説明

画像形成装置

【課題】各色用のレーザー走査ユニットの回転多面体の回転角度の位相が同期しているか否かに拘わらず、各色用の感光体ドラム面上において光照射によって受けるパワーを、感光体ドラム回転軸方向の各位置で最適な状態に近付ける。
【課題を解決するための手段】画像形成装置1は、感光体ドラム121の回転軸方向両端部に照射する半導体レーザー243の光量を当該回転軸方向中央部に照射する光量よりも多くする第1の設定値と、感光体ドラム121の回転軸方向全域に照射する半導体レーザー243の光量を一定とする第2の設定値とを記憶する設定値記憶部102を備え、半導体レーザー駆動制御部1012は、位相同期が行われる場合には第1の設定値を用い、当該位相同期が行われない場合には第2の設定値を用いて半導体レーザー243の光量を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に、光走査装置が感光体ドラムを露光するために出力する光量の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数のレーザー走査ユニットから発射される各レーザー光を、対応する各色の感光体に照射してカラー画像形成を行う画像形成装置では、各色別の感光体に対して走査されるレーザー光の書出タイミングを同期させる技術が採用されている。このような技術としては、例えば、下記特許文献1に示されるように、上記レーザー光を感光体ドラムに向けて反射させるポリゴンミラー等の回転多面体に注目し、各色のレーザー走査ユニットの回転多面体のそれぞれ回転角度の位相を同期させるものが知られている。
【0003】
また、半導体レーザー等からなる発光部の光は、回転多面体により反射され、当該レーザー走査ユニットの主走査方向、すなわち、感光体ドラムの回転軸方向において、その一端部から他端部までを照射する。このとき、回転多面体の反射面から感光体ドラム表面までの距離は、感光体ドラムの回転軸方向の各位置において異なるため、当該感光体ドラムの回転軸方向における各位置では、レーザー走査ユニットから受ける光の影響が均一にならず、当該光照射による効果を予定した通りに得ることが困難になる。これに対応して、レーザー走査ユニットから出力する光の光量を、回転多面体の光反射面からの距離が長くなる感光体ドラム回転軸方向端部付近では多くし、回転多面体の光反射面からの距離が短くなる感光体ドラム回転軸方向中央部付近では少なくすることで、感光体ドラムの回転軸方向における感光体ドラム表面の各位置において、光照射によって受けるパワーを均一にする光量補正技術も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−173109公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の光量補正技術は、上記回転多面体の回転角度の位相が同期して、各色のレーザー走査ユニットによる感光体ドラム上での書き出し位置が全て予定の位置(感光体ドラムの回転軸方向端部付近)で揃っている場合には、各色のレーザー走査ユニット全ての光量を、対応する感光体ドラムにおいてその回転軸方向端部付近で多く、当該回転軸方向中央部付近で少なくして、各色の感光体ドラム面上において光照射によって受けるパワーを感光体ドラム回転軸方向の各位置で均一にできる。しかしながら、各回転多面体の回転角度の位相が同期しておらず、各色のレーザー走査ユニットによる感光体ドラム上での書き出し位置が上記予定の位置で揃っていない場合に上記の光量補正技術を用いると、いずれかのレーザー走査ユニットは感光体ドラム表面における上記回転軸方向端部からは書き出しが始まらないため、当該レーザー走査ユニットが感光体ドラム表面に与える光量は上記予定した通りの分布にはならず、各色用の感光体ドラム面上において光照射によって受けるパワーを、感光体ドラム回転軸方向の各位置で均一にできない。
【0006】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、各色用のレーザー走査ユニットの回転多面体の回転角度の位相が同期しているか否かに拘わらず、各色用の感光体ドラム面上において光照射によって受けるパワーを、感光体ドラム回転軸方向の各位置で最適な状態に近付けることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に記載の発明は、画像信号に応じたレーザー光を発光する発光部と、当該発光部から発光されるレーザー光を感光体ドラムの回転軸方向を主走査方向として当該感光体ドラムの表面に走査させる複数の反射面を有する回転多面体と、前記回転多面体を回転駆動する回転多面体駆動部とを備える複数のレーザー走査ユニットと、
前記各発光部による発光を制御する発光制御部と、
前記回転多面体駆動部に制御信号を出力して前記各回転多面体の駆動を制御する駆動制御部と
前記駆動制御部が前記各回転多面体駆動部に出力するそれぞれの前記制御信号の位相を同期させる位相制御部と、
前記感光体ドラムの回転軸方向両端部に照射する前記発光部の光量を当該回転軸方向中央部に照射する光量よりも多くする第1の設定値と、前記感光体ドラムの回転軸方向全域に照射する前記発光部の光量を一定とする第2の設定値とを記憶する設定値記憶部とを備え、
前記発光制御部は、前記位相制御部による前記位相の同期が行われる場合には前記第1の設定値を用いて前記発光部の光量を制御し、前記位相制御部による前記位相の同期が行われない場合には前記第2の設定値を用いて前記発光部の光量を制御する画像形成装置である。
【0008】
この発明によれば、位相制御部による上記位相の同期により、各レーザー走査ユニットの回転多面体の回転角度の位相が同期して、各色のレーザー走査ユニットによる対応する感光体ドラム上での書き出し位置(露光開始位置)が全て予定の位置(感光体ドラムの回転軸方向端部付近)で揃っている場合には、上記第1の設定値を用いて、各色のレーザー走査ユニット全ての光量を、感光体ドラム回転軸方向端部付近では多くし、感光体ドラム中央部付近では少なくして、各色用の感光体ドラム面上において光照射によって受けるパワーをその回転軸方向の各位置で均一にできることを確保する。
【0009】
さらに、上記回転多面体の回転角度の位相が同期しておらず、各色のレーザー走査ユニットによる対応する感光体ドラム上での書き出し位置が上記予定の位置で揃っていない場合には、当該第1の設定値によるような発光部の光量制御では、感光体ドラム面上において光照射によって受けるパワーの不均一の度合いが却って酷くなるため、この場合には、本発明は、上記第2の設定値を用いて、感光体ドラムの回転軸方向全域において発光部の光量を一定とすることにより、各色の感光体ドラム面上において光照射によって受けるパワーがその回転軸方向の各位置で不均一になってしまう度合いを軽減する。
【0010】
これにより、本発明によれば、各色用のレーザー走査ユニットの回転多面体の回転角度の位相が同期しているか否かに拘わらず、各色用の感光体ドラム面上において光照射によって受けるパワーを、感光体ドラム回転軸方向の各位置で最適な状態に近付けることができる。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置であって、前記駆動制御部が前記各回転多面体駆動部の制御に用いる各制御信号の位相のずれ量を検出するずれ量検出部を更に備え、
前記発光制御部は、前記ずれ量検出部によって検出されたずれ量が予め定められた値に達している場合に前記位相の同期が行われていないものとして、前記第2の設定値を用いて前記発光部の光量を制御し、前記ずれ量検出部によって検出されたずれ量が予め定められた値に達していない場合には前記位相の同期が行われているとして、前記第1の設定値を用いて前記発光部の光量を制御するものである。
【0012】
この発明では、各色用の回転多面体の回転角度の位相が同期しておらず、各色用の回転多面体を駆動するための制御信号の位相のずれ量が予め定められた値に達するほど大きい場合、すなわち、感光体ドラム面上において光照射によって受けるパワーをその回転軸方向の各位置で均一化することに真に悪影響を及ぼす場合にのみ、上記第2の設定値を用いて、感光体ドラムの回転軸方向全域において発光部の光量を一定とすることで、感光体ドラム面上において光照射によって受けるパワーがその回転軸方向の各位置で不均一になってしまう度合いを軽減することが可能になる。
【0013】
また、請求項3に記載の発明は、画像信号に応じたレーザー光を発光する発光部と、当該発光部から発光されるレーザー光を感光体ドラムの回転軸方向を主走査方向として当該感光体ドラムの表面に走査させる複数の反射面を有する回転多面体と、前記回転多面体を回転駆動する回転多面体駆動部とを備える複数のレーザー走査ユニットと、
