第1発光素子と、前記トナーパターンが形成された中間転写体に乱反射光を照射するための第2発光素子と、正反射光または乱反射光を受光する受光素子とを備え、
前記切り替え手段は、前記検出手段による前記トナーパターンの検出中に、Kトナーパッチに前記第1発光素子により光を照射するように、Yトナーパッチ、Mトナーパッチ、Cトナーパッチに前記第2発光素子により光を照射するように、前記第1発光素子と前記第2発光素子の発光を切り替えることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記正反射光による受光素子の出力信号を2値化するための第1閾値と前記乱反射光による受光素子の出力信号を2値化するための第2閾値を設定する閾値制御手段をさらに備え、
前記閾値制御手段は、前記切り替え手段により前記第1発光素子と前記第2発光素子の発光が切り替えられると、前記第1閾値と前記第2閾値の設定を切り替えることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−50612(P2013−50612A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188974(P2011−188974)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】