前記各発光部による発光を制御する発光制御部と、
前記回転多面体駆動部に制御信号を出力して前記各回転多面体の駆動を制御する駆動制御部と、
前記駆動制御部が前記各回転多面体駆動部に出力するそれぞれの前記制御信号の位相を同期させる位相制御部と、
前記感光体ドラムの回転軸方向両端部に照射する前記発光部の光量を当該回転軸方向中央部に照射する光量よりも多くする設定値であって、前記感光体ドラムの回転軸方向の各位置毎に定められたデフォルトの設定値を記憶する設定値記憶部と、
前記駆動制御部が前記各回転多面体駆動部の制御に用いる各制御信号の位相のずれ量を検出するずれ量検出部とを備え、
前記発光制御部は、前記位相制御部による前記位相の同期が行われる場合には前記デフォルトの設定値を用いて前記発光部の光量を制御し、前記位相制御部による前記位相の同期が行われない場合には、前記デフォルトの設定値を、前記ずれ量検出部によって検出された前記ずれ量に応じた分だけ前記回転軸方向にずらした補正用設定値を用いて前記発光部の光量を制御する画像形成装置である。
【0014】
この発明によれば、位相制御部による上記位相の同期により、各レーザー走査ユニットの回転多面体の回転角度の位相が同期して、各色のレーザー走査ユニットによる対応する感光体ドラム上での書き出し位置(露光開始位置)が全て予定の位置(感光体ドラムの回転軸方向端部付近)で揃っている場合には、上記デフォルトの設定値を用いて、各色のレーザー走査ユニット全ての光量を、感光体ドラム回転軸方向端部付近では多くし、感光体ドラム中央部付近では少なくして、各色用の感光体ドラム面上において光照射によって受けるパワーをその回転軸方向の各位置で均一にできることを確保する。
【0015】
さらに、各回転多面体駆動部の制御に用いる各制御信号の位相にずれが生じて、上記回転多面体の回転角度の位相が同期しておらず、各色のレーザー走査ユニットによる対応する感光体ドラム上での書き出し位置が上記予定の位置で揃っていない場合には、上記デフォルトの設定値によるような発光部の光量制御では、感光体ドラム面上において光照射によって受けるパワーの不均一の度合いが却って酷くなる。このような場合であっても、本発明は、各回転多面体駆動部の制御に用いる各制御信号の位相のずれ量、すなわち、各回転多面体の回転位相のずれ量に応じて、上記デフォルトの設定値を感光体ドラム回転軸方向にずらした補正用設定値を用いて発光制御部が各発光部の光量を制御することで、デフォルトの設定値を用いた光量制御の場合と同様に、各色のレーザー走査ユニット全ての光量を、感光体ドラム回転軸方向端部付近では多くし、感光体ドラム中央部付近では少なくして、各色用の感光体ドラム面上において光照射によって受けるパワーをその回転軸方向の各位置で均一にすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、各色用のレーザー走査ユニットの回転多面体の回転角度の位相が同期しているか否かに拘わらず、各色用の感光体ドラム面上において光照射によって受けるパワーを、感光体ドラム回転軸方向の各位置で最適な状態に近付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構造を示す正面断面図である。
【図2】図1に示した露光装置によるレーザービーム走査を示す斜視図である。
【図3】画像形成装置の制御系の構成概略を示すブロック図である。
【図4】(A)(B)は第1の設定値の例を示す図である。
【図5】(A)(B)は第2の設定値の例を示す図である。
【図6】感光体ドラムとポリゴンミラーの位置関係を示す図である。
【図7】感光体ドラム表面上の光量分布を示す図である。
【図8】感光体ドラム表面上の光量分布を示す図である。
【図9】半導体レーザー駆動制御部が第1の設定値を用いて半導体レーザーの光量を制御する場合の駆動電流を示す図である。
【図10】画像形成装置による画像形成時におけるレーザー走査ユニットの駆動制御の第1実施形態を示すフローチャートである。
【図11】(A)(B)は、各画像形成ユニットのレーザー走査ユニットのBDセンサーから位相制御部に入力される同期信号の一例を示す図である。
【図12】半導体レーザー駆動制御部が第1の設定値を用いて半導体レーザーの光量を制御する場合の駆動電流を示す図である。
【図13】画像形成装置による画像形成時におけるレーザー走査ユニットの駆動制御の第2実施形態を示すフローチャートである。
【図14】画像形成装置による画像形成時のレーザー走査ユニットの駆動制御の第3実施形態を示すフローチャートである。
【図15】(A)(B)はデフォルト設定値の例を示す図である。
【図16】(A)(B)は補正用設定値の例を示す図である。
【図17】画像形成装置による画像形成時のレーザー走査ユニットの駆動制御の第3実施形態の変形形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態に係る画像形成装置及びレーザー走査ユニットについて図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構造を示す正面断面図である。画像形成装置1は、例えば、コピー機能、プリンター機能、スキャナー機能、およびファクシミリ機能等の複数の機能を兼ね備えた複合機である。画像形成装置1は、装置本体11に、画像形成部12、定着装置13、給紙部14、用紙排出部15、原稿給送部6、及び原稿読取部5等を備えて構成されている。
【0019】
装置本体11は、下部本体111と、この下部本体111の上方に対向配置された上部本体112と、この上部本体112と下部本体111との間に設けられた連結部113とを備えている。連結部113は、下部本体111と上部本体112との間に用紙排出部15を形成させた状態で両者を互いに連結するための構造物であり、図1においては下部本体111の左部および後部から立設され、平面視でL字状とされている。上部本体112は、連結部113の上端部に支持されている。上部本体112には、原稿読取部5及び原稿給送部6が設けられている。
【0020】
原稿読取部(画像読取部)5は、上部本体112の上面開口に装着された、原稿を載置するためのコンタクトガラス(原稿台)161と、このコンタクトガラス161に載置された原稿を押さえる開閉自在の原稿押さえカバー162と、コンタクトガラス161に載置された原稿の画像を読み取る読取機構163とを備えている。読取機構163は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(ComplementaryMetal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサーを用いて原稿の画像を光学的に読み取り、画像データを生成する。
【0021】
原稿給送部6は、原稿が載置される原稿載置台61と、画像読み取り済みの原稿が排出される原稿排出部66と、原稿搬送機構65と、を備える。原稿搬送機構65は、図略の給紙ローラー、搬送ローラー、及び用紙反転機構を備えている。原稿搬送機構65は、給紙ローラー及び搬送ローラーの駆動により、原稿載置台61に載置された原稿を1枚ずつ繰り出して原稿読取スリット53に対向する位置へ搬送し、原稿読取スリット53を介して読取機構163による読取を可能とした後、原稿排出部66へと排出する。また、原稿搬送機構65は、用紙反転機構が原稿を表裏反転させて原稿読取スリット53と対向する位置へ再搬送することで、当該原稿の両面の画像を、原稿読取スリット53を介して読取機構163により読取可能にしている。
【0022】
さらに原稿給送部6は、その前面側が上方に移動可能となるように上部本体112に対して回動自在に設けられている。原稿給送部6の前面側を上方に移動させて原稿台としてのコンタクトガラス161上面を開放することにより、コンタクトガラス161の上面に読み取り原稿、例えば見開き状態にされた書籍等をユーザーが載置できるようになっている。
【0023】
下部本体111には、画像形成部12、定着装置13および給紙部14が内装されている。上部本体112には原稿読取部5が設けられている。給紙部14は、装置本体11に対して挿脱可能の給紙カセット142,143,144を有している。給紙カセット142,143,144には記録紙(記録媒体の一例)が積層されてなる用紙束がそれぞれ収容されている。なお、本実施形態では、給紙カセット142,143,144の3段が設けられているが、給紙カセットは他の段数として設けてもよい。
【0024】
画像形成部12は、給紙部14から給紙された記録紙にトナー像を形成する画像形成動作を行う。画像形成部12は、中間転写ベルト125の走行方向において上流側から下流側へ向けて順次配設された、マゼンタ色のトナーを用いるマゼンタ用の画像形成ユニット12M、シアン色のトナーを用いるシアン用の画像形成ユニット12C、イエロー色のトナーを用いるイエロー用の画像形成ユニット12Yおよびブラック色のトナーを用いるブラック用の画像形成ユニット12B(以下、各画像形成ユニットを区別することなく述べる場合には、それぞれを「画像形成ユニット120」と言う)と、駆動ローラー125a(二次転写対向ローラー)等の複数のローラー間に画像形成における副走査方向へ無端走行可能に張架された中間転写ベルト125と、中間転写ベルト125が駆動ローラー125aに張架される部分で中間転写ベルト125の外周面に当接する二次転写ローラー210とを備えている。
【0025】
各画像形成ユニット120は、感光体ドラム121と、感光体ドラム121へトナーを供給する現像装置122と、トナーを収容するトナーカートリッジ(不図示)と、帯電装置123と、露光装置124と、一次転写ローラー126と、ドラムクリーニング装置127とをそれぞれ一体的に備えている。
【0026】
感光体ドラム121は、その周面に静電潜像およびこの静電潜像に沿ったトナー像を形成する。現像装置122は、感光体ドラム121へトナーを供給する。各現像装置122には、前記トナーカートリッジからトナーが適宜補給される。
【0027】
帯電装置123は、感光体ドラム121の直下位置に設けられている。帯電装置123は、各感光体ドラム121の周面を一様に帯電させる。
【0028】
露光装置(レーザー走査ユニット)124は、感光体ドラム121の下方位置であって、帯電装置123の更に下方位置に設けられている。露光装置124は、コンピューター等から入力された画像データや原稿読取部5が取得した画像データに基づく各色に対応したレーザー光を、帯電後の感光体ドラム121の周面に照射し、各感光体ドラム121の周面に静電潜像を形成する。露光装置124は、いわゆるレーザー露光装置であり、レーザービームを出力するレーザー光源と、当該レーザービームを感光体ドラム121表面に向けて反射させるポリゴンミラーと、ポリゴンミラーによって反射されたレーザー光を感光体ドラム121に導くためのレンズやミラー等の光学部品を備えている。
【0029】
現像装置122は、矢印の方向へ回転する感光体ドラム121の周面の静電潜像にトナーを供給して当該トナーを積層させ、感光体ドラム121の周面に前記画像データに応じたトナー像を形成する。
【0030】
中間転写ベルト125は、各感光体ドラム121の上方位置に配置されている。中間転写ベルト125は、図1における左側の駆動ローラー125aと、同図の右側の従動ローラー125bとの間に無端走行可能に張架され、下方の外周面が各感光体ドラム121の周面に当接している。従動ローラー125bは、駆動ローラー125aに対向する位置に設けられて、中間転写ベルト125の無端走行に伴って従動回転する。中間転写ベルト125は、その外周面にトナー像が転写される像担持面が設定され、感光体ドラム121の周面に当接した状態で駆動ローラー125aによって駆動される。中間転写ベルト125は、各感光体ドラム121と同期しながら、駆動ローラー125aと従動ローラー125bとの間を無端走行する。
【0031】
中間転写ベルト125を挟んで各感光体ドラム121に対向する位置には、一次転写ローラー126が設けられている。この一次転写ローラー126には、図略の転写バイアス印加機構により転写バイアスが印加され、一次転写ローラー126は、各感光体ドラム121の外周周面に形成された上記トナー像を中間転写ベルト125の表面に転写させる。
【0032】
駆動ローラー125aは、図略の制御部による制御の下で駆動される駆動モーター(図略)から与えられる回転駆動力により中間転写ベルト125を無端走行させる。
【0033】
後述の画像形成制御部101は、各色の毎に一次転写ローラー126及び画像形成ユニット120を駆動制御して、中間転写ベルト125の表面に、マゼンタ用の画像形成ユニット12Mにより形成されたマゼンタのトナー像の転写と、次いで中間転写ベルト125の同一位置にシアン用の画像形成ユニット12Cにより形成されたシアンのトナー像の転写と、次いで中間転写ベルト125の同一位置にイエロー用の画像形成ユニット12Yにより形成されたイエローのトナー像の転写と、最後のブラック用の画像形成ユニット12Bにより形成されたブラックのトナー像の転写とを、各色のトナー像が重なり合うように行わせ、これによりカラーのトナー像を中間転写ベルト125の表面に形成させる(中間転写(一次転写))。
【0034】
二次転写ローラー210は、図略の転写バイアス印加機構により転写バイアスが印加されている。二次転写ローラー210は、中間転写ベルト125の表面に形成されたカラーの上記トナー像を、給紙部14から搬送されてきた記録紙に転写させる。二次転写ローラー210は、中間転写ベルト125が駆動ローラー125aに張架される部分の用紙搬送路190に、中間転写ベルト125の外周面に当接させて設けられている。二次転写ローラー210は、前記トナー像が記録紙に二次転写されるニップ部Nを、中間転写ベルト125を挟んで駆動ローラー125aとの間に形成する。用紙搬送路190を搬送される記録紙は、ニップ部Nにおいて中間転写ベルト125と二次転写ローラー210とに押圧挟持され、ここにおいて中間転写ベルト125上のトナー像が記録紙に二次転写される。
【0035】
なお、二次転写ローラー210及び駆動ローラー125aのニップ部Nよりも、用紙搬送部(搬送部)411による記録紙の搬送方向上流側には、レジストローラー630が配設されている。レジストローラー630は、上部ニップ部Nにおける二次転写ローラー210による中間転写ベルト125からのトナー画像転写タイミングと、用紙搬送部411がニップ部Nに記録紙を搬送するタイミングを同期させるために、記録紙の搬送を待機等させるものである。
【0036】
ドラムクリーニング装置127は、各感光体ドラム121の図1で左方位置に設けられ、感光体ドラム121の周面の残留トナーを除去してクリーニングする。このドラムクリーニング装置127によってクリーニングされた感光体ドラム121の周面は、新たな帯電処理のために再び帯電装置123へ向かう。
【0037】
画像形成部12に対して図1での左方位置には、上下方向に延びる用紙搬送路190が形成されている。用紙搬送路190には、適所に搬送ローラー対192が設けられている。搬送ローラー対192は、給紙部14から繰り出された記録紙を、ニップ部N及び定着装置13に向けて搬送する。当該適所に配置された搬送ローラー対192からなる搬送機構が搬送部の一例となる。
【0038】
定着装置13は、内部に加熱源である通電発熱体を備えた加熱ローラー132と、加熱ローラー132に対向配置された加圧ローラー134とを備えている。定着装置13は、画像形成部12で転写された記録紙上のトナー像に対し、記録紙が加熱ローラー132と加圧ローラー134との間の定着ニップ部を通過する間に、加熱ローラー132から熱を与えて定着処理を施す。定着処理の完了したカラー画像形成済みの記録紙は、定着装置13の上部から延設された排紙搬送路194を通って、下部本体111の頂部に設けられた排出トレイ151へ向けて排出される。
【0039】
なお、従動ローラー125bに張架された中間転写ベルト125の外周面に対向する位置にはクリーニング部22が設けられている。
【0040】
給紙部14は、装置本体11の図1における右側壁に開閉自在に設けられた手差しトレイ141と、下部本体111内における露光装置124より下方位置に挿脱可能に装着された給紙カセット142,143,144とを備えている。
【0041】
手差しトレイ141は、下部本体111の右面の下方位置に設けられた、記録紙を手差し操作で画像形成部12へ向けて給紙するためのトレイである。給紙カセット142,143,144は、複数枚の記録紙が積層されてなる用紙束を収容する。給紙カセット142,143,144の上方には、ピックアップローラー145が設けられ、ピックアップローラー145は、給紙カセット142,143,144に収容された用紙束の最上位の記録紙を用紙搬送路190へ向けて繰り出す。
【0042】
用紙排出部15は、下部本体111と上部本体112との間に形成されている。用紙排出部15は、下部本体111の上面に形成された排出トレイ151を備える。排出トレイ151は、画像形成部12でトナー像が形成された記録紙が、定着装置13で定着処理が施された後に排出されるトレイである。
【0043】
図2は、図1に示した露光装置124によるレーザービーム走査を示す斜視図である。以下、露光装置124をレーザー走査ユニット240と称して説明する。各画像形成ユニット12M、12C、12Y、12Bにおけるレーザー走査ユニット240の構成は同様である。
【0044】
レーザー走査ユニット240は、主走査方向に延びる走査ラインをレーザー光により走査するレーザービーム走査機構である。レーザー走査ユニット240は、ポリゴンモーター241、ポリゴンミラー242、半導体レーザー243、コリメーターレンズ244、fθレンズ245、反射ミラー246、BDセンサー247、及びシリンドリカルレンズ248を備える。
【0045】
ポリゴンミラー(回転多面体)242は、例えば10面の鏡面からなる反射面を有し、各反射面で感光体ドラム121の表面に向けてレーザー光を反射させる。ポリゴンモーター241は、ポリゴンミラー242を図2の矢印A方向に回転させる駆動力をポリゴンミラー242に供給する。半導体レーザー(発光部)243は、レーザー光を発光させるものであり、入力される画像信号に応じて後述する半導体レーザー駆動制御部1012により変調される。コリメーターレンズ244は、半導体レーザー243から射出されたビームLを通過させて平行光とする。当該ビームLは反射ミラー246に入射する。
【0046】
反射ミラー246により反射されたビームLは、シリンドリカルレンズ248を通過した後、ポリゴンミラー242の反射面242aに線像として結像する。ポリゴンミラー242は図2の矢印A方向に一定速度で回転し、反射面242aによって偏向された各ビームLは図2の矢印B方向に移動しながらfθレンズ245に入射する。
【0047】
fθレンズ245は、ポリゴンミラー242によって偏向されたレーザー光を感光ドラム121の軸方向に対して等速度で水平走査させる。反射ミラー246は、偏向されるレーザー光をビームディテクトセンサー(BDセンサー。同期センサー)247に導く。BDセンサー247は、感光ドラム121の回転軸方向(レーザー走査ユニット240の主走査方向)において、半導体レーザー駆動制御部1012により上記画像信号に応じた変調(当該画像信号に基づく書き出し)が開始されるタイミングの取得に用いられる同期信号を発生させる。
【0048】
fθレンズ245を通過したビームLは、感光体ドラム121の表面上にビームスポットとして結像し、ポリゴンミラー242及び感光体ドラム121の回転により感光体ドラム121の被走査面を主走査方向に光走査して画像情報の記録を行う。
【0049】
次に、画像形成装置1の制御系の構成を説明する。図3は画像形成装置1の制御系の構成概略を示すブロック図である。なお、以下の説明では、主に本発明に関する構成を説明する。
【0050】
画像形成装置1は、制御ユニット100を備える。制御ユニット100は、画像形成装置1の全体的な動作制御を司るものである。制御ユニット100は、画像形成制御部101と、設定値記憶部102と、位相制御部103と、時間差計測部105とを備える。但し、時間差計測部105は、後述する実施形態において必要な限りで画像形成装置1に設けられていれば足りる。
【0051】
画像形成制御部101は、画像形成時に動作する各部の駆動制御を司る。画像形成制御部101は、各画像形成ユニット12M、12C、12Y、12Bの駆動制御を担当する。画像形成制御部101は、ポリゴンモーター駆動制御部1011と、半導体レーザー駆動制御部1012と、モーター駆動制御部1013とを備える。
【0052】
ポリゴンモーター駆動制御部(駆動制御部)1011は、クロック信号出力回路(以下、「CLK信号出力回路」)401から出力されるクロック信号(以下、「CLK信号」)に基づいてポリゴンモーター241が予め定められた目標回転速度となるように駆動する。ポリゴンモーター駆動制御部1011は、CLK信号出力回路401と、移相回路402と、PLL回路(Pulse-Locked loop:位相同期回路)403と、モータードライバー404と、エンコーダ405とを備える。
【0053】
ポリゴンモーター駆動制御部1011によるポリゴンモーター241の回転数制御について説明すると、操作者からの画像形成開始要求等を受けて、ポリゴンモーター駆動制御部1011はCLK信号出力回路401から予め定められた周波数で出力されるCLK信号を、移相回路402を介してPLL回路(Pulse-Locked loop:位相同期回路)403に入力させる。PLL回路403は入力されたCLK信号の周波数とポリゴンモーター241に取り付けられたエンコーダ405が出力したポリゴンモーター241の回転周波数とを比較してその位相差を出力し、モータードライバー404が当該位相差を解消するように調整した駆動電流をポリゴンモーター241に供給し、ポリゴンモーター241を当該駆動電流に応じて回転駆動させ、その回転速度(単位時間当たりの回転数)を目標回転速度に収束させる。
【0054】
半導体レーザー駆動制御部(発光制御部)1012は、半導体レーザー243を駆動するドライバーである。半導体レーザー駆動制御部1012は、ポリゴンモーター241の回転数が上記目標回転数に収束すると、原稿読取部5に読み取られて図略のメモリーに格納された画像データ等の画像形成対象データを、数ライン分ずつ内蔵するバッファに読み出し、半導体レーザー243を駆動して、当該画像データに基づいて変調される光線束を半導体レーザー243から射出させる。
【0055】
例えば、半導体レーザー駆動制御部1012は、DAC(デジタル−アナログコンバータ)とVI変換(電圧−電流変換)回路とを備えたバイアス電流発生回路を内蔵している。半導体レーザー駆動制御部1012は、後述する設定値を設定値記憶部102から読み出し、DACにより当該設定値をこれに対応するアナログ電圧に変換し、当該アナログ電圧をVI変換回路でバイアス電流に変換する。また、半導体レーザー駆動制御部1012は、上記画像データに応じた露光電流を発生させる露光電流発生回路を内蔵している。
【0056】
半導体レーザー駆動制御部1012は、半導体レーザー243を一定の光量で発光させる上記バイアス電流に、上記画像データに応じて変調した上記露光電流を重畳し、当該重畳電流を半導体レーザー243の画像形成時における露光用の駆動電流として半導体レーザー243を高速に発光及び消光させ、上記画像データに基づいた感光体ドラム121面上の露光(画像書き込み)を主走査方向1ラインずつ行う。
【0057】
モーター駆動制御部1013は、画像形成時に、予め定められた標準速度となるようにドラムモーター500の回転駆動を制御すると共に、中間転写ベルト125の駆動ローラー125aの駆動源である図略のモーターの回転駆動を、中間転写ベルト125の走行速度が感光体ドラム121の周速と同一になるように制御する。
【0058】
BDセンサー247は、BDセンサー247がポリゴンミラー242によって反射されるレーザー光の光線束を受光したときに、同期信号(BD信号)としてパルス波を出力する。BDセンサー247から出力される同期信号は、ポリゴンミラー242の回転動作と、半導体レーザー243による画像書出タイミングの同期を取るための同期信号として用いられる。
【0059】
ここで、各画像形成ユニット12M、12C、12Y、12Bにおける上記半導体レーザー243による画像データの書出タイミングの同期がとれていないと(すなわち、各画像形成ユニット12M、12C、12Y、12Bが、互いに予め定められた一定の時間差を保った書出タイミングで、半導体レーザー243による主走査方向走査ライン毎に画像データの書き出しを行う状態になっていないと)、重ね合わせて形成されるフルカラーのトナー像に色ずれが生じるため、制御ユニット100は、各画像形成ユニット12M、12C、12Y、12Bの半導体レーザー243による画像データの書き出しを行う前に、各画像形成ユニット12M、12C、12Y、12B間での画像データ書き出しタイミングを同期させる(すなわち、各画像形成ユニット12M、12C、12Y、12Bが、互いに予め定められた一定の時間差を保った書出タイミングで、半導体レーザー243による主走査方向走査ライン毎に画像データの書き出しを行う状態にする)。
【0060】
時間差計測部105は、感光体ドラム121が回転駆動されるときに、各画像形成ユニット12M、12C、12Y、12Bのレーザー走査ユニット240について、それぞれのBDセンサー247から出力される同期信号に基づいて、各レーザー走査ユニット240間での相対的な画像書出タイミングの時間差を計測する。
【0061】
位相制御部103は、各レーザー走査ユニット240間での相対的な画像書出タイミングを同期させるために、ポリゴンモーター駆動制御部1011が各画像形成ユニット12M、12C、12Y、12Bのポリゴンモーター241に出力するポリゴンミラー駆動用の制御信号の位相を同期させる(詳細は後述)。なお、位相制御部103は、画像形成装置1の操作部47(図1)をユーザーが操作することで入力される位相制御実行指示又は位相制御不実行指示に従って、当該位相同期を行うか否かを制御する。
【0062】
設定値記憶部102は、メモリー等からなり、上記バイアス電流を半導体レーザー駆動制御部1012が発生させるために用いる設定値が記憶されている。設定値記憶部102は、当該設定値として、第1の設定値と第2の設定値とを記憶している。第1の設定値は、感光体ドラム121の回転軸方向(レーザー走査ユニット240による主走査方向)両端部における半導体レーザー243の光量を当該主走査方向中央部における光量よりも高くするために半導体レーザー駆動制御部1012が用いるものである。第2の設定値は、感光体ドラム121の主走査方向全域において半導体レーザー243の光量を一定とするために半導体レーザー駆動制御部1012が用いるものである。設定値記憶部104は、各色のレーザー走査ユニット240毎に、当該第1及び第2の設定値を記憶している。
【0063】
例えば、半導体レーザー駆動制御部1012は、上記DACとしてDAC1及びDAC2の2つを有している。DAC1は主走査方向(感光体ドラム121の回転軸方向)の各位置における上記アナログ電圧を発生させ、DAC2は各色のレーザー走査ユニット240別のアナログ電圧を発生させる。これらDAC1及びDAC2が発生させたアナログ電圧を重畳させたものがDACの出力値とされる。
【0064】
第1の設定値の例を図4(A)に示す。第1の設定値は、DAC2の値として、各色に適したそれぞれの値が規定され、例えば、黒(B)=10、イエロー(Y)=8、マゼンタ(M)=4、シアン(C)=2が規定されている。また、DAC1の値として、感光体ドラム121の回転軸方向両端部における半導体レーザー243の光量を当該主走査方向中央部における光量よりも高くするために、感光体ドラム121の回転軸方向(レーザー走査ユニット240による主走査方向)に、その各位置毎の値として、DAC1=4,3,2,1,2,3,4が規定されている。なお、この例では、感光体ドラム121の回転軸方向位置を7区分に分けたものとして説明している。当該区分数は、更に多くても構わない。以下、感光体ドラム121の回転軸方向位置を説明する場合について同じである。
【0065】
上記DAC1により感光体ドラム121の回転軸方向の各位置毎に定められた上記値を用いて変換されたアナログ電圧と、DAC2により各色別に定められた上記値を用いて変換されたアナログ電圧とを重畳したアナログ電圧がDACの出力値として出力される。このDACによる出力値は、DAC1及びDAC2の図4(A)に示した値を合算した値(図4(B)に例を示す)に対応するアナログ電圧値となる。当該DACから出力されるアナログ電圧は、上記VI変換回路によりバイアス電流に変換され、更に、露光電流発生回路が画像データに応じて発生させる露光電流が当該バイアス電流に重畳されて、半導体レーザー駆動制御部1012が画像形成時における露光用に、各色のレーザー走査ユニット240の半導体レーザー243の駆動制御に用いる駆動電流となる。
【0066】
次に、第2の設定値の例を図5(A)に示す。第2の設定値は、DAC2の値として、各色に適したそれぞれの値が規定され、例えば、黒(B)=10、イエロー(Y)=8、マゼンタ(M)=4、シアン(C)=2が規定されている。また、DAC1の値として、感光体ドラム121の回転軸方向両端部における半導体レーザー243の光量を当該主走査方向中央部における光量よりも高くするために、感光体ドラム121の回転軸方向(レーザー走査ユニット240による主走査方向)に、その各位置毎に全て同じ値である2,2,2,2,2,2,2が規定されている。
【0067】
半導体レーザー駆動制御部1012において、当該図5(A)に示した第2の設定値を用いてDACにより上記アナログ電圧への変換が行われる場合、当該DACによる出力値は、図5(B)に例を示すDAC1及びDAC2の値を合算した値に対応するアナログ電圧値となる。上記第1の設定値の場合と同様に、当該DACから出力されるアナログ電圧が、上記VI変換回路によりバイアス電流に変換されて、露光電流発生回路による露光電流が重畳され、半導体レーザー駆動制御部1012が各色のレーザー走査ユニット240の半導体レーザー243の駆動制御に用いる駆動電流となる。
【0068】
半導体レーザー駆動制御部1012は、位相制御部106による上記位相の同期が行われる場合には、上記第1の設定値を設定値記憶部104から読み出し、当該第1の設定値を用いて半導体レーザー243による光量を制御する。また、半導体レーザー駆動制御部1012は、位相制御部106による上記位相の同期が行われない場合には、上記第2の設定値を設定値記憶部104から読み出して、当該第2の設定値を用いて半導体レーザー243による光量を制御する。
【0069】
ここで、感光体ドラム121表面上における光量分布について説明する。図6は、感光体ドラム121とポリゴンミラー242の位置関係を示す図である。図7及び図8は、感光体ドラム121表面上の光量分布を示す図である。図9は、半導体レーザー駆動制御部1012が第1の設定値を用いて半導体レーザー243の光量を制御する場合の駆動電流を示す図である。
【0070】
既に図2に示したように、半導体レーザー243から発光される光はポリゴンミラー242により反射され、レーザー走査ユニット240の主走査方向、すなわち、感光体ドラム121の回転軸方向において、その一端部から他端部までを照射する。このとき、図6に示すように、ポリゴンミラー242の反射面242aから感光体ドラム121表面121aまでの距離は、半導体レーザー243の光照射を受ける感光体ドラム121表面の回転軸方向の各位置において異なり、感光体ドラム121の回転軸方向端部付近ではポリゴンミラー242の反射面242aからの距離が長くなり、感光体ドラム121の回転軸方向中央部付近ではポリゴンミラー242の反射面242aからの距離が短くなる。このため、上記図5(A)に示した第2設定値を用いて、半導体レーザー駆動制御部1012が半導体レーザー243の光量を、感光体ドラム121の回転軸方向の各位置において一定として制御すると、図7に示すように、半導体レーザー243の光照射による各色用の感光体ドラム121表面の光量分布は、感光体ドラム121の回転軸方向端部付近では少なく、当該回転軸方向中央部付近では多くなり、感光体ドラム121面上において半導体レーザー243の光照射によって受けるパワーは、感光体ドラム121の回転軸方向の各位置において異なる。
【0071】
一方、上記図4(A)に示した第1設定値を用いて、半導体レーザー駆動制御部1012が半導体レーザー243の光量を、図9に示すように感光体ドラム121の回転軸方向端部付近では多く、当該回転軸方向中央部付近では少なくする制御を行うと、図8に示すように、半導体レーザー243の光照射による各色用の感光体ドラム121表面の光量分布は、感光体ドラム121の回転軸方向の各位置において均一にすることが可能となる。
【0072】
画像形成装置1では、レーザー走査ユニット240による感光体ドラム121表面上への光照射条件に応じて、半導体レーザー駆動制御部1012が半導体レーザー243の光量制御時に、上記第1又は第2の設定値を選択的に用いる。
【0073】
次に、画像形成装置1による画像形成時におけるレーザー走査ユニット240の駆動制御の第1実施形態について説明する。図10は、画像形成装置1による画像形成時におけるレーザー走査ユニット240の駆動制御の第1実施形態を示すフローチャートである。図11(A)(B)は、画像形成ユニット12Mのレーザー走査ユニット240のBDセンサー247から位相制御部103に入力された同期信号Mと、画像形成ユニット12Cのレーザー走査ユニット240のBDセンサー247から位相制御部103に入力された同期信号Cの一例を示す図である。
【0074】
まず、画像形成制御部101が、ポリゴンモーター241の駆動の要否を判断する(S1)。具体的には、当該画像形成装置1が、電源立ち上げ時や、スタンバイモード(省電力待機状態)から通常動作モード(通常の画像形成動作が可能な状態)に復帰する時、コピー動作等の画像形成実行要求が行われた時等の状態となっているとき、画像形成制御部101が、ポリゴンモーター241の駆動が必要であると判断する。ここで、画像形成制御部101が、ポリゴンミラー242の駆動が必要ないと判断した場合は(S1でNO)、処理はステップS1で待機する。
【0075】
一方、画像形成実行要求が行われる等により、画像形成制御部101が、ポリゴンミラー242の駆動が必要であると判断した場合(S1でYES)、モーター駆動制御部1013は、ドラムモーター500を駆動制御して感光体ドラム121を予め定められた標準速度で回転させ、中間転写ベルト125を走行させる駆動ローラー125aの駆動源となるモーターを駆動制御して中間転写ベルト125を感光体ドラム121の周速と同じ速度で走行させる(S2)。さらに、ポリゴンモーター駆動制御部1011は、ポリゴンモーター241の回転周波数を予め定められた周波数として、ポリゴンモーター241を駆動させる(S3)。
【0076】
半導体レーザー駆動制御部1012は、各画像形成ユニット12M、12C、12Y、12Bのそれぞれにおいて、半導体レーザー243を駆動し、ポリゴンミラー242による反射等を介して、感光体ドラム121表面へのレーザー光照射を行う(S4)。このとき、画像形成ユニット12M、12C、12Y、12Bのそれぞれにおいて、BDセンサー247が当該レーザー光を受光すると同期信号(BD信号)を出力し、半導体レーザー駆動制御部1012及び位相制御部103が当該同期信号を受信する(S5)。
【0077】
そして、位相制御部103は、ユーザーにより位相制御実行指示が入力されて位相制御(位相同期)を実行する設定となっているかを判断し(S6)、位相制御を実行する設定である場合には(S6でYES)、位相制御部103は、モーター駆動制御部1013が各色のレーザー走査ユニット240のポリゴンミラー242の駆動に用いる制御信号の位相を同期させる調整を行う(S7)。
【0078】
例えば、位相制御部103は、上記受信した同期信号に基づいて、各色のレーザー走査ユニット240間での画像書出タイミングの時間差tを算出する。すなわち、位相制御部103は、各画像形成ユニット12M、12C、12Y、12Bの各レーザー走査ユニット240のポリゴンミラー242同士の回転位相のずれ量を検出する。
【0079】
そして、位相制御部103は、算出した時間差tが、予め定められた一定量の回転位相のずれに対応する時間差taに一致するか否か(両値の差が許容できる範囲内であれば、ここでいう「一致」とする)を判断する。
【0080】
図11(A)には、位相制御部103が受信した同期信号Mと同期信号Cとの時間差が、予め定められた一定量の回転位相のずれに対応する時間差taである場合を示し、図11(B)には、同期信号Mと同期信号Cとの時間差tが時間差taよりも大きな時間差ta+tcである場合を示している。
【0081】
位相制御部103は、各色画像形成ユニット12M、12C、12Y、12Bのレーザー走査ユニット240のうち、予め定められたレーザー走査ユニット240を基準とし(ここでは画像形成ユニット12Mのレーザー走査ユニット240を基準とする)、同期信号Mと同期信号Cの間隔(時間差t)を計測する。当該時間差tが時間差taである場合には、位相制御部103は、画像形成ユニット12Mと画像形成ユニット12Cのレーザー走査ユニット240のポリゴンミラー242同士の回転位相のずれ量が、予め設定された一定量と一致するため、半導体レーザー駆動制御部1012が画像形成ユニット12Cのレーザー走査ユニット240のポリゴンモーター241の駆動に用いているこの時点での制御信号の位相をそのまま採用する。
【0082】
一方、図11(B)に示すように、位相制御部103は、同期信号Mと同期信号Cの間隔が時間差ta+tcであり、時間差taとは異なっている場合には、画像形成ユニット12Mと画像形成ユニット12Cのレーザー走査ユニット240のポリゴンミラー242同士の回転位相のずれ量が、予め設定された一定量に一致しないと判断する。この場合、位相制御部103は、当該同期信号同士の時間差ta+tcが時間差taに一致するように、画像形成ユニット12Cのレーザー走査ユニット240のポリゴンモーター241の駆動に半導体レーザー駆動制御部1012が用いている制御信号の位相を調整する(S7)。なお、上記時間差ta+tcと時間差taとの差分に対応する位相調整量は、当該差分と位相調整量との関係を、位相制御部103内のROM等に予め記憶させておくこと、又は予め定められた係数を用いた算出により容易に決定できる。なお、当該位相調整には、この他に従来公知の各種手法を採用できる。
【0083】
なお、基準とされる画像形成ユニット(画像形成ユニット12M)のレーザー走査ユニット240に対する他の画像形成ユニット12Y、12Bのレーザー走査ユニット240の位相調整も、上記画像形成ユニット12Cの場合と同様にして行われる。但し、ここでの位相調整に用いられる時間差taは、画像形成ユニット12Y、21Bの各レーザー走査ユニット240について、画像形成ユニット12Yの配設位置に応じて設定された時間差ta’(≠時間差ta)、画像形成ユニット12Bの配設位置に応じて設定された時間差ta’’(≠時間差ta)が用いられる。
【0084】
S7において上記位相調整が行われた後は、半導体レーザー駆動制御部1012は、設定値記憶部104から上記第1の設定値を読み出して、半導体レーザー243の制御に用いる設定値として当該第1の設定値を設定する(S8)。
【0085】
また、S6において、位相制御部103は、ユーザーにより位相制御不実行指示の入力により位相制御を実行しない設定となっていると判断した場合には(S6でNO)、半導体レーザー駆動制御部1012は、設定値記憶部104から上記第2の設定値を読み出して、半導体レーザー243の制御に用いる設定値として当該第2の設定値を設定する(S10)。
【0086】
このS8及びS10の後、半導体レーザー駆動制御部1012は、上記設定された設定値を用いて半導体レーザー243のバイアス電流を生成し、画像形成の対象とされる画像データに対応する露光電流を当該バイアス電流に重畳させて、画像形成時における露光用の半導体レーザー243の駆動電流を生成し、当該駆動電流により半導体レーザー243を駆動して光量を制御することで、上記画像データに基づく画像形成としての露光を行う(S9)。
【0087】
この第1実施形態では、上記ポリゴンミラー242の回転角度の位相が同期して、各色のレーザー走査ユニット240による感光体ドラム121上での書き出し位置が、予定の位置である感光体ドラムの回転軸方向端部付近で全て揃っている場合には、上記第1の設定値を用いて、各色のレーザー走査ユニット240の全ての光量を、感光体ドラム121の回転軸方向端部付近で多くし、感光体ドラム121中央部付近で少なくして、各色の感光体ドラム121面上の光量分布(半導体レーザー243の光照射によるパワー)をその回転軸方向の各位置で均一とすることをまず確保できる。
【0088】
また、上記ポリゴンミラー242の回転角度の位相が同期しておらず、各色のレーザー走査ユニット240による感光体ドラム121上での書き出し位置が上記予定の位置で揃っていない場合に、当該第1の設定値によるような半導体レーザー243の光量制御を行うと、図12に示すように、半導体レーザー243の光量は、感光体ドラム121の回転軸方向端部付近で大きく、回転軸方向中央部付近で小さくならず、予定外の位置において光量の大小が発生する事態が生じる。図12には、黒及びシアン用のレーザー走査ユニット240の半導体レーザー243の書き出し位置が、基準となるマゼンタ用のレーザー走査ユニット240の半導体レーザー243の書き出し位置に対してずれている場合を示している。
【0089】
上記事態が生じると、当該第1の設定値によるような半導体レーザー243の光量制御では、感光体ドラム121の回転軸方向の各位置における光量の不均一の度合いが却って酷くなるため、本第1の実施形態は、この場合には、上記第2の設定値を用いて、感光体ドラム121の主走査方向全域において半導体レーザー243の光量を一定とする。このため、各色の感光体ドラム121面上の電位がその回転軸方向の各位置で不均一になる度合いを低減することが可能である。これにより、本第1実施形態によれば、各色のレーザー走査ユニット240のポリゴンモーター241を回転駆動させるためにポリゴンモーター駆動制御部1011が用いる制御信号の位相が同期しているか否かに拘わらず、各色の感光体ドラム121面上の光量分布(半導体レーザー243の光照射によるパワー)を、感光体ドラム121の回転軸方向の各位置で最適な状態に近付けることが可能になる。
【0090】
次に、画像形成装置1による画像形成時におけるレーザー走査ユニット240の駆動制御の第2実施形態について説明する。図13は、画像形成装置1による画像形成時におけるレーザー走査ユニット240の駆動制御の第2実施形態を示すフローチャートである。なお、第1実施形態と同様の処理は説明を省略する。
【0091】
この第2実施形態では、各色のレーザー走査ユニット240のBDセンサー247からの同期信号に基づいて、位相制御部103により上述した位相調整が行われ(S26)、その後、時間差計測部105が、当該各色のレーザー走査ユニット240のBDセンサー247からの同期信号に基づいて、基準とする色用の画像形成ユニット12のレーザー走査ユニット240と、これに対する他色用の画像形成ユニット12のレーザー走査ユニット240のそれぞれの画像書出タイミングの時間差tc,ty,tbを算出する(S27)。
【0092】
半導体レーザー駆動制御部1012は、当該時間差tc,ty,tbのうち、いずれか一つでも予め定められた時間差に達している場合、例えば、第1実施形態で説明した時間差ta,ta’,ta’’のうち対応する時間差に対して±10%以上の時間差となっている場合には(S28でYES)、設定値記憶部104から上記第2の設定値を読み出して、半導体レーザー243の制御に用いる設定値として当該第2の設定値を設定する(S31)。
【0093】
一方、半導体レーザー駆動制御部1012は、当該時間差tc,ty,tbの全てが上記予め定められた時間差に達していない場合には(S28でNO)、設定値記憶部104から上記第1の設定値を読み出して、半導体レーザー243の制御に用いる設定値として当該第1の設定値を設定する(S29)。
【0094】
このS29及びS31の後、半導体レーザー駆動制御部1012は、上記設定された第1の設定値を用いて半導体レーザー243のバイアス電流を生成し、画像形成の対象とされる画像データに対応する露光電流を当該バイアス電流に重畳させて、半導体レーザー243の駆動電流を生成し、当該駆動電流により半導体レーザー243を駆動して光量を制御することで、上記画像データに基づく画像形成としての露光を行う(S30)。
【0095】
この第2実施形態によれば、何らかの不具合により位相制御部103による上記位相調整が正確に行われなかった場合であっても、上記半導体レーザー駆動制御部1012は、上記第2の設定値を半導体レーザー243の制御に用いるので、各色用の感光体ドラム121面上の回転軸方向の各位置で受ける光量(半導体レーザー243の光照射によるパワー)を均一化する制御を行うことができる。
【0096】
次に、画像形成装置1による画像形成時のレーザー走査ユニット240の駆動制御の第3実施形態について説明する。図14は画像形成装置1による画像形成時のレーザー走査ユニット240の駆動制御の第3実施形態を示すフローチャートである。図16は画像形成装置1による画像形成時のレーザー走査ユニット240の駆動制御の第3実施形態の変形形態を示すフローチャートである。なお、第1又は第2実施形態と同様の処理は説明を省略する。
【0097】
第3実施形態では、画像形成装置1の設定値記憶部104は、上述した第1及び第2の設定値に代えて、感光体ドラム121の回転軸方向両端部に照射する半導体レーザー243の光量を、当該回転軸方向中央部に照射する光量よりも高くする設定値のみをデフォルト設定値として記憶している。
【0098】
当該デフォルト設定値の例を図15(A)に示す。デフォルト設定値は、各色に適したそれぞれの値が、感光体ドラム121の回転軸方向(レーザー走査ユニット240による主走査方向)に、その各位置毎の値として、例えば、黒(B)=14,13,12,11,12,13,14、イエロー(Y)=12,11,10,9,10,11,12、マゼンタ(M)=8,7,6,5,6,7,8、シアン(C)=6,5,4,3,4,5,6が規定されている。この例では、感光体ドラム121の回転軸方向長さ(書き込み領域外を除く)を7等分した場合における各位置毎に値が設定されている。
【0099】
半導体レーザー駆動制御部1012において、当該図15(A)に示したデフォルトの設定値を用いてDACによりアナログ電圧への変換が行われる場合、当該DACによる出力値は、図15(B)に例を示す設定値に対応するアナログ電圧値となる。当該DACから出力されるアナログ電圧が、上記VI変換回路によりバイアス電流に変換されて、露光電流発生回路による露光電流が重畳され、画像形成時の露光用として半導体レーザー駆動制御部1012が各色のレーザー走査ユニット240の半導体レーザー243の駆動制御に用いる駆動電流となる。
【0100】
そして、この第3実施形態では、図14に示すように、位相制御部103が、位相制御を実行する設定であると判断した場合には(S46でYES)、S47に進む。S47において位相調整が行われた後は、半導体レーザー駆動制御部1012は、設定値記憶部104から上記デフォルト設定値を読み出して、半導体レーザー243の制御に用いる設定値として当該デフォルトの設定値を設定する(S48)。
【0101】
また、S46において、位相制御部103が、位相制御を実行しない設定であると判断した場合には(S46でNO)、時間差計測部105が、当該各色用のレーザー走査ユニット240のBDセンサー247からの同期信号に基づいて、基準とする画像形成ユニット12のレーザー走査ユニット240と、これに対する他色用の画像形成ユニット12のレーザー走査ユニット240のそれぞれの画像書出タイミングの上記時間差tc,ty,tbを算出する(S50)。
【0102】
半導体レーザー駆動制御部1012は、当該時間差tc,ty,tbのうち、予め定められた時間差に達している時間差があると判断した場合、例えば、第1実施形態で説明した時間差ta,ta’,ta’’に対して±10%以上の時間差となっている時間差tがあると判断した場合には(S51でYES)、当該時間差tが予め定められた時間差に達しているレーザー走査ユニット240について半導体レーザー駆動制御部1012が半導体レーザー243の光量制御に用いる設定値を作成する(S52)。例えば、半導体レーザー駆動制御部1012は、上記本来の時間差ta,ta’,ta’’に対する上記時間差tの差分(感光体ドラム121の回転軸方向におけるずれ量)に応じた分だけ、デフォルト設定値のそれぞれを感光体ドラム121の回転軸方向にずらして組み換えることで補正用設定値を作成する。
【0103】
例えば、基準とする画像形成ユニット12のレーザー走査ユニット240がマゼンタ用であり、これに対して上記予め定められた時間差に達している時間差tを有するレーザー走査ユニット240が黒用とシアン用であり、黒用の上記差分が、感光体ドラム121の回転軸方向に4つ分(上記のように7等分している場合)の距離だけずれており、シアンの上記差分が、当該方向に2つ分だけずれている場合は、感光体ドラム121の回転軸方向における各位置毎に規定されている黒及びシアンの値をそれぞれの上記ずれ分だけ、感光体ドラム121の回転軸方向に移動させて値を組み換えることで、図16(A)に示すように、半導体レーザー駆動制御部1012により補正用設定値が作成される。なお、この場合には、半導体レーザー駆動制御部1012により補正用設定値を用いてDACによりアナログ電圧への変換が行われると、当該DACによる出力値は、図16(B)に例を示す設定値に対応するアナログ電圧値となる。
【0104】
そして、半導体レーザー駆動制御部1012は、当該作成した補正用設定値を半導体レーザー243の光量制御に用いる設定値として設定する(S53)。
【0105】
なお、S51において、半導体レーザー駆動制御部1012が、時間差tc,ty,tbのうち、予め定められた時間差に達している時間差がないと判断した場合には(S51でNO)、半導体レーザー駆動制御部1012は、上記デフォルト設定値を半導体レーザー243の光量制御に用いる設定値として設定する(S48)。
【0106】
これらS48及びS53の後、半導体レーザー駆動制御部1012は、上記設定されたそれぞれの設定値を用いて半導体レーザー243のバイアス電流を生成し、画像形成の対象とされる画像データに対応する露光電流を当該バイアス電流に重畳させて、半導体レーザー243の駆動電流を生成し、当該駆動電流により半導体レーザー243を駆動して光量を制御することで、上記画像データに基づく画像形成としての露光を行う(S49)。
【0107】
また、図17に示す当該第3実施形態の変形形態では、位相制御部103により位相調整が行われ(S66)、その後、時間差計測部105が、当該各色用のレーザー走査ユニット240のBDセンサー247からの同期信号に基づいて、基準とする画像形成ユニット12のレーザー走査ユニット240と、これに対する他色用の画像形成ユニット12のレーザー走査ユニット240のそれぞれの画像書出タイミングの上記時間差tc,ty,tbを算出する(S67)。
【0108】
半導体レーザー駆動制御部1012は、当該時間差tc,ty,tbのうち、予め定められた時間差に達している時間差があると判断した場合、例えば、第1実施形態で説明した時間差ta,ta’,ta’’に対して±10%以上の時間差となっている時間差tがあると判断した場合には(S68でYES)、当該時間差tが予め定められた時間差に達しているレーザー走査ユニット240について半導体レーザー駆動制御部1012が半導体レーザー243の光量制御に用いる補正用設定値を図14のS51と同様にして作成する(S71)。
【0109】
そして、半導体レーザー駆動制御部1012は、当該作成した補正用設定値を半導体レーザー243の光量制御に用いる設定値として設定する(S72)。
【0110】
なお、S68において、半導体レーザー駆動制御部1012が、時間差tc,ty,tbのうち、予め定められた時間差に達している時間差がないと判断した場合には(S68でNO)、半導体レーザー駆動制御部1012は、上記デォルト設定値を半導体レーザー243の光量制御に用いる設定値として設定する(S69)。
【0111】
これらS72及びS69の後、半導体レーザー駆動制御部1012は、上記設定されたそれぞれの設定値を用いて半導体レーザー243の駆動電流を生成し、当該駆動電流により半導体レーザー243を駆動して光量を制御することで、上記画像データに基づく画像形成としての露光を行う(S70)。
【0112】
なお、当該変形形態では、上記位相制御部103による位相調整を行わないものとし(S66無し)、時間差計測部105が、当該各色のレーザー走査ユニット240のBDセンサー247からの同期信号に基づいて、基準とする画像形成ユニット12のレーザー走査ユニット240と、これに対する他色用の画像形成ユニット12のレーザー走査ユニット240のそれぞれの画像書出タイミングの時間差tc,ty,tbを算出し(S67)、半導体レーザー駆動制御部1012が、上記補正用設定値の生成又はデフォルトの設定値の設定を行うようにしてもよい(S68,S69,S71)。これによれば、位相制御に要していた時間を削減できると共に、各色のレーザー走査ユニット240の光照射により、各色用の感光体ドラム121面上の回転軸方向の各位置で受ける光量(半導体レーザー243の光照射によるパワー)を均一化できる。なお、この位相制御なしの変形形態の場合、制御ユニット100は、位相制御部103を備えていなくてもよい。
【0113】
この第3実施形態によれば、上記ポリゴンミラー242の回転角度の位相が同期して、各色のレーザー走査ユニット240による感光体ドラム121上での書き出し位置が、予定の位置である感光体ドラムの回転軸方向端部付近で全て揃っている場合には、上記デフォルトの設定値を用いて、各色のレーザー走査ユニット240の全ての光量を、感光体ドラム121の回転軸方向端部付近で多くし、感光体ドラム121中央部付近で少なくして、各色の感光体ドラム121面上で受ける光量(半導体レーザー243の光照射によるパワー)をその回転軸方向の各位置で均一とすることをまず確保できる。
【0114】
さらに、ポリゴンモーター駆動制御部1011がポリゴンモーター241の駆動制御に用いる各制御信号の位相にずれが生じて、上記ポリゴンミラー242の回転角度の位相が同期しておらず、各色用のレーザー走査ユニット240による対応する感光体ドラム121表面上での書き出し位置が上記予定の位置で揃っていない場合であっても、各ポリゴンミラー242の回転位相のずれ量に応じて、上記デフォルト設定値の各値を感光体ドラム121回転軸方向にずらした補正用設定値を用いて半導体レーザー駆動制御部1012が各半導体レーザー243の光量を制御することで、デフォルト設定値を用いた光量制御の場合と同様に、各色用のレーザー走査ユニット240の全ての光量を、感光体ドラム121の回転軸方向端部付近では多くし、感光体ドラム中央部付近では少なくして、各色の感光体ドラム121面上で受ける光量(半導体レーザー243の光照射によるパワー)をその回転軸方向の各位置で均一とすることをまず確保できる。
【0115】
なお、本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、本発明に係る画像形成装置を複合機として説明しているが、本発明に係る画像形成装置はこれに限定されない。例えば、本発明に係る画像形成装置は、コピー機、ファクシミリ装置等であっても構わない。
【0116】
なお、図1乃至図17を用いて上記各実施形態により示した構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0117】
1 画像形成装置
12M,12C,12Y,12B 画像形成ユニット
100 制御ユニット
101 画像形成制御部
1011 ポリゴンモーター駆動制御部
1012 半導体レーザー駆動制御部
1013 モーター駆動制御部
102 設定値記憶部
103 位相制御部
104 設定値記憶部
105 時間差計測部
106 位相制御部
121 感光ドラム
240 レーザー走査ユニット
241 ポリゴンモーター
242 ポリゴンミラー
242a 反射面
243 半導体レーザー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像信号に応じたレーザー光を発光する発光部と、当該発光部から発光されるレーザー光を感光体ドラムの回転軸方向を主走査方向として当該感光体ドラムの表面に走査させる複数の反射面を有する回転多面体と、前記回転多面体を回転駆動する回転多面体駆動部とを備える複数のレーザー走査ユニットと、
前記各発光部による発光を制御する発光制御部と、
前記回転多面体駆動部に制御信号を出力して前記各回転多面体の駆動を制御する駆動制御部と
前記駆動制御部が前記各回転多面体駆動部に出力するそれぞれの前記制御信号の位相を同期させる位相制御部と、
前記感光体ドラムの回転軸方向両端部に照射する前記発光部の光量を当該回転軸方向中央部に照射する光量よりも多くする第1の設定値と、前記感光体ドラムの回転軸方向全域に照射する前記発光部の光量を一定とする第2の設定値とを記憶する設定値記憶部とを備え、
前記発光制御部は、前記位相制御部による前記位相の同期が行われる場合には前記第1の設定値を用いて前記発光部の光量を制御し、前記位相制御部による前記位相の同期が行われない場合には前記第2の設定値を用いて前記発光部の光量を制御する画像形成装置。
【請求項2】
前記駆動制御部が前記各回転多面体駆動部の制御に用いる各制御信号の位相のずれ量を検出するずれ量検出部を更に備え、
前記発光制御部は、前記ずれ量検出部によって検出されたずれ量が予め定められた値に達している場合に前記位相の同期が行われていないものとして、前記第2の設定値を用いて前記発光部の光量を制御し、前記ずれ量検出部によって検出されたずれ量が予め定められた値に達していない場合には前記位相の同期が行われているとして、前記第1の設定値を用いて前記発光部の光量を制御する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
画像信号に応じたレーザー光を発光する発光部と、当該発光部から発光されるレーザー光を感光体ドラムの回転軸方向を主走査方向として当該感光体ドラムの表面に走査させる複数の反射面を有する回転多面体と、前記回転多面体を回転駆動する回転多面体駆動部とを備える複数のレーザー走査ユニットと、
前記各発光部による発光を制御する発光制御部と、
前記回転多面体駆動部に制御信号を出力して前記各回転多面体の駆動を制御する駆動制御部と、
前記駆動制御部が前記各回転多面体駆動部に出力するそれぞれの前記制御信号の位相を同期させる位相制御部と、
前記感光体ドラムの回転軸方向両端部に照射する前記発光部の光量を当該回転軸方向中央部に照射する光量よりも多くする設定値であって、前記感光体ドラムの回転軸方向の各位置毎に定められたデフォルトの設定値を記憶する設定値記憶部と、
前記駆動制御部が前記各回転多面体駆動部の制御に用いる各制御信号の位相のずれ量を検出するずれ量検出部とを備え、
前記発光制御部は、前記位相制御部による前記位相の同期が行われる場合には前記デフォルトの設定値を用いて前記発光部の光量を制御し、前記位相制御部による前記位相の同期が行われない場合には、前記デフォルトの設定値を、前記ずれ量検出部によって検出された前記ずれ量に応じた分だけ前記回転軸方向にずらした補正用設定値を用いて前記発光部の光量を制御する画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−76774(P2013−76774A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215520(P2011−215520)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